JP2011095490A - 光学装置 - Google Patents

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慎太郎 山▲崎▼
Isao Aoyanagi
勲 青柳
Kenji Hiramoto
健二 平本
Shinya Urata
信也 浦田
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Abstract

【課題】互いに直交する2軸の周りに電磁力によって可動部を揺動させることが可能な光学装置において、電磁石部分を含む光学装置全体を小型化することと、消費電力の増大を抑制することとを両立させる。
【解決手段】光学装置は、ミラー部と、第1電磁石と、第2電磁石とを備えている。このミラー部は2軸駆動型であって、第1磁性体および第2磁性体を備えている。第1電磁石と第2電磁石の少なくとも一方の少なくとも一部がミラー部設置領域内に存在しているため、電磁石を小さくしても、可動部を揺動させるための駆動力を確保できるために、コイル巻き数、コイルに通電する駆動電流を大きくする必要がない。電磁石部分を含む光学装置全体を小型化することと、消費電力の増大を抑制することとを両立させることが可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁力によってミラーを揺動させることによって光ビームの反射方向を変化させる光学装置に関する。
光ビームを偏向させる光学装置をMEMS技術を利用して製造する技術が開発されている。この種の光学装置は、基板と可撓梁と可動部を備えており、可撓梁によって可動部を基板から離反した位置に支持する。可動部の上面にミラーが設置されており、可動部を基板に対して揺動させることによって、ミラーを所定の角度に傾ける。
電磁力を利用する光学装置では、可動部に永久磁石もしくは電磁石のうちの一方を設置し、基板上にその他方を設置する。特許文献1には、可動部に永久磁石を設置し、基板上に電磁石を設置する光学装置が開示されている。電磁石のコイルに駆動電流を通電すると、可動部の永久磁石と基板上の電磁石との間に電磁力が作用する。この電磁力によって、可動部の一部を基板側(可動部の下方側)に向けて吸引することによって、および/または、可動部の一部を反基板側(可動部の上方側)に向けて反発することによって、可動部を揺動させる。
特開2005−173411号公報
電磁力を利用する光学装置の場合、互いに直交する2軸の周りに可動部を揺動させようとすると、各々の軸ごとに可動部を揺動させる電磁石を設置する必要がある。このため、電磁石部分を含む光学装置の全体が大型化してしまう。一方、基板上に設置する電磁石のコイルの巻き数を増やしたり、コイルを流れる駆動電流を大きくしたりすれば、小さい電磁石を用いても、可動部を揺動させるのに必要な電磁力を得ることができる。しかしながら、電磁石のコイルの巻き数を増やしたり、コイルを流れる駆動電流を大きくしたりすると、光学装置を駆動させる際の消費電力が大きくなってしまう。
本願では、互いに直交する2軸の周りに可動部を揺動させることが可能な光学装置において、電磁石部分を含む光学装置の全体を小型化することと、消費電力の増大を抑制することとを両立させることが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明の光学装置は、ミラー部と、第1電磁石と、第2電磁石とを備えている。
ミラー部は、基板と、基板に固定されている支持部と、支持部から第1方向に伸びている第1可撓梁と、第1可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている中間部と、中間部から第2方向に伸びている第2可撓梁と、第2可撓梁によって中間部に対して揺動可能に支持されている可動部と、可動部の上面に固定されているミラーと、中間部に固定されている第1磁性体と、可動部に固定されている第2磁性体とを備えている。第1方向と第2方向は直交している。
第1電磁石は、中間部に固定されている第1磁性体に、中間部を第1可撓梁の周りに回転させるトルクを発生させる磁束を発生する第1コイルを備えている。第2電磁石は、可動部に固定されている第2磁性体に、可動部を第2可撓梁の周りに回転させるトルクを発生させる磁束を発生する第2コイルを備えている。
ミラー部を平面視した場合に、ミラー部設置領域内に、第1電磁石と第2電磁石の少なくとも一方の少なくとも一部が存在している。ここでいうミラー部設置領域とは、第1方向に伸びる相互に平行な2辺と第2方向に伸びる相互に平行な2辺を有する四辺形のうちで、ミラー部を囲うことができる最小の四辺形の内側の領域をいう。
上記の光学装置では、ミラーが設置されている可動部が、第1電磁石と第1磁性体との間に作用する電磁力によって第1方向に伸びる軸の周りに揺動し、第2電磁石と第2磁性体との間に作用する電磁力によって第2方向に伸びる軸の周りに揺動する。すなわち、この光学装置では、可動部を直交する2軸の周りに独立に揺動させることができる(第1方向に伸びる軸の周りの揺動角を変えないで、第2方向に伸びる軸の周りの揺動角を変えることができ、第2方向に伸びる軸の周りの揺動角を変えないで第1方向に伸びる軸の周りの揺動角を変えることができることを、2軸の周りに独立に揺動させると表現する)。
電磁石の大きさ、コイル巻き数、コイルに通電する駆動電流が同じである場合、電磁石と、これに対応する磁性体との間の距離が短いほど、その間に作用する電磁力は大きくなる。本発明では、第1電磁石と第2電磁石のうちの少なくとも一方の少なくとも一部が、ミラー部設置領域内に存在している。このため、ミラー部設置領域内に存在する電磁石と、この電磁石との間に電磁力を発生させる磁性体との距離が短くなる。その結果、電磁石を小さくしても、可動部を揺動させるのに必要な駆動力を確保することができる。必要な駆動力を確保するために、コイル巻き数を増やしたり、コイルに通電する駆動電流を大きくする必要がない。すなわち、本発明によれば、電磁石部分を含む光学装置の全体を小型化することと、消費電力の増大を抑制することとを両立させることが可能となる。
上記の光学装置では、光学装置の使用条件または製造条件に基づいて、可動部の共振周波数が変動する。共振周波数の上限値をfmaxとし、下限値をfminとした場合に、ミラー部設置領域内に存在する電磁石の駆動信号の周波数fが、下記の式(1):
min−(fmax−fmin)≦f≦fmax+(fmax−fmin)…(1)
を満たしていることが好ましい。
可動部を揺動させる外力(例えば電磁力)の周波数が、可動部の共振周波数に近づくと、外力に対して得られる可動部の振幅の割合(振幅増幅率)が大きくなる。外力の周波数が共振周波数に一致する場合に、振幅増幅率は最大となる。すなわち、小さい外力で可動部を大きく振動させるためには、外力の周波数を可動部の共振周波数に近づければよい。
ミラー部設置領域内に存在する電磁石に駆動信号を印加することよって、可動部を振動させる外力である電磁力を得ることができる。この電磁力の周波数fを上記の共振周波数に近い共振周波数領域に設定すれば、小さい電磁力で可動部を大きく振動させることができる。これによって、ミラー部設置領域内に存在する電磁石を小さくしても、可動部を大きく振動させることが可能となる。
可動部の共振周波数は、光学装置の使用条件(例えば使用する環境の温度や湿度)または製造条件によって変化する。そこで、光学装置の使用条件または製造条件に基づいて、可動部の共振周波数を調べ、得られた共振周波数の上限値をfmaxとし、下限値をfminとして、可動部に作用する電磁力の周波数fを、式(1)に示される共振周波数領域に設定する。このようにすれば、光学装置の使用条件または製造条件によって共振周波数が変化する場合であっても、小さい外力で可動部を大きく振動させることが可能となる。
本発明によれば、電磁力によって互いに直交する2軸の周りに可動部を揺動させることが可能な光学装置において、電磁石部分を含む光学装置の全体を小型化することと、消費電力の増大を抑制することとを両立させることが可能となる。
実施例1の光学装置の平面図である。 図1の光学装置のミラー部と第2電磁石を拡大する図である。 図2のIII−III線断面図である。 光学装置の共振周波数を算出するモデルを説明する図である。 変形例の光学装置のミラー部と第2電磁石の配置を示す図である。 変形例の光学装置に係る電磁石および磁性体を示す図である。 変形例の光学装置に係る電磁石および磁性体を示す図である。 変形例の光学装置に係る電磁石および磁性体を示す図である。 変形例の光学装置に係る電磁石および磁性体を示す図である。 変形例の光学装置に係る電磁石および磁性体を示す図である。
本発明に係る好ましい実施形態は、例えば、下記に列挙する特徴を備えた実施例によって具現化される。
(特徴1)第2電磁石がミラー部設置領域内に設置されている。
(特徴2)第1可動梁と第2可動梁によって十字形状が形成されている。
(特徴3)第2電磁石は4つに分割されており、十字形状で区画される4つの空間の各々に1個の第2電磁石が配置されている。
図1は、実施例1の光学装置10の平面図である。光学装置10は、第1電磁石20と、第1電磁石20の内側に設置されているミラー部30と、第1電磁石20の内側に設置されている第2電磁石41a、41b、43a、43bを備えている。第1電磁石20とミラー部30と第2電磁石41a、41b、43a、43bは、図3に示されている基板300によって支持されている。
図2は、図1に示すミラー部30および第2電磁石41a、41b、43a、43bの拡大図であり、図3は、図2のIII−III線断面図である。図2および図3に示すように、ミラー部30は、基板300上に固定されている支持部301と、支持部301から伸びている1対の第1可撓梁303a,303bと、1対の第1可撓梁303a,303bによって支持されている中間部305と、中間部305から伸びている1対の第2可撓梁309a,309bと、1対の第2可撓梁309a,309bによって支持されている可動部311と、可動部311の上面に固定されているミラー315とを備えている。中間部305には、1対の第1磁性体307a,307bが固定されており、可動部311には、1対の第2磁性体313a,313bが固定されている。第1磁性体307a,307bと、第2磁性体313a,313bは、永久磁石で構成されている。図3に示すように、第2磁性体313a,313bは可動部311を貫通しており、ミラー315が設置されている表面側(図3の上側)がN極、基板300に面している裏面側(図3の下側)がS極となるように設置されている。同様に、第1磁性体307a,307bは中間部305を貫通しており、表面側がN極、裏面側がS極となるように設置されている。
図2に示すように、支持部301と第1可撓梁303aの接続点と、支持部301と第1可撓梁303bの接続点を結ぶ線をy軸とし、中間部305と第2可撓梁309aの接続点と,中間部305と第2可撓梁309bの接続点を結ぶ線をx軸とし、xy平面に直交する方向をz軸とすると、第1可撓梁303a,303bは、支持部301からy軸方向に伸びているとともに、中間部305に連接している。第2可撓梁309a,309bは、中間部305からx軸方向に伸びているとともに、可動部311に連接している。第1方向であるy軸と、第2方向であるx軸は、基板に平行な面内で直交している。
中間部305は、第1可撓梁303a,303bによって、基板300に対してy軸を中心に揺動可能に支持されており、可動部311は、第2可撓梁309a,309bによって、中間部305に対してx軸を中心に揺動可能に支持されている。これによって、可動部311は、基板300に対して、y軸(第1軸)とx軸(第2軸)の周りに独立に揺動することが可能となっている。
本実施例では、第2電磁石41a、41b、43a、43bは、ミラー部30を平面視した図2において、支持部301の外周よりも内側の領域に設置されている。すなわち、第1方向(y軸方向)に平行な2辺と第2方向(x軸方向)に平行な2辺を有する四辺形のうちでミラー部を囲うことができる最小の四辺形の範囲をミラー部設置領域31と定義すると、ミラー部設置領域31内に、第1電磁石と第2電磁石の少なくとも一方の少なくとも一部が存在している。より具体的には、第2電磁石41a、41b、43a、43bは、ミラー部30の支持部301の内側の領域であって、第1可撓梁303a,303bと、中間部305と、第2可撓梁309a,309bと、可動部311と重ならない領域に設置されている。このため、可動部311等が基板300に対して揺動する際に、第2電磁石41a、41b、43a、43bに当接することがない。
図1に示すように、第1電磁石20は、鉄心201と、鉄心201に巻き付けられている第1コイル203a,203bを備えている。第1コイル203a,203bの巻き軸方向は、x軸方向(第2方向)である。鉄心201は、ミラー部30を挟んで対向する凸部201aと凸部201bとを備えており、凸部201aと凸部201bとの間に、第1磁性体307a,307bが設置されている。第1電磁石20の第1コイル203a,203bに電流を流すと、凸部201aと凸部201bとの間にx軸方向の磁界が発生し、この間に設置されている第1磁性体307a,307bに対して、電磁力が作用する。これによって、第1可撓梁303a、303bが捩れ、中間部305と、第2可撓梁309a,309bと、可動部311と、ミラー315とが一体となってy軸の周りに揺動する。
例えば、凸部201aがN極、凸部201bがS極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1磁性体307a,307bの表面側のN極は、凸部201aから斥力を受け、凸部201bから引力を受ける。第1磁性体307a,307bの裏面側のS極は、凸部201aから引力を受け、凸部201bから斥力を受ける。その結果、第1可撓梁303a、303bが捩れ、中間部305と、第2可撓梁309a,309bと、可動部311と、ミラー315は、凸部201a側が基板300から遠ざかり、凸部201b側が基板300に近づく。逆に、凸部201aがS極、凸部201bがN極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、中間部305と、第2可撓梁309a,309bと、可動部311と、ミラー315は、凸部201a側が基板300に近づき、凸部201b側が基板300から遠ざかる。第1電磁石20は、第1磁性体307a,307bに、中間部305を第1可撓梁303a、303bの周りに回転させるトルクを発生させる磁束を発生する第1コイル203a,203bを備えている。凸部201aと凸部201bの間に発生するx軸方向の磁界は、第2磁性体313a,313bにも、可動部311を第1可撓梁303a、303bの周りに回転させるトルクを発生させる。中間部305に生じるトルクと、可動部311に生じるトルクは同じ方向であり、中間部305と可動部311の全体が、第1可撓梁303a、303bの周りに揺動する。
また、図2に示すように、第2電磁石41a、41b、43a、43bは、鉄心401a、401b、403a、403bと、鉄心401a、401b、403a、403bに巻き付けられている第2コイル402a、402b、404a、404bを備えている。第2コイル402a、402b、404a、404bの巻き軸方向は、y軸方向(第1方向)である。第2電磁石41aと第2電磁石41bの間に、第2磁性体313bが設置されている。第2電磁石43aと第2電磁石43bの間に、第2磁性体313aが設置されている。第2コイル402a,402bに電流を流すと、第2電磁石41aと第2電磁石41bの間にy軸方向の磁界が発生し、この間に設置されている第2磁性体313bに対して、電磁力が作用する。第2コイル404a,404bに電流を流すと、第2電磁石43aと第2電磁石43bの間にy軸方向の磁界が発生し、この間に設置されている第2磁性体313aに対して、電磁力が作用する。これによって、第2可撓梁309a、309bが捩れ、可動部311と、ミラー315とが一体となってx軸の周りに揺動する。
例えば、第2電磁石41a、43aの第2磁性体313a,313bに近い側がN極、第2電磁石41b、43bの第2磁性体313a、313bに近い側がS極となるように第2コイル402a,402b,404a,404bに電流を流すと、第2磁性体313a,313bの表面側のN極は、第2電磁石41a、43aから斥力を受け、第2電磁石41b、43bから引力を受ける。第1磁性体313a,313bの裏面側のS極は、第2電磁石41a、43aから引力を受け、第2電磁石41b、43bから斥力を受ける。その結果、第2可撓梁309a、309bが捩れ、可動部311と、ミラー315は、第2電磁石41a、43aの側が基板300から遠ざかり、第2電磁石41b、43bの側が基板300に近づく。逆に、第2電磁石41a、43aの第2磁性体313a,313bに近い側がS極、第2電磁石41b、43bの第2磁性体313a、313bに近い側がN極となるように第2コイル402a,402b,404a,404bに電流を流すと、可動部311と、ミラー315とは、第2電磁石41a、43aの側が基板300に近づき、第2電磁石41b、43bの側が基板300から遠ざかる。
本実施例では、第2電磁石41a、41b、43a、43bが、ミラー部30を平面視した場合に、支持部301の外周よりも内側の領域に設置されている。このため、図1に示すように、第2電磁石41a,41bと第2磁性体313bとの距離、および第2電磁石43a,43bと第2磁性体313aとの距離が、第1電磁石20の鉄心201の凸部201a,201bと第1磁性体307a,307bとの距離と比較して著しく小さくなっている。磁極の間に作用する電磁力(引力または斥力)は、磁極間距離が小さいほど大きくなるから、第2電磁石41a,41b、43a,43bを小さくしても、可動部311を揺動させるための駆動力を確保することができる。第2電磁石41a,41b、43a,43bのコイル巻き数や、コイルに通電する駆動電流を大きくすることなく、第2電磁石41a,41b、43a,43bを小さくすることと、可動部311を揺動させるために必要な駆動力を確保することとを両立させることができる。すなわち、電磁石部分を含む光学装置10の全体を小型化することと、その消費電力の増大を抑制することとを両立させることが可能となる。
本実施例では、第2の電磁石41a,41b、43a,43bに流す駆動電流の周波数を、可動部311の共振周波数に近い周波数とすることで、小さな駆動電流で可動部311を大きく振動させる。
可動部311を揺動させる外力の周波数が、可動部311の共振周波数に近づくと、外力に対して得られる可動部311の振幅の割合(振幅増幅率)が大きくなる。外力の周波数が可動部311の共振周波数に一致する場合に、振幅増幅率は最大となる。すなわち、小さい外力で可動部311を大きく変位させるためには、外力の周波数を、可動部311の共振周波数に近づければよい。
可動部311の共振周波数は、光学装置の使用条件(例えば使用する環境温度や湿度)または製造条件によって変化する。そこで、この光学装置の使用条件または製造条件に基づいて、可動部311の共振周波数を調べる。得られた共振周波数の上限値をfmaxとし、下限値をfminとした場合、本実施例では、可動部に作用する外力(電磁力)の周波数fを、式(1)に示される周波数領域に設定する。
min−(fmax−fmin)≦f≦fmax+(fmax−fmin)…(1)
周波数fを式(1)の示す領域に設定すれば、光学装置の使用条件または製造条件によって共振周波数が変化する場合であっても、小さい駆動電流で可動部を大きく変位させることが可能となる。なお、式(1)に、固有角振動数ωと周波数fとの関係式であるω=2πfを用いれば、式(1)は、固有角振動数ωを用いて下記の式(2)ように表すこともできる。
ωmin−(ωmax−ωmin)≦ω≦ωmax+(ωmax−ωmin)…(2)
次に、共振周波数の上限値であるfmaxおよび下限値であるfminの求め方について、具体例を挙げて説明する。
(共振周波数の上限値であるfmaxおよび下限値であるfminの算出例)
以下に説明する共振周波数の上限値であるfmaxおよび下限値であるfminの算出方法の一例においては、説明を簡略化するため、図4に示すような1軸駆動型の光学装置を用いてその算出方法を説明する。尚、ここでは算出方法の説明を簡略化するために、1軸駆動型の光学装置を例示したが、工学的知見に基づき、同様に、2軸駆動型の光学装置についても共振周波数の上限値であるfmaxおよび下限値であるfminを算出することができる。この算出方法を2軸駆動型の光学装置に適用し、計算が複雑化する場合には、CAE等の手段を用いて計算することができる。
図4は、1軸駆動型の光学装置の可動部511および可撓梁503a,503bを模式的に示している。可動部511は、可撓梁503a,503bによって揺動可能に支持されている。可動部511の寸法は、長さ:L=1mm、幅:W=1mm、厚さ:t=0.1mmである。可撓梁503aと可動梁503bは同じ寸法であって、長さ:L=0.7mm、幅:W=0.1mm、厚さ:t=0.1mmである。可動梁503a、503bは、可動部511の幅方向(寸法Wの方向)の中央部に接続され、厚さ方向には、可動部511の上下面と可撓梁503a、503bの上下面がそれぞれ一致するように接続される。なお、可動部511および可撓梁503a,503bはSiの単結晶で形成されている。
図4に係る可動部511および可撓梁503a、503bを備えた1軸駆動型の光学装置の共振周波数の上限値であるfmaxおよび下限値であるfminを、下記の2つの要素を考慮して、算出する。
(要素1)光学装置の製造プロセスにおいて、可動部、可撓梁等のミラー部の構造を形成するフォトリソグラフィ工程のプロセス精度
(要素2)光学装置を使用する温度
(要素1について)
図4に示すような可動部511および可撓梁503a、503bをフォトリソグラフィによって形成するフォトリソグラフィ工程において、図4に示す寸法のうち、平面方向の誤差が±2%である場合(L、W、L、Wの寸法の誤差が±2%であり、t、tは誤差が生じない場合)について説明する。
可動部511の共振周波数共振周波数frは、下記の式(3)によって表される。
=1/(2π)×(K/J)1/2 … (3)
ここで、K:可撓梁503a,503bのばね定数、J:可動部の慣性モーメント、であって、それぞれ、下記の式(4)(5)によって表される。
J={ρLtW(W+t)} … (4)
K=(k G/L) … (5)
ここで、ρ:可動部の密度、G:Si単結晶の横弾性係数である。また、kはKとt G/Lの関係を示す係数であり、弾性力学の理論に基づき、近似的に下記の式(6)によって表される。
=(1/3)−0.21(W/t){1−(1/12)(W /t )}…(6)
式(4)より、tがWよりも十分に小さい場合(t≪W)には、慣性モーメントJは、L、Wの寸法の誤差(±2%)の4乗で変化することがわかる。また、tがWよりも十分に小さい場合(t≪W)には、式(5)より、ばね定数Kは、L、Wの寸法の誤差(±2%)の2乗で変化することがわかる。これに基づいて、式(3)〜(6)を用いて、誤差がゼロである場合の慣性モーメントJ、ばね定数K、共振周波数fを基準とした場合に、L、W、L、Wの寸法が±2%変動した場合に、慣性モーメントJ、ばね定数K、共振周波数fが何倍に変化するかを計算した結果を表1に示す。
Figure 2011095490
すなわち、誤差がゼロである場合の共振周波数をfr1とすると、要素1によって、共振周波数fは、fr1/1.02≦f≦fr1/0.98の範囲で変化し得る。
(要素2について)
図4に示すような可動部511および可撓梁503a、503bを備えた光学装置を、25〜60℃の温度条件において使用する場合について、説明する。
式(5)中のG:Si単結晶の横弾性係数は、光学装置を使用する温度によって変化する。Si単結晶の横弾性係数Gの温度依存性は、下記の式(7)によって表される。
G(T)=(1+αT)G … (7)
ここで、T:温度であり、係数α=−9.72×10である。
これに基づいて、式(3)〜(7)を用いて、光学装置を25℃で使用する場合のSi単結晶の横弾性係数、共振周波数を基準とした場合に、光学装置を60℃で使用する場合のSi単結晶の横弾性係数、共振周波数が何倍に変化するかを計算した結果を表2に示す。
Figure 2011095490
すなわち、光学装置を25℃で使用する場合の共振周波数をfr2とすると、要素2によって、共振周波数fは、0.999fr2≦f≦fr2の範囲で変化し得る。
フォトグラフィ工程の誤差がゼロであり、かつ、光学装置を25℃で使用する場合の共振周波数fr0をとすると、図4に係る可動部511および可撓梁503a、503bを備えた1軸駆動型の光学装置の共振周波数の上限値であるfmaxと下限値であるfminは、表1および表2に示す結果より、下記のように算出される。
min=(0.999/1.02)fr0=0.98fr0
max=(1/0.98)fr0=1.02fr0
共振周波数の設計値fr0がfr0=57.7kHzである場合には、要素1および要素2によって、共振周波数fは、f=56.5〜58.9kHzの間で変化する。すなわち、共振周波数の下限値はfmin=56.5kHzであり、上限値はfmax=58.9kHzと算出される。光学装置を駆動する電流の周波数fを、式(1)の示す範囲に設定すれば、光学装置の使用条件または製造条件によって共振周波数が変化する場合であっても、小さい電磁力で可動部を大きく変位させることが可能となる。
尚、上記においては、要素1および要素2を条件とした場合のfmaxおよびfminの算出例を具体的に説明したが、fmaxおよびfminを算出するための光学装置の使用条件または製造条件は、これに限定されない。
上記のとおり、本実施例に係る光学装置では、第2電磁石がミラー部設置領域内に存在している。このため、ミラー部設置領域内に存在する電磁石と、この電磁石との間に電磁力を発生させるための磁性体との距離が短くなる。その結果、電磁石を小さくしても、可動部を揺動させるのに必要な駆動力を確保することができ、コイル巻き数、コイルに通電する駆動電流を大きくする必要がない。本実施例によれば、電磁石部分を含む光学装置の全体を小型化することと、消費電力の増大を抑制することとを両立させることが可能となる。
尚、本実施例では、第2電磁石の全体が、ミラー部設置領域内に存在している例を挙げて説明したが、第2電磁石の少なくとも一部がミラー部設置領域内に存在していればよい。また、第2電磁石に代えて、もしくは第2電磁石とともに、第1電磁石の少なくとも一部がミラー部設置領域内に存在していてもよい。
また、本実施例において説明した光学装置10では、ミラー部30の支持部301がミラー部30の外周を取り囲む枠状の支持部であったが、図5に示すように、ミラー部30の支持部は、柱状の支持部331a,331bによって構成されていてもよい。図5に示すような支持部331a,331bを備えている場合には、ミラー部設置領域は、図5に示す破線501〜504によって囲まれた領域となる。ここで、破線501および破線502は第1方向に伸びているとともに相互に平行であり、破線503および破線504は第2方向に伸びているとともに相互に平行である。ミラー部を平面視した場合に、第1方向に伸びているとともに相互に平行な2辺と第2方向に伸びているとともに相互に平行な2辺を有する四辺形であってミラー部を囲うことができる最小の四辺形によって得られるミラー部設置領域内に、第1電磁石と第2電磁石の少なくとも一方の少なくとも一部が存在していればよい。
また、第1電磁石と第2電磁石の設置位置は、本実施例で説明した位置に限られない。図6は、本実施例で説明した光学装置における第1電磁石20、第2電磁石41a,41b,43a,43b、第1磁性体307a,307b、第2磁性体313a,313bの位置関係を模式的に示す斜視図である。これに対して、例えば第1電磁石および第2電磁石の設置位置、設置する個数、形状を図7〜図10に示す状態としてもよい。図7〜図10に示す状態であっても、光学装置を2軸駆動させることが可能である。
図7に示すように、第2電磁石43a,43bおよび第2磁性体313aを設置する一方で、第2電磁石41a,41bおよび第2磁性体313bは設置しないようにしてもよい。さらに、第1電磁石20に代えて、第1電磁石21を用いてもよい。第1電磁石21の鉄心201には、コイル203a,203bに加えて、凸部201a、201bにコイル205a,205bが設置されている。
さらに、図8に示すように、第2電磁石41a,43aおよび第2磁性体313a,313bを設置する一方で、第2電磁石41b,43bは設置しないようにしてもよい。また、図9に示すように、第2電磁石43aおよび第2磁性体313aを設置する一方で、第2電磁石41a,41b,43bおよび第2磁性体313bは設置しないようにしてもよい。
また、図10に示すように、第1電磁石20に代えて、第1電磁石22を用いてもよい。第1電磁石22の鉄心221はC字状であり、鉄心221にはコイル203aが設置されているが、図6等に示すコイル203bは設置されていない。
また、ミラー部設置領域内に設置する電磁石は、空芯コイルであってもよい。コイルに高周波で電流が流れ、インダクタンスが大きくなる場合には、空芯コイルを用いれば、インダクタンスを抑制することができる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10 光学装置
20,21,22 第1電磁石
30 ミラー部
41a,41b,43a,43b 第2電磁石
201,221 鉄心
201a,201b 凸部
203a,203b,205a,205b 第1コイル
300 基板
301 支持部
303a,303b 第1可撓梁
305 中間部
307a,307b 第1磁性体
309a,309b 第2可撓梁
311 可動部
313a,313b 第2磁性体
315 ミラー
331a,331b 支持体
401a,401b,403a,403b 鉄心
402a,402b,404a,404b 第2コイル
501〜504 破線
503a,503b 可撓梁
511 可動部

Claims (2)

  1. ミラー部と、第1電磁石と、第2電磁石とを備えた光学装置であって、
    (1)前記ミラー部は、
    基板と、
    前記基板に固定されている支持部と、
    前記支持部から第1方向に伸びている第1可撓梁と、
    前記第1可撓梁によって前記基板に対して揺動可能に支持されている中間部と、
    前記中間部から前記第1方向に直交する第2方向に伸びている第2可撓梁と、
    前記第2可撓梁によって前記中間部に対して揺動可能に支持されている可動部と、
    前記可動部の上面に固定されているミラーと、
    前記中間部に固定されている第1磁性体と、
    前記可動部に固定されている第2磁性体と、を備えており、
    (2)前記第1電磁石は、前記第1磁性体に前記中間部を前記第1可撓梁の周りに回転させるトルクを発生させる磁束を発生する第1コイルを備えており、
    (3)前記第2電磁石は、前記第2磁性体に前記可動部を前記第2可撓梁の周りに回転させるトルクを発生させる磁束を発生する第2コイルを備えており、
    (4)前記ミラー部を平面視した場合に、前記第1方向に伸びる相互に平行な2辺と、前記第2方向に伸びる相互に平行な2辺を有する四辺形であって前記ミラー部を囲うことができる最小の四辺形であるところのミラー部設置領域内に、前記第1電磁石と前記第2電磁石の少なくとも一方の少なくとも一部が存在していることを特徴とする光学装置。
  2. 前記ミラー部設置領域内に存在する電磁石の駆動信号の周波数fが、
    前記光学装置の使用条件または製造条件に基づいて変動する前記可動部の共振周波数を調べ、得られた共振周波数の上限値をfmaxとし、下限値をfminとした場合に、式:
    min−(fmax−fmin)≦f≦fmax+(fmax−fmin
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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