JP2011089926A - 信号解析装置、走査型白色干渉計装置、信号解析方法、及び信号解析プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、白色干渉波形のサンプリング間隔の自由度を高めることを目的とする。
【解決手段】本発明を例示する信号解析方法の一態様は、走査型白色干渉計が生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置Zi’、(Zi’+δZ)にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手順と、前記1対のサンプリング位置のズレδZと、前記1対の干渉強度信号(I(Zi’)、I(Zi’+δZ))とに基づき、前記白色干渉波形のエンベロープの前記1対のサンプリング位置の近傍における値b(Zi’)を推測する推測手順とを含む。
【選択図】 図5
【解決手段】本発明を例示する信号解析方法の一態様は、走査型白色干渉計が生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置Zi’、(Zi’+δZ)にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手順と、前記1対のサンプリング位置のズレδZと、前記1対の干渉強度信号(I(Zi’)、I(Zi’+δZ))とに基づき、前記白色干渉波形のエンベロープの前記1対のサンプリング位置の近傍における値b(Zi’)を推測する推測手順とを含む。
【選択図】 図5
Description
本発明は、走査型白色干渉計に適用される信号解析装置、信号解析方法、及び信号解析プログラムに関する。また、本発明は、走査型白色干渉計装置に関する。
従来、半導体ウエハや液晶表示器用ガラス基板などの精密加工品の凹凸形状を測定する表面形状測定装置として、走査型白色干渉計の原理を利用したものが広く知られている。
この種の表面形状測定装置では、白色光源から射出した白色光束を測定対象面と参照面との双方へ照射し、参照面又は測定対象面を光軸方向へ走査しながら、測定対象面における反射光束と参照面における反射光束とが成す白色干渉画像を繰り返しサンプリングし、これによって得られた画像群から、白色干渉強度が最大となるような走査位置を画素毎に求めることで、測定対象面の高さ分布を既知とする(特許文献1等を参照。)。
しかしながら、この測定方法では、画像群の解析にフーリエ変換などの周波数解析が採用されているため、サンプリングを等間隔サンプリングとし、かつ、そのサンプリング間隔を白色干渉波形のナイキスト周波数から決まる所定範囲内に収める必要があった。
そこで本発明は、サンプリング間隔の自由度を高めることのできる、白色干渉波形の信号解析装置、信号解析方法、及び信号解析プログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、サンプリング間隔の自由度の高い走査型白色干渉計装置を提供することを目的とする。
本発明を例示する信号解析装置の一態様は、走査型白色干渉計が生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手段と、前記1対のサンプリング位置のズレと、前記1対の干渉強度信号とに基づき、前記1対のサンプリング位置の近傍における前記白色干渉波形のエンベロープ又は位相の値を推測する推測手段とを備える。
本発明を例示する走査型白色干渉計装置の一態様は、互いに近接した1対のサンプリング位置にて1対の干渉強度信号をサンプリングする走査型白色干渉計と、前記1対の干渉強度信号を入力して処理する本発明の信号解析装置の一態様とを備える。
本発明を例示する信号解析方法の一態様は、走査型白色干渉計が生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手順と、前記1対のサンプリング位置のズレと、前記1対の干渉強度信号とに基づき、前記1対のサンプリング位置の近傍における前記白色干渉波形のエンベロープ又は位相の値を推測する推測手順とを含む。
本発明を例示する信号解析プログラムの一態様は、走査型白色干渉計の生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手順と、前記1対のサンプリング位置のズレと、前記1対の干渉強度信号とに基づき、前記1対のサンプリング位置の近傍における前記白色干渉波形のエンベロープ又は位相の値を推測する推測手順とをコンピュータに実行させる。
本発明によれば、サンプリング間隔の自由度を高めることのできる、白色干渉波形の信号解析装置、信号解析方法、及び信号解析プログラムが実現する。また、本発明は、サンプリング間隔の自由度の高い走査型白色干渉計装置が実現する。
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態として、走査型白色干渉計の原理を利用した表面形状測定装置を説明する。
以下、本発明の実施形態として、走査型白色干渉計の原理を利用した表面形状測定装置を説明する。
図1は、本実施形態の表面形状測定装置の構成図である。図1に示すとおり本実施形態の表面形状測定装置には、白色光源1、ビームエキスパンダ2、ビームスプリッタ3、偏光ビームスプリッタ4、ビームエキスパンダ5P、5S、参照板6P、6S、ビームエキスパンダ7、偏光ビームスプリッタ9、ビームエキスパンダ10P、10S、撮像素子11P、11S、ステージ10、リニアエンコーダ20、コントロールユニット30等が備えられる。
白色光源1から射出した白色光束は、ビームエキスパンダ2を介して径の太い平行光束となってビームスプリッタ3へ入射し、ビームスプリッタ3を透過する光束(参照光束LR)と、ビームスプリッタ3を反射する光束(測定光束LM)とに分岐する。
参照光束LRは、偏光ビームスプリッタ4へ入射すると、偏光ビームスプリッタ4を透過するP偏光成分(参照光束LRP)と、偏光ビームスプリッタ4を反射するS偏光成分(参照光束LRS)とに分岐する。
なお、偏光ビームスプリッタ4へ最初に入射する白色光束の偏光方向は、偏光ビームスプリッタ4を透過する参照光束LRPの強度と偏光ビームスプリッタ4を反射する参照光束LRSの強度とが等しくなるような方向に予め設定されている。
参照光束LRPは、ビームエキスパンダ5Pを介して参照板6Pの参照面へ正面から入射すると、その参照面にて反射して光路を折り返し、ビームエキスパンダ5Pを介して偏光ビームスプリッタ4へ戻り、偏光ビームスプリッタ4を透過する。
参照光束LRSは、ビームエキスパンダ5Sを介して参照板6Sの参照面へ正面から入射すると、その参照面にて反射して光路を折り返し、ビームエキスパンダ5Sを介して偏光ビームスプリッタ4へ戻り、偏光ビームスプリッタ4を反射する。
偏光ビームスプリッタ4を透過した参照光束LRPと偏光ビームスプリッタ4を反射した参照光束LRSとは、共にビームスプリッタ3を反射した後、偏光ビームスプリッタ9へ入射する。
偏光ビームスプリッタ9へ入射した参照光束LRPは、偏光ビームスプリッタ9を透過し、ビームエキスパンダ10Pを介して撮像素子11Pへ入射する。
偏光ビームスプリッタ9へ入射した参照光束LRSは、偏光ビームスプリッタ9を反射し、ビームエキスパンダ10Sを介して撮像素子11Sへ入射する。
また、前述した測定光束LMは、ビームエキスパンダ7を介して測定対象物8の測定対象面8aへ入射すると、測定対象面8aにて反射して光路を折り返し、ビームエキスパンダ7及びビームスプリッタ3を順に介して偏光ビームスプリッタ9へ入射する。
偏光ビームスプリッタ9へ入射した測定光束LMのP偏光成分(測定光束LMP)は、偏光ビームスプリッタ9を透過し、ビームエキスパンダ10Pを介して撮像素子11Pへ入射する。この測定光束LMPは、前述した参照光束LRPと偏光方向が同じなので、その参照光束LRPと干渉して白色干渉波を生起させる。
偏光ビームスプリッタ9へ入射した測定光束LMのS偏光成分(測定光束LMS)は、偏光ビームスプリッタ9を反射し、ビームエキスパンダ10Sを介して撮像素子11Pへ入射する。この測定光束LMSは、前述した参照光束LRSと偏光方向が同じなので、その参照光束LRSと干渉して白色干渉波を生起させる。
撮像素子11Pは、撮像素子11Pの撮像面上の輝度分布を示す画像を生成する。この画像は、測定光束LMPと参照光束LRPとによる白色干渉波の強度分布を表す。なお、ここでは、撮像素子11Pによる画像生成(撮像)のタイミングはコントロールユニット30によって制御されるものとする。
撮像素子11Sは、撮像素子11Sの撮像面上の輝度分布を示す画像を生成する。この画像は、測定光束LMSと参照光束LRSとによる白色干渉波の強度分布を表す。なお、ここでは、撮像素子11Sによる画像生成(撮像)のタイミングはコントロールユニット30によって制御されるものとする。
以上のとおり、本実施形態の装置では、参照アームが2系統化されている。一方の参照アームは、ビームスプリッタ3の分離面から参照板6Pの参照面までのP偏光の参照アームであり、他方の参照アームは、ビームスプリッタ3の分離面から参照板6Sの参照面までのS偏光の参照アームである。これらの参照アームにおいて、ビームエキスパンダ5P、5Sの特性(倍率及び透過率)は共通であり、参照板6P、6Sの参照面の特性(反射率)は共通である。
また、本実施形態の装置では、干渉光路も2系統化されている。一方の干渉光路は、ビームスプリッタ3の分離面から撮像素子11Pの撮像面までのP偏光の干渉光路であり、他方の干渉光路は、ビームスプリッタ3の分離面から撮像素子11Sの撮像面までのS偏光の干渉光路である。これらの干渉光路において、ビームエキスパンダ10P、10Sの特性(倍率及び透過率)は共通であり、撮像素子11P、11Sの特性(画素数及び画素ピッチ)は共通である。
ここで、ステージ10は、以上の白色光源1、ビームエキスパンダ2、ビームスプリッタ3、偏光ビームスプリッタ4、ビームエキスパンダ5P、5S、参照板6P、6S、ビームエキスパンダ7、偏光ビームスプリッタ9、ビームエキスパンダ10P、10S、撮像素子11P、11Sを含む全体の光学系を支持している。
よって、ステージ10がビームエキスパンダ7の光軸方向(Z方向)に向かってシフトすると、測定アームの長さが変化する。これによって、P偏光の参照アームの長さに対する測定アームの長さと、S偏光の測定アームの長さに対する測定アームの長さとが、同時に等量ずつ走査される。
仮に、P偏光の参照アームの長さと測定アームの長さとが近ければ、撮像素子11Pへ入射する白色干渉波の干渉強度は高まり、両者の長さが完全に一致したとき、その干渉強度は最大となる。また、S偏光の参照アームの長さと測定アームの長さとが近ければ、撮像素子11Sへ入射する白色干渉波の干渉強度は高まり、両者の長さが完全に一致したとき、その干渉強度は最大となる。
ここで、P偏光の参照アームとS偏光の参照アームとは、ビームスプリッタ3の分離面に対して光学的に等価であるが、互いの長さは所定量δZだけずれている。具体的に、ビームエキスパンダ5Pから参照板6Pの参照面までの間隔と、ビームエキスパンダ5Sから参照板6Sの参照面までの間隔とは等しいが、偏光ビームスプリッタ4の偏光分離面からビームエキスパンダ5Pまでの間隔は、偏光ビームスプリッタ4の偏光分離面からビームエキスパンダ5Sまでの間隔よりも、δZだけ短く設定されている。
また、P偏光の干渉光路とS偏光の干渉光路とは、ビームスプリッタ3の分離面に対して光学的に等価であり、互いの長さも共通である。具体的に、偏光ビームスプリッタ9の偏光分離面からビームエキスパンダ10Pまでの間隔と、偏光ビームスプリッタ9の偏光分離面からビームエキスパンダ10Sまでの間隔とは互いに等しく、ビームエキスパンダ10Pから撮像素子11Pの撮像面までの間隔と、ビームエキスパンダ10Sから撮像素子11Sの撮像面までの間隔とは互いに等しい。
この場合、参照光束LRPのトータルの光路長は、参照光束LRSのトータルの光路長よりも、2×δZだけ短くなり、測定光束LMPのトータルの光路長と、測定光束LMSトータルの光路長とは、等しくなる。
したがって、上述した1対の撮像素子11P、11Sは、ステージ10のZ座標にしてδZだけずれた走査位置における1対の画像を、並行してサンプリングすることができる。
なお、P偏光の参照アームとS偏光の参照アームとの間の長さのズレδZは、白色光源1の中心波長λ0に対してδZ<λ0/8の式を満たすことが望ましい。因みにその場合、参照光束LRPのトータルの光路長と、参照光束LRSのトータルの光路長との差は、λ0/4未満となる。
ここで、ステージ10のZ座標は、コントロールユニット30によって制御される。但し、ステージ10の実際のZ座標は、コントロールユニット30の設定通りになるとは限らない。このため本実施形態ではリニアエンコーダ20が活用される。
リニアエンコーダ20のスケール20bは、ステージ10のZ方向にかけて形成されており、ステージ10と共にZ方向にシフトする。リニアエンコーダ20の検出ヘッド20bは、測定対象物8と共通のベースに固定されおり、スケール20bの一部に正対している。検出ヘッド20aは、スケール20bに向かって検出光を照射し、その反射光に基づきステージ10のZ座標を示す信号(検出信号)を生成する。この検出信号は、コントロールユニット30によって取り込まれる。
コントロールユニット30は、制御装置としての機能と、解析装置としての機能とを有する。コントロールユニット30には、そのためのプログラム(制御プログラム、解析プログラム)が予めインストールされており、これらのプログラムは、コントロールユニット30の作業用メモリ上へ必要に応じて読み出され、コントロールユニット30のCPUによって実行される。
制御装置としてのコントロールユニット30は、ステージ10、検出ヘッド20a、白色光源1、撮像素子11P、11Sを制御することにより測定処理を実行し、複数対の画像をサンプリングする。解析装置としてのコントロールユニット30は、測定処理でサンプリングした複数対の画像を解析処理することにより、測定対象面8aの形状を算出する。
図2は、コントロールユニット30による測定処理のフローチャートである。以下、図2の各ステップを順に説明する。なお、測定処理の開始時点では、ビームエキスパンダ7の先端と測定対象面8aとの間隔が互いに接触しない程度に狭められているものと仮定し、測定処理時におけるステージ10のシフト方向は、この間隔が拡大する方向(測定アームが長くなる方向)であると仮定する。
ステップS10:コントロールユニット30は、サンプリング番号iを初期値(1)に設定する。
ステップS11:コントロールユニット30は、検出ヘッド20aをオンし、この時点におけるステージ10のZ座標を原点に設定すると共に、白色光源1をオンする。
ステップS12:コントロールユニット30は、検出ヘッド20aが出力する検出信号を参照し、ステージ10のZ座標を検知する。以下、サンプリング番号がiであるときに検知されたZ座標を「実座標Zi’」とおく。
ステップS13:コントロールユニット30は、撮像素子11Pを駆動して1フレーム分の画像をサンプリングすると共に、撮像素子11Sを駆動して1フレーム分の画像をサンプリングする。前述したとおり、P偏光の参照アームはS偏光の参照アームよりもδZだけ短いので、撮像素子11Pがサンプリングした画像を、実座標Zi’における画像とすると、撮像素子11Sがサンプリングした画像は、実座標(Zi’+δZ)における画像である。以下、サンプリング番号がiであるときに撮像素子11Pがサンプリングした画像を「画像I(Zi’)」とおき、サンプリング番号がiであるときに撮像素子11Sがサンプリングした画像を「画像I(Zi’+δZ)」とおく。
ステップS14:コントロールユニット30は、サンプリング番号iが最終値(ここでは20とする。)に達したか否かを判別し、最終値に達していなければステップS15へ移行し、最終値に達していればステップS17へ移行する。
ステップS15:コントロールユニット30は、δZよりも長い所定ピッチΔZだけZ方向にシフトするようステージ10に対してZ座標の目標値(=i×ΔZ)を入力する。以下、サンプリング番号がiであるときの目標値を「目標座標Zi」とおく。これによって、ステージ10が1ピッチ分だけシフトする。なお、このピッチΔZは、本装置が生成する白色干渉波形(インターフェログラム)のナイキスト周期より大きく設定されても構わない。
ステップS16:コントロールユニット30は、サンプリング番号iをインクリメントしてからステップS12へ戻る。したがって、コントロールユニット30は、ステージ10を所定ピッチΔZずつシフトさせながら、1対の画像I(Zi’)、I(Zi’+δZ)及び実座標Zi’の取得を20回繰り返す。
ステップS17:コントロールユニット30は、十分に大きい所定距離だけZ方向にシフトするようステージ10へ指示し、その状態で撮像素子11P、11Sを駆動して1対の画像をサンプリングし、その1対の画像の平均画像I0を算出する。
なお、ここでいう所定距離とは、撮像素子11P、11Sの各位置に入射する白色干渉光の可干渉性が完全にゼロとなるような十分に大きな値である。よって、本ステップで算出される平均画像I0は、撮像素子11P、11Sの各画素が生成するインターフェログラムのDC成分を表す。以下、この平均画像I0を「DC成分画像I0」と称す。
ステップS18:コントロールユニット30は、検出ヘッド20a及び白色光源1をオフする。
ステップS19:コントロールユニット30は、以上のステップで取得した一連の画像I(Z1’)、…、I(Z20’)と、一連の画像I(Z1’+δZ)、…、I(Z20’+δZ)と、一連の実座標Z1’、…、Z20 ’と、DC成分画像I0とを、コントロールユニット30内の保存用メモリに格納し、フローを終了する。
図3は、コントロールユニット30による解析処理のフローチャートである。以下、図3の各ステップを順に説明する。なお、解析処理の開始時点では、測定処理は実行済みであり、コントロールユニット30内の保存用メモリには一連の画像I(Z1’)、…、I(Z20’)と、一連の画像I(Z1’+δZ)、…、I(Z20’+δZ)と、一連の実座標Z1’、…、Z20 ’と、DC成分画像I0とが格納されているものと仮定する。
ステップS21:コントロールユニット30は、保存用メモリに格納されている一連の画像I(Z1’)、…、I(Z20’)と、一連の画像I(Z1’+δZ)、…、I(Z20’+δZ)と、一連の実座標Z1’、…、Z20 ’と、DC成分画像I0とをコントロールユニット30の作業用メモリ上へ読み出すと共に、画素番号jを初期値(1)に設定する。
ステップS22:コントロールユニット30は、サンプリング番号iを初期値(1)に設定する。
ステップS23A: コントロールユニット30は、一連の画像I(Z1’)、…、I(Z20’)から、画素番号がjであり、かつサンプリング番号がiである画素の輝度値(強度信号)Ij(Zi’)を参照すると共に、一連の画像I(Z1’+δZ)、…、I(Z20’+δZ)から、画素番号がjであり、かつサンプリング番号がiである画素の輝度値(強度信号)Ij(Zi’+δZ)を参照する。また、コントロールユニット30は、DC成分画像I0から、画素番号がjである画素の輝度値(DC成分)I0jを参照する。
なお、ここで参照される1対の強度信号Ij(Zi’)、Ij(Zi’+δZ)は、j番目の画素のインターフェログラムIj(Z)(図4参照)を、互いに近接する実座標Zi’、(Zi’ +δZ)にてサンプリングして得られた1対の強度信号に相当する。よって、これら1対の強度信号Ij(Zi’)、Ij(Zi’+δZ)は、j番目の画素のDC成分I0jと共に次式(1)を満たす。
但し、式(1)において、bj(Zi’)は、インターフェログラムIj(Z)のエンベロープbj(Z)の実座標Zi’における値であり、kは白色光源1の中心波長λ0を波数に換算したもの(k=2π/λ0)である。
そして、エンベロープbj(Z)のZに対する変化は十分に緩やかなので、式(2)が成り立つ。
したがって、ズレδZが十分に小さければ、インターフェログラムIj(Z)の実座標Zi’における傾きIj’(Zi’)は、以下のとおり近似できる。
また、ズレδZが十分に小さければ、式(3)の右辺は、式(4)の右辺のとおり書き換えることができる。
一方、インターフェログラムIj(Z)の実座標Zi’における非DC成分Inonj(Zi’)は、以下のとおり表される。
この式(5)と上述した式(4)によると、以下の式(6)が導出される。
したがって、インターフェログラムIj(Z)の実座標Zi’における非DC成分Inonj(Zi’)と、インターフェログラムIj(Z)の実座標Zi’における傾きIj’(Zi’)とを既知とすれば、エンベロープbj(Z)の実座標Zi’における値bj(Zi’)を算出することができる。
そこで、本ステップのコントロールユニット30は、参照した1対の強度信号Ij(Zi’)、Ij(Zi’+δZ)の値と、参照したDC成分I0jの値と、ズレδZの値とを以下の式(7)へ当てはめることにより、インターフェログラムIj(Z)のエンベロープbj(Z)の実座標Zi’における値bj(Zi’)を算出する(図5参照)。
なお、ズレδZは、前述したとおり2系統の参照アームの長さのズレであるので、ズレδZの値は全ての画素間で共通である。このズレδの値は、例えば、本装置の設計データに基づき本装置の製造者が予め算出したものであり、コントロールユニット30が予め記憶しているものである。
ステップS23B:コントロールユニット30は、一連の画像I(Z1’)、…、I(Z20’)から、画素番号がjであり、かつサンプリング番号がiである画素の輝度値(強度信号)Ij(Zi’)を参照すると共に、一連の画像I(Z1’+δZ)、…、I(Z20’+δZ)から、画素番号がjであり、かつサンプリング番号がiである画素の輝度値(強度信号)Ij(Zi’+δZ)を参照する。また、コントロールユニット30は、DC成分画像I0から、画素番号がjである画素の輝度値(DC成分)I0jを参照する。
続いて、コントロールユニット30は、参照した1対の強度信号Ij(Zi’)、Ij(Zi’+δZ)の値と、参照したDC成分I0jの値と、ズレδZの値とを以下の式(8)へ当てはめることにより、インターフェログラムIj(Z)の位相φjの実座標Zi’における値φj(Zi’)を算出する。
なお、ズレδZは、前述したとおり2系統の参照アームの長さのズレであるので、ズレδZの値は全ての画素間で共通である。このズレδの値は、例えば、本装置の設計データに基づき本装置の製造者が予め算出したものであり、コントロールユニット30が予め記憶しているものである。
ステップS24:コントロールユニット30は、サンプリング番号iが最終値(ここでは20)に達したか否かを判別し、最終値に達していなければステップS25へ移行し、最終値に達していればステップS26へ移行する。
ステップS25:コントロールユニット30は、サンプリング番号iをインクリメントしてからステップS23へ戻る。したがって、コントロールユニット30は、値bj(Zi’)及び値φj(Zi’)をサンプリング番号i(i=1〜20)毎に個別に算出する(図6参照)。
ステップ26A:コントロールユニット30は、ステップS23〜S25のループで取得した一連の値bj(Z1’)、…、bj(Z20’)に対して二次曲線をフィッティングすることにより、エンベロープbj(Z)の全容を求める(図7参照)。
ステップS27A:コントロールユニット30は、ステップS26Aで求めたエンベロープbj(Z)がピークをとるときのZ座標を、暫定ピーク座標Zjmax’として算出する(図8(A)参照)。
ステップS26B:コントロールユニット30は、ステップS23〜S25のループで取得した一連の値φj(Z1’)、…、bj(Z20’)をアンラッピング(位相接続)することにより、位相φj(Z)の全容を求める(図8(B)参照)。
ステップS28:コントロールユニット30は、ステップS26Bで求めた位相φj(Z)に対してオフセット量2πN(N:整数)を加算することにより、暫定ピーク座標Zjmax’に対応する値φj(Zjmax)を−π〜πの範囲に収める。これによって、オフセット後の位相φj’(Z)が得られる(図8(C)参照)。
ステップS29:コントロールユニット30は、オフセット後の位相φj’(Z)が完全にゼロとなるようなZ座標を、確定ピーク座標Zjmaxとして算出する。
ステップS30:コントロールユニット30は、画素番号jが最終値(ここでは、512×512=262144とする。)に達したか否かを判別し、最終値に達していなければステップS31へ移行し、最終値に達していればステップS32へ移行する。
ステップS31:コントロールユニット30は、画素番号jをインクリメントしてからステップS22へ戻る。したがって、コントロールユニット30は、全ての画素番号j(j=1〜262144)について個別に確定ピーク座標Zjmax(j=1〜262144)を取得する。
ステップS32:コントロールユニット30は、全ての画素番号jについて取得した確定ピーク座標Zjmax(j=1〜262144)を画素番号jの順に配列することにより測定対象面8aの高さ分布データを取得し、それを不図示のモニタ上に可視化すると共に、必要に応じて保存用メモリへ格納し、フローを終了する。
以上、本装置のコントロールユニット30は、エンベロープb(Z)の実座標Zi’における値b(Zi’)と位相φ(Z)の実座標Zi’における値b(Zi’)とを、実座標Zi’の近傍でサンプリングされた1対の強度信号I(Zi’)、I(Zi’+δZ)と実座標のズレδZとに基づき算出する。
したがって、本装置のコントロールユニット30は、インターフェログラムI(Z)のエンベロープb(Z)及び位相φ(Z)の全容を求める際に、フーリエ変換などの周波数解析を行う必要が無い。
したがって、本装置では、ステージ10のシフトピッチΔZを設定する際にも、2系統の参照アームの長さのズレδZを設定する際にも、ナイキスト周波数を考慮する必要が無い。したがって、本装置では、シフトピッチΔZ及びズレδZを、要求精度などに応じて自由に設定することができる。
よって、例えば、本装置のユーザは、要求精度が低い場合にはシフトピッチΔZ及びズレδZを広めに設定してサンプリング数を抑え、要求精度が高い場合にはシフトピッチΔZ及びズレδZを狭く設定してサンプリング数を増やす、などといった柔軟な対応をすることも可能である(但し、ズレδZについては、上述した近似の精度を高めるために、何れの場合も上述した条件(δZ<λ0/8)を満足していることが望ましい。)。
また、本装置では、ステージ10の実座標Zi’をサンプリング番号毎に測定し、その実座標Zi’を解析処理に反映させているので、シフトピッチΔZの不均一性がエンベロープbj(Z)及び位相bj(Z)の算出精度に与える悪影響は抑えられる。
また、本装置では、1対の実座標Zi’、(Zi’+δZ)の間のズレδZを、ステージ10のシフト位置のズレによって設定するのではなく、2系統の参照アームの長さの差によって設定したので、ステージ10のシフト回数を抑えることができる。また、この場合は、ズレδの設定精度が高いので、式(7)、(8)におけるズレδZの値を定数とすることもでき、好都合である。
[実施形態の変形例]
なお、上述した実施形態の装置では、参照アーム及び干渉光路を2系統化することで1対の画像を並行にサンプリングしたが、参照アーム及び干渉光路を1系統のみとし、1対の画像を順次にサンプリングしてもよい。その場合、装置は、サンプリング期間中におけるステージ10の目標座標をZ1、(Z1+δZ)、Z2、(Z2+δZ)、…、Z20、(Z20+δZ)のように設定し、それらの各設定下で1枚ずつ画像をサンプリングすればよい。
なお、上述した実施形態の装置では、参照アーム及び干渉光路を2系統化することで1対の画像を並行にサンプリングしたが、参照アーム及び干渉光路を1系統のみとし、1対の画像を順次にサンプリングしてもよい。その場合、装置は、サンプリング期間中におけるステージ10の目標座標をZ1、(Z1+δZ)、Z2、(Z2+δZ)、…、Z20、(Z20+δZ)のように設定し、それらの各設定下で1枚ずつ画像をサンプリングすればよい。
また、上述した実施形態のステップS23Aでは、1対の実座標Zi’、(Zi’+δZ)の近傍におけるエンベロープb(Z)の値として、実座標Zi’における値b(Zi’)を求めたが(図5参照)、図9に示すとおり、1対の実座標Zi’、(Zi’+δZ)の中間値(Zi’+δZ/2)における値b(Zi’ +δZ/2)を求めてもよい。なお、その場合は、式(7)の代わりに以下の式(9)を使用すればよい。
また、上述した実施形態のステップS23Bでは、1対の実座標Zi’、(Zi’+δZ)の近傍における位相φ(Z)の値として、実座標Zi’における値φ(Zi’)を求めたが、1対の実座標Zi’、(Zi’+δZ)の中間値(Zi’+δZ/2)における値φ(Zi’ +δZ/2)を求めてもよい。なお、その場合は、式(8)の代わりに以下の式(10)を使用すればよい。
また、上述した実施形態の装置では、ステージ10のシフトピッチΔZ(正確にはシフトピッチの目標値)をサンプリング期間中に不変としたが、可変としてもよい。
また、上述した実施形態の装置では、1対の実座標Zi’、(Zi’+δZ)の間のズレδZをサンプリング期間中に不変としたが、可変としてもよい。但し、その場合は、式(7)、(8)(又は式(9)、(10))におけるズレδZの値を、サンプリング番号毎に設定し直す必要がある。
また、本実施形態の装置は、ステージ10のステップ移動と画像のサンプリングとを交互に行ったが、ステージ10を等速移動させながら一定の周期で画像のサンプリングを繰り返してもよい。なお、この場合、実座標Zi'(i=1〜20)を測定するために、装置は、ステージ10の速度の不均一性と、サンプリング周期の不均一性との双方を実測する必要がある。但し、サンプリング周期は極めて高い精度で制御可能なので、ステージ10の速度の不均一性のみを実測すれば十分と考えられる。
また、本実施形態の装置は、ステージ10の実座標Zi'(i=1〜20)を測定したが、実座標Zi'(i=1〜20)の測定を省略し、実座標Zi'(i=1〜20)の代わりに目標座標Zi(i=1〜20)を解析に使用してもよい。
また、本実施形態の装置は、参照アームの長さに対する測定アームの長さを走査するために、光学系を移動させるステージ10を使用したが、そのステージ10の代わりに、測定対象物8を同方向へ移動させるステージを使用してもよい。また、測定対象面8aの凹凸が十分に小さい場合には、ステージの代わりに周知のピエゾ素子を使用してもよい。
また、本実施形態の装置は、マイケルソン型の干渉計原理を利用したが、ミラウ型、マッハツェンダー型など、他タイプの干渉計原理を利用してもよい。
また、本実施形態のコントロールユニット30は、図3のステップS23Bを省略し、ステップS27Aで求めた暫定ピーク座標Zjmax’を確定ピーク座標Zjmaxとして用いてもよい。
1…白色光源、2…ビームエキスパンダ、3…ビームスプリッタ、4…偏光ビームスプリッタ、5P、5S…ビームエキスパンダ、6P、6S…参照板、7…ビームエキスパンダ、9…偏光ビームスプリッタ、10P、10S…ビームエキスパンダ、11P、11S…撮像素子、10…ステージ、20…リニアエンコーダ、30…コントロールユニット
Claims (12)
- 走査型白色干渉計が生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手段と、
前記1対のサンプリング位置のズレと、前記1対の干渉強度信号とに基づき、前記1対のサンプリング位置の近傍における前記白色干渉波形のエンベロープ又は位相の値を推測する推測手段と、
を備えることを特徴とする信号解析装置。 - 請求項1に記載の信号解析装置において、
前記入力手段は、
前記白色干渉波形からサンプリングされた複数対の干渉強度信号を入力し、
前記推測手段は、
前記入力手段が入力した複数対の干渉強度信号の各対について前記エンベロープの値の推測を行うことにより、前記白色干渉波形の全体のエンベロープを求める
ことを特徴とする信号解析装置。 - 請求項1に記載の信号解析装置において、
前記入力手段は、
前記白色干渉波形からサンプリングされた複数対の干渉強度信号を入力し、
前記推測手段は、
前記入力手段が入力した複数対の干渉強度信号の各対について前記位相の値の推測を行うことにより、前記白色干渉波形の全体の位相を求める
ことを特徴とする信号解析装置。 - 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の信号解析装置において、
前記走査型白色干渉計の中心波長λ0と前記1対のサンプリング位置のズレδZとは以下の条件式を満たす
δZ<λ0/8
ことを特徴とする信号解析装置。 - 互いに近接した1対のサンプリング位置にて1対の干渉強度信号をサンプリングする走査型白色干渉計と、
前記1対の干渉強度信号を入力して処理する請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の信号解析装置と、
を備えたことを特徴とする走査型白色干渉計装置。 - 請求項9に記載の走査型白色干渉計装置において、
前記走査型白色干渉計は、
1対の参照アーム及び1つの測定アームと、
前記1対の参照アームの長さに対する前記測定アームの長さを走査する走査手段と、
前記1対の参照アームの一方を経由した参照光と前記測定アームを経由した測定光とを干渉させる第1の干渉光路と、
前記1対の参照アームの他方を経由した参照光と前記測定アームを経由した測定光とを干渉させる第2の干渉光路と、
前記走査に応じて前記第1の干渉光路及び前記第2の干渉光路で生成される1対の白色干渉波形から1対の干渉強度信号を並行してサンプリングするサンプリング手段とを備え、
前記1対の参照アームの一方の長さと他方の長さとの間には、前記1対のサンプリング位置のズレに相当する差異が設けられている
ことを特徴とする走査型白色干渉計装置。 - 走査型白色干渉計が生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手順と、
前記1対のサンプリング位置のズレと、前記1対の干渉強度信号とに基づき、前記1対のサンプリング位置の近傍における前記白色干渉波形のエンベロープ又は位相の値を推測する推測手順と、
を含むことを特徴とする信号解析方法。 - 走査型白色干渉計の生成する白色干渉波形のうち、互いに近接した1対のサンプリング位置にてサンプリングされた1対の干渉強度信号を入力する入力手順と、
前記1対のサンプリング位置のズレと、前記1対の干渉強度信号とに基づき、前記1対のサンプリング位置の近傍における前記白色干渉波形のエンベロープ又は位相の値を推測する推測手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする信号解析プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009244635A JP2011089926A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | 信号解析装置、走査型白色干渉計装置、信号解析方法、及び信号解析プログラム |
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JP2009244635A Withdrawn JP2011089926A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | 信号解析装置、走査型白色干渉計装置、信号解析方法、及び信号解析プログラム |
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JP (1) | JP2011089926A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4997406B1 (ja) * | 2011-06-16 | 2012-08-08 | レーザーテック株式会社 | 形状測定装置並びに深さ測定装置及び膜厚測定装置 |
JP2015078879A (ja) * | 2013-10-16 | 2015-04-23 | 国立大学法人 筑波大学 | 白色干渉計装置による表面形状の測定方法 |
JP2016090520A (ja) * | 2014-11-10 | 2016-05-23 | 株式会社ミツトヨ | 白色光干渉計光学ヘッドを用いた非接触表面形状測定方法及び装置 |
-
2009
- 2009-10-23 JP JP2009244635A patent/JP2011089926A/ja not_active Withdrawn
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