JP2002239321A - 高耐食性金属焼結フィルタ - Google Patents
高耐食性金属焼結フィルタInfo
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Abstract
ルタを提供する。 【解決手段】 ガスアトマイズ法により製造された球状
のチタン粒子1からなる粉末を焼結してチタン多孔質体
を形成する。その多孔質体の一方の表面から他方の表面
へかけて、チタン粒子1の直径を大きくして、気孔2の
大きさを増大させる。
Description
からなる高耐食性金属焼結フィルタに関する。
用されるフィルタの一つとして金属粉末焼結フィルタが
ある。ここにおける金属としては、黄銅系、ステンレス
鋼系が一般的であり、最近ではチタン系も用いられてい
る。
系のものと比べ、耐食性及び耐酸性等に優れるが、成形
性が悪い。このため、比較的成形性の良好な水素化脱水
素チタン粉末を金型プレスで成形し、その後焼結するの
が一般的な製法とされており、水素化脱水素チタン粉末
と同様に成形性が比較的良好なスポンジチタンの粉末を
使用する製法も特開平7−238302号公報に記載さ
れている。
脱水素チタン粉末やスポンジチタン粉末を使用したチタ
ン焼結フィルタでは、気孔の大きさ及び形状がランダム
に分布している。この種のフィルタは、逆洗を繰り返し
ながら長期間使用されるが、気孔の大きさ及び形状がラ
ンダムであると、逆洗を行っても捕捉されている固形分
が十分に除去されない。このため、逆洗再生性が低いと
いう問題がある。
るために、フィルタの表面から裏面へ気孔径を増大させ
ることは、ステンレス鋼系のものについては、特許第2
791737号公報に記載されている。具体的には、仮
焼結により得た多孔質体の表面に、微細粉末をバインダ
樹脂溶液中に分散させたスラリーを塗布した後、本焼結
を行うことにより、多孔質体の表面に微孔の皮層が形成
される。
ての固形分が、微孔の形成された皮層で捕捉され、基層
内部の気孔には固形分が捕捉されないので、皮層に蓄積
した固形分が逆洗により除去されやすくなる。しかし、
その一方では以下の問題がある。
また、ここで使用されているステンレス鋼粉末は水アト
マイズ法により製造された不定形粒子からなり、皮層も
含めて気孔の大きさ及び形状がランダムである。加え
て、皮層は基層のようにプレス成形を受けていないた
め、基層以上に微孔の大きさ及び形状がランダムであ
る。このため、逆洗後も皮層に固形物が残り、期待する
ほどの逆洗再生性は得られない。また、プレス成形を受
けない皮層と、これを受けた基層とで空隙率が大きく異
なるため、処理液の流通性が低下するおそれもある。
優れた金属焼結フィルタを提供することにある。
ィルタでは、そのチタン粉末として水素化脱水素チタン
粉末やスポンジチタン粉末が使用される。これは、粉末
を構成する粒子が不定形であるため、プレス成形性に優
れることが主な理由である。また、粒子が不定形の場
合、気孔径がばらつくため、プレス成形により気孔径を
均一化する必要があり、そのプレス成形が不可欠とな
る。
均一性は依然として不十分であり、プレス成形を行わな
い皮層では、気孔径の不均一が顕著となることは、前述
したとおりである。
球状ガスアトマイズチタン粉末に着目した。球状ガスア
トマイズチタン粉末とは、ガスアトマイズ法により製造
されたチタン又はチタン合金の粉末であり、個々の粒子
は、チタン又はチタン合金の溶融飛沫が飛散中に凝固し
てできたものであるから、表面が滑らかな球形をしてい
る。また、粒径は例えば平均で100μm以下と非常に
微細にでき、篩分けにより粒度による区分も容易であ
る。
は流動性に非常に優れ、粒子同士の接触性が良いため、
焼結容器に充填することより、加圧なしで均一かつ十分
な充填密度が得られる。そして、これを焼結することに
より、プレス成形なしで機械的強度の高い多孔質体が製
造され、製造された多孔質体では、気孔径の均一性に優
れ、気孔形状も球体に囲まれた滑らかな形状になる。ま
た、粉末の粒径を変えること、即ち使用する粉末の粒径
により、空隙率が一定のままで気孔径が広範囲に制御さ
れる。また、その空隙率としてはフィルタに適した35
〜55%が無加圧で得られる。
状ガスアトマイズチタン粉末を焼結して形成されたチタ
ン多孔質体からなり、且つその多孔質体の一方の表面か
ら他方の表面へかけて気孔径を段階的に増大させたもの
であり、逆洗再生性に優れると共に、気孔径を増大せさ
せるにもかかわらず、均一な空隙率を得ることができ
る。
明例における構造の相違を示すイメージ図である。
として水素化脱水素チタン粉末やスポンジチタン粉末等
の、不定形なチタン粒子1からなる粉末が使用されてお
り、表層ほど細粒が使用されることにより、表層ほど気
孔径が縮小されている。プレス成形性が比較的良好でそ
のプレス成形により空隙率が均一化されるが、その均一
化は不十分である。また、チタン粒子1間に形成される
気孔2の形状が滑らかでないため、固形分の除去が困難
である。これに対し、図1(b)に示す本発明例では、
チタン粉末としてガスアトマイズ法により製造された球
状のチタン粒子1からなる粉末が使用されており、表層
ほど細粒が使用されることにより、表層ほど気孔径が縮
小されているが、空隙率は無加圧でも一定である。ま
た、チタン粒子1間に形成される気孔2の形状は、球面
により滑らかに形成されているため、気孔2からの固形
分の除去は容易である。
例えば粒径範囲によって区分された次の3種類が市販さ
れている。即ち、45μm以下の細粒、45〜150μ
mの粗粒、更に粗い150μm以上の3種類であり、平
均粒径は細粒で約25μm、粗粒で約80μmである。
気孔径に影響する。フィルタの一方の面から他方の面に
かけて使用する粉末の粒径を段階的に大きくすることに
より、気孔径を段階的に増大できる。即ち、気孔径が段
階的に増大する複数の多孔質層を重ね合わせた積層構造
が得られる。球状粉末の粒径を変えた場合も、無加圧で
あれば空隙率は基本的に一定であるので、空隙率を変え
ずに気孔径を変化させることができる。ただし、焼結温
度を変更すれば、粒子間の接触面積が変わることによ
り、気孔径が制御され、空隙率も制御される。
択するのが好ましい。即ち、高耐食性金属焼結フィルタ
としては気孔径が70μm以下のものが濾過性の点から
望まれているが、3μm未満の気孔径を得ようとする
と、平均粒径が10μm以下の球状ガスアトマイズ粉末
を使用する必要があり、製造コストが高くなってしまの
である。
タン粉末として市販品を使用し、かつ充填時や焼結時に
加圧を行わずとも、35〜55%の空隙率が得られる。
本発明者らによる調査によれば、この空隙率は金属粉末
焼結フィルタとして好ましい値である。
は特に限定せず、上述の市販品レベルで何ら問題ない
が、ガスアトマイズ法といえども極端な細粒を歩留りよ
く工業的に生産することは困難である。また、粗粒の場
合は薄型の多孔質体を製造したときに多孔質体の厚みに
対するチタン粉末の接触面積が小さくなるために強度不
足が懸念される。よって、粒径は、平均で10〜150
μmの範囲内から、要求される気孔径に応じて選択する
のが好ましい。
施形態を説明する。図2は本発明の一実施形態を示す金
属焼結フィルタの模式断面図である。
チタン粉末を高密度アルミナ製の焼結容器内に無加圧で
充填した後、その球状ガスアトマイズチタン粉末を無加
圧で真空焼結することにより、第1の板状多孔質体11
を製造する。
ガスアトマイズチタン粉末より平均粒径が大きい球状ガ
スアトマイズチタン粉末を用いて、同様に第2の板状多
孔質体12を製造する。第1の板状多孔質体11と同じ
空隙率が得られるように、焼結温度を調整する。
ガスアトマイズチタン粉末より更に平均粒径が大きい球
状ガスアトマイズチタン粉末を用いて、同様に第3の板
状多孔質体13を製造する。第1の板状多孔質体11及
び第2の板状多孔質体12と同じ空隙率が得られるよう
に、焼結温度を調整する。
2,13を重ね合わせて焼結することにより、3層構造
の焼結フィルタ10を製造する。製造された焼結フィル
タ10では、使用された粉末の粒径が異なるため、板状
多孔質体11,12,13の順に気孔径が増大する。空
隙率については、いずれも無加圧充填のために殆ど同じ
である。各多孔質体における気孔は、大きさのバラツキ
が少なく、形状も滑らかで揃ったものになる。
孔質体11,12,13の順に通し、気孔径が最も小さ
い板状多孔質体11で処理液中の固形分の殆どを捕捉す
る設計とすることにより、優れた逆洗再生性が得られ
る。即ち、固形物が板状多孔質体12,13に分散しな
い上、板状多孔質体11における気孔の形状が滑らかで
揃っているため、その気孔中に捕捉された固形分が逆洗
でスムーズに除去されるのである。
はるかに低温の850〜1200℃の範囲内で選択する
のが好ましい。焼結温度が850℃より低い場合は、十
分な焼結が行われない。1200℃を超えると、無加圧
の場合でも焼結部分が個々の粒子同士の接触部にとどま
らず、粒子同士が溶け合うため、適正な空隙率及び気孔
径を確保できなくなる危険がある。この温度範囲内で焼
結温度を変更することにより、空隙率及び気孔径が制御
されることは前述したとおりである。
造のチタン焼結フィルタを作製した。各層の厚みは1m
m(合計3mm)である。各層に使用した球状ガスアト
マイズチタン粉末の平均粒径は20μm、60μm、1
00μmとし、各層の最大気孔径は6μm、22μm、
37μmであった。また空隙率は各層とも45%であっ
た。
市販品を使用して同様のチタン焼結フィルタを作製し
た。3枚の板状多孔質体の作製では、成形と気孔径の均
一化のためにプレスが必要であった。空隙率は各層でば
らつき、55%、48%、37%であった。
ち、平均粒径10μmのシリカビーズを10mg/Lと
なるように水に配合した溶液を、それぞれのフィルタで
濾過乾燥した後の重量増加量を一定とし、その後、空気
圧力5kgf/cm2 で一定時間逆洗乾燥して使用前後
の重量変化を測定して逆洗再生性を評価した。実施例で
は97%が逆洗により除去されたが、比較例では83%
しか除去されなかった。
孔質体を作製して積層したが、粒径が異なるチタン粒子
を層状に充填して焼結しても、同様の積層構造を得るこ
とができる。ちなみに、図1(b)に示した積層構造
は、後者の方法によるものである。
性金属焼結フィルタは、チタン粉末を使用するので、耐
食性に非常に優れる。一方の表面から他方の表面へかけ
て気孔径が段階的に増大する上、各段階では気孔の大き
さが揃い、形状も滑らかであるため、逆洗再生性にも優
れる。また、一方の表面から他方の表面へかけて空隙率
を一定に揃えることができるため、通液性への悪影響を
回避できる。製造が簡単なため、製造コストも安価に抑
制できる。
る構造の相違を示すイメージ図で、(a)は従来例、
(b)は本発明例を示す。
模式断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 球状ガスアトマイズチタン粉末を焼結し
て形成されたチタン多孔質体からなり、その多孔質体の
一方の表面から他方の表面へかけて気孔径が段階的に増
大することを特徴とする高耐食性金属焼結フィルタ。 - 【請求項2】 前記気孔径は3〜70μmの範囲内であ
る請求項1記載の高耐食性金属焼結フィルタ。 - 【請求項3】 前記多孔質体の一方の表面から他方の表
面へかけて空隙率がほぼ一定である請求項1又は2に記
載の高耐食性金属焼結フィルタ。 - 【請求項4】 前記空隙率は35〜55%の範囲内であ
る請求項3に記載の高耐食性金属焼結フィルタ。
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