JP2011094886A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄運転状態や空調負荷が変更する場合であっても、従来よりも単純化された熱の移動経路を構成することができる空気調和装置の提供。
【解決手段】蓄熱体Mを備えた蓄熱器21と、空調側熱交換器23と、外部側熱交換器24と、ペルチェ素子を有するペルチェユニット22とを備え、ペルチェユニット22は一方の端面に第1熱面部27、他方の端面に第2熱面部28とを備え、蓄熱器21は第1熱面部27と熱的に連結可能に接続され、空調側熱交換器23および外部側熱交換器24は、第2熱面部28とそれぞれ熱的に連結可能に接続され、蓄熱モード時にペルチェユニット22に対して通電を行い、外部側熱交換器24と蓄熱器21との間にて熱移動を行わせることにより蓄熱体Mへの蓄熱を行い、空調モード時にペルチェユニット22に対して蓄熱時とは反対方向の通電を行い、空調側熱交換器23と蓄熱器21との間にて熱移動を行わせることにより空調を行う。
【選択図】 図2

Description

この発明は、空気調和装置に関し、特に、蓄熱体を利用した空気調和装置に関する。
従来の空気調和装置に関する技術としては、例えば、特許文献1に開示された熱エネルギー利用装置が存在する。
この熱エネルギー利用装置は、潜熱蓄熱(含む蓄冷)可能な蓄熱槽を、各種熱エネルギー利用サイクル中に介在させることにより、単段圧縮機を用いて時間差を有する二段圧縮運転を行うことを意図している。
この熱エネルギー利用装置は、特に、深夜電力を利用して蓄冷・蓄熱した蓄熱槽を冷暖房運転の熱源として利用し、冷暖房コストの低減を図ることを目的としている。
この種の熱エネルギー利用装置は、図11に示されるように、単段圧縮機101と、凝縮器又は蒸発器として機能する複数の熱交換器103、104、105と、膨張弁113と、受液器115と、これらの機器を繋ぐ配管とにより冷媒回路が構成されている。
冷媒回路には冷媒の流路を変更する複数の開閉弁107〜110および四方切換弁111、112が設けられている。
また、熱利用エネルギー装置では、潜熱蓄熱剤が充填された潜熱蓄熱槽106と、循環ポンプとを備え、潜熱蓄熱槽106と、熱交換器104および循環ポンプ114とを繋ぐ配管を備えている。
循環ポンプ114の作動により、清水又はブラインは潜熱蓄熱槽106と熱交換器104との間を循環する。
熱交換器103は空調器102の循環水と熱交換する熱交換器であり、熱交換器105は外気との熱交換を可能とする外気熱源式の熱交換器である。
ところで、この熱エネルギー利用装置によれば、夏期の夜間には、圧縮機101により圧縮された冷媒が蒸発器として機能する熱交換器104において蒸発されることにより、この熱交換器104と潜熱蓄熱槽106を循環する清水又はブラインが冷却される。
冷却された清水又はブラインは潜熱蓄熱槽106の蓄熱剤を冷却固化する。
従って、熱エネルギー利用装置は夏期の夜間において冷房負荷運転は行わない。
夏期の昼間は、冷媒回路における冷媒の流路を切り換えて冷房運転を行う。
蒸発器として機能する熱交換器103において熱交換された冷媒は圧縮機101により圧縮され凝縮器として機能する別の熱交換器104に入る。
ここでは、冷媒は、蓄熱剤の潜熱を放出しながらこの熱交換器104と潜熱蓄熱槽106との間を循環する清水又はブラインとの熱交換により凝縮される。
その後、冷媒は蒸発器として機能する熱交換器103において蒸発される。
冷房負荷側となる空調器102側の循環水は蒸発器として機能する熱交換器103において冷却される。
また、この熱エネルギー利用装置によれば、冬期の夜間には、外気と熱交換する熱交換器105を蒸発器として機能させ、別の熱交換器104を凝縮器として機能させるように、冷媒回路の冷媒の流路を切り換える。
外気との熱交換により吸熱された冷媒は圧縮機101により圧縮され、圧縮後の冷媒は凝縮器として機能する熱交換器104において、清水又はブラインと熱交換し、冷媒の熱が清水又はブラインにより奪われる。
熱交換後の受熱された清水又はブラインは潜熱蓄熱槽106内の蓄熱剤への蓄熱を行う。
冬期の昼間は、冷媒回路における冷媒の流路を切り換えて暖房運転を行う。
圧縮機101により圧縮された冷媒は、凝縮器として機能する熱交換器103において暖房負荷側となる空調器102側の循環水と熱交換する。
熱交換後の冷媒は、蒸発器として機能する別の熱交換器104において蒸発し、このとき、この熱交換器104と潜熱蓄熱槽106を循環する清水又はブラインと熱交換され、清水又はブラインから熱を受ける。
特開昭62−153658号公報
しかしながら、従来技術では、冷媒回路は圧縮機を用いた蒸気圧縮式の冷凍サイクルを採用していることから、冷媒回路の切り換えは、空調負荷運転と蓄熱のための蓄熱運転との変更の度に必要であり、さらに、暖房から冷房、冷房から暖房といった空調負荷の変更の場合でも冷媒回路の切り換えが必要である。
つまり、従来の技術では、熱を移動する熱媒体の流路を変更するための配管構造が複雑となるという問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、運転状態や空調負荷が変更する場合であっても、従来よりも単純化された熱の移動経路を構成することができる空気調和装置の提供にある。
上記の課題を解決するために、本発明は、蓄熱体を備えた蓄熱器と、空調側熱交換器と、外部側熱交換器と、ペルチェ素子を有するペルチェユニットと、を備え、前記ペルチェユニットは一方の端面に第1熱面部、他方の端面に第2熱面部とを備え、前記蓄熱器は前記第1熱面部と熱的に連結可能に接続され、前記空調側熱交換器および前記外部側熱交換器は、前記第2熱面部とそれぞれ熱的に連結可能に接続され、蓄熱モード時に、前記ペルチェユニットに対して通電を行い、前記外部側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記蓄熱体への蓄熱を行い、空調モード時に、前記ペルチェユニットに対して蓄熱時と反対方向の通電を行い、前記空調側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより空調空間の空調を行うことを特徴とする。
本発明によれば、ペルチェユニットに対する通電の向きの正逆に切り換えることにより、蓄熱器への蓄熱のための外部側熱交換器からの熱移動と、空調空間の空調のための蓄熱器から空調側熱交換器への熱移動との切り換えが可能である。
その結果、空調モード時および蓄熱モード時における熱移動は、ペルチェユニットに対する通電の向きの正逆を切り換えるだけで行われるから、従来のように冷媒回路の切換が必要なく、従来よりも単純化された熱の移動経路を構成する。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記空調側熱交換器と前記ペルチェユニットの第2熱面部は、前記空調側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第2熱面部との間を熱媒体が循環する空調側熱媒体回路により熱的に連結可能に接続され、前記蓄熱器と前記ペルチェユニットの第1熱面部は、前記蓄熱器と前記ペルチェユニットの前記第1熱面部との間を熱媒体が循環する蓄熱側熱媒体回路により熱的に連結可能に接続され、 前記外部側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第2熱面部は、前記外部側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第2熱面部との間を熱媒体が循環する第1外部側熱媒体回路により熱的に連結可能に接続されてもよい。
この場合、熱媒体が循環する空調側熱媒体回路、蓄熱側熱媒体回路および第1外部側熱媒体回路を備えたことから、蓄熱器、空調側熱交換器および外部側熱交換器がペルチェユニットに対して離れた位置に設けられても熱移動を行うことができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記外部側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第1熱面部との間を熱媒体が循環する第2外部側熱媒体回路を備えてもよい。
この場合、熱媒体が循環する第2外部側熱媒体回路を備えることから、外部側熱交換器と空調側熱交換器との間にて熱移動を行うことができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記熱媒体が循環する熱媒体回路を切り換える切換手段と、前記切換手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、空調モード時に、前記切換手段を制御して、前記蓄熱側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第1循環状態と前記第2外部側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第2循環状態とを切り換えてもよい。
この場合、制御手段の制御により、空調モード時のペルチェユニットを介した空調側熱交換器と蓄熱器との間の熱移動と、空調モード時のペルチェユニットを介した外部側熱交換器と空調側熱交換器との間の熱移動との切り換えを行うことができる。
その結果、蓄熱器および外部側熱交換器のうち、空調モード時における空気調和装置のCOP(成績係数)が大きくなる方を選択して空調を行うことが可能となる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記蓄熱体の温度を検出する第1温度検出手段と、前記外部側熱交換器の温度を検出する第2温度検出手段と、を備え、空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、前記蓄熱体の温度が前記外部側熱交換器の温度に達するまでは前記第1循環状態とし、前記蓄熱体の温度が前記外部側熱交換器の温度に達したら前記第2循環状態としてもよい。
この場合、蓄熱器と空調側熱交換器のうち、空調モード時における空気調和装置のCOPが大きくなる方を選択して空調を行うことができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記蓄熱体の温度を検出する第1温度検出手段と、前記外部側熱交換器の温度を検出する第2温度検出手段と、目標空調温度を設定する目標空調温度設定手段と、前記第1温度検出手段により検出される温度と前記目標空調温度との第1温度差と、前記第2温度検出手段により検出される温度と前記目標空調温度との第2温度差の大小を比較する温度差比較手段と、を備え、空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、前記温度差比較手段により前記第1温度差が前記第2温度差よりも小さいと判断された場合、前記第1循環状態とし、前記温度差比較手段により前記第2温度差が前記第1温度差よりも小さいと判断された場合、前記第2循環状態としてもよい。
この場合、蓄熱器と外部側熱交換器のうち、目標空調温度との温度差が小さい方を選択して空調を行うから、空調モード時における空気調和装置のCOPを大きくすることができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記空調空間又は外部空間の温度を検出する第4温度検出手段と、前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域内であるかを判断する判断手段を備え、空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、前記判断手段により前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域内であると判断されたとき、前記第2循環状態としてもよい。
この場合、外部空間又は空調空間の温度が中間温度域内であるとき、外部側熱交換器と空調側熱交換器との間の熱移動と、空調側熱交換器との間の熱移動とを切り換える時の空調側熱交換器から空調空間へ吹き出す空気の吹き出し温度の変動を防止することができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、車載機器と熱交換可能なシステム側熱交換器を備え、前記システム側熱交換器は前記ペルチェユニットの前記第1熱面部と熱的に連結可能に接続されてもよい。
この場合、車載機器から生じる排熱をペルチェユニットによりさらに昇温させて空調空間の暖房を行うことができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記システム側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第1熱面部との間を熱媒体が循環するシステム側熱媒体回路を備えてもよい。
この場合、車載機器から生じる排熱をシステム側熱媒体回路における熱媒体の循環による熱移動により第1熱面部へ供給することができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記制御手段は、空調モード時に、前記切換手段を制御して、前記蓄熱側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第1循環状態と前記システム側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第3循環状態とを切り換えてもよい。
この場合、システム側熱交換器におけるシステム側熱媒体回路の熱媒体の温度が蓄熱体の温度より高いとき、システム排熱を用いた空調空間の暖房を行うことができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記蓄熱体の温度を検出する第1温度検出手段と、前記システム側熱交換器における前記システム側熱媒体回路の熱媒体の温度を検出する第3温度検出手段と、を備え、前記蓄熱側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第1循環状態と、前記システム側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第3循環状態とを切り換える切換手段と、暖房空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、前記蓄熱体の温度が前記システム側接続路の熱媒体の温度より高いとき、前記第1循環状態とし、前記システム側熱交換器における前記システム側熱媒体回路の熱媒体の温度が前記蓄熱体の温度より高いとき、前記第3循環状態としてもよい。
この場合、システム側熱交換器におけるシステム側熱媒体回路の熱媒体の温度が蓄熱体の温度より高いとき、システム排熱を用いた空調空間の暖房を行うことができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記空調空間又は前記外部空間の温度を検出する第4温度検出手段と、前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域内であるかを判断する判断手段を備え、前記判断手段により前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域外であると判断されたときのみ、蓄熱モード時に、前記外部側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記蓄熱体への蓄熱を行ってもよい。
この場合、空調空間の温度又は外部空間の温度が中間温度域内であって蓄熱モード時に、外部側熱交換器と蓄熱器との熱移動による蓄熱体への蓄熱を行わないので、蓄熱時の電気エネルギーが削減される。
また、本発明では、蓄熱体を備えた蓄熱器と、空調側熱交換器と、ペルチェ素子を有するペルチェユニットと、を備え、前記ペルチェユニットは一方の端面に第1熱面部、他方の端面に第2熱面部とを備え、前記蓄熱器は前記第1熱面部と熱的に連結可能に接続され、前記空調側熱交換器は前記第2熱面部と熱的に連結可能に接続され、蓄熱モード時に、前記ペルチェユニットに対して通電を行い、前記空調側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記蓄熱体への蓄熱を行い、空調モード時に、前記ペルチェユニットに対して蓄熱時とは反対方向の通電を行い、前記空調側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記空調空間の空調を行うことを特徴とする。
本発明によれば、ペルチェユニットに対する通電の向きの正逆に切り換えることにより、蓄熱器への蓄熱のための空調側熱交換器からの熱移動と、空調空間の空調のための蓄熱器から空調側熱交換器への熱移動との切り換えが可能である。
その結果、空調時および蓄熱時における熱移動は、ペルチェユニットに対する通電の向きの正逆を切り換えるだけで行われるから、従来のように冷媒回路の切換が必要ないので、従来よりも単純化された熱の移動経路を構成する。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記蓄熱体の融点は5℃から30℃の温度範囲であってもよい。
この場合、暖房時における空気調和装置のCOPと冷房時における空気調和装置のCOP(成形係数)の両方を大きくすることができる。
また、本発明では、上記の空気調和装置において、前記蓄熱体はフッ化カリウム四水和物であってもよい。
この場合、蓄熱体の融点が18℃であるから、暖房時における空気調和装置のCOPと冷房時における空気調和装置のCOP(成形係数)の両方を確実に大きくすることができる。
本発明によれば、運転状態や空調負荷が変更する場合であっても、従来よりも単純化された熱の移動経路を構成することができる空気調和装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る空気調和装置を搭載した電気自動車の要部平面図である。 第1の実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。 空気調和装置が備えるペルチェユニットの最大COPを示すグラフ図である。 (a)は高温環境下の蓄熱運転時の空気調和装置を説明する概略構成図であり、(b)の高温環境下の冷房運転時の空気調和装置を説明する概略構成図である。 (a)は低温環境下の蓄熱運転時の空気調和装置を説明する概略構成図であり、(b)の低温環境下の暖房運転時の空気調和装置を説明する概略構成図である。 (a)は中温度域環境下の冷房運転時の空気調和装置を説明する概略構成図であり、(b)の中温度域環境下の暖房運転時の空気調和装置を説明する概略構成図である。 (a)および(b)はシステム排熱を利用した暖房運転時の空気調和装置を説明する概略構成図である。 第1の実施形態の変形例に係る空気調和装置の概略構成図である。 第2の実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。 第3の実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。 従来技術を示す概略構成図である。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る空気調和装置を図面に基づいて説明する。
第1の実施形態は、電気自動車に本発明に係る空気調和装置を適用した例である。
図1に示す電気自動車10では中央付近に空調空間に相当する車室11が設けられ、車室11の前方にモータルーム12が形成されている。
モータルーム12は、車体を構成するフレーム(図示せず)やボディの一部であるサイドメンバ(図示せず)により区画形成される空間部である。
モータルーム12には、走行駆動源としての走行用電動モータ13を備えている。
走行用電動モータ13は、車載バッテリー(図示せず)の電力により駆動される電動モータであり、走行用電動モータ13の回転力は、動力伝達機構(図示せず)を介して車輪へ伝達される。
走行用電動モータ13の近傍には、駆動電力を制御する電力制御部としてのパワー・コントロール・ユニット(以後「PCU」と表記する)14が備えられている。
PCU14は、主に、バッテリーの直流電力から交流電力へ変換制御するインバータ(図示せず)と、バッテリー電圧を昇圧させるバッテリー電圧昇圧回路(図示せず)等を有する。
PCU14は、走行用電動モータ13と接続される電力ケーブル(図示せず)と、車載バッテリーと接続される電力ケーブル(図示せず)と連結されている。
なお、走行用電動モータ13、PCU14および動力伝達機構は車載機器に相当し、これらの車載機器から得られる熱をシステム排熱としている。
モータルーム12には、空気調和装置20が設置されている。
空気調和装置20は、蓄熱体Mが収容された蓄熱器21と、多数のペルチェ素子を有するペルチェユニット22と、車室11の空気の熱交換を行う空調側熱交換器23と、外気の熱交換する外部側熱交換器24と、車載機器から得られるシステム排熱の熱交換を行うシステム側熱交換器25とを備えている。
モータルーム12には、空気調和装置20の各機器を互いに熱的に連結可能に接続するように熱媒体の配管(図1では図示せず)が設けられている。
この実施形態の熱媒体は不凍液であり、空気調和装置20の各機器への熱媒体の流通と、各機器における熱交換による熱移動により、各機器との熱的な連結可能な接続を図っている。
図2に示すように、蓄熱器21は密閉された断熱性の容器を備えており、この容器内に蓄熱体Mが充填されている。
蓄熱体Mは、中間温度域(5℃〜30℃)の範囲で融点を持つ潜熱タイプの蓄熱材料であり、この実施形態ではフッ化カリウム四水和物(KF・4H0)を蓄熱体Mとして用いており、融点は18℃である。
従って、この実施形態の蓄熱体Mは、温度が18℃よりも下がると液体から固体へ相転移し、18℃以上になると固体から液体へ相転移する性質を有する。
ペルチェユニット22は、図2に示すように、多数のペルチェ素子を備えたユニット本体部26と、各ペルチェ素子の一方の端面にわたって形成された第1熱面部27と、各ペルチェ素子の他方の端面にわたって形成された第2熱面部28とを備える。
各ペルチェ素子に対して正方向へ通電(「正通電」とする)するとき、第1熱面部27が吸熱面として機能し、第2熱面部28が放熱面として機能する。
また、各ペルチェ素子に対して正方向と逆向きとなる逆方向へ通電(「逆通電」とする)するとき、第1熱面部27が放熱面として機能し、第2熱面部28が吸熱面として機能する。
図3は、ペルチェユニット22の最大COP(成績係数)を示すグラフ図であり、横軸の△Tは通電時における第1熱面部27と第2熱面部28との温度差であり、縦軸はCOPである。
図2に示すように、空気調和装置20は、ペルチェユニット22と蓄熱器21との間を熱媒体が循環する蓄熱側熱媒体回路29を備えている。
蓄熱側熱媒体回路29の一部が蓄熱器21内を貫通することにより、蓄熱側熱媒体回路29を流通する熱媒体と蓄熱体Mとの熱交換を可能としている。
蓄熱側熱媒体回路29の一部がペルチェユニット22の第1熱面部27に沿って設けられていることにより、蓄熱側熱媒体回路29を流通する熱媒体と第1熱面部27との熱交換を可能としている。
つまり、蓄熱器21は蓄熱側熱媒体回路29により第1熱面部27と熱的に連結可能に接続されている。
蓄熱側熱媒体回路29には、熱媒体を蓄熱側熱媒体回路29内において一方向へ循環させるための蓄熱側循環ポンプ30が設置されている。
熱媒体を蓄熱側熱媒体回路29内において一方向(又は反対方向)へ循環させる状態は第1循環状態に相当する。
空気調和装置20は、車室11と空調側熱交換器23との間を空気が循環する車室空気循環路31を備えている。
車室空気循環路31には、車室11内の空気を車室空気循環路31内において一方向へ循環させるための送風ファン32が設置されている。
空調側熱交換器23は、車室11内と連通し、導入される車室11内の空気を熱交換するための空間部を有している。
空気調和装置20は、ペルチェユニット22と空調側熱交換器23との間を熱媒体が循環する空調側熱媒体回路33を備えている。
空調側熱媒体回路33の一部が空調側熱交換器23内を貫通することにより、空調側熱媒体回路33を流通する熱媒体と車室11内の空気との熱交換を可能としている。
空調側熱媒体回路33の一部がペルチェユニット22の第2熱面部28に沿って設けられていることにより、空調側熱媒体回路33を流通する熱媒体と第2熱面部28との熱交換を可能としている。
つまり、空調側熱交換器23は空調側熱媒体回路33により第2熱面部28と熱的に連結可能に接続されている。
空調側熱媒体回路33には、熱媒体を空調側熱媒体回路33内において一方向へ循環させるための空調側循環ポンプ34が設置されている。
空気調和装置20は、車室11の外部となる外部空間としての車外と連通し、外部空間である車外Sの空気(外気)を導入する外部側熱交換器24を備えるほか、ペルチェユニット22の第2熱面部28と外部側熱交換器24との間を熱媒体が循環する第1外部側熱媒体回路を備えている。
この実施形態では、外部側熱交換器24と空調側熱媒体回路33とを接続する空調側接続路35が設けられており、第1外部側熱媒体回路は空調側接続路35と空調側熱媒体回路33の一部とにより構成されている。
空調側接続路35と空調側熱媒体回路33との接続部には空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37が設けられている。
従って、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37の切り換えにより、空調側熱交換器23と第2熱面部28との間における熱媒体の循環のほか、第1外部側熱媒体回路を通じた外部側熱交換器24と第2熱面部28との間との熱媒体の循環が可能である。
つまり、外部側熱交換器24は第1外部側熱媒体回路により第2熱面部28と熱的に連結可能に接続されている。
また、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37の切り換えにより、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間との熱媒体の循環も行うことができる。
なお、外部側熱交換器24には外気を導入する外気導入ファン(図示せず)が設けられている。
外気導入ファンの作動により外部側熱交換器24に外気が導入され、外部側熱交換器24は外気と熱媒体との熱交換を行う。
また、外部側熱交換器24は、電気自動車10の走行時には外気導入ファンを作動させることなく、外気を導入することが可能である。
空気調和装置20は、外部側熱交換器24と第1熱面部27との間を熱媒体が循環する第2外部側熱媒体回路を備えている。
この実施形態では、外部側熱交換器24と蓄熱側熱媒体回路29とを接続する蓄熱側接続路38が設けられており、第2外部側熱媒体回路は蓄熱側接続路38と蓄熱側熱媒体回路29の一部とにより構成されている。
蓄熱側接続路38と蓄熱側熱媒体回路29との接続部には蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40が設けられている。
従って、蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40の切り換えにより、蓄熱器21と第1熱面部27との間における熱媒体の循環のほか、第2外部側熱媒体回路を通じた外部側熱交換器24と第1熱面部27との間との熱媒体の循環が可能である。
第2外部側熱媒体回路に熱媒体を一方向(又は反対方向)へ循環させる状態は第2循環状態に相当する。
なお、空調側第1切換弁36、空調側第2切換弁37、蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40は、熱媒体の第1循環状態と第2循環状態との切り換えを行う切換手段に相当する。
また、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37の切り換えにより、外部側熱交換器24と蓄熱器21との間との熱媒体の循環も行うことができる。
空気調和装置20は、熱媒体を介して車載機器と熱交換可能なシステム側熱交換器25と、システム側熱交換器25と空調側接続路35を接続するシステム側接続路41を備えている。
空気調和装置20は、システム側熱交換器25と第1熱面部27との間を熱媒体が循環するシステム側熱媒体回路を備えている。
この実施形態のシステム側熱媒体回路は、蓄熱側熱媒体回路29の一部、空調側接続路35(全部又は一部)、蓄熱側接続路38とおよびシステム側接続路41により構成される。
システム側接続路41と空調側接続路35との接続部には対応する外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43、外部側第3切換弁44が設けられている。
従って、外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44の切り換えにより、外部側熱交換器24又はシステム側熱交換器25のいずれか一方に熱媒体を流通させたり、外部側熱交換器24とシステム側熱交換器25の両方に熱媒体を流通させたりすることが可能である。
また、外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44の切り換えにより、外部側熱交換器24とシステム側熱交換器25との間との熱媒体の循環を行うこともできる。
なお、システム側熱交換器25には、図示されないが熱媒体の流通を制御するシステム側ポンプが内蔵されており、システム側ポンプは正逆方向の運転が可能である。
システム側熱媒体回路に熱媒体を一方向(又は反対方向)へ循環させる状態は第3循環状態に相当する。
なお、空調側第1切換弁36、空調側第2切換弁37、蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40、外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44は、熱媒体の第1循環状態と第3循環状態との切り換えを行う切換手段に相当する。
空気調和装置20は、図2に示すように制御手段としてのコントローラ45を備えている。
コントローラ45は、車室11内の目標とする空調温度である目標空調温度(目標暖房温度および目標冷房温度)を設定する目標空調温度設定手段として機能する。
コントローラ45は、蓄熱側循環ポンプ30、送風ファン32および空調側循環ポンプ34の駆動制御するほか、空調側第1切換弁36、空調側第2切換弁37、蓄熱側第1切換弁39、蓄熱側第2切換弁40、外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44の切り換え制御を行う。
コントローラ45は、ペルチェユニット22に対する通電の制御を行う。
コントローラ45は空気調和装置20の各部に設けられた各温度センサ46〜51と接続されている。
コントローラ45は、空気調和装置20を構成する各機器を各温度センサ46〜51の測定信号に基づいて制御する。
空気調和装置20は、車外Sの外気の温度を検出する外気温度センサ46と、車室11内の温度を検出する車室内温度センサ47を備えている。
また、空気調和装置20は、蓄熱側熱媒体回路29および空調側熱媒体回路33の熱媒体の温度を検出する蓄熱側熱媒体温度センサ48と空調側熱媒体温度センサ49を備える。
さらに、空気調和装置20は、外部側熱交換器24における熱媒体の温度を検出する外部側熱媒体温度センサ50と、システム側熱交換器25における熱媒体の温度を検出するシステム側熱媒体温度センサ51と、蓄熱体Mの温度を検出する蓄熱体温度センサ52とを備える。
なお、蓄熱体温度センサ52は第1温度検出手段に相当し、外部側熱媒体温度センサ50は、第2温度検出手段に相当する。
また、システム側熱媒体温度センサ51は第3温度検出手段に相当し、車室内温度センサ47又は外気温度センサ46は第4温度検出手段に相当する。
コントローラ45は、蓄熱体温度センサ52により検出される温度と目標空調温度との温度差である第1温度差と、外部側熱媒体温度センサ50により検出される温度と目標空調温度との温度差である第2温度差との大小を比較する温度差比較手段として機能する。
コントローラ45は、車室内温度センサ47により検出される車室11内の空気温度又は外気温度センサ46により検出される車外Sの空気温度が中間温度域内(後に詳細に説明する。)であるかを判断する判断手段として機能する。
次に、上記のように構成された第1の実施形態に係る空気調和装置20の使用について説明する。
空気調和装置20は、基本的に、空調空間である車室11を空調する空調モード(冷房空調モード又は暖房空調モード)および蓄熱体Mに対する蓄冷又は蓄熱を行う蓄熱モード(蓄熱体への蓄冷モード又は蓄熱モード)の少なくとも一方により運転される(説明の便宜上、蓄冷モードについても蓄熱モードとして説明する。)。
空調モードとは、例えば電気自動車10の走行駆動システムがオンになっている状態を指し、蓄熱モード時とは、例えば車両が停止した状態であり、車載バッテリーへの充電時もしくは充電後の状態を指す。
<高温環境下の蓄冷運転について>
まず、夏期等の高温環境下における空気調和装置20の蓄冷運転について図4(a)に基づいて説明する。
図4(a)に示すように、空気調和装置20は、例えば、夜間に蓄熱器21へ蓄冷する蓄熱モードによる蓄冷運転を行う。
蓄熱器21への蓄冷は、電気自動車10が停車中であって、車載バッテリーへの充電時のように外部電源の電力の供給が受けられる条件下にて行われる。
車室11の外部空間である車外Sの空気(外気)の温度は25℃であり、蓄冷前の蓄熱器21における蓄熱体Mは18℃よりも高い温度にあって液体である。
蓄熱器21への蓄冷時には、コントローラ45は、蓄熱側熱媒体回路29を熱媒体が循環するように蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40を制御し、蓄熱側循環ポンプ30を運転する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、蓄熱器21と第1熱面部27との間を一方向へ循環する。
また、コントローラ45は、第1外部側熱媒体回路を熱媒体が循環するように、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37を制御し、空調側循環ポンプ34を運転する。
外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44は、熱媒体がシステム側熱交換器25を通らずに外部側熱交換器24を通るように、コントローラ45により制御される。
第1外部側熱媒体回路の熱媒体は、第2熱面部28と外部側熱交換器24との間を循環する。
なお、図4(a)では、説明の便宜上、熱媒体が循環する流路のみ実線により示し、熱媒体が循環しない流路には破線により示す。
コントローラ45は外部側熱交換器24のファン(図示せず)を制御し、車外Sの空気を外部側熱交換器24に導入する。
また、コントローラ45は、外部電源の電力を用いてペルチェユニット22への正通電を行う。
ペルチェユニット22では、正通電により第1熱面部27が吸熱面を形成し、第2熱面部28が放熱面を形成する。
ペルチェユニット22に対する正通電は、第1熱面部27の熱を第2熱面部28へ移動する。
第1熱面部27を通過する蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、第1熱面部27との熱交換により熱が奪われて冷却される。
例えば、冷却前の熱媒体の温度が18℃であると、第1熱面部27による冷却後の熱媒体は12℃となり、この場合、第1熱面部27の温度(T1)を平均でみると15℃となる。
冷却された熱媒体と蓄熱体Mとが蓄熱器21において熱交換され、この熱交換により蓄熱体Mの熱は熱媒体に奪われて蓄熱体Mの温度は下降する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体が第1熱面部27と蓄熱器21との間を繰り返し循環することにより蓄熱体Mの熱はさらに奪われ、18℃以下となると蓄熱体Mは液体から固体へ相転移する。
一方、第2熱面部28を通過する第1外部側熱媒体回路の熱媒体は、第2熱面部28との熱交換により熱の供給を受けて加熱される。
例えば、加熱前の熱媒体の温度が25℃であると、第2熱面部28による加熱後の熱媒体は31℃となり、この場合、第2熱面部28の温度(T2)を平均でみると28℃となる。
加熱された熱媒体と外気とが外部側熱交換器24において熱交換され、この熱交換により熱媒体の熱が外気へ移動し、熱媒体の温度は下降する。
第1外部側熱媒体回路の熱媒体が第2熱面部28と外部側熱交換器24との間を繰り返し循環することにより、第2熱面部28から受ける熱媒体の熱は車外Sへ放出される。
このように、ペルチェユニット22の正通電により、外部側熱交換器24と蓄熱器21との間にて蓄熱体Mの熱を車外Sへ放出する熱移動が行われ、この熱移動により蓄熱器21への蓄冷が行われることになる。
蓄冷運転時におけるペルチェユニット22の第1熱面部27と第2熱面部28との温度差(△T)は13℃となる。
なお、蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体の温度は蓄熱側熱媒体温度センサ48により常時測定されている。
蓄熱側熱媒体温度センサ48が、蓄熱体Mに対する蓄冷が十分であることを示す温度を測定すると、コントローラ45は蓄熱器21に対する蓄冷が完了したとして、蓄熱側循環ポンプ30、空調側循環ポンプ34を停止するほか、ペルチェユニット22に対する正通電を終了する。
<高温環境下の冷房運転について>
次に、夏期等の高温環境下における空気調和装置20の冷房空調モードによる冷房運転について図4(b)に基づいて説明する。
図4(b)に示すように、空気調和装置20は、例えば、蓄冷された蓄熱器21を用いた車室11に対する冷房運転を昼間に行う。
車室11に対する冷房は、電気自動車10が運転中であって、車載バッテリーに充電された電力と蓄熱器21の蓄冷を用いて行われる。
車外Sの空気(外気)の温度は例えば30℃であり、冷房前の蓄熱器21における蓄熱体Mは18℃未満の温度にあって固体である。
この空調モードによる車室11への冷房時には、コントローラ45は、蓄熱側熱媒体回路29を熱媒体が循環するように蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40を制御し、蓄熱側循環ポンプ30を運転する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、蓄熱器21と第1熱面部27との間を一方向へ循環する。
また、コントローラ45は、空調側熱媒体回路33を熱媒体が循環するように、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37を制御し、空調側循環ポンプ34を運転する。
空調側熱媒体回路33の熱媒体は、第2熱面部28と空調側熱交換器23との間を循環する。
なお、図4(b)では、説明の便宜上、熱媒体が循環する流路のみ実線により示し、熱媒体が循環しない流路には破線により示す。
コントローラ45は送風ファン32を制御し、送風ファン32の作動により車室11と空調側熱交換器23との間にて車室11内の空気を循環させる。
また、コントローラ45は、車載バッテリーに充電されている充電電力を用いてペルチェユニット22への逆通電を行う。
夏期では、蓄熱時の正通電が空調モード時である冷房時の逆通電と反対方向の通電に相当する。
ペルチェユニット22では、逆通電により第1熱面部27が放熱面を形成し、第2熱面部28が吸熱面を形成する。
ペルチェユニット22に対する逆通電は、第2熱面部28の熱を第1熱面部27へ移動する。
第2熱面部28を通過する空調側熱媒体回路33の熱媒体は、第2熱面部28との熱交換により熱を奪われて冷却される。
例えば、冷却前の熱媒体の温度が13℃であると、第2熱面部28による冷却後の熱媒体は7℃となり、この場合、第2熱面部28の温度を平均でみると10℃となる。
冷却された熱媒体と空調側熱交換器23内の空気とが熱交換され、この熱交換により空気の熱が熱媒体へ移動し、熱媒体の温度は上昇する。
空調側熱交換器23において熱交換された空気は車室空気循環路31を通じて車室11へ吹き出される。
吹き出される空気の温度は10℃であり、吹き出された空気により車室11が冷房される。
空調側熱媒体回路33の熱媒体が第2熱面部28と空調側熱交換器23との間を繰り返し循環することにより循環する車室11内の空気の熱は熱媒体へ移動し、空気から移動された熱媒体の熱は第2熱面部28へ移動する。
熱媒体から第2熱面部28に移動された熱は第1熱面部27へ移動する。
一方、第1熱面部27を通過する蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、第1熱面部27との熱交換により熱の供給を受けて温度は上昇する。
例えば、加熱前の熱媒体の温度が17℃であると、第1熱面部27による加熱後の熱媒体は23℃となり、この場合、第1熱面部27の温度を平均でみると20℃となる。
加熱された熱媒体と蓄熱体Mとが蓄熱器21において熱交換され、この熱交換により蓄熱体Mへ熱媒体の熱が移動して蓄熱体Mの温度が上昇する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体が第1熱面部27と蓄熱器21との間を繰り返し循環することにより蓄熱体Mへ熱媒体の熱が移動し、18℃を越えると蓄熱体Mは固体から液体へ相転移する。
つまり、熱媒体からの熱の移動により蓄熱体Mの蓄冷が解消される。
熱媒体の熱が蓄熱器21へ移動できる期間は蓄熱器21を利用した冷房が可能である。
このように、ペルチェユニット22の逆通電により、空調側熱交換器23と蓄熱器21との間にて車室11の空気の熱を蓄熱体Mに奪わせる熱移動が行われ、この熱移動により車室11の冷房が行われることになる。
冷房運転時におけるペルチェユニット22の第1熱面部27と第2熱面部28との温度差(△T)は10℃となり、図3に示すように、高いCOPを実現している。
なお、蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体の温度は蓄熱側熱媒体温度センサ48により常時測定されている。
また、空調側熱媒体回路33の熱媒体の温度は空調側熱媒体温度センサ49により常時測定されている。
<低温環境下の蓄熱運転について>
まず、冬期等の低温環境における空気調和装置20の蓄熱運転について図5(a)に基づいて説明する。
図5(a)に示すように、空気調和装置20は、例えば、夜間に蓄熱器21へ蓄熱する蓄熱モードによる蓄熱運転を行う。
蓄熱器21への蓄熱は、電気自動車10が停車中であって、車載バッテリーへの充電時のように外部電源の電力の供給が受けられる条件下にて行われる。
車外Sの空気(外気)の温度は例えば5℃であり、蓄熱前の蓄熱器21における蓄熱体Mは18℃よりも低い温度にあって固体である。
蓄熱器21への蓄熱時には、コントローラ45は、夏期の蓄冷時と同じように、蓄熱側熱媒体回路29を熱媒体が循環するように蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40を制御し、蓄熱側循環ポンプ30を運転する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、蓄熱器21と第1熱面部27との間を一方向へ循環する。
また、コントローラ45は、第1外部側熱媒体回路を熱媒体が循環するように、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37を制御し、空調側循環ポンプ34を運転する。
外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44は、熱媒体がシステム側熱交換器25を通らずに外部側熱交換器24を通るように、コントローラ45により制御される。
第1外部側熱媒体回路の熱媒体は、第2熱面部28と外部側熱交換器24との間を循環する。
なお、図5(a)では、説明の便宜上、熱媒体が循環する流路のみ実線により示し、熱媒体が循環しない流路には破線により示す。
コントローラ45は外部側熱交換器24の外気導入ファン(図示せず)を制御して車外Sの空気(外気)を外部側熱交換器24に導入する。
また、コントローラ45は、外部電源の電力を用いてペルチェユニット22への逆通電を行う。
ペルチェユニット22では、逆通電により第1熱面部27が放熱面を形成し、第2熱面部28が吸熱面を形成する。
ペルチェユニット22に対する逆通電は、第2熱面部28の熱を第1熱面部27へ移動する。
第2熱面部28を通過する第1外部側熱媒体回路の熱媒体は、第2熱面部28との熱交換により熱を奪われ、熱媒体の温度は下降する。
例えば、第2熱面部28により熱を奪われる前の熱媒体の温度が−2℃であると、第2熱面部28により熱を奪われた後の熱媒体の温度は−8℃となり、この場合、第2熱面部28の温度(T2)を平均でみると−5℃となる。
第2熱面部28により熱を奪われた熱媒体と外気とが外部側熱交換器24において熱交換される。
この熱交換により外気の熱が熱媒体へ移動し、熱媒体の温度は上昇する。
第1外部側熱媒体回路の熱媒体が第2熱面部28と外部側熱交換器24との間を繰り返し循環することにより、外部側熱交換器24における外気から受ける熱媒体の熱はペルチェユニット22へ回収される。
第1熱面部27を通過する蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、第1熱面部27との熱交換により熱の供給を受けて、温度上昇する。
例えば、熱の供給を受ける前の熱媒体の温度が17℃であると、第1熱面部27からの熱の供給を受けた後の熱媒体は23℃となり、この場合、第1熱面部27の温度(T1)を平均でみると20℃となる。
第1熱面部27から熱の供給を受けた熱媒体と蓄熱体Mとが蓄熱器21において熱交換される。
この熱交換により蓄熱体Mは熱媒体から熱の供給を受け、蓄熱体Mの温度が上昇し、熱を奪われた熱媒体の温度は下降する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体が第1熱面部27と蓄熱器21との間を繰り返し循環することにより熱が熱媒体から蓄熱体Mへさらに移動し、蓄熱体が18℃より上昇すると蓄熱体Mは固体から液体へ相転移する。
このように、ペルチェユニット22の逆通電により、外部側熱交換器24と蓄熱器21との間にて外気の熱を蓄熱器21へ取り込む熱移動が行われ、この熱移動により蓄熱器21への蓄熱が行われることになる。
蓄熱運転時におけるペルチェユニット22の第1熱面部27と第2熱面部28との温度差(△T)は25℃となる。
なお、蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体の温度は蓄熱側熱媒体温度センサ48により常時測定されている。
<低温環境下の暖房運転について>
次に、冬期等の低温環境下における空気調和装置20の暖房空調モードによる暖房運転について図5(b)に基づいて説明する。
図5(b)に示すように、空気調和装置20は、例えば、夜間に蓄熱された蓄熱器21を用い、車室11に対する暖房運転を昼間に行う。
車室11に対する暖房は、電気自動車10が運転中であって、車載バッテリーに充電された電力と蓄熱器21の蓄熱を用いて行われる。
車外Sの空気(外気)の温度は5℃であり、暖房前の蓄熱器21における蓄熱体Mは18℃よりも高い温度にあって液体である。
この空調モードによる車室11への暖房時には、コントローラ45は、夏期冷房時と同様に、蓄熱側熱媒体回路29を熱媒体が循環するように蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40を制御し、蓄熱側循環ポンプ30を運転する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、蓄熱器21と第1熱面部27との間を一方向へ循環する。
また、コントローラ45は、空調側熱媒体回路33を熱媒体が循環するように、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37を制御し、空調側循環ポンプ34を運転する。
空調側熱媒体回路33の熱媒体は、第2熱面部28と空調側熱交換器23との間を循環する。
なお、図5(b)では、説明の便宜上、熱媒体が循環する流路のみ実線により示し、熱媒体が循環しない流路には破線により示す。
コントローラ45は暖房空調モード時に送風ファン32を制御し、送風ファン32の作動により車室11と空調側熱交換器23との間にて車室11内の空気を循環させる。
また、コントローラ45は、車載バッテリーに充電されている充電電力を用いてペルチェユニット22への正通電を行う。
冬期では、蓄熱時の逆通電は空調モード時である暖房時の正通電と反対方向の通電に相当する。
ペルチェユニット22では、正通電により第1熱面部27が吸熱面を形成し、第2熱面部28が放熱面を形成する。
ペルチェユニット22に対する正通電は、第1熱面部27の熱を第2熱面部28へ移動する。
第1熱面部27を通過する蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は、第1熱面部27との熱交換により熱が奪われて、熱媒体の温度は下降する。
例えば、熱が奪われる前の熱媒体の温度が18℃であると、第1熱面部27により熱が奪われた後の熱媒体は12℃となり、この場合、第1熱面部27の温度(T1)を平均でみると15℃となる。
第1熱面部27により熱が奪われた熱媒体と蓄熱体Mとが蓄熱器21において熱交換され、この熱交換により蓄熱体Mの熱は熱媒体に奪われて蓄熱体Mの温度が下降する。
蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体が第1熱面部27と蓄熱器21との間を繰り返し循環することにより蓄熱体Mの熱はさらに奪われ、18℃以下となると蓄熱体Mは液体から固体へ相転移する。
つまり、蓄熱体Mから熱媒体への熱の移動により蓄熱体Mの蓄熱が解消される。
蓄熱体Mに蓄えられた熱が熱媒体へ移動できる期間は蓄熱器21を利用した暖房が可能である。
一方、第2熱面部28を通過する空調側熱媒体回路33の熱媒体は、第2熱面部28との熱交換により熱の供給を受けて温度上昇する。
例えば、熱の供給を受ける前の熱媒体の温度が37℃であると、第2熱面部28による熱の供給を受けた後の熱媒体は43℃となり、この場合、第2熱面部28の温度(T2)を平均でみると40℃となる。
第2熱面部28により熱の供給を受けた熱媒体と車室11の空気とが空調側熱交換器23において熱交換され、この熱交換により熱媒体の熱が車室11の空気へ移動し、熱媒体の温度は下降する。
空調側熱媒体回路33の熱媒体が第2熱面部28と空調側熱交換器23との間を繰り返し循環することにより、第2熱面部28から受ける熱媒体の熱は車室11の空気へ供給される。
このように、ペルチェユニット22の正通電により、空調側熱交換器23と蓄熱器21との間にて蓄熱体Mに蓄えられた熱を車室11の空気へ供給する熱移動が行われる。
この熱移動を受けた空気が車室11内へ吹き出されることにより車室11内の暖房が行われる。
暖房運転時におけるペルチェユニット22の第1熱面部27と第2熱面部28との温度差(△T)は25℃となる。
なお、蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体の温度は蓄熱側熱媒体温度センサ48により常時測定されている。
<中間温度域内の温度環境下の冷房運転について>
上述した実施形態に、以下に説明する制御を追加してもよい。
春秋期等の中間温度域内の温度環境下における空気調和装置20の冷房運転について図6(a)に基づいて説明する。
ここでいう中間温度域とは、春秋期のように、冬期の温度よりも高く、夏期の温度よりも低い温度範囲をいう。
本実施形態では、中間温度域として10℃〜30℃の温度範囲が設定されている。
ただし、温度範囲についてはこれに限定されるものではなく、例えば15℃〜25℃の温度範囲として設定するようにしてもよい。
また、中間温度として、例えば蓄熱体Mの融点温度を中心にプラスマイナス10℃の範囲というように設定してもよい。
中間温度域内の温度環境下の冷房空調モードによる冷房運転については、第4温度検出手段としての外気温度センサ46により検出された車外温度が中間温度域内であることが判断手段としてのコントローラ45により判断された場合に、高温環境下の冷房運転のように、蓄冷された蓄熱器21を用いた冷房運転は行わず、蓄熱器21を用いずに外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間における熱移動による冷房運転を行う制御がコントローラ45により行われる。
なお、外部側熱媒体温度センサ50を第4温度検出手段とし、外部側熱媒体温度センサ50により検出される温度を車外温度として推定して用いてもよい。
あるいは、車室内温度センサ47を第4温度検出手段とし、車外温度の代わりに、車室内温度センサ47により検出される車室11内の温度が中間温度域内であるときに中間温度域内の温度環境下の冷房運転を行うようにしてもよい。
外気の温度又は車室11内の空気の温度が中間温度域内であることが判断された場合に、自動的に中間温度域内の温度環境下の冷房運転が行われる代わりに、中間温度域内の温度環境下の冷房運転を行うかどうかを搭乗者が選択することができる入力ボタンが備えられてもよい。
蓄熱器21を用いずに外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間における熱移動による冷房空調モードの冷房運転について説明する。
図6(a)に示すように、空気調和装置20は、蓄熱器21を用いずに車室11に対する冷房運転を昼間に行う。
車室11に対する冷房は、電気自動車10が運転中であって、車載バッテリーに充電された電力を用いて行われる。
車外Sの空気(外気)の温度は例えば20℃である。
蓄熱器21を用いない冷房時には、コントローラ45は、熱媒体が第1熱面部27と外部側熱交換器24との間を循環するように蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40を制御し、蓄熱側循環ポンプ30を運転する。
熱媒体は、蓄熱側熱媒体回路29の一部と、蓄熱側接続路38および空調側接続路35を通じて外部側熱交換器24と第1熱面部27との間を一方向へ循環する。
また、コントローラ45は、空調側熱媒体回路33を熱媒体が循環するように、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37を制御し、空調側循環ポンプ34を運転する。
空調側熱媒体回路33の熱媒体は、第2熱面部28と空調側熱交換器23との間を循環する。
なお、図6(a)では、説明の便宜上、熱媒体が循環する流路のみ実線により示し、熱媒体が循環しない流路には破線により示す。
コントローラ45は送風ファン32を制御し、送風ファン32の作動により車室11と空調側熱交換器23との間にて車室11内の空気を循環させる。
また、コントローラ45は、車載バッテリーに充電されている充電電力を用いてペルチェユニット22への逆通電を行う。
ペルチェユニット22では、逆通電により第1熱面部27が放熱面を形成し、第2熱面部28が吸熱面を形成する。
ペルチェユニット22に対する逆通電は、第2熱面部28の熱を第1熱面部27へ移動する。
第2熱面部28を通過する空調側熱媒体回路33の熱媒体は、第2熱面部28との熱交換により熱を奪われ、熱媒体の温度は下降する。
例えば、熱を奪われる前の熱媒体の温度が13℃であると、第2熱面部28により熱が奪われた後の熱媒体は7℃となり、この場合、第2熱面部28の温度を平均でみると10℃となる。
空調側熱交換器23において熱交換された空気は車室空気循環路31を通じて車室11へ吹き出され、吹き出された空気により車室11が冷房される。
車室11内の空気から移動された熱媒体の熱は第2熱面部28へ移動し、熱媒体から第2熱面部28に移動された熱は第1熱面部27へ移動する。
一方、第1熱面部27を通過する熱媒体は、第1熱面部27との熱交換により熱の供給を受け温度上昇する。
例えば、熱が供給される前の熱媒体の温度が17℃であると、第1熱面部27による熱供給を受けた後の熱媒体は23℃となり、この場合、第1熱面部27の温度を平均でみると20℃となる。
加熱された熱媒体と外気とが外部側熱交換器24において熱交換され、この熱交換により熱媒体の熱が外気へ放出され、熱媒体の温度は下降する。
熱媒体が第1熱面部27と外部側熱交換器24との間を循環することにより第1熱面部27からの熱が外気へ放出される。
このように、ペルチェユニット22の逆通電により、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間にて、車室11の空気の熱を外気へ放出する熱移動が行われ、この熱移動により車室11の冷房空調モードによる冷房が行われることになる。
冷房運転時におけるペルチェユニット22の第1熱面部27と第2熱面部28との温度差(△T)は10℃となり、図3に示すように、高いCOPを実現している。
なお、空調側熱媒体回路33の熱媒体の温度は空調側熱媒体温度センサ49により常時測定されている。
また、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間を循環する熱媒体の温度は蓄熱側熱媒体温度センサ48、外部側熱媒体温度センサ50により常時測定されている。
<中間温度域内の温度環境下の暖房運転について>
次に、春秋期等の中間温度域内の温度環境下における空気調和装置20の暖房空調モードによる暖房運転について図6(b)に基づいて説明する。
この空調モードによる中間温度域内の温度環境下の暖房運転については、第4温度検出手段としての外気温度センサ46により検出された外気温度が中間温度域内であることがコントローラ45により判断された場合に、低温環境下の暖房運転のように、蓄熱された蓄熱器21を用いた暖房運転は行わず、蓄熱器21を用いずに外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間における熱移動による暖房運転を行う制御がコントローラ45により行われる。
なお、外部側熱媒体温度センサ50により検出される温度を車外温度として推定して用いてもよいし、あるいは、車外温度の代わりに、車室内温度センサ47により検出される車室11内の温度が中間温度域内であるときに中間温度域内の温度環境下の暖房運転を行うようにしてもよい。
外気の温度又は車室11内の空気の温度が中間温度域内であると判断された場合に、自動的に中間温度域内の温度環境下の暖房運転が行われる代わりに、中間温度域内の温度環境下の暖房運転を行うかどうかを搭乗者が選択することができる入力ボタンが備えられてもよい。
蓄熱器21を用いずに外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間における熱移動による暖房空調モードの暖房運転について説明する。
図6(b)に示すように、空気調和装置20は、蓄熱器21を用いずに車室11に対する暖房運転を昼間に行う。
車室11に対する暖房は、電気自動車10が運転中であって、車載バッテリーに充電された電力を用いて行われる。
車外Sの空気(外気)の温度は例えば20℃である。
蓄熱器21を用いない暖房時には、コントローラ45は、蓄熱器21を用いない冷房時と同様に、蓄熱側熱媒体回路29を熱媒体が循環するように蓄熱側第1切換弁39および蓄熱側第2切換弁40を制御し、蓄熱側循環ポンプ30を運転する。
また、コントローラ45は、空調側熱媒体回路33を熱媒体が循環するように、空調側第1切換弁36および空調側第2切換弁37を制御し、空調側循環ポンプ34を運転する。
なお、図6(b)では、説明の便宜上、熱媒体が循環する流路のみ実線により示し、熱媒体が循環しない流路には破線により示す。
コントローラ45は送風ファン32を制御し、送風ファン32の作動により車室11と空調側熱交換器23との間にて車室11内の空気を循環させる。
また、コントローラ45は、車載バッテリーに充電されている充電電力を用いてペルチェユニット22への正通電を行う。
ペルチェユニット22では、正通電により第1熱面部27が吸熱面を形成し、第2熱面部28が放熱面を形成する。
ペルチェユニット22に対する正通電は、第1熱面部27の熱を第2熱面部28へ移動する。
第1熱面部27を通過する熱媒体は、第1熱面部27との熱交換により熱が奪われて、熱媒体の温度は下降する。
例えば、熱が奪われる前の熱媒体の温度が18℃であると、第1熱面部27により熱が奪われた後の熱媒体の温度は12℃となり、この場合、第1熱面部27の温度(T1)を平均でみると15℃となる。
第1熱面部27により熱が奪われた熱媒体と外気とが外部側熱交換器24において熱交換され、この熱交換により熱媒体は外気から熱の供給を受け、熱媒体の温度は上昇する。
外気から供給された熱媒体の熱は第1熱面部27へ移動し、熱媒体から第1熱面部27に移動された熱は第2熱面部28へ移動する。
空調側熱交換器23において熱交換された空気は車室空気循環路31を通じて車室11へ吹き出され、吹き出された空気により車室11が暖房される。
一方、第2熱面部28を通過する空調側熱媒体回路33の熱媒体は、第2熱面部28との熱交換により熱の供給を受けて温度上昇する。
例えば、熱の供給を受ける前の熱媒体の温度が37℃であると、第2熱面部28による熱の供給を受けた後の熱媒体は43℃となり、この場合、第2熱面部28の温度(T2)を平均でみると40℃となる。
第2熱面部28により熱の供給を受けた熱媒体と車室11の空気とが空調側熱交換器23において熱交換され、この熱交換により熱媒体の熱が車室11の空気へ移動し、熱媒体の温度は下降する。
空調側熱媒体回路33の熱媒体が第2熱面部28と空調側熱交換器23との間を繰り返し循環することにより、第2熱面部28から受ける熱媒体の熱は車室11の空気へ供給される。
このように、ペルチェユニット22の正通電により、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間にて、外気の熱を車室11の空気へ供給する熱移動が行われ、この熱移動により車室11内の暖房空調モードによる暖房が行われる。
暖房運転時におけるペルチェユニット22の第1熱面部27と第2熱面部28との温度差(△T)は10℃となる。
なお、空調側熱媒体回路33の熱媒体の温度は空調側熱媒体温度センサ49により常時測定されている。
また、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間を循環する熱媒体の温度は蓄熱側熱媒体温度センサ48、外部側熱媒体温度センサ50により常時測定されている。
<蓄熱器を用いた空調と蓄熱器21を用いない空調との切り換え>
上述した実施形態に、以下に説明する制御を追加しても良い。
中間温度域内の温度環境下では、蓄熱器21を用いない冷房運転について説明したが、この実施形態の空気調和装置20は、蓄熱器21を用いた冷房と蓄熱器21を用いない冷房との切り換えて冷房を行う制御が行われる。
冷房空調モードによる冷房の際に蓄熱器21を用いた冷房と蓄熱器21を用いない冷房との切り換えはコントローラ45が行う。
空気調和装置20の空調時の運転として、例えば、蓄熱器21を用いた冷房を最初に行い、蓄熱器21による冷房能力が無くなったときに、蓄熱器21を用いない冷房を行う場合について説明する。
コントローラ45は、各機器を制御して図4(b)に示す熱媒体の循環を行い、蓄熱器21を用いた冷房を行う。
蓄熱器21を用いた冷房の継続により蓄熱器21の蓄冷が解消され、蓄熱体温度センサ52が蓄熱体Mへの熱移動が不可能であることを示す温度を測定したとき、コントローラ45は蓄熱器21を用いた冷房運転から蓄熱器21を用いない冷房運転となるように各機器を制御する。
各機器の制御により図6(a)に示す熱媒の循環を行い、蓄熱器21を用いない冷房を行う。
この場合、蓄熱体温度センサ52により測定される蓄熱体Mへの熱移動が不可能であることを示す温度が冷房時の切換設定温度に相当する。
例えば、蓄熱体Mの融点の温度の前後10℃を切換設定温度として、相転移による蓄熱体Mの蓄冷状態が解消されたことを推定するようにしてもよい。
また、冷房時における別の切り換え方として、例えば、蓄熱器21を用いた冷房と蓄熱器21を用いない冷房の切り換えを外部熱交換器24の温度に応じて行う場合について説明する。
この場合、コントローラ45は、蓄熱体温度センサ52により測定された蓄熱体Mの温度と冷房時の目標空調温度としての冷房目標温度との温度差である第1温度差を求めるとともに、同時に外部側熱媒体温度センサ50と冷房目標温度との温度差である第2温度差を求める。
つまり、コントローラ45は、冷房時の目標空調温度としての冷房目標温度と蓄熱体Mとの第1温度差と、冷房目標温度と外部側熱交換器24における熱媒体の第2温度差とを求める。
温度差比較手段としてのコントローラ45は、両方の温度差を比較して温度差が小さいと判断した方を選択して冷房を行うように各機器を制御する。
なお、外部側熱媒体温度センサ50の温度の代わりに、外気温度センサ46で検出される外気温度が外部側熱交換器24の温度であると推定して、外気温度センサ46の温度と冷房目標温度との温度差を第2温度差としても良い。
例えば、冷房目標温度と蓄熱体Mとの第1温度差の方が、冷房目標温度と外部側熱交換器24における熱媒体の第2温度差より小さい場合には、図4(b)に示す蓄熱器21を用いた冷房を行う。
逆に、冷房目標温度と外部側熱交換器24における熱媒体の第2温度差の方が、冷房目標温度と蓄熱体Mの第1温度差より小さい場合には、図6(a)に示す蓄熱器21を用いない外部側熱交換器24による冷房を行う。
また、冷房時におけるさらに別の切り換え方として、例えば、蓄熱器21を用いた冷房と蓄熱器21を用いない冷房の切り換えを蓄熱器21の温度と外部側熱交換器24の温度との関係に応じて行う場合について説明する。
この場合、コントローラ45は、蓄熱体温度センサ52により測定された蓄熱体Mの温度と外部側熱媒体温度センサ50との温度差を求める。
なお、蓄熱体Mの温度と外部側熱媒体温度センサ50との温度差を求める代わりに、蓄熱体Mの温度と外気温度センサ46の温度差を求めても良い。
コントローラ45は、蓄熱体Mの温度と外部側熱媒体温度センサ50との温度差がある場合には、図4(b)に示す蓄熱器21を用いた冷房、すなわち第1循環状態での冷房を行う。
蓄熱体Mの温度が変化していき、蓄熱体Mの温度が外部側熱媒体温度センサ50の温度に達すると、図6(a)に示す蓄熱器21を用いない外部側熱交換器24による冷房、すなわち第2循環状態での冷房を行う。
なお、この実施形態の空気調和装置20は、暖房についても冷房の場合と同様に、蓄熱器21を用いた暖房と蓄熱器21を用いない暖房とを切り換えて暖房を行う制御が行われる。
蓄熱器21を用いた暖房を最初に行った後、蓄熱器21を用いない暖房を行う場合について説明する。
コントローラ45は、各機器を制御して図5(b)に示す熱媒体の循環を行い、蓄熱器21を用いた暖房を行う。
蓄熱体温度センサ52が蓄熱体Mから熱媒体への熱移動が不可能であることを示す温度を測定したとき、コントローラ45は蓄熱器21を用いない暖房運転となるように各機器を制御し、図6(b)に示す蓄熱器21を用いない暖房を行う。
この場合、蓄熱体温度センサ52により測定される蓄熱体Mから熱媒体への熱移動が不可能であることを示す温度が暖房時の切換設定温度に相当する。
例えば、蓄熱体Mの融点の温度の前後10℃を切換設定温度として、相転移による蓄熱体Mの蓄熱状態が解消されたことを推定するようにしてもよい。
また、蓄熱器21を用いた暖房と蓄熱器21を用いない暖房の切り換えを外部側熱交換器24の温度に応じて行う場合についても冷房の場合と同様である。
この場合、コントローラ45は、蓄熱体温度センサ52により測定された蓄熱体Mの温度と暖房時の目標空調温度としての暖房目標温度との温度差である第1温度差を求めるとともに、同時に外部側熱媒体温度センサ50と暖房目標温度との温度差である第2温度差を求める。
温度差比較手段としてのコントローラ45は、第1温度差および第2温度差の両方を比較して温度差が小さい方を選択して暖房を行うように各機器を制御する。
なお、外部側熱媒体温度センサ50の温度と暖房目標温度との温度差である第2温度差の代わりに、外気温度センサ46の温度と暖房目標温度との温度差を第2温度差として用いても良い。
例えば、暖房目標温度と蓄熱体Mとの温度差の方が、暖房目標温度と外部側熱交換器24における熱媒体の温度差より小さい場合には、図5(b)に示す蓄熱器21を用いた暖房を行い、逆の場合には、図6(b)に示す蓄熱器21を用いない外部側熱交換器24による暖房を行う。
また、蓄熱器21を用いた暖房と蓄熱器21を用いない暖房の切り換えを蓄熱器21の温度と外部側熱交換器24の温度との関係に応じて行う場合についても冷房の場合と同様である。
この場合、コントローラ45は、蓄熱体温度センサ52により測定された蓄熱体Mの温度と外部側熱媒体温度センサ50との温度差を求める。
コントローラ45は、蓄熱体Mの温度と外部側熱媒体温度センサ50との温度差がある場合には、図5(b)に示す蓄熱器21を用いた暖房、すなわち第1循環状態での暖房を行う。
蓄熱体Mの温度が変化していき、蓄熱体Mの温度が外部側熱媒体温度センサ50の温度に達すると、図6(b)に示す蓄熱器21を用いない外部側熱交換器24による暖房、すなわち第2循環状態での暖房を行う。
<中間温度域内の温度環境下の空調運転時の蓄熱について>
上述した実施形態に、以下に説明する制御を追加してもよい。
中間温度域内の温度環境下では、空調時において第1熱面部27と外部側熱交換器24との間で熱媒体を循環させて、熱媒体と外気との熱交換を行うようにしたが、蓄熱体Mを未蓄熱(未蓄冷を含むとする)の状態のままで、ペルチェユニット22に通電して空調を行い、空調時に第1熱面部27を通る熱媒体を蓄熱体Mに通すようにしてもよい。
この場合、外気温度センサ46により検出された外気の温度が中間温度域内であることがコントローラ45により判断された場合には、蓄熱器21への蓄熱が行われないようにコントローラ45により制御される。
なお、外部側熱媒体温度センサ50により検出される温度を車外温度として推定して用いてもよいし、あるいは、車外温度の代わりに、車室内温度センサ47により検出される車室11内の温度が中間温度域内であるときに中間温度域内の温度環境下における空調運転時の蓄熱制御を行うようにしてもよい。
外気の温度又は車室11内の空気の温度が中間温度域内であることが判断された場合に、自動的に蓄熱器21への蓄熱が行われないように制御される代わりに、蓄熱器21への蓄熱を行うかどうかを搭乗者が選択することができる入力ボタンが備えられていてもよい。
例えば、未蓄熱の蓄熱体Mの状態でペルチェユニット22に正通電して車室11の暖房を行う。
このとき、第1熱面部27から第2熱面部28へ熱移動し、第1熱面部27を通る蓄熱側熱媒体回路29の熱媒体は第1熱面部27との熱交換により熱を奪われる。
熱を奪われた熱媒体を蓄熱体Mへ通すことにより熱媒体と蓄熱体Mとの熱交換により蓄熱体Mは温度が下降する。
熱媒体が蓄熱体Mと第1熱面部27との間を循環することで蓄熱体Mの蓄冷化が進む。
次に、車室11内の温度が上昇し暖房から冷房に切り換えるとき、蓄冷されている蓄熱体Mを用いることにより冷房を行うことが可能となる。
このような空気調和装置20の使用は、例えば、春秋期などの中間温度域内の温度環境下において朝に車内を暖房し、日中に冷房する場合には、蓄熱時の消費電力無しに、熱の有効活用ができ効果的である。
なお、未蓄熱の蓄熱体Mの状態でペルチェユニット22に逆通電して車室11の冷房を行う。
このとき、第2熱面部28から第1熱面部27へ移動される熱を第1熱面部27と熱媒体との熱交換により熱媒体へ移動させ、熱媒体との蓄熱体Mとの熱交換により蓄熱体Mへの蓄熱を図ってもよい。
蓄熱体Mが蓄熱された状態では、次に、車室11内を暖房する場合に蓄熱体Mに蓄えられた熱を用いた暖房が可能となる。
<システム排熱を利用する暖房について>
次に、システム排熱を利用する暖房空調モードによる暖房について説明する。
第3温度検出手段であるシステム側熱媒体温度センサ51により検出されるシステム側熱交換器25におけるシステム側熱媒体回路の熱媒体の温度が蓄熱体Mの温度よりも高い場合、第3循環状態にてシステム排熱による暖房を行う。
図7(a)に示すように、蓄熱器21を用いない暖房時において、システム側熱交換器25が外部側熱交換器24の下流側となるように外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43、外部側第3切換弁44を切り換える。
この場合、第3循環状態にて暖房ができ、外気から得る熱に加えてシステム排熱を熱源として利用することができる。
なお、蓄熱体Mの温度がシステム側熱交換器25におけるシステム側熱媒体回路の熱媒体の温度よりも高いとき、第1循環状態にて蓄熱体Mによる暖房を行う。
また、冷房時には、外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43、外部側第3切換弁44は、図7(a)に示す状態のままでペルチェユニット22の通電を冷房する向きに通電させ、蓄熱側循環ポンプ30を逆回転により運転することにより、第1熱面部27を通る熱媒体の流通方向を逆方向とする。
この場合、冷房時において第1熱面部27から得た熱媒体の熱は、システム側熱交換器25を通じて外部側熱交換器24において放出される。
また、システム側熱交換器25において得られる熱量が多く、ペルチェユニット22で熱媒体を昇温させる必要がない場合には、図7(b)に示すように、システム側熱交換器25において得られる熱を直接空調側熱交換器23へ供給するように、空調側第1切換弁36、空調側第2切換弁37、蓄熱側第1切換弁39、蓄熱側第2切換弁40、外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44を切り換える。
そして、蓄熱側循環ポンプ30および空調側循環ポンプ34は駆動せず、システム側熱交換器25に内蔵されているシステム側ポンプ(図示せず)を作動させる。
この場合、システム側熱交換器25と空調側熱交換器23との間を熱媒体が循環し、システム排熱が充分に存在する場合にはペルチェユニット22に通電することなく車室11内の空気の暖房が行われる。
また、低温環境下においてシステム排熱が余る場合には、システム側熱交換器25と蓄熱器21との間で熱媒体が循環するように、空調側第1切換弁36、空調側第2切換弁37、蓄熱側第1切換弁39、蓄熱側第2切換弁40、外部側第1切換弁42、外部側第2切換弁43および外部側第3切換弁44を切り換える。
この場合、システム側熱交換器25と蓄熱器21との間を熱媒体が循環し、システム排熱が蓄熱体Mに蓄えられる。
なお、システム排熱の蓄熱体Mへの蓄熱により蓄熱体Mの蓄熱能力が限界に達したときは、図7(a)に示すようにシステム側熱交換器25を通る熱媒体を第1熱面部27へ通し、第1熱面部27において空調に必要な熱を熱媒体から取り出し、熱媒体に熱がまだ余る場合には外部側熱交換器24において放出する。
また、システム排熱の温度が蓄熱体Mの温度よりも高く、システム排熱の量がペルチェユニット22を介して空調するために必要な熱量と釣り合っている場合には、システム側熱交換器25を通る熱媒体が第1熱面部27のみを通るように、コントローラ45が各機器を制御して回路を切り換える。
<中間温度域外の場合の蓄熱について>
なお、外気の温度又は車室11内の温度が中温度域外であるとき、蓄熱モード時において外部側熱交換器24と蓄熱器21との間を熱媒体が移動するように、コントローラ45は各機器を制御する。これにより外気との熱交換された熱媒体が蓄熱器21を通り、蓄熱体Mに対する蓄熱又は蓄冷を行う。
第1の実施形態は以下の作用効果を奏する。
(1)ペルチェユニット22に対する通電の向きの正逆に切り換えることにより、蓄熱器21への蓄熱のための外部側熱交換器24から蓄熱器21への熱移動と、車室11の空調のための蓄熱器21から空調側熱交換器23への熱移動との切り換えが可能である。その結果、熱媒体を逆流させるために必要な冷媒回路は必要なく、従来よりも単純化された熱の移動経路を構成することができる。
(2)熱媒体が循環する蓄熱側熱媒体回路29、空調側熱媒体回路33、第1外部側熱媒体回路および第2外部側熱媒体回路を備えたことから、蓄熱器21、空調側熱交換器23および外部側熱交換器24がペルチェユニット22に対して離れた位置に設けられても熱移動を行うことができる。また、熱媒体が循環する第2外部側熱媒体回路を備えることから、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間にて熱移動を行うことができる。
(3)コントローラ45の制御により、空調時のペルチェユニット22を介した空調側熱交換器23と蓄熱器21との間の熱移動と、空調時のペルチェユニット22を介した外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間の熱移動との切り換えを行うことができる。 その結果、蓄熱器21および外部側熱交換器24のうち、空調時における空気調和装置20のCOPが大きくなる方を選択して空調を行うことができる。
(4)蓄熱器21と空調側熱交換器23との間の熱移動と、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間の熱移動との切り換えは、切換設定温度をしきい値とする蓄熱体Mの温度に基づき制御することができる。
(5)コントローラ45は、目標空調温度(目標冷房温度又は目標暖房温度)と蓄熱器21の温度との温度差と、目標空調温度と外部側熱交換器24との温度差と、を求め 蓄熱器21と外部側熱交換器24のうち、目標空調温度との温度差が小さい方を選択して空調を行うから、空調時における空気調和装置20のCOPを大きくすることができる。
(6)コントローラ45は、車外S又は車室11の温度が中間温度域であるとき、ペルチェユニット22を介した外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間の熱移動を行うから、蓄熱器21の蓄熱が解消された場合に、外部側熱交換器24と空調側熱交換器23との間で熱移動を行うように切り換えるという制御が必要なく、空気調和装置20の制御を単純化することができる。
(7)車載機器と空調側熱交換器23との間にて熱交換を行うシステム側熱交換器25を備えているから、コントローラ45は、システム側熱交換器25における熱媒体の温度が蓄熱体Mの温度より高いとき、ペルチェユニット22を介したシステム側熱交換器25と空調側熱交換器23との間の熱移動を行い、システム排熱を用いた車室11の暖房を行うことができる。
(8)コントローラ45は、蓄熱器21が未蓄熱の状態であるとき、ペルチェユニット22を介した蓄熱器21と空調側熱交換器23との熱移動による空調を行い、空調時においてペルチェユニット22に生じる熱を排出することなく蓄熱体Mに蓄えたり、あるいは、蓄熱体Mからペルチェユニット22への熱移動により、蓄熱体Mの蓄冷を行ったりすることができる。その後に蓄熱体の蓄熱又は蓄冷を利用した車室11の空調を行うことができる。例えば、春秋期には朝が寒く、日中は暑くなる場合があるが、朝の暖房後の日中に冷房する場合、暖房時に蓄熱体を蓄冷し、冷房時に蓄冷された蓄熱体Mを用いることで熱を有効活用することができる。
(9)蓄熱体Mは5℃から30℃の温度範囲にて融点を有する材料であるから、蓄熱体Mは5℃〜30℃の範囲において固体から液体へ相転移又は液体から固体への相転移を行い、蓄熱体Mの潜熱を利用することができ、顕熱タイプの蓄熱材料と比較すると効率的な熱の利用を図ることができる。また、高温環境下および低温環境下において共通の蓄熱体Mで潜熱蓄熱が可能であり、夏期や冬期など温度環境が変更の度に蓄熱体Mの種類を変更する必要がない。また、顕熱タイプの蓄熱体に比べ、常に潜熱領域で蓄熱するため蓄熱密度が高くなる。
(10)空調時はペルチェユニット22に通電されるが、ペルチェユニット22の通電時における第1熱面部27と第2熱面部28との温度差(△T)は10℃〜25℃程度であり、高温部と低温部が30℃以上となるような温度差の大きいヒートポンプと比較すると、ペルチェユニット22における第1熱面部27と第2熱面部28との温度差は小さい。温度差が小さくことから空調に消費される電力は少なく済み、限られた電力しか持たない電気自動車10の走行時の空調に好適である。また、蓄熱体Mと外気の温度との温度差が少なくなるため、断熱材の厚みを薄くでき、蓄熱器21のタンクの小型化ができる。
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態の変形例として図8に示す構成の空気調和装置20Aであってもよい。
図8に示す空気調和装置20Aでは、蓄熱側接続路38の蓄熱側熱媒体回路29に対する2つの接続部が、蓄熱側熱媒体回路29における蓄熱側循環ポンプ30と蓄熱器21との間に接続されている。
蓄熱側循環ポンプ30側の一方の接続部には蓄熱側第1切換弁39が設けられ、蓄熱器21側の他方の接続部には蓄熱側第2切換弁40Aが設けられている。
つまり、第1の実施形態とこの変形例では、蓄熱側第2切換弁40、40Aの設置箇所が異なるだけである。
この空気調和装置20Aの場合、第1熱面部27と外部側熱交換器24との間を熱媒体が循環する場合、熱媒体が必ず蓄熱器21を通る。
つまり、外部側熱交換器24のほかに蓄熱体Mの蓄熱又は蓄冷を用いた空調を行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る空気調和装置について説明する。
第2の実施形態に係る空気調和装置は、ペルチェユニットに対して蓄熱体および空調側熱交換器が物理的に接触して熱的な接続を図っている点で第1の実施形態と異なる。
図9は第2の実施形態に係る空気調和装置60を示す。
空気調和装置60は、蓄熱器61、ペルチェユニット62、空調側熱交換器63、空調空間としての車室11と空調側熱交換器63とを接続する車室空気循環路64、車外Sの空気(外気)と空調側熱交換器63とを接続する外気循環路65とを備えている。
図9に示すように、車室空気循環路64と外気循環路65には互いに共用する通路部66が設けられ、この通路部66に送風ファン67が設けられている。
車室空気循環路64を開閉する車室側ダンパ68、69と、外気循環路65を開閉する外気側ダンパ70、71が設けられている。
車室側ダンパ68、69および外気側ダンパ70、71の開閉操作と、送風ファン67の駆動により車室11および外気の少なくとも一方は空調側熱交換器63へ導入される。
ペルチェユニット62は、多数のペルチェ素子を備えたユニット本体部72と、各ペルチェ素子の一方の端面にわたって形成された第1熱面部73と、各ペルチェ素子の他方の端面にわたって形成された第2熱面部74とを備える。
各ペルチェ素子に対して正方向へ通電(「正通電」とする)するとき、第1熱面部73が吸熱面として機能し、第2熱面部74が放熱面として機能する。
また、各ペルチェ素子に対して正方向と逆向きとなる逆方向へ通電(「逆通電」とする)するとき、第1熱面部73が放熱面として機能し、第2熱面部74が吸熱面として機能する。
この実施形態では、蓄熱器61への熱伝達を良くするため第1熱面部73の面積が第2熱面部74の面積よりも大きく設定されている。
第1熱面部74には、多数のフィン76が並設されている第1フィン体75が固定されており、第2熱面部74には、多数のフィン78が並設されている第2フィン体77が固定されている。
第1フィン体75および第2フィン体77の多数のフィン76、78は、効率的な熱交換を行うための表面積を拡大するためのフィンである。
蓄熱器61の容器内には蓄熱体Mが収容されており、蓄熱体Mに浸るように第1フィン体75が容器内に設置されている。
従って、第1フィン体75を介して第1熱面部73と蓄熱体Mとの熱交換を行うことが可能である。
蓄熱体Mは第1の実施形態と同じである。
空調側熱交換器63内には第2フィン体77が設置されている。
従って、第2フィン体77を介して空調側熱交換器63に導入される車室11内の空気および外気の少なくとも一方と第2熱面部74との熱交換を行うことが可能である。
制御手段としてのコントローラ79は、空気調和装置60の各機器を制御するほか、各部の温度測定する温度センサ(図示せず)と接続されている。
上記の構成の空気調和装置60による蓄熱(又は蓄冷)と空調について説明する。
高温環境下における蓄熱体への蓄冷では、コントローラ79はペルチェユニット62に対して正通電する制御を行い、第1熱面部73を吸熱面、第2熱面部74を放熱面として機能させる。
コントローラ79は、車外Sの空気(外気)を空調側熱交換器63に導入し、空調側熱交換器63から再び車外Sへ排出するように各ダンパ68〜71を開閉制御する。
蓄熱体Mの熱は、第1フィン体75を介した第1熱面部73と熱交換され、さらに、空調側熱交換器63において第2フィン体77を介した第2熱面部74と外気との熱交換により外気へ移動する。
蓄熱器61から外気への熱移動により蓄熱体Mの蓄冷が行われる。
高温環境下において車室11内を冷房する場合、コントローラ79はペルチェユニット62に対して逆通電する制御を行い、第1熱面部73を放熱面、第2熱面部74を吸熱面として機能させる。
コントローラ79は、車室11内の空気を空調側熱交換器63に導入し、空調側熱交換器63から再び車室11へ導出するように各ダンパ68〜71を開閉制御する。
車室11内の空気は、空調側熱交換器63において第2フィン体77を介した第2熱面部74と熱交換され、さらに、第1フィン体75を介した第1熱面部73と蓄熱体Mと熱交換され、蓄冷状態の蓄熱体Mへ移動する。
この車室11内の空気から蓄熱器61への熱移動により車室11に対する冷房が行われる。
次に、低温環境下における蓄熱について説明する。
低温環境下において蓄熱する場合、コントローラ79はペルチェユニット62に対して逆通電する制御を行い、第1熱面部73を放熱面、第2熱面部74を吸熱面として機能させる。
コントローラ79は、外気を空調側熱交換器63に導入し、空調側熱交換器63から再び車外Sへ排出するように各ダンパ68〜71を開閉制御する。
外気の熱は、空調側熱交換器63において第2フィン体77を介した第2熱面部74と熱交換され、さらに、第1フィン体75を介した第1熱面部73と蓄熱体Mと熱交換され、蓄熱体Mへ移動する。
この外気から蓄熱器61への熱移動により蓄熱体Mに対する蓄熱が行われる。
低温環境下において車室11内を暖房する場合、コントローラ79はペルチェユニット62に対して正通電する制御を行い、第1熱面部73を吸熱面、第2熱面部74を放熱面として機能させる。
コントローラ79は、車室11内の空気を空調側熱交換器63に導入し、空調側熱交換器63から再び車室11内へ導出するように各ダンパ68〜71を開閉制御する。
蓄熱体Mの熱は、第1フィン体75を介した第1熱面部73と熱交換され、さらに、空調側熱交換器63において第2フィン体77を介した第2熱面部74と車室11内の空気との熱交換により車室11内の空気へ移動する。
この蓄熱器61から車室11の空気への熱移動により車室11内の暖房が行われる。
この実施形態によれば、熱媒体の循環路を備えることなく蓄熱体Mへの蓄熱(又は蓄冷)と蓄熱器61を用いた車室11に対する空調を行うことができる。
また、熱媒体の循環路を備える必要がないことから、熱媒体の循環のために必要な配管、ポンプおよび切換弁を用いる必要がなく、空気調和装置60の構成が単純化される。
また、第1フィン体75および第2フィン体77を介して熱交換する構成であるから、蓄熱器61と、ペルチェユニット62と、空調側熱交換器63を互いに近い位置とすることができ、空気調和装置60の小型化を図ることができるほか、熱損失の少ない熱交換を可能とする。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る空気調和装置について説明する。
第3の実施形態に係る空気調和装置は、蓄熱時に車室内の空気を用いる点が第2の実施形態と異なる。
図10は、第3の実施形態に係る空気調和装置80を示す。
空気調和装置80は、蓄熱器81、ペルチェユニット82、空調側熱交換器83、空調空間としての車室11と空調側熱交換器83とを接続する車室空気循環路84とを備えている。
図10に示すように、車室空気循環路84に送風ファン85が設けられている。
送風ファン85の駆動により車室11内の空気は空調側熱交換器83へ導入される。
図示はしないが、車室11は車外の空気を導入し、車室内の空気を車外へ排出するための外気循環機構(空気経路と送風ファン)を備えている。
従って、送風ファン85の作動と外気循環機構の送風ファンの作動により、外気は車室11内に導入され、車室11内に導入された外気は空調側熱交換器83へ導入される。
ペルチェユニット82は、多数のペルチェ素子を備えたユニット本体部86と、各ペルチェ素子の一方の端面にわたって形成された第1熱面部87と、各ペルチェ素子の他方の端面にわたって形成された第2熱面部88とを備える。
第1熱面部87には、多数のフィン90が並設されている第1フィン体89が固定されており、第2熱面部88には、多数のフィン92が並設されている第2フィン体91が固定されている。
蓄熱器81の容器内には蓄熱体Mが収容されており、蓄熱体Mに浸るように第1フィン体89が容器内に設置されている。
蓄熱体Mは第1の実施形態の蓄熱体Mと同一である。
空調側熱交換器83内には第2フィン体91が設置されている。
制御手段としてのコントローラ93は、空気調和装置60の各機器を制御するほか、各部の温度測定する温度センサ(図示せず)と接続されている。
蓄熱器81、ペルチェユニット82、空調側熱交換器83、車室空気循環路84、第1フィン体89、第2フィン体91およびコントローラ93は第2の実施形態と同一構成である。
上記の構成の空気調和装置80による蓄熱(又は蓄冷)と空調について説明する。
高温環境下における蓄熱体への蓄冷では、コントローラ93はペルチェユニット82に対して正通電する制御を行い、車外Sの空気(外気)を車室11内に導入した状態にて、さらに送風ファン85を作動させ、外気を空調側熱交換器83へ導入する。
蓄熱体Mの熱は、第1フィン体89を介した第1熱面部87と熱交換と、空調側熱交換器83における第2熱面部88と外気との熱交換により外気へ放出され、外気は車外へ排出される。
蓄熱器81から外気への熱移動により蓄熱体Mの蓄冷が行われる。
高温環境下において車室11内を冷房する場合、コントローラ93はペルチェユニット82に対して逆通電する制御を行い、車室11内へ外気を導入しない状態にて車室11内の空気を空調側熱交換器83に導入する。
車室11内の空気は、第2フィン体91を介した第2熱面部88との熱交換と、第1フィン体89を介した第1熱面部87と蓄熱体Mとの熱交換により、蓄冷状態の蓄熱体Mへ移動する。
この車室11内の空気から蓄熱器81への熱移動により車室11に対する冷房が行われる。
次に、低温環境下における蓄熱について説明する。
低温環境下において蓄熱する場合、コントローラ93はペルチェユニット82に対して逆通電する制御を行い、車外Sの空気(外気)を車室11内に導入した状態にて、さらに送風ファン85を作動させ、外気を空調側熱交換器83に導入する。
外気の熱は、第2フィン体91を介した第2熱面部88との熱交換と、第1フィン体89を介した第1熱面部87と蓄熱体Mとの熱交換により蓄熱体Mへ移動する。
この外気から蓄熱器81への熱移動により蓄熱体Mに対する蓄熱が行われる。
低温環境下において車室11内を暖房する場合、コントローラ93はペルチェユニット82に対して正通電する制御を行い、車室11内の空気を空調側熱交換器63に導入する。
蓄熱体Mの熱は、第1フィン体89を介した第1熱面部87と熱交換と、第2フィン体91を介した第2熱面部88と車室11内の空気との熱交換により車室11内の空気へ移動する。
この蓄熱器81から車室11の空気への熱移動により車室11内の暖房が行われる。
この実施形態によれば、第2の実施形態と実質的に同一の作用効果を奏する。
なお、上記の各実施形態に係る空気調和装置は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、下記のように発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。
○ 第1〜第3の実施形態(変形例を含む)では、電気自動車に搭載する空気調和装置について説明したが、電気自動車に限らず移動体としては航空機、船舶であってもよい。移動体が自動車である場合、ハイブリッド車(「HEV」と表記する)やプラグインハイブリッド車(「PHEV」)、あるいは、内燃機関のみを搭載する自動車(「エンジン車」と表記する)の空調装置に本発明を適用することも可能である。また、移動体以外としては家屋やビルなどの構造物に本発明に係る空気調和装置を適用してもよい。
○ 第1の実施形態では、ペルチェユニットや蓄熱器をモータルーム内に設置するようにしたが、ペルチェユニットや蓄熱器は車室と隔絶された空間であれば設置する位置は限定されない。例えば、ペルチェユニットや蓄熱器を床下空間や密閉される荷室空間に設置してもよい。
○ 第2、第3の実施形態では、第1フィン体による蓄熱体と第1熱面部との熱交換と、第2フィンによる第2熱面部と空気との熱交換とにより、蓄熱体と空調側熱交換器との間の熱移動を行うにしたが、第1フィン体を用いた第1熱面部と蓄熱器との伝熱によるのほか、第1熱面部と蓄熱器との間を熱媒体が循環するように回路およびポンプを設けてもよい。この場合、第1フィン体を用いた伝熱と熱媒体の循環による熱移動の併用により精度の高い空調の制御を行うことができる。また、空気と第2熱面部との熱交換に熱媒体による熱移動と第2フィン体を用いた伝熱を適用してもよい。
○ 第1の実施形態では、空調側熱交換器と外部側熱交換器が独立して設けられたが、空調側熱交換器と外部側熱交換器を兼用するように構成してもよい。この場合、空調側熱交換器に車外の空気を導入することで、空調側熱交換器を介して外気を蓄熱時の熱源または熱の放出先とすることができる。また、空調側熱交換器にシステム側熱交換器を兼用するように構成してもよい。例えば、車載機器と空調側熱交換器との間で熱媒体が循環する回路やポンプ等を設置すればよく、この場合、システム排熱を利用した暖房を行うことができる。
○ 第1〜3の実施形態では、潜熱タイプの蓄熱体としてフッ化カリウム四水和物(KF・4H0)を用いたが、蓄熱体は中間温度域に対応する潜熱タイプの材料であればよい。例えば、無機水和物である過塩素酸リチウム三水和物(LiClO・3HO)を用いてもよく、無機水和物のほかにパラフィン系材料やクラスレート系材料を蓄熱体として用いてもよい。
○第1〜第3の実施形態(変形例を含む)では、蓄熱器は1つであったが、蓄熱器を2つ以上備え、それぞれの蓄熱器をペルチェユニットを介して空調側熱交換器と選択的に接続可能となる構造としても良い。そして、液相の蓄熱体を備えた蓄熱器と固相の蓄熱体を備えた蓄熱器とを用意しておけば、春秋期のように冷房と暖房のどちらが行われるか分からない場合であっても、液相の蓄熱体か固相の蓄熱体のどちらか一方を選択して空調を行えば、冷房でも暖房でもどちらでも行うことができる。また、従来のように低温用蓄熱体と高温用蓄熱体の2つを備える場合には蓄熱時に大きな電気エネルギーが必要となるが、融点が5℃〜30℃の温度範囲にある蓄熱体を使用することで、液相の蓄熱体と固相の蓄熱体の両方を蓄熱する場合であっても蓄熱時の電気エネルギーは少なくて済む。
10 電気自動車
11 車室
20、20A、60、80 空気調和装置
21、61、81 蓄熱器
22、62、82 ペルチェユニット
23、63、83 空調側熱交換器
24 外部側熱交換器
25 システム側熱交換器
26、72、86 ユニット本体部
27、73、87 第1熱面部
28、74、88 第2熱面部
29 蓄熱側熱媒体回路
31、64、84 車室空気循環路
33 空調側熱媒体回路
35 空調側接続路
38 蓄熱側接続路
41 システム側接続路
45、79、93 コントローラ
52 蓄熱体温度センサ
65 外気循環路
75、89 第1フィン体
77、91 第2フィン体
101 圧縮機(従来技術)
102 空調器
103 熱交換器(空調側)
104 熱交換器(蓄熱側)
105 熱交換器(外気熱源式)
106 潜熱蓄熱槽
111、112 四方切換弁
S 車室外

Claims (15)

  1. 蓄熱体を備えた蓄熱器と、
    空調側熱交換器と、
    外部側熱交換器と、
    ペルチェ素子を有するペルチェユニットと、を備え、
    前記ペルチェユニットは一方の端面に第1熱面部、他方の端面に第2熱面部とを備え、
    前記蓄熱器は前記第1熱面部と熱的に連結可能に接続され、
    前記空調側熱交換器および前記外部側熱交換器は、前記第2熱面部とそれぞれ熱的に連結可能に接続され、
    蓄熱モード時に、前記ペルチェユニットに対して通電を行い、前記外部側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記蓄熱体への蓄熱を行い、
    空調モード時に、前記ペルチェユニットに対して蓄熱時と反対方向の通電を行い、前記空調側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより空調空間の空調を行うことを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記空調側熱交換器と前記ペルチェユニットの第2熱面部は、前記空調側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第2熱面部との間を熱媒体が循環する空調側熱媒体回路により熱的に連結可能に接続され、
    前記蓄熱器と前記ペルチェユニットの第1熱面部は、前記蓄熱器と前記ペルチェユニットの前記第1熱面部との間を熱媒体が循環する蓄熱側熱媒体回路により熱的に連結可能に接続され、
    前記外部側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第2熱面部は、前記外部側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第2熱面部との間を熱媒体が循環する第1外部側熱媒体回路により熱的に連結可能に接続されていることを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
  3. 前記外部側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第1熱面部との間を熱媒体が循環する第2外部側熱媒体回路を備えたことを特徴とする請求項2記載の空気調和装置。
  4. 前記熱媒体が循環する熱媒体回路を切り換える切換手段と、
    前記切換手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、空調モード時に、前記切換手段を制御して、前記蓄熱側熱媒体回路を循環させる第1循環状態と前記第2外部側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第2循環状態とを切り換えることを特徴とする請求項3記載の空気調和装置。
  5. 前記蓄熱体の温度を検出する第1温度検出手段と、
    前記外部側熱交換器の温度を検出する第2温度検出手段と、を備え、
    空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、前記蓄熱体の温度が前記外部側熱交換器の温度に達するまでは前記第1循環状態とし、
    前記蓄熱体の温度が前記外部側熱交換器の温度に達したら前記第2循環状態とすることを特徴とする請求項4記載の空気調和装置。
  6. 前記蓄熱体の温度を検出する第1温度検出手段と、
    前記外部側熱交換器の温度を検出する第2温度検出手段と、
    目標空調温度を設定する目標空調温度設定手段と、
    前記第1温度検出手段により検出される温度と前記目標空調温度との第1温度差と、前記第2温度検出手段により検出される温度と前記目標空調温度との第2温度差の大小を比較する温度差比較手段と、を備え、
    空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、
    前記温度差比較手段により前記第1温度差が前記第2温度差よりも小さいと判断された場合、前記第1循環状態とし、前記温度差比較手段により前記第2温度差が前記第1温度差よりも小さいと判断された場合、前記第2循環状態とすることを特徴とする請求項4記載の空気調和装置。
  7. 前記空調空間又は外部空間の温度を検出する第4温度検出手段と、
    前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域内であるかを判断する判断手段を備え、
    空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、
    前記判断手段により前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域内であると判断されたとき、前記第2循環状態とすることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項記載の空気調和装置。
  8. 車載機器と熱交換可能なシステム側熱交換器を備え、
    前記システム側熱交換器は前記ペルチェユニットの前記第1熱面部と熱的に連結可能に接続されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項記載の空気調和装置。
  9. 前記システム側熱交換器と前記ペルチェユニットの前記第1熱面部との間を熱媒体が循環するシステム側熱媒体回路を備えていることを特徴とする請求項8記載の空気調和装置。
  10. 前記制御手段は、
    空調モード時に、前記切換手段を制御して、前記蓄熱側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第1循環状態と前記システム側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第3循環状態とを切り換えることを特徴とする請求項9記載の空気調和装置。
  11. 前記蓄熱体の温度を検出する第1温度検出手段と、
    前記システム側熱交換器における前記システム側熱媒体回路の熱媒体の温度を検出する第3温度検出手段と、を備え、
    前記蓄熱側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第1循環状態と、
    前記システム側熱媒体回路に熱媒体を循環させる第3循環状態とを切り換える切換手段と、
    暖房空調モード時に、前記制御手段は、前記切換手段を制御して、
    前記蓄熱体の温度が前記システム側熱媒体回路の熱媒体の温度より高いとき、前記第1循環状態とし、
    前記システム側熱交換器における前記システム側熱媒体回路の熱媒体の温度が前記蓄熱体の温度より高いとき、前記第3循環状態とすることを特徴とする請求項10記載の空気調和装置。
  12. 前記空調空間又は前記外部空間の温度を検出する第4温度検出手段と、
    前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域内であるかを判断する判断手段を備え、
    前記判断手段により前記空調空間の温度又は前記外部空間の温度が中間温度域外であると判断されたときのみ、蓄熱モード時に、前記外部側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記蓄熱体への蓄熱を行うことを特徴とする請求項4〜11のいずれか一項記載の空気調和装置。
  13. 蓄熱体を備えた蓄熱器と、
    空調側熱交換器と、
    ペルチェ素子を有するペルチェユニットと、を備え、
    前記ペルチェユニットは一方の端面に第1熱面部、他方の端面に第2熱面部とを備え、
    前記蓄熱器は前記第1熱面部と熱的に連結可能に接続され、
    前記空調側熱交換器は前記第2熱面部と熱的に連結可能に接続され、
    蓄熱モード時に、前記ペルチェユニットに対して通電を行い、前記空調側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記蓄熱体への蓄熱を行い、
    空調モード時に、前記ペルチェユニットに対して蓄熱時とは反対方向の通電を行い、前記空調側熱交換器と前記蓄熱器との間にて熱移動を行わせることにより前記空調空間の空調を行うことを特徴とする空気調和装置。
  14. 前記蓄熱体の融点は5℃から30℃の温度範囲であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の空気調和装置。
  15. 前記蓄熱体はフッ化カリウム四水和物であることを特徴とする請求項14記載の空気調和装置。
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