以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下においては、遊技機として、パチンコ玉を遊技媒体とするパチンコ機3を例に説明を行う。また、以下においては、図1に示すように、玉回収樋5側を前,パチンコ機3側を後とし、パチンコ機3の幅方向(即ち遊技島の長手方向)を左右方向,高さ方向を上下方向,奥行き方向を前後方向と称する。
[1.玉タンク装置の構成]
まず、本発明に係る玉タンク装置1の構成について説明する。玉タンク装置1は、図1に示すように、パチンコ機3から排出されるパチンコ玉(即ち排出玉)を受け入れて、玉回収樋5に向けて該排出玉を返却するものであり、図2に示すタンク部本体10を備えるものと、図9に示す変形例に係るタンク部本体10’を備えるものとが含まれる。以下においては、主にタンク部本体10を備える玉タンク装置1について説明を行い、変形例に係るタンク部本体10’を備える玉タンク装置については、タンク部本体10を備える玉タンク装置1と異なる点についてのみ説明を行う。
玉タンク装置1は、図1に示すように、遊技島の内部において、設置台2に取り付けられて用いられる。ここで設置台2は、長手方向に亘って所定の長さを有する台である。この設置台2の表面側には、長手方向に亘って複数のパチンコ機3が並列して取り付けられている。このパチンコ機3の裏面における略中央には、玉排出口4が設けられている。また設置台2の上面における各パチンコ機3の中央背後には、タンク部本体10(又は10’)が玉排出口4に臨むように、後述する支持土台40がビス等で固定されて、長手方向に亘って複数の玉タンク装置1が並列して取り付けられている。さらに遊技島の内部における設置台2よりも低い位置には、長手方向左右両端側から中央に向かう方向に下り傾斜して配置される玉回収樋5が設けられている。
また玉タンク装置1には、タンク部本体10に受け入れられた排出玉を玉回収樋5に向けて返却するための玉返却口13R,13L(又は図9に示すように、タンク部本体10’に受け入れられた排出玉を玉回収樋5に向けて返却するための玉返却口13R’,13L’)が設けられている。なお複数の玉返却口を特に区別しない場合には、単に「玉返却口13」(又は「玉返却口13’」)という。
さらに玉タンク装置1には、後述する計数機取付部材52(又は52’),及び玉整列部材53が設けられている。この計数機取付部材52(又は52’)には、玉返却口13から返却された排出玉を計数するためのボックス状の玉計数機50が取り付けられており、また玉計数機50からは、通過するパチンコ玉の勢いを弱めるための蛇腹状の玉返却管51が垂下されている。
この遊技島において、パチンコ玉は以下のように流動する。まずパチンコ機3の発射装置により発射されたパチンコ玉は、パチンコ機3の遊技領域に打ち込まれ、遊技領域に設けられた入賞口又はアウト口に取り込まれる。次に入賞口に取り込まれた入賞玉は、景品玉を払い出すための処理を行う入賞玉処理装置を経て、パチンコ機3の玉排出口4から落下排出される。またアウト口に取り込まれたアウト玉は、そのままパチンコ機3の玉排出口4から落下排出される。
次に玉排出口4から落下排出されたパチンコ玉(即ち排出玉=入賞玉+アウト玉)は、玉タンク装置1のタンク部本体10(又は10’)により受け入れられ、受け入れられたパチンコ玉は玉返却口13から返却され、返却されたパチンコ玉は玉計数機50により計数され、計数されたパチンコ玉は玉返却管51から返却されて玉回収樋5により回収される。
そして玉回収樋5により回収されたパチンコ玉は、遊技島の中央に配置される玉研磨揚送装置(図示外)により研磨及び揚送され、パチンコ機3及び必要に応じて玉貸機(図示外)に供給される。
なおパチンコ機3等の遊技機においては、排出玉の排出位置がそれぞれのメーカーによって異なっているため、玉タンク装置1を設置台2に取り付けたり、設置台2に取り付けられていた遊技機を異なるメーカーのものに交換する場合に、排出玉の排出位置である玉排出口4の位置に応じて、排出玉の受入位置であるタンク部本体10(又は10’)の取付位置を調節可能とする必要がある。
そこで、この玉タンク装置1では、タンク部本体10(又は10’)自体を左右方向,上下方向,及び前後方向の三方向に移動することにより、タンク部本体10(又は10’)の位置調節が可能とされている。具体的には図2に示すように、玉タンク装置1は、主としてタンク部本体10(又は10’),内部支持脚20,外部支持脚30,及び支持土台40の四部品を備え、そのうちの隣接する二部品間(即ち支持土台40と外部支持脚30との間,外部支持脚30と内部支持脚20との間,及び内部支持脚20とタンク部本体10(又は10’)との間)における相対的な移動により、左右方向,上下方向,及び前後方向にタンク部本体10(又は10’)の位置調節が行われる。
なお、これら四部品をはじめとして、玉タンク装置1を構成する各構成要素は、例えば硬質の合成樹脂等によって後述する形状に成形される。以下、各構成要素について説明する。
[1−1.タンク部本体の構成]
まず図1乃至図8を参照して、タンク部本体10,及びそれに関連する構成について説明する。タンク部本体10は、パチンコ機3から排出される排出玉を受け入れるものであり、図1乃至図3に示すように、ここでは上面が開口し、平面視で横長の長方形状を呈し、正面視で皿状の底板を有する有底容器である。
タンク部本体10の窪んだ内部は、排出玉を受け入れる受入部10aになっている。このタンク部本体10の内部底面は、図15に示すように、タンク部本体10における端部から中央部に向けて下り傾斜し、かつ図16に示すように、タンク部本体10における後部から前部に向けて下り傾斜しており、受入部10aに受け入れられた排出玉が自重によって転動し、後述する切欠部10bに向けて流下されるようになっている。
なおタンク部本体10の内部底面には、平面視で逆凸字状を呈する三箇所の弾性体板取付孔10gが設けられ、ゴムシート等の弾性体板(図示外)が該弾性体板取付孔10gに取り付けられて敷設されており、排出玉を受け入れる際に、排出玉が跳ね上がったり衝撃音を発生したりするのを防止している。
タンク部本体10の下面には、図15に示すように、外側から順に各二本ずつの板状の固定突片10c,10d,10eが、前後方向に亘って鉛直下向きに突設されている。ここで固定突片10c,10dには、タンク部本体10の前後方向の移動を司る前後被係合部が前後方向に亘って設けられている。具体的には、図17(b)にも示すように、固定突片10cに、前後被係合部を構成する側面視で長方形状の前後案内溝11が、前後方向で所定の範囲に亘って水平に穿設されている。この固定突片10cには、後述する前後方向移動用の目盛80が、前後方向に亘って水平外向きに刻設されている。また、図14にも示すように、固定突片10dに、前後被係合部を構成する平面視で鋸歯状のラック12が、前後方向に亘って水平内向きに延設されている。このラック12の歯は、等辺山形状に形成されてなる。なお固定突片10eは、後述する載置支持片24に載置支持されるものである。
タンク部本体10の前壁における中央部には、図3に示すように、タンク部本体10に受け入れられた排出玉を後述する玉返却部14に向けて流下させるための切欠部10bが設けられている。またタンク部本体10の前壁における切欠部10bの左右両側には、後述する玉誘導部材15の位置決め用突片15fを嵌合するための位置決め用切り込み10f,10fが設けられている。
さらにタンク部本体10の前方には、排出玉を玉回収樋5に向けて返却するための玉返却口13R,13Lを複数備えた玉返却部14が、タンク部本体10の長手方向に沿って設けられている。この玉返却部14は、ここでは正面視で山形を呈する前壁,正面視で谷型を呈する後壁,前壁と後壁の下方においてそれらに連続する側壁,及び底板を有しており、タンク部本体10と一体に設けられ、後述する玉誘導部材15が取り付けられる部位である。
この玉返却部14の前壁には、位置決め用切り込み10f,10fに対向する箇所に、後述する玉誘導部材15の位置決め用突片15fを嵌合するための位置決め用切り込み14a,14aが設けられている。また玉返却部14の後壁は、タンク部本体10の下縁から連続している。またこれら前壁と後壁との前後方向の間隙は、図4(b)に示すように、玉誘導部材15がぴったりと嵌合可能であると共に、パチンコ玉が一つだけ通過可能な幅に形成されている。
また玉返却部14の底板には、図3(a)に示すように、長手方向左右両端側(即ちタンク部本体10の左右両端又はその近傍)に複数の玉返却口13R,13Lが設けられている。この玉返却口13Rは、パチンコ玉を右側から返却するための右側返却用の玉返却口であり、また玉返却口13Lは、パチンコ玉を左側から返却するための左側返却用の玉返却口である。
また玉返却部14の底板には、複数のゴミ落とし口14b(ここでは七つ)が間欠状に設けられており、それら以外の部分の底板が載置部14eとされている。この載置部14eは、図6にも示すように、玉返却部14に取り付けられた後述する玉誘導部材15の支持部15cが載置される位置に形成されており、また図7及び図8にも示すように、向きを変えて玉誘導部材15を取り付けた場合に対応できるように、左右対称の位置に形成されている。
ここで玉誘導部材15は玉誘導部の一例であって、玉返却部14に設けられた複数の玉返却口13R,13Lのうち、いずれかの玉返却口13に向けて排出玉を誘導するためのものであり、図7及び図8に示すように、ここでは玉返却部14に対して着脱可能とされ、その取付態様(具体的には取付の向き)を変更することで、排出玉が返却される玉返却口13を決定するものである。
この玉誘導部材15は、図4(a)に示すように、基端側の板材である一つの起立部15aと、起立部15aから先端側に向けて延出する角棒材である一つの傾斜部15bと、傾斜部15bにおける左右両側の適宜の箇所から水平に向けて延出した後に曲折して下方に向けて延出する板材である複数の支持部15cと、起立部15aにおける左右両側の下縁及び傾斜部15bにおける左右両側の適宜の箇所から下方に向けて延出する四つの弾性突片15dと、各弾性突片15dの先端に水平外向きに突設される逆三角形状の固定用係合爪15eと、起立部15aにおける左右両側の上端から水平外向きに突設される二つの位置決め用突片15fとを有する。
ここで起立部15aは、図7及び図8にも示すように、玉誘導部材15が玉返却部14に取り付けられた状態において、タンク部本体10の切欠部10bから流下された排出玉が、いずれか選択された玉返却口13(例えば玉返却口13R)に向かうように、即ち選択されていない玉返却口13(例えば玉返却口13L)に向かうことがないように、十分な高さ(ここでは玉返却部14の高さと略等しい高さ)に形成される。
また傾斜部15bは、図7及び図8にも示すように、玉誘導部材15が玉返却部14に取り付けられた状態において、タンク部本体10の切欠部10bから流下された排出玉が、傾斜部15b上を自重により転動していずれか選択された玉返却口13に向かうように、切欠部10bから玉返却口13に至る長さと略等しい長さで、基端部側から先端部側に向けて所定の傾斜角度をもって下り傾斜して形成される。
この玉誘導部材15は、選択されたいずれか任意の玉返却口13の方に先端側を向けた状態で、図4(b)に示すように、位置決め用突片15fを左右いずれかの位置決め用切り込み10f,14aに嵌合し、弾性突片15d及び固定用係合爪15eを所定のゴミ落とし口14bに係合することにより、玉返却部14の内部に嵌合されて取り付けられる。
玉返却部14の前壁における左右両端側には、図3に示すように、前壁よりも前方に向けて突出する態様で取付部材係合部14c,14cが設けられている。この取付部材係合部14cは第二の取付部の一例であって、複数の玉返却口13R,13Lの各玉返却口13に対応して、後述する計数機取付部材52を取り付けるためのものであり、ここでは玉返却部14の前壁から前方に向けて延出する延出部,及び該延出部の先端に玉返却部14の前壁から離間して平行に取り付けられる係合部を有し、平面視で凹字状を呈する棒材である。
ここで計数機取付部材52は計数機取付部の一例であって、玉計数機50を取り付けるためのものであり、図5(a)に示すように、ここでは左右対称に形成され、十字型を呈する背面板52aと、背面板52aの下縁から前方に向けて延出し、玉計数機50の下面を支持する一つの下面支持部52bと、背面板52aの左右両側縁から前方に向けて延出し、玉計数機50の左右両側面を支持する二つの側面支持部52cと、各側面支持部52cの先端において背面板52aと平行に設けられ、玉計数機50の前面を係止する前面係止爪52dと、背面板52aの上半部から側方に向けて延出した後に曲折して前方に向けて延出する二つの可撓部52eと、各可撓部52eの上縁において下面支持部52bと平行に設けられ、玉計数機50の上面を係止する上面係止爪52fと、各可撓部52eの背面から上方に向けて延出する弾性突片52gと、各弾性突片52gの先端に水平前向きに突設される三角形状の本体係合爪52hとを有する。
ここで玉計数機50は、各可撓部52eを左右に押し広げて撓ませた状態で計数機取付部材52の上方から挿入されることにより、下面支持部52bで下面を支持され、各側面支持部52cで左右両側面を支持され、各前面係止爪52dで前面を係止され、各可撓部52eを元に戻すことにより、上面係止爪52fで上面を係止されて、計数機取付部材52に取り付けられる。
この玉計数機50を取り付けた計数機取付部材52は、選択されたいずれか任意の玉返却口13R又は13Lに対応する取付部材係合部14cに対して下側から装着され、図5(b)に示すように、背面板52aの上端が取付部材係合部14cの裏側に位置し、各弾性突片52gが取付部材係合部14cの表側に位置し、各本体係合爪52hが取付部材係合部14cにおける係合部の上面に引っ掛かることにより、取付部材係合部14cに係合されてタンク部本体10に取り付けられる。なお計数機取付部材52は、玉返却口13と玉計数機50における玉流通路(図示外)とが合致するように位置決めされて取り付けられる。
玉返却部14の前壁における左右両端側には、図3に示すように、整列部材取付部14d,14dが設けられている。この整列部材取付部14d,14dは第一の取付部の一例であって、複数の玉返却口13R,13Lの各玉返却口13に対応して、後述する玉整列部材53を取り付けるためのものであり、ここでは玉返却部14の前壁において、上縁から下方に向けて形成された二本の溝の間の部分が、該上縁よりも上方に向けて延設される形状を呈し、後述する玉整列部材53を軸支するための孔が形成されたものである。
ここで玉整列部材53は玉整列部の一例であって、玉返却口13に向けて誘導される排出玉を整列するためのものであり、図6に示すように、ここでは玉返却部14の内部に出退可能に形成される棒材である。この玉整列部材53は、基端部に設けられ、玉整列部材53を水平軸周りで揺動可能に軸支する軸53aと、先端部に設けられ、該先端部を玉返却部14の内部に突出状態に維持する重り53bと、同じく先端部に形成され、突出状態でパチンコ玉の流動を抑止する鉤状部53cとを有する。
この玉整列部材53は、選択されたいずれか任意の玉返却口13R又は13Lに対応する整列部材取付部14dに対して上側から装着され、軸53aが整列部材取付部14dに形成された孔に遊嵌することにより、取付部材係合部14cに係合されてタンク部本体10に取り付けられる。
以上に説明したタンク部本体10を備える玉タンク装置1においては、玉タンク装置1の取付位置に応じて、複数形成される玉返却口13(ここでは二つの玉返却口13R,13L)からいずれかの玉返却口13を選択することにより、該選択されたいずれか任意の玉返却口13からパチンコ玉を振り分けて返却することができる。
具体的には、例えばパチンコ機3が遊技島の左端寄り(即ち遊技島の左端又はその近傍)に位置する場合には、図7に示すように、玉返却口13として右側返却用の玉返却口13Rを選択し、玉誘導部材15の先端側を玉返却口13Rの方に向けた状態で玉返却部14に取り付け、それに伴い、玉返却管51が右側に位置するように玉計数機50を計数機取付部材52に取り付け、該計数機取付部材52を玉返却口13Rに対応する右側の取付部材係合部14cに取り付け、かつ玉整列部材53を玉返却口13Rに対応する右側の整列部材取付部14dに取り付けた状態の玉タンク装置1を設置台2に設置することにより、パチンコ玉を右側返却用の玉返却口13Rから返却することができ、その際に、玉計数機50から垂下される玉返却管51と、右側に向けて下り傾斜している玉回収樋5との隙間Sを広く取ることができるので、パチンコ玉を詰まらせることなく返却できる。
また、例えばパチンコ機3が遊技島の右端寄り(即ち遊技島の右端又はその近傍)に位置する場合には、図8に示すように、玉返却口13として左側返却用の玉返却口13Lを選択し、玉誘導部材15の先端側を玉返却口13Lの方に向けた状態で玉返却部14に取り付け、それに伴い、玉返却管51が左側に位置するように(即ち図7と比較して垂直軸周りに180度回転させた状態の)玉計数機50を計数機取付部材52に取り付け、該計数機取付部材52を玉返却口13Lに対応する左側の取付部材係合部14cに取り付け、かつ玉整列部材53を玉返却口13Lに対応する左側の整列部材取付部14dに取り付けた状態の玉タンク装置1を設置台2に設置することにより、パチンコ玉を左側返却用の玉返却口13Lから返却することができ、その際に、玉計数機50から垂下される玉返却管51と、左側に向けて下り傾斜している玉回収樋5との隙間Sを広く取ることができるので、パチンコ玉を詰まらせることなく返却できる。
次に図9乃至図11を参照して、変形例に係るタンク部本体10’,及びそれに関連する構成について説明する。タンク部本体10’は、パチンコ機3から排出される排出玉を受け入れるものであり、図9に示すように、前記タンク部本体10と同様に、上面が開口し、平面視で横長の長方形状を呈し、正面視で皿状の底板を有する有底容器である。
このタンク部本体10’は、前記タンク部本体10と比較して、前記受入部10a,切欠部10b,固定突片10c,固定突片10d,固定突片10e,弾性体板取付孔10g,前後案内溝11,及びラック12を有している一方、前記位置決め用切り込み10f,及び玉返却口13が備えられる玉返却部14を有していない。
なおタンク部本体10’の切欠部10bにおいては、図10(a)及び図11(a)に示すように、底板が前壁よりも前方に向けて延出する態様で延出底板が設けられている。この延出底板は、タンク部本体10’に受け入れられた排出玉を、後述する玉受入領域14R’,14L’に確実に流下させるためのものである。
またタンク部本体10’の前壁における切欠部10bの左右両側には、図10(a)及び図11(a)に示すように、前壁よりも前方に向けて突出する態様でシュート係合部10i’,10i’が設けられている。このシュート係合部10i’は、後述する玉返却シュート14’を取り付けるためのものであり、平面視で凹字状を呈する板材である。
タンク部本体10’の前方には、図9乃至図11に示すように、玉返却シュート14’が設けられている。この玉返却シュート14’は、タンク部本体10’に受け入れられた排出玉を受け入れるための玉受入領域14R’,14L’と、該排出玉を玉回収樋5に向けて返却するための玉返却口13R’,13L’を備えるものであり、該タンク部本体10’に対して着脱可能とされている。
この玉返却シュート14’は、タンク部本体10’の長手方向に沿って、タンク部本体10’の切欠部10bに連通する基端部から該タンク部本体10’の一方端側(図9では右側)である先端部に至る長さに形成されており、前記長手方向に平行な仕切壁14a’を有すると共に、該仕切壁14a’を境にして前後に平行な二条の誘導路15R’,15L’を有する。この誘導路15R’は、パチンコ玉を右側から返却するための右側返却用の通路であり、同様に誘導路15L’は、パチンコ玉を左側から返却するための左側返却用の通路である。
この右側返却用の誘導路15R’の底板における先端部側に、右側返却用の玉返却口13R’が設けられており、同様に左側返却用の誘導路15L’の底板における先端部に、左側返却用の玉返却口13L’が設けられている。これら誘導路15R’,15L’の幅は、パチンコ玉が一つだけ通過可能な幅に形成されている。
また右側返却用の誘導路15R’の側壁における基端部側に、右側返却用の玉受入領域14R’が設けられており、同様に左側返却用の誘導路15L’の側壁における基端部に、左側返却用の玉受入領域14L’が設けられている。この玉受入領域14R’,14L’は、ここではタンク部本体10’の切欠部10bと略等しい幅の正面視で長方形状を呈する切欠である。
また玉返却シュート14’には、玉返却シュート14’をタンク部本体10’に取り付けるためのタンク部本体取付部の一例である本体係合爪14e’が複数設けられている。具体的には、玉返却シュート14’の前壁において、左右一対のシュート係合部10i’,10i’に対向する箇所に、左右一対の本体係合爪14e’,14e’が設けられており、同様に玉返却シュート14’の後壁において、左右一対の本体係合爪14e’,14e’が設けられている。
即ち、この玉返却シュート14’においては、玉受入領域14R’,14L’が複数(ここでは前後の二箇所)設けられ、該玉受入領域14R’,14L’に対応して玉受入領域14R’,14L’が設けられ、該玉受入領域14R’,14L’に対応して玉返却口13R’,13L’が設けられ、該玉受入領域14R’,14L’と玉返却口13R’,13L’をつなぐ誘導路15R’,15L’が設けられている。
なお本体係合爪14e’は、ここでは前壁及び後壁から水平に向けて延出した後に曲折して下方に向けて延出する板材であり、この本体係合爪14e’がシュート係合部10i’に対して上方から係合されることにより、玉返却シュート14’がタンク部本体10’の前方に係合されて取り付けられる。
また玉返却シュート14’の底板は、図10(b)及び図11(b)に示すように、玉返却シュート14’がタンク部本体10’に取り付けられた状態において、タンク部本体10’の切欠部10bから流下された排出玉が、底板上を自重により転動して玉返却口13’に向かうように、基端部側から先端部側に向けて所定の傾斜角度をもって下り傾斜して形成される。また玉返却シュート14’の底板には、複数のゴミ落とし口(図示外)が間欠状に設けられている。
また玉返却シュート14’の仕切壁14a’は、図10(a)及び図11(a)に示すように、玉返却シュート14’がタンク部本体10’に取り付けられた状態において、タンク部本体10’に受け入れられた排出玉が、いずれか選択された玉返却口13’(例えば玉返却口13R’)に連通する玉受入領域14’(ここでは玉受入領域14R’)に受け入れられるように、即ち選択されていない玉返却口13’(例えば玉返却口13L’)に連通する玉受入領域14’(ここでは玉受入領域14L’)に受け入れられることがないように、十分な高さに形成される。
また玉返却シュート14’の仕切壁14a’における先端部側には、図9に示すように、整列部材取付部14d’が設けられている。この整列部材取付部14d’は、前記玉整列部材53を取り付けるためのものであり、前記整列部材取付部14dと同様の形状を呈するものである。
またタンク部本体10’の前壁が下方に向けて延設された延設前壁における左右両端側には、図10(b)及び図11(b)に示すように、取付部材係合孔10h’,10h’が設けられている。この取付部材係合孔10h’は第三の取付部の一例であって、玉返却口13’の位置に対応して、後述する計数機取付部材52’を取り付けるためのものである。
ここで計数機取付部材52’は計数機取付部の一例であって、玉計数機50を取り付けるためのものであるが、前記計数機取付部材52と異なり、玉計数機50の背面側に取り付けられ、選択されたいずれか任意の玉返却口13’の位置に対応する取付部材係合孔10h’に対して背面側から取り付けられる。
以上に説明した変形例に係るタンク部本体10’を備える玉タンク装置においては、玉タンク装置の取付位置に応じて、タンク部本体10に取り付ける本体係合爪14e’を選択することで、排出玉が返却される玉返却口13’の位置(ここでは右側又は左側)が変更され、該選択されたいずれか任意の玉返却口13’の位置からパチンコ玉を振り分けて返却することができる。
具体的には、例えばパチンコ機3が遊技島の左端寄り(即ち遊技島の左端又はその近傍)に位置する場合には、図10に示すように、玉返却口13’の位置として右側を選択し、切欠部10bと右側返却用の玉受入領域14R’とが連通するように、玉返却シュート14’の先端部側を右側に向けた状態でタンク部本体10’に取り付け、それに伴い、玉返却管51が右側に位置するように玉計数機50を計数機取付部材52’に取り付け、該計数機取付部材52’を右側の取付部材係合孔10h’に取り付け、かつ玉整列部材53を右側返却用の誘導路15R’の内部に出退可能なように整列部材取付部14d’に取り付けた状態の玉タンク装置を設置台2に設置することにより、パチンコ玉を右側返却用の玉返却口13R’から返却することができ、その際に、玉計数機50から垂下される玉返却管51と、右側に向けて下り傾斜している玉回収樋5との隙間Sを広く取ることができるので、パチンコ玉を詰まらせることなく返却できる。
また、例えばパチンコ機3が遊技島の右端寄り(即ち遊技島の右端又はその近傍)に位置する場合には、図11に示すように、玉返却口13’の位置として左側を選択し、切欠部10bと左側返却用の玉受入領域14L’とが連通するように、玉返却シュート14’の先端部側を左側に向けた状態でタンク部本体10’に取り付け、それに伴い、玉返却管51が左側に位置するように(即ち図10と比較して垂直軸周りに180度回転させた状態の)玉計数機50を計数機取付部材52’に取り付け、該計数機取付部材52’を左側の取付部材係合孔10h’に取り付け、かつ玉整列部材53を左側返却用の誘導路15L’の内部に出退可能なように整列部材取付部14d’に取り付けた状態の玉タンク装置を設置台2に設置することにより、パチンコ玉を左側返却用の玉返却口13L’から返却することができ、その際に、玉計数機50から垂下される玉返却管51と、左側に向けて下り傾斜している玉回収樋5との隙間Sを広く取ることができるので、パチンコ玉を詰まらせることなく返却できる。
[1−2.内部支持脚の構成]
内部支持脚20は、図2及び図12に示すように、タンク部本体10(又は10’)を支持する支持脚を構成するものであり、ここでは上面及び下面が開口した矩形の中空筒である。内部支持脚20の上部における左右の周壁には、各二つずつのL字状の弾性突片20aが、外向きに突設されている。また内部支持脚20の上部における左右の周壁において、各弾性突片20a,20aの間の部分が、板状の可撓片20bとされている。また内部支持脚20の左右の周壁において、下縁から上方に向けて形成された二本の溝の間の部分が、板状の可撓片20cとされている。さらに内部支持脚20の上部における前後の周壁には、板状の載置支持片24が、水平外向きに突設されている。
弾性突片20a及び可撓片20bには、タンク部本体10(又は10’)の前後方向の移動を司る前後係合部が設けられている。具体的には、弾性突片20aの先端部に、前後係合部を構成する正面視で三角形状の前後案内爪21が、前後案内溝11に係合するように水平外向きに突設されている。この前後案内爪21には、後述する前後方向移動用の目印81も刻設されている。また可撓片20bの先端部に、前後係合部を構成する平面視で王冠状の係合爪22が、ラック12に係合するように水平外向きに突設されている。
可撓片20cには、タンク部本体10(又は10’)の上下方向の移動を司る上下係合部が設けられている。具体的には、可撓片20cの先端部に、上下係合部を構成する上下係合案内爪23が、後述する上下係合案内溝33に係合するように水平外向きに突設されている。この上下係合案内爪23は、後述する幅広溝33aに係合する形状、例えば基端側の幅広部23aと先端側の幅狭部23bが平面視で凸状に形成されてなる。この上下係合案内爪23には、後述する上下方向移動用の目印71も刻設されている。なお載置支持片24は、固定突片10eを載置支持するものである。
[1−3.外部支持脚の構成]
外部支持脚30は、図2及び図13に示すように、組立時に内部支持脚20に外嵌されて、タンク部本体10(又は10’)を支持する支持脚を構成するものであり、ここでは上面が開口し正面視で凸状の上げ底を有する矩形の有底筒である。
外部支持脚30の下部には、タンク部本体10(又は10’)の左右方向の移動を司る左右係合部が設けられている。具体的には、外部支持脚30の前後の周壁において、下縁から上方に向けて形成された二本の溝の間の部分が、さらに鉛直下向きに延設されて、板状の弾性突片30aとされており、この弾性突片30aの先端部に、左右係合部を構成する側面視で逆三角形状の左右案内爪31が、後述する左右案内溝41に係合するように水平外向きに突設されている。なお外部支持脚30の前後の周壁の中央には、後述する左右方向移動用の目印61が刻設されている。また外部支持脚30の下面の中央に、一対の湾曲板状の挟持片32aが、左右方向に亘って鉛直下向きに突設されており、この挟持片32aが、左右係合部を構成する嵌合凹部32とされている。
外部支持脚30の側部には、タンク部本体10(又は10’)の上下方向の移動を司る上下被係合部が上下方向に亘って設けられている。具体的には、外部支持脚30の左右の周壁に、上下被係合部を構成する上下係合案内溝33が、上下方向で所定の範囲に亘って垂直に穿設されている。この上下係合案内溝33は、複数(ここでは三箇所)の幅広溝33aと複数(ここでは二箇所)の幅狭溝33bが立面視で交互に連設された形状(ここでは「王」字状)に形成されてなる。なお上下係合案内溝33の近傍において、外部支持脚30の左右の周壁には、後述する上下方向移動用の目盛70が、上下方向に亘って刻設されている。
[1−4.支持土台の構成]
支持土台40は、図2及び図14乃至図16に示すように、支持脚(即ち内部支持脚20及び外部支持脚30)を支持するものであり、ここでは上面のうち中央のみが窪んだ凹状の底を有する矩形の有底箱である。支持土台40の左右における上面には、支持土台40を設置台2に取り付けるためのビスを挿通するビス孔40aが穿設されている。
支持土台40の上面には、タンク部本体10(又は10’)の左右方向の移動を司る左右被係合部が左右方向に亘って設けられている。具体的には、支持土台40の前後における上面に、左右被係合部を構成する平面視で長方形状の左右案内溝41が、左右方向で所定の範囲に亘って水平に穿設されている。また支持土台40の中央における底面上に、左右被係合部を構成する嵌合凸部42が、左右方向に亘って間欠状に突設されている。この嵌合凸部42は、支持土台40の底面から鉛直上向きに間欠状に一定間隔で突設される複数(ここでは九箇所)の突起42aと、それら突起42a同士の間をつなぐ接続片42bからなる。なお左右案内溝41及び嵌合凸部42の近傍において、支持土台40の前後における上面には、後述する左右方向移動用の目盛60が、左右方向に亘って刻設されている。
[1−5.目盛及び目印の構成]
玉タンク装置1は、上記の如く、タンク部本体10(又は10’)の取付位置を把握可能な目盛60,70,80、及びその目盛を指す目印61,71,81を有する。なお、これら目盛及び目印は、設置台2からパチンコ機3を取り外した際に、タンク部本体10(又は10’)を移動して取付位置を調節する作業者が視認できる位置に設けられるのが好ましい。
左右方向移動用の目盛60は、図17(a)に示すように、支持土台40に表示され、タンク部本体10(又は10’)の左右方向の取付位置を把握可能なものである。具体的には、目盛60は、左右案内溝41及び嵌合凸部42の近傍において、支持土台40の前後における上面に、左右方向に亘って刻設されている。この目盛60は、ここでは複数の突起42aの位置に対応するように、左側から順に「+4,+3,+2,+1,0,−1,−2,−3,−4」という9段階の数字が表示されており、タンク部本体10(又は10’)が移動できる範囲の中心位置(ここでは「0」)を把握可能な形式で表示されている。
一方、左右方向移動用の目印61は、図13及び図17(a)に示すように、外部支持脚30に表示され、目盛60を指すものである。具体的には、目印61は、外部支持脚30の前後の周壁の中央に、下向きの矢印として刻設されている。
上下方向移動用の目盛70は、図13及び図17(a)に示すように、外部支持脚30に表示され、タンク部本体10(又は10’)の上下方向の取付位置を把握可能なものである。具体的には、目盛70は、上下係合案内溝33の近傍において、外部支持脚30の左右の周壁に、上下方向に亘って刻設されている。この目盛70は、ここでは複数の幅広溝33aの位置に対応するように、上側から順に「上,中,下」という3段階の漢字が表示されており、タンク部本体10(又は10’)が移動できる範囲の中心位置(ここでは「中」)を把握可能な形式で表示されている。
一方、上下方向移動用の目印71は、図12及び図17(a)に示すように、内部支持脚20に表示され、目盛70を指すものである。具体的には、目印71は、上下係合案内爪23に、横向きの矢印として刻設されている。なお上下係合案内爪23自体を目印として用い、目印71を省略することも可能である。
前後方向移動用の目盛80は、図17(b)に示すように、タンク部本体10(又は10’)に表示され、タンク部本体10(又は10’)の前後方向の取付位置を把握可能なものである。具体的には、目盛80は、タンク部本体10(又は10’)の下面に突設され、前後案内溝11が形成された固定突片10cの下側に、前後方向に亘って水平外向きに刻設されている。この目盛80は、ラック12の任意の歯の位置に対応するように、後側から順に「A,B,C…,J,K,L」という12段階のアルファベット文字が表示されている。
一方、前後方向移動用の目印81は、図12及び図17(b)に示すように、内部支持脚20に表示され、目盛80を指すものである。具体的には、目印81は、パチンコ機3側の前後案内爪21に、下向きの矢印として刻設されている。
作業者はこれら目盛60,70,80、及び目印61,71,81が有ることにより、タンク部本体10(又は10’)の取付位置を容易かつ正確に把握できる。またタンク部本体10(又は10’)を、これら目盛及び目印に基づいて(見ながら,触れながら等)所定方向に移動することにより、移動作業(位置調節)を行うにあたり、タンク部本体10(又は10’)の取付位置を容易かつ正確に把握でき、従って作業に必要以上の時間を要しない。なお目盛60,70は、必ずしも中心位置を把握可能な形式で表示される必要はなく、逆に目盛80は、中心位置を把握可能な形式で表示されるものでも良い。
[1−6.玉タンク装置の組立]
玉タンク装置1は、前記各構成要素が以下のように組み立てられて構成される。
まず支持土台40と外部支持脚30とは、図16に示すように、支持土台40に対して外部支持脚30を押し込むと、前後の弾性突片30aが内向きに撓んだ後に元位置に復帰して、左右案内爪31が左右案内溝41に係合すると共に、嵌合凹部32が嵌合凸部42に嵌合する。これにより、支持土台40に外部支持脚30が載置支持され、上下方向及び前後方向の移動を拘束しつつ左右方向に移動可能なように、両者が組み立てられる。
また外部支持脚30と内部支持脚20とは、図15に示すように、左右の可撓片20cを内向きに撓ませた状態で、外部支持脚30に対して内部支持脚20を押し込むと、左右の可撓片20cが元位置に復帰して、上下係合案内爪23の幅広部23aが上下係合案内溝33の幅広溝33aに係合する。これにより、外部支持脚30が内部支持脚20に外嵌され、左右方向及び前後方向の移動を拘束しつつ上下方向に移動可能なように、両者が組み立てられる。
また内部支持脚20とタンク部本体10(又は10’)とは、図15に示すように、タンク部本体10(又は10’)に対して内部支持脚20を押し込むと、左右の弾性突片20aが内向きに撓んだ後に元位置に復帰して、前後案内爪21が前後案内溝11に係合すると共に、係合爪22がラック12に係合する。これにより、内部支持脚20にタンク部本体10(又は10’)が載置支持され、左右方向及び上下方向の移動を拘束しつつ前後方向に移動可能なように、両者が組み立てられる。
さらにタンク部本体10を備える玉タンク装置1においては、図7又は図8に示すように、選択されたいずれか任意の玉返却口13R又は13Lに対応する態様で、玉誘導部材15,玉計数機50が取り付けられた計数機取付部材52,及び玉整列部材53がそれぞれ取り付けられ、また変形例に係るタンク部本体10’を備える玉タンク装置においては、図10又は図11に示すように、選択されたいずれか任意の玉返却口13’の位置に対応する態様で、玉返却シュート14’,玉計数機50が取り付けられた計数機取付部材52’,及び玉整列部材53がそれぞれ取り付けられる。
以上のようにして組み立てられた玉タンク装置1は、タンク部本体10(又は10’)自体の位置調節が行われた上で、支持土台40がビス等で固定されることにより、設置台2に取り付けられる。なお前記各構成要素を組み立てる順序は任意である。また玉タンク装置1の分解は組立と逆の手順で行えば良い。この玉タンク装置1においては各部品が独立しているため、各部品のメンテナンスや部品交換を容易に行うことができる。
なお各部品は、図示の如く、係合部がある方よりも被係合部がある方が長く、即ち前後の奥行きにおいて内部支持脚20よりもタンク部本体10(又は10’)の方が長く、左右の幅において外部支持脚30よりも支持土台40の方が長く構成されていれば良く、他の寸法は任意である。
[2.玉タンク装置の作用]
次に、本発明に係る玉タンク装置1の作用について説明する。なお、以下においては、まずタンク部本体10(又は10’)の位置調節について説明し、次に排出玉の受入及び返却について説明を行う。
[2−1.タンク部本体の位置調節]
まずタンク部本体10(又は10’)の左右方向の位置調節は、主に図14(補助的に図15)に示すように、支持土台40に対して外部支持脚30を移動し、左右被係合部に対して左右係合部の係合位置を変更することにより行われる。具体的には、作業者が、外部支持脚30を左方向又は右方向に押動すると、挟持片32aが外向きに撓んで突起42aから外れ、挟持片32aが接続片42bを挟持しながら外部支持脚30が移動し、挟持片32aが所望の位置にある突起42aに嵌合する。
即ち嵌合凹部32が間欠状に突設された複数の嵌合凸部42に嵌合することにより、外部支持脚30が支持土台40に固定されるので、段階的に、左右方向の位置調節が行われる。またこのとき、左右案内爪31が左右案内溝41の内部を摺動しながら外部支持脚30が移動するので、所定の範囲内で、他の方向にぶれることなく、左右方向の位置調節が行われる。さらに作業者が、左右方向移動用の目盛60及び目印61を見ながら移動作業を行うことにより、タンク部本体10(又は10’)の取付位置を把握しながら位置調節が行われる。
またタンク部本体10(又は10’)の上下方向の位置調節は、主に図15(補助的に図16)に示すように、外部支持脚30に対して内部支持脚20を移動し、上下被係合部に対して上下係合部の係合位置を変更することにより行われる。具体的には、作業者が、幅狭部23bを摘んで左右の可撓片20cを内向きに撓ませると(仮想線参照)、幅広部23aが幅広溝33aから外れ、内部支持脚20を上方向又は下方向に移動すると、幅狭部23bが幅狭溝33bの内部を摺動しながら内部支持脚20が移動し、所望の位置で幅狭部23bの摘みを放すと、左右の可撓片20cが元位置に復帰して(実線参照)、幅広部23aが幅広溝33aに係合する。
即ち突出状態にある上下係合案内爪23の幅広部23aが上下係合案内溝33の幅広溝33aに係合することにより、内部支持脚20が外部支持脚30に固定されるので、段階的に、上下方向の位置調節が行われる。またこのとき、上下係合案内爪23が上下係合案内溝33の内部を摺動しながら内部支持脚20が移動するので、所定の範囲内で、他の方向にぶれることなく、上下方向の位置調節が行われる。さらに作業者が、上下方向移動用の目盛70及び目印71を見ながら移動作業を行うことにより、タンク部本体10(又は10’)の取付位置を把握しながら位置調節が行われる。
さらにタンク部本体10(又は10’)の前後方向の位置調節は、主に図16(補助的に図14)に示すように、内部支持脚20に対してタンク部本体10(又は10’)を移動し、前後係合部に対して前後被係合部の係合位置を変更することにより行われる。具体的には、作業者が、タンク部本体10(又は10’)を前方向又は後方向に押動すると、可撓片20bが内向きに撓んで係合爪22がラック12の歯から外れ、係合爪22がラック12の歯に順次係合しながらタンク部本体10(又は10’)が移動し、係合爪22が所望の位置にあるラック12の歯に係合する。
即ち係合爪22が鋸歯状のラック12の歯に係合しながらタンク部本体10(又は10’)が移動するので、段階的に、前後方向の位置調節が行われる。なおラック12の歯が等辺山形状に形成されてなるので、前後いずれの方向にも容易にタンク部本体10(又は10’)を位置調節できる。またこのとき、前後案内爪21が前後案内溝11の内部を摺動しながらタンク部本体10(又は10’)が移動するので、所定の範囲内で、他の方向にぶれることなく、前後方向の位置調節が行われる。さらに作業者が、前後方向移動用の目盛80及び目印81を見ながら移動作業を行うことにより、タンク部本体10(又は10’)の取付位置を把握しながら位置調節が行われる。
このような操作により、作業者は、玉タンク装置1を設置台2に最初に取り付けたり、設置台に取り付けられていたパチンコ機3を異なるメーカーのものに交換する場合に、図14乃至図16に示すように、タンク部本体10(又は10’)自体を最大で仮想線の位置まで移動可能であり、玉排出口4の位置に合わせて左右方向,上下方向,及び前後方向の三方向をそれぞれ独立して容易に位置調節できる。このとき目盛60,70,80及び目印61,71,81に基づいて(見ながら,触れながら等)作業を行えば、所望の取付位置を容易かつ正確に把握できる。
[2−2.排出玉の受入及び返却]
上記の如く、タンク部本体10(又は10’)自体の位置が調節され、また図1に示すように、設置台2に取り付けられた玉タンク装置1においては、パチンコ機3の玉排出口4から落下排出されるパチンコ玉(即ち排出玉)がタンク部本体10(又は10’)により受け入れられる。ここでタンク部本体10(又は10’)の内部底面は、タンク部本体10(又は10’)における端部から中央部に向かう方向及び後部から前部に向かう方向に皿状に下り傾斜しているので、受入部10aに受け入れられたパチンコ玉は自重によって転動し、切欠部10bに向けてスムーズに誘導される。
ここで図7に示すように、タンク部本体10を備える玉タンク装置1で右側返却用の玉返却口13Rが選択されている場合には、切欠部10bから流下されたパチンコ玉は、玉返却部14の前壁及び後壁に規制されながら、玉誘導部材15の傾斜部15b上を自重によって転動して玉整列部材53の部位に誘導され、後述する玉整列部材53の作用によって一列に整列されて、玉返却口13Rから返却される。なお選択されていない左側返却用の玉返却口13Lに向かう方向は、起立部15aによって閉鎖されているので、切欠部10bから流下されたパチンコ玉が該玉返却口13Lに向かうことはない。また図6に示すように、パチンコ玉に付着しているゴミは、支持部15cの隙間及びゴミ落とし口14bを通過して落下する。
また図8に示すように、タンク部本体10を備える玉タンク装置1で左側返却用の玉返却口13Lが選択されている場合には、切欠部10bから流下されたパチンコ玉は、玉返却部14の前壁及び後壁に規制されながら、玉誘導部材15の傾斜部15b上を自重によって転動して玉整列部材53の部位に誘導され、後述する玉整列部材53の作用によって一列に整列されて、玉返却口13Lから返却される。なお選択されていない右側返却用の玉返却口13Rに向かう方向は、起立部15aによって閉鎖されているので、切欠部10bから流下されたパチンコ玉が該玉返却口13Rに向かうことはない。また図6に示すように、パチンコ玉に付着しているゴミは、支持部15cの隙間及びゴミ落とし口14bを通過して落下する。
一方、図10に示すように、変形例に係るタンク部本体10’を備える玉タンク装置で玉返却口13’の位置として右側が選択されている場合には、切欠部10bから流下されたパチンコ玉は、右側返却用の玉受入領域14R’から受け入れられ、右側返却用の誘導路15R’の底板上を自重によって転動して玉整列部材53の部位に誘導され、後述する玉整列部材53の作用によって一列に整列されて、右側返却用の玉返却口13R’から返却される。なお、この場合には、図10(a)に示すように、仕切壁14a’よりも手前側に位置する左側返却用の玉受入領域14L’,誘導路15L’,及び玉返却口13L’は使用されない。またパチンコ玉に付着しているゴミは、ゴミ落とし口(図示外)を通過して落下する。
また図11に示すように、変形例に係るタンク部本体10’を備える玉タンク装置で玉返却口13’の位置として左側が選択されている場合には、切欠部10bから流下されたパチンコ玉は、左側返却用の玉受入領域14L’から受け入れられ、左側返却用の誘導路15L’の底板上を自重によって転動して玉整列部材53の部位に誘導され、後述する玉整列部材53の作用によって一列に整列されて、左側返却用の玉返却口13L’から返却される。なお、この場合には、図11(a)に示すように、仕切壁14a’よりも手前側に位置する右側返却用の玉受入領域14R’,誘導路15R’,及び玉返却口13R’は使用されない。またパチンコ玉に付着しているゴミは、ゴミ落とし口(図示外)を通過して落下する。
次に図6に基づいて、前記各場合における玉整列部材53の作用について説明する。この玉整列部材53の部位におけるパチンコ玉は、平面視では一列に整列されているが、立面視では上下二段に積み上がった状態の場合がある。このような場合において、先頭のパチンコ玉は、実線で表す突出状態にある玉整列部材53の鉤状部53cにより抑止されるが、パチンコ玉の数が増えて押圧力が強まると、抑止されていた先頭のパチンコ玉は、玉整列部材53を仮想線で表す退避状態に揺動して、玉整列部材53の部位を通過する。なお玉整列部材53は、先頭のパチンコ玉が通過した後に、重り53bにより退避状態から再び突出状態に戻り、次のパチンコ玉を抑止する。従ってパチンコ玉は、出退する玉整列部材53の作用により、一つずつ玉整列部材53の部位を通過するので、立面視でも一列に整列される。
そして図7,図8,図10,又は図11に示すように、一列に整列されたパチンコ玉は、選択された玉返却口13又は13’から返却され、返却されたパチンコ玉が玉計数機50により計数され、計数されたパチンコ玉が蛇腹状の玉返却管51から返却されて玉回収樋5により回収される。ここで玉返却管51と玉回収樋5との隙間Sは十分に広く取られているので、パチンコ玉を詰まらせることなく返却できる。
[3.玉タンク装置の変形例]
最後に、本発明に係る玉タンク装置1の変形例について説明する。
まず上記の実施の形態では、支持土台40が外部支持脚30を支持し、内部支持脚20がタンク部本体10(又は10’)を支持する例について説明したが、本発明はこれに限られず、これとは逆に支持土台が内部支持脚を支持し、外部支持脚がタンク部本体を支持するように構成することも可能である。また各部品に設けられる係合部と被係合部が逆であるように構成することも可能である。
また上記の実施の形態では、支持土台40の下面が水平に形成されている例について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば設置台2が前後方向に傾斜している場合において、タンク部本体10(又は10’)が水平に保たれるように、支持土台40の下面を設置台2の傾斜に合わせて前後方向に傾斜して構成することも可能である。
また上記の実施の形態では、玉誘導手段が玉返却部14に対して着脱可能とされた玉誘導部材15である例について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば玉誘導手段が玉返却部に対して水平軸周りに回動可能とされた回動部材であり、該回動部材を回動させることや、また磁力によってパチンコ玉を誘導することで、排出玉が返却される玉返却口13を決定するように構成することも可能である。
また上記の実施の形態では、玉返却シュート14’において、右側返却用の玉返却口13R’及び誘導路15R’と、左側返却用の玉返却口13L’及び誘導路15L’とが、それぞれ別々に設けられている例について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば右側返却用の誘導路15R’と左側返却用の誘導路15L’が、玉受入領域14R’,14L’から先端部側に向けて暫く進んだ地点で一体の通路となり、該一体の通路の先端部側に一つの玉返却口が備えられるように構成することも可能である。換言すれば、玉返却シュート14’においては、必ずしも複数の玉返却口や複数の誘導路が設けられていなくても良い。
また上記の実施の形態では、玉返却シュート14’において、仕切壁14a’を境に、右側返却用の玉受入領域14R’に連通する誘導路15R’と、左側返却用の玉受入領域14L’に連通する誘導路15L’とが、それぞれ別々に設けられている例について説明したが、本発明はこれに限られず、右側返却用の玉受入領域14R’と左側返却用の玉受入領域14L’の双方に連通する仕切壁14a’のない一条の通路を設け、例えば右側返却用の玉受入領域14R’から排出玉が受け入れられる場合には、左側返却用の玉受入領域14L’から排出玉が飛び出さないように該玉受入領域14L’を閉塞部材により閉塞し、逆に左側返却用の玉受入領域14L’から排出玉が受け入れられる場合には、右側返却用の玉受入領域14R’から排出玉が飛び出さないように該玉受入領域14R’を閉塞部材により閉塞するように構成することも可能である。この場合において、左側閉塞用の閉塞部材と右側閉塞用の閉塞部材は共通のものである。
また上記の実施の形態では、計数機取付部材52又は52’が取付部に対して着脱されて取付位置が変更される例について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば計数機取付部材52又は52’が長手方向にスライド移動されて取付位置が変更されるように構成することも可能である。
また上記の実施の形態では、排出玉が返却される方向が右側又は左側であり、複数が「二」である例について説明したが、本発明はこれに限られず、排出玉が他の方向に返却されるように構成することも可能である。この場合には、複数は「二以上」となる。
なお遊技機はパチンコ玉を遊技媒体とするパチンコ機3には限られず、玉を用いて遊技を行う遊技機であれば良く、例えばアレンジボールやピンボール等の弾球遊技機でも良く、パチンコ玉を用いて遊技を行うスロットマシン(いわゆるパチロット)等でも良い。