JP2011080662A - 熱交換器およびその熱交換器を備えた物品貯蔵装置 - Google Patents

熱交換器およびその熱交換器を備えた物品貯蔵装置 Download PDF

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Abstract

【課題】冷凍空調機器等に用いられる熱交換器に関し、高性能で、かつ除霜効率の高い冷却器を提供する。
【解決手段】多数平行に並べられ、その間を気流が通過するプレートフィン3と、プレートフィン3に略直角に貫通され、内部を流体が流動する冷媒管2を具備し、冷媒管2は、気流に対して千鳥状に配設され、プレートフィン3は、冷媒管2に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型熱交換器において、冷媒管2から該プレートフィン3の端縁への熱伝導を遮る貫通孔3cを設けたものである。これにより、熱交換器1の高性能化をはかり、また、除霜を効率良く行うことが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、完全独立フィンチューブ型の熱交換器、およびその熱交換器を具備した冷蔵庫等の物品貯蔵装置に関するものである。
近年、地球資源の有効活用、家庭用電化製品における消費電力(量)の抑制等の観点から、冷凍機器に用いられる熱交換器においては、小型化かつ高効率化や耐着霜性能の向上、さらには除霜効率の向上、あるいは耐埃性の向上等がより一層求められている。
一般的に、冷蔵庫等には、境界層前縁効果によって高い熱交換性能を達成し易いことから、列ごとに分断された一枚のプレートフィンに、一本もしくは二本の冷媒管を貫通した所謂完全独立フィンチューブ型の熱交換器が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、同様に境界層前縁効果が期待できる構成の所謂スパイラルフィンチューブ型の熱交換器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
図10は、上記特許文献1に記載される完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図である。
同図の如く、完全独立フィンチューブ型の熱交換器51は、列ごとに分断されたプレートフィン52に、一本の冷媒管53を貫通させ、その冷媒管53を蛇行上に曲げ加工した構成となっている。
したがって、矢印方向の気流と交差するプレートフィン52の端縁面積が多いことから、境界層前縁効果が大きく、熱交換器51の性能を向上することができる。
図11は、上記特許文献2に記載されるスパイラルフィンチューブ型熱交換器の正面図である。
同図の如く、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器61は、一般的に冷媒管62に帯状のフィン63を旋回しながら巻きつけ、その後冷媒管62を蛇行状に曲げ加工した構成となっている。
したがって、冷媒管62に巻きつけられたフィン63は、冷媒管62の軸方向から見ると小径の円形となり、加えて冷媒管62の曲げ径も小さくできることから、コンパクトかつフレシキブルな形状に形成することができ、省スペースの設置が可能となる。
また、冷媒管62に巻きつけるフィン63が円形となるため、列または段方向において隣り合うフィン63の隙間を十分に確保することができ、塵埃の堆積をし難くして耐埃性に優れた構成とすることもできる。
特開昭60−240987号公報 特開2004−12119号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示される完全独立フィンチューブ型の熱交換器51は、プレートフィン52が矩形であることに伴って、周縁における冷媒管53からの距離が一様ではない構成となっている。
その結果、この熱交換器51を冷却器として用いた場合、境界層前縁効果によりフィン端面(端縁部)に多く着霜が生じる。
しかも、その着霜は、風上側から発生し、相互のプレートフィン52の通風間隔を遮断するように成長するため、目詰まり状態となって通風が阻害され、その結果、風下側での熱交換作用が得られなくなる。
かかることから、風下側では着霜が少なく、熱交換作用が得られる状態にありながら、除霜運転を行なわざるを得ない事態が伴っていた。
その除霜運転は、除霜ヒータ等によって冷媒管53を加熱し、冷媒管53からの伝熱効果および冷媒管53内の冷媒の対流効果(以下、この対流効果を、サーモサイフォン効果と称す)によってプレートフィン52を加熱し、着霜を溶融する動作であるが、上述の如くプレートフィン52の冷媒管53を中心とする周縁距離が一様でないため、溶融斑が生じ易く、再度冷却運転を行った場合に、冷却能力が発揮できず、消費電力(量)が多くなることに加え、除霜運転を行なう頻度が高いものであった。
また、除霜時間を延長することにより、上述の除霜を確実に行うことはできるが、当然除霜ヒータの運転が長くなることに伴い、冷凍機器(除霜ヒータ等)の消費電力(量)が上がり、また、冷却運転の中断時間が長くなり、被冷却物の温度が上昇して貯蔵物品の品質を損なう可能性が生じるという課題を有していた。
さらに、上記特許文献2に開示されるスパイラルフィンチューブ型の熱交換器61は、フィン63の端縁が冷媒管62に近く、かつフィン63の端縁と冷媒管62との距離が略一様であることから、冷媒管63からの伝熱効果、およびサーモサイフォン効果による除霜効果は高いものの、列方向および段方向に隣り合うフィン63の間隔が広いことに起因して、冷媒管63を中心に異常に着霜することが多く、また、フィン表面積が、フィンチューブ型熱交換器と比べて小さいため、高性能化が困難ということから、冷却器に適さないという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、冷却器として使用した場合の熱交換性能の向上と除霜性能の向上をはかり、冷凍機器の消費電力(量)を大幅に低減できる熱交換器を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の熱交換器は、完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、冷媒管を気流に対して千鳥状に配設し、さらにプレートフィンに、前記冷媒管から該プレートフィンにおける通風方向と略平行関係にある端縁への熱伝導を遮る貫通孔を設けたものである。
かかる構成とすることにより、貫通孔からプレートフィン端部の間への着霜を抑制し、冷媒管周縁に着霜が生じ、プレートフィン間が目詰まり状態に近くなった場合においても、前記貫通孔からプレートフィン端部の間での通風を可能にし、通風方向における後段のフィンプレートとの熱交換を可能にして熱交換作用の継続と、除霜運転の抑制をはかるこ
とができる。
また、本発明の熱交換器は、前記完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンにおける気流と交差するフィン端縁を、前記気流と略直角に交差する線を基軸に気流方向において距離が異なる略波形状としたものである。
これによって、フィンの境界層前縁効果と気流の乱流促進をはかり、空気側熱伝達率を向上することができる。したがって、熱交換器の性能を向上し、この熱交換器を搭載した冷凍機器の消費電力(量)を低減することができる。
また、冷媒管からの伝熱効果、およびサーモサイフォン効果による除霜性能(特性)を向上することが可能となり、除霜時における冷凍機器の消費電力(量)を低減することができる。
さらに、本発明の物品貯蔵装置は、物品貯蔵室を冷却する冷凍サイクルの蒸発器に、上記完全独立フィンチューブ型の熱交換器を用いたものである。
かかることにより、冷却性能の向上をはかり、物品貯蔵装置における消費電力(量)の低減をはかることができる。
本発明の熱交換器は、冷媒管を気流に対して千鳥状に配設し、気流の乱流促進をはかることにより、空気側総括熱伝達率を向上させ、また、プレートフィンに、前記冷媒管から該プレートフィンにおける通風方向と略平行関係にある端縁への熱伝導を遮る貫通孔を設けたことにより、熱交換作用の継続と、除霜運転の抑制をはかり、熱交換性能の向上と除霜性能の向上をはかることができる。
さらに、本発明の熱交換器は、前記プレートフィンの端縁を、略波形状とすることにより、フィンの境界層前縁効果を生じる面積を大きくし、熱交換器の性能を向上することができる。
また、本発明の物品貯蔵装置は、前記熱交換器を蒸発器として搭載したことにより、冷却能力の向上と除霜性能の向上を可能にし、消費電力(量)を低減することができる。
本発明の実施の形態1における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図 同実施の形態1における熱交換器の図1のA−A線による断面図 同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図 同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの図3のB−B線による断面図 本発明の実施の形態2における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図 同実施の形態2における熱交換器の図5のC−C線による断面図 同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図 同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの図7のD−D線による断面図 本発明の実施の形態3における物品貯蔵装置の構成を示す模式図 従来例を示す完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図 従来例を示すスパイラルフィンチューブ型熱交換器の正面図
請求項1に記載の発明は、多数平行に並べられ、その間を気流が通過する矩形のプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンに、前記冷媒管から該プレートフィンにおける通風方向と略平行関係にある端縁への熱伝導を遮る貫通孔を設けたものである。
かかる構成とすることにより、冷媒管の千鳥配置に伴って熱交換器を流れる気流を乱し、その乱流効果とプレートフィンの境界層前縁効果により、熱交換性能を向上することができる。
また、前記冷媒管から該プレートフィンにおける気流(通風)方向と略平行関係にある端縁への熱伝導を遮る貫通孔を設けたことにより、前記貫通孔からプレートフィン端部に亘る部分への着霜を抑制し、冷媒管周縁に着霜が生じ、プレートフィン間が目詰まり状態に近くなった場合においても、前記貫通孔からプレートフィン端部の間において通風を可能にし、気流方向における後段のフィンプレートとの熱交換を可能にして熱交換作用の継続化と、除霜運転の頻度の抑制をはかることができる。
請求項2に記載の発明は、多数平行に並べられ、その間を気流が通過するプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンにおける気流と交差するフィン端縁を、前記気流と略直角に交差する線を基軸に気流方向において距離が異なる略波形状としたものである。
かかる構成とすることにより、冷媒管の千鳥配置に伴って熱交換器を流れる気流を乱し、その乱流効果と端縁を略波形状に形成したプレートフィンの境界層前縁効果により、熱交換性能を向上することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記冷媒管と前記プレートフィン端縁間の距離を略一定としたものである。
かかることにより、冷媒管の熱や、その内部を流れる冷媒の熱を、前記プレートフィンの周縁へ略一様に伝達することができ、熱伝達の斑を抑制することができる。その結果、この熱交換器を冷却器として使用した場合の除霜時において、加熱された冷媒管の熱、およびその冷媒管内を流れる冷媒のサーモサイフォン効果の熱を、プレートフィンの周端縁へ略一様に伝達することができ、その結果、効率的に除霜ができ、除霜時間の短縮化をはかることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記プレートフィンを、気流方向に複数配置し、該プレートフィンの略波形状を形成する凹部端縁に、後段の該プレートフィンの略波形状を形成する凸部端縁を突合せて配置したものである。
かかることにより、気流方向におけるプレートフィンの間隔を合理的に確保することができ、熱交換器をコンパクトに構成することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の発明において、前記プレートフィンに、前記冷媒管から該プレートフィンの端縁への熱伝導を遮る貫通孔を設けたものである。
かかることにより、前記貫通孔がプレートフィンの熱伝導を部分的に遮断するとともに、熱交換器の着霜状態においてバイパス風路を形成することができる。その結果、耐着霜性能を向上し、また除霜回数を減少させることができる。したがって、この熱交換器を搭載した機器の消費電力(量)を低減することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1または5に記載の発明において、前記貫通孔が気流方向において上端側と下端側が交互に位置する如く前記プレートフィンを配置したものである。
かかることにより、前記バイパス風路が熱交換器の上下端にバランスよく形成され、前記耐着霜性能を改善することができ、連続冷却運転時間を延長することができる。
請求項7に記載の発明は、断熱空間で形成される物品貯蔵室と、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を、配管を介して環状に連結した冷凍サイクルと、前記蒸発器による冷却気流を前記物品貯蔵室内に送り込む送風機を具備した貯蔵装置において、前記蒸発器を、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器とした物品貯蔵装置である。
かかることにより、除霜回数を少なくして安定した熱交換作用を得ることができ、効率のよい冷却運転を行うことができる。これに伴い、消費電力(量)を抑制した物品貯蔵装置を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図である。図2は、同実施の形態1における熱交換器の図1のA−A線による断面図である。図3は、同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図である。図4は、同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの図3のB−B線による断面図である。
図1乃至図4において、完全独立フィンチューブ型の熱交換器1は、熱伝導率の高いアルミニウムや銅を素材とする冷媒管2と、同様の材料からなる多数のプレートフィン3によって構成されている。
プレートフィン3は、同一形状、同一大きさの矩形(長方形)に形成され、矢印Xで示す気流方向(列方向)に分断されて配置されている。このプレートフィン3には、冷媒管2が貫通する孔3aと、この孔3aの周囲で軸方向に突出するフィンカラー部3b(図4)と、プレートフィン3の短辺(気流方向)と略平行に延びる貫通孔3cが設けられている。
貫通孔3cは、孔3aが図3に示す如く、プレートフィン3の若干下方寄りの偏った位置に設けられていることに伴い、冷媒管2から最も距離を有する側に形成され、冷媒管2からの熱伝導を遮るもので、スリット状またはルーバー状であってもよい。また、直線状に限るものではなく、若干湾曲した形状であってもよい。
そして、プレートフィン3における気流方向の分断配置は、該プレートフィン3を上下交互に反転させた配置構成としている。
その結果、気流方向における冷媒管2の配置関係は、気流方向に連続して重ならない千
鳥状の配置となり、貫通孔3cも気流方向において上下交互に位置した配置となっている。
上記構成からなる熱交換器1の組み立ては、周知の工程手順で組み立てることができるため、説明を省略する。
次に、上記構成の熱交換器1を、冷却器として使用した場合について説明する。
まず、冷却運転により気流は、矢印Xで示す方向に流れ、プレートフィン3と接触して熱交換が始まる。このとき、プレートフィン3の縁3dによって境界層前縁効果が得られ、熱交換作用が促進されて冷却効果を得ることができる。
また、本実施の形態1においては、冷媒管2が気流に対して千鳥状に配設されていることから、冷媒管2に当たる気流は、矢印Yで示す如く円形断面をもつ冷媒管2によって分断され、風下の冷媒管2に当たるため、さらに効率の良い熱交換が可能となる。
次に、冷却運転時が継続されると熱交換器1の全体に着霜が生じ、特に冷媒管2の周縁および気流が当たるプレートフィン3の縁3dに多く着霜する。これに伴い、気流Xにおける前段側からプレートフィン3間の目詰まりが生じ、徐々に後段への通風(量)が抑制される傾向となる。
しかしながら、本実施の形態1においては、プレートフィン3における冷媒管2から最も距離を有する側に貫通孔3cを形成しているため、この貫通孔3cの熱遮断作用によってプレートフィン3における冷媒管2から遠方にある部分は熱交換が少なく、着霜し難くなっている。
その結果、冷媒管2や冷媒管2近傍の縁3dが着霜し、プレートフィン3間の風路が目詰まりした場合でも、貫通孔3cよりも遠方にある部分が、着霜量の少ないことに起因してパイパス風路となり、後段のフィン3への通風(量)が確保され、着霜時の性能劣化を抑制することができ、熱交換作用の継続化と、耐着霜性能(特性)を改善して除霜回数を少なくすることができる。
特に、貫通孔3cが気流方向において上下交互に位置していることに伴い、前述のバイパス回路は、熱交換器1の上下にバランスよく形成されるため、偏った着霜に伴う除霜運転の早期化を抑制することが期待できる。
また、貫通孔3cの幅(熱伝導方向)の寸法(面積)を小さくした場合、高い初期冷却性能が得られる反面、耐着霜性能(特性)が低く、また、逆に貫通孔3cの幅寸法(面積)を大きくすると、初期冷却性能が低い反面、良好な耐着霜性能(特性)を得ることができる。
かかることは、貫通孔3cにおいて、長さ、あるいは冷媒管2からの距離を変えることによっても近似した特性が得られる。
したがって、貫通孔3cの大きさ(幅・長さ)や位置を調節、設定することにより、着霜時に形成されるバイパス風路の状態をコントロールすることができることから、搭載する機器に適合した熱交換器を構成することができ、冷凍機器の運転効率の改善を可能にして消費電力(量)の低減化をはかることができる。
また、さらに着霜が進み、除霜ヒータ等(図示せず)によって、例えば、熱交換器1の
下部から冷媒管2やプレートフィン3を加熱し、霜を溶融する場合についても、その加熱に伴う熱伝導、サーモサイフォン効果(冷媒の対流効果)、および加熱された気流の対流等によって各部の除霜が行われる。
なお、除霜ヒータから遠方になるにしたがい、熱交換器の熱升(熱容量)が大きいこと、また霜の潜熱が大きくなること、および除霜初期は対流がほとんどないということから、サーモサイフォン作用が占める除霜効果は大きい。
さらに、着霜した縁3dは、除霜ヒータによって暖められた冷媒管2や、その内部を流れる加熱された冷媒によるサーモサイフォン効果によって、熱が冷媒管2からプレートフィン3の縁3dへと伝わり、除霜を行う。このとき、貫通孔3cが、プレートフィン3の最も距離を有する端部への熱伝導を抑制するため、冷媒管2周辺の加熱作用を高めることができ、除霜時間の短縮化が期待できる。
以上のように本実施の形態1における完全独立フィンチューブ型の熱交換器1は、高性能化を可能にし、かつ効果的な除霜を効率良く行うことができるものである。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図である。図6は、同実施の形態2における熱交換器の図1のC−C線による断面図である。図7は、同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図である。図8は、同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの図7のD−D線による断面図である。
図5乃至図8において、完全独立フィンチューブ型の熱交換器11は、熱伝導率の高いアルミニウムや銅を素材とする冷媒管12と、同様の材料からなる多数のプレートフィン13によって構成されている。
プレートフィン13は、同一形状、同一大きさのもので、矢印Xで示す気流方向(列方向)に分断されて配置されている。このプレートフィン13には、冷媒管12が貫通する孔13aと、この孔13aの周囲で軸方向に突出するフィンカラー部13b(図8)と、孔13aを中心とする円弧状の貫通孔13cが設けられている。
貫通孔13cは、孔13aが図7に示す如く、プレートフィン13の若干下方寄りの偏った位置に設けられていることに伴い、冷媒管12から最も距離を有する側に形成され、冷媒管12からの熱伝導を遮るもので、スリット状またはルーバー状であってもよい。また、貫通孔13cは、円弧状に限るものではなく、気流方向と略平行に延びる直線状であってもよい。
さらに、プレートフィン13は、気流方向に対して略直角関係にある縁13dが略波形(以下、波形と称す)に形成されている。
この波形は、孔13aを中心とする複数の円13eを基調とした形状であるため、矢印Xで示す気流と略直角に交差する線Lを基軸に、気流方向における距離a1、a2が円弧を描きながら異なる形状となっている。したがって、縁13dには、線Lに最も近い距離a1の凸部端縁13fと、線Lから最も離れた距離a2の凹部端縁13gを交互に有し、また各孔13aの中心Oから縁13dの輪郭までの距離rは、(各円13eが交わる部分を除いては)一定の寸法となっている。
そして、プレートフィン3における気流方向の分断配置は、図6に示す如く該プレート
フィン13を上下交互に反転させ、縁13dにおける凸部端縁13fに、隣のプレートフィン13における縁13dの凹部端縁13gを所定の距離を介して突合せるように配置した構成となっている。
その結果、気流方向における冷媒管12の配置関係は、気流方向に連続して重ならない千鳥状の配置となり、貫通孔13cも気流方向において上下交互に位置した配置となっている。さらに、前述の凸部端縁13fと凹部端縁13gの突合せ配置により、気流方向における寸法を小さくし、熱交換器11のコンパクト化をはかっている。
上記構成からなる熱交換器11の組み立ては、周知の工程手順で組み立てることができるため、説明を省略する。
次に、上記構成の熱交換器11を、冷却器として使用した場合について説明する。
まず、冷却運転により気流は、矢印Xで示す方向に流れ、プレートフィン13と接触して熱交換が始まる。このとき、プレートフィン13の縁13dは、凸部端縁13fと凹部端縁13gが交互に連続する波形状に形成されているため、従来の縁が直線的なプレートフィンに比べて気流との接触部(面積)が多く形成されていることから、境界層前縁効果が大きくなり、熱交換作用が促進されて冷却能力を増大させることができる。
また、冷媒管12に当たる気流は、矢印Yで示す如く円形断面をもつ冷媒管12にて分断されることから、冷媒管12の気流の当たる反対面である冷媒管後部には気流の止水域αが形成される。
しかしながら、本実施の形態2においては、冷媒管12が気流に対して千鳥状に配設されていることから、前述の分断された気流が風下の冷媒管2に当たるため、さらに効率の良い熱交換が可能となる。
次に、冷却運転時が継続されると熱交換器11の全体に着霜が生じ、特に冷媒管12の周縁および気流が当たるプレートフィン13のフィン端部、すなわち波形状の縁13dに多く着霜する。これに伴い、気流Xにおける前段側からプレートフィン3間の目詰まりが生じ、徐々に後段への通風(量)が抑制される傾向となる。
しかしながら、本実施の形態2においては、プレートフィン13における冷媒管12から最も距離を有する側に貫通孔13cを形成しているため、この貫通孔13cの熱遮断作用によってプレートフィン13における冷媒管12から遠方にある部分は熱交換が少なく、着霜し難くなっている。
その結果、冷媒管12や冷媒管12近傍の波形状の縁13dが着霜し、プレートフィン13間の風路が目詰まりした場合でも、貫通孔13cよりも遠方にある部分が、着霜量の少ないことに起因してパイパス風路となり、後段のフィン13への通風(量)を確保する。
その結果、着霜時の性能劣化を抑制することができ、熱交換作用の継続化と、耐着霜性能(特性)を改善して除霜回数を少なくすることができる。
特に、貫通孔13cが気流方向において上下交互に位置していることに伴い、前述のバイパス回路は、熱交換器11の上下にバランスよく形成されるため、偏った着霜に伴う除霜運転の早期化を抑制することが期待できる。
また、貫通孔13cの幅(熱伝導方向)の寸法(面積)を小さくした場合、高い初期冷却性能が得られる反面、耐着霜性能(特性)が低く、また、逆に貫通孔13cの幅寸法(面積)を大きくすると、初期冷却性能が低い反面、良好な耐着霜性能(特性)を得ることができる。
かかることは、貫通孔13cにおいて、長さ、あるいは冷媒管12からの距離を変えることによっても近似した特性が得られる。
したがって、貫通孔13cの大きさ(幅・長さ)や位置を調節、設定することにより、着霜時に形成されるバイパス風路の状態をコントロールすることができることから、搭載する機器に適合した熱交換器を構成することができ、冷凍機器の運転効率の改善を可能にして消費電力(量)の低減化をはかることができる。
また、さらに着霜が進み、除霜ヒータ等(図示せず)によって、例えば、熱交換器1の下部から冷媒管12やプレートフィン13を加熱し、霜を溶融する場合についても、その加熱に伴う熱伝導、サーモサイフォン効果(冷媒の対流効果)、および加熱された気流の対流等によって各部の除霜が行われる。
なお、除霜ヒータから遠方になるにしたがい、熱交換器の熱升(熱容量)が大きいこと、また霜の潜熱が大きくなること、および除霜初期は対流がほとんどないということから、サーモサイフォン作用が占める除霜効果は大きい。
さらに、着霜した波形状の縁13dは、除霜ヒータによって暖められた冷媒管12や、その内部を流れる加熱された冷媒によるサーモサイフォン効果によって、熱が冷媒管12からプレートフィン13の波形状の縁13dへと伝わっていくが、このとき本実施の形態2においては、プレートフィン13における冷媒管12から縁13dまでの距離rを略一様としているため、波形状の縁13dを略一様に加熱することができ、縁13dにおける除霜を略一様に行って除霜斑を抑制することができる。さらに、貫通孔13cが、プレートフィン13の端部への熱伝導を抑制するため、冷媒管12周辺の加熱作用を高めることができ、効率的な除霜作用に伴う除霜時間の短縮が期待できる。
なお、プレートフィン13における縁13dの波形状は、冷媒管12からの距離を略一様として除霜斑を少なくする点では、円を基調とする形状が望ましいが、フィンプレス金型の都合やプレートフィン13の強度等によっては、三角形、あるいは多角形で形成される直線的な波形としてもよい。
以上のように本実施の形態2における完全独立フィンチューブ型の熱交換器11は、高性能化を可能にし、かつ効果的な除霜を効率良く行うことができるものである。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における物品貯蔵装置の構成を示す模式図である。なお、ここでは、実施の形態2の熱交換器11を蒸発器(冷却器)に採用した構成として説明する。
図9において、貯蔵装置本体21は、内部に、前面が開口し、断熱材によって囲われた第一貯蔵室22aと第二貯蔵室22bを具備し、前面に、第一貯蔵室22aおよび第二貯蔵室22bに対応して前記開口を開閉する断熱性を有する第一扉23aおよび第二扉23bを具備している。
また、第一貯蔵室22aと第二貯蔵室22bは、連絡通路24a、24bを介して連通
している。
さらに、貯蔵装置本体21の内部には、圧縮機25、凝縮器26、減圧装置27、熱交換器(蒸発器)11を配管により環状に連結した冷凍サイクルが設けられており、熱交換器11は、第一貯蔵室22aに配置されている。また、第一貯蔵室22aには、熱交換器11で冷却された冷気を、矢印aで示す如く積極的に第一貯蔵室22a内を循環させる送風機28が設けられている。第二貯蔵室22bは、矢印bで示す如く連絡通路24a、24bを介して流入した第一貯蔵室22aの一部の冷気の循環によって冷却される。
したがって、貯蔵装置21は、実施の形態2で説明したように、熱交換器11を、着霜が生じても部分的に着霜の生じ難い構成としているため、直ちに除霜運転に入ることを抑制し、除霜回数の少ない冷却運転を行い、効率のよい冷却運転を行うことができる。これに伴い、消費電力(量)を抑制した物品貯蔵装置を得ることができる。
なお、本実施の形態3においては、蒸発器に実施の形態2の熱交換器11を採用した構成について説明したが、実施の形態1の熱交換器1を採用した構成としても同様の作用効果が期待できる。
以上のように、本発明にかかるフィンチューブ型の熱交換器は、小型化および高性能化が可能であり、除霜効率を向上させて省エネをはかることができるもので、冷蔵庫、自販機などの冷凍機器に広く適用できる。
1 熱交換器
2 冷媒管
3 プレートフィン
3c 貫通孔
11 熱交換器
12 冷媒管
13 プレートフィン
13c 貫通孔
13d 縁
13f 凸部端縁
13g 凹部端縁
21 貯蔵装置本体
22a 第一貯蔵室
22b 第二貯蔵室
23a 第一扉
23b 第二扉
25 圧縮機
26 凝縮器
27 減圧装置
28 送風機

Claims (7)

  1. 多数平行に並べられ、その間を気流が通過する矩形のプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンに、前記冷媒管から該プレートフィンにおける通風方向と略平行関係にある端縁への熱伝導を遮る貫通孔を設けた熱交換器。
  2. 多数平行に並べられ、その間を気流が通過するプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンにおける気流と交差するフィン端縁を、前記気流と略直角に交差する線を基軸に気流方向において距離が異なる略波形状とした熱交換器。
  3. 前記冷媒管と前記プレートフィン端縁間の距離を略一定とした請求項2に記載の熱交換器。
  4. 前記プレートフィンを、気流方向に複数配置し、該プレートフィンの略波形状を形成する凹部端縁に、後段の該プレートフィンの略波形状を形成する凸部端縁を突合せて配置した請求項2または3に記載の熱交換器。
  5. 前記プレートフィンに、前記冷媒管から該プレートフィンの端縁への熱伝導を遮る貫通孔を設けた請求項2から4のいずれか一項に記載の熱交換器。
  6. 前記貫通孔が気流方向において上端側と下端側交互に位置する如く前記プレートフィンを配置した請求項1または5に記載の熱交換器。
  7. 断熱空間で形成される物品貯蔵室と、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を、配管を介して環状に連結した冷凍サイクルと、前記蒸発器による冷却気流を前記物品貯蔵室内に送り込む送風機を具備した貯蔵装置において、前記蒸発器を、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器とした物品貯蔵装置。
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