本実施形態の駆動装置によれば、基礎となるベース部と回転可能に配置される被駆動部(例えば、後述するミラー等)とが、弾性を有する弾性部(例えば、後述するトーションバー等)によって直接的に又は間接的に接続されている。被駆動部は、弾性部の弾性(例えば、被駆動部を一の方向(例えば、後述のY軸方向)に沿った軸を回転軸として回転させることができるという弾性)によって、一の方向に沿った軸を回転軸として回転する。つまり、本実施形態の駆動装置は、被駆動部の1軸駆動を行うことができる。
本実施形態の駆動装置では、コイル部と磁界付与部との間の電磁相互作用に起因した力によって、一の方向に沿った軸を回転軸として被駆動部が回転する。言い換えれば、一の方向に沿った軸を回転軸として被駆動部が回転するための駆動力は、コイル部と磁界付与部との間の電磁相互作用に起因した電磁力である。
より具体的には、後に詳述するように、コイル部には、一の方向に沿った軸を回転軸として被駆動部を回転させるための制御電流が供給される。この制御電流は、例えば、一の方向に沿った軸を回転軸として被駆動部が回転する周波数(言い換えれば、周期)と同一の周波数を有する又は同期した周波数を有する交流電流であることが好ましい。より好ましくは、制御電流は、被駆動部及び弾性部によって定まる被駆動部の共振周波数(より具体的には、被駆動部の慣性モーメント及び弾性部のねじりバネ定数によって定まる被駆動部の共振周波数)と同一の周波数を有する又は同期した周波数を有する交流電流であることが好ましい。一方で、コイル部には、磁界付与部から磁界が付与される。このため、コイル部に供給される制御電流と磁界付与部が付与する磁界との電磁相互作用に起因して、コイル部には、ローレンツ力が発生する。このローレンツ力によって、被駆動部は、一の方向に沿った軸を回転軸として回転する。
本実施形態では特に、コイル部は、巻き線の外側に被駆動部が配置されるように、ベース部上に配置される。言い換えれば、コイル部は、巻き線の内側に被駆動部が配置されないように、ベース部上に配置される。つまり、コイル部は、被駆動部が配置される箇所から所定方向(例えば、一の方向とは異なる他の方向(例えば、後述のX軸方向))にオフセットした位置に配置される。より具体的には、コイル部は、被駆動部の中心が配置される箇所から所定方向にオフセットした位置にコイル部の中心(例えば、巻き線の中心)が配置されるように、ベース部上に配置される。尚、コイル部がベース部上に配置されるため、ベース部の少なくとも一部の形状は、コイル部を配置可能な形状を有していることが好ましい。
このように、本実施形態では、被駆動部は、コイル部の巻き線の外側に位置することになる。従って、コイル部は、被駆動部を取り囲むように配置されなくともよい。その結果、本実施形態では、コイル部が被駆動部を取り囲むように配置される場合と比較して、コイル部のサイズ(例えば、巻き線の径や巻き線の長さ等)を相対的に小さくすることができる。言い換えれば、本実施形態では、被駆動部の大きさに関係なく、コイル部のサイズ(例えば、巻き線の径や巻き線の長さ等)を相対的に小さくすることができる。その結果、当該コイル部に対して磁界を付与するための磁界付与部(例えば、磁石)のサイズもまた、相対的に小さくすることができる。このため、本実施形態では、コイル部が被駆動部を取り囲むように配置される場合と比較して、被駆動部の大きさに関係なく、コイル部と磁気付与部との間の磁気ギャップを相対的に小さくすることができる。従って、本実施形態では、コイル部が被駆動部を取り囲むように配置される場合と比較して、駆動装置の小型化が好適に実現される。
加えて、本実施形態では、被駆動部を取り囲むようにコイル部が配置されなくともよくなるため、被駆動部を取り囲むようにコイル部が配置される駆動装置と比較して、磁界付与部の配置の自由度が相対的に高くなる。このため、コイル部の中心上方(具体的には、コイル部の巻き線の内側の上方に磁界付与部を配置することができる。
但し、本実施形態では、被駆動部が巻き線の外側に位置するコイル部に加えて、被駆動部が巻き線の内側に位置する他のコイル部を更に備えていてもよい。つまり、駆動装置が備える全てのコイル部の巻き線の外側に被駆動部が位置することが要求されているものではない。言い換えれば、駆動装置が備える全てのコイル部のうちの少なくとも1つのコイル部の巻き線の外側に被駆動部が位置していれば足りる。
加えて、複数のコイル部が単一の巻き線によって構成されることがある。この場合であっても、配置位置や形状等によって単一の巻き線から構成される複数のコイル部の夫々を実質的に区別した上で、単一の巻き線から構成される複数のコイル部のうちの一のコイル部の巻き線の外側に被駆動部が位置する一方で、単一の巻き線から構成される複数のコイル部のうちの他のコイル部の巻き線の内側に被駆動部が位置していてもよい。
この態様によれば、コイル部の一の方向に沿った回転軸と被駆動部の一の方向に沿った回転軸とを一致させなくともよくなる。このため、コイル部の一の方向に沿った回転軸と被駆動部の一の方向に沿った回転軸とを一致させる必要がある駆動装置と比較して、被駆動部の配置の自由度が相対的に高くなる。このため、被駆動部は、コイル部の巻き線の外側に位置しやすくなる。従って、上述した各種効果が好適に実現される。
尚、コイル部の一の方向に沿った回転軸は、被駆動部の一の方向に沿った回転軸から、他の方向に沿ってシフトしていることが好ましい。つまり、コイル部は、コイル部の中心(例えば、巻き線の中心)が被駆動部の中心から他の方向に沿ってシフトした位置に配置されるように、ベース部上に配置されていることが好ましい。
この態様によれば、コイル部と磁界付与部との間の電磁相互作用に起因した力によって、一の方向に沿った軸を回転軸として被駆動部が回転する。以下、一の方向に沿った軸を回転軸として被駆動部が回転する具体的な態様について説明を進める。
コイル部には、一の方向に沿った軸を回転軸として被駆動部を回転させるための制御電流が供給される。一方で、コイル部には、磁界付与部から磁界が付与される。このため、コイル部に供給される制御電流と磁界付与部が付与する磁界との電磁相互作用に起因して、コイル部には、ローレンツ力が発生する。
このローレンツ力によって、コイル部は、一の方向に沿った軸を回転軸として回転する(より具体的には、回転するように往復駆動する)。このような一の方向に沿った軸を回転軸とするコイル部の回転を実現するために、一の方向とは異なる(好ましくは、交わる、より好ましくは、直交する)他の方向に沿って対向するコイル部の2つの辺に、異なる方向に作用するローレンツ力が同時に加わることが好ましい。例えば、ある一のタイミングでコイル部に加わるローレンツ力は、他の方向に沿って対向するコイル部の2つの辺のうちの一方の辺に上向きの力として作用する力であり且つ他の方向に沿って対向するコイル部の2つの辺のうちの他方の辺に下向きの力として作用する力であることが好ましい。更に、当該一のタイミングに相前後する他のタイミングでコイル部に加わるローレンツ力は、他の方向に沿って対向するコイル部の2つの辺のうちの一方の辺に下向きの力として作用する力であり且つ他の方向に沿って対向するコイル部の2つの辺のうちの他方の辺に上向きの力として作用する力であることが好ましい。このようなローレンツ力がコイル部に発生することで、コイル部は、一の方向に沿った軸を回転軸として回転する。
一の方向に沿った軸を回転軸とするコイル部の回転に伴って、コイル部が配置されているベース部は、一の方向とは異なる他の方向に沿って定常波状に(つまり、定常波の波形状に)変形振動する。つまり、ベース部は、そのある一部分が変形振動の腹となり且つその他の一部分が変形振動の節となるように、その外観を変形させる。このようなベース部の変形振動によって、他の方向に沿って腹及び節が現れる。ベース部の変形振動は、いわゆる定常波の波形に従って行われるため、その腹及び節の位置は実質的には固定されている。このとき、ベース部の変形振動は、共振となっていてもよい。また、ベース部が共振する共振周波数(つまり、ベース部の変形振動の周波数)は、被駆動部が回転する周波数(或いは、被駆動部の共振周波数)と同一となっていてもよい。
このようなベース部の変形振動に起因して、被駆動部は、一の方向に沿った軸を回転軸として回転する。このとき、被駆動部は、被駆動部及び弾性部によって定まる被駆動部の共振周波数(より具体的には、被駆動部の慣性モーメント及び弾性部のねじりバネ定数によって定まる被駆動部の共振周波数)で共振するように、一の方向に沿った軸を回転軸として回転してもよい。
この態様によれば、ベース部の変形振動における節に対応する箇所に被駆動部が接続されている。また、ベース部の変形振動における節に対応する箇所にコイル部が配置されている。このため、被駆動部及びコイル部の上下方向(具体的には、一の方向及び他の方向の夫々に直交する方向であって、ベース部の表面に対して垂直な方向)の移動ないしは振動を防ぐことができる。従って、被駆動部の高精度な回転を実現することができる。
この態様によれば、一の方向に沿った軸を回転軸とするコイル部の回転に起因したベース部の変形振動を用いて、被駆動部は、一の方向に沿った軸を回転軸として好適に回転する。
尚、一の方向に沿った軸を回転軸とするコイル部の回転方向と一の方向に沿った軸を回転軸とする被駆動部の回転方向とが互いに逆向きとなる例は、厳密に言えば、一の方向に沿った軸を回転軸とするコイル部の回転方向と被駆動部に対応する(例えば、被駆動部を支持している部分に相当する)ベース部の回転方向(言い換えれば、変形振動に伴う疑似的な回転方向)とが互いに逆向きとなる例とも表現できる。
但し、ベース部がより高次の振動モードで変形振動する場合には、一の方向に沿った軸を回転軸とする被駆動部の回転方向と被駆動部に対応する(例えば、被駆動部を支持している部分に相当する)ベース部の回転方向とが逆になってもよい。つまり、一の方向に沿った軸を回転軸とするコイル部の回転方向と一の方向に沿った軸を回転軸とする被駆動部の回転方向とが互いに同じ向きとなってもよい。
この態様によれば、コイルの巻き線の内側及び外側のうちのいずれか一方のみにしか磁界付与部が配置されない駆動装置と比較して、磁界付与部によるコイル部への磁界の付与の効率が高まる。
この態様によれば、コイルの巻き線の内側及び外側の夫々に磁石又はヨークが配置されるがゆえに、コイルの巻き線の内側及び外側のうちのいずれか一方のみにしか磁界付与部が配置されない駆動装置と比較して、磁界付与部によるコイル部への磁界の付与の効率が高まる。
以上説明したように、本実施形態の駆動装置によれば、ベース部と、コイル部の巻き線の外側に配置される被駆動部と、弾性部と、コイル部と、磁界付与部とを備える。従って、コイル部と磁界付与部とを用いて被駆動物を駆動する、相対的に小型な駆動装置が提供される。
以下、図面を参照しながら、駆動装置の実施例について説明する。尚、以下では、駆動装置をMEMSスキャナに適用した例について説明する。
(1)第1実施例
初めに、図1から図4を参照して、MEMSスキャナの第1実施例について説明する。
(1-1)MEMSスキャナの構成
初めに、図1を参照して、第1実施例に係るMEMSスキャナ101の構成について説明する。ここに、図1は、第1実施例に係るMEMSスキャナ101の構成を概念的に示す平面図である。
図1に示すように、第1実施例に係るMEMSスキャナ101は、ベース110と、トーションバー120a及び120bと、ミラー130と、コイル140と、磁石151及び152とを備えている。
ベース110は、内部に空隙を備える枠形状を有している。つまり、ベース110は、図1中のY軸方向に延伸する2つの辺と図1中のX軸方向(つまり、Y軸方向に直交する方向)に延伸する2つの辺とを有すると共に、Y軸方向に延伸する2つの辺とX軸方向に延伸する2つの辺とによって取り囲まれた空隙を有する枠形状を有している。図1に示す例では、ベース110は、正方形の形状を有しているが、これに限定されることはなく、例えばその他の形状(例えば、長方形等の矩形の形状や円形の形状等)を有していてもよい。また、ベース110は、第1実施例に係るMEMSスキャナ101の基礎となる構造体であって、不図示の基板ないしは支持部材に対して固定されている(言い換えれば、MEMSスキャナ100という系の内部においては固定されている)ことが好ましい。或いは、ベース110は、不図示のサスペンション等によって吊り下げられていてもよい。
尚、図1では、ベース110が枠形状を有している例を示しているが、その他の形状を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、ベース110は、その一部の辺が開口となるコの字型形状を有していてもよい。或いは、例えば、ベース110は、内部に空隙を備える箱型形状を有していてもよい。つまり、ベース110は、X軸及びY軸によって規定される平面上に分布する2つの面と、X軸及び不図示のZ軸(つまり、X軸及びY軸の双方に直交する軸)によって規定される平面上に分布する2つの面と、Y軸及び不図示のZ軸によって規定される平面上に分布する2つの面とを有すると共に、これらの6つの面によって取り囲まれた空隙を有する箱形状を有していてもよい。或いは、ミラー130が配置される態様に応じて適宜ベース110の形状を任意に代えてもよい。
トーションバー120a及び120bの夫々は、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。トーションバー120a及び120bの夫々は、図1中Y軸方向に延伸するように配置される。言い換えれば、トーションバー120a及び120bの夫々は、Y軸方向に延伸する長手を有すると共にX軸方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、トーションバー120a及び120bの夫々は、Y軸方向に延伸する短手を有すると共にX軸方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。トーションバー120a及び120bの夫々の一方の端部は、ベース110に接続される。トーションバー120a及び120bの夫々の他方の端部は、ミラー130に接続される。つまり、トーションバー120a及び120bは、間にミラー130を挟み込むようにミラー130を吊り下げている。
ミラー130は、ベース110の内部の空隙に、トーションバー120a及び120bによって吊り下げられる又は支持されるように配置される。ミラー130は、トーションバー120a及び120bの弾性によって、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転するように構成されている。
コイル140は、例えば相対的に導電率の高い材料(例えば、金や銅等)から構成される複数の巻き線である。第1実施例では、コイル140は、矩形の形状を有している。特に、コイル140の4つの辺のうちX軸方向(つまり、ミラー130の回転軸の方向に直交する方向)に沿った2つの辺の長さが、コイル140の4つの辺のうちY軸方向(つまり、ミラー130の回転軸の方向)に沿った2つの辺の長さよりも短い。言い換えれば、コイル140は、X軸方向に沿って対向する2つの長辺と、Y軸方向に沿って対向する2つの短辺を含んでいる。つまり、第1実施例では、コイル140は、長方形状の形状を有している。但し、コイル140は、任意の形状(例えば、正方形やひし形や平行四辺形や円形や楕円形やその他の任意のループ形状)を有していてもよい。
コイル140は、ベース110上に配置されている。特に、コイル140は、ミラー130が配置される位置(特に、ミラー130の中心ないしは重心が配置される位置)を基準として、X軸方向(つまり、ミラー130の回転軸の方向に直交する方向)に沿って所定距離だけシフトした位置にコイル140が位置する(特に、コイル140の中心又は重心が位置する)ように、ベース110上に配置されている。但し、コイル140は、ミラー130が配置される位置を基準として、Y軸方向(つまり、ミラー130の回転軸の方向)に沿って所定距離だけシフトした位置にコイル140が位置するように、ベース110上に配置されていてもよい。加えて、コイル140は、ミラー130とコイル140とがX軸方向に沿って並ぶように、ベース110上に配置されている。その結果、ミラー130は、コイル140を構成する巻き線の外側に位置することになる。言い換えれば、ミラー130は、コイル140を構成する巻き線の内側に位置することはない。
コイル140には、ベース110上に形成されている電源端子141を介して、電源から、ミラー130を回転させるための制御電流が供給される。制御電流は、典型的には、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130が回転する周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。尚、電源は、MEMSスキャナ101自身が備えている電源であってもよいし、MEMSスキャナ101の外部に用意される電源であってもよい。
磁石151及び152は、磁石151と磁石152とがX軸方向に沿って配列するように配置される。特に、磁石151及び152は、磁石151と磁石152とがX軸方向に沿ってコイル140を挟み込むように配置される。加えて、磁石151及び152のいずれか一方が磁束の出射側になると共に、磁石151及び152のいずれか他方が磁束の入射側になる。尚、以下では、磁石151が磁束の入射側になり且つ磁石152が磁束の出射側になる例を用いて説明を進める。
(1-2)MEMSスキャナの動作
続いて、図2から図4を参照して、第1実施例に係るMEMSスキャナ101の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図2は、第1実施例に係るMEMSスキャナ101による動作の態様を概念的に示す平面図及び断面図である。図3は、第1実施例に係るMEMSスキャナ101による動作の態様を概念的に示す平面図及び断面図である。図4は、第1実施例に係るMEMSスキャナ101による動作の態様を概念的に示す断面図である。
第1実施例に係るMEMSスキャナ101の動作時には、まず、コイル140に制御電流が供給される。制御電流は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるための電流成分を含んでいる。第1実施例では、ミラー130は、ミラー130とトーションバー120a及び120bによって定まる共振周波数(より具体的には、ミラー130の慣性モーメントとトーションバー120a及び120bのねじりバネ定数によって定まる共振周波数)で共振するように、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。尚、厳密に言えば、トーションバー120a及び120bを支持するベース110の質量及び慣性モーメントも考慮した上で、ミラー130とトーションバー120a及び120bによって定まる共振周波数が微修正されることが好ましい。但し、以下では(特に、第1実施例のみならず、その他の実施例も含めて)、説明の簡略化のため、共振周波数の微修正については省略して説明を進める。従って、制御電流は、ミラー130の共振周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。但し、ミラー130は、ミラー130とトーションバー120a及び120bによって定まる共振周波数とは異なる又は同期しない周波数で、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転してもよい。この場合には、制御電流は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130が回転する周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。
一方で、コイル140には、磁石151及び152から磁界が付与されている。尚、磁石151及び152は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、磁界を付与することが好ましい。この場合、磁石151及び152は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対しては、磁界を付与しなくともよい。或いは、磁石151及び152は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、磁界を付与してもよい。或いは、磁石151及び152は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して付与している磁界の漏れ磁束のみを付与してもよい。
従って、コイル140には、コイル140に供給されている制御電流とコイル140に付与されている磁界との間の電磁相互作用に起因したローレンツ力が発生することになる。
ここで、図2(a)に示すように、図2(a)中の時計周りの方向に流れる制御電流がコイル140に供給されており、磁石152から磁石151に向かう磁界がコイル140に付与されている状況について説明する。この場合、図2(a)に示すMEMSスキャナ101を矢印IIの方向から観察した図面である図2(b)に示すように、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺のうちの右側(つまり、図2(a)では外側)の長辺には、図2(b)における下側の方向に向かうローレンツ力が発生する。同様に、図2(b)に示すように、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺のうちの左側(つまり、図2(a)では内側)の長辺には、図2(b)における上側の方向に向かうローレンツ力が発生する。つまり、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺には、相互に異なる方向のローレンツ力が発生する。言い換えれば、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺には、偶力となるローレンツ力が発生する。従って、コイル140は、図2(b)における時計周りの方向に向かって回転する。
一方で、制御電流が交流電流であるため、図3(a)に示すように、図3(a)中の反時計周りの方向に流れる制御電流がコイル140に供給されており、磁石152から磁石151に向かう磁界がコイル140に付与される状況が、図2(a)に示す状況に続けて生ずる。この場合、図3(a)に示すMEMSスキャナ101を矢印IIIの方向から観察した図面である図3(b)に示すように、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺のうちの右側(つまり、図3(a)では外側)の長辺には、図3(b)における上側の方向に向かうローレンツ力が発生する。同様に、図3(b)に示すように、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺のうちの左側(つまり、図2(a)では内側)の長辺には、図3(b)における下側の方向に向かうローレンツ力が発生する。つまり、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺には、相互に異なる方向のローレンツ力が発生する。言い換えれば、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの長辺には、偶力となるローレンツ力が発生する。従って、コイル140は、図3(b)における半時計周りの方向に向かって回転する。
このようなローレンツ力によって、コイル140は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する(より具体的には、回転するように往復駆動する)。このとき、Y軸方向に沿ったコイル140の回転軸は、Y軸方向に沿ったミラー130の回転軸とは異なっている。具体的には、Y軸方向に沿ったコイル140の回転軸は、Y軸方向に沿ったミラー130の回転軸を基準として、X軸方向に所定距離シフトした位置に存在する。このため、Y軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を直接的に回転させることはない。
一方で、Y軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転に伴って、コイル140からベース110に対して微振動が伝搬する。その結果、コイル140が配置されているベース110は、X軸方向に沿って定常波状に(つまり、定常波の波形状に)変形振動する。言い換えれば、ベース110は、X軸方向に沿って波打つように変形振動する。つまり、ベース110は、そのある一部分が変形振動の腹となり且つその他の一部分が変形振動の節となるように、その外観を変形させる。
このようなベース110の変形振動に起因して、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。このとき、ミラー130は、ミラー130並びにトーションバー120a及び120bに応じて定まる共振周波数(例えば、20kHz)で共振するように回転する。例えば、ミラー130のY軸方向に沿った軸回り慣性モーメントがIであり且つトーションバー120a及び120bを1本のバネとみなした場合のねじりバネ定数がkであるとすれば、ミラー130は、(1/(2π))×√(k/I)にて特定される共振周波数(或いは、(1/(2π))×√(k/I)のN倍若しくはN分の1倍(但し、Nは1以上の整数)の共振周波数)で共振するように、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
ここで、Y軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転とX軸方向に沿ったベース110の変形振動とY軸方向に沿った軸を回転軸とするミラー130の回転の関係について、図4を参照しながらより詳細に説明する。
図4(a)に示すように、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてコイル140が回転していない状態では、X軸方向に沿ってベース110は変形振動していない。このため、ミラー130もまた、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転していない。
その後、図4(b)に示すように、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてコイル140が図4(b)における反時計回りの方向に沿って回転し始めると、ベース110は、コイル140のY軸方向に沿った回転軸に対応する箇所(つまり、コイル140のY軸方向に沿った回転軸上に位置する箇所)が節となるように、X軸方向に沿って変形振動し始める。加えて、ベース110は、ミラー130のY軸方向に沿った回転軸に対応する箇所(つまり、ミラー130のY軸方向に沿った回転軸上に位置する箇所)が節となるように、X軸方向に沿って変形振動し始める。言い換えれば、ベース110は、コイル140のY軸方向に沿った回転軸に対応する箇所とミラー130のY軸方向に沿った回転軸に対応する箇所との間に腹が存在するように、X軸方向に沿って変形振動し始める。つまり、ベース110の変形振動によって、X軸方向に沿って腹及び節が現れる。尚、ベース110の変形振動は、いわゆる定常波の波形に従って行われるため、その腹及び節の位置は実質的には固定されている。このとき、ベース110の変形振動の周波数は、典型的には、上述したミラー130の共振周波数と同一になる。
このようなベース110の変形振動を実現するために、ベース110の剛性が調整されてもよい。例えば、ベース110のうち節となる箇所の剛性が相対的に高くなると共に、ベース110のうち腹となる箇所の剛性が相対的に低くなっていてもよい。より具体的には、例えば、ベース110のうち節となる箇所にリブが形成されると共にベース110のうち腹となる箇所にリブが形成されなくともよい。この場合、リブが形成されているベース110の箇所は、剛性が相対的に高いため、コイル140の回転に伴って屈曲しにくい一方で、リブが形成されていないベース110の箇所は、剛性が相対的に低いため、コイル140の回転に伴って屈曲しやすい。その結果、ベース110は、リブが形成されている箇所を節とし且つリブが形成されていない箇所を腹にして、X軸の方向に沿って波打つように変形振動する。
その結果、図4(a)から図4(g)に時系列的に示すように、コイル140の回転に伴って、ベース110は、定常波の如き外観を有するように変形振動する。つまり、ベース110は、ミラー130の回転軸に直交する方向(つまり、X軸方向)に沿って定常波が現れるような外観を有する。その結果、図4(a)から図4(g)に時系列的に示すように、ベース110の変形振動に合わせて、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
尚、図4(a)から図4(g)に示すように、典型的には、コイル140の回転方向とミラー130の回転方向とは、互いに逆向きとなる。具体的には、図4(a)から図4(c)に示すように、コイル140が反時計回りに回転している状態では、ミラー130が時計回りに回転する。同様に、図4(c)から図4(g)に示すように、コイル140が時計回りに回転している状態では、ミラー130が反時計回りに回転する。尚、図4(g)に示す状態のコイル140、ベース110及びミラー130は、その後、図4(f)に示す状態を経てから図4(a)に示す状態に遷移する。以降、コイル140、ベース110及びミラー130は、図4(a)から図4(g)に示す時系列に従って変形振動ないしは回転する。但し、図4(a)から図4(g)に示すベース110の変形モードは、あくまで一例であって、ベース110は、他の変形モード(例えば、更に多くの節を有する変形モード)で変形振動してもよい。
また、図4(a)から図4(g)は、コイル140の回転方向とミラー130の回転方向とが互いに逆向きとなる例を示している。この例は、厳密に言えば、コイル140の回転方向とミラー130を支持している部分におけるベース110の回転方向とが互いに逆向きとなる例とも表現できる。
但し、ベース110がより高次の振動モード(例えば、図4(a)から図4(g)に示す状態と比較して、節や腹の数が増加する振動モード)で変形振動する場合には、ミラー130の回転方向とミラー130を支持している部分におけるベース110の回転方向とが逆になってもよい。つまり、コイル140の回転方向とミラー130の回転方向とが互いに同じ向きとなってもよい。
以上説明したように、第1実施例のMEMSスキャナ101は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させることができる。つまり、第1実施例のMEMSスキャナ101は、ミラー130の1軸駆動を行うことができる。
加えて、第1実施例のMEMSスキャナ101では、ミラー130は、コイル140の巻き線の外側に位置することになる。従って、コイル140は、ミラー130を取り囲むように配置されなくともよい。その結果、第1実施例では、コイル140がミラー130を取り囲むように配置される比較例のMEMSスキャナと比較して、コイル140のサイズ(例えば、巻き線の径や巻き線の長さ等)を相対的に小さくすることができる。言い換えれば、第1実施例では、ミラー130の大きさに関係なく、コイル140のサイズを相対的に小さくすることができる。その結果、当該コイル140に対して磁界を付与するための磁石151及び152のサイズもまた、相対的に小さくすることができる。このため、第1実施例では、コイル140がミラー130を取り囲むように配置される比較例のMEMSスキャナと比較して、ミラー130の大きさに関係なく、コイル140と磁石151及び152との間の磁気ギャップを相対的に小さくすることができる。従って、第1実施例では、コイル140がミラー130を取り囲むように配置される比較例のMEMSスキャナと比較して、MEMSスキャナ101の小型化が好適に実現される。
加えて、第1実施例では、ミラー130を取り囲むようにコイル140が配置されなくともよくなる。このため、ミラー130を取り囲むようにコイル140が配置される比較例のMEMSスキャナと比較して、磁石151及び152の配置の自由度が相対的に高くなる。このため、コイル140の中心上方(具体的には、コイル140の巻き線の内側の上方)に磁石151及び152を配置することができる。特に、コイル140の中心上方に磁石151及び152を配置したとしても、当該磁石151及び152がミラー130の上方の光路を遮ることはない。従って、MEMSスキャナ101としての好適な動作を維持しつつ、磁石151及び152の配置の自由度が相対的に高くなる。
加えて、第1実施例では、ベース110の変形振動における節に対応する箇所に、ミラー130につながるトーションバー120a及び120bが接続されている。つまり、ベース110の変形振動における節に対応する箇所が、ミラー130のY軸方向に沿った回転軸と一致する。また、ベース110の変形振動における節に対応する箇所に、コイル140が配置されている。つまり、ベース110の変形振動における節に対応する箇所が、コイル140のY軸方向に沿った回転軸と一致する。このため、第1実施例では、ミラー130及びコイル140の上下方向(具体的には、X軸方向及びY軸方向の夫々に直交する方向であって、ベース110の表面に対して垂直なZ軸方向)の移動を防ぐことができる。従って、ミラー130の高精度な回転駆動を実現することができる。
尚、コイル140に発生するローレンツ力は、例えば、特許第4827993号公報に開示されているように、「微振動(つまり、方向性のない力であって、トーションバー120a及び120bを、ミラー130の回転方向に向かってねじれさせるように直接的に作用しない力)」として、ベース110に伝搬されてもよい。この場合には、ローレンツ力が微振動としてベース110に伝搬されることで、ベース110が変形振動する。つまり、微振動としてのローレンツ力は、ベース110の変形振動という形で発現する。或いは、コイル140に発生するローレンツ力は、例えば、独立行政法人産業総合研究所のホームページ(http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100209/pr20100209.html)に開示されているように、「ラム波」として、ベース110に伝搬されてもよい。この場合には、ローレンツ力がラム波としてベース110に伝搬されることで、ベース110が変形振動する。以下の第2実施例から第6実施例においても同様である。
(2)第2実施例
続いて、図5から図8を参照して、MEMSスキャナの第2実施例について説明する。尚、上述の第1実施例のMEMSスキャナ101と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
(2-1)MEMSスキャナの構成
初めに、図5を参照して、第2実施例に係るMEMSスキャナ102の構成について説明する。ここに、図5は、第2実施例に係るMEMSスキャナ102の構成を概念的に示す平面図である。
図5に示すように、第2実施例に係るMEMSスキャナ101は、第1ベース110-1と、第1トーションバー120a-1と、第1トーションバー120b-1と、第2ベース110-2と、第2トーションバー120a-2と、第2トーションバー120b-2と、ミラー130と、コイル140と、磁石151及び152と、磁石161及び162とを備えている。
第1ベース110-1は、内部に空隙を備える枠形状を有している。つまり、第1ベース110-1は、図5中のY軸方向に延伸する2つの辺と図5中のX軸方向(つまり、Y軸方向に直交する方向)に延伸する2つの辺とを有すると共に、Y軸方向に延伸する2つの辺とX軸方向に延伸する2つの辺とによって取り囲まれた空隙を有する枠形状を有している。図5に示す例では、第1ベース110-1は、正方形の形状を有しているが、これに限定されることはなく、例えばその他の形状(例えば、長方形等の矩形の形状や円形の形状等)を有していてもよい。また、第1ベース110-1は、第2実施例に係るMEMSスキャナ102の基礎となる構造体であって、不図示の基板ないしは支持部材に対して固定されている(言い換えれば、MEMSスキャナ102という系の内部においては固定されている)ことが好ましい。或いは、第1ベース110-1は、不図示のサスペンション等によって吊り下げられていてもよい。
尚、図5では、第1ベース110-1が枠形状を有している例を示しているが、その他の形状を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、第1ベース110-1は、その一部の辺が開口となるコの字型形状を有していてもよい。或いは、例えば、第1ベース110-1は、内部に空隙を備える箱型形状を有していてもよい。つまり、第1ベース110-1は、X軸及びY軸によって規定される平面上に分布する2つの面と、X軸及び不図示のZ軸(つまり、X軸及びY軸の双方に直交する軸)によって規定される平面上に分布する2つの面と、Y軸及び不図示のZ軸によって規定される平面上に分布する2つの面とを有すると共に、これらの6つの面によって取り囲まれた空隙を有する箱形状を有していてもよい。或いは、ミラー130が配置される態様に応じて適宜第1ベース110-1の形状を任意に代えてもよい。
第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々は、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々は、図5中X軸方向に延伸するように配置される。言い換えれば、第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々は、X軸方向に延伸する長手を有すると共にY軸方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々は、X軸方向に延伸する短手を有すると共にY軸方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々の一方の端部は、第1ベース110-1に接続される。第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々の他方の端部は、第2ベース110-2に接続される。つまり、第1トーションバー120a-1及び120b-1は、間に第2ベース110-2を挟み込むように第2ベース110-2を吊り下げている。
第2ベース110-2は、内部に空隙を備える枠形状を有している。つまり、第2ベース110-2は、図5中のY軸方向に延伸する2つの辺と図5中のX軸方向に延伸する2つの辺とを有すると共に、Y軸方向に延伸する2つの辺とX軸方向に延伸する2つの辺とによって取り囲まれた空隙を有する枠形状を有している。図5に示す例では、第2ベース110-2は、正方形の形状を有しているが、これに限定されることはなく、例えばその他の形状(例えば、長方形等の矩形の形状や円形の形状等)を有していてもよい。
また、第2ベース110-2は、第1ベース110-1の内部の空隙に、第1トーションバー120a-1及び120b-1によって吊り下げられる又は支持されるように配置される。第2ベース110-2は、第1トーションバー120a-1及び120b-1の弾性によって、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転するように構成されている。
尚、図5では、第2ベース110-2が枠形状を有している例を示しているが、その他の形状を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、第2ベース110-2は、その一部の辺が開口となるコの字型形状を有していてもよい。或いは、例えば、第2ベース110-2は、内部に空隙を備える箱型形状を有していてもよい。つまり、第2ベース110-2は、X軸及びY軸によって規定される平面上に分布する2つの面と、X軸及び不図示のZ軸(つまり、X軸及びY軸の双方に直交する軸)によって規定される平面上に分布する2つの面と、Y軸及び不図示のZ軸によって規定される平面上に分布する2つの面とを有すると共に、これらの6つの面によって取り囲まれた空隙を有する箱形状を有していてもよい。或いは、ミラー130が配置される態様に応じて適宜第2ベース110-2の形状を任意に代えてもよい。
第2トーションバー120a-2及び120b-2の夫々は、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。第2トーションバー120a-2及び120b-2の夫々は、図5中Y軸方向に延伸するように配置される。言い換えれば、第2トーションバー120a-2及び120b-2の夫々は、Y軸方向に延伸する長手を有すると共にX軸方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、第2トーションバー120a-2及び120b-2の夫々は、Y軸方向に延伸する短手を有すると共にX軸方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。第2トーションバー120a-2及び120b-2の夫々の一方の端部は、第2ベース110-2に接続される。第2トーションバー120a-2及び120b-2の夫々の他方の端部は、ミラー130に接続される。つまり、第2トーションバー120a-2及び120b-2は、間にミラー130を挟み込むようにミラー130を吊り下げている。
ミラー130は、第2ベース110-2の内部の空隙に、第2トーションバー120a-2及び120b-2によって吊り下げられる又は支持されるように配置される。ミラー130は、第2トーションバー120a-2及び120b-2の弾性によって、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転するように構成されている。
コイル140は、例えば相対的に導電率の高い材料(例えば、金や銅等)から構成される複数の巻き線である。第2実施例では、コイル140は、矩形の形状を有している。特に、コイル140の4つの辺の夫々の長さが略同一である。つまり、第2実施例では、コイル140は、正方形状の形状を有している。但し、コイル140は、任意の形状(例えば、長方形やひし形や平行四辺形や円形や楕円形やその他の任意のループ形状)を有していてもよい。
コイル140は、第2ベース110-2上に配置されている。特に、コイル140は、ミラー130が配置される位置(特に、ミラー130の中心ないしは重心が配置される位置)を基準として、X軸方向(つまり、ミラー130の回転軸の方向に直交する方向)に沿って所定距離だけシフトした位置にコイル140が位置する(特に、コイル140の中心又は重心が位置する)ように、第2ベース110-2上に配置されている。但し、コイル140は、ミラー130が配置される位置を基準として、Y軸方向(つまり、ミラー130の回転軸の方向)に沿って所定距離だけシフトした位置にコイル140が位置するように、第2ベース110-2上に配置されていてもよい。加えて、コイル140は、ミラー130とコイル140とがX軸方向に沿って並ぶように、第2ベース110-2上に配置されている。その結果、ミラー130は、コイル140を構成する巻き線の外側に位置することになる。言い換えれば、ミラー130は、コイル140を構成する巻き線の内側に位置することはない。
コイル140には、第2ベース110-2上に形成されている電源端子141を介して、電源から、ミラー130及び第2ベース110-2を回転させるための制御電流が供給される。制御電流は、典型的には、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130が回転する周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分及びX軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2が回転する周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分の双方を含む交流電流である。尚、電源は、MEMSスキャナ102自身が備えている電源であってもよいし、MEMSスキャナ102の外部に用意される電源であってもよい。尚、以下の説明では、説明の便宜上、制御電流のうちY軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるための電流成分を、“Y軸駆動用制御電流”と称する。同様に、制御電流のうちX軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるための電流成分を、“X軸駆動用制御電流”と称する。
磁石151及び152は、磁石151と磁石152とがX軸方向に沿って配列するように配置される。特に、磁石151及び152は、磁石151と磁石152とがX軸方向に沿ってコイル140を挟み込むように配置される。加えて、磁石151及び152のいずれか一方が磁束の出射側になると共に、磁石151及び152のいずれか他方が磁束の入射側になる。尚、以下では、磁石151が磁束の入射側になり且つ磁石152が磁束の出射側になる例を用いて説明を進める。
尚、磁石151及び磁石152から付与される磁界は、主としてY軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるために用いられる。このため、以下の説明では、説明の便宜上、磁石151及び152から付与される磁界(つまり、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるための磁界)を、“Y軸駆動用磁界”と称する。
磁石161及び162は、磁石161と磁石162とがY軸方向に沿って配列するように配置される。特に、磁石161及び162は、磁石161と磁石162とがY軸方向に沿ってコイル140を挟み込むように配置される。加えて、磁石161及び162のいずれか一方が磁束の出射側になると共に、磁石161及び162のいずれか他方が磁束の入射側になる。尚、以下では、磁石161が磁束の出射側になり且つ磁石162が磁束の入射側になる例を用いて説明を進める。
尚、磁石161及び磁石162から付与される磁界は、主としてX軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるために用いられる。このため、以下の説明では、説明の便宜上、磁石161及び162から付与される磁界(つまり、X軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるための磁界)を、“X軸駆動用磁界”と称する。
(2-2)MEMSスキャナの動作
続いて、図6から図8を参照して、第2実施例に係るMEMSスキャナ102の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図6は、第2実施例に係るMEMSスキャナ102による動作の態様を概念的に示す平面図及び断面図である。図7は、第2実施例に係るMEMSスキャナ102による動作の態様を概念的に示す平面図及び断面図である。図8は、第2実施例に係るMEMSスキャナ102による動作の態様を概念的に示す断面図である。
第2実施例に係るMEMSスキャナ102の動作時には、まず、コイル140に制御電流が供給される。制御電流は、X軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるための電流成分(つまり、X軸駆動用制御電流)を含んでいる。第2実施例では、第2ベース110-2は、任意の周波数(例えば、60Hz)で、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。従って、X軸駆動用制御電流は、X軸方向に沿った軸を回転軸とする第2ベース110-2の回転の周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。但し、第2ベース110-2は、第2ベース110-2を含む被懸架部(つまり、第2ベース部110-2、第2トーションバー120a―2及び120b-2並びにミラー130を含む被懸架部)と第1トーションバー120a-1及び120b-1によって定まる共振周波数(より具体的には、第2ベース110-2を含む被懸架部の慣性モーメントと第1トーションバー120a-1及び120b-1のねじりバネ定数によって定まる共振周波数)で、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転してもよい。
一方で、コイル140には、磁石161及び162からX軸駆動用磁界が付与されている。尚、磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、X軸駆動用磁界を付与することが好ましい。この場合、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対しては、X軸駆動用磁界を付与しなくともよい。或いは、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、X軸駆動用磁界を付与してもよい。或いは、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、X軸駆動用磁界の漏れ磁束を付与してもよい。
従って、コイル140には、コイル140に供給されているX軸駆動用制御電流とコイル140に付与されているX軸駆動用磁界との間の電磁相互作用に起因したローレンツ力が発生することになる。
ここで、図6(a)に示すように、図6(a)中の時計周りの方向に流れるX軸駆動用制御電流がコイル140に供給されており、磁石161から磁石162に向かうX軸駆動用磁界がコイル140に付与されている状況について説明する。この場合、図6(a)に示すMEMSスキャナ102を矢印VIの方向から観察した図面である図6(b)に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの右側(つまり、図6(a)では上側)の辺には、図6(b)における上側の方向に向かうローレンツ力が発生する。同様に、図6(b)に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの左側(つまり、図6(a)では下側)の辺には、図6(b)における下側の方向に向かうローレンツ力が発生する。つまり、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、相互に異なる方向のローレンツ力が発生する。言い換えれば、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、偶力となるローレンツ力が発生する。従って、コイル140は、図6(b)における反時計周りの方向に向かって回転する。
一方で、X軸駆動用制御電流が交流電流であるため、図7(a)に示すように、図7(a)中の反時計周りの方向に流れるX軸駆動用制御電流がコイル140に供給されており、磁石161から磁石162に向かうX軸駆動用磁界がコイル140に付与される状況が、図6(a)に示す状況に続けて生ずる。この場合、図7(a)に示すMEMSスキャナ101を矢印VIIの方向から観察した図面である図7(b)に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの右側(つまり、図7(a)では上側)の辺には、図7(b)における下側の方向に向かうローレンツ力が発生する。同様に、図7(b)に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの左側(つまり、図6(a)では下側)の長辺には、図7(b)における上側の方向に向かうローレンツ力が発生する。つまり、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、相互に異なる方向のローレンツ力が発生する。言い換えれば、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、偶力となるローレンツ力が発生する。従って、コイル140は、図7(b)における時計周りの方向に向かって回転する。
このようなローレンツ力によって、コイル140は、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する(より具体的には、回転するように往復駆動する)。このとき、コイル140のX軸方向に沿った回転軸は、第2ベース110-2のX軸方向に沿った回転軸と重なっている。従って、X軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転に伴って、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
加えて、第2ベース110-2は、第2トーションバー120a-2及び120b-2を介してミラー130を支持している。このため、X軸方向に沿った軸を回転軸とする第2ベース110-2の回転に伴って、ミラー130もまたX軸方向に沿った軸を回転軸として回転することになる。
ここで、X軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転とX軸方向に沿った軸を回転軸とする第2ベース110-2の回転とX軸方向に沿った軸を回転軸とするミラー130の回転の関係について、図8を参照しながらより詳細に説明する。
図8(a)に示すように、X軸方向に沿った軸を回転軸としてコイル140が回転していない状態では、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転していない。このため、ミラー130もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転していない。
その後、図8(b)に示すように、X軸方向に沿った軸を回転軸としてコイル140が図8(b)における反時計回りの方向に沿って回転し始めると、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として図8(b)における反時計回りの方向に沿って回転し始める。その結果、図8(a)から図8(g)に時系列的に示すように、X軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転に伴って、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。このため、図8(a)から図8(g)に時系列的に示すように、X軸方向に沿った軸を回転軸とする第2ベース110-2の回転に伴って、ミラー130もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。尚、図8(g)に示す状態のコイル140、第2ベース110-2及びミラー130は、その後、図8(f)に示す状態を経てから図8(a)に示す状態に遷移する。以降、コイル140、第2ベース110-2及びミラー130は、図8(a)から図8(g)に示す時系列に従って回転する。
他方で、制御電流は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるための電流成分(つまり、Y軸駆動用制御電流)を含んでいる。第2実施例では、ミラー130は、ミラー130と第2トーションバー120a-2及び120b-2とによって定まる共振周波数(より具体的には、ミラー130の慣性モーメントと第2トーションバー120a-2及び120b-2のねじりバネ定数によって定まる共振周波数)で共振するように、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。従って、Y軸駆動用制御電流は、ミラー130の共振周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。但し、ミラー130は、ミラー130と第2トーションバー120a-2及び120b-2とによって定まる共振周波数とは異なる又は同期しない周波数で、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転してもよい。この場合には、Y軸駆動用制御電流は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130が回転する周波数と同一の又は同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。
一方で、コイル140には、磁石151及び152からY軸駆動用磁界が付与されている。尚、磁石151及び152は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、Y軸駆動用磁界を付与することが好ましい。この場合、磁石151及び152は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対しては、Y軸駆動用磁界を付与しなくともよい。或いは、磁石151及び152は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、Y軸駆動用磁界を付与してもよい。或いは、磁石151及び152は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、Y軸駆動用磁界の漏れ磁束のみを付与してもよい。
従って、コイル140には、コイル140に供給されているY軸駆動用制御電流とコイル140に付与されているY軸駆動用磁界との間の電磁相互作用に起因したローレンツ力が発生することになる。
この場合には、第1実施例と同様に(つまり、図2及び図3と同様に)、コイル140は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する(より具体的には、回転するように往復駆動する)。このとき、Y軸方向に沿ったコイル140の回転軸は、Y軸方向に沿ったミラー130の回転軸とは異なっている。具体的には、Y軸方向に沿ったコイル140の回転軸は、Y軸方向に沿ったミラー130の回転軸を基準として、X軸方向に所定距離シフトした位置に存在する。このため、Y軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を直接的に回転させることはない。
一方で、X軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転に伴って、コイル140から第2ベース110-2に対して微振動が伝搬する。その結果、コイル140が配置されている第2ベース110-2は、X軸方向に沿って定常波状に(つまり、定常波の波形状に)変形振動する。言い換えれば、第2ベース110-2は、X軸方向に沿って波打つように変形振動する。つまり、第2ベース110-2は、そのある一部分が変形振動の腹となり且つその他の一部分が変形振動の節となるように、その外観を変形させる。
このような第2ベース110-2の変形振動に起因して、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。このとき、ミラー130は、ミラー130並びに第2トーションバー120a-2及び120b-2に応じて定まる共振周波数(例えば、20kHz)で共振するように回転する。例えば、ミラー130のY軸方向に沿った軸回り慣性モーメントがI(Y)であり且つ第2トーションバー120a-2及び120b-2を1本のバネとみなした場合のねじりバネ定数がk(Y)であるとすれば、ミラー130は、(1/(2π))×√(k(Y)/I(Y))にて特定される共振周波数(或いは、(1/(2π))×√(k(Y)/I(Y))のN倍若しくはN分の1倍(但し、Nは1以上の整数)の共振周波数)で共振するように、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
尚、Y軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転とX軸方向に沿った第2ベース110-2の変形振動とY軸方向に沿った軸を回転軸とするミラー130の回転の関係は、第1実施例におけるY軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転とX軸方向に沿ったベース110の変形振動とY軸方向に沿った軸を回転軸とするミラー130の回転の関係(図4参照)と同様である。
以上説明したように、第2実施例のMEMSスキャナ102は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させることができる。加えて、第2実施例のMEMSスキャナ102は、X軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させることができる。このとき、第2トーションバー120a-2及び120b-2を介してミラー130が第2ベース110-2に支持されていることを考慮すれば、X軸方向に沿った軸を回転軸とする第2ベース110-2の回転に伴って、ミラー130もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転することになる。従って、第2実施例のMEMSスキャナ102は、X軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させることができる。つまり、第2実施例のMEMSスキャナ102は、ミラー130の2軸駆動を行うことができる。
加えて、第2実施例のMEMSスキャナ102では、ミラー130は、コイル140の巻き線の外側に位置することになる。従って、コイル140は、ミラー130を取り囲むように配置されなくともよい。その結果、第2実施例では、コイル140がミラー130を取り囲むように配置される比較例のMEMSスキャナと比較して、コイル140のサイズ(例えば、巻き線の径や巻き線の長さ等)を相対的に小さくすることができる。言い換えれば、第2実施例では、ミラー130の大きさに関係なく、コイル140のサイズを相対的に小さくすることができる。その結果、当該コイル140に対して磁界を付与するための磁石151及び152並びに磁石161及び162のサイズもまた、相対的に小さくすることができる。このため、第2実施例では、コイル140がミラー130を取り囲むように配置される比較例のMEMSスキャナと比較して、ミラー130の大きさに関係なく、コイル140と磁石151及び152並びに磁石161及び162との間の磁気ギャップを相対的に小さくすることができる。従って、第2実施例では、コイル140がミラー130を取り囲むように配置される比較例のMEMSスキャナと比較して、MEMSスキャナ102の小型化が好適に実現される。
加えて、第2実施例では、第2ベース110-2の変形振動における節に対応する箇所に、ミラー130につながる第2トーションバー120a-2及び120b-2が接続されている。つまり、第2ベース110-2の変形振動における節に対応する箇所が、ミラー130のY軸方向に沿った回転軸と一致する。また、第2ベース110-2の変形振動における節に対応する箇所に、コイル140が配置されている。つまり、第2ベース110-2の変形振動における節に対応する箇所が、コイル140のY軸方向に沿った回転軸と一致する。このため、第2実施例では、ミラー130及びコイル140の上下方向(具体的には、X軸方向及びY軸方向の夫々に直交する方向であって、第1ベース110-1又は第2ベース110-2の表面に対して垂直なZ軸方向)の移動ないしは振動が防止される。従って、ミラー130の高精度な回転を実現することができる。
(3)第3実施例
続いて、図9及び図10を参照して、MEMSスキャナの第3実施例について説明する。尚、上述の第2実施例のMEMSスキャナ102と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
(3-1)MEMSスキャナの構成
初めに、図9を参照して、第3実施例に係るMEMSスキャナ103の構成について説明する。ここに、図9は、第3実施例に係るMEMSスキャナ103の構成を概念的に示す平面図である。
図9に示すように、第3実施例のMEMSスキャナ103は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、磁石161及び磁石162の配置位置が変更されていると共に磁石151及び磁石152を備えていないという点で異なっている。第3実施例のMEMSスキャナ103のその他の構成要素は、第2実施例のMEMSスキャナ102のその他の構成要素と同一であってもよい。
第3実施例では、磁石161及び162は、第2実施例と同様に、磁石161と磁石162とがY軸方向に沿ってコイル140を挟み込むように配置される。一方で、第3実施例では、磁石161及び162は、磁石161(例えば、磁石161の中心)と磁石162(例えば、磁石162の中心)とが、X軸方向に沿ってずれる(言い換えれば、オフセットされる)ように配置される。但し、磁石161と磁石162とがX軸方向に沿ってコイル140を挟み込むと共に磁石161が配置される位置と磁石162が配置される位置とがY軸方向に沿ってオフセットされていてもよい。
磁石161及び162は、磁石161と磁石162とがコイル140に対して点対称となる位置に配置されることが好ましい。言い換えれば、磁石161及び162は、磁石161と磁石162とがコイル140を構成する巻き線の中心に対して点対称となる位置に配置されることが好ましい。
(3-2)MEMSスキャナの動作
続いて、図10を参照して、第3実施例に係るMEMSスキャナ103の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図10は、第3実施例に係るMEMSスキャナ103による動作の態様を概念的に示す平面図である。
第3実施例に係るMEMSスキャナ103の動作時には、第2実施例に係るMEMSスキャナ102の動作時と同様に、コイル140に制御電流(つまり、X軸駆動用制御電流及びY軸駆動用制御電流が重畳された制御電流)が供給される。
一方で、コイル140には、磁石161及び162から磁界が付与されている。尚、第3実施例では、磁石161及び162から付与される磁界は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるために用いられるのみならず、X軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるためにも用いられる。
このとき、図10に示すように、磁石161が配置される位置と磁石162が配置される位置とがX軸方向に沿ってオフセットされているがゆえ、磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、当該2つの辺を斜めに横切るように磁界を付与する。言い換えれば、磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、当該2つの辺に対して90度以外の角度で交わる磁界を付与する。つまり、磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して、当該2つの辺に対してコイル140の巻き線の対角方向に交わる磁界を付与する。
このとき、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、磁界を付与しないことが好ましい。但し、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に付与するべき磁界の漏れ磁束のみを付与してもよい。つまり、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、積極的に磁界を付与しないことが好ましい。但し、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に、磁界を積極的に付与してもよい。
ここで、図10に示すように、図10中の時計周りの方向に流れる制御電流がコイル140に供給されており、磁石161から磁石162に向かう磁界がコイル140に付与されている状況について説明する。この場合、図10に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺(例えば、図10の上側の辺)には、図10の紙面奥側から紙面手前側に向かうローレンツ力が発生する。このとき、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺を斜めに横切るように磁界が付与されているがゆえに、このローレンツ力は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺の相対的に外側(つまり、ミラー130から相対的に遠い側)に発生することになる。同様に、図10に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺(例えば、図10の下側の辺)には、図10の紙面手前側から紙面奥側に向かうローレンツ力が発生する。このとき、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺を斜めに横切るように磁界が付与されているがゆえに、このローレンツ力は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺の相対的に内側(つまり、ミラー130に相対的に近い側)に発生することになる。尚、コイル140に供給される制御電流の向き(つまり、極性)が逆転した場合にも、同様のローレンツ力(但し、その方向が逆になる)が発生する。
その結果、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺においてローレンツ力が発生する位置と、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺においてローレンツ力が発生する位置とが、Y軸方向に沿ってずれている。このため、コイル140に発生するローレンツ力(特に、主として、X軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力)は、X軸方向に沿った軸を回転軸とする回転力としてコイル140に作用することになる。このため、コイル140は、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。その結果、第2実施例と同様に、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
加えて、X軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転に起因して、第2ベース110-2には振動が伝搬することになる。この振動に起因して、第2ベース110-2は、第2実施例と同様に、X軸方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
或いは、コイル140に供給される制御電流がY軸駆動用制御電流を含んでいる場合には、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が付与されていない場合であっても、Y軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力がわずかながらにコイル140に発生することが本願発明者等によって行われた実験で確認された。その結果、第2ベース110-2は、第2実施例と同様に、X軸方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
或いは、図10に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺においてローレンツ力が発生する位置と、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺においてローレンツ力が発生する位置とが、X軸方向に沿ってずれている。このため、コイル140に発生するローレンツ力(特に、主として、Y軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力)は、実質的には、Y軸方向に沿った軸を回転軸とする回転力としてコイル140に作用し得る。このため、コイル140は、第2実施例と同様に、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。その結果、第2ベース110-2は、第2実施例と同様に、X軸方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
以上説明したように、第3実施例のMEMSスキャナ103は、第2実施例のMEMSスキャナ102が享受する各種効果を好適に享受することができる。加えて、第3実施例のMEMSスキャナ103は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、磁石151及び152を備えていなくともよくなる。このため、MEMSスキャナ103のより一層の小型化が実現される。
(4)第4実施例
続いて、図11及び図12を参照して、MEMSスキャナの第4実施例について説明する。尚、上述の第3実施例のMEMSスキャナ103と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
(4-1)MEMSスキャナの構成
初めに、図11を参照して、第4実施例に係るMEMSスキャナ104の構成について説明する。ここに、図11は、第4実施例に係るMEMSスキャナ104の構成を概念的に示す平面図である。
図11に示すように、第4実施例のMEMSスキャナ104は、第3実施例のMEMSスキャナ103と比較して、磁気ヨーク170を更に備えているという点で異なっている。第4実施例のMEMSスキャナ104のその他の構成要素は、第3実施例のMEMSスキャナ103のその他の構成要素と同一であってもよい。
第4実施例では、磁気ヨーク170は、磁石161から出射される磁界が、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に付与されながら磁石162に到達するような磁界の経路を形成する。つまり、磁気ヨーク170は、磁石161から出射される磁界が入射する一方の端部から、磁石162に入射する磁界が出射する他方の端部に向かって延びる形状を有している。図11では、磁気ヨーク170がX軸方向に沿って延びる形状を有している例が示されている。
(4-2)MEMSスキャナの動作
続いて、図12を参照して、第4実施例に係るMEMSスキャナ104の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図12は、第4実施例に係るMEMSスキャナ104による動作の態様を概念的に示す平面図及び断面図である。
第4実施例に係るMEMSスキャナ104の動作時には、第3実施例に係るMEMSスキャナ103の動作時と同様に、コイル140に制御電流(つまり、X軸駆動用制御電流及びY軸駆動用制御電流が重畳された制御電流)が供給される。
一方で、コイル140には、磁石161及び162から磁界が付与されている。尚、第4実施例では、磁石161及び162から付与される磁界は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるために用いられるのみならず、X軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるためにも用いられる。
このとき、図12(a)の平面図及び図12(b)の断面図に示すように、磁石161が配置される位置と磁石162が配置される位置とがX軸方向に沿ってオフセットされており且つX軸方向に沿って延びる磁気ヨーク170が配置されているがゆえ、磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺(例えば、図12(a)の下側の辺)の相対的に一方側(例えば、図12(a)の左側)の辺部分及び他方の辺(例えば、図12(a)の上側の辺)の相対的に他方側(例えば、図12(a)の右側)の辺部分に対して磁界を付与する。つまり、磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一部の辺部分であって且つコイル140の対角方向(つまり、斜め方向)に沿って対向する2つの辺部分に磁界を付与する。このような磁界を付与するために、磁石161と磁気ヨーク170の一方の端部(つまり、磁石161aから出射される磁界が入射する端部)とは、コイル140の対角方向に沿って対向するコイル140の2つの辺部分のうちの一方の辺部分に磁界を付与することができるように配置される。同様に、磁石162と磁気ヨーク170の他方の端部(つまり、磁石162に入射する磁界が出射する端部)とは、コイル140の対角方向に沿って対向するコイル140の2つの辺部分のうちの他方の辺部分に磁界を付与することができるように配置される。
ここで、図12(a)及び図12(b)に示すように、図12(a)中の時計周りの方向に流れる制御電流がコイル140に供給されており、磁石161から磁気ヨーク170を介して磁石162に向かう磁界がコイル140に付与されている状況について説明する。この場合、図12(a)及び図12(b)に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺(例えば、図12(a)の上側の辺ないしは図12(b)の右側の辺)には、図12(a)の紙面奥側から紙面手前側(言い換えれば、図12(b)の上側)に向かうローレンツ力が発生する。このとき、図12(a)に示すように、このローレンツ力は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺の相対的に外側(つまり、ミラー130から相対的に遠い側)に発生することになる。同様に、図12(a)及び図12(b)に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺(例えば、図12(a)の下側の辺ないしは図12(b)の左側の辺)には、図12(a)の紙面手前側から紙面奥側(言い換えれば、図12(b)の下側)に向かうローレンツ力が発生する。このとき、図12(b)に示すように、このローレンツ力は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺の相対的に内側(つまり、ミラー130に相対的に近い側)に発生することになる。尚、コイル140に供給される制御電流の向き(つまり、極性)が逆転した場合にも、同様のローレンツ力(但し、その方向が逆になる)が発生する。
その結果、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺においてローレンツ力が発生する位置と、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺においてローレンツ力が発生する位置とが、Y軸方向に沿ってずれている。このため、コイル140に発生するローレンツ力(特に、主として、X軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力)は、X軸方向に沿った軸を回転軸とする回転力としてコイル140に作用することになる。このため、コイル140は、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。その結果、第3実施例と同様に、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
加えて、X軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転に起因して、第2ベース110-2には振動が伝搬することになる。この振動に起因して、第2ベース110-2は、第3実施例と同様に、X軸方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
或いは、コイル140に供給される制御電流がY軸駆動用制御電流を含んでいる場合には、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が付与されていない場合であっても、Y軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力がわずかながらにコイル140に発生することが本願発明者等によって行われた実験で確認された。その結果、第2ベース110-2は、第3実施例と同様に、X軸方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
或いは、図12(a)に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺においてローレンツ力が発生する位置と、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺においてローレンツ力が発生する位置とが、X軸方向に沿ってずれている。このため、コイル140に発生するローレンツ力(特に、主として、Y軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力)は、実質的には、Y軸方向に沿った軸を回転軸とする回転力としてコイル140に作用し得る。このため、コイル140は、第2実施例と同様に、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。その結果、第2ベース110-2は、第3実施例と同様に、X軸方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
以上説明したように、第4実施例のMEMSスキャナ104は、第2実施例のMEMSスキャナ102が享受する各種効果を好適に享受することができる。加えて、第4実施例のMEMSスキャナ104は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、磁石151及び152を備えていなくともよくなる。このため、MEMSスキャナ104のより一層の小型化が実現される。
(5)第5実施例
続いて、図13及び図14を参照して、MEMSスキャナの第5実施例について説明する。尚、上述の第2実施例のMEMSスキャナ102と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
(5-1)基本構成
初めに、図13を参照して、第5実施例に係るMEMSスキャナ105の基本構成について説明する。ここに、図13は、第5実施例に係るMEMSスキャナ105の基本構成を概念的に示す平面図である。
図13に示すように、第5実施例のMEMSスキャナ105は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、コイル140の配置位置が変更されていると共に磁石151及び磁石152を備えていないという点で異なっている。第5実施例のMEMSスキャナ105のその他の構成要素は、第2実施例のMEMSスキャナ102のその他の構成要素と同一であってもよい。
第5実施例では、コイル140は、コイル140の回転軸(具体的には、X軸方向に沿った回転軸)と第2ベース110-2の回転軸(具体的には、X軸方向に沿った回転軸)とが、Y軸方向に沿ってずれる(言い換えれば、オフセットされる)ように配置される。言い換えれば、コイル140は、X軸方向に沿ったコイル140の回転軸と一致するコイル140の回転中心とX軸方向に沿った第2ベース110-2の回転軸と一致する第2ベース110-2の回転中心とが、Y軸方向に沿ってずれるように配置される。言い換えれば、コイル140は、ローレンツ力が発生するコイル140の中心(回転力の中心)と、コイル140及び第2ベース110-2を包含する回転体の重心と、当該回転体を支持する第1トーションバー120a-1及び120b-1の中心(支持中心)とのうちの少なくとも2つが、Y軸方向に沿ってずれるように配置される。
(5-2)MEMSスキャナの動作
続いて、図14を参照して、第5実施例に係るMEMSスキャナ105の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図14は、第5実施例に係るMEMSスキャナ105による動作の態様を概念的に示す平面図である。
第5実施例に係るMEMSスキャナ105の動作時には、第2実施例に係るMEMSスキャナ102の動作時と同様に、コイル140に制御電流(つまり、X軸駆動用制御電流及びY軸駆動用制御電流が重畳された制御電流)が供給される。
一方で、コイル140には、磁石161及び162から磁界が付与されている。尚、第5実施例では、磁石161及び162から付与される磁界は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるために用いられるのみならず、X軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるためにも用いられる。
磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して磁界を付与する。一方で、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、磁界を付与しないことが好ましい。但し、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に付与するべき磁界の漏れ磁束のみを付与してもよい。つまり、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、積極的に磁界を付与しないことが好ましい。但し、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に、積極的に磁界を付与してもよい。
ここで、図14に示すように、図14中の時計周りの方向に流れる制御電流がコイル140に供給されており、磁石161から磁石162に向かう磁界がコイル140に付与されている状況について説明する。この場合、図14に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺(例えば、図14の上側の辺)には、図14の紙面奥側から紙面手前側に向かうローレンツ力が発生する。同様に、図14に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺(例えば、図12の下側の辺)には、図14の紙面手前側から紙面奥側に向かうローレンツ力が発生する。尚、コイル140に供給される制御電流の向き(つまり、極性)が逆転した場合にも、同様のローレンツ力(但し、その方向が逆になる)が発生する。
その結果、コイル140に発生するローレンツ力(特に、主として、X軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力)は、X軸方向に沿った軸を回転軸とする回転モーメントとしてコイル140に作用することになる。このため、コイル140は、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。その結果、第2実施例と同様に、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
加えて、第5実施例では、上述したように、X軸方向に沿ったコイル140の回転軸とX軸方向に沿った第2ベース110-2の回転軸とがY軸方向に沿ってずれている。このような回転軸のずれに起因したアンバランスによって、X軸方向に沿った軸を回転軸とするコイル140の回転が、第2ベース110-2に対して振動として伝搬することになる。この振動に起因して、第2ベース110-2は、第2実施例と同様に、X軸方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
以上説明したように、第5実施例のMEMSスキャナ105は、第2実施例のMEMSスキャナ102が享受する各種効果を好適に享受することができる。加えて、第5実施例のMEMSスキャナ105は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、磁石151及び152を備えていなくともよくなる。このため、MEMSスキャナ105のより一層の小型化が実現される。
(6)第6実施例
続いて、図15及び図16を参照して、MEMSスキャナの第6実施例について説明する。尚、上述の第2実施例のMEMSスキャナ102と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
(6-1)基本構成
初めに、図15を参照して、第6実施例に係るMEMSスキャナ106の基本構成について説明する。ここに、図15は、第6実施例に係るMEMSスキャナ106の基本構成を概念的に示す平面図である。
図15に示すように、第6実施例のMEMSスキャナ106は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、磁石151及び磁石152を備えていないという点で異なっている。第6実施例のMEMSスキャナ106のその他の構成は、第2実施例のMEMSスキャナ102のその他の構成と同一であってもよい。
(6-2)MEMSスキャナの動作
続いて、図16を参照して、第6実施例に係るMEMSスキャナ106の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図16は、第6実施例に係るMEMSスキャナ106による動作の態様を概念的に示す平面図である。
第6実施例に係るMEMSスキャナ106の動作時には、第2実施例に係るMEMSスキャナ102の動作時と同様に、コイル140に制御電流(つまり、X軸駆動用制御電流及びY軸駆動用制御電流が重畳された制御電流)が供給される。
一方で、コイル140には、磁石161及び162から磁界が付与されている。尚、第6実施例では、磁石161及び162から付与される磁界は、Y軸方向に沿った軸を回転軸としてミラー130を回転させるために用いられるのみならず、X軸方向に沿った軸を回転軸として第2ベース110-2を回転させるためにも用いられる。
磁石161及び162は、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に対して磁界を付与する。一方で、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、磁界を付与しないことが好ましい。但し、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に付与するべき磁界の漏れ磁束のみを付与してもよい。つまり、磁石161及び162は、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、積極的に磁界を付与しないことが好ましい。
ここで、図16に示すように、図16中の時計周りの方向に流れる制御電流がコイル140に供給されており、磁石161から磁石162に向かう磁界がコイル140に付与されている状況について説明する。この場合、図16に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺(例えば、図16の上側の辺)には、図16の紙面奥側から紙面手前側に向かうローレンツ力が発生する。同様に、図16に示すように、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方の辺(例えば、図16の下側の辺)には、図16の紙面手前側から紙面奥側に向かうローレンツ力が発生する。尚、コイル140に供給される制御電流の向き(つまり、極性)が逆転した場合にも、同様のローレンツ力(但し、その方向が逆になる)が発生する。
その結果、コイル140に発生するローレンツ力(特に、主として、X軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力)は、X軸方向に沿った軸を回転軸とする回転モーメントとしてコイル140に作用することになる。このため、コイル140は、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。その結果、第2実施例と同様に、第2ベース110-2もまた、X軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
加えて、コイル140に供給される制御電流がY軸駆動用制御電流を含んでいる場合には、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が付与されていない場合であっても、以下の現象が発生することが本願発明者等によって行われた実験で確認された。具体的には、コイル140に供給される制御電流がY軸駆動用制御電流を含んでいる場合には、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が付与されていない場合であっても、Y軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力が、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方の辺(例えば、図16の上側の辺)に発生する。このY軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力に起因して、コイル140(或いは、当該コイル140が配置されている第2ベース110-2)に微振動が発生する。その結果、第2ベース110-2は、第2実施例と同様に、X軸の方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
加えて、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が積極的に付与されていない場合であっても、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、Y軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に積極的に付与した磁界の漏れ磁束が付与されることがある。その結果、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺には、Y軸駆動用制御電流に応じたローレンツ力がわずかながらに発生する。その結果、第2ベース110-2は、第2実施例と同様に、X軸の方向に沿って変形振動する。その結果、ミラー130は、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転する。
尚、本願発明者等によって行われた実験によれば、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が積極的に付与されているときのミラー130の回転のゲインは、60dBであった。一方で、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が積極的に付与されていないときのミラー130の回転のゲインは、54dBであった。つまり、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が積極的に付与されているMEMSスキャナと比較して、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺に磁界が積極的に付与されていないMEMSスキャナでは、ミラー130の回転のゲインが6dB程度減少する。しかしながら、本願発明者等によって行われた実験によれば、6dB程度のゲインの減少は、MEMSスキャナの動作に大きな悪影響を与える程度の減少には相当しない。
以上説明したように、第6実施例のMEMSスキャナ106は、第2実施例のMEMSスキャナ102が享受する各種効果を好適に享受することができる。加えて、第6実施例のMEMSスキャナ106は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、磁石151及び152を備えていなくともよくなる。このため、MEMSスキャナ106のより一層の小型化が実現される。
(7)第7実施例
続いて、図17を参照して、MEMSスキャナの第7実施例について説明する。ここに、図17は、第7実施例に係るMEMSスキャナ107の基本構成を概念的に示す平面図である。尚、上述の第2実施例のMEMSスキャナ102と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図17に示すように、第7実施例のMEMSスキャナ107は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、第1トーションバー120a-1の特性と第1トーションバー120b-1の特性とが一致しないという点で異なっている。第7実施例のMEMSスキャナ107のその他の構成は、第2実施例のMEMSスキャナ102のその他の構成と同一であってもよい。
より具体的には、第1トーションバー120a-1の長さ(つまり、X軸方向に沿った長さ)が、第1トーションバー120a-2の長さ(つまり、X軸方向に沿った長さ)と異なっていてもよい。或いは、第1トーションバー120a-1の幅(つまり、Y軸方向に沿った長さ)が、第1トーションバー120a-2の幅(つまり、Y軸方向に沿った長さ)と異なっていてもよい。或いは、第1トーションバー120a-1の質量が、第1トーションバー120a-2の質量と異なっていてもよい。或いは、第1トーションバー120a-1の剛性が、第1トーションバー120a-2の剛性と異なっていてもよい。或いは、第1トーションバー120a-1の形状(例えば、外観形状や、断面形状等)が、第1トーションバー120a-2の形状形状(例えば、外観形状や、断面形状等)と異なっていてもよい。
このとき、第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々の特性は、第2ベース110-2の変形振動における節及び腹の位置を適切な位置に設定するという観点から適宜調整されることが好ましい。より具体的には、第1トーションバー120a-1及び第1トーションバー120b-1の夫々の特性は、コイル140及びミラー130の夫々のY軸方向に沿った回転軸に対応する箇所が、第2ベース110-2の変形振動における節となるように、適宜調整されることが好ましい。
以上説明したように、第7実施例のMEMSスキャナ107は、第2実施例のMEMSスキャナ102が享受する各種効果を好適に享受することができる。加えて、第7実施例のMEMSスキャナ107は、第1トーションバー120a-1の特性と第1トーションバー120b-1の特性とを揃えなくともよくなる。このため、第1トーションバー120a-1及び120b-1の設計の自由度が高まる。仮に、第1トーションバー120a-1の特性と第1トーションバー120b-1の特性とを揃えるとすれば、第2ベース110-2の変形振動における節及び腹の位置を適切な位置に設定するために、第2ベース110-2の特性が調整されることになる。その結果、第2ベース110-2の大型化を招いてしまいかねない。しかるに、第7実施例では、第1トーションバー120a-1及び120b-1の夫々の特性を適宜調整することで、第2ベース110-2の変形振動における節及び腹の位置が適切な位置に設定されることになる。このため、MEMSスキャナ107のより一層の小型化が実現される。
(8)第8実施例
続いて、図18及び図19を参照して、MEMSスキャナの第8実施例について説明する。ここに、図18は、第8実施例に係るMEMSスキャナ108の基本構成を概念的に示す平面図である。図19は、第8実施例に係るMEMSスキャナ108が備えるコイル140に付与される磁界の態様及び磁気ヨーク180が配置されていない比較例に係るMEMSスキャナが備えるコイル140に付与される磁界の態様を示す断面図である。尚、上述の第2実施例のMEMSスキャナ102と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図18に示すように、第8実施例のMEMSスキャナ108は、第2実施例のMEMSスキャナ102と比較して、コイル140の巻き線の内側に磁気ヨーク180が配置されているという点で異なっている。第8実施例のMEMSスキャナ108のその他の構成は、第2実施例のMEMSスキャナ102のその他の構成と同一であってもよい。
磁気ヨーク180は、当該磁気ヨーク180と磁石151との間にコイル140の巻き線(図18に示す例では、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方)が挟み込まれるように配置されることが好ましい。更には、磁気ヨーク180は、当該磁気ヨーク180と磁石152との間にコイル140の巻き線(図18に示す例では、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方)が挟み込まれるように配置されることが好ましい。
加えて、磁気ヨーク180は、当該磁気ヨーク180と磁石161との間にコイル140の巻き線(図18に示す例では、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの一方)が挟み込まれるように配置されることが好ましい。更には、磁気ヨーク180は、当該磁気ヨーク180と磁石162との間にコイル140の巻き線(図18に示す例では、X軸方向に沿って対向するコイル140の2つの辺のうちの他方)が挟み込まれるように配置されることが好ましい。
このような磁気ヨーク180の配置態様を実現するために、磁気ヨーク180は、コイル140の巻き線の内側の開口を貫通するように配置されてもよい。言い換えれば、磁気ヨーク180は、コイル140の巻き線が外縁を構成する仮想的な平面を貫通するように、コイル140の巻き線の内側の開口に配置されてもよい。
図19(a)に示すように、このような第8実施例のMEMSスキャナ108によれば、磁石152から出射される磁界(つまり、Y軸駆動用磁界)は、磁気ヨーク180を介して、磁石151に到達することになる。このため、このような第8実施例のMEMSスキャナ108によれば、磁石152から出射されるY軸駆動用磁界は、コイル140に付与されやすくなる。
一方で、図19(b)に示すように、磁気ヨーク180が配置されていない比較例MEMSスキャナによれば、磁石152から出射されるY軸駆動用磁界は、磁気ヨーク180を介することなく、磁石151に到達することになる。このため、このような比較例のMEMSスキャナによれば、第8実施例のMEMSスキャナ108と比較して、磁石152から出射されるY軸駆動用磁界は、コイル140に付与されにくくなる。
このように、第8実施例のMEMSスキャナ108では、比較例のMEMSスキャナと比較して、磁石151及び152からコイル140へのY軸駆動用磁界の付与の効率を高めることができる。言い換えれば、第8実施例のMEMSスキャナ108では、比較例のMEMSスキャナと比較して、磁石151と磁石152との間の吸着力を高めることができる。
その結果、第8実施例のMEMSスキャナ108が備える磁石151及び152を、比較例のMEMSスキャナが備える磁石151及び152よりも小さくしても、第8実施例のMEMSスキャナ108が備えるコイル140に付与されるY軸駆動用磁界の強さと比較例のMEMSスキャナが備えるコイル140に付与されるY軸駆動用磁界の強さとを同一にすることができる。つまり、第8実施例のMEMSスキャナ108が備える磁石151及び152を、比較例のMEMSスキャナが備える磁石151及び152よりも小さくしても、第8実施例のMEMSスキャナ108が備えるコイル140に発生するローレンツ力の大きさと比較例のMEMSスキャナが備えるコイル140に発生するローレンツ力の大きさとを同一にすることができる(但し、第8実施例のMEMSスキャナ108が備えるコイル140に供給されるY軸駆動用制御電流と、比較例のMEMSスキャナが備えるコイル140に供給されるY軸駆動用制御電流とが同一であるものとする)。このため、第8実施例のMEMSスキャナ108が備える磁石151及び152を、比較例のMEMSスキャナが備える磁石151及び152よりも小さくしても、第8実施例のMEMSスキャナ108におけるミラー130の回転の態様と、比較例のMEMSスキャナにおけるミラー130の回転の態様とを同一にすることができる。従って、第8実施例のMEMSスキャナ108では、比較例のMEMSスキャナと比較して、磁石151及び152の小型化(ひいては、MEMSスキャナ108の小型化)を図ることができる。
或いは、第8実施例のMEMSスキャナ108が備えるコイル140に供給される制御電流(つまり、Y軸駆動用制御電流)を、比較例のMEMSスキャナが備えるコイル140に供給されるY軸駆動用制御電流よりも小さくしても、第8実施例のMEMSスキャナ108が備えるコイル140に発生するローレンツ力の大きさと比較例のMEMSスキャナが備えるコイル140に発生するローレンツ力の大きさとを同一にすることができる(但し、第8実施例のMEMSスキャナ108が備える磁石151及び152の大きさと、比較例のMEMSスキャナが備える磁石151及び152の大きさとが同一であるものとする)。つまり、第8実施例のMEMSスキャナ108が備えるコイル140に供給されるY軸駆動用制御電流を、比較例のMEMSスキャナが備えるコイル140に供給されるY軸駆動用制御電流よりも小さくしても、第8実施例のMEMSスキャナ108におけるミラー130の回転の態様と、比較例のMEMSスキャナにおけるミラー130の回転の態様とを同一にすることができる。従って、第8実施例のMEMSスキャナ108では、比較例のMEMSスキャナと比較して、コイル140に供給するY軸駆動用制御電流に起因した消費電力の低減を図ることができる。
尚、磁気ヨーク180に加えて又は代えて、磁石が、コイル140の巻き線の内側に配置されてもよい。つまり、コイル140の巻き線の内側には、磁石151及び152からの磁界の付与の効率を高めることが可能な任意の部材が配置されてもよい。この場合であっても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
また、上述の説明では、磁石151及び152から磁気ヨーク180を介してコイル部140に付与されるY軸駆動用磁界に着目している。しかしながら、磁石161及び162から磁気ヨーク180を介してコイル部140に付与されるX軸駆動用磁界についても同様のことが言える。つまり、第8実施例のMEMSスキャナ108では、比較例のMEMSスキャナと比較して、磁石161及び162からコイル140へのX軸駆動用磁界の付与の効率を高めることができる。従って、第8実施例のMEMSスキャナ108では、比較例のMEMSスキャナと比較して、磁石161及び162の小型化(ひいては、MEMSスキャナ108の小型化)を図ることができる。従って、第8実施例のMEMSスキャナ108では、比較例のMEMSスキャナと比較して、コイル140に供給するX軸駆動用制御電流に起因した消費電力の低減を図ることができる。
また、第8実施例では、ミラー130の2軸駆動を行うMEMSスキャナを用いて説明を進めた。しかしながら、ミラー130の1軸駆動を行うMEMSスキャナ(例えば、図1に示す第1実施例のMEMSスキャナ101)においても、コイル140の巻き線の内側に磁気ヨーク180が配置されてもよいことは言うまでもない。
尚、第1実施例から第8実施例で説明した各構成の一部を適宜組み合わせてもよい。この場合であっても、第1実施例から第8実施例で説明した各構成の一部を適宜組み合わせることで得られるアクチュエータは、上述した各種効果を好適に享受することができる。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駆動装置もまた本発明の技術思想に含まれる。