JP2011093746A - 多孔質セラミックス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質セラミックスの表面に装飾性を持たせる。
【解決手段】小径の球状の造孔材(核材)を中心部に偏析させて造粒したセラミックス造粒粉を加圧成形して焼結した多孔質セラミックスの表面を、前記セラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨した多孔質セラミックスとする。
【選択図】図1
【解決手段】小径の球状の造孔材(核材)を中心部に偏析させて造粒したセラミックス造粒粉を加圧成形して焼結した多孔質セラミックスの表面を、前記セラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨した多孔質セラミックスとする。
【選択図】図1
Description
本発明は多孔質セラミックス及びその製造方法に関するものである。
多孔質セラミックスに香料液を含浸させ、孔から芳香を徐々に揮散させる装飾体が開発されている。(特許文献1)多数の微細な孔を有し、硬質組織からなる多孔質材質(例えば、多孔質セラミックス)で装飾体を作り、該装飾体に芳香を有する芳香組成物を含浸させ、その外周面を被覆材にて被覆し、該被覆材を通して或いは被覆材に設けられた隙間、裂け目、孔等を通して芳香を徐々に揮散させるものである。
他の芳香揮散技術として、多孔質セラミックスに香料を付着させ、多孔質セラミックスを加熱することで加熱中のみ芳香を揮散させる技術が開示されている。(特許文献2)通信装置(例えば携帯電話)に香料を付着した多孔質セラミックスを装着しておき、必要な時のみ発熱手段に通電して芳香を揮散させることで、香料の揮散を制御するものである。
多孔質セラミックスの製造方法としては、通常セラミックス粉体の加圧成形密度を低くして焼成を行う方法、成形時に揮発性或いは可燃性物質を添加して焼成を行う混合法、或いはシラスのように焼成過程で発泡するような材料を用いる発泡法、可燃性の物質からなる粒状物を核材とし、該核材の表面にセラミック粉末を付着させてなる複合粒子の層にセラミック粉末の層を積層し、これを加圧成形することにより、核材とセラミック粉末との複合圧粉体を得、しかる後、該複合圧粉体を加熱して、核材の燃焼除去と、セラミック粉末の焼結とを行う方法が開示されている。(特許文献3)
核材を使用する方法では、核材の粒径を変えることで気孔の大きさを変えることができる。例えば、核材の粒径を20〜30μmとし、その表面にセラミックス粉末を10μm付着させた造粒粉を加圧成形して焼成することで15〜20μm程度の気孔をもつ多孔性セラミックスを形成できる。
香料液を含浸させ、香料を徐々に揮散させることで香料の揮散時間を長持ちさせる多孔質材として多孔質セラミックスを用いることは思想的には可能であるが、実用的な多孔質セラミックスを製造することは容易ではない。
特許文献1の装飾体では多孔質セラミックスに香料を含浸させ、装飾体表面に被覆材として膜を形成するので、芳香を徐々に揮散することができるが、香料が全部揮散すると被覆材を剥離しない限り再利用ができない。また、多孔質セラミックスは量産できるが、表面に無数の孔(凹部)があるため、表面に光沢がなく装飾体としては不向きである。
特許文献2の芳香揮散技術では、常温では揮散しない香料を多孔質セラミックスに含浸させ、必要な時のみ発熱手段に通電して芳香を揮散させるので、香料の揮散は制御できるが、発熱手段が必要なため単純な装飾体とはなり得ない。多孔質セラミックスの表面に光沢がなく装飾体としては不向きであることは前述と同じである。
特許文献3の多孔質セラミックスの製造方法では、多孔質セラミックスの表面に通常のセラミックスを積層するので表面は孔がなく、表面を研磨すれば平滑面となり艶が出るので装飾体の製造としては有効であるが、芳香を表面から揮散することができない構造となってしまう。
本発明の目的は、香料液を容易に含浸でき(補充も含めて)、芳香を徐々に揮散でき、更に表面を研磨することで艶出しができる多孔質セラミックスとその製造方法を提供することにある。
小径の球状の造孔材(核材)を中心部に偏析させて造粒したセラミックス造粒粉を加圧成形して焼結した多孔質セラミックスの表面を、前記セラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨した多孔質セラミックスとする。
研磨した表面の前記造孔材による凹部が15%以下である多孔質セラミックスとする。
球径の異なる造孔材を用いたセラミックス造粒粉を形成し、造孔材の球径の異なる複数層の多孔質セラミックスとする。
表面に模様を形成した多孔質セラミックスとする。更に、表面を、ブラシ研磨、バフ研磨またはバレル研磨した多孔質セラミックスとする。
液体を含浸させ、徐々に蒸発できる多孔質セラミックスとする。
少なくとも、
造孔材、セラミックス粉末、バインダーと水とを混合する材料混合工程と、
混合した材料を噴霧乾燥する際、造孔材を中心部に偏析させて造粒するセラミックス造粒粉製造工程と、
セラミックス造粒粉を加圧成形する成形工程と、
加圧成形したセラミックス造粒粉を焼成して多孔質セラミックスとする工程とを具備する多孔質セラミックスの製造方法とする。更に、多孔質セラミックス表面をセラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨する研磨工程とを具備する多孔質セラミックスの製造方法とする。
造孔材、セラミックス粉末、バインダーと水とを混合する材料混合工程と、
混合した材料を噴霧乾燥する際、造孔材を中心部に偏析させて造粒するセラミックス造粒粉製造工程と、
セラミックス造粒粉を加圧成形する成形工程と、
加圧成形したセラミックス造粒粉を焼成して多孔質セラミックスとする工程とを具備する多孔質セラミックスの製造方法とする。更に、多孔質セラミックス表面をセラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨する研磨工程とを具備する多孔質セラミックスの製造方法とする。
前記加圧成形で所定形状の多孔質セラミックスを複数個含むマザー基板を作成し、前記研磨工程後に分割する多孔質セラミックスの製造方法とする。
本発明によると、中心部に小径の造孔材を偏析させたセラミックス造粒粉を加圧成形するので、セラミックス造粒粉が押し潰されて隣接するセラミックス造粒粉と密着し、表面が平坦化でき、多孔質セラミックスの表面を造孔材による気孔があまり露出しない程度に研磨することで、多孔質セラミックスの表面に良好な艶を出すことができる。
本発明によると気孔の大きいセラミックス層と気孔の小さいセラミックス層を有する多孔質セラミックスが得られるので、気孔の大きいセラミックス層に多くの液体を含浸でき、気孔の小さいセラミックス層側から徐々に蒸発することができる。用途に応じた組合せとすることができるようになる。
本発明によると、装飾性をもたせた多孔質セラミックスが得られる。
本発明によると、多孔質セラミックスの表面形状に倣う研磨ができるので、多孔質セラミックスの形状を多様化でき、装飾性を有する多孔質セラミックスの用途が拡大できる。
本発明によると、装飾性を有する多孔質セラミックスを安価に製造でき、液体を容易に含浸できるので、再使用が可能となる。
小径の球状の造孔材(核材)を中心部に偏析させて造粒したセラミックス造粒粉を加圧成形して焼結した多孔質セラミックスの表面を、前記セラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨した多孔質セラミックスとする。
最初に本発明による多孔質セラミックスの製造方法を説明する。図1は本発明による多孔質セラミックスの製造方法の一例を説明するための工程図である。
S01は材料を秤量する工程であり、セラミックス粉末としてジルコニア粉末(平均粒径0.1〜0.3μm)、造孔材(PMMA:平均粒径5μmのポリメタクリル酸メチル樹脂)をジルコニア重量比11%、バインダー(アクリル樹脂)をジルコニア重量比3%、水をジルコニア重量比45〜60%用意する。
S02は前記材料を混合する混合工程である。ボールミルまたはビーズミル若しくは攪拌機で10〜20時間混合する。
S03は造粒工程である。混合した材料を噴霧乾燥してセラミックス造粒粉を作る工程であるが、本例では坂本技研社製のディスク式スプレードライヤーDA−240でピン型噴霧板を使用し、乾燥温度180℃、ディスク回転数10000rpmで噴霧乾燥により造粒した。
図2はでき上がったセラミックス造粒粉の写真であり、図3は該セラミックス造粒粉の断面写真である。造孔材2はセラミックス造粒粉1の中心部に偏析しており、偏析した造孔材2の周囲にジルコニア粉末3が付着している。ジルコニア粉末3の一次粒子は径が20nm程度であり、凝集した2次粒子としては0.1〜0.3μm程度になり、それが造孔材2の周囲に付着している。ジルコニア粉末3の中にも造孔材2が点在している。本実施例では中心部に造孔材2が25個程度偏析し、セラミックス造粒粉1の外径は50μm程度にできた。
S04はプレス成形工程であり、成形圧は1ton/cm2で実施した。図4は成形体断面イメージ図と焼結体断面イメージ図である。セラミックス造粒粉1が押し潰され、表面が平坦化されていることが分かる。これは偏析した造孔材2が加圧により移動可能なためであると推測される。従来の多孔性セラミックスの場合、造孔材2が大きく(例えば50μm)、造孔材は偏析せず、造孔材1つの周囲にセラミックス粉末が付着しているため、成形時に加圧しても造孔材が潰れないので、隣接するセラミック造粒粉との隙間が小さくならず、よって、焼成後の顆粒痕(図5参照)も小さくならないので表面粗さが大きいものとなっている。
S05は焼成工程であり、大気炉(電気炉またはガス炉)で温度1420℃、24〜48時間で焼成した。造孔材2とバインダーは焼失し、その跡が気孔4となるが、形状としては図4の焼結体断面イメージ図の黒点部のようになる。図示はしてないが、多孔質セラミックス内の気孔4は細かな孔で繋がっている。
S06は研磨工程である。表面の焼結したセラミックス層(5〜20μm)の半分(2〜10μm)程度を研磨することにより表面が平滑化され艶が出る。セラミックス表面に凹凸が無い場合は通常のポリシングで研磨できるが、セラミックス表面に模様付けをし凹凸がある場合は、ブラシ研磨、バフ研磨またはバレル研磨を選択することで凹凸に倣った表面研磨ができる。図5は研磨処理前後の表面写真であり、(A)は研磨前、(B)は研磨後である。研磨前では表面に顆粒痕5があるが、研磨後は造孔材の孔(気孔)4が幾分残っている状態であり、艶が出ている。
多孔質セラミックスが小さい場合はマザー基板に複数個の製品を形成し、研磨後に分割するとより安価に製造できる。S07は分割工程である。
図6は本発明による多孔質セラミックスの実施例の模式図で上面図とX−X断面図である。粒径の異なる造孔材を使用した2層の積層多孔質セラミックスである。一方の多孔質セラミックス層(図の上部)は気孔を小さく、他方の多孔質セラミックス層(図の下部)は気孔を大きくし気孔率を上げることで、気孔の大きいセラミックス層に多くの液体を含浸でき、気孔の小さいセラミックス層側から徐々に蒸発することができる。造孔材の粒径は同じにして気孔率を変えることでも同様の効果を得ることができる。
図7は表面気孔率と表面粗さのグラフ(実線)であり、横軸が表面気孔率(%)、縦軸が表面粗さRaである。表面気孔(凹部)率が上がると表面粗さが急激に大きくなることが分かる。同図の点線で示す線は光沢感であり、数値化は難しいが、表面気孔率が10%までは光沢感は余り変わらず、それ以上になると急激に光沢感がなくなる。個人差はあるが、表面気孔率が15%位までは十分に光沢感(所謂、艶)があり、装飾品として使用しうる。
多孔質セラミックスの装飾品としての用途は、芳香剤、消臭液等を含浸させて、徐々に蒸発させることで芳香を発生させたり消臭したりするが、芳香を発生させる装飾品としては、ブローチ、ネクタイピン、腕時計のなど身に付けるものや、携帯電話、ハンドバック等の携帯品の部品としても使用できる。
1 セラミックス造粒粉
2 造孔材
3 ジルコニア粉末
4 気孔
5 顆粒痕
2 造孔材
3 ジルコニア粉末
4 気孔
5 顆粒痕
Claims (9)
- 球状の造孔材を中心部に偏析させて造粒したセラミックス造粒粉を加圧成形して焼結した多孔質セラミックスの表面を、前記セラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨したことを特徴とする多孔質セラミックス。
- 研磨した表面の前記造孔材による凹部が15%以下であることを特徴とする請求項1記載の多孔質セラミックス。
- 球径の異なる造孔材を用いたセラミックス造粒粉を形成し、造孔材の球径の異なる複数層の多孔質セラミックスとしたことを特徴とする請求項1記載の多孔質セラミックス。
- 表面に模様を形成したことを特徴とする請求項1、2または3記載の多孔質セラミックス。
- 研磨が、ブラシ研磨、バフ研磨またはバレル研磨であることを特徴とする請求項4記載の多孔質セラミックス。
- 液体を含浸させ、徐々に蒸発できることを特徴とする請求項1または4記載の多孔質セラミックス。
- 少なくとも、
造孔材、セラミック粉末、バインダーと水とを混合する材料混合工程と、
混合した材料を噴霧乾燥する際、造孔材を中心部に偏析させて造粒するセラミックス造粒粉製造工程と、
セラミックス造粒粉を加圧成形する成形工程と、
加圧成形したセラミックス造粒粉を焼成して多孔質セラミックスとする工程とを具備することを特徴とする多孔質セラミックスの製造方法。 - 更に、多孔質セラミックス表面をセラミックス造粒粉の焼結された厚さより薄く研磨する研磨工程とを具備することを特徴とする請求項7記載の多孔質セラミックスの製造方法。
- 前記加圧成形で所定形状の多孔質セラミックスを複数個含むマザー基板を作成し、前記研磨工程後に分割することを特徴とする請求項8記載の多孔質セラミックスの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015079743A1 (ja) * | 2013-11-28 | 2015-06-04 | エステー株式会社 | 揮散装置 |
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-
2009
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