以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明を適用した実施例としての24時間営業のファミリーレストランの調理機器管理システムの概略図を示している。この図において、1はファミリーレストランの例えば事務室に設置された管理装置であり、この管理装置1は、通信回線2(有線、或いは、無線)を介してPOSコントローラ3に接続されている。これら管理装置1及びPOSコントローラ3は、カレンダー機能やタイマー機能を備えた汎用のマイクロコンピュータと、種々のデータを記憶可能な後述する記憶装置21、22、8(メモリやハードディスク等)、キーボードやマウス等の入力装置、及び、ディスプレイ(表示装置)から構成され、所定のプログラムを実行する。
POSコントローラ3には、客から注文された料理名や数量等から成る注文データの入力を行うオーダー入力端末4と、オーダー入力端末4から受信した注文データ(料理名や数量)の出力を行うと共に、調理が終了した料理を客に提供したことを入力するキーボードを備えたプリンタ6と、精算を行うレジスター7等が通信回線2を介して接続されている。このPOSコントローラ3は、店舗にて仕入れた食材の費用や、店舗に設けられたレジスター7からの情報を収集・蓄積し、分析して売上管理を行う。
尚、レジスター7は店内に、プリンタ6は厨房に設置され、オーダー入力端末4はウエイトレスやウエイター(接客係)が所持する。また、POSコントローラ3には、図2に示すように食材の在庫状況に関する情報が格納される食材データベースと、料理(商品)の売上状況に関する情報が格納される売上データベース等が記録された記憶装置8が接続されている。そして、POSコントローラ3と管理装置1は通信回線2を介して相互に通信可能に構成されると共に、データを共有可能に構成されている。
そして、この管理装置1には通信回線2を介して店舗の厨房に設置された複数台の調理機器(11〜14)が接続されている。調理機器は何れも電熱機器であり、実施例ではオーブン11、グリドル(鉄板焼き)12、フライヤー13、茹で麺機14が厨房に設置されているものとする。また、管理装置1には通信回線2を介して厨房に設置された表示装置16(報知手段)及び調理時間タイマー17(タイマー)が接続されると共に、店舗の入口付近を撮影して画像を解析する撮像装置18(来客検知手段)も通信回線2を介して接続されている。
前記オーブン11は内部を加熱する電気ヒータとファンを有しており、例えばグラタン等のオーブン料理を調理するための調理機器である。このオーブン11の調理温度の温度設定は+200℃〜300℃とされており、また、電源が投入された状態で、係る調理温度より低い例えば+100℃の待機温度に温度設定を切換可能とされている。これらの温度はオーブン11自体が有する図示しないサーモスタット等の温度制御装置により制御される。
前記グリドル12は鉄板を加熱する電気ヒータを有しており、例えばステーキやハンバーグ等の鉄板焼き料理を調理するための調理機器である。このグリドル12の調理温度の温度設定は+200℃〜220℃とされており、また、電源が投入された状態で、係る調理温度より低い例えば+70℃の待機温度に温度設定を切換可能とされている。これらの温度もグリドル12自体が有する図示しないサーモスタット等の温度制御装置により制御される。
前記フライヤー13は揚げ油を加熱する電気ヒータを有しており、例えばフライドポテトやかつ、エビフライや天ぷら等のフライ料理を調理するための調理機器である。このフライヤー13の調理温度の温度設定は+160℃〜180℃とされており、また、電源が投入された状態で、係る調理温度より低い例えば+120℃の待機温度に温度設定を切換可能とされている。これらの温度もフライヤー13自体が有する図示しないサーモスタット等の温度制御装置により制御される。
前記茹で麺機14は湯を沸かす電気ヒータを有しており、例えばパスタやうどん等の麺類を調理するための調理機器である。この茹で麺機14の調理温度の温度設定は+95℃〜100℃とされており、また、電源が投入された状態で、係る調理温度より低い例えば+50℃の待機温度に温度設定を切換可能とされている。これらの温度も茹で麺機14自体が有する図示しないサーモスタット等の温度制御装置により制御される。
これらオーブン11、グリドル12、フライヤー13、及び、茹で麺機14は、管理装置1との間でデータ通信を行い、現在の温度等の温度情報を管理装置1に送信すると共に、当該管理装置1から送信される切換制御データに基づき、温度設定を調理温度と待機温度とに切り換える。
前記表示装置16は液晶ディスプレイから成り、管理装置1によりその表示内容が制御され、注文を受けたことによる注文データや料理を提供したか否かの処理状況、調理可能情報を含む各種の情報を表示する。前記調理時間タイマー17は、各調理機器11〜14にそれぞれ対応して複数設けられる。各調理時間タイマー17は作業者によりスタート操作されて各料理の調理時間(量や食材に応じて作業者がマニュアルで変更する)を測定するものであり、タイムアップした場合にはブザー音を鳴動させる。また、調理時間タイマー17がスタートされた場合のスタート信号と、タイムアップした場合のタイムアップ信号は管理装置1に送信される。更に、調理時間タイマー17には警報ランプ19が設けられている。
尚、各調理機器11〜14に係る調理時間タイマー17と同一の機能が備えられている場合には、この調理時間タイマー17は不要である。但し、既存の設備に本システムを適用させる場合に、調理時間タイマー17は有効である。
前記撮像装置18は、店舗の入口付近を撮影する例えばCCDカメラを備えており、このカメラで撮影した画像を解析して客の入店(指令)と出店を検知すると共に、入店/出店客数の他、画像の解析から当該客(特に入店客)が例えば男性であるか、女性であるか、子供か、大人か、老人であるか等の客情報、及び、入店時刻の情報を生成して管理装置1に送信する。
尚、客の入店、出店を検知するだけのシステムで構わない場合には、係る撮像装置の他、重量や赤外線によって店舗の入口の自動ドアを開閉制御するドア制御装置の信号を用いることも可能である。
管理装置1は、オーダー入力端末4から入力された注文データ(指令)や、プリンタ6から入力された料理の提供情報をPOSコントローラ3を介して受信する。従って、注文データを外部(オーダー入力端末4)から受信する手段は、このPOSコントローラ3が構成することになる。また、管理装置1はその記憶装置21(ROM等)に、図3に示す料理データベースと図4に示す客情報データベースを予め保有している。
この料理データベース(図3)には、当該店舗で提供可能なメニューの各料理名に対応させて、当該料理を調理する際に使用する単一若しくは複数の調理機器(11〜14)、当該調理機器(11〜14)の前述した調理温度(オーブン11は+200℃〜300℃、グリドル12は+200℃〜220℃、フライヤー13は+160〜180℃、茹で麺機14は+95℃〜100℃)、及び、当該料理の調理に必要な調理時間がそれぞれ予め設定され、書き込まれている。尚、この調理時間は、セントラルキッチン方式の場合は予め確定しているものであるが、通常のレストランの場合には、食材の状態や量に応じて作業者が各調理機器(11〜14)で調理する際にマニュアルで変更する。従って、管理装置1には、当該店舗のメニューから想定される、或いは、当該調理機器(11〜14)で設定可能な最長の調理時間に、後述する第1の切換モードの場合には調理開始前の仕込み時間を加算した時間が調理時間として設定され、後述する第2の切換モードの場合には、当該第1の切換モードの調理時間に、来店から注文までに想定される最長の時間を加算した値が調理時間として設定される。
また、客情報データベース(図4)には、前記撮像装置18が検知解析した来客の性別(男性か女性か)、年齢(子供か、大人か、老人か)から成る客情報、及び、入店時刻(例えば昼か、夜か)に対応させて、係る客が注文するであろう料理名を予め想定して決定し、この想定した料理の調理に使用する調理機器(11〜14)が対応して書き込まれている。
更に、管理装置1はもう一つの記憶装置22(読み書き可能なEEPROMやハードディスク等)を備えており、この記憶装置22は、オーダー入力端末4から入力された注文データが書き込まれる注文データベースを保有している(即ち、記憶装置22は注文データ保持手段となる)。注文データが入力された場合はこの注文データベースに書き込まれ、プリンタ6のキーボードから料理の提供情報が入力された場合には、注文データベースから係る料理に関する注文データが消去される。これにより、管理装置1は注文残があるか否かを判断することができる。
更にまた、記憶装置22は、撮像装置18が検知した入店客数、及び、出店客数に関する客数データベースを保有しており、管理装置1は入店客数から出店客数を差し引くことにより、店舗内における客の有無を判断することができる。
以上の構成で、次に本発明の調理機器管理システムを構成する管理装置1が行う調理機器(11〜14)の管理動作について具体的に説明する。尚、調理時間タイマー17の操作や、実際の調理作業は厨房の作業によって行われるものとする。また、各調理機器(11〜14)や管理装置1、POSコントローラ3やレジ7、プリンタ6、撮像装置18等の機器の電源は営業中は常時投入されているものとする。
管理装置1は、調理機器(11〜14)の管理に関して、実施例では4つの管理モードを備えており、選択操作によって各モードを切り換えて使用する。この4つの管理モードとは、通常モードと、注文データ(指令)に応じて温度設定を調理温度と前述した待機温度とに切換制御する第1の切換モードと、撮像装置18が客の入店を検知したこと(指令)に応じて温度設定を調理温度と前述した待機温度とに切換制御する第2の切換モードと、調理時間タイマー17からのタイムアップ信号に応じて温度設定を調理温度と待機温度とに切換制御する第3の切換モードである。
(1)通常モード
前記通常モードが選択された場合、管理装置1は各調理機器(11〜14)の温度設定を常時前述した調理温度とする旨の切換制御データを各調理機器(11〜14)に送信する。オーブン11は係る切換制御データを受信した場合、電源が投入されている間、温度設定を前述した調理温度(+200℃〜300℃)のままとし、グリドル12も温度設定を調理温度(+200℃〜220℃)のままとし、フライヤー13も温度設定を調理温度(+160〜180℃)のままとし、茹で麺機14も温度設定を調理温度(+95℃〜100℃)のままに維持する。
(2)第1の切換モード
前記第1の切換モードが選択された場合、管理装置1は常には各調理機器(11〜14)の温度設定を前述した待機温度とする旨の切換制御データを各調理機器(11〜14)に送信する。オーブン11は切換制御データを受信した場合、温度設定を前述した待機温度(+100℃)とし、グリドル12も温度設定を待機温度(+70℃)とし、フライヤー13も温度設定を待機温度(+120℃)とし、茹で麺機14も温度設定を待機温度(+50℃)とする。従って、各調理機器(11〜14)の温度設定は常には待機温度とされ、それらの電力消費も少なくなっている。
この状態で、オーダー入力端末4から注文データが入力された場合、この注文データが指令となり、当該注文データの料理を調理するために使用する調理機器(11〜14)を図3の料理データベースから抽出する。そして、この抽出した調理機器(11〜14)のみに対して温度設定を前述した調理温度に切り換える旨の切換制御データを送信する。例えば、図3の料理Bが注文された場合には、グリドル12に対して温度設定を調理温度に切り換えるよう切換制御データを送信する。この切換制御データを受信したグリドル12は、温度設定を前述した調理温度(+200℃〜300℃)に上昇させるので、グリドル12の温度は、注文を受けた時点から上昇して行くことになる。
そして、作業者は注文を受けた料理の仕込みを行った後、このグリドル12を用いて調理を行う。調理後、料理が提供された場合、前述した如く当該料理に関する注文データは注文データベースから消去される。
一方、管理装置1は図3の料理データベースから当該料理の調理時間を読み出しており、自らの機能として有するタイマーによりこの調理時間をカウントしている。そして、調理時間が経過し、タイマーがタイムアップした場合、グリドル12に対して温度設定を待機温度に切り換える旨の切換制御データを送信する。係る切換制御データを受信したグリドル12は、温度設定を前述した待機温度(+70℃)に戻す。
このように、常には調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度としておくので、外部からの指令に応じた調理を行っていない空き時間においては、調理機器(11〜14)の消費電力を低下させることができる。一方、空き時間中に調理機器(11〜14)の電源を切るのでは無く、調理機器(11〜14)は待機温度に維持されているので、温度設定を調理温度に切り換えた際にも、調理機器(11〜14)の温度を迅速に調理温度まで上昇させることができる。また、調理時間が経過した場合は、自動的に待機温度に切り換えられるので、作業者が調理機器(11〜14)の温度設定を切り換える手間も省くことができる。これらにより、調理機器(11〜14)を用いた調理作業に支障を来すこと無く、従来に比して著しい電力消費の削減を図ることが可能となる。
また、外部からの指令を注文データとしたことで、客からの料理の注文を受けた時点で調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度から調理温度に切り換えることができる。これにより、調理機器(11〜14)で調理する前の仕込み作業中に調理機器(11〜14)の温度を上昇させておくことができるようになるので、調理作業を円滑化することが可能となる。更に、管理装置1は料理データベースを参照し、注文データの料理に対応する調理時間の経過に基づいて待機温度に切換制御するので、料理毎に応じて的確な温度設定の切換制御を実現することができるようになる。
また、管理装置1は料理データベースを参照し、注文データの料理に対応する調理機器(11〜14)の温度設定を切換制御するので、複数の調理機器(11〜14)全てでは無く、当該料理の調理を行う調理機器のみ、温度設定を切り換えることができるようになり、より一層効果的且つ的確な電力消費の削減を図ることができるようになる。
ここで、上述した調理機器(上記グリドル12)での調理時間が経過した時点で、管理装置1は注文データベースを参照し、当該グリドル12を使用する注文データが残っている場合、待機温度に温度設定を切り換える旨の切換制御データをグリドル12に送信しない。即ち、当該調理機器(グリドル12)を使用する注文データが残っている間は、待機温度への切換制御が禁止されるので、当該グリドル12で調理する料理の注文が残っており、今回の調理が終了した後に、直ぐに次の調理を行わなければならない状況では、待機温度への切り換えを行うこと無く、調理温度を維持することができるようになる。これにより、頻繁な温度設定の切換を防止して調理機器の耐久性を担保しながら、円滑な調理作業を実現することができるようになる。
(3)第2の切換モード
次に、前記第2の切換モードが選択された場合も、管理装置1は常には各調理機器(11〜14)の温度設定を前述した待機温度とする旨の切換制御データを各調理機器(11〜14)に送信する。オーブン11は切換制御データを受信した場合、温度設定を前述した待機温度(+100℃)とし、グリドル12も温度設定を待機温度(+70℃)とし、フライヤー13も温度設定を待機温度(+120℃)とし、茹で麺機14も温度設定を待機温度(+50℃)とする。従って、各調理機器(11〜14)の温度設定は常には待機温度とされ、それらの電力消費も少なくなっている。
この状態で、撮像装置18が客の入店を検知し、係る客の入店に関する情報が入力された場合、この入店情報が指令となり、調理機器(11〜14)に対して温度設定を調理温度に切り換える旨の切換制御データを送信するものであるが、その場合、撮像装置18が解析した客情報と入店時刻から、客情報データベースを参照して切換制御データを送信する調理機器を決定する。
例えば、入店客が大人の男性で、入店時刻が夜であった場合、注文される料理名はF(例えばエビフライ等のフライ料理)であると想定されるので、管理装置1は料理Fの調理に使用する調理機器であるフライヤー13を客情報データベースから抽出し、当該フライヤー13のみに対して温度設定を調理温度に切り換えるよう切換制御データを送信する。この切換制御データを受信したフライヤー13は、温度設定を前述した調理温度(+160℃〜180℃)に上昇させるので、フライヤー13の温度は、注文を受ける以前の、客が来店した時点から上昇して行くことになる。
尚、その後注文を受けた料理がFでは無かった場合には、管理装置1は実際に注文された注文データに基づき、前記第1の切換モードに移行すると共に、注文データの料理がフライヤー13を使用するものでは無かった場合には、フライヤー13の温度設定は待機温度に戻される。
一方、実際に注文された料理がFであった場合、管理装置1は第2の切換モードを継続する。作業者は前述同様に注文を受けた料理の仕込みを行った後、このフライヤー13を用いて調理を行う。調理後、料理が提供された場合、前述した如く当該料理に関する注文データは注文データベースから消去される。
一方、管理装置1は図3の料理データベースから当該料理Fの調理時間を読み出しており、自らの機能として有するタイマーによりこの調理時間をカウントしている。そして、調理時間が経過し、タイマーがタイムアップした場合、フライヤー13に対して温度設定を待機温度に切り換える旨の切換制御データを送信する。係る切換制御データを受信したフライヤー13は、温度設定を前述した待機温度(+120℃)に戻す。
このように、この場合にも常には調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度としておくので、来客の無い空き時間においては、調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度に下げて消費電力を低下させることができる。また、同様に空き時間中に調理機器(11〜14)の電源を切るものでは無く、調理機器(11〜14)は待機温度に維持されているので、温度設定を調理温度に切り換えた際にも、調理機器(11〜14)の温度を迅速に調理温度まで上昇させることができる。この場合、撮像装置19が客の来店を検知した時点で調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度から調理温度に切り換えることができるので、調理機器(11〜14)で調理を開始する前のより早い段階で調理機器(11〜14)の温度上昇を開始することができるようになる。これらにより、調理機器(11〜14)を用いた調理作業に支障をきたすこと無く、従来に比して著しい電力消費の削減を図ることが可能となる。
また、店舗の入口付近を撮影した画像を解析して客の入店を検知する撮像装置18を用いたので、より的確に客の来店を検知できるようになる。これにより、客の来店では無いにもかかわらず温度設定の切換制御が作動してしまう不都合を効果的に抑制することができるようになる。
また、管理装置1は、撮像装置18が画像を解析した客の情報及び入店時刻の情報に基づいて、予め設定した客情報データベースから求まる料理に対応付けられた調理機器(11〜14)の温度設定を調理温度に切換制御するので、複数の調理機器(11〜14)の全てでは無く、撮像装置18が検知した客の情報及び入店時刻より想定される注文料理の調理を行う調理機器(上述したフライヤー13)のみ、温度設定を切り換えることができるようになり、より一層効果的且つ的確な電力消費の削減を図ることができるようになる。
そして、この場合も管理装置1は料理データベースを参照し、調理が終了する所定時間が経過した段階で、自動的に待機温度に切り換えるので、作業者が調理機器(11〜14)の温度設定を切り換える手間を省くことができるようになる。
その場合、管理装置1は前述した客数データベースを参照し、入店客数から出店客数を差し引くことにより、店舗内における客の有無を判断し、その情報を保持している。そして、店舗内に客が存在している間は、調理機器(上述したフライヤー13)に待機温度への切換制御データを送信しない。即ち、客が店舗に存在している間は、調理温度に切り換えた調理機器(上述したフライヤー13)の待機温度への切換制御を禁止するので、店舗内に客が存在し、新規注文や追加注文が発生する可能性がある状況では、待機温度への切り換えを行うこと無く、調理温度を維持することができるようになる。これにより、頻繁な温度設定の切換を防止して調理機器(11〜14)の耐久性を担保しながら、円滑な調理作業を実現することができるようになる。そして、この制御は前述したように第2の切換モードから第1の切換モードに移行したケースでも実行される。
尚、上記の如く調理時間の経過によって待機温度に切り換える場合の他、前述した客数データベースに基づいて把握される店舗内における客の有無により、当該客が存在しなくなったことに応じて、調理機器(上述したフライヤー13)に温度設定を待機温度に切り換える旨の切換制御データを送信するようにしても良い。そして、この制御も前述したように第2の切換モードから第1の切換モードに移行したケースで実行される。
係る制御によれば、店舗内に客が存在しなくなり、新規注文や追加注文が発生する可能性が無くなった場合に、待機温度に切り換えることができるようになるので、やはり新規及び追加注文による頻繁な温度設定の切換を防止して調理機器(11〜14)の耐久性を担保しながら、円滑な調理作業を実現することができるようになる。
(4)第3の切換モード
次に、前記第3の切換モードが選択された場合も、管理装置1は常には各調理機器(11〜14)の温度設定を前述した待機温度とする旨の切換制御データを各調理機器(11〜14)に送信する。オーブン11は切換制御データを受信した場合、温度設定を前述した待機温度(+100℃)とし、グリドル12も温度設定を待機温度(+70℃)とし、フライヤー13も温度設定を待機温度(+120℃)とし、茹で麺機14も温度設定を待機温度(+50℃)とする。従って、各調理機器(11〜14)の温度設定は常には待機温度とされ、それらの電力消費も少なくなっている。
この状態で、撮像装置18が客の入店を検知し、係る客の入店に関する情報が入力された場合、この入店情報が指令となり、調理機器(11〜14)に対して温度設定を調理温度に切り換える旨の切換制御データを送信するものであるが、この場合も、撮像装置18が解析した客情報と入店時刻から、客情報データベースを参照して切換制御データを送信する調理機器を決定する。
例えば、入店客が大人の女性で、入店時刻が昼であった場合、注文される料理名はP(例えばパスタ等の麺類)であると想定されるので、管理装置1は料理Pの調理に使用する調理機器である茹で麺機14を客情報データベースから抽出し、当該茹で麺機14のみに対して温度設定を調理温度に切り換えるよう切換制御データを送信する。この切換制御データを受信した茹で麺機14は、温度設定を前述した調理温度(+95℃〜100℃)に上昇させるので、茹で麺機14の温度は、注文を受ける以前の、客が来店した時点から上昇して行くことになる。
尚、その後注文を受けた料理がPでは無かった場合には、管理装置1は実際に注文された注文データに基づき、前記第1の切換モードと同様に実際に注文された料理の調理に使用する調理機器(11〜14)を温度設定を調理温度に切り換える。即ち、注文データの料理が茹で麺機14を使用するものでは無かった場合には、茹で麺機14の温度設定は待機温度に戻される。
ここでは、実際に注文された料理もPであったものとすると、作業者は前述同様に注文を受けた料理の仕込みを行った後、この茹で麺機14を用いて調理を開始するものであるが、パスタ麺を茹で麺機14に投入する前に、当該茹で麺機14に対応する調理時間タイマー17をスタートさせる。この調理時間タイマー17は料理Pの調理時間を測定するように設定されているものとする。この調理時間タイマー17のスタート信号は管理装置1に送信されるが、管理装置1はその時点における茹で麺機14の温度に関する情報も当該茹で麺機14から受信している。
そして、調理時間タイマー17のスタート信号を入力した時点で茹で麺機14の温度が調理温度まで到達していなかった場合、ランプ19を点灯させるように調理時間タイマー17に制御データを送信する。調理時間タイマー17は管理装置1から係る制御データを受信すると、ランプ19を点灯させて警報を発するので、作業者はパスタ麺を投入する時点で未だ茹で麺機14の温度が調理温度に到達していないことを確認することができる。そして、作業者は調理時間タイマー17をリセットして暫時待ち、その後再スタートさせる。その際に、茹で麺機14の温度が調理温度に達していれば、管理装置1はランプ19を点灯させないので、作業者はランプ19が点灯しないことを確認してから、パスタ麺を茹で麺機14に投入する。
このように、調理時間タイマー17のスタート信号を入力時に調理機器(11〜14)が調理温度に到達していない場合、管理装置1は当該調理時間タイマー17のランプ19を点灯させて警報を出力するので、調理温度まで上昇していないのにかかわらず調理時間タイマー17が調理時間の測定をスタートし、調理不足となってしまう不都合を未然に回避することが可能となる。
尚、係るランプ19による警報に加えて、或いは、それに代えて、上述した茹で麺機14の温度が図3の料理データベースから把握される調理温度に到達し、調理可能となったことを、管理装置1が表示装置16に表示して報知するようにしても良い。係る表示装置16の表示を見てからパスタ麺を茹で麺機14に投入するようにすれば、調理温度まで上昇していないのにかかわらず、パスタ麺を茹で麺機14に投入して、調理不足となってしまう不都合を未然に回避することが可能となる。
そして、当該パスタの調理時間が経過して、調理時間タイマー17がタイムアップし、ブザーが鳴動することで、作業者は調理を終了する。調理後、料理が提供された場合、前述した如く当該料理に関する注文データは注文データベースから消去される。
一方、調理時間タイマー17はタイムアップした時点で、タイムアップ信号を管理装置1に送信する。管理装置1は、係るタイムアップ信号が入力された場合、茹で麺機14に対して温度設定を待機温度に切り換える旨の切換制御データを送信する。係る切換制御データを受信した茹で麺機14は、温度設定を前述した待機温度(+50℃)に戻す。
このように、この場合にも常には調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度としておくので、調理機器(11〜14)による調理が終了した後の空き時間においては、調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度に下げて消費電力を低下させることができる。
一方、空き時間中に調理機器(11〜14)の電源を切るものでは無く、調理機器(11〜14)は待機温度に維持されているので、温度設定を調理温度に切り換えた際にも、調理機器(11〜14)の温度を迅速に調理温度まで上昇させることができる。特に、調理時間を計測する調理時間タイマー17のタイムアップに応じて待機温度に切り換えるので、調理時間が経過した場合に自動的に待機温度に切り換えられ、作業者が調理機器(11〜14)の温度設定を切り換える手間も省くことができる。これらにより、調理機器(11〜14)を用いた調理作業に支障をきたすこと無く、従来に比して著しい電力消費の削減を図ることが可能となる。
また、管理装置1は、調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度から調理温度に切り換える指令(前述した撮像装置18による来客の検知)を入力し、当該指令の入力に応じて調理機器(11〜14)の温度設定を調理温度に切換制御するので、指令に応じて自動的に調理機器(11〜14)の温度設定が調理温度に切り換えられ、この場合も作業者が温度設定を切り換える手間を省くことができるようになる。
特に、実施例のように撮像装置18の検知情報を調理温度に切り換える指令とすれば、客の来店を検知した時点で調理機器(11〜14)の温度設定を待機温度から調理温度に切り換えることができるようになり、調理機器(11〜14)で調理を開始する前のより早い段階で調理機器(11〜14)の温度上昇を開始することができるようになる。
尚、上記各切換モードにおいて、管理装置1は自らが機能として有するカレンダーに基づき、例えば、現在の時刻が昼食時の午前11時〜午後2時の間、又は、夕食時の午後5時〜午後10時の間である場合、各調理機器(11〜14)の温度設定を前述した調理温度とする切換制御データを送信し、待機温度に温度設定を切り換える旨の切換制御データは送信しない。即ち、管理装置1は、上述した店舗の繁忙時間帯においては、待機温度への切換制御を禁止するので、料理の注文が集中する時間帯は調理機器(11〜14)を調理温度に維持することができるようになり、多数の注文を円滑に処理して、支障なく料理の提供を行うことができるようになる。
また、上記各実施例では調理機器としてオーブン、グリドル、フライヤー、茹で麺機を採り上げたが、それに限らず、店舗の厨房に設置される各種調理機器に本発明は適用可能である。
更に、上記実施例では管理装置1が通常モードに加えて三つの切換モードを有するものとしたが、この発明では通常モードと第3の切換モードを有するものであれば支障は無い。