JP2010081248A - 変調装置、復調装置、通信システムおよび通信方法 - Google Patents

変調装置、復調装置、通信システムおよび通信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い信頼度且つ高速な音響通信システムを提供する。
【解決手段】複数のPN信号を楽音信号とミキシングして放音する。楽音信号の音量レベルが小さいとき、複数のPN信号のそれぞれをデータ信号で位相変調し、複数のPN信号で並列・高速にデータを伝送する。一方、楽音信号の音量レベルが大きいとき、PN信号の一方をデータ信号によって変調された変調用PN信号、他方をデータ信号で変調しない参照用擬似雑音信号として送信し、受信側が、受信信号の変調用PN信号、参照用PN号に対する相関値をそれぞれ求めて加算し、この加算された相関値に基づいて前記データ信号を復調する。
【選択図】図2

Description

信頼性の高い音響通信を実現することができる変調装置、復調装置、通信システムおよび通信方法に関する。
空気等の媒質中を伝搬する音波を用いてデータを伝達する音響通信技術として、データ信号をスペクトル拡散して拡散信号化して放音する技術が提案されている(特許文献1参照)。拡散信号がだけが聴衆に目立って聴こえないように、特許文献1の技術では、放音される楽音信号等にミキシングすることによって、楽音にマスクされるかたちでデータを伝送している。
国際公開第02/45286号パンフレット
しかし、楽音信号にミキシングした場合には、楽音信号が拡散信号に対してはノイズして作用するため、受信側の相関波形が崩れてデータ復調の信頼度が低下してしまうという問題点があった。一方、楽音信号が所定レベル以下(無音)となるような時間帯には、楽音の余韻(時間的マスキング効果)を利用して高速にデータ伝送を行うことが望まれる。
この発明は、楽音信号とミキシングした場合でもデータ伝送の信頼度を低下させるこなく、且つ、楽音が無音の時間帯にはより高速に音響通信が可能な変調装置、復調装置、通信システムおよび通信方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、所定の周期を有する第1擬似雑音信号を発生する第1擬似雑音信号発生部と、前記第1擬似雑音信号と同期し、異なる符号系列からなる第2擬似雑音信号を発生する第2擬似雑音信号発生部と、可聴周波数帯域の音響信号を入力する音響信号入力部と、入力された音響信号の音量を検出するレベル検出部と、データ信号に基づき、前記第1擬似雑音信号を前記周期ごとに位相変調して出力する第1変調部と、音響信号の音量が所定のしきい値以下のとき、データ信号に基づき、前記第2擬似雑音信号を前記周期ごとに位相変調して出力し、音響信号の音量が所定のしきい値以上のとき、前記第2擬似雑音信号をそのまま出力する第2変調部と、前記第1変調部から出力された第1擬似雑音号および前記第2変調部から出力された第2擬似雑音信号の低周波帯域を制限するハイパスフィルタであって、前記音響信号の音量が所定のしきい値以下のとき、そのカットオフ周波数を低く設定し、前記音響信号の音量が所定のしきい値以上のとき、そのカットオフ周波数を高く設定するものと、前記第1変調部から出力された第1擬似雑音信号、前記第2変調部から出力された第2擬似雑音信号および前記音響信号を合成して出力する合成部と、を備えた変調装置である。
この発明おいて、音響信号が一定レベル以下の場合には、複数の擬似雑音信号をそれぞれデータで変調して並列に高速にデータを伝送する。一方、音響信号が一定レベル以上の場合には、1つの擬似雑音信号をデータで変調せずに参照用擬似雑音信号として用いる。そして、変調用擬似雑音信号と参照用擬似雑音信号を同期させることにより、受信側で同期した相関値のピーク波形を得ることができる。参照用擬似雑音信号は常に正位相であるが、変調用擬似雑音信号はデータ信号によって位相変調されている。したがって、これらの相関値を加算することにより、データ信号の内容に応じた相関値のピーク値の強調/相殺が可能になる。また、データ信号を復調するためには、変調用擬似雑音信号と参照用擬似雑音信号の相関値ピーク波形の相対的位相情報のみ使用すればよいため、どのような再生装置、スピーカ、伝達経路を経たものであっても、その伝達特性を完全に無視することができ、ロバストな音響通信が可能となる。
このように、本発明では音響信号の音量レベルが大きいときには、第2擬似雑音信号を参照用擬似雑音信号とし、変調された第1擬似雑音信号と一緒に送信しているため、ロバストな通信が可能であり、これら擬似雑音信号の周波数帯域を制限することにより信号波形が崩れても通信の信頼性を維持することができる。そこで、擬似雑音信号の周波数帯域を高音域に制限して、聴衆に聞こえにくくすることができ、さらに、楽音信号等の聴衆に心地よい音声信号をミキシングすることによって、擬似雑音信号を用いたデータ通信をマスクすることができ、且つ、時宜雑音信号の信号レベルを必要以上に大きくする必要がないため、楽音信号の音質の低下を防ぐことができる。
なお、本発明は音響通信に限定されず、アナログ音声信号の有線・無線の伝達を用いた通信やデジタル音声信号のストリーミング、ファイル転送を用いた通信にも適用が可能である。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第2擬似雑音信号は、前記第1変調用擬似雑音信号と同じ周期を有する信号であることを特徴とする。
このように、同期したタイミングにピーク値が出力されるためには、本請求項のよう、第2擬似雑音信号が第1擬似雑音信号と同じ巡回周期(サンプル数)を持つことが基本である。一方、第2擬似雑音信号の周期が第1擬似雑音信号の周期の整数分の1であってもよい。
請求項3の発明は、請求項1、2の発明において、前記第1擬似雑音信号発生部と前記第1変調部の組み合わせを複数備え、前記合成部は、複数の変調部が変調した複数の第1擬似雑音信号および前記第2擬似雑音信号を合成して出力することを特徴とする。なお前記複数の第1擬似雑音信号発生部は、それぞれ異なる符号系列の擬似雑音信号を発生する。
前記第1擬似雑音信号発生部と前記第1変調部の組み合わせを複数系列備えたことにより、複数のデータ信号を並行して伝送が可能になる。なお、参照用擬似雑音信号は上記複数の系列に共用すればよい。
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、前記データ信号は、2値のビット列からなる信号であり、前記変調部は、データ値に応じて前記擬似雑音信号の位相を0度または180度回転させることを特徴とする。
請求項5の発明は、互いに同期した異なる符号系列からなる複数の擬似雑音信号が合された音声信号を入力する音声信号入力部と、入力された音声信号から分離された擬似雑音信号に、データ信号によって変調されていない擬似雑音信号である参照用擬似雑音信号を含む参照モードであるか、参照用擬似雑音信号を含まない並列モードであるかを判定するモード判定部と、前記並列モード時に動作する第1復調部と、前記参照モード時に動作する第2復調部と、を備え、
前記第1復調部は、入力された音声信号の前記複数の擬似雑音信号に対する相関値を各々別々に検出し、それぞれの相関値のピークに基づいてデータ信号を復調し、
前記第2復調部は、データ信号で変調されている擬似雑音信号に対する前記音声信号相関値である第1相関値を検出する第1相関検出部と、前記参照用擬似雑音信号に対する前記音声信号の相関値である第2相関値を検出する第2相関検出部と、前記第1相関値と第2相関値とを加算して合成相関値を出力する加算部と、前記変調用擬似雑音信号の1周期ごとに前記合成相関値のピーク値を検出するピーク検出部と、該ピーク値検出部が検出したピーク値の大きさに基づいて前記音声信号に重畳されていたデータ信号を復調する符号判定部と、を備えることを特徴とする復調装置である。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記モード判定部は、前記入力された音声信号に所定レベル以上の可聴周波数帯域の音響信号が含まれているか否かに基づき、参照モードか並列モードかを判定することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の変調装置と、該変調装置が出力した信号を媒質中に放音する放音部とを備えた送信装置と、媒質中を伝搬する音声信号を収音する収音部と、該収音部が収音した音声信号からデータ信号を復調する請求項5または請求項6に記載の復調装置とを備えた受信装置と、からなる通信システムである。
請求項8の発明は、入力された音響信号の音量レベルが小さいとき、送信側が、複数の擬似雑音信号のそれぞれをデータ信号で位相変調し、これら複数の擬似雑音信号および前記音響信号を合成した合成信号を送信し、受信側が、前記合成信号を受信し、前記複数の擬似雑音信号に対する相関値を求めてそのピークに基づいてデータを復調し、
入力された音響信号の音量レベルが大きいとき、送信側が、データ信号によって変調された変調用擬似雑音信号と、前記変調用擬似雑音信号と同期した異なる符号系列からなる参照用擬似雑音信号と、前記音響信号とを合成した合成信号を送信し、受信側が、前記合成信号を受信し、受信した合成信号の、前記変調用擬似雑音信号に対する相関値および記参照用擬似雑音信号に対する相関値をそれぞれ求めて加算し、この加算された相関値に基づいて前記データ信号を復調することを特徴とする通信方法である。
以上のようにこの発明によれば、複数の擬似雑音信号をデータ伝送用(変調用)、参照用として用いることにより、音声信号による擬似雑音信号を用いたデータ通信、特に音響通信において、信頼性の高い通信を実現することができる。
また、楽音信号等の音響信号の音量レベルが小さいときは、前記複数の擬似雑音信号を全てデータ伝送用に用いて並列にデータ伝送できるため、高速にデータを伝送することも可能である。
図面を参照して、この発明の実施形態である音響通信システムについて説明する。
図1はこの発明の実施形態である音響通信システムの構成を示す図である。同図に示すように、この実施形態の音響通信システムは、送信装置1、受信装置2で構成される。
送信装置1は、変調部10、アナログ回路部11およびスピーカ12を有している。変調部10は本発明の変調装置に対応し、聴衆に聴かせるべき可聴音信号である楽音信号13と送信すべきデータ14を入力し、図7に示すような周波数分布のオーディオ信号を生成する。このオーディオ信号には、楽音信号13、2つの擬似雑音信号(第1PN信号PN1、第2PN信号PN2)が含まれている。第1PN信号PN1、第2PN信号PN2は、同じ長さ同じチップレートで開始・終了タイミングが同期したPN信号である。
変調部10の構成および動作の詳細は後述する。変調部10は、DSP等のデジタル信号処理装置で構成される。
アナログ回路部11は、D/Aコンバータおよびオーディオアンプを含み、変調部10から出力されたデジタルオーディオ信号をアナログ信号に変換し、増幅してスピーカ12に供給する。スピーカ12は、アナログ回路部11から出力されたオーディオ信号を音響として放音する。上述の楽音信号、第1第2のPN信号は、同一のアナログ回路部11同一のスピーカ12および同一の伝搬経路を介して受信装置2のマイク22へ到達する。
受信装置2は、マイク22、アナログ回路部23、復調部21を有している。アナログ回路部23は、マイク22が収音したオーディオ信号を増幅するアンプ、オーディオ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータを有している。復調部21は、本発明の復調装置に対応するものであり、収音したオーディオ信号に含まれているPN信号を検出して、そのPN信号に重畳されているデータを復調する回路部である。復調部21の構成および動作の詳細は後述する。
≪変調部の説明≫
図2は変調部10の構成を示すブロック図である。変調部10は、楽音信号13と2つのPN信号を合成した合成信号を生成出力する機能部である。2つのPN信号のうち一方(第1PN信号PN1)または両方がデータ14で変調される。楽音信号13が無音(音量が所定値以下)のとき第1、第2のPN信号の両方がデータ14で変調され(並列モード)、楽音信号13が所定値以上の音量で鳴っているとき第1PN信号PN1のみがデータ14で変調される(参照モード)。参照モードのとき、もう一方のPN信号である第2PN信号PN2は、変調されずに位相が常に正の参照用信号として出力される。
レベル検出器36は、入力された音声信号13のレベル(音量)を検出する機能部である。レベル検出器36は、音声信号13のレベルを所定のしきい値と比較し、その比較結果であるレベル検出信号(大/小)を出力する。レベル検出信号が「大」のとき変調部10は参照モードで動作し、レベル検出信号が「小」のとき変調部10は並列モードで動作する。レベル検出信号は、後述の切換器37、ハイパスフィルタ39、ゲイン調整器40に入力される。
楽音信号13は、ローパスフィルタ(LPF)41で高音域をカットされたのち加算器42に入力される。LPF41のカットオフ周波数はたとえば10kHz程度に設定する。このLPF41のカットオフ周波数以上の周波数、且つスピーカ12が放音可能な周波数帯域をPN信号用の周波数帯域として使用する。カットオフ周波数を低くしすぎるとN信号による聴感悪化が目立ってくるため、試聴実験等に基づき聴感を損なわない程度の周波数(たとえば10kHz)に決定する。楽音信号13の周波数成分が低音域に集中し、PN信号用の周波数帯域に分布していない場合には、このLPF41は無くてもよい。
第1のPN信号発生部30は、M系列(Maximal length sequence) 多項式に基づき、所定周期のPN(Psude Noise)信号(PN1)を発生させる機能部である。M系列のPN信号は、たとえば「PN1=x^10+x^7+1」などの線形漸化式(M系列多項式)で発生される1ビット数列の信号である。多項式の次数をnとすると、2^n−1の周期のPN信号を発生することができ、上の多項式で発生するPN信号の周期は、2^10−1=1023である。上の多項式のPN信号は、図3に示すような、シフトレジスタ列とXOR素子を用いた回路で発生することができる。このPN信号PN1は、データ14の重畳用に用いられる。
図4はこのPN信号の波形、自己相関特性および周波数特性を示す図である。同図(A)は、PN信号の波形を示す図である。M系列のPN符号列は、0/1の2値の1ビット数列として生成されるが、PN信号発生部30は、これを−1/1の振幅のPN信号として出力する。1ビットをデジタル音声信号の1サンプルに当てはめると、44.1kHzのサンプリングレートの場合、周期が1023ビットのPN符号列は、約23ms周期のPN信号となる。図4(A)は、1ビット/1サンプルのPN信号の一部区間を示す図である。
M系列のPN信号は優れた自己相関特性を有し、図4(B)に示すように、位相が一致したときの自己相関値は1であり、位相がずれた状態での自己相関値は常にほぼ0である。また、上のPN信号は、約23msの周期(43Hzの周波数)で繰り返すこと以外は、ホワイトノイズと同視できる特性である。このため、このPN信号の周波数特性は、同図(C)に示すように、43〜22.05kHzの全帯域にわたってほぼフラットである。
なお、PN信号は、周期性を持つ擬似白色雑音であれば、M系列に限定されない。また、PN信号の巡回周期も2^n−1や1023に限定されるものではない。
PN符号発生部30が発生したPN信号PN1は、乗算器32に入力され、データ14によって変調される。
送信されるデータ14は、2進数で表現されたビット列で構成される。このビット列は、誤り訂正やインターリーブ処理がされていてもよい。このデータ14は、シンボルレート変換部31によって順次読み取られる。
シンボルレート変換部31は、図5に示すように、データ14の1ビットを1シンボルとし、その1シンボルをPN符号の周期に合わせて拡張する。この実施形態では、PN信号PN2の周期が1023サンプルであるため、読み取ったデータコードが”1 ”の場合、”1 ”を1023サンプル連続させる。また、データコードは0/1の2値であるが、PN信号の場合と同様に−1/1の2値に変換する。このようにシンボルレート変換部32で変換されたデータコードは乗算器32に入力される。
乗算器32は、PN符号発生部30が発生したPN信号PN1と、シンボルレート変換部31でレート変換および−1/1の2値に変換されたデータコードを乗算する。これにより、PN信号PN1が送信すべきデータ符号で変調される。PN信号PN1、データコードが、ともに−1/1の2値データなので、データコードが“1”であれば、PN信号はそのままの位相で出力され、データが“−1”(ビットデータとしては“0”)であれば、PN信号は逆位相で出力される。このように、重畳されるデータコードに応じて、PN信号PN1は、0°または180°に位相変調されることになる。
受信側の装置は、このデータコードによって変調されたPN信号PN1Mを受信し、PN1Mのフレーム(PN信号の1周期)ごとの位相を検出することにより、重畳されてるデータコードの“0/1”を復調することができる。データコードによって変調されたPN信号PN1Mは、加算器38に入力される。
一方、第2のPN符号発生部33は、上述の第1のPN符号発生部30とほぼ同様の構成でPN信号(PN2)を発生する。ただし、PN符号列の生成に使用される多項式はPN符号発生部30のものと周期が同じで、別の系列のものにする。例えば、「PN2=x^10+x^8+x^7+x^2+1」のような多項式を使用する。この多項式を用いた場合も、0/1の2値でPN符号列が生成されるが、PN信号発生部33は、PN信号PN2を−1/1の振幅の信号として生成する。
PN信号発生部33が発生するPN信号PN2も、図4(B)、図4(C)に示すような自己相関特性、周波数特性を有する。なお、PN信号PN1、PN2は、全く波形が異なり相互相関値はほぼ0である。したがって、これら2つのPN信号を合成して出力(放音)しても、受信側で分離が可能である。
なお、PN信号PN2も、PN信号PN1と同様に、周期性を持つ擬似白色雑音であれば、M系列に限定されない。
PN符号発生部33が発生したPN信号PN2は、切換器37の第1端子37aに入力されるとともに、乗算器35に入力される。
シンボルレート変換部34、乗算器35は、第1PN信号PN1のシンボルレート変換部31、乗算器32と同様の機能を有する。すなわち、シンボルレート変換部34は、図5に示すように、データ14の1ビットを1シンボルとし、その1シンボルをPN符号の周期に合わせて拡張する。シンボルレート変換部34で変換されたデータコードは乗算器32に入力される。乗算器35は、PN符号発生部33が発生したPN信号PN2と、シンボルレート変換部34でレート変換および−1/1の2値に変換されたデータコードを乗算する。これにより、PN信号PN2が送信すべきデータ符号で変調される。
乗算器35から出力される変調されたPN信号PN2Mは切換器37の第2端子37bに入力される。
切換器37は、レベル検出器36から入力されるレベル検出信号に基づいて接続を切り換える。レベル検出信号が「大」すなわち楽音信号13の信号レベルがしきい値よりも大きいとき接続を第1端子37a側に切り換え、レベル検出信号が「小」すなわち音声信13のレベルがしきい値よりも小さいとき接続を第2端子37b側に切り換える。
これにより、楽音信号13の信号レベルがしきい値よりも大きいとき、切換器37は調されないPN信号PN2を参照信号として出力して変調器10を参照モードで動作させ、音声信号13のレベルがしきい値よりも小さいとき、切換器37は変調されたPN信号PN2Mを出力して変調器10を並列モードで動作させる。
すなわち、楽音信号13のレベルが大きいときには、楽音信号13がデータ伝送用のPN信号に対してはノイズとなり、また、楽音信号13の妨げにならないようにPN信号の低域をカットして波形が崩れるため、第2PN信号PN2を変調せずに参照信号として用いる(参照モード)。一方、楽音信号13のレベルが小さい(無音の)ときには、ノイズとなる楽音信号がなく、また、楽音がないので低域をカットする必要がないため良好な信号品質でPN信号を送信することができるため、2つのPN信号PN1,PN2の両方をデータで変調して倍の伝送レートを得るようにしている(並列モード)。
なお、図2ではレベル検出信号に基づいて切換器37の端子が切り換えられるように図示しているが、同時にシンボルレート変換部34によるデータの読み出しや乗算器35による変調も停止するものとする。
切換器37から出力されたPN信号PN2/PN2Mは、加算器38に入力され、第のPN信号PN1と合成される。この合成されたPN信号PNCは、ハイパスフィルタ(HPF)39に入力される。
HPF39は、合成されたPN信号の低域をカットするフィルタである。HPF39、レベル検出器36から入力されるレベル検出信号に基づいてカットオフ周波数を切り換える。レベル検出信号が「大」すなわち参照モードのときカットオフ周波数を高い周波に切り換え、レベル検出信号が「小」すなわち並列モードのときカットオフ周波数を高い周波数に切り換える。HPF39のカットオフ周波数は、たとえば、レベル検出信号が「大」のとき12kHz、レベル検出信号が「小」のとき0Hz(すなわちHPF39をスルーする)に設定される。なお、HPF39をスルーする場合でもHPFと同じ遅延量の遅延器を通過させて信号周期がずれないようにする。なお、カットオフ周波数はこの例に限定されない。
HPF39がスルーであれば、第1、第2のPN信号PN1,2は、ほぼ図4の波形を維持したまま出力される。一方、HPF39のカットオフ周波数が12kHzであると、第1、第2のPN信号PN1,2の波形は大きく崩れる。
図6(A)は、カットオフ周波数12kHzのHPFで帯域制限されたPN信号PN1の周波数特性を示す図である。このように、もともと図4(C)に示す周波数特性を有し

ていたPN信号の周波数帯域を図6(A)のように制限すると、波形が崩れることにより
、元の波形(図4(A)参照)に対する相関特性が、図6(B)に示すように悪化し、受信側で位相の判定が困難になり、重畳されたデータコードの復調に誤りが発生するおそれが生じる。
しかし、本発明では、参照モードでHPF39のカットオフ周波数を12kHzに設定するとき、第2PN信号を変調しないで出力し、変調された第1PN信号(変調信号)PN1Mの同期タイミングを求める参照用に用いることにより、周波数帯域制限や伝送系の特性による波形の崩れを相殺してデータコードの正確な復調を可能にしている。詳細は受信装置の説明においてする。
図2にもどって、ゲイン制御部40は、楽音信号13に対する合成PN信号PNCの得を調整する回路部である。利得は、実験等により聴感やPN信号の送信品質等のバランスを考慮して適切な値に決定され、レベル検出信号(大/小)により、その利得が変更される。レベル検出信号が「大」のとき−50dB、レベル検出信号が「小」のとき−20dBなどに設定する。また、加算器42は、音楽信号13と合成PN信号PNCとを加算して合成信号を出力する回路部である。
図7は、レベル検出信号が「大」すなわち参照モードのときの、加算器42が出力し合成信号の周波数特性の例を示す図である。12kHz以上の成分がPN信号であり、−50dBに利得が制限されている。一方、10kHz以下(カットオフ特性により11kHz付近までスペクトルが残っている)が、楽音信号13の成分である。この合成信号が、アナログ回路部11で処理され、スピーカ12から放音される。
放音された音声は、0〜10kHzの周波数成分が楽音であるため、一般聴衆には、の楽音が聞こえ、高音域にPN信号が重畳されていることが意識されることはない。また、PN信号が楽音の周波数帯域から分離された高音域に重畳されているため、楽音信号の音質を劣化させることもない。
一方、レベル検出信号が「小」すなわち並列モードのとき、楽音信号13の成分は殆現れない。また、ゲイン制御部40から入力されるPN信号はHPF39をスルーして周波数帯域が制限されていないため、PN信号はほぼ全周波数帯域に分布する。
≪復調部の説明≫
図8は受信装置2に設けられている復調部21の詳細構成を示す図である。復調部21には、マイク22で収音されアナログ回路部23でデジタル信号に変換された合成信号入力される。合成信号は、上述したように楽音信号13、第1、第2のPN信号が合成された信号である。
復調部21は、合成信号から第1、第2のPN信号を分離抽出して、これらのPN信が参照モードで送信されたものか並列モードで送信されたものかを検出する。参照モードの場合には、第2のPN信号PN2を参照信号として用いて第1のPN信号PN1Mを復調し、並列モードの場合には、第1、第2のPN信号PN1M,PN2Mからそれぞれデータを復調する。
データの復調は、分離抽出したPN信号と元のPN符号列(PN1,PN2)との相値(ピーク値)を求め、変調信号PN1M(PN2M)のピーク値の符号(正/負)が参照信号PN2の符号(正/負)と一致するか逆であるかに基づいてデータコードを復調する。PN信号が並列モードか参照モードかは、第2のPN信号をそのまま復調して同期をとることができたか否かで判定する。
参照モード/並列モードを判定するため、整合フィルタ53、ピーク・同期検出部56および判定部57を備える。整合フィルタ53は、入力されたデジタル音声信号とPN符号列との相関値を検出するフィルタであり、FIRフィルタで構成される。図9に整合フィルタ53の構成例を示す。この整合フィルタ53は、入力されたデジタル音声信号のなかから第2PN信号PN2の成分を検出するフィルタである。整合フィルタ53は、1023段のFIRフィルタであり、各段のフィルタ係数として、送信側のPN信号発生部33が発生する擬似雑音符号列PN2(例えば、「PN2=x^10+x^8+x^7+x^2+1」)が設定されている。
PN信号が並列モード、すなわち、入力されたデジタル音声信号に楽音信号が含まれておらず、且つ第2PN信号PN2が帯域制限されていなければ、整合フィルタ43は図10(A),(B)に示す相関波形を出力する。同図(A)は、粗いスケールで複数周期の相関値波形を示した図であり、同図(B)は、ピーク付近を時間軸に拡大した図である。このように、PN符号の周期ごとに正側に大きなピークが検出される。
一方、PN信号が参照モード、すなわち、入力されたデジタル音声信号に楽音信号が含まれており、且つ第2PN信号PN2が帯域制限されている場合、整合フィルタ43は図11に示すような相関波形を出力する。楽音信号はPN符号の同期においてはノイズとして作用するため、楽音信号が含まれた信号では全く相関がとれず明確なピークが存在しない。
ピーク・同期検出部56は、整合フィルタ53の相関値波形を入力してピークを求め、そのピークタイミングの情報を出力する。具体的には、整合フィルタ53から入力された相関値波形を1周期以上バッファに貯め、絶対値で1番大きな値と2番目に大きな値のタイミングを求める。判定部57は、この2つのピークの間隔がPN符号列の1周期に一しているか否かを判定する。ピーク間隔がPN符号列の1周期に一致していれば、入力されたデジタル音声信号に楽音信号が含まれておらずPN信号が帯域制限されていない(並列モード)と考えられ、ピーク間隔が一致していない場合またはその間隔が不安定な場合には、入力されたデジタル音声信号に楽音信号が含まれており、且つPN信号が帯域制限されている(参照モード)と考えられる。
判定部57は判定結果をセレクタ58に出力する。セレクタ58は、並列モードの場には、データ復調を行う機能ブロックとして第1復調ブロック50を選択し、参照モードの場合には、データ復調を行う機能ブロックとして第2復調ブロック60を選択する。
なお、整合フィルタ53、ピーク・同期検出部56は、第1復調ブロック50の一部しても用いられる。
まず、参照モード時に用いられる第2復調ブロック60について説明する。第2復調ロック60は、ハイパスフィルタ61、整合フィルタ62,63、加算器64、同期検出部65、ピーク値検出部66および符号判定部67を備える。
ハイパスフィルタ(HPF)61は、受信した合成信号からPN信号が含まれている高域周波数成分を抽出する機能部である。このフィルタのカットオフ周波数は、送信装置1の変調部10に使用されているHPF39のレベル検出信号「大」のときのカットオフ周波数(12kHz)と同じでよい。
HPF61で取り出された合成信号の高域周波数成分のデジタル音声信号は、整合フィルタ62,63に入力される。整合フィルタ62,63は、入力されたデジタル音声信号とPN符号列との相関値を検出するフィルタであり、FIRフィルタで構成される。
図9に整合フィルタ62の構成例を示す。この整合フィルタ62は、入力されたデジタル音声信号のなかから変調されたPN信号である変調信号PN1Mの成分を検出するフィルタである。整合フィルタ62は、1023段のFIRフィルタであり、各段のフィルタ係数として、送信側のPN信号発生部30が発生する擬似雑音符号列PN1が設定されている。
また、整合フィルタ63も整合フィルタ62と同一の構成であり、入力されたデジタル音声信号のなかから参照信号PN2の成分を検出する。各段のフィルタ係数としてPN符号発生部33が発生する擬似雑音符号列PN2が設定される。すなわち、整合フィルタ63は整合フィルタ53と同一の構成で設定されているフィルタ係数も同じである。
なお、擬似雑音符号列は1/0のビット列であるが、整合フィルタ62、63のフィルタ係数は、PN信号と同様に1/−1に変換したものが設定される。
整合フィルタ62は、入力されるデジタル音声信号のPN符号列PN1に対する相関値を出力し、デジタル音声信号に含まれる変調信号PN1Mの成分とフィルタ係数列であるPN1とが同期したタイミングで大きい相関値(ピーク値)を出力する。デジタル音声信号に含まれる変調信号PN1Mは、データコードにより位相変調されている。したがって、PN1Mの位相が正転(0°)の場合は、整合フィルタ62の出力は正の相関値ピークを出力し、PN1Mの位相が反転(180°)の場合には負の相関値ピークを出力する。
一方、整合フィルタ63は、入力されるデジタル音声信号のPN符号列PN2に対する相関値を出力し、デジタル音声信号に含まれる参照信号PN2の成分とフィルタ係数列であるPN2とが同期したタイミングで大きい相関値(ピーク値)を出力する。整合フィルタ63は、PN信号PN2は参照信号であるため、常に正の相関値ピークを出力する。
図12(A),(B)は、整合フィルタの出力波形の例を示す図である。同図(A)は、粗いスケールで複数周期の相関値波形を示した図であり、同図(B)は、ピーク付近を時間軸に拡大した図である。このように、PN符号の周期ごとにピークが検出されるが、入力されるデジタル音声信号の波形が崩れているため、ピークが正のピークであるのか負のピークであるのかが判りにくくなっている。そこで、変調信号の相関値と参照信号の相関値を加算することによって、変調信号のピーク値の正負を判定する。
整合フィルタ62,63が出力した相関値は加算器64において加算される。加算されることにより、相関が強調または相殺(キャンセル)される。整合フィルタ63が出力する参照信号のピーク値は常に正値である。一方、整合フィルタ62が出力する変調信号のピーク値の極性は、重畳されているデータコードの正負(1/−1)に応じて反転する。すなわち、データコードが“1”の場合、ピーク値は正値であり、データコードが“−1”の場合、ピーク値は負値である。したがって、データコードが“1”の場合には、正値に正値が加算されるためピーク値が強調され、データコードが“−1”の場合には、正値に負値が加算されるためピーク値が相殺されて小さい値になる。
図13は、データコードが“1”の場合の、整合フィルタ62,63および加算器64の出力波形の例を示す図である。図14は、データコードが“−1”の場合の、整合フィルタ62,63および加算器64の出力波形の例を示す図である。これらの図は、ピーク付近の一部波形を表している。
図13、図14において、上段(A)が整合フィルタ63の出力波形、中段(B)が整合フィルタ62の出力波形、下段(C)が加算器64の出力波形である。両図において、整合フィルタ62,63の出力は、正負が不明であるがピークが到来したことを示す若干大きな相関値を出力している。図13の下段に示す加算波形では、これらが合成されるとピークが強調されて大きなピーク値の振幅が発生している。一方、図14の下段に示す加算波形では、上の2つの波形が合成されるとそれぞれがキャンセルされてピークが殆ど消滅している。このように、ピークタイミングに合成波形のピークが存在していればデータコードが“1”、ピークタイミングに合成波形のピークが消滅していればデータコードが“−1”であると判定することができ、図13(B)、図14(B)の波形から直接データ符号が“1”であるか“−1”であるかを判定することに比して遥かに信頼度の高いデータ復調が可能になる。
整合フィルタ62,63および加算器64は全てのサンプルタイミングに相関値を出力している。この相関値列(波形)のなかのどの位置に、リファレンスと受信信号の同期点すなわちピークタイミングが存在するかを同期検出部65が検出する。
同期検出部65は、整合フィルタ62から出力された相関値列(出力波形)を1フレーム(1023サンプル)分蓄積し、そのなかの正の最大値を検出して、その最大値のサンプルタイミングをピークタイミングであると判定する。このピークタイミングをピーク値検出部66に出力するとともに、そのときの最大値(ピーク値)をしきい値として符号判定部67に出力する。
ピーク値検出部66は、同期検出部65から受け取ったピークタイミング情報に基づき、加算器64の出力波形から、ピークタイミングを含む所定のサンプル区間(ピーク値検出区間)を取り出して、そのなかからピーク値を検出する。ピークタイミングの1サンプルのみでなく、所定のサンプル区間からピーク値を検出することにより、送受信システム間のサンプリングクロックの位相ずれや周波数偏差を吸収することができる。
図15は、ピーク値検出部66のピーク値検出区間の決定方式を説明する図である。図(A)は、1回の同期検出に基づいて複数回のピーク値検出を行う方式を示している。同図(B)は、各フレームごとに同期検出を行う方式を示している。
同図(A)において、あるタイミング(たとえば参照信号の受信開始時)に参照信号基づいて、同期検出部65がピークタイミングを検出する。ピーク値検出部66は、同期検出部65が検出したピークタイミングから前後30サンプル程度の区間をピーク値検出区間としてピーク値を検出し、符号判定部67に出力する。なお、ピーク値検出部66は、加算器64から入力した合成相関値を必要なサンプル数バッファしている。こののち、ピークタイミングから1023サンプルをカウントしたタイミングを次のピークタイミングとしてその前後30サンプルをピーク値検出区間として次のピーク値を検出する。この処理を繰り返し行う。
同図(B)において、この方式では、各フレームごとに同期検出部65がピークタイミングを検出してピーク値検出部66にピークタイミングを通知する。ピーク値検出部66は、同期検出部65から通知されたピークタイミングの前後30サンプルをピーク値検出区間としてピーク値を検出し、符号判定部67に出力する。
同図(B)の各フレームごとにピークタイミングを検出する方式によれば、高精度にフレーム同期をとることができるが、処理部の処理負荷が大きくなる。同図(A)の1フレーム分のクロックをカウントして次のピークタイミングを推定する方式を採用しつつ、複数フレームに1度程度の間隔で同期検出部65がピークタイミングを検出するようにしてもよい。
図16は、ピーク値検出部66の出力値の例を示す図である。これは、0/1で交番するデータコードで変調信号PN1Mが変調されていた場合の例を示している。変調信号PN1Mの相関値と参照信号PN2の相関値とを加算することにより、データコードによるピーク値の相違が明瞭になっており、大きいピーク値(“1”)と、小さいピーク値(“0”)が交互に出力されている。
符号判定部67は、この値を同期検出部65から入力されたリファレンス信号のピーク値をしきい値として2値化し、図17は、に示すような1/0のデータ符号列を復調して出力する。
次に並列モード時に用いられる第1復調ブロック50について説明する。並列モード、2つのPN信号PN1、PN2の両方がデータコードで変調されているため、第1復調ブロック50は、PN信号PN1およびPN信号PN2から別々にデータを復調する。第1復調ブロック50は、モード検出にも用いられた整合フィルタ53、ピーク・同期検出部56のほか、遅延器51、整合フィルタ52、ピーク値検出部54および符号判定部55を備える。
遅延器51は、HPF61が挿入されている第2復調ブロック60と信号の同期を取ため入力信号を遅延させる回路部である。遅延器51から出力されたデジタル音声信号は、整合フィルタ52、整合フィルタ53に入力される。整合フィルタ52、53は、第2復調ブロック50の整合フィルタ62,63と同一構成且つ同一フィルタ係数のものである。
整合フィルタ52,53が出力した相関値波形はピーク値検出部54に入力される。ピーク値検出部54は、PN符号列の同期タイミングのピーク値を検出する。同期タイミングは、第2PN符号に基づいて同期タイミングを検出しているピーク・同期検出部56から与えられる。ピーク値検出部54が検出したピーク値は、符号判定部55に入力される。
第1復調ブロック50が動作する並列モード時は、PN信号が帯域制限されておらず、且つ楽音信号が混じっていないため、整合フィルタ52,53が出力する相関値波形は、図10に示すような明瞭なピークを有するものである。したがって、ピーク値検出部54が検出したピーク値も正負が明瞭なものである。
符号判定部55は、ピーク値検出部54から入力されたPN1M,PN2Mのピーク値に基づき、両PN信号に重畳されていたデータの符号を判定する。
なお、データフレームの同期をとるフレーム同期部は、第1PN符号、第2PN符号へのデータの分配方式に合わせて、符号判定部55,67の後方またはセレクタ58の後方に設ければよい。
以上の構成により、送信装置1が放音した音響信号に含まれる2つのPN信号が参照モードで変調されている場合でも並列モードで変調されている場合でも、これを自動認識してデータを復調することができる。
≪変形例≫
上記の実施形態では、並列モードのとき第2PN信号をデータで変調し、参照モードのときこの第2PN信号をそのまま出力するようにしているが、参照モード時に並列モード時の第2PN信号とは異なる符号系列の第3PN信号を出力するようにしてもよい。これにより、受信側で参照モード/並列モードの判定が容易になる。
図18は上記構成の変調部10の変形例を示す図である。この図において、図2に示した第1の実施形態の変調部10と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。図18において、この変調部10は、第3のPN信号発生部45を備えている。このPN信号発生部45も第1、第2のPN信号発生部30,33と同じ符号長で異なる系列のPN信号を発生する。
第3のPN信号発生部45は、切換器37の第1端子37aに接続されている。これにより、切換器37が並列モードに切り換わったとき、第2のPN信号に代えて第3のPN信号が出力されるようになる。
なお、受信側の復調部21は、図8の構成で第1復調ブロックの整合フィルタ53に設定するフィルタ係数を上記第3のPN信号の符号系列とすればよい。
≪尚書き≫
上記実施形態において、レベル検出器36は、入力された楽音信号13の音量レベルを計測して所定のしきい値以上であるか以下であるかを判定しているが、入力される楽音信号がたとえばMIDIデータ等で合成されるものであれば、そのMIDIデータを入力し、そのデータによって合成される楽音を予測してレベル検出信号を出力するようにしてもよい。MIDIデータを予め入力することにより、音量レベルを先に検出しておくことができ、検出遅れがなくなる。
また、上記実施形態では、可聴周波数帯域(サンプリングレート44.1kHz)のN信号を用いているが、より高い周波数帯域(超音波領域)のPN信号を用いてもよい。
この発明の実施形態である音響通信システムの構成図 送信側の変調部の構成を示す図 PN符号列発生部の構成を示す図 PN信号の特性を示す図 シンボルレート変換部の機能を説明する図 帯域制限されたPN信号の特性を示す図 楽音信号とPN信号が合成された合成信号の周波数分布を示す図 受信装置の復調部の構成を示す図 整合フィルタの構成を示す図 楽音信号を含まず帯域制限されないPN信号が入力されたとき、整合フィルタが出力する相関値の時間変化を示す図 楽音信号を含む信号が入力されたとき、整合フィルタが出力する相関値の時間変化を示す図 楽音信号の周波数帯域がカットされた信号が入力されたとき、整合フィルタが出力する相関値の時間変化を示す図 変調信号と参照信号が同位相のときの加算波形を示す図 変調信号と参照信号が逆位相のときの加算波形を示す図 ピーク値検出区間を説明する図 検出されたピーク値列の例を示す図 複合されたデータコード列の例を示す図 変調部の他の実施形態を示す図
符号の説明
1 送信装置
2 受信装置
10 変調部
21 復調部
36 レベル検出器
37 切換器

Claims (8)

  1. 所定の周期を有する第1擬似雑音信号を発生する第1擬似雑音信号発生部と、
    前記第1擬似雑音信号と同期し、異なる符号系列からなる第2擬似雑音信号を発生する第2擬似雑音信号発生部と、
    可聴周波数帯域の音響信号を入力する音響信号入力部と、
    入力された音響信号の音量を検出するレベル検出部と、
    データ信号に基づき、前記第1擬似雑音信号を前記周期ごとに位相変調して出力する第1変調部と、
    音響信号の音量が所定のしきい値以下のとき、データ信号に基づき、前記第2擬似雑音信号を前記周期ごとに位相変調して出力し、音響信号の音量が所定のしきい値以上のとき、前記第2擬似雑音信号をそのまま出力する第2変調部と、
    前記第1変調部から出力された第1擬似雑音信号および前記第2変調部から出力され第2擬似雑音信号の低周波帯域を制限するハイパスフィルタであって、前記音響信号の音量が所定のしきい値以下のとき、そのカットオフ周波数を低く設定し、前記音響信号の音量が所定のしきい値以上のとき、そのカットオフ周波数を高く設定するものと、
    前記第1変調部から出力された第1擬似雑音信号、前記第2変調部から出力された第2擬似雑音信号および前記音響信号を合成して出力する合成部と、
    を備えた変調装置。
  2. 前記第2擬似雑音信号は、前記第1擬似雑音信号と同じ周期を有する信号である請求項1に記載の変調装置。
  3. 前記第1擬似雑音信号発生部と前記第1変調部の組み合わせを複数備え、
    前記合成部は、複数の第1変調部が変調した複数の第1擬似雑音信号、前記第2変調部から出力された第2擬似雑音信号および前記音響信号を合成して出力する請求項1または請求項2に記載の変調装置。
  4. 前記データ信号は、2値のビット列からなる信号であり、
    前記変調部は、データ値に応じて前記擬似雑音信号の位相を0度または180度回転させる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の変調装置。
  5. 互いに同期した異なる符号系列からなる複数の擬似雑音信号が合成された音声信号を力する音声信号入力部と、
    入力された音声信号から分離された擬似雑音信号に、データ信号によって変調されてない擬似雑音信号である参照用擬似雑音信号を含む参照モードであるか、参照用擬似雑音信号を含まない並列モードであるかを判定するモード判定部と、
    前記並列モード時に動作する第1復調部と、前記参照モード時に動作する第2復調部と、
    を備え、
    前記第1復調部は、入力された音声信号の前記複数の擬似雑音信号に対する相関値を各々別々に検出し、それぞれの相関値のピークに基づいてデータ信号を復調し、
    前記第2復調部は、
    データ信号で変調されている擬似雑音信号に対する前記音声信号の相関値である第1関値を検出する第1相関検出部と、
    前記参照用擬似雑音信号に対する前記音声信号の相関値である第2相関値を検出する2相関検出部と、
    前記第1相関値と第2相関値とを加算して合成相関値を出力する加算部と、
    前記変調用擬似雑音信号の1周期ごとに前記合成相関値のピーク値を検出するピーク出部と、
    該ピーク値検出部が検出したピーク値の大きさに基づいて前記音声信号に重畳されてたデータ信号を復調する符号判定部と、
    を備えることを特徴とする復調装置。
  6. 前記モード判定部は、前記入力された音声信号に所定レベル以上の可聴周波数帯域の音響信号が含まれているか否かに基づき、参照モードか並列モードかを判定する請求項5に記載の復調装置。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の変調装置と、該変調装置が出力した信号を媒質中に放音する放音部と、を備えた送信装置と、
    媒質中を伝搬する音声信号を収音する収音部と、該収音部が収音した音声信号からデータ信号を復調する請求項5または請求項6に記載の復調装置と、を備えた受信装置と、
    からなる通信システム。
  8. 入力された音響信号の音量レベルが小さいとき、
    送信側が、複数の擬似雑音信号のそれぞれをデータ信号で位相変調し、これら複数の擬似雑音信号および前記音響信号を合成した合成信号を送信し、
    受信側が、前記合成信号を受信し、前記複数の擬似雑音信号に対する相関値を求めてそのピークに基づいてデータを復調し、
    入力された音響信号の音量レベルが大きいとき、
    送信側が、データ信号によって変調された変調用擬似雑音信号と、前記変調用擬似雑音信号と同期した異なる符号系列からなる参照用擬似雑音信号と、前記音響信号とを合成した合成信号を送信し、
    受信側が、前記合成信号を受信し、受信した合成信号の、前記変調用擬似雑音信号にする相関値および前記参照用擬似雑音信号に対する相関値をそれぞれ求めて加算し、この加算された相関値に基づいて前記データ信号を復調する
    ことを特徴とする通信方法。
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