以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤92の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤92の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは図1における上下方向を、幅方向(左右方向)とは図1における左右方向をいうものとする。また、時計回り、反時計回り等の方向は、前側(正面)から見たときの方向をいうものとする。
まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は、額縁形状の機枠90を有し、この機枠90には前面枠91が回動自在に支持されている。前面枠91には、前側から遊技盤92を視認可能とする透明な板が設けられている。
遊技盤92は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠91に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤92には、発射装置94の操作によって発射された遊技球(本発明における遊技媒体に相当する)を遊技領域922に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール923が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域922には、表示装置93、始動入賞口924、第一大入賞口925、第二大入賞口926、アウト口927などが設けられている。表示装置93は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置93の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置93の表示画面は、遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能である。
また、遊技領域922には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域922を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置94(ハンドル)を操作することにより遊技領域922に向けて遊技球を発射する。遊技領域922を流下する遊技球が、始動入賞口924や大入賞口926、927等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
本実施形態では、遊技盤92の後方に始動入賞口924に入賞した遊技球が進入する共通路10が設けられている。上下方向に沿って設けられる共通路10の末端(下端)には、二股状に分岐する第一分岐路11および第二分岐路12が設けられている。第一分岐路11および第二分岐路12は円弧形状の通路である。始動入賞口924から共通路10に進入した遊技球は、その自重によって共通路10内を流下し、振分装置2によって第一分岐路11または第二分岐路12に振り分けられる。これら共通路10、第一分岐路11、第二分岐路12、および振分装置2から構成される振分ユニット1uが、始動入賞口924の下方に設けられている。
以下、図2〜図13を参照して振分装置2の構成について詳細に説明する。本実施形態にかかる振分装置2は、振分部材20と、第一可動部材21と、第二可動部材22と、回転部材23と、規制手段25と、均し部材26と、を備える。これら各部材は、ケース30内に収容されている。ケース30は、上記共通路10、第一分岐路11、および第二分岐路12が形成される前側領域と、振分装置2を構成する各部材が収容される後側領域とに区画されている。
振分部材20は、共通路10を流下した遊技球が接触する部材である。当該遊技球が接触する平板状の部分(以下、遊技球接触部201と称する)は、共通路10と第一分岐路11および第二分岐路12の境界に位置する。具体的には、遊技球接触部201は、幅方向の大きさが共通路10よりも大きく形成されており、通常状態(後述するように傾斜していない状態)ではその平面方向が上下方向に直交するように位置する。また、遊技球接触部201には、平板状の部分の後端面から後方に向かって突出する被ガイド突起が形成されている。平板状の部分の後端面における幅方向中央、左端、および右端から後方に向かって突出した、三つの被ガイド突起(以下、中央のものを中被ガイド突起201cと、左端のものを左被ガイド突起201lと、右端のものを右被ガイド突起201rと称する)が設けられている。各被ガイド突起は、前側領域と後側領域を仕切る仕切板31に形成された三つのガイド溝のそれぞれに通されている(以下、中央に位置するものを中ガイド溝311cと、左に位置するものを左ガイド溝311lと、右に位置するものを右ガイド溝311rと称する)。各ガイド溝は上下方向に長い貫通孔である。各ガイド溝のうち、中ガイド溝311cの幅は、中被ガイド突起201cの幅よりわずかに大きい程度(両者の間にわずかな隙間が生ずる程度)である。これに対し、左ガイド溝311lおよび右ガイド溝311rの幅は、左被ガイド突起201lおよび右被ガイド突起201rの幅よりかなり大きい(両者の間に大きな隙間が生ずる)。
上記三つの被ガイド突起のうち、中被ガイド突起201cは前後方向に延びる軸(以下、連結軸27と称する)の内側に挿入されている。具体的には、連結軸27に形成された筒状部271の内側に中被ガイド突起201cが挿入されている。中被ガイド突起201cは、当該筒の内側で回転することができる。当該連結軸27の後端には右方向に延びる支持部272が接続されており、当該支持部272がケース30の後側領域に設けられた支持板32(本実施形態ではケース30と一体に成形される)に回転自在に支持されている。支持部272には引っ張りばねである振分用付勢部材202の一端が引っ掛けられる第一引掛部273が形成されている。振分用付勢部材202の他端は支持板32に形成された第二引掛部321に引っ掛けられている。
遊技球接触部201は、第一分岐路11側が低くなるように、または、第二分岐路12側が低くなるように傾斜した状態に変位可能である。上述したように、中ガイド溝311cの幅は、中ガイド突起の幅よりわずかに大きい程度であり、左ガイド溝311lおよび右ガイド溝311rの幅は、左被ガイド突起201lおよび右被ガイド突起201rの幅よりかなり大きいから、遊技球接触部201は、中ガイド溝311c内を通る中被ガイド突起201cの位置を基準として、上記いずれかの側に傾斜した状態となることが可能である。遊技球接触部201が通常状態(水平な状態)にあるときには、共通路10と第一分岐路11、共通路10と第二分岐路12との間には、遊技球が通過可能な隙間が存在しない。これに対し、第一分岐路11側が低くなるように遊技球接触部201が傾斜する(以下、振分部材20(遊技球接触部201)の当該状態を第一状態と称する)と、共通路10と第一分岐路11との間に遊技球が通過可能な隙間が生ずる。同様に、第二分岐路12側が低くなるように遊技球接触部201が傾斜する(以下、振分部材20(遊技球接触部201)の当該状態を第二状態と称する)と、共通路10と第二分岐路12との間に遊技球が通過可能な隙間が生ずる。
このように遊技球接触部201が傾斜した状態となると、その分中ガイド溝311c内を通る中被ガイド突起201cの位置が下方に移動する。第一状態となった場合の下方への移動量と第二状態となった場合の下方への移動量は同じである。中被ガイド突起201cは連結軸27の内側に回転自在に挿入されているため、中被ガイド突起201cが移動すると連結軸27に接続されている支持部272が支持板32に対して支持された箇所を中心として回動する。支持部272が回動すると、振分用付勢部材202が伸びた状態となる。つまり、振分用付勢部材202は、振分部材20(遊技球接触部201)が第一状態または第二状態となったとき、遊技球接触部201を通常状態(水平な状態)に戻す方向に付勢する。
第一可動部材21は、第一分岐路11を通過する遊技球によって動く部材である。第一可動部材21は、一方側の端部に第一分岐路11内に位置する第一接触突起部211を有する。第一接触突起部211は、仕切板31に形成された第一円弧溝312に通されている。第一円弧溝312は、第一分岐路11に沿って形成された円弧状の溝である。第一可動部材21は、その他方側端部で仕切板31に対し回転自在に支持されている。第一可動部材21が、仕切板31に支持された箇所を中心として回転すると、第一接触突起部211は第一円弧溝312に沿って第一分岐路11内を移動することになる。すなわち、第一可動部材21が原位置に位置した状態で、第一分岐路11を遊技球が通過すると、この遊技球に第一接触突起部211が押されて第一可動部材21が所定量時計回り(前方から見たときの回転方向をいうものとする)に回転する。この第一可動部材21は、ねじりコイルばねである第一可動用付勢部材212によって反時計回り(前方から見たときの回転方向をいうものとする)に回転する方向(原位置方向)に付勢されている。そのため、第一分岐路11を通過する遊技球によって第一可動部材21が時計回りに所定量回転し、遊技球と第一接触突起部211の接触が解消された(遊技球が第一分岐路11を通過した)後、第一可動用付勢部材212によって反時計回りに回転し、原位置に戻る。
第一可動部材21には、連繋突起213および第一可動突起214が形成されている。連繋突起213は、連繋部材28に形成された長孔281内に入り込んでいる。連繋部材28は、仕切板31に対し回転自在に支持されている。この連繋部材28の回転中心は、詳細を後述する回転部材23と同じである。連繋部材28の後面には、先鋭で細長い部材である押圧部材282が回動自在に接続されている。押圧部材282は、押圧用付勢部材283によって反時計回りに(先端が詳細を後述する回転部材23に押しつけられる方向に)付勢されている。第一可動部材21が時計回りに回転すると、連繋突起213が連繋部材28の長孔281の内壁面を押し、連繋部材28が時計回りに回転する。この連繋部材28とともに押圧部材282も移動する。第一可動突起214は、第一分岐路11の遊技球の通過によって第一可動部材21が時計回りに回動したとき、詳細を後述する第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触する。
第二可動部材22は、第二分岐路12を通過する遊技球によって動く部材である。第二可動部材22は、一方側の端部に第二分岐路12内に位置する第二接触突起部221を有する。第二接触突起部221は、仕切板31に形成された第二円弧溝313に通されている。第二円弧溝313は、第二分岐路12に沿って形成された円弧状の溝である。第二可動部材22は、その他方側端部で仕切板31に対し回転自在に支持されている。第二可動部材22が、仕切板31に支持された箇所を中心として回転すると、第二接触突起部221は第二円弧溝313に沿って第二分岐路12内を移動することになる。すなわち、第二可動部材22が原位置に位置した状態で、第二分岐路12を遊技球が通過すると、この遊技球に第二接触突起部221が押されて第二可動部材22が所定量反時計回りに回転する。この第二可動部材22は、ねじりコイルばねである第二可動用付勢部材222によって時計回りに回転する方向(原位置方向)に付勢されている。そのため、第二分岐路12を通過する遊技球によって第二可動部材22が反時計回りに所定量回転し、遊技球と第二接触突起部221の接触が解消された(遊技球が第二分岐路12を通過した)後、第二可動用付勢部材222によって時計回りに回転し、原位置に戻る。
第二可動部材22には、第二可動突起223が形成されている。第二可動突起223は、第二分岐路12の遊技球の通過によって第二可動部材22が反時計回りに回動したとき、詳細を後述する第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の左側内壁面に接触する。
回転部材23は、仕切板31に対し回転自在に支持された円板形状の部材である。回転部材23には、被係合部231およびラチェット部232が形成されている。本実施形態では、被係合部231は、回転部材23の外側に形成された、径方向内側に窪んだ凹部である。本実施形態では、回転部材23に一つの被係合部231が形成されている。
回転部材23には、周方向に沿って前方に突出した縁部が形成されている。この縁部の内側にラチェット部232が形成されている。ラチェット部232は、周方向に沿って断面V字状に窪んだ凹部である係合溝233が形成された部分である。係合溝233は周方向に沿って等間隔に形成されている。本実施形態の回転部材23には、20箇所の係合溝233が等間隔に形成されている。係合溝233には、押圧部材282の先端が嵌り込んでいる。また、本実施形態では、押圧部材282の先端が嵌まり込む係合溝233とは別の係合溝233に、回転部材23に接続された係止部284の先端が嵌まり込んでいる。係止部284は、係止部用付勢部材285によって、ラチェット部232(係合溝233)側に付勢されている。
規制手段25は、第一規制部251および第二規制部252を備える。第一規制部251は、第二規制部252に対して回転自在に支持された部材であり、係合部2511および被規制突起2513を有する。係合部2511は、その先端部分の前後方向位置が回転部材23における被係合部231が形成された部分と一致する。第一規制部251は、第二規制部252に対して回転自在に支持された箇所(軸状部分)の外側に設けられたねじりコイルばねである規制用付勢部材253によって、係合部2511が回転部材23に近づく方向に付勢されている。
本実施形態では、回転部材23が一回転(360度回転)する度に、係合部2511が被係合部231に係合することが可能となる。回転部材23がそれ以外の位置に位置するときには、係合部2511が被係合部231に係合することができない。つまり、規制用付勢部材253によって第一規制部251は回転部材23に近づく方向に付勢されているから、係合部2511が被係合部231に係合することができないときには、第一規制部251(規制手段25)の係合部2511は回転部材23の中心から相対的に遠い第一位置に位置する。一方、係合部2511が被係合部231に係合することができるときには、係合部2511の先端が凹部の底面に接触した状態となり、当該係合部2511は回転部材23の中心から相対的に近い第二位置に位置する。
被規制突起2513は、第一規制部251における係合部2511が形成された側の反対側(回転中心の一方側に係合部2511が形成され、他方側に被規制突起2513が形成される)に形成されている。被規制突起2513の先端は、第二規制部252の規制突起に接触することが可能である。
第二規制部252は、「コ」の字状に形成された部分2523、および当該「コ」の字状に形成された部分2523と直交する前後方向に延びる平板状の部分を有する。平板状の部分には、上方に向かって突出する規制突起が回転自在に支持されている。規制突起は、平板状の部分の右側および左側に二つ支持されており、その幅は上記振分部材20の右被ガイド突起201rと左被ガイド突起201lの間隔より若干小さい。また、右側の規制突起(以下、右規制突起2521と称する)は、左側の規制突起(以下、左規制突起2522と称する)より後方に長い。これにより、右規制突起2521は上記第一規制部251の被規制突起2513に接触することが可能となっている。
この第二規制部252は、上記支持板32に対し、幅方向にスライド可能な状態で接続されている。また、第二規制部252の右規制突起2521は、規制用付勢部材253によって第一規制部251に対して近づく方向に付勢されている。すなわち、規制用付勢部材253によって、第一規制部251と第二規制部252とは互いに近づく方向に付勢されているため、被規制突起2513と右規制突起2521は互いに押し合うようにして接触している。当該押し合う力は、双方とも規制用付勢部材253の作用によるものであるため釣り合っている。第一可動部材21が時計回りに回動すると、第一可動突起214は上記「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触する。これにより、第二規制部252は右方向にスライドする。第二可動部材22が時計回りに回動すると、第二可動突起223は上記「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触する。これにより、第二規制部252は左方向にスライドする。
均し部材26は、共通路10内に進入した遊技球が、一つずつ振分部材20(遊技球接触部201)に向かい、先に共通路10内に進入した遊技球が振分部材20に到達してから、後に共通路10内に進入した遊技球が振分部材20に到達するまでの間隔(時間)が、所定の間隔以上となるようにするための部材である。詳細を後述するように、共通路10内に進入した遊技球は振分装置2によって第一分岐路11または第二分岐路12に振り分けされることとなるが、連続的に遊技球が振分部材20に向かうこととなると、先に共通路10内に進入した遊技球の振分が完了しないうちに(振分部材20が原位置に戻らないうちに)、後に共通路10内に進入した遊技球が振分部材20に向かうことになるため、当該後に共通路10内に進入した遊技球の振分を正確に行うことができないからである。
図9〜図13に示すように、均し部材26は、幅方向に沿って設けられた支持軸に対して回転自在に支持された部材であって、その回転方向(周方向)に等間隔に設けられた複数の区画板261と、区画板261の幅方向両側に設けられたギア部262と、を有する。本実施形態では、均し部材26の後方に回転規制部材263が設けられている。回転規制部材263は、幅方向に沿って設けられた支持軸に対して回転自在に支持された部材であって、上方には前方に突出した引掛爪2631が形成されており、下方には錘2632が固定されている。引掛爪2631は、均し部材26のギア部262に係合している。
均し部材26は、複数の区画板261のうちのいずれかが共通路10内に必ず位置するように構成される。そのため、共通路10内に遊技球が進入すると、共通路10内に位置する区画板261に接触する(図9参照)。この遊技球の重みにより、均し部材26は回転する。均し部材26が回転すると、ギア部262に係合していた引掛爪2631が一旦外れる。すなわち、回転規制部材263はその上端が後方に向かうように回転(回動)する(図10参照)。このように回転規制部材263が回転すると、錘2632を含めた回転規制部材263の重心の位置が変化し、回転規制部材263はその上端が前方に向かうように回転(回動)する。すなわち、再び引掛爪2631がギア部262に係合し、均し部材26の回転が停止する(図11参照)。つまり、均し部材26は、共通路10内に進入した遊技球によって回転するが、即座に回転規制部材263によってその回転が規制される。これが繰り返され続け(図12参照)、最終的に遊技球は共通路10内における均し部材26が設けられた箇所を通過する(図13参照)。このように、回転規制部材263によって規制されながら回転する均し部材26が設けられているため、続けざまに共通路10内に遊技球が進入したとしても、先に進入した遊技球とそれに続いて進入した遊技球との間隔は、所定の間隔以上となる。なお、当該間隔は、先に進入した遊技球が振分装置2によって第一分岐路11または第二分岐路12に振分され、振分装置2(振分部材20)が原位置に戻るまでの間隔以上となるように設定される。
このような構成を備える振分装置2の動作(作用)について、一部上記説明と重複するが以下詳細に説明する。
始動入賞口924から共通路10内に進入した遊技球は、上記均し部材26(および回転規制部材263)によって、所定の間隔以上で振分装置2(振分部材20)に向かうように設定される。
振分装置2は、共通路10内における均し部材26(区画板261)が位置する箇所を通過した遊技球を、第一分岐路11および第二分岐路12のいずれか一方に振り分ける。本実施形態における振分装置2は、以下で説明するように、共通路10に進入した遊技球の大部分は第一分岐路11を通過するものの、20回に1回の割合(19:1)で遊技球が第二分岐路12を通過するように設定されたものである。なお、このような振分機構は、例えば、始動入賞口924から共通路10内に進入した遊技球が、第一分岐路11に振り分けられる場合と、第二分岐路12に振り分けられる場合とで、大当たりとなったときに遊技者が得られる利益(獲得出玉の期待値)が異なるように設定する、といったような遊技に用いることが可能である。
共通路10に進入した遊技球は、遊技球接触部201上に落下する。通常時(遊技球が第二分岐路12に振り分けられるとき以外のとき)には、第二規制部252は左側に位置する(図4、図6〜図8参照)。そのため、遊技球接触部201の左被ガイド突起201lの直下には、第二規制部252の左規制突起2522が位置している。これに対し、遊技球接触部201の右被ガイド突起201rの直下には、第二規制部252の右規制突起2521が位置していない。そのため、遊技球接触部201上に遊技球が落下したとき、遊技球接触部201は第一分岐路11側が低くなるように傾斜した第一状態となる(左規制突起2522の作用により、遊技球接触部201がその第二分岐路12側を低くするように傾斜することはない)。これにより、共通路10と第一分岐路11が繋がり、遊技球は第一分岐路11内を流下する。
第一分岐路11内を流下する遊技球は、第一分岐路11内に位置する第一可動部材21の第一接触突起部211に接触する。これにより、第一接触突起部211は第一円弧溝312内をスライドするように押し下げられる。これにより、第一可動部材21が時計回りに回転する。第一可動部材21が時計回りに回転すると、第一可動部材21の連繋突起213が連繋部材28の長孔281の内壁面を押し、連繋部材28が時計回り(右側)に回転する。この連繋部材28とともに押圧部材282も移動する。押圧部材282の先端は、回転部材23の係合溝233に嵌り込んでいる。押圧部材282が右側に移動すると、係合溝233の壁面が押圧部材282に押されることで、回転部材23が時計回りに回転する。押圧部材282は、押圧用付勢部材283によって係合溝233が形成された壁面に押しつけられた状態にあるから、右側に移動する押圧部材282によって回転部材23が回転する。
遊技球が第一分岐路11内における第一接触突起部211が設けられた箇所を通過すると、振分用付勢部材202の作用によって第一接触突起部211が原位置(上端)に戻る。第一接触突起部211(第一可動部材21)が原位置に戻ることに伴い、時計回り(右側)に回転した連繋部材28が原位置に戻る(反時計回り(左側)に回転する)。この連繋部材28とともに押圧部材282も左側に移動する。回転部材23が所定量回転した後、押圧部材282が左側に移動することとなるから、押圧部材282の先端は回転部材23が所定量回転する前に嵌り込んでいた係合溝233の隣の係合溝233(回転部材23の回転方向を前とすると、一つ後側の係合溝233)に嵌り込んだ状態となる。また、本実施形態では、回転部材23が回転すると、係止部284が係止部用付勢部材285の付勢力に抗して内側に変位し、係合溝233から外れる。回転部材23が所定量回転すると、係止部284は回転する前に引っ掛かっていた係合溝233の隣の係合溝233に嵌まり込んだ状態となるため、遊技球が第一分岐路11を通過することなく回転部材23が回転してしまうことが阻止される。このように、遊技球が第一分岐路11を通過する度に、回転部材23が所定量(本実施形態では18度)回転する。
また、第一分岐路11内を通過する遊技球によって第一接触突起部211が押し下げられると、第一可動突起214が第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触し、第二規制部252が右方向にスライドする。第二規制部252が右方向にスライドすると、第二規制部252の右規制突起2521と第一規制部251の被規制突起2513が離れる。第一規制部251は、規制用付勢部材253によって、係合部2511が回転部材23に近づく方向に付勢されているため、第二規制部252の規制突起が右側に移動することで、当該規制突起による規制が解除され、当該付勢された方向に回転しようとする。しかし、係合部2511が被係合部231に係合することができないときには、第一規制部251は当該付勢された方向に回転することはできない。つまり、第一規制部251は回転せず、規制用付勢部材253の作用によって右方向にスライドした第二規制部252が元の位置に戻り、第二規制部252の右規制突起2521と第一規制部251の被規制突起2513が再び接触した状態になる。この状態にあるときに共通路10内に遊技球が進入したときには、遊技球は第一分岐路11を通過する。
これに対し、回転部材23が回転していくと、回転部材23が一回転する(360度回転する)度に、被係合部231が所定位置に位置する。具体的には、図4に示した状態で遊技球が第一分岐路11を通過したとき、第一分岐路11内を通過する遊技球によって第一接触突起部211が押し下げられ、第一可動突起214が第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触し、第二規制部252が右方向にスライドして第二規制部252の右規制突起2521と第一規制部251の被規制突起2513が離れると、規制用付勢部材253の付勢力によって、係合部2511が被係合部231に係合する。つまり、第一規制部251は、その被規制突起2513が第二規制部252の右規制突起2521(第一分岐路11の遊技球の通過によって右方向にスライドしたもの)に近づく方向に回転(時計回りに回転)し、被規制突起2513と右規制突起2521が接触した状態となる。第一規制部251と第二規制部252はともに規制用付勢部材253によって付勢されたものであるから、被規制突起2513と右規制突起2521が接触した状態は維持される。
このように、第二規制部252がスライドして右側に位置した状態では、遊技球接触部201の右被ガイド突起201rの直下には、第二規制部252の右規制突起2521が位置している。これに対し、遊技球接触部201の左被ガイド突起201lの直下には、第二規制部252の左規制突起2522が位置していない(図5参照)。そのため、当該状態で共通路10内に遊技球が進入し、当該遊技球が遊技球接触部201上に落下すると、遊技球接触部201は第二分岐路12側が低くなるように傾斜した第二状態となる(右規制突起2521の作用により、遊技球接触部201の第一分岐路11側が低くなるように傾斜することはない)。これにより、共通路10と第二分岐路12が繋がり、遊技球は第二分岐路12内を流下する。つまり、第一分岐路11を通過する遊技球によって回転部材23がだんだんと回転していき、共通路10内への遊技球の進入20回に1回の割合で被係合部231に係合部2511が係合し、共通路10内に進入した遊技球が、振分装置2によって第二分岐路12に誘導されることとなる。
第二分岐路12に遊技球が誘導されると、第二分岐路12内を通過する遊技球によって第二接触突起部221が押し下げられる。これにより、第二可動突起223が第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の左側内壁面に接触し、第二規制部252が左方向にスライドする。第二規制部252が左方向にスライドすると、第二規制部252の右規制突起2521が第一規制部251の被規制突起2513を左方向に押す。これにより、第一規制部251が反時計回りに回転し、被係合部231に係合していた係合部2511が、被係合部231から外れる(係合部2511が径方向外側に移動する)(図6参照)。
第二分岐路12に遊技球が誘導された後、共通路10内に進入した遊技球は、第一分岐路11に誘導される。第二分岐路12を通過した遊技球により第二規制部252が左方向にスライドし、遊技球接触部201の左被ガイド突起201lの直下に第二規制部252の左規制突起2522が位置し、遊技球接触部201の右被ガイド突起201rの直下に第二規制部252の右規制突起2521が位置していないからである。そして、第一分岐路11を通過する遊技球により第一接触突起部211が押し下げられ、回転部材23が所定量(18度)回転する(図7および図8参照)。
このように、第二分岐路12に遊技球が誘導されると、第二分岐路12内を通過する遊技球によって第二接触突起部221が押し下げられ、第二規制部252が左方向にスライドするとともに係合部2511と被係合部231の係合が解消される。つまり、第二規制部252を左方向にスライドさせることで次の遊技球が第一分岐路11に誘導されるようにするとともに、係合部2511と被係合部231の係合を解消することで、回転部材23の回転が第一規制部251によって妨げられないようにする。このようにして、本実施形態における振分装置2は、共通路10内に進入した遊技球を「第一分岐路:第二分岐路=19:1」で振り分ける。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本実施形態における振分装置2は、共通路10内に進入した遊技球を「第一分岐路:第二分岐路=19:1」で振り分けるものであることを説明したが、遊技球が第一分岐路11を通過したときの回転部材23の回転角度等を調整することにより、当該振分比を任意に変更することが可能である。具体的には、「第一分岐路:第二分岐路=X:1(Xは2以上の自然数)」とすることが可能である。
また、上記実施形態における振分装置2は、回転部材23に一の被係合部231が設けられた構成であることを説明したが、回転部材23には複数の被係合部231が設けられていてもよい。回転部材23に設けられる被係合部231の数を増やすほど、第二分岐路12への振り分け割合が大きくなる。そして、複数の被係合部231が回転部材23の周方向に等間隔に設けられた構成とすることにより、振り分け割合が常に一定である(常に「第一分岐路:第二分岐路=X:1」である)構成としてもよいし、複数の被係合部231が回転部材23の周方向に等間隔に設けられていない構成とすることにより、振分割合が常に一定でない構成としてもよい。例えば、図14に示すように、回転部材23に第一被係合部2311、第二被係合部2312、第三被係合部2313という三つの被係合部が設けられ、各被係合部同士の間隔が異なる場合、その間隔に応じて第二分岐路12に遊技球が誘導されることになる。つまり、X1回遊技球が第一分岐路11に誘導された後第二分岐路12に誘導され、X2回遊技球が第一分岐路11に誘導された後第二分岐路12に誘導され、X3回遊技球が第一分岐路11に誘導された後第二分岐路12に誘導される(X1、X2、X3は各被係合部同士の間隔によって決まる)、ことを順に繰り返す振分態様になる。このように、被係合部の数を増やしたり、その間隔を調整したりすることにより、振分割合を適宜変更することが可能である。
また、被係合部231の大きさを大きくし、第二分岐路12に遊技球が誘導された後も被係合部231に対する係合部2511の係合状態が維持されるようにし、その後に第二分岐路12に遊技球が誘導されたときに係合部231に対する係合部2511の係合状態が解除される構成とすれば、連続的に第二分岐路12に遊技球が誘導される構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では規制手段25を構成する第一規制部251と第二規制部252は別体としているが、一体的に構成することも可能である。つまり、係合部2511を有し、当該係合部2511が被係合部231に係合していないときには第一分岐路11に遊技球を誘導し、係合部2511が被係合部231に係合しているときには遊技球を第二分岐路12に誘導する構成であって、第二分岐路12を遊技球が通過することにより係合部2511が被係合部231の係合が解除されるものであれば、その構成は変更可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段の例を以下に記載する。
手段1にかかる遊技機は、遊技領域に設けられた入口から進入した遊技媒体を流下させる共通路と、この共通路から分岐する第一分岐路および第二分岐路と、前記共通路を流下した遊技媒体を前記第一分岐路または前記第二分岐路に振り分ける振分装置と、を備えた遊技機において、前記振分装置は、前記共通路を流下した遊技媒体が接触する位置に設けられ、遊技媒体が通過可能となるように前記共通路と前記第一分岐路を繋ぐ第一状態、または前記共通路と前記第二分岐路を繋ぐ第二状態に変位可能な振分部材と、前記第一分岐路を通過する遊技媒体によって動く第一可動部材と、前記第一分岐路における一回の遊技媒体の通過による前記第一可動部材の動きによってある一定角度回転する回転部材と、前記振分部材を前記第二状態よりも前記第一状態に変位しやすい状態とする第一位置と、前記振分部材を前記第一状態よりも前記第二状態に変位しやすい状態とする第二位置との間を移動可能な規制手段と、を備え、前記回転部材には、その回転方向における位置が所定位置であるときに前記規制手段が有する係合部に係合可能な被係合部が設けられるとともに、前記回転部材が前記所定位置に位置せず、前記係合部が前記被係合部に係合していないときには、前記規制手段が前記第一位置に位置することにより、前記共通路に進入した遊技媒体が前記振分部材によって前記第一分岐路に誘導される一方、前記回転部材が前記所定位置に位置し、前記係合部が前記被係合部に係合しているときには、前記規制手段が前記第二位置に位置することにより、前記共通路に進入した遊技媒体が前記振分部材によって前記第二分岐路に誘導されることを特徴とする。
手段2にかかる遊技機は、手段1にかかる遊技機において、前記振分部材は、前記第一状態である前記第一分岐路側に向かって下方に傾斜した状態、または前記第二状態である前記第二分岐路側に向かって下方に傾斜した状態に変位可能であり、前記規制手段は、前記係合部が設けられた第一規制部、および前記振分部材の下方で第一分岐路側位置と第二分岐路側位置との間を移動可能に設けられた第二規制部を有し、前記回転部材が前記所定位置に位置せず、前記係合部が前記被係合部に係合していないときには、前記第一規制部によって前記第二規制部が前記第二分岐路側位置に位置することで、前記振分部材に遊技媒体が接触したときに前記振分部材が前記第二分岐路に向かって下方に傾斜した前記第二状態とならずに前記第一分岐路に向かって下方に傾斜した前記第一状態となる一方、前記回転部材が前記所定位置に位置し、前記係合部が前記被係合部に係合しているときには、前記第一規制部によって前記第二規制部が前記第一分岐路側位置に位置することで、前記振分部材に遊技媒体が接触したときに前記振分部材が前記第一分岐路に向かって下方に傾斜した前記第一状態とならずに前記第二分岐路に向かって下方に傾斜した前記第二状態となるように構成されていることを特徴とする。
手段3にかかる遊技機は、上記手段1または手段2に記載の遊技機において、前記回転部材には、複数の被係合部が設けられていることを特徴とする。
手段4にかかる遊技機は、上記手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機において、周方向に等間隔に設けられた複数の区画板のいずれかが前記共通路内に位置するように回転可能に支持された均し部材を備え、前記共通路内に進入した一の遊技媒体のみが前記共通路内に位置する区画板に接触して前記均し部材が回転するようにすることで、先に前記共通路内に進入した遊技球が前記振分部材に到達してから、後に前記共通路内に進入した遊技球が前記振分部材に到達するまでの間隔が、所定の間隔以上となるように設定されていることを特徴とする。
手段5にかかる遊技機は、上記手段2から手段4のいずれかに記載の遊技機において、前記第一規制部と前記第二規制部は別体として設けられるとともに、付勢部材によって互いに接触する方向に付勢されており、前記第二規制部は、前記第一分岐路における遊技媒体の通過による前記第一可動部材の動きによって前記第一規制部から離れる側に移動するように構成され、前記第一分岐路における遊技媒体の通過による前記第一可動部材の動きによって前記回転部材がある一定角度回転し、前記回転部材が前記所定位置に位置したときには、前記第一可動部材の動きによって前記第二規制部が移動することで、前記第一規制部が前記付勢部材により当該移動する第二規制部に接触した状態を維持しつつ当該第二規制部とともに移動して、前記係合部が前記被係合部に係合するように構成されていることを特徴とする。
手段6にかかる遊技機は、上記手段2から手段5のいずれかに記載の遊技機において、前記第二分岐路を通過する遊技媒体によって動く第二可動部材を備え、前記第一規制部と前記第二規制部は、付勢部材によって互いに接触する方向に付勢されており、前記第二規制部は、前記第二分岐路における遊技媒体の通過による前記第二可動部材の動きによって前記第一規制部側に移動するように構成され、前記回転部材がともに前記所定位置に位置し前記係合部が前記被係合部に係合した状態で、前記第二分岐路における遊技媒体の通過によって前記第二可動部材が動いたときには、当該第二可動部材の動きによって移動する前記第二規制部に押されて、前記係合部と前記被係合部の係合状態が解消する方向に前記第一規制部が移動するように構成されていることを特徴とする。
手段1にかかる遊技機によれば、回転部材が所定位置に位置していないときには、共通路に進入した遊技媒体が第一分岐路に誘導される一方、回転部材が所定位置に位置しているときには、共通路に進入した遊技媒体が第二分岐路に誘導されるものとなる。つまり、回転部材の大きさや被係合部の位置を調整することで、第一分岐路に誘導される遊技媒体と第二分岐路に誘導される遊技媒体の比率を任意に設定することが可能となる。特に、1:1以外の比率に設定する場合には最適な構成である。
手段2にかかる遊技機のように、係合部が被係合部に係合しているか否かによって変位する第二規制部を設けることにより、共通路に進入した遊技媒体をどちらか一方の分岐路に誘導する構成を簡易に構築することが可能である。
手段3にかかる遊技機によれば、遊技媒体をどちらか一方の分岐路に振り分ける振分割合が常に一定でない構成とすることもできる。
手段4にかかる遊技機によれば、共通路内に進入した遊技媒体が所定の間隔で振分部材に到達する構成となる。つまり、遊技媒体が連続的に振分部材に到達することにより、振分部材による振り分けに異常が生じてしまうこと(一方の分岐路に誘導されるべき遊技媒体が他方の分岐路に誘導されてしまうこと等)を抑制することが可能となる。
手段5にかかる遊技機によれば、回転部材が所定位置に位置したとき、係合部が被係合部に係合する構成を簡易に構築することが可能となる。
手段6にかかる遊技機によれば、係合部が被係合部に係合した状態で遊技媒体が第二分岐路を通過したとき、係合部と被係合部の係合状態が解消する構成を簡易に構築することが可能となる。