JP2011089582A - 静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造 - Google Patents

静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造 Download PDF

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Abstract

【課題】第2レースとピストンとの接触面における磨耗を軽減できる静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造を提供する。
【解決手段】ピストン63とクラッチ板61,62との間に配置されたスラストベアリング64は、クラッチドラムの内周部に嵌合された第1レース64bと、第1レースによって回転自在に保持されたローラ64aと、ローラの他方側面に当接可能な第2レース66とを有し、第2レース66はピストン63の側面に配置されている。ピストンのクラッチ板との対向部に押圧面63cが形成され、押圧面より内径側にピストンと第2レースとの間で油溜め空所67が形成される。潤滑油路を介して供給された潤滑油を、第2レースに形成した連通孔66bを介して空所67へ導くことで、第2レースとピストンとの接触面における磨耗を軽減する。
【選択図】 図4

Description

本発明は自動変速機や無段変速機などに用いられる静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造に関するものである。
一般に、クラッチ装置は、入出力回転部材の一方を構成するクラッチハブ及び他方を構成するクラッチドラムと、クラッチハブの外周とクラッチドラムの内周との間に配置された複数のクラッチ板と、クラッチドラムの内部に配置され、油圧を受けてクラッチ板を締結させるピストンとで構成されている。ピストンとの間で油圧室を構成するクラッチドラムが入力回転部材あるいは出力回転部材と一体回転するため、クラッチドラムへの供給油路中に油漏れ防止用のシールリングを設ける必要があり、フリクションロスが大きいという問題がある。また、回転に伴う遠心力によりクラッチドラムの油圧室内に遠心油圧が発生するため、油圧制御が複雑になるという問題もある。
このような問題を解決するため、特許文献1には静止シリンダ型クラッチ装置が開示されている。このクラッチ装置は、ピストンを変速機ケースなどの静止部材(シリンダ)内に収容し、ピストンとクラッチ板との間にスラストベアリングを配置したものである。そのため、油圧室への供給油路中に油漏れ防止用のシールリングを設ける必要がなく、フリクションロスを小さくできるとともに、油圧室内に遠心油圧が発生するのを防止できる。
図8は特許文献1に示された静止シリンダ型クラッチ装置の例である。このクラッチ装置は、静止部材であるシリンダ100と、シリンダ100に収容されたピストン101と、相対回転しているクラッチドラム102およびクラッチハブ103と、クラッチドラム102とクラッチハブ103との間に配置されたクラッチ板(クラッチディスク及びクラッチプレート)104と、ピストン101とクラッチ板104との間に配置されたスラストベアリング105とを備えている。スラストベアリング105により、ピストン101の推力を差回転のある状態でクラッチ板104に伝達することができる。スラストベアリング105は、転動体(ニードルローラ)105aと、転動体105aの片側を支える第1レース105bと、転動体105aの他側を支える第2レース106とを備えている。第1レース105bは転動体105aを保持しており、クラッチドラム102の内周部に嵌合されている。第2レース106は転動体105aと分離され、ピストン101のクラッチ板104と対向する側面に配置されている。第2レース106の内径部はピストン101の内径部に嵌合されている。
この構造のクラッチ装置では、ピストン101の押圧部とスラストベアリング105とクラッチ板104とを軸方向に一列に配置できるので、ピストン101の推力をエネルギーロスなくクラッチ板104に伝達できるという利点がある。また、クラッチ開放時に転動体105aと第2レース106との間に軸方向隙間を形成できるので、完全な開放状態を構成でき、クラッチ板104の偏摩耗を防止できるという利点がある。
ところで、クラッチドラム102の回転中心がピストン101の中心に対してセンターずれがある場合や、クラッチドラム102とスラストベアリング105(第1レースと転動体)の間に半径方向のガタがある場合、スラストベアリング105がセンターずれを起こし、クラッチが締結された時にスラストベアリング105による第2レース106の引きずりが発生する。つまり、第2レース106が静止しているピストン101に対して徐々に回転する。この引きずり回転が継続して発生すると、第2レース106とピストン101との接触面で磨耗が発生するという問題がある。この磨耗は、クラッチ板104の枚数を削減し、クラッチ油圧を増圧すると、顕著になる。
特開2007−113684号公報
本発明の目的は、第2レースとピストンとの接触面における磨耗を軽減できる静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、入出力回転部材の一方を構成するクラッチハブと、入出力回転部材の他方を構成するクラッチドラムと、前記クラッチハブの外周と前記クラッチドラムの内周との間に配置された複数のクラッチ板と、静止シリンダと、前記静止シリンダに軸方向に移動可能に配置され、油圧を受けて前記クラッチ板を締結させるピストンと、前記ピストンとクラッチ板との間に配置され、前記ピストンの推力を相対回転を許容しながらクラッチ板に伝えるスラストベアリングとを備え、前記スラストベアリングは、転動体と、当該転動体の一方の側面を支持する第1のレースと、当該転動体の他方の側面を支持する第2のレースとを有し、前記第2のレースは前記ピストンのクラッチ板と対向する側面に配置され、かつその内径部が前記ピストンの内径部上に摺動可能に支持された静止シリンダ型クラッチ装置において、前記クラッチハブの内径側から前記クラッチ板及びスラストベアリングに向けて潤滑油を供給するための潤滑油供給油路が形成され、前記ピストンのクラッチ板との対向部に、前記スラストベアリングを介してクラッチ板を軸方向に押圧する押圧面が形成され、前記押圧面より内径側に、前記ピストンと前記第2のレースとの間で油溜め空所が形成され、前記第2のレースに、前記潤滑油供給油路から供給された潤滑油を前記油溜め空所へ導くための連通孔が形成されていることを特徴とする、静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造を提供する。
クラッチドラムにセンターずれがあったり、クラッチドラムとスラストベアリングとの間に半径方向のガタがある状態で、クラッチが締結されると、スラストベアリングによる第2のレースの引きずりが発生し、第2のレースとピストンとの接触面が磨耗する。そこで、本発明では、ピストンの押圧面より内径側にピストンと第2のレースとの間で油溜め空所を形成し、第2のレースに潤滑油供給油路から供給された潤滑油を油溜め空所へ導くための連通孔を形成してある。潤滑油供給油路から供給された潤滑油は、遠心力によって外径方向に流れるが、クラッチ締結時にはクラッチ板とスラストベアリングとでブロックされるので、クラッチハブの内径側に潤滑油が滞留する。滞留した潤滑油の一部が第2のレースの連通孔から油溜め空所へと進入し、第2のレースとピストンとの接触面に浸透する。引きずりにより第2のレースが回転すると、浸透した潤滑油が全周に回るので、接触面の磨耗を抑制できる。
クラッチ装置の締結状態において、クラッチハブの先端面が第2のレースの側面に近接し、クラッチハブの先端面と対向する第2のレースの部位に、連通孔が形成されている構成とするのが望ましい。クラッチ締結時には、ピストンがクラッチハブ方向へ移動するので、第2のレースとクラッチハブとが接近する。クラッチハブの先端面と対向する第2のレースの部位に連通孔を形成すれば、遠心力によって外径方向へ流れる潤滑油の流路の最も狭い部分に連通孔が位置しているので、潤滑油を連通孔を介して油溜め空所へ効率よく送り込むことができる。そのため、第2のレースとピストンとの接触面の磨耗をより確実に防止できる。
以上のように、本発明によれば、ピストンの押圧面より内径側にピストンと第2のレースとの間で油溜め空所を形成し、第2のレースに潤滑油を油溜め空所へ導くための連通孔を形成したので、クラッチ締結時にスラストベアリングによる第2のレースの引きずりが発生した場合でも、第2のレースとピストンとの接触面へ潤滑油を供給でき、接触面の磨耗を防止できる。
本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置を適用した無段変速機の一例のスケルトン図である。 図1に示す無段変速機の前後進切替装置の詳細断面図である。 静止シリンダ型クラッチ装置の第1実施例である直結クラッチの開放時の詳細断面図である。 直結クラッチの締結時の詳細断面図である。 ピストンの断面図、正面図、C部拡大図である。 第2レースの正面図及びB−B断面図である。 本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置の第2実施例の断面図である。 従来の静止シリンダ型クラッチ装置の一例の断面図である。
図1,図2は本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置を適用した無段変速機の一実施例を示す。この実施例の無段変速機はFF横置き式の自動車用変速機であり、大略、エンジン出力軸1によりトルクコンバータ2を介して駆動される入力軸3、入力軸3の回転を正逆切り替えてプライマリ軸10に伝達する前後進切替装置4、プライマリプーリ11とセカンダリプーリ21と両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速装置A、セカンダリ軸20の動力をドライブ軸32に伝達するデファレンシャル装置30などで構成されている。入力軸3とプライマリ軸10とは同一軸線上に配置され、セカンダリ軸20とデファレンシャル装置30のドライブ軸32とが入力軸3に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機は全体として3軸構成とされている。この実施例で用いられるVベルト15は、一対の無端状張力帯と、これら張力帯に支持された多数のブロックとで構成された公知の金属ベルトである。
無段変速機を構成する各部品は変速機ケース5の中に収容されている。トルクコンバータ2と前後進切替装置4との間には、オイルポンプ6が配置されている。このオイルポンプ6は、図2に示すように、変速機ケース5に固定されたポンプボデー7と、ポンプボデー7に対して固定されたポンプカバー8と、ポンプボデー7とポンプカバー8との間に収容されたポンプギヤ9とで構成されている。ポンプギヤ9はトルクコンバータ2のポンプインペラ2aにより駆動される。トルクコンバータ2のタービンランナ2bは入力軸3に連結され、ステータ2cはワンウエイクラッチ2dを介してポンプカバー8により支持されている。
前後進切替装置4は、図2に示すように、遊星歯車機構40と逆転ブレーキ50と直結クラッチ60とで構成されている。遊星歯車機構40のサンギヤ41は入力軸3と一体に形成され、リングギヤ42は無段変速機Aのプライマリ軸10に連結されている。遊星歯車機構40はシングルピニオン方式であり、逆転ブレーキ50はピニオンギヤ43を支えるキャリア44と変速機ケース5との間に設けられ、直結クラッチ60はキャリア44とサンギヤ41との間に設けられている。直結クラッチ60を解放して逆転ブレーキ50を締結すると、入力軸3の回転が逆転され、かつ減速されてプライマリ軸10へ伝えられ、前進走行状態となる。逆に、逆転ブレーキ50を解放して直結クラッチ60を締結すると、遊星歯車機構40のキャリア44とサンギヤ41とが一体に回転するので、入力軸3とプライマリ軸10とが直結され、後退走行状態となる。なお、前後進切替装置4の詳しい構造については後述する。
無段変速装置Aのプライマリプーリ11は、プライマリ軸10上に一体に形成された固定シーブ12と、プライマリ軸10上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ13と、可動シーブ13の背後に設けられた油室14とを備えている。油室14への供給油量を制御することにより、変速比が制御される。セカンダリプーリ21は、セカンダリ軸20上に一体に形成された固定シーブ22と、セカンダリ軸20上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ23と、可動シーブ23の背後に設けられた油室24とを備えている。油室24への供給油圧を制御することにより、ベルト滑りを発生させずにトルク伝達可能なベルト推力が与えられる。
セカンダリ軸20の一端部はエンジン側に向かって延び、この一端部に出力ギヤ27が固定されている。出力ギヤ27はデファレンシャル装置30のリングギヤ31に噛み合っており、デファレンシャル装置30から左右に延びるドライブ軸32に動力が伝達され、車輪が駆動される。
ここで、前後進切替装置4について、図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。キャリア44の中心部には入力軸3と対向方向に突出する軸部44aを備えており、軸部44aはボールベアリング57を介してサンギヤ41の内周面に回転自在に支持されている。キャリア44には軸方向前方(右方向)に突出する複数の突壁部44bが一体に形成されており、これら突壁部44bの間の周方向空間にピニオンギヤ43が配置されている。壁部44bの先端部には円環状のキャリアリム45が一体的に固定されている。キャリア44とキャリアリム45との間に、ピニオンギヤ43を支持するピニオン軸47が架け渡して支持されている。
キャリアリム45の内周部には、直結クラッチ60の一方のクラッチ板61の外径部がスプライン係合する内スプライン45aが形成され、キャリアリム45の外周部には逆転ブレーキ50の一方のブレーキ板51の内径部がスプライン係合する外スプライン45bが形成されている。このようにキャリアリム45は逆転ブレーキ50のブレーキハブと直結クラッチ60のクラッチドラムとを兼ねている。
逆転ブレーキ50のピストン53は、図2に示すように、変速機ケース5の内側壁に配置されており、ピストン53と変速機ケース5との間の油室54に油圧を供給することにより、ピストン53は作動され、ブレーキ板(ブレーキディスクとブレーキプレート)51,52を締結することができる。ピストン53の圧力によって押されたブレーキ板51,52の端部を支える反力部材として、静止部材であるポンプカバー8から円筒状のストッパ部8aが一体に突設されている。
図3に示すように、サンギヤ41は入力軸3に一体形成されており、サンギヤ41の前側(図3の右側)には、円筒状のクラッチハブ46が固定されている。クラッチハブ46の外周に、直結クラッチ60の他方のクラッチ板62の内径部がスプライン係合する外スプライン46aが形成されている。サンギヤ41はピニオンギヤ43とかみ合っており、サンギヤ41の内周部とキャリア44の軸部44aの外周面との間にボールベアリング57が取り付けられている。この実施例のボールベアリング57は、前後に2列のボールを並べた構造であり、キャリア44の傾きを抑制する機能を有する。
直結クラッチ用ピストン63の外周部には、図5に示すように半径方向に突出する複数の支持片63aが一体に形成されており、支持片63aの側面に沿うように環状のスプリングリテーナ55が配置されている。スプリングリテーナ55の外周端と逆転ブレーキ用ピストン53との間にリターンスプリング56(図2参照)が配置されている。このスプリング56は、直結クラッチ用ピストン63と逆転ブレーキ用ピストン53の両方のリターンスプリングを兼ねるものであり、逆転ブレーキ50のブレーキディスク51,52の外周側に適数個設けられている。逆転ブレーキ50と直結クラッチ60は同時に作動されることがないので、1種類のスプリング56で両者のリターンスプリングを兼ねることができる。
図3に示すように、ポンプカバー8の後面側(図3の左側)には断面略コ字形のピストン63が配置され、ポンプカバー8とピストン63との間にクラッチ油室68が形成されている。この油室68へ油圧を供給し、ピストン63を作動させることによって直結クラッチ60のクラッチ板(クラッチディスクとクラッチプレート)61,62が締結される。クラッチ板61,62とピストン63との間には、相対回転を許容しながら推力を伝えるスラストベアリング64が配置されている。そのため、ピストン63の軸方向圧力はクラッチ板61,62に効果的に伝達され、かつピストン63がクラッチ板61,62と連れ回りするのが防止される。なお、クラッチ板61,62の背後には、クッションばね65を介してキャリア44の突壁部44bが位置しているため、ピストン63によって押されたクラッチ板61,62の端部を突壁部44bで支えることができ、スナップリングや格別な反力部材を省略できる。
スラストベアリング64はニードルベアリングであり、転動体の一例である複数のローラ64aを放射方向に備え、ローラ64aは保持器64cを介して第1レース64bによって回転自在に保持されている。第1レース64bの外周部はキャリアリム45の内周面に嵌合され、かつ第1レース64bはキャリアリム45に対して回り止めされている。ローラ64aはクラッチ板61,62の圧接部の半径方向領域内に配置されており、望ましくはローラ64aの中心とクラッチ板61,62の圧接部の中心とをほぼ一致させるのがよい。ピストン63の半径方向中間部には、図5に示すように、クラッチ板61,62方向に突出する押圧面63cが形成されており、この押圧面63cが第2レース66を介してローラ64aを押圧可能となっている。押圧面63cとローラ64aとクラッチ板61,62の圧接部とは半径方向にオーバーラップしている。換言すれば、押圧面63cとローラ64aとクラッチ板61,62の圧接部とは軸方向に一列に配列されている。そのため、ピストン63の推力はスラストベアリング64を介してクラッチ板61,62に対して半径方向にオフセットすることなく直接伝達され、ピストン63の推力がエネルギーロスなくクラッチ板61,62に伝達される。また、スラストベアリング64やクラッチ板61,62の偏摩耗も防止できる。
ローラ64aと対向するピストン63の後側面には、スラストベアリング64の第2レース66が配置されている。第2レース66はピストン63より高強度の材料で形成されており、ローラ64aとの接触によってピストン63が変形するのを防止している。この例の第2レース66には、図6に示すように、軸方向後方へ折り曲げられた円筒状内径部66aが形成されており、この内径部66aがピストン63の円筒状内径部63bに摺動可能に嵌合している。そのため、第2レース66の傾きを抑制でき、ピストン63の後側面に沿った位置で安定させることができる。このように第2レース66をローラ64a及び第1レース64bと分離し、ピストン63の円筒状内径部63bに摺動可能に嵌合した理由は、第2レース66の厚みによって直結クラッチ60のエンドプレイを調整できるようにするためである。つまり、第2レース66は厚みが異なる複数種類のものが準備され、エンドプレイに応じて適切な厚みのものが選択される。直結クラッチ60の解放時において、ローラ64aと第2レース66との間に、第1レース64bとキャリアリム45との嵌合代より小さい軸方向隙間が形成されている。そのため、直結クラッチ60の完全な解放状態が得られ、かつスラストベアリング64(ローラ64a,第1レース64b)がキャリアリム45から脱落するのを防止できる。
ピストン63の押圧面63cの内径側には、押圧面63cより後退した浅い凹部63dが形成され、ピストン63の凹部63dと第2レース66との間で油溜め空所67が形成されている。第2レース66には、表裏方向に貫通し、油溜め空所67へ通じる複数の連通孔66b(図6参照)が形成されている。つまり、連通孔66bは、ピストン63の押圧面63cと対向する位置より内径側に形成されている。この実施例の連通孔66bは、クラッチハブ46の先端面と対向する第2レース66の部位に形成されている。
図3は直結クラッチ60の解放時(前進走行時)、図4は直結クラッチ60の締結時(後退走行時)を示す。ポンプカバー8に形成された供給通路70から供給された潤滑油は、入力軸3の半径方向孔71、軸心孔72、半径方向孔73、サンギヤ41とステータ2cとの間に配置されたスラストベアリング74を通り、クラッチハブ46の内径側へと供給される。そして、潤滑油は入力軸3(クラッチハブ46)の遠心力によって外径方向へ流れ、クラッチ板61,62、スラストベアリング64を潤滑した後、さらに外径方向に流れてブレーキ板51,52を潤滑できる。
キャリア44のセンターずれや、キャリアリム45とスラストベアリング64との間に半径方向のガタがある場合、直結クラッチ60の締結時において、スラストベアリング64による第2レース66の引きずりが発生し、第2レース66がピストン63に対して徐々に回転する。しかし、直結クラッチ60が締結すると、クラッチ板61,62が相互に圧接し、かつスラストベアリング64と第2レース66とが接触するので、遠心力によって外径方向に流れた潤滑油は、クラッチ板61,62及びスラストベアリング64でブロックされ、クラッチハブ46の内径側に滞留する。この滞留した潤滑油の一部が第2レース66の連通孔66bから油溜め空所67へと進入する。油溜め空所67は狭い空間であるから、中に入った潤滑油は毛細管現象により油溜め空所67に行き渡り、ピストン63と第2レース66との接触面(全周)に浸透する。引きずりにより第2レース66が回転しても、浸透した潤滑油によって接触面の磨耗を防止できる。なお、この例では、油溜め空所67は毛細管現象により潤滑油が行き渡るような軸方向に狭い空間としたが、必ずしも狭い空間である必要はない。
クラッチ締結時には、ピストン63がクラッチハブ方向へ移動し、第2レース66とクラッチハブ46とが最接近する。そのため、遠心力によって外径方向へ流れた潤滑油は、第2レース66とクラッチハブ46との間の最も狭い部分を通過することになる。クラッチハブ46の先端面と対向する第2レース66の部位に連通孔66bを形成した場合には、この最も狭い部分に連通孔66bが面しているので、潤滑油を連通孔66bへ連続的に送り込むことができる。そのため、第2レース66とピストン63との接触面をより効果的に潤滑できる。
図7は本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置の第2実施例を示す。図7において、第1実施例と共通する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この実施例では、第2レース66にローラ64a及び第1レース64bを一体的に取り付けてスラストベアリング64を構成している。この実施例の場合も、ピストン63の押圧面63cより内径側の部位と第2レース66との間に油溜め空所67が形成され、その空所67へ潤滑油を導くための連通孔66bが第2レース66に形成されている。直結クラッチ60の開放時には、図7に示すように第1レース64bと端部のクラッチ板61との間に隙間が形成され、締結時には第1レース64bとクラッチ板61とが接触する。直結クラッチ60の締結時にセンターずれにより第2レース66が引きずり回転しても、空所67へ導かれた潤滑油によってピストン63と第2レース66との接触面が潤滑されるので、磨耗を防止できる。
本発明は前記実施例に限定されるものではない。前記実施例では、静止シリンダ型クラッチ装置を無段変速機の前後進切替装置における直結クラッチに適用した例を示したが、自動変速機などに用いられる一般的なクラッチ装置にも適用できることは勿論である。潤滑油供給油路として、入力軸の軸心孔から潤滑油を供給する場合に限らず、入力軸とその外周を保持する静止部材(ステータ)との隙間を介して潤滑油を供給してもよいし、シリンダの内径部からクラッチハブの内径側へ潤滑油を供給するようにしてもよい。前記実施例では油溜め空所67を形成するために、ピストンの押圧面63cより内径側に凹部63dを形成したが、ピストンの押圧面と対向する第2レースの部位より内径側にクラッチ板側へ突出した段部を形成し、その段部とピストンとの間に油溜め空所を形成してもよい。
1 エンジン出力軸
8 ポンプカバー(静止シリンダ)
46 クラッチハブ
60 直結クラッチ
61,62 クラッチ板
63 ピストン
63c 押圧面
64 スラストベアリング
64a ローラ
64b 第1レース
66 第2レース
66b 連通孔
67 油溜め空所
70 潤滑油供給通路
71,73 半径方向孔
72 軸心孔

Claims (2)

  1. 入出力回転部材の一方を構成するクラッチハブと、入出力回転部材の他方を構成するクラッチドラムと、前記クラッチハブの外周と前記クラッチドラムの内周との間に配置された複数のクラッチ板と、静止シリンダと、前記静止シリンダに軸方向に移動可能に配置され、油圧を受けて前記クラッチ板を締結させるピストンと、前記ピストンとクラッチ板との間に配置され、前記ピストンの推力を相対回転を許容しながらクラッチ板に伝えるスラストベアリングとを備え、
    前記スラストベアリングは、転動体と、当該転動体の一方の側面を支持する第1のレースと、当該転動体の他方の側面を支持する第2のレースとを有し、
    前記第2のレースは前記ピストンのクラッチ板と対向する側面に配置され、かつその内径部が前記ピストンの内径部上に摺動可能に支持された静止シリンダ型クラッチ装置において、
    前記クラッチハブの内径側から前記クラッチ板及びスラストベアリングに向けて潤滑油を供給するための潤滑油供給油路が形成され、
    前記ピストンのクラッチ板との対向部に、前記スラストベアリングを介してクラッチ板を軸方向に押圧する押圧面が形成され、
    前記押圧面より内径側に、前記ピストンと前記第2のレースとの間で油溜め空所が形成され、
    前記第2のレースに、前記潤滑油供給油路から供給された潤滑油を前記油溜め空所へ導くための連通孔が形成されていることを特徴とする、静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造。
  2. 前記クラッチ装置の締結状態において、前記クラッチハブの先端面が前記第2のレースの側面に近接し、
    前記クラッチハブの先端面と対向する前記第2のレースの部位に、前記連通孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造。
JP2009243189A 2009-10-22 2009-10-22 静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造 Expired - Fee Related JP5279679B2 (ja)

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