JP2011088814A - カーボンナノチューブ複合材料体の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合材料体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、カーボンナノチューブ複合材料体の製造方法に関する。
【解決手段】本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法は、複数のカーボンナノチューブからなる前記カーボンナノチューブ構造体を形成させる第一ステップと、少なくとも一種の金属化合物を含む反応溶液を提供して、前記反応溶液に前記カーボンナノチューブ構造体を浸漬させる第二ステップと、酸素がない雰囲気で、反応溶液が付着した前記カーボンナノチューブ構造体を加熱させ、前記反応溶液の金属化合物を分解させて、前記カーボンナノチューブ構造体に増強体を形成して、カーボンナノチューブ複合材料体を形成する第三ステップと、を含む。
【選択図】図8

Description

本発明は、カーボンナノチューブ複合材料体の製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube,CNT)は1991年に飯島によって発見され、21世紀において重要な新素材の1つであると期待されている。カーボンナノチューブは機械・電気・熱特性に優れていることから、エレクトロニクス、バイオ、エネルギー、複合材料等、広範な分野での応用が期待されている。非特許文献1に掲載されて以来、カーボンナノチューブを微視的尺度の分野に広く応用されているが、それらの製造処理や、操作などは困難である。従って、カーボンナノチューブフィルムのような操作可能な巨視的尺度を有するカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの利用に重要な意味を有する。
特許文献1には、従来の一種のカーボンナノチューブアレイから直接的に引き出して形成されたカーボンナノチューブフィルムが掲示されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブフィルムの表面と本質的に平行する。
そのため、特許文献2を参照すると、特許文献2にカーボンナノチューブ複合材料体及びその製造方法は掲示されている。前記カーボンナノチューブ複合材料体、1つの金属基板に形成されたカーボンナノチューブ・フィルムと、前記カーボンナノチューブ・フィルムに沈積されたニッケルナノ粒子と、を備える。前記カーボンナノチューブ―ニッケルナノ粒子の複合材料体の製造方法は、金箔基底と複数のカーボンナノチューブを提供するステップ(b1)と、前記金箔基板を研磨及び脱脂処理するステップ(b2)と、前記複数のカーボンナノチューブをアセチルアセトン溶液に入れて電気泳動懸濁液を形成するために超音波で振動させるステップ(b3)と、前記金箔基底を陰極として、前記金箔基底の表面にカーボンナノチューブを残すために、前記電気泳動懸濁液に直流電流を供給して、電気泳動沈積することによって前記金箔基底の表面に一層のカーボンナノチューブ・フィルムが沈積されるステップ(b4)と、前記一層のカーボンナノチューブ・フィルムが沈積された金箔基底を陰極としてニッケル電気めっき溶液に置いて、電気めっきを行い、前記カーボンナノチューブ・フィルムの表面にニッケルナノ粒子が沈積されるによってカーボンナノチューブ―ニッケルナノ粒子の複合材料体を形成するステップ(b5)と、を備える。
更に、カーボンナノチューブを電気化学コンデンサーに使用することは、Chunming Niuに示されている(非特許文献3を参照)。ここで、多層カーボンナノチューブ粉末によって電気化学コンデンサーの電極フィルムを形成している。
中国特許出願公開第101239712号明細書 中国特許出願公開第101255591号明細書
Sumio Iijima、"Helical Microtubules of Graphitic Carbon"、Nature、1991年11月7日、第354巻、p.56‐58 Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、"Spinning continuous carbon nanotube yarns"、Nature、2002年、第419巻、p.801 High power electrochemical capacitors based on carbon nanotube electrodes, Apply Physics Letter, Chunming Niu et al., vol 70, p1480−1482(1997)
しかし、従来の方法を採用して形成するカーボンナノチューブ―ニッケルナノ粒子の複合材料体には、ニッケルナノ粒子が集塊を形成し易いので、前記複合材料体の比表面積を低めて、その応用を制約する。更に、前記カーボンナノチューブ―ニッケルナノ粒子の複合材料体の製造方法が、複雑、高価である。
従って、前記課題を解決するために、本発明製造方法は簡易、コストが低いカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法を提供する。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法は、複数のカーボンナノチューブからなる前記カーボンナノチューブ構造体を形成させる第一ステップと、少なくとも一種の金属化合物を含む反応溶液を提供して、前記反応溶液に前記カーボンナノチューブ構造体を浸漬させる第二ステップと、酸素がない雰囲気で、反応溶液が付着した前記カーボンナノチューブ構造体を加熱させ、前記反応溶液の金属化合物を分解させて、前記カーボンナノチューブ構造体に増強体を形成して、カーボンナノチューブ複合材料体を形成する第三ステップと、を含む。
前記カーボンナノチューブ構造体には、複数の間隙及び微孔が形成されている。前記第二ステップにおいて、前記反応溶液は、前記カーボンナノチューブ構造体の微孔及び間隙に浸透される。
従来の技術と比べて、本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法は、カーボンナノチューブが分散されない自立構造を有するカーボンナノチューブ構造体を利用するので、前記カーボンナノチューブ複合材料体の製造過程に、カーボンナノチューブを均一に分散させる工程が含まれず、従って、前記カーボンナノチューブ複合材料体の製造方法は簡易であり、コストが低くなる。
ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。 図1中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。 図1に示すカーボンナノチューブフィルムを引き出す見取り図である。 非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 カーボンナノチューブが配向して配置されるプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。 綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実施例1の構造を示す図である。 図8の単一のカーボンナノチューブの外表面に増強体が被覆されたカーボンナノチューブ複合材料体の透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実施例2の構造を示す一つの図である。 本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実施例2の構造を示すもう一つの図である。 図10及び図11の単一のカーボンナノチューブの外表面に増強体が被覆されたカーボンナノチューブ複合材料体の透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実施例3の構造を示す一つの図である。 本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実施例3の構造を示すもう一つの図である。 本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実施例4の構造を示す図である。 本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実施例5の構造を示す図である。 図16に示すカーボンナノチューブ複合材料体の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例6のカーボンナノチューブ複合材料体の一つの走査型電子顕微鏡写真である。 図10に示すカーボンナノチューブ複合材料体の拡大走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例6のカーボンナノチューブ複合材料体及び図4に示す直径が27μmの非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの強靭性を表す対比図である。 本発明の電気二重層コンデンサーの構造を示す図である。 10μV/Sの走査速度で、それぞれ例A、B、Cの電気二重層コンデンサーの電圧−比電流の曲線図である。 10A/gの比電流で、それぞれ例A、B、Cの電気二重層コンデンサーの充/放電量の曲線図である。 30A/gの比電流で、それぞれ例A、B、Cの電気二重層コンデンサーの充/放電サイクル回数−比電気容量の曲線図である。
(カーボンナノチューブ複合材料体)
以下、本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の実形態について説明する。本発明のカーボンナノチューブ複合材料体は、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ構造体及び増強体を備える。前記複数のカーボンナノチューブは、前記増強体によって、互いに緊密的に接続されている。
前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造を有する薄膜である。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記カーボンナノチューブ構造体を対向する両側から支持して、前記カーボンナノチューブ構造体の構造を変化させずに、前記カーボンナノチューブ構造体を懸架させることができることを意味する。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、二層カーボンナノチューブ(DWCNT)又は多層カーボンナノチューブ(MWCNT)である。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。前記カーボンナノチューブの長さが50μmより長いが、200μm〜900μmであることが好ましい。
前記カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。該複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記カーボンナノチューブ構造体は、隣接するカーボンナノチューブの間に間隙を有する。即ち、前記カーボンナノチューブ構造体に、複数の間隙が形成されている。前記間隙の幅が、0nm(0の点を含まず)〜1μmである。前記カーボンナノチューブ構造体には、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記カーボンナノチューブ構造体は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体の二種に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向型のカーボンナノチューブ構造体において、配向型のカーボンナノチューブ構造体が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。
本発明の前記カーボンナノチューブ構造体としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、超配列カーボンナノチューブアレイ(非特許文献2を参照)から引き出して得られたドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている(図3を参照)。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。また、前記複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブフィルムの表面に平行して配列されている。図1及び図2を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。有機溶剤に浸漬された前記カーボンナノチューブフィルムの単位面積当たりの熱容量は低くなるので、その加熱効果を高めることができる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。前記微孔の孔径が10nmである。ここで、前記微孔の寸法(以下に同じ)とするものは、前記微孔の縁部の一点から他点までの距離が最大となる時の距離である。
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、カーボンナノチューブアレイを提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも、一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす第二ステップと、を含む。
(二)カーボンナノチューブワイヤ
図4を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤ(非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ)は、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。図5を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。前記カーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、前記複数のカーボンナノチューブワイヤは、間隔をおいて平行するように配置されることができ、又は、互いに交叉するように配置されることができ、又は、隙間なく並列されることもできる。この場合、前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔を形成している。前記微孔の孔径が10nmである。
前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、カーボンナノチューブアレイから引き出してなるカーボンナノチューブフィルムを利用する。前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、次の三種がある。第一種では、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの長手方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルムを所定の幅で切断し、カーボンナノチューブワイヤを形成する。第二種では、前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させて、前記カーボンナノチューブフィルムを収縮させてカーボンナノチューブワイヤを形成することができる。第三種では、前記カーボンナノチューブフィルムを機械加工(例えば、紡糸工程)してねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。詳しく説明すれば、まず、前記カーボンナノチューブフィルムを紡糸装置に固定させる。次に、前記紡糸装置を動作させて前記カーボンナノチューブフィルムを回転させ、ねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。
(三)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
図6を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、基本的に同じ方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは、角度αを成し、該角度αは0°以上15°以下である。好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する(即ち、角度αは0°である)。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが大きくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが小さくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが小さくなる。
(四)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。図7を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造は、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、下記のステップを含む。
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料(綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの素になるカーボンナノチューブ)を提供する。
ナイフのような工具でカーボンナノチューブを基材から剥離し、カーボンナノチューブ原料が形成される。前記カーボンナノチューブは、ある程度互いに絡み合っている。前記カーボンナノチューブの原料においては、該カーボンナノチューブの長さは、10マイクロメートル以上であり、100マイクロメートル以上であることが好ましい。
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶剤に浸漬し、該カーボンナノチューブ原料を処理して、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を形成する。
前記カーボンナノチューブ原料を前記溶剤に浸漬した後、超音波式分散、又は高強度撹拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる。前記溶剤は水または揮発性有機溶剤である。超音波式分散方法の場合、カーボンナノチューブを含む溶剤を10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きな比表面積を有し、カーボンナノチューブの間に大きな分子間力が生じるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成される。
第三ステップでは、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶液をろ過して、最終的な綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を取り出す。
まず、濾紙が置かれたファネルを提供する。前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を濾紙が置かれたファネルにつぎ、しばらく放置して、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が分離される。図7を参照すると、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが互いに絡み合って、不規則的な綿毛構造となっている。
分離された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を容器に置き、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を所定の形状に展開し、展開された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に所定の圧力を加え、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に残留した溶剤を加熱させるか、或いは、該溶剤を自然に蒸発させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が展開される面積によって、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度を制御できる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体は、展開される面積が大きくなるほど、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度が小さくなる。
また、微多孔膜とエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を利用して綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。具体的には、微多孔膜とエアーポンプファネルを提供し、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を、前記微多孔膜を通して前記エアーポンプファネルにつぎ、該エアーポンプファネルに抽気し、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22マイクロメートルにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムは容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムに空気圧をかけるので、均一な綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムを形成させることができる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚の前記カーボンナノチューブフィルム、少なくとも一本の前記カーボンナノチューブワイヤ、又は前記カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤの組み合わせを含む。前記カーボンナノチューブ構造体が複数枚の前記カーボンナノチューブフィルムを含む場合、前記複数枚のカーボンナノチューブフィルムは、共面するように配置し、又は積層されて配置される。前記カーボンナノチューブ構造体が積層された複数のカーボンナノチューブフィルムを含む場合、前記複数のカーボンナノチューブフィルムが積層されて形成された前記カーボンナノチューブ構造体の厚さが1μm〜1mmであるが、100μmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体が前記カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤの組み合わせである場合、前記カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤは、共面するように配置し、又は積層されて配置される。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図8及び図9を参照すると、本実施例は、カーボンナノチューブ複合材料体10を提供する。前記カーボンナノチューブ複合材料体10は、カーボンナノチューブ構造体110及び増強体120を含む。前記カーボンナノチューブ構造体110は、積層された20層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブ112からなる。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、複数の隣接するカーボンナノチューブ112の間に間隙を有するが、複数のカーボンナノチューブ112は互いに接触するように配置されている。隣接するドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブ112の長さ方向は、それぞれ90°の角度で交差している。この場合、前記カーボンナノチューブ構造体110に複数の微孔が形成される。
前記増強体120は、粒子状で間隔をおいて前記カーボンナノチューブ構造体110の各々カーボンナノチューブ112の外表面に被覆されている。少なくとも一つのカーボンナノチューブ112の外表面には、少なくとも一つの前記増強体120粒子が形成されている。前記カーボンナノチューブ構造体110に複数の微孔が形成されているので、前記複数の微孔に、前記増強体120粒子が形成されることができる。前記カーボンナノチューブ構造体110において、複数のカーボンナノチューブ112は互いに接触しているので、前記カーボンナノチューブ112同士が接触する場所に、前記増強体120粒子は形成されることができる。前記カーボンナノチューブ構造体110において、隣接するドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブ112は、それぞれ90°で交差しているので、前記カーボンナノチューブ112が交差して接触する場所に、前記増強体120粒子は形成されることができる。前記カーボンナノチューブ構造体110のカーボンナノチューブ112は、前記増強体120によって互いに緊密的に接続している。従って、前記カーボンナノチューブ複合材料体10は前記カーボンナノチューブ構造体110に比べて、良好の引張強度(tensile strength)及びヤング率(Young’s modulus)を有する。前記増強体120粒子の粒径が1nm〜50nmである。好ましくは、前記増強体120粒子の粒径が1nm〜20nmである。前記カーボンナノチューブ複合材料体10における前記増強体120粒子の質量パーセンテージは、0%(0は含まず)〜100%(100は含まず)であるが、50%〜70%であることが好ましい。
前記増強体120は、金属及び金属酸化物の少なくとも一種からなる。前記金属は、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)またはそれらの合金である。前記金属酸化物は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe)、磁鉄鉱(Fe)、二酸化マンガン(MnO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、コバルト酸化物(Co)、コバルト(III)酸化物(Co)、イリジウム酸化物(IrO)の一種又は数種である。本実施例において、前記増強体120は、複数のナノサイズのCo粒子からなる。
(実施例2)
図10〜12を参照すると、本実施例は、カーボンナノチューブ複合材料体20を提供する。本実施例のカーボンナノチューブ複合材料体20と実施例1のカーボンナノチューブ複合材料体10と比べて、次の異なる点がある。本実施例のカーボンナノチューブ構造体210は、積層された6層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。増強体220は、層状体である。前記層状増強体220は、カーボンナノチューブ構造体210の少なくとも一つのカーボンナノチューブ212の外表面に被覆されている。前記層状増強体220によって、前記カーボンナノチューブ構造体210のカーボンナノチューブ212を互いに緊密的に接続させている。前記層状増強体220の厚さは、1nm〜1μmである。好ましくは、前記層状増強体220の厚さは、1nm〜100nmである。より好ましくは、前記層状増強体220の厚さは、1nm〜15nmである。前記増強体220は、一層のプラチナ金属からなることができる。前記増強体220は、異なる金属材料からなる二層構造又は多層構造を有することができる。前記増強体220が一層の構造を有する場合、該一層増強体220は、異なる材料からなる金属粒子を接続して形成することができる。
(実施例3)
図13を参照すると、本実施例は、カーボンナノチューブ複合材料体30を提供する。本実施例のカーボンナノチューブ複合材料体30と実施例2のカーボンナノチューブ複合材料体20と比べて、次の異なる点がある。本実施例のカーボンナノチューブ構造体310は、一層の綿毛構造カーボンナノチューブフィルムからなる。前記綿毛構造カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブ312は、絡み合い、等方的に配列されている。増強体320は、ナノサイズの複数の酸化亜鉛粒子からなる。一部の前記酸化亜鉛粒子は互いに接続して層状構造で、前記複数のカーボンナノチューブ312の外表面に被覆されているが、一部の酸化亜鉛粒子は、間隔をおいて粒子状で複数のカーボンナノチューブ312の外表面に形成されている。前記増強体320は、異なる材料からなる金属粒子からなることができる。前記増強体320によって、前記カーボンナノチューブ構造体310の隣接するカーボンナノチューブ312を、更に相互に絡み合って配置されているカーボンナノチューブ312を、互いに緊密的に接続させている。
図14を参照すると、前記カーボンナノチューブ構造体310における全てのカーボンナノチューブ312には、増強体320が形成されず、一部だけのカーボンナノチューブ312の外表面に層状構造を有する増強体320が、被覆されることができる。これは、前記カーボンナノチューブ構造体310のカーボンナノチューブ312が相互に絡み合って配置される場合に生じる可能性が高い。
(実施例4)
図15を参照すると、本実施例は、カーボンナノチューブ複合材料体40を提供する。本実施例のカーボンナノチューブ複合材料体40と実施例1のカーボンナノチューブ複合材料体10と比べて、次の異なる点がある。本実施例のカーボンナノチューブ構造体410は、一層又は積層された複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。カーボンナノチューブ構造体410が積層された複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる場合、隣接するドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブ412の長さ方向は、0°の角度を形成している。増強体420は、層状体である。前記増強体420は、ただ前記カーボンナノチューブ構造体410の隣接するカーボンナノチューブの間の間隙に形成されている。
(実施例5)
図16及び図17を参照すると、本実施例は、カーボンナノチューブ複合材料体50を提供する。本実施例のカーボンナノチューブ複合材料体50は実施例1のカーボンナノチューブ複合材料体10と比べて、次の異なる点がある。本実施例の粒子状増強体520は、カーボンナノチューブ構造体510の複数の微孔及びカーボンナノチューブ512の間の間隙に形成されない。ただカーボンナノチューブ構造体510のカーボンナノチューブ512の外表面に形成されている。
(実施例6)
図18及び図19を参照すると、本実施例は、カーボンナノチューブ複合材料体を提供する。本実施例のカーボンナノチューブ複合材料体は実施例2のカーボンナノチューブ複合材料体20と比べて、次の異なる点がある。本実施例のカーボンナノチューブ構造体は、図4又は図5に示すカーボンナノチューブワイヤからなる。増強体は、Feの層状体である。前記層状増強体は、カーボンナノチューブ構造体の少なくとも一つのカーボンナノチューブの外表面に被覆されている。好ましくは、前記層状増強体は、カーボンナノチューブ構造体の各々のカーボンナノチューブの外表面に被覆されている。
図20を参照すると、実施例6のカーボンナノチューブ複合材料体は、図5に示す純カーボンナノチューブワイヤに比べて、高い引張強度を有する。測定された前記純カーボンナノチューブワイヤの直径は27μmである。測定された前記カーボンナノチューブ複合材料体の直径は18μmである。前記純カーボンナノチューブワイヤの引張強度は、447MPaである。前記カーボンナノチューブ複合材料の引張強度は、862MPaである。
前記純カーボンナノチューブワイヤ及び実施例6のカーボンナノチューブ複合材料体のヤング率を更に測定すると、前記純カーボンナノチューブワイヤのヤング率は、10.5GPaである。前記カーボンナノチューブ複合材料のヤング率は、123GPaである。前記カーボンナノチューブ複合材料体の直径が大きくなるほど、その引張強度及びヤング率が高くなる。
以下、本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法の実施形態について説明する。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体を形成させるステップS11と、少なくとも一種の金属化合物を含む反応溶液を提供して、前記反応溶液に前記カーボンナノチューブ構造体を浸漬させるステップS12と、酸素がない雰囲気で、反応溶液に浸漬された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱させて、前記反応溶液の金属化合物を分解させて、前記カーボンナノチューブ構造体に増強体を形成するステップS13と、を含む。
前記ステップS12において、前記反応溶液は、前記カーボンナノチューブ構造体の微孔及び間隙に浸透されることができる。前記反応溶液は、少なくとも一種の金属化合物を溶媒に溶解することにより形成される。前記金属化合物は、二種以上の異なる化学元素からなる化学物質である。ここで、少なくとも一つの化学元素は、金属元素である。金属化合物は、有機金属塩、無機金属塩又は金属錯体からなる。前記有機金属塩は、有機基を含むことができる。前記有機基は、カーボンナノチューブに対してよい親和性を有し、これにより有機金属塩は、カーボンナノチューブに良好的に結合することができる。前記無機金属塩は、マンガン硝酸塩、硝酸酸化鉄、コバルト硝酸塩、ニッケル硝酸塩、硝酸銅、亜鉛硝酸塩、酢酸銅、酢酸ニッケル、コバルト酢酸塩、酢酸亜鉛、硝酸銀、塩化白金、塩化ロジウム、錫二塩化物、錫四塩化物、水溶性の塩化ルテニウム又は塩化パラジウムである。前記金属錯体は、Pt、Au、Rh、Ru又はPdなどの金属元素を含む。例えば、前記金属複合体は、塩化白金酸(HPtCl・HO)、又は四塩化金酸(AuCl・HCl・4HO)である。
前記反応溶液の溶媒は、水及び/又は有機溶媒である。前記有機溶媒は、カーボンナノチューブに対してよい親和性を有する。これにより、前記反応溶液は、前記カーボンナノチューブ構造体に浸透されることを促進できる。更に、前記有機溶媒は、前記カーボンナノチューブ構造体の密度を高めることができる。前記カーボンナノチューブ構造体においてカーボンナノチューブは、分子間力で接続しているので、前記有機溶媒は、前記金属化合物を溶解することができ、且つ容易に除去することができればよい。前記有機溶媒は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン及びテトラヒドロフランの一種又は数種の混合物からなる揮発性溶媒である。前記溶媒を利用して、前記金属化合物を十分的に溶解させることにより、前記反応溶液に複数の陽イオン及び陰イオンを含ませることができる。
前記ステップS12において、前記カーボンナノチューブ構造体を、前記反応溶液に入れて、所定の時間で浸漬させることができる。又は、前記反応溶液を、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に滴らせることができる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、複数の微孔及び間隙を有するので、前記反応溶液は、毛管効果によって、前記カーボンナノチューブ構造体の微孔及び間隙に浸透されることができる。前記反応溶液は、良好な流動性を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体における微孔及び間隙が、より小さくても前記反応溶液は、前記カーボンナノチューブ構造体の微孔及び間隙に浸透されることができる。即ち、前記溶媒に溶解された前記金属化合物は、前記カーボンナノチューブ構造体の微孔及び間隙に浸透されることができる。
前記カーボンナノチューブ構造体を前記反応溶液から取り出して乾燥させる。余りの反応溶液を、前記カーボンナノチューブ構造体を浸透させることに繰り返して利用することができる。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体を前記反応溶液に入れた後、前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが集まることができない。従って、前記反応溶液の用量を確定する。
前記ステップS13において、前記反応溶液が付着された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱することにより、前記カーボンナノチューブ構造体を速く乾燥させると同時に、前記反応溶液の金属化合物を分解させて、前記カーボンナノチューブ構造体に増強体を形成することができる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、高温で安定性を有するので、巨視的に前記反応溶液が付着された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱する過程において、前記カーボンナノチューブ構造体の形状は変わらない。
前記ステップS13において、前記カーボンナノチューブ構造体の酸化を防止するために、酸素がない雰囲気において前記カーボンナノチューブ構造体を処理する。該酸素がない雰囲気は、真空、窒素ガス、不活性ガス又は還元ガスの雰囲気である。前記還元ガスは、水素ガス、一酸化炭素ガス又は硫化水素ガスである。前記反応溶液が付着された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱する温度は、金属化合物の種類によって決定する。前記反応溶液に浸漬された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱する温度は、金属化合物の分解温度より高く、又は等しい。一般に、前記金属化合物は、450℃で分解されることができる。
異なる反応条件(例えば、異なる酸素がない雰囲気で、異なる加熱温度によって)及び異なる金属化合物を使用することによって、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に異なる金属粒子又は/及び異なる金属酸化物粒子が形成され、異なるカーボンナノチューブ複合材料体が得られる。例えば、金属化合物が、マンガン硝酸塩、硝酸酸化鉄、コバルト硝酸塩、ニッケル硝酸塩、硝酸銅又は亜鉛硝酸塩である場合、真空、窒素ガス又は不活性ガスの雰囲気で、前記反応溶液が付着された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱することにより、前記金属化合物は、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に前記金属酸化物に分解されて、カーボンナノチューブ−金属酸化物の複合材料体を形成することができる。前記金属化合物が、マンガン硝酸塩、硝酸酸化鉄、コバルト硝酸塩、ニッケル硝酸塩、硝酸銅又は亜鉛硝酸塩である場合、還元ガスの雰囲気で、前記反応溶液に浸漬された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱することにより、前記金属化合物は、金属酸化物に分解された後、前記金属酸化物は、前記還元ガスで還元されて、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に金属単体を形成して、カーボンナノチューブ−金属の複合材料体を得ることができる。
前記金属化合物が、酢酸銅、酢酸ニッケル、コバルト酢酸塩、酢酸亜鉛、硝酸銀、塩化白金、塩化ロジウム、錫二塩化物、錫四塩化物、水溶性の塩化ルテニウム、塩化パラジウム、塩化白金酸又は四塩化金酸である場合、真空、窒素ガス、不活性ガス又は還元ガスの雰囲気で、前記反応溶液に浸漬された前記カーボンナノチューブ構造体を加熱することにより、前記金属化合物は、直接的に金属単体に分解されて、カーボンナノチューブ−金属の複合材料体を形成することができる。
前記反応溶液に前記金属化合物の含量が高い場合、前記カーボンナノチューブ複合材料体に、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に形成された金属単体及び/又は金属酸化物は、層状で、前記カーボンナノチューブ構造体の各々のカーボンナノチューブの表面に被覆されることができる。前記反応溶液中の前記金属化合物の含量が低い場合、前記カーボンナノチューブ複合材料体において、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に形成された金属単体及び/又は金属酸化物は、粒子状で互いに間隔をおいて、前記カーボンナノチューブ構造体の各々のカーボンナノチューブの表面に被覆されることができる。
前記反応溶液が二種以上の前記金属化合物を含んでいる場合、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に二種以上の増強体を形成することができる。
以下に、前記カーボンナノチューブ複合材料体の製造方法について、さまざまな実施例を説明する。
(実施例1)
本実施例は、図10及び図11に示すカーボンナノチューブ複合材料体20の製造方法を提供する。前記カーボンナノチューブ複合材料体20の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体210を形成させるステップS101と、塩化白金酸溶液を提供して、前記塩化白金酸溶液に前記カーボンナノチューブ構造体210を浸漬させるステップS102と、窒素ガス雰囲気で、前記塩化白金酸溶液に浸漬された前記カーボンナノチューブ構造体210を300℃まで加熱させ、前記塩化白金酸を分解させて、前記カーボンナノチューブ構造体210に白金ナノ粒子を形成させたカーボンナノチューブ複合材料体20を形成するステップS103と、を含む。
前記ステップS101において、前記カーボンナノチューブ構造体210は、積層された6層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。隣接するドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブ212の長さ方向は、それぞれ90°の角度で交差している。この場合、前記カーボンナノチューブ構造体210に複数の微孔が形成される。前記カーボンナノチューブ構造体210は、金属環に一部が懸架するように配置されている。
前記ステップS102において、前記塩化白金酸溶液は、所定量の塩化白金酸をメタノール溶媒に溶解させて形成され、質量パーセンテージは、2%である。前記塩化白金酸溶液に前記カーボンナノチューブ構造体210を浸漬させることは、前記2%の塩化白金酸溶液を、前記カーボンナノチューブ構造体210の表面に滴らせる。
前記ステップS103において、前記カーボンナノチューブ構造体210に形成された複数の白金ナノ粒子は、互いに接続して層状体になって、前記カーボンナノチューブ構造体210における各々のカーボンナノチューブ212の外表面に被覆されている。前記複数の白金ナノ粒子によって、前記カーボンナノチューブ構造体210のカーボンナノチューブ212は互いに緊密的に接続されている。
更に、前記カーボンナノチューブ複合材料体20をカットしてねじることにより、カーボンナノチューブ複合ワイヤを形成することができる。
(実施例2)
本実施例は、図8及び図9に示すカーボンナノチューブ複合材料体10の製造方法を提供する。前記カーボンナノチューブ複合材料体10の製造方法は、カーボンナノチューブ構造体110を形成させるステップS201と、硝酸コバルト溶液を提供して、前記硝酸コバルト溶液に前記カーボンナノチューブ構造体110を浸漬させるステップS202と、水素ガス雰囲気で、前記硝酸コバルト溶液に浸漬された前記カーボンナノチューブ構造体110を300℃まで加熱させ、前記硝酸コバルトを分解させて、前記カーボンナノチューブ構造体110にCoナノ粒子を形成させたカーボンナノチューブ複合材料体10を形成するステップS203と、を含む。
本実施例のカーボンナノチューブ複合材料体10の製造方法と実施例1のカーボンナノチューブ複合材料体20の製造方法と比べて、次の異なる点がある。前記ステップS202において、利用した反応溶液は、硝酸コバルト溶液である。前記カーボンナノチューブ構造体110は、積層された20層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。
前記ステップS202において、前記硝酸コバルト溶液は、所定量の硝酸コバルト六水和物をメタノール溶媒に溶解させて形成され、質量パーセンテージは、20%である。前記硝酸コバルト溶液に前記カーボンナノチューブ構造体110を浸漬させることは、前記20%の硝酸コバルト溶液を、前記カーボンナノチューブ構造体110の表面に滴らせる。
前記ステップS203において、前記カーボンナノチューブ構造体110に形成された複数のCoナノ粒子は、間隔をおいて、前記カーボンナノチューブ構造体110における各々のカーボンナノチューブ112の外表面に被覆される。前記複数のCoナノ粒子によって、前記カーボンナノチューブ構造体110のカーボンナノチューブ112は互いに緊密的に接続されている。
(実施例3)
本実施例は、図18及び図19に示すカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法を提供する。前記カーボンナノチューブ複合材料体の製造方法は、図4又は図5に示すカーボンナノチューブワイヤを形成させるステップS301と、硝酸鉄溶液を提供して、前記硝酸鉄溶液に前記カーボンナノチューブワイヤを浸漬させるステップS302と、水素ガス雰囲気で、前記硝酸鉄溶液に浸漬された前記カーボンナノチューブワイヤを300℃まで加熱させ、前記硝酸鉄を分解させて、前記カーボンナノチューブワイヤにFeナノ粒子を形成させたカーボンナノチューブ複合材料体を形成するステップS303と、を含む。
前記ステップS302において、前記硝酸鉄溶液は、所定量の硝酸鉄をメタノール溶媒に溶解させて形成され、質量パーセンテージは、20%である。前記硝酸鉄溶液に前記カーボンナノチューブワイヤを浸漬させることは、前記カーボンナノチューブワイヤを、前記20%の硝酸鉄溶液に入れて、20分間浸漬させる。これにより、前記硝酸鉄溶液を、前記カーボンナノチューブワイヤに均一に浸透させる。次に、前記硝酸鉄溶液に浸漬されたカーボンナノチューブワイヤを乾燥するために、前記カーボンナノチューブワイヤを、前記硝酸鉄溶液から取り出す。
前記ステップS303において、前記カーボンナノチューブワイヤに形成された複数のFeナノ粒子は、互いに接続して層状体になって、前記カーボンナノチューブワイヤにおける各々のカーボンナノチューブの外表面に被覆されている。前記Feナノ粒子によって、前記カーボンナノチューブワイヤの隣接するカーボンナノチューブは更に緊密的に接続されている。
電気二重層コンデンサーについて
以下、本発明の電気二重層コンデンサーの実施形態について説明する。本発明の電気二重層コンデンサー(Electric double−layer capacitor,EDLC)は、第一電極と、第二電極と、セパレータと、電解液と、容器と、を含む。前記第一電極及び/または第二電極は、前記カーボンナノチューブ複合材料体からなる。
図21を参照すると、電気二重層コンデンサー200は、第一電極201と、第二電極202と、セパレータ205と、電解液206と、容器207と、を含む。前記電解液206は、前記容器207に満たされている。前記第一電極201、第二電極202及びセパレータ205は、前記電解液206に配置されている。前記セパレータ205は、前記第一電極201及び第二電極202の間に、それぞれ前記第一電極201及び第二電極202とから間隔をおいて配置される。
前記第一電極201及び第二電極202は、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料体からなる。前記カーボンナノチューブ複合材料体は、カーボンナノチューブ構造体及び前記カーボンナノチューブ構造体に被覆された増強体を含む。前記第一電極201及び第二電極202は、自立構造を有するカーボンナノチューブ複合材料体からなるので、更に集電体が必要ない。自立構造を有する前記カーボンナノチューブ複合材料は、独立的に吸蔵体とするので、前記電気二重層コンデンサー200の構造を簡易化することができる。ここで、前記第一電極201及び第二電極202のいずれか一つが、例えば活性炭素及び遷移金属酸化物などの他の材料からなることができる。
前記第一電極201及び/または第二電極202とした前記カーボンナノチューブ複合材料体は、複数の微孔及び間隙を有する。前記カーボンナノチューブ複合材料体は、カーボンナノチューブ構造体を含み、前記カーボンナノチューブ構造体は複数の微孔及び間隙を有し、前記カーボンナノチューブ構造体のカーボンナノチューブの表面に少量の金属材料を付着させることにより、前記カーボンナノチューブ構造体に増強体を被覆させて形成した前記カーボンナノチューブ複合材料体に、複数の微孔及び間隙を形成させている。前記カーボンナノチューブ複合材料体の複数の微孔及び間隙の孔径は、10nm〜10μmである。好ましくは、前記カーボンナノチューブ複合材料体において、前記複数の微孔及び間隙は、均一に分布される。前記複数の微孔及び間隙は、前記カーボンナノチューブ複合材料体の70%の面積に分布されている。前記カーボンナノチューブ複合材料体は複数の間隙又は微孔を有するので、前記カーボンナノチューブ複合材料体の比表面積を増加させる。従って、前記第一電極201及び/または第二電極202と前記電解液206の間の接触面積を増大させる。これにより、前記電気二重層コンデンサー200の充/放電速度を高める。この場合、前記電気二重層コンデンサー200の比容量が高められる。
前記カーボンナノチューブ複合材料体における前記増強体が粒子状で前記カーボンナノチューブ構造体に被覆される場合、前記電気二重層コンデンサー200の充/放電速度が高くなる。この場合、前記電気二重層コンデンサー200の比容量が高くなる。
前記セパレータ205は、ガラス繊維又はポリマーからなる。前記セパレータ205は、前記電解液206の電解質イオンを通過させ、前記第一電極201及び第二電極202を隔離することができる。
前記電解液206は、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液、硫酸(HSO)水溶液、硝酸(HNO)水溶液、硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液、硫酸カリウム(KSO)水溶液、過塩素酸リチウム(LiClO) 炭酸プロピレン溶液(PC)、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム((CN BF)炭酸プロピレン溶液(PC)のいずれか一種又は数種の混合物からなる。
前記容器207は、ガラス又はステンレス鋼からなる。
前記電気二重層コンデンサー200は、例えばコイル・タイプ電気化学キャパシタ又は電気化学キャパシタである。
以下に、前記電気二重層コンデンサー200について、説明する。
例Aとして、前記電気二重層コンデンサー200の前記第一電極201及び第二電極202は、カーボンナノチューブ複合材料体10からなる。ここで、前記カーボンナノチューブ複合材料体10において、積層された20層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなるカーボンナノチューブ構造体110の厚さは500nmであり、その表面密度が27μg/cmであり、そのシート抵抗が50Ωである。前記カーボンナノチューブ複合材料体10における前記増強体Co粒子の直径は10nmである。前記カーボンナノチューブ複合材料体10における前記増強体120粒子の質量パーセンテージは、54%である。前記電解液206は、1mol/LのKOH水溶液からなる。
例Bとして、前記電気二重層コンデンサー200の構造は、例Aの電気二重層コンデンサー200と比べて、次の異なる点がある。前記カーボンナノチューブ複合材料体10における前記増強体120粒子は、複数のナノサイズのMnO粒子からなることができる。この場合、前記MnO粒子の粒径は5nmである。前記カーボンナノチューブ複合材料体10における前記増強体120粒子の質量パーセンテージは、62%である。前記電解液206は、0.5mol/Lの硫酸ナトリウム水溶液からなる。
例Cとして、前記電気二重層コンデンサー200の構造は、例Aの電気二重層コンデンサー200と比べて、次の異なる点がある。前記カーボンナノチューブ複合材料体10における前記増強体120粒子は、複数のナノサイズのNiO粒子からなることができる。この場合、前記NiO粒子の粒径は10nmである。前記カーボンナノチューブ複合材料体10における前記増強体120粒子の質量パーセンテージは、51%である。前記電解液206は、0.5mol/Lの硫酸ナトリウム水溶液からなる。
図22〜24を参照すると、20℃で、それぞれ例A、例B、例Cに提供された前記電気二重層コンデンサー200の充/放電特性、比容量及び充/放電周期を測定する。測定した結果は、表1に示されている。表1を参照すると、例Bの前記電気二重層コンデンサー200は、より高い比容量、充/放電効率及びよりよい充/放電能力を有する。例Bの前記電気二重層コンデンサー200の、エネルギー密度(energy density)が30W・h/kgであり、出力密度(power density)が110kW/kgである。例Aの前記電気二重層コンデンサー200の瞬間比電気容量が1100F/gである。例Cの前記電気二重層コンデンサー200の瞬間比電気容量が1500F/gである。本発明の電気二重層コンデンサー200の前記第一電極201及び第二電極202は、カーボンナノチューブ−MnO粒子複合材料体からなる場合、前記電気二重層コンデンサー200は、高いエネルギー密度及び出力密度を有する。
10、20、30、40、50 カーボンナノチューブ複合材料体
110、210、310、410、510 カーボンナノチューブ構造体
120、220、320、420、520 増強体
143a カーボンナノチューブフィルム
143b カーボンナノチューブセグメント
145、112、212、312、412、512 カーボンナノチューブ
201 第一電極
202 第二電極
205 セパレータ
206 電解液
207 容器

Claims (2)

  1. 複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ構造体を形成させる第一ステップと、
    少なくとも一種の金属化合物を含む反応溶液を提供して、前記反応溶液に前記カーボンナノチューブ構造体を浸漬させる第二ステップと、
    酸素がない雰囲気で、前記反応溶液が付着した前記カーボンナノチューブ構造体を加熱させ、前記反応溶液の金属化合物を分解させて、前記カーボンナノチューブ構造体に増強体を形成して、カーボンナノチューブ複合材料体を形成する第三ステップと、
    を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法。
  2. 前記カーボンナノチューブ構造体は複数の間隙及び微孔を有し、
    前記第二ステップにおいて、前記反応溶液は、前記カーボンナノチューブ構造体の微孔及び間隙から前記カーボンナノチューブ構造体に浸透されることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合材料体の製造方法。
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