JP2011096206A - 光ポインティング装置及びそれを備えた電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】光路変換手段及び結像反射部が一体化された導光型光学部材を用いる場合に、簡易に、迷光による影響を低減して、被写体の検知精度の高い光ポインティング装置及びそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】カバー部24には、被写体10が接触する接触面11と、導光される光を撮像素子15に導く結像素子14と、被写体10からの反射光の方向を変換させて結像素子14に導くプリズム等の折り曲げ素子12とが一体に形成されている。撮像素子15は、カバー部24における結像素子14よりも光源16側の下側に配設されている。カバー部24には、さらに、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射することを防止する切り欠き部19が撮像素子15の直上面における少なくとも光源16側の一部に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器としての携帯電話等の携帯情報端末に搭載可能な光ポインティング装置及びそれを備えた電子機器に関するものであり、詳細には、迷光による影響の少ない光ポインティング装置及びそれを備えた電子機器に関する。
携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末に代表される小型の電子機器では、一般的に、情報を入力するユーザーインターフェースとしてキーパッドが採用されている。キーパッドは、通常、数字及び文字を入力するための複数個のボタンと方向ボタン(十字キー)とで構成されている。また、近年では携帯情報端末のディスプレイ部にグラフィック等の表現が可能となることに伴い、ユーザに対する情報の表示方式として、主に、ディスプレイ部を2次元で用いるGUI(Graphical User Interface)が採用されるようになってきている。
このように、携帯情報端末が高機能化し、コンピュータと同等の表示機能を備えることにより、メニューキー及びその他の機能キーを方向キーとして用いる従来の携帯情報端末の入力手段では、GUIで表現されたアイコン等の選択には適しておらず、不便であった。そのため、携帯情報端末においても、コンピュータに用いられているボール式マウス若しくは光学式マウス等のマウスやタッチパッド又はタブレットのように、直感的な操作を可能とするポインティング装置が求められるようになってきている。
しかし、携帯情報端末は携帯することを前提とするため、本体と分離した別途のポインティング装置を携帯情報端末のポインティング装置として採用するには支障を来たす。また、例えばトラックボール型(Track Ball-Type)のポインティング装置は、物理的に一定以上の3次元空間を占有するため、薄型かつ小型の携帯情報端末に採用し難いという問題があった。
そこで、携帯情報端末に搭載可能なポインティング装置として、ポインティング装置に接触する被写体としての指の指紋を撮像素子で観察し、接触面における被写体の指紋の移動変化を抽出することによって、被写体の動きを検知する光ポインティング装置が提案されている。例えば特許文献1に開示された光ポインティング装置である超薄型の光学式ジョイスティックでは、接触面上の被写体をLED等の光源によって照射し、被写体から散乱された光を集光レンズにて撮像素子に集光し、被写体の像をイメージセンサ等の撮像素子で連続的に撮像し、撮像した画像データにおける直前に撮影した画像データに対する変化量を抽出し、変化量に基づいて被写体の動きを算出し、被写体の動きを電気信号として出力する。この光ポインティング装置を用いることによって、ディスプレイ上に示されたカーソル等を被写体の動きに合わせて移動させることができる。
上記の特許文献1に開示された超薄型の光学式ジョイスティック100における光学系は、装置の小型化・薄型化を図るため、図15に示すように、LED111及び反射ミラー112を含む光源部110と、第1反射面121及び第1平凸レンズ部122を有する第1導波管120と、第2反射面131及び第2平凸レンズ部132を有する第2導波管130と、イメージセンサ140と、指等の被写体101が接するカバーグラス102と、第1平凸レンズ部122と第2平凸レンズ部132との間に位置する空間に設けられた周辺のノイズ光を遮断する遮断部150との部品からなっている。
この特許文献1に開示された超薄型の光学式ジョイスティックでは、第1導波管120及び第2導波管130が反射面及びレンズ部を含むため、光学式ジョイスティックの高さを約2mm以下まで減らすことができる。このため、超薄型の光学式ジョイスティックを提供するものとなっている。
また、特許文献2においても、特許文献1と同様に、接触面の直下にプリズム等の折り曲げ光学素子を配置し、被写体からの反射光を水平方向に折り曲げて撮像素子に結像する光ポインティング装置としての光学式ジョイスティックが提案されている。これにより、光路を長く取りながら垂直方向の長さが短い光ポインティング装置を実現でき、光ポインティング装置の薄型化を実現するものとなっている。
特表2008−510248号公報(2008年4月3日公表) 特開2009−176271号公報(2009年8月6日公開)
ところで、光源と導波管等を用いて、光源から光を出射し、被写体からの反射光を水平方向に折り曲げて導波管を介して撮像素子に結像する光ポインティング装置においては、光源等からの迷光が撮像素子に入射されるのを防止する必要がある。
この点、特許文献2に開示された光学式ジョイスティック200では、図16に示すように、プリズム201・202及び集光レンズ203を構成するカバー部材204において、光源205からの光がプリズム201、集光レンズ203及びプリズム202を通過する際に上方に拡散する迷光をカバー部材204の上側に設けたシート状の雑光遮蔽壁211にて遮蔽すると共に、下方に拡散する迷光をカバー部材204の下側に設けたシート状の雑光遮蔽壁212にて遮蔽している。
しかしながら、従来の光ポインティング装置において、光学部材としてプリズム及び集光レンズ等の光学要素が一体化されかつ部材内部を反射により導光していく導光型光学部材を用いる場合には、被写体からの迷光となる反射光又は光源からの直接光が導光型光学部材の外部に出射されないため、導光型光学部材の上面又は下面を壁にて遮蔽しても用をなさない。その結果、迷光が撮像素子に入射されるのを防止することができないという問題点を有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、光路変換手段及び結像反射部を含んで一体的に形成され、かつ内部を反射により導光していく導光型光学部材を用いる場合に、簡易に、迷光による影響を低減して、被写体の検知精度の高い光ポインティング装置及びそれを備えた電子機器を提供することにある。
本発明の光ポインティング装置は、上記課題を解決するために、被写体に光を照射する光源と、該被写体からの反射光を内部で反射させて導光する導光型光学部材と、該導光型光学部材によって導光された光を受光する撮像素子とを備えた光ポインティング装置であって、上記導光型光学部材には、上記被写体が接触する接触面と、導光される光を上記撮像素子に導く結像反射部と、上記被写体からの反射光の方向を変換させて上記結像反射部に導く光路変換手段とが一体に形成されており、上記撮像素子は、上記導光型光学部材における上記結像反射部よりも光源側の下側に配設されていると共に、上記導光型光学部材には、さらに、上記被写体からの反射光又は光源からの直接光が結像反射部を介さずに上記撮像素子に直接入射することを防止する切り欠き部が該撮像素子の直上面における少なくとも光源側の一部に形成されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、光ポインティング装置は、被写体に光を照射する光源と、該被写体からの反射光を内部で反射させて導光する導光型光学部材と、該導光型光学部材によって導光された光を受光する撮像素子とを備えている。そして、導光型光学部材には、上記被写体が接触する接触面と、導光される光を上記撮像素子に導く結像反射部と、上記被写体からの反射光の方向を変換させて上記結像反射部に導く光路変換手段とが一体に形成されている。したがって、このような導光型光学部材を採用することによって、光学系の光路長を長く取り、収差を抑えるようにしても、導光型光学部材の垂直方向の長さを光路長に比較して小さくすることができ、小型化を図ることができる。また、接触面、光路変換手段及び結像反射部を一体に形成することによって、部品点数も削減することができる。
しかしながら、接触面、光路変換手段及び結像反射部が一体に形成された導光型光学部材においては、被写体からの反射光又は光源からの直接光等の迷光が結像反射部を介さずに撮像素子に直接入射する場合があり、このような迷光は、撮像素子のS/N(Signal/Noise:ここでいうSignalとは接触面から光路変換手段及び結像反射部を通って撮像素子に入射する被写体からの散乱光成分であり、Noiseとはそれ以外の光路を通って撮像素子に入射する不要光成分をいう)を低下させる。
そこで、本発明では、導光型光学部材には、被写体からの反射光又は光源からの直接光が結像反射部を介さずに上記撮像素子に直接入射することを防止する切り欠き部が該撮像素子の直上面における少なくとも光源側の一部に形成されている。このため、撮像素子の直上面における少なくとも光源側の一部に切り欠き部が形成されていることによって、結像反射部を介さない被写体からの反射光又は光源からの直接光からなる迷光が、導光型光学部材の内部から出射されるときに、当該切り欠き部によって反射され、入射角度が変化し、導光型光学部材の内部から出射されないようにすることができる。この結果、結像反射部を介さない被写体からの反射光又は光源からの直接光からなる迷光が撮像素子に直接入射することを防止することができる。
また、本発明では、迷光を防止するために、導光型光学部材に切り欠き部を形成しているだけである。したがって、特別な、遮光壁や遮光部材を使用せず、簡単な構成で撮像素子に入射する迷光を抑制することができる。
したがって、光路変換手段及び結像反射部が一体化された導光型光学部材を用いる場合に、簡易に、迷光による影響を低減して、被写体の検知精度の高い光ポインティング装置を提供することができる。
本発明の光ポインティング装置では、前記切り欠き部には、前記被写体からの反射光又は光源からの直接光が結像反射部を介さずに前記撮像素子に直接入射することを防止する遮光部材が設けられていることが好ましい。
これにより、結像反射部を介さない被写体からの反射光又は光源からの直接光からなる迷光が、導光型光学部材の内部から出射されるときに、遮光部材によって遮光される。
したがって、確実に、結像反射部を介さない被写体からの反射光又は光源からの直接光からなる迷光が、撮像素子に直接入射することを防止することができる。
また、本発明の光ポインティング装置では、前記遮光部材は、黒系の膜からなっていることが好ましい。
これにより、黒系の膜は光を吸収する性質を有しているので、切り欠き部で反射された被写体からの反射光又は光源からの直接光からなる迷光が、導光型光学部材の内部で反射され、結像反射部にて反射されて最終的に撮像素子に入射するのを防止することができる。したがって、確実に、迷光による影響を低減して、被写体の検知精度の高い光ポインティング装置を提供することができる。
また、本発明の光ポインティング装置では、前記光路変換手段は、前記被写体からの反射光を屈折させるプリズムからなっているとすることができる。
これにより、光路変換手段として一般的なプリズムを用いることにより、容易に光路変換手段を構成することができる。また、プリズムは、入射光を全反射させるので、後述する反射型回折素子、反射型フレネルレンズ又は反射型ホログラムレンズ等の光路偏向手段に対して、光の利用効率が一番高い。この結果、撮像素子上に投影される像が明るくなるので、S/N比を向上させることができる。
また、本発明の光ポインティング装置では、前記光路変換手段は、前記被写体からの反射光の方向を偏向させて前記結像反射部に導く光路偏向手段からなっていると共に、上記光路偏向手段は、反射型回折素子、反射型フレネルレンズ又は反射型ホログラムレンズのいずれかによって構成されているとすることが可能である。
これにより、光路偏向手段からなる光路変換手段は、プリズム等の全反射による光路変換手段よりも光の利用効率は落ちる。しかし、導光型光学部材の接触面とは反対側に、光路偏向手段を成形する場合には、そのための凹部を形成することなく、光路偏向手段の機能を含む導光型光学部材を成形することができる。この結果、凹部が形成されるプリズム等の全反射による光路変換手段に比べて、凹部を形成する必要がなくなるので、導光型光学部材の厚みを薄くかつ均一にすることができる。
したがって、導光型光学部材の薄型化を図ることができ、延いては、薄型の光ポインティング装置を実現することができる。
加えて、光路偏向手段が反射型ホログラムレンズの場合、結像反射部にて補正しきれない収差を補正する役割を持たせることができる。この結果、結像反射部の結像性能が向上し、撮像素子にて被写体の像を鮮明に撮像することができる。
したがって、光ポインティング装置の性能を向上させることができる。
また、本発明の光ポインティング装置では、前記結像反射部は、球面、非球面又はトロイダル面のいずれかによって構成されていることが好ましい。
これにより、光ポインティング装置の光学系の構成から発生する球面収差やコマ収差等の光学収差、及び撮像素子上に投影される像の歪量に基づいて、結像反射部の曲率を球面、非球面又はトロイダル面に適宜設定することによって、光ポインティング装置の導光型光学部材の光学特性をさらに向上させることができる。
また、本発明の光ポインティング装置では、前記導光型光学部材における、被写体が接触する接触面以外の表面領域には、外部からの光を遮光する遮蔽膜が設けられていることが好ましい。
すなわち、光ポインティング装置の外部から来る光において、結像反射部における良好な特性が得られる接触面上の被写体以外からの光は、光ポインティング装置にとっては、外乱光となる。
しかし、本発明では、接触面以外の表面領域には、外部からの光を遮光する遮蔽膜が設けられているので、外乱光の影響を抑制することができる。したがって、撮像素子にて撮影される像のコントラストを向上させることができる。
また、本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上記記載の光ポインティング装置を備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、光路変換手段及び結像反射部が一体化された導光型光学部材を用いる場合に、迷光による影響の少ない光ポインティング装置を備えた電子機器を提供することができる。
本発明の光ポインティング装置は、以上のように、導光型光学部材には、被写体が接触する接触面と、導光される光を撮像素子に導く結像反射部と、上記被写体からの反射光の方向を変換させて上記結像反射部に導く光路変換手段とが一体に形成されており、上記撮像素子は、上記導光型光学部材における上記結像反射部よりも光源側の下側に配設されていると共に、上記導光型光学部材には、さらに、上記被写体からの反射光又は光源からの直接光が結像反射部を介さずに上記撮像素子に直接入射することを防止する切り欠き部が該撮像素子の直上面における少なくとも光源側の一部に形成されているものである。
また、本発明の電子機器は、以上のように、上記記載の光ポインティング装置を備えているものである。
それゆえ、光路変換手段及び結像反射部が一体化された導光型光学部材を用いる場合に、簡易に、迷光による影響を低減して、被写体の検知精度の高い光ポインティング装置及びそれを備えた電子機器を提供するという効果を奏する。
本発明における光ポインティング装置の実施の一形態を示すものであり、光ポインティング装置の構成を示す断面図である。 上記光ポインティング装置のカバー部の構成を示す斜視図である。 (a)は上記光ポインティング装置のカバー部の構成を示す平面図であり、(b)は上記光ポインティング装置のカバー部の構成を示す断面図である。 上記光ポインティング装置における光源から照射された拡がりのある照射光が被写体によって反射されて撮像素子に入射されるまでの光路を示す断面図である。 (a)(b)は上記光ポインティング装置における被写体からの迷光が撮像素子に直接入力される場合の光路を示す断面図である。 上記光ポインティング装置における光源からの迷光が撮像素子に直接入力される場合の光路を示す断面図である。 上記光ポインティング装置における光源からの迷光が切り欠き部により撮像素子の直前で光路変換される状況を示す断面図である。 上記切り欠き部に遮光膜を形成したカバー部を示す断面図である。 (a)はカバー部に切り欠き部が無い場合の撮像素子における照度分布を示す分布図であり、(b)はカバー部に切り欠き部のみが存在する場合の撮像素子における照度分布を示す分布図であり、(c)はカバー部に切り欠き部を形成し、さらに、遮光膜を塗布した場合の撮像素子における照度分布を示す分布図であり、(d)は(a),(b),(c)をまとめて1つに表したグラフである。 本発明における光ポインティング装置の他の実施の一形態を示すものであり、光ポインティング装置の構成を示す断面図である。 (a)は上記光ポインティング装置に設けられた回折素子としての反射型回折素子の形状を示す断面図であり、(b)〜(e)は回折素子の溝パターンを示す平面図である。 上記回折素子として反射型フレネルレンズの形状を示す断面図である。 本発明における光ポインティング装置のさらに他の実施の一形態を示すものであり、光ポインティング装置の構成を示す断面図である。 (a)は本発明における光ポインティング装置を備えた電子機器の実施の一形態を示すものであり、光ポインティング装置を搭載する電子機器としての携帯電話機の外観を示す正面図であり、(b)は同背面図であり、(c)は同側面図である。 従来の光ポインティング装置の構成を示す断面図である。 従来の他の光ポインティング装置の構成を示す組み立て分解斜視図である。
本発明の各実施形態について、光源としてLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を用いた光ポインティング装置を例として説明する。本発明の光ポインティング装置は、指先等の被写体に対して光を照射し、該被写体から反射された光を受光することによって、被写体の動きを検知するものである。以下、各実施形態の光ポインティング装置の構成について具体的に説明する。尚、同一の機能及び作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。
〔実施の形態1〕
本発明における第1の実施の形態について図1〜9に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態における光ポインティング装置30を示す概略断面構造図である。
本実施の形態の光ポインティング装置30は、図1に示すように、基板部26と導光型光学部材としてのカバー部24とを備えている。基板部26は、回路基板21、光源16、撮像素子15及び透明樹脂20からなっている。カバー部24は、接触面11、傾斜面13を形成する光路変換手段及びプリズムとしての折り曲げ素子12、結像反射部としての結像素子14及び反射面17・18を含んでいる。カバー部24の接触面11に接触している被写体10は、指先等の被写体であり、光ポインティング装置30が指の指紋の動きを検知する対象物である。尚、ここでは光ポインティング装置30に対する被写体10の状態を分かり易くするために、被写体10を光ポインティング装置30に対して便宜的に小さく記載している。
ここで、光ポインティング装置30の厚み方向(図1の縦方向)をZ軸とし、光ポインティング装置30の幅方向(図1の横方向)をY軸とする。光ポインティング装置30の下部から上部に向かう方向をZ軸の正方向とし、光源16から撮像素子15に向かう方向をY軸の正方向とする。また、Z軸の正方向を垂直方向、Y軸の正方向を水平方向とも称する。尚、図示していないが、光ポインティング装置30の奥行き方向をX軸とし、図1に示す光ポインティング装置30の奥側から手前側に向く方向をX軸の正方向とする。
まず、上記基板部26の構成について説明する。
本実施の形態の基板部26においては、1つの回路基板21上に光源16と撮像素子15とを搭載している。光源16及び撮像素子15は、ワイヤボンド又はフリップチップ実装にて回路基板21と電気的に接続されている。回路基板21には、回路が形成されている。当該回路は、光源16の発光タイミングを制御したり、撮像素子15から出力された電気信号を受けて、被写体10の動きを検知したりするものである。回路基板21は、同一材料からなる平面状のものであり、例えば、プリント基板やリードフレーム等からなっている。
光源16は、カバー部24の接触面11に向けて光を照射するものである。光源16から照射された照射光Mは、透明樹脂20を介してカバー部24の折り曲げ素子12により屈折され進行方向が変換されて接触面11に到達する。すなわち、照射光Mは、接触面11に対して斜め方向から、つまり接触面に対して或る入射角で入射する。
カバー部24は、後述するように、空気よりも屈折率が大きい材質であるため、接触面11に到達した照射光Mは、接触面11上に被写体10が無い場合、その一部が接触面11を透過し、残りの一部が接触面11で反射する。このとき、照射光Mの接触面11に対する入射角が全反射の条件を満たす場合、照射光Mは、接触面11を透過せず、全て接触面11で反射してカバー部24内に向かう。
一方、接触面11上に被写体10がある場合、照射光Mは、接触面11と接している被写体10の表面で反射し、カバー部24に入射される。光源16は、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の光源で実現され、特に高輝度の赤外発光ダイオードで実現されることが好ましい。
撮像素子15は、光源16が照射した、被写体10で反射された反射光Lを受光し、受光した光に基づいて接触面11上の像を結像し、画像データに変換するものである。具体的には、撮像素子15は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補形金属酸化膜半導体)やCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)等のイメージセンサからなっている。撮像素子15は、図示しないDSP(Digital Signal Processor:算出部)を含み、受光した照射光MをDSPに画像データとして取り込む。撮像素子15は、回路基板21の指示にしたがって、接触面11上の像を一定の間隔で撮影し続ける。
接触面11上に接している被写体10が移動した場合、撮像素子15が撮影する画像は、その直前に撮影した画像とは異なる画像となる。撮像素子15は、DSPにおいて、撮影した画像データとその直前の画像データとの同一箇所の値をそれぞれ比較し、被写体10の移動量及び移動方向を算出する。すなわち、接触面11上の被写体10が移動した場合、撮影した画像データは、その直前に撮影した画像データに対して所定量ずれた値を示す画像データである。撮像素子15は、DSPにおいて、該所定量に基づいて被写体10の移動量及び移動方向を算出する。撮像素子15は、算出した移動量及び移動方向を電気信号として回路基板21に出力する。尚、DSPは、撮像素子15内ではなく、回路基板21に含まれるものであってもよい。その場合、撮像素子15は、撮像した画像データを順番に回路基板21に送信する。
撮像素子15の処理をまとめると、撮像素子15は、接触面11上に被写体10が無い場合、接触面11の像を撮像する。次に、接触面11上に被写体10が接触すると、撮像素子15は、接触面11と接している被写体10の表面の像を撮像する。例えば、被写体10が指先の場合、撮像素子15は、指先の指紋の像を撮像する。ここで、撮像素子15が撮像した画像データは、接触面11上に被写体10が無いときの画像データと異なる画像データとなっているため、撮像素子15のDSPは、接触面11上に被写体10が接触していることを示す信号を回路基板21に送信する。そして、被写体10が移動すると、DSPが直前に撮像した画像データと比較して、被写体10の移動量及び移動方向を算出し、算出した移動量及び移動方向を示す信号を回路基板21に送信する。
上記光源16及び撮像素子15は、透光性樹脂である透明樹脂20によって周囲が樹脂封止されている。透明樹脂20の形状は、略直方体である。透明樹脂20の底面は、回路基板21の上表面と密着して接しており、光源16及び撮像素子15にそれぞれ密着する凹部が形成されている。透明樹脂20を構成する透光性樹脂として、例えば、シリコーン樹脂若しくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂又はアクリルやポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が用いられる。
このように、回路基板21上に搭載された光源16及び撮像素子15がそれぞれ透明樹脂20によって樹脂封止されているため、回路基板21、光源16、撮像素子15及び透明樹脂20が一体となっている基板部26が形成されている。そのため、光ポインティング装置30の部品点数を減らすことができ、組み立て工程数も減らすことができる。よって、光ポインティング装置30の製造コストを削減することができると共に、被写体10の検知精度の高い光ポインティング装置30を実現することができる。
次に、カバー部24の構成について説明する。
カバー部24は、光源16及び撮像素子15等の光ポインティング装置30を構成する各部・各素子を保護するものである。カバー部24は、基板部26の上側に位置し、基板部26の側面及び上表面に密着して接している。すなわち、カバー部24の裏面における一部の当接面24a・24bは、基板部26の側面及び上表面と密着して接している。尚、本実施の形態において、カバー部24におけるZ軸の負側の表面であって、基板部26上に搭載され光ポインティング装置30として形成されているときの外部に露出していない表面部分を、カバー部24の裏面と称する。
また、カバー部24の底面24cは、基板部26の底面26aと同一平面を形成している。さらに、カバー部24の上表面と、カバー部24における当接面24bと、基板部26の底面26a及びカバー部24の底面24cとは互いに平行となっており、カバー部24の両側面がカバー部24の上表面、及びカバー部24における当接面24b並びに基板部26の底面26a及びカバー部24の底面24cに対してある角度を持つ面で形成されている。つまり、図1に示すように、光ポインティング装置30の断面図において、カバー部24は台形状となっている。ただし、カバー部24は、この形状に限るものではなく前記側面が底面24cに対して垂直になっていても構わない。
カバー部24における側面の底部の付近にはフランジ25が設けられており、本実施の形態の光ポインティング装置30が電子機器に搭載され、指等の被写体10によりカバー部24の接触面11からZ軸の負方向側に押された場合に、基板部26の底面26aに設けられる図示しない板バネ状の接点スイッチによるZ軸の正方向側へ生じる力をある位置で規制して、押ボタンスイッチとして必要な一定のストローク量を確保するために使用される。
カバー部24における接触面11は、被写体10が光ポインティング装置30と接する面である。接触面11は、カバー部24の上表面における光源16の上方に位置する。
上記折り曲げ素子12は、プリズムにてなっており、光源16の上方、かつ接触面11の下方に位置し、カバー部24の裏面の基板部26と接しない部分に位置する、カバー部24の裏面の凹部を形成している。折り曲げ素子12には、傾斜面13が形成されており、該傾斜面13とカバー部24の上表面とがなす狭角を傾斜角度θとする。折り曲げ素子12は、光源16から照射された照射光Mを傾斜面13で屈折させて、被写体10に向かうように照射光Mの経路を変換するものである。また、折り曲げ素子12は、被写体10から反射された反射光Lを傾斜面13で全反射させて、カバー部24の内部におけるY軸の正方向に反射光Lの経路を変換するものである。傾斜面13にて全反射された、被写体10から反射された反射光Lは、後述する反射面17に向かう。このように、折り曲げ素子12の傾斜面13は、照射光Mを透過し、反射光Lを全反射するものである。そのため、カバー部24には、光源16の上方における、カバー部24と基板部26との間の空間の屈折率よりも大きい屈折率を有する材質が用いられる。例えば、カバー部24には屈折率が1.5程度の可視光吸収タイプのポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂を用いると共に、上記空間は空気層とすればよい。つまり、折り曲げ素子12の傾斜面13には、反射光Lを全反射するために、アルミ反射膜等を蒸着していない。
上記結像素子14は、被写体10からの反射光Lを反射して、撮像素子15上に被写体10の像を結像するものである。結像素子14は、撮像素子15の上方、かつ撮像素子15よりもY軸の正方向側に位置し、カバー部24の裏面における基板部26とは接しない部分に位置する、カバー部24の裏面の凹部を形成している。結像素子14には、直交する2方向の曲率が異なる例えばトロイダル面が形成されている。結像素子14は、このトロイダル面で反射光Lを撮像素子15に結像するように反射している。結像素子14において効率的に反射光Lを反射させるために、結像素子14のトロイダル面には、例えば、アルミ、ニッケル、金、銀、誘電体ダイクロ膜等の金属の反射膜を蒸着させる。
尚、上記の説明では、結像素子14には例えばトロイダル面が形成されているとしているが、必ずしもこれに限らず、例えば、球面、非球面等の反射体であって、撮像素子15に結像できるものであれば使用することが可能である。
上記反射面17は、傾斜面13で全反射された反射光Lを結像素子14に入射させ、結像素子14から反射された反射光Lを撮像素子15に入射させるために、反射光Lを反射するものである。反射面17は、撮像素子15の上方であって、カバー部24の上表面に位置する。反射面17は、カバー部24の上表面に反射膜を蒸着させて形成される。反射面17を形成する反射膜は、外部に露出しており使用者によく見えるため、外観上、できるだけ目立たない膜とすることが望ましい。例えば、光源16が照射する光の波長が可視波長外の赤外波長(例えば、800nm以上)の場合、反射面17を形成する反射膜は、光源16から照射された800nm以上の波長帯の赤外光を反射し、800nm以下の可視波長帯の光を透過するものであればよい。このように、光源16が照射する光の波長と、反射面17を形成する反射膜の反射率及び透過率の特性を適宜設定することによって、被写体10からの反射光Lを効率的に反射し、かつ外観上は目立たない反射面17を形成することができる。
また、光源16が照射する光の波長が可視波長外の赤外波長(例えば、800nm以上)の場合、カバー部24の材質は赤外光のみを透過する可視光吸収型のポリカーボネート樹脂またはアクリル樹脂にすればよい。このような材質でカバー部24を形成することによって、カバー部24の外部から進入してくる不要光のうち、可視光成分をカバー部24で遮断することができる。そして、上述のように、赤外光を反射する反射面17を形成することによって、上記不要光のうち、赤外光成分を反射面17で遮断することができる。光ポインティング装置30に入射する不要光を遮断することによって、該不要光による誤動作を防ぐことができる。
さらに、光ポインティング装置30の表面である、カバー部24の表面に色目を付ける場合、例えば、カバー部24の上表面及び反射面17の上表面に、例えば緑色等の所定の色の波長帯のみを反射し、それ以外の波長を透過する特性を有する材料でコートすればよい。このような特性を有する材料にてカバー部24の上表面及び反射面17の上表面をコートすることによって、光ポインティング装置30の光学特性を損ねることなく、光ポインティング装置30の表面に所望の色を付けることができる。
反射面18は、結像素子14から反射されて反射面17で反射された光Lを再度反射面17に向けて反射するものである。反射面18は、撮像素子15の上方、かつ撮像素子15よりY軸の正方向側に位置し、カバー部24の裏面に位置する。反射面18は、カバー部24の裏面に反射膜を蒸着させて形成される。反射面18を形成する反射膜は、効率的に光を反射するものが好ましい。例えば、反射面18は、アルミ、ニッケル、金、銀、誘電体ダイクロ膜などの金属を蒸着して形成される。
このように、本実施の形態の光ポインティング装置30では、基板部26の透明樹脂20側面及び上表面を基準として、基板部26の上方に、カバー部24を組み立てている。そして、カバー部24には、基板部26の透明樹脂20に当て決めを行うための基準となる当接面24a・24bが、接触面11、折り曲げ素子12や結像素子14及びフランジ25と一体的に形成されている。そのため、当接面24a・24bと、各接触面11、折り曲げ素子12や結像素子14及びフランジ25とが、金型公差で高精度に配置されている。したがって、カバー部24の当接面24a・24bを、基板部26の透明樹脂20の側面及び上面にコンタクトさせることによって、カバー部24との位置関係を高精度に配置することができる。したがって、光ポインティング装置30を構成する各部・各素子を精度良く配置することができるため、被写体10の検知精度の高い光ポインティング装置30を実現することができるものとなっている。
上記構成の光ポインティング装置30において、光源16から照射された光が被写体10によって反射されて撮像素子15に入射する経路を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、まず、光源16から照射された照射光Mが、折り曲げ素子12の傾斜面13で屈折透過されて、接触面11に到達する。接触面11上に被写体10がある場合、被写体10の接触面11に接している表面上で、光源16から照射された照射光Mが散乱反射する。被写体10の表面で反射された反射光Lは、折り曲げ素子12の傾斜面13で全反射されて、進路がY軸の正方向に変わる。傾斜面13で全反射された反射光Lは、反射面17で反射し、結像素子14に到達する。そして、反射光Lは、結像素子14にて折り返し反射されて、反射面17、反射面18、及び反射面17にて次々と反射されて最終的に撮像素子15に入射する。
ところで、上記構成の光ポインティング装置30では、カバー部24において折り曲げ素子12及び結像素子14が一体化され、光源16と撮像素子15とが近接しているために、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射する虞がある。これらの入射光は迷光であり、撮像素子15のS/N(Signal/Noise:ここでいうSignalとは接触面から光路変換手段及び結像反射部を通って撮像素子に入射する被写体からの散乱光成分であり、Noiseとはそれ以外の光路を通って撮像素子に入射する不要光成分をいう)を低下させるので、除去する必要がある。
そこで、本実施の形態では、この問題を解決するために、図2にも示すように、カバー部24の当接面24b側における前記折り曲げ素子12の全反射面端部からY軸の正方向に、迷光対策用の切り欠き部19が形成されている。上記切り欠き部19について、図1〜図3(a)(b)を用いて以下に詳述する。図2は、カバー部24における底面24c側からの斜視図である。また、図3(a)は光ポインティング装置30のカバー部24の構成を示す平面図であり、図3(b)は光ポインティング装置30のカバー部24の構成を示す断面図である。
上記切り欠き部19は、図1に示すように、カバー部24において、撮像素子15の直上面における少なくとも光源16側の一部に形成されている。尚、「少なくとも」としたのは、切り欠き部19が撮像素子15における直上面の光源16側の一部だけでなく、撮像素子15における直上面よりも光源16側にまで延びていてもよい主旨である。
この切り欠き部19は、図1に示すように、カバー部24において、折り曲げ素子12における右肩下がりの傾斜面13の最低端から撮像素子15が設けられた透明樹脂20の高さまで形成された右肩上がりの傾斜面をさらに切り欠き部19を形成することにより、当該傾斜面を延長したものとなっている。
また、図1においては、切り欠き部19における右側の傾斜面が撮像素子15の上面の一部に形成されている。ただし、切り欠き部19は、特に、右肩上がりの傾斜又は右肩下がりの傾斜だけではなく、迷光が撮像素子15に入射されるのを回避するようにカバー部24が切り欠かれた形状になっていれば足りる。
さらに、この切り欠き部19におけるカバー部24の導光方向と直交する方向の幅は、図2及び図3(a)(b)に示すように、プリズムからなる折り曲げ素子12の傾斜面13、及び撮像素子15におけるカバー部24の導光方向と直交する方向の幅に略等しいものとなっている。そして、カバー部24に切り欠き部19が形成されていることによって、被写体10又は光源16からの反射光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射することを防止するようになっている。
上記切り欠き部19にて、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射することを防止できる原理について、図4、図5(a)(b)、図6及び図7を用いて説明する。図4は光源16から照射された拡がりのある照射光Mが被写体10によって反射されて撮像素子15に入射する反射光Lを示す断面図であり、図5(a)は、切り欠き部19が無い場合の光ポインティング装置における反射光Lの光路L1を示す断面図であり、図5(b)は切り欠き部19が無い場合における光ポインティング装置の他の反射光Lにおける光路L2を示す断面図である。また、図6は、切り欠き部19が無い場合の光ポインティング装置における光源16からの被写体10に向かわない照射光Mの光路M1・M2を示す断面図であり、図7は、本実施の形態における切り欠き部19を備えた光ポインティング装置30の反射光Lを示す断面図である。
まず、図4に示すように、光源16の照射光Mは該光源16の発光点からある拡がりを持って出射する。その照射光Mのうちの一部は、図1に示すように、被写体10で散乱反射されて、反射光Lの光路となって、結像素子14を通って撮像素子15に入射する。しかし、反射光Lのうちの他の一部は、切り欠き部19が形成されていない場合には、図5(a)(b)に示すように、前記結像素子14を介する光路を通らず光路L1や光路L2等の迷光となって撮像素子15に入射する。
加えて、図6に示すように、光源16の照射光Mにおける被写体10に向かわない光路M1や光路M2等の迷光が、撮像素子15に直接入射する場合もある。
尚、カバー部24において、内部で導光される光は通常は内部で全反射されるためカバー部24から出てこないが、上述した結像素子14を介する光路を通らない光路L1・L2等の迷光や被写体10に向かわない直接光による光路M1や光路M2等の迷光は、出射角度が鋭角であったり、カバー部24の屈折率に近似する屈折率を有する接着剤や透明樹脂20とカバー部24とが接触したりしているため、カバー部24のー外部に出射されるものとなる。
これらの場合、反射光Lの結像素子14を通る光により撮像素子15上に撮像された像を回路基板21により画像処理された信号成分は、被写体10が動いた場合、動いた量や方向に関する信号情報が得られるのに対して、光路L1・L2又は光路M1・M2を通る光による同様の像は、被写体10が動いたとしても、動かない像しか得られない。このため、信号情報が得られないだけでなく、動く像に対して動かない像が重なり、像の動きを隠してしまうため、正確な信号情報が得られなくなる。尚、以下の説明では、信号情報が得られる結像素子14を通る反射光Lを信号光、信号光以外をノイズ光と称する。
これに対して、カバー部24に切り欠き部19を形成した場合には、図7に示すように、例えば、光源16からの直接光である光路M1・M2は、切り欠き部19にて反射され、撮像素子15に直接入射しなくなる。したがって、光源16からの直接光や光路L1・L2等の迷光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射することを防止するができる。また、この切り欠き部19は、光ポインティング装置30外からの外乱光にも効果がある。
尚、本実施の形態の接触面11、折り曲げ素子12及び結像素子14が一体に形成されたカバー部24を備えた光ポインティング装置30において、カバー部24に切り欠き部19を形成することによって、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光等の迷光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射するのを防止することができるのは、信号光である反射光Lは結像素子14にて反射されて、撮像素子15の後ろ側から入射されるのに対して、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光等の迷光は、撮像素子15の前側である光源16側から入射されることによるものである。すなわち、撮像素子15に対する信号光の入射方向と迷光の入射方向とが互いに逆となっているためである。
また、本実施の形態では、切り欠き部19の形成範囲は、被写体10からの反射光Lのうち信号光として有効な反射光Lを阻害しない範囲となっている。
ここで、本実施の形態では、カバー部24に切り欠き部19を形成するだけでなく、例えば、図8に示すように、切り欠き部19にさらに遮光膜19aを設けることが可能である。この遮光膜19aによって、光路L1・L2又は光路M1・M2に関する迷光成分を遮光し、迷光対策効果を高めることができる。上記遮光膜19aは、例えば、カーボンブラックを混ぜ込んだ黒系の塗料やインクをインクジェットや印刷又は蒸着にて膜形成することができる。このような黒系の膜は、光を吸収するので好ましい。
ここで、例えば、迷光対策を施したい箇所のすぐ近くに全反射面がある場合、大部分を遮光膜19aで覆っても、覆っていないわずかな部分からの迷光が問題となる。これは、上記遮光膜19aの形成精度が0.5mm〜1mと低く、全反射面に上記遮光膜19aが少しでも付かないように、マスクを大きくする必要があるからであるが、金型の製造精度は上記値より1桁以上(10μm程度)あるため、この遮光膜19aが形成できない部分に切り欠き部19を形成することは十分可能である。
上記切り欠き部19の効果について、図9(a)(b)(c)(d)に基づいて説明する。図9(a)はカバー部24に切り欠き部19が無い場合の撮像素子15における照度分布を示す分布図であり、図9(b)はカバー部24に切り欠き部19のみが存在する場合の撮像素子15における照度分布を示す分布図であり、図9(c)はカバー部24に切り欠き部19を形成しさらに、遮光膜19aを塗布した場合の撮像素子15における照度分布を示す分布図であり、図9(d)は図9(a)(b)(c)をまとめて1つに表したグラフである。尚、図9(a)(b)(c)(d)の各グラフは、切り欠き部19がない場合の照度分布のピーク値を1として規格化して表したものである。
カバー部24に切り欠き部19が無い場合には、図9(a)(d)に示すように、左端に強い迷光が見られる。これに対して、カバー部24に切り欠き部19のみが存在する場合には、図9(b)(d)に示すように、全体的に迷光が減っているのが分かる。このときの切り欠き部19が無い場合を1としたときの撮像素子15で検出される迷光の割合は計算によると0.65となる。また、カバー部24に切り欠き部19を形成しさらに、遮光膜19aを塗布した場合には、図9(c)(d)に示すように、左端の強い迷光が解消されているのが分かる。このときの切り欠き部19が無い場合を1としたときの撮像素子15で検出される迷光の割合は計算によると0.17となっている。
上述のように、本実施の形態では、カバー部24に切り欠き部19及び遮光膜19aを形成することによって、特に像のコントラストの向上等における撮像特性を改善でき、光ポインティング装置30の特性向上、及び歩留りの改善が期待できることが判明した。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、透明樹脂20の表面は透明となっているが、遮光防止を施すことも可能である。
具体的には、例えば、透明樹脂20の側面上、及び被写体10からの反射光Lが透過する箇所を除く透明樹脂20の上表面上に遮光性樹脂を樹脂封止してもよい。遮光性樹脂として、透光性樹脂と同様に、例えば、シリコーン樹脂若しくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂又はアクリルやポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が用いることができる。ただし、遮光性樹脂は、透光性樹脂と異なり、カーボンブラックを含む。このように、透明樹脂20の周囲に遮光性樹脂を樹脂封止することによって、光源16から照射された光が直接、又は被写体10ではない箇所で反射して、撮像素子15に入射することを防ぐことができる。いわゆる、被写体10からの反射光Lではない迷光が撮像素子15に入射することを防ぐことができる。よって、迷光による光ポインティング装置30の誤動作を防ぐことができ、高精度に被写体10を検知することができる。
以上のように、本実施の形態の光ポインティング装置30は、被写体10に光を照射する光源16と、被写体10からの反射光を内部で反射させて導光する導光型光学部材としてのカバー部24と、カバー部24によって導光された光を受光する撮像素子15とを備えている。そして、カバー部24には、被写体10が接触する接触面11と、導光される光を撮像素子15に導く結像反射部としての結像素子14と、被写体10からの反射光の方向を変換させて結像素子14に導く光路変換手段としての折り曲げ素子12とが一体に形成されている。したがって、このようなカバー部24を採用することによって、光学系の光路長を長く取り、収差を抑えるようにしてもカバー部24の垂直方向の長さを光路長に比較して小さくすることができ、小型化を図ることができる。また、接触面11、折り曲げ素子12及び結像素子14を一体に形成することによって、部品点数も削減することができ、組み立て工程数も減らすことができる。また、カバー部24を成形する金型を高精度で作成することにより、折り曲げ素子12の傾斜面13及び結像素子14を高精度に製造することができ、接触面11、折り曲げ素子12、結像素子14の位置関係も金型精度で配置することができる。したがって、光ポインティング装置30の製造コストを削減することができると共に、被写体10の検知精度の高い光ポインティング装置30を実現することができる。
また、接触面11、折り曲げ素子12及び結像素子14を、それぞれ別部品として組み立てる場合、組み立て用の当接面、嵌合形状等の形状が必要となる。さらに、迷光防止対策として、切り欠き部19を形成することができないため、遮光シート等の別途部材や迷光防止手段が必要になり、それらを組み付けるための当接面、嵌合形状等の形状も必要となり、さらにそれぞれの相対位置関係を調整するためのマージンを確保する必要がある。
これに対して、一体とする場合は、上記の嵌合形状等が必要なく、必要最小限の光学面があれば、調整マージンも確保する必要がなく、接触面11、折り曲げ素子12及び結像素子14を含むカバー部24の厚みを小さくすることができる。それゆえ、光ポインティング装置30の厚みを小さくすることができる。
しかしながら、接触面11、折り曲げ素子12及び結像素子14が一体に形成されたカバー部24においては、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光等の迷光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射する場合があり、このような迷光は、撮像素子15のS/Nを低下させる。
そこで、本実施の形態では、カバー部24には、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射することを防止する切り欠き部19が撮像素子15の直上面における少なくとも光源16側の一部に形成されている。このため、撮像素子15の直上面における少なくとも光源16側の一部に切り欠き部19が形成されていることによって、結像素子14を介さない被写体10からの反射光又は光源16からの直接光からなる迷光が、カバー部24の内部から出射されるときに、切り欠き部19によって反射され、入射角度が変化し、カバー部24の内部から出射されないようにすることができる。この結果、結像素子14を介さない被写体10からの反射光又は光源16からの直接光からなる迷光が撮像素子15に直接入射することを防止することができる。
また、本実施の形態では、迷光を防止するために、カバー部24に切り欠き部19を形成しているだけである。したがって、特別な、遮光壁や遮光部材を使用せず、簡単な構成で撮像素子15に入射する迷光を抑制することができる。
したがって、折り曲げ素子12及び結像素子14が一体化されたカバー部24を用いる場合に、簡易に、迷光による影響を低減して、被写体10の検知精度の高い光ポインティング装置30を提供することができる。
また、本実施の形態の光ポインティング装置30では、切り欠き部19には、被写体10からの反射光又は光源16からの直接光が結像素子14を介さずに撮像素子15に直接入射することを防止する遮光部材としての遮光膜19aが設けられていることが好ましい。
これにより、結像素子14を介さない被写体10からの反射光又は光源16からの直接光からなる迷光が、カバー部24の内部から出射されるときに、遮光膜19aによって遮光される。したがって、確実に、結像素子14を介さない被写体10からの反射光又は光源からの直接光からなる迷光が、撮像素子15に直接入射することを防止することができる。
また、本実施の形態の光ポインティング装置30では、遮光部材は、黒系の膜からなっていることが好ましい。
これにより、黒系の膜は光を吸収する性質を有しているので、切り欠き部19で反射された被写体10からの反射光又は光源からの直接光からなる迷光が、カバー部24の内部で反射され、結像反射部にて反射されて最終的に撮像素子に入射するのを防止することができる。したがって、確実に、迷光による影響を低減して、被写体10の検知精度の高い光ポインティング装置30を提供することができる。
また、本実施の形態の光ポインティング装置30では、光路変換手段は、被写体10からの反射光を屈折させる折り曲げ素子12であるプリズムからなっているとすることができる。
これにより、光路変換手段として一般的なプリズムを用いることにより、容易に光路変換手段を構成することができる。また、プリズムは、入射光を全反射させるので、反射型回折素子、反射型フレネルレンズ又は反射型ホログラムレンズ等の光路偏向手段に対して、光の利用効率が一番高い。この結果、撮像素子15上に投影される像が明るくなるので、S/N比を向上させることができる。
また、本実施の形態の光ポインティング装置30では、結像素子14は、球面、非球面又はトロイダル面のいずれかによって構成されている。これにより、光ポインティング装置30の光学系の構成から発生する球面収差やコマ収差等の光学収差、及び撮像素子15上に投影される像の歪量に基づいて、結像素子14の曲率を球面、非球面又はトロイダル面に適宜設定することによって、光ポインティング装置30のカバー部24の光学特性をさらに向上させることができる。
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図10〜図12に基づいて説明する。図10は、第2の実施形態の光ポインティング装置40を示す概略断面構造図である。第2の実施形態では、第1の実施形態における、反射光Lを水平方向に全反射させる折り曲げ素子12に換えて、回折素子42を配置している。以下では、第2の実施形態において、回折素子42を配置したことにより、第1の実施形態と異なる点について説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施の形態の光ポインティング装置40は、図10に示すように、反射光Lを水平方向に全反射させる実施の形態1の折り曲げ素子12に換えて、光路偏向手段としての回折素子42を配置している。したがって、カバー部24には折り曲げ素子12の傾斜面13が存在しない。
また、カバー部24は、接触面11、回折素子42、結像素子14、切り欠き部19、及び反射面17・18を含んでいる。カバー部24は、基板部26の上側に位置し、回路基板21の両側面、透明樹脂20におけるY軸の負側の側面、並びに、透明樹脂20におけるY軸の正側の側面及び上表面に密着して接している。
上記回折素子42は、光源16の上方、かつ接触面11の下方であって、カバー部24の裏面における当接面24bにおいて基板部26と接しない部分に位置している。回折素子42は、被写体10から反射された反射光Lを反射させて、カバー部24の内部であって、Y軸の正方向に反射光Lの経路を変換するものである。回折素子42で反射された、被写体10から反射された反射光Lは、反射面17に向かう。
上記回折素子42の具体的な構成を、図11(a)〜(e)に基づいて説明する。図11(a)は、回折素子42の断面形状を示す概略構成図である。
図11(a)に示す回折素子42は、+1次の反射回折光を利用する反射型回折素子である。この反射型回折素子からなる回折素子42においては、図11(a)に示すように、反射率を向上させるために、回折素子42の外側表面(Z軸の負側の表面)に、例えば、アルミ、銀、金、誘電体ダイクロ膜等の反射膜42aを蒸着していることが望ましい。
また、反射型回折素子からなる回折素子42の形状は、+1次光が強く発生するように、例えば、図11(a)に示すような断面形状がブレーズ形状であることが望ましい。図11(a)に示すブレーズ形状の回折素子42を用いることにより、光利用効率が上がると共に、迷光となる0次光、−1次光及び高次の回折光を抑えることができる。したがって、光ポインティング装置40において、光学系の結像性能の劣化を防ぐことが可能となる。
ここで、図11(a)に示すように、回折素子42のブレーズ形状の溝深さ(Z方向の長さ)をtとすると、溝深さtは、+1次回折効率が最大となる深さが望ましい。例えば、カバー部24の屈折率n、光源16が照射する光の波長をλとした場合、t=λ/(2n)とすることが望ましい。
また、回折素子42のブレーズ形状の溝パターンは、図11(b)に示すように、等ピッチの直線による溝パターンとなっており、回折角をできるだけ大きくするためにできるだけ細かくすることが望ましい。ただし、製造上、金型に対してバイトを用いて溝を切削加工で作製し、成形することが最もコスト的に有利である。そのため、溝を切削加工で精度よく作製できる範囲を考慮した場合、回折素子42の溝ピッチは0.8〜3.0μmの間で設計することが望ましい。
さらに、撮像素子15上に投影する被写体10の像を写す結像性能を向上させるために、図11(c)に示すように、回折素子42の溝パターンを曲線とすることによって、像の歪みを補正することができる。また、図11(d)に示すように、回折素子42の溝ピッチを等ピッチでなく、徐々にピッチが変化するパターンとし、或る一方向にレンズ効果を持たすように回折素子42を設計してもよい。この場合、撮像素子15上において、X軸方向及びY軸方向で焦点距離が異なることで発生する収差を補正することができる。
また、図11(e)に示すように、回折素子42の溝パターンを曲線かつ不等ピッチのパターンとすることによって、像の歪み及び非点収差(アス)の両方を補正することができる。
次に、回折素子42の別の具体例として、回折素子42として反射型フレネルレンズを用いてもよい。反射型フレネルレンズの具体的な形状を図12に示す。図12は、反射型フレネルレンズの断面形状を示す概略構成図である。
図12に示すように、反射型フレネルレンズの断面形状はブレーズ形状となっている。回折素子42として反射型フレネルレンズを用いる場合、カバー部24の一部にプリズムやバルク型レンズを形成するのに比べて、カバー部24の厚みの均一化を図ることができる。そのため、カバー部24の強度を上げながら、光ポインティング装置40の薄型化を実現することができる。尚、反射型フレネルレンズにおいても、反射率を向上させるために、回折素子42の外側表面(Z軸の負側の表面)に例えば、アルミ、銀、金、誘電体ダイクロ膜等の反射膜42aを蒸着していることが望ましい。
また、回折素子42として反射型ホログラムレンズを用いることも可能である。回折素子42として反射型ホログラムレンズを用いれば、通常のレンズで補正しきれない収差を補正することができるため、結像性能が上がり、撮像素子15上に被写体10の像を鮮明に映すことができる。
このように、被写体10から反射された反射光Lを水平方向に反射するために回折素子42を用いると、カバー部24にプリズムからなる折り曲げ素子12を形成するのに比べて、カバー部24の厚みの均一化を図ることができる。そのため、カバー部24の強度を上げながら、薄型化が実現できる。加えて、光源16から照射された光を接触面11に対して均一な光強度で照射することができる。
また、被写体10からの反射光Lを水平方向に折り曲げる光ポインティング装置(例えば、従来の技術である前記特許文献1、2の構成)において、折り曲げ素子12の大きさ、特にZ軸方向の長さが光ポインティング装置の厚みに大きく影響する。つまり、光ポインティング装置を薄型に設計するためには、折り曲げ素子12のZ軸方向の長さを小さくすることが重要である。しかしながら、折り曲げ素子12の大きさは自由に設計できるものではなく、折り曲げ素子12の大きさは接触面11の大きさに依存する。そして、接触面11上の模様を検出するためには、接触面11がある程度の面積を有していなければならない。この結果、接触面11の面積を確保しようとすると、必然的に折り曲げ素子12が大きくなり、光ポインティング装置の厚み(Z軸方向の大きさ)を小さくすることができなかった。
本実施の形態では、折り曲げ素子12の代わりに、折り曲げ素子12よりもZ軸方向の長さを小さくできる回折素子42を用いることによって、第1の実施形態よりも光ポインティング装置40の薄型化を図ることができる。
また、本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、当接面24a・24bにより、透明樹脂20におけるY軸の正側の側面及び上表面を基準として、基板部26の上方にカバー部24を組み立てている。そのため、基板部26とカバー部24との位置関係を高精度に配置することができる。したがって、光ポインティング装置40を構成する各部・各素子を精度良く配置することができるため、被写体10の検知精度の高い光ポインティング装置40を実現することができる。
このように、本実施の形態の光ポインティング装置40では、光路変換手段は、被写体10からの反射光の方向を偏向させて結像素子14に導く光路偏向手段としての回折素子42からなっていると共に、回折素子42は、反射型回折素子、反射型フレネルレンズ又は反射型ホログラムレンズのいずれかによって構成されている。
これにより、回折素子42からなる光路変換手段は、プリズム等の全反射による光路変換手段よりも光の利用効率は落ちる。しかし、カバー部24の接触面11とは反対側に、回折素子42を成形する場合には、そのための凹部を形成することなく、回折素子42の機能を含むカバー部24を成形することができる。この結果、凹部が形成されるプリズム等の全反射による光路変換手段に比べて、凹部を形成する必要がなくなるので、カバー部24の厚みを薄くかつ均一にすることができる。
したがって、カバー部24の薄型化を図ることができ、延いては、薄型の光ポインティング装置30を実現することができる。
加えて、回折素子42が反射型ホログラムレンズの場合、結像素子14にて補正しきれない収差を補正する役割を持たせることができる。この結果、結像素子14の結像性能が向上し、撮像素子15にて被写体10の像を鮮明に撮像することができる。したがって、光ポインティング装置40の性能を向上させることができる。
〔実施の形態3〕
本発明の第3の実施形態について図13に基づいて説明する。図13は、第3の実施形態における光ポインティング装置50の構成を示す概略断面構造図である。尚、第3の実施形態においては、説明上第1の実施形態と同じ構成を用いて説明するが、その変更部分及び効果については第2の実施形態でも同様であり、同様の効果をもつ。また、第1の実施形態と同様の部分はその説明を省略する。
第3の実施形態では、実施の形態1及び実施の形態2の構成に加えて、カバー部24の接触面11上部に、装置外部からの光を遮光する遮蔽膜51a・51bが形成されている点が異なっている。
本実施の形態の光ポインティング装置50は、図13に示すように、前記実施の形態1に示す光ポインティング装置30におけるカバー部24の接触面11上部に、装置外部からの光を遮光する遮蔽膜51a・51bが形成されている。尚、図中Pで示すウィンドエリアは、遮蔽膜51a・51bが形成されておらず、被写体10がカバー部24の接触面11に接触する部分であり、光源16からの光が前記遮蔽膜51a・51bに遮光されることなく、被写体10に到達できるエリアである。
本実施の形態の光ポインティング装置50では、該光ポインティング装置50の外から来る光において、結像素子14における良好な特性が得られるカバー接触面上の物体面以外からの光は、カバー部24内部で多重反射して、撮像素子15に入射するため、カバー部24の結像素子14を含めた光学系を通過する信号光に対して、外乱光となり撮像素子15で撮像される像のコントラストが低下する。もちろん、装置の外から来る光でも、被写体10が指である場合、指を透過してくる光が接触面からカバー部24内部に入射し、結像素子14を含めた光学系を通過する成分は、信号光となるためコントラストが向上するが、外乱光の方が多いため、結果として上記像のコントラストは低下してしまう。
しかし、上記の構成によれば、前記外乱光の影響を抑制し、信号光のみを増強することが出来るため、前記撮像素子にて撮影される像のコントラストが向上する。
上記遮蔽膜51a・51bは、具体的に外乱光を反射する例えば、アルミ、銀、金、誘電体ダイクロ膜等の反射膜でも構わないし、また、外乱光をその場で吸収する例えば、カーボンブラックを混ぜた塗料や墨等の吸収膜でも構わない。蒸着膜の場合は、前記ウィンドエリアをマスクして蒸着すれば良いし、吸収膜の場合は、インクジェットやパッド印刷により形成すれば良い。
遮蔽膜51a・51bを形成するエリアは、フランジ25は搭載する機器の筐体内部に配置されるため、機器の筐体から突出するフランジ25よりもZ軸の正方向に形成されていればよい。また、機器の筐体部にも厚みがあり、その厚みにより外乱光が遮光されるため、遮蔽膜51bは必ずしも必要ではなく、遮蔽膜51aのみを形成する等の措置を適宜行えばよい。
尚、本実施の形態においては、図13において、前記実施の形態1に示す光ポインティング装置30におけるカバー部24の接触面11上部に、遮蔽膜51a・51bが形成されているものを示したが、必ずしもこれに限らず、実施の形態2の光ポインティング装置40に遮蔽膜51a・51bを形成することが可能であり、その効果も本実施の形態の効果と同じである。
このように、本実施の形態の光ポインティング装置50では、カバー部24における、被写体10が接触する接触面11以外の表面領域には、外部からの光を遮光する少なくとも遮蔽膜51aが設けられている。
すなわち、光ポインティング装置50の外部から来る光において、結像素子14における良好な特性が得られる接触面11上の被写体10以外からの光は、光ポインティング装置50にとっては、外乱光となる。
しかし、本実施の形態では、接触面11以外の表面領域には、外部からの光を遮光する遮蔽膜51aが設けられているので、外乱光の影響を抑制することができる。したがって、撮像素子15にて撮影される像のコントラストを向上させることができる。
〔第4の実施形態〕
最後に、本実施の形態の光ポインティング装置30・40・50を搭載した電子機器について、図14を用いて説明する。図14は、前記光ポインティング装置30・40・50のいずれか搭載した電子機器としての携帯電話機60の外観を示す図である。図14(a)は携帯電話機60の正面図であり、(b)は携帯電話機60の背面図であり、(c)は携帯電話機60の側面図である。尚、図14(a)(b)(c)においては、電子機器として携帯電話機60である例を示しているがこれに限定されるものではない。電子機器として、例えば、PC(特にモバイルPC)、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)、ゲーム機、テレビ等のリモコン等であってもよい。
図14に示すように、携帯電話機60は、モニター側筐体61及び操作側筐体62を備えている。モニター側筐体61は、モニター部65及びスピーカー部66を含み、操作側筐体62は、マイク部63、テンキー64及び例えば光ポインティング装置30を含んでいる。携帯電話機60に搭載される光ポインティング装置30は、必ずしもこれに限らず、光ポインティング装置40・50のいずれも適用可能である。
なお、本実施形態において、光ポインティング装置30は、図14(a)に示すように、テンキー64の上部に配置されているが、光ポインティング装置30の配置方法及びその向きについては、これに限定されるわけではない。
スピーカー部66は、音声情報を外部に出力するものであり、マイク部63は音声情報を携帯電話機60に入力するものである。モニター部65は、映像情報を出力するものであり、本実施形態においては、光ポインティング装置30からの入力情報を表示するものである。
なお、本実施の形態の携帯電話機60は、図14(a)〜(c)に示すように、上部の筐体(モニター側筐体61)と下部の筐体(操作側筐体62)とがヒンジを介して接続されている、いわゆる折りたたみ式の携帯電話機60を例として挙げている。携帯電話機60として、折りたたみ式が主流であるため、本実施の形態では折りたたみ式の携帯電話機を一例として挙げているのであって、光ポインティング装置30を搭載することができる携帯電話機60は、折りたたみ式に限るものではない。
近年、折りたたみ式の携帯電話機60において、折りたたんだ状態で厚みが10mm以下のものも登場してきている。携帯電話機60の携帯性を考慮するならば、その厚みは極めて重要な要素となっている。図14(a)(b)(c)に示す操作側筐体62において、図示されない内部の回路基板等を除いて、その厚みを決定する部品は、マイク部63、テンキー64、光ポインティング装置30である。この中で、光ポインティング装置107の厚さが最も厚く、光ポインティング装置30の薄型化は、携帯電話機60の薄型化に直接繋がる。よって、上述のように薄型化可能な本発明の光ポインティング装置は、携帯電話機60のような薄型化を必要とする電子機器に対して好適な発明である。
このように、本実施の形態の電子機器としての携帯電話機60は、光ポインティング装置30・40・50を備えている。したがって、光路変換手段及び結像反射部が一体化されたカバー部24を用いる場合に、迷光による影響の少ない光ポインティング装置30・40・50を備えた携帯電話機60を提供することができる。
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、PCや携帯電話機等の入力装置に利用することができ、特に小型、薄型を要求される携帯機器に好適に利用することができる。
10 被写体
11 接触面
12 折り曲げ素子(光路変換手段、プリズム)
13 傾斜面
14 結像素子(結像反射部)
15 撮像素子
16 光源
17・18 反射面
19 切り欠き部
19a 遮光膜
20 透明樹脂
21 回路基板
24 カバー部(導光型光学部材)
24a Y方向の当接面
24b Z方向の当接面
24c 底面
25 フランジ
26 基板部
26a 底面
30 光ポインティング装置
40 光ポインティング装置
50 光ポインティング装置
51a 遮蔽膜(遮蔽膜)
51b 遮蔽膜
60 携帯電話機
L 被写体からの反射光
L1・L2 被写体からの迷光
M 光源からの照射光
M1・M2 光源からの迷光
P ウィンドエリア
θ 傾斜角度

Claims (8)

  1. 被写体に光を照射する光源と、該被写体からの反射光を内部で反射させて導光する導光型光学部材と、該導光型光学部材によって導光された光を受光する撮像素子とを備えた光ポインティング装置であって、
    上記導光型光学部材には、上記被写体が接触する接触面と、導光される光を上記撮像素子に導く結像反射部と、上記被写体からの反射光の方向を変換させて上記結像反射部に導く光路変換手段とが一体に形成されており、
    上記撮像素子は、上記導光型光学部材における上記結像反射部よりも光源側の下側に配設されていると共に、
    上記導光型光学部材には、さらに、上記被写体からの反射光又は光源からの直接光が結像反射部を介さずに上記撮像素子に直接入射することを防止する切り欠き部が該撮像素子の直上面における少なくとも光源側の一部に形成されていることを特徴とする光ポインティング装置。
  2. 前記切り欠き部には、前記被写体からの反射光又は光源からの直接光が結像反射部を介さずに前記撮像素子に直接入射することを防止する遮光部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ポインティング装置。
  3. 前記遮光部材は、黒系の膜からなっていることを特徴とする請求項2記載の光ポインティング装置。
  4. 前記光路変換手段は、前記被写体からの反射光を屈折させるプリズムからなっていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の光ポインティング装置。
  5. 前記光路変換手段は、前記被写体からの反射光の方向を偏向させて前記結像反射部に導く光路偏向手段からなっていると共に、
    上記光路偏向手段は、反射型回折素子、反射型フレネルレンズ又は反射型ホログラムレンズのいずれかによって構成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の光ポインティング装置。
  6. 前記結像反射部は、球面、非球面又はトロイダル面のいずれかによって構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ポインティング装置。
  7. 前記導光型光学部材における、前記被写体が接触する接触面以外の表面領域には、外部からの光を遮光する遮蔽膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光ポインティング装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ポインティング装置を備えていることを特徴とする電子機器。
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