JP2011163638A - 熱交換器およびその熱交換器を備えた物品貯蔵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍空調機器等に用いられる熱交換器に関し、高性能で、かつ除霜効率の高い冷却器を提供する。
【解決手段】多数平行に並べられ、その間を気流が通過するプレートフィン3と、プレートフィン3に略直角に貫通され、内部を流体が流動する冷媒管2を具備し、冷媒管2は、気流に対して千鳥状に配設され、プレートフィン3は、冷媒管2に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型熱交換器において、前記プレートフィンには、略水平に突出するリブ3hを略垂直に一定間隔で複数個設けたものである。これにより、熱交換器1の高性能化をはかり、また除霜時の残水を防止し除霜回数を低減することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、完全独立フィンチューブ型の熱交換器、およびその熱交換器を具備した冷蔵庫等の物品貯蔵装置に関するものである。
近年、地球資源の有効活用、家庭用電化製品における消費電力(量)の抑制等の観点から、冷凍機器に用いられる熱交換器においては、小型化かつ高効率化や耐着霜性能の向上、さらには除霜効率の向上、あるいは耐埃性の向上等がより一層求められている。
一般的に、冷蔵庫等には、境界層前縁効果によって高い熱交換性能を達成し易いことから、列ごとに分断された一枚のプレートフィンに、一本もしくは二本の冷媒管を貫通した所謂完全独立フィンチューブ型の熱交換器が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、同様に境界層前縁効果が期待できる構成の所謂スパイラルフィンチューブ型の熱交換器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
図12は、上記特許文献1に記載される完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図である。
同図の如く、完全独立フィンチューブ型の熱交換器51は、列ごとに分断されたプレートフィン52に、一本の冷媒管53を貫通させ、その冷媒管53を蛇行上に曲げ加工した構成となっている。
したがって、矢印方向の気流と交差するプレートフィン52の端縁面積が多いことから、境界層前縁効果が大きく、熱交換器51の性能を向上することができる。
図13は、上記特許文献2に記載されるスパイラルフィンチューブ型熱交換器の正面図である。
同図の如く、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器61は、一般的に冷媒管62に帯状のフィン63を旋回しながら巻きつけ、その後冷媒管62を蛇行状に曲げ加工した構成となっている。
したがって、冷媒管62に巻きつけられたフィン63は、冷媒管62の軸方向から見ると小径の円形となり、加えて冷媒管62の曲げ径も小さくできることから、コンパクトかつフレシキブルな形状に形成することができ、省スペースの設置が可能となる。
また、冷媒管62に巻きつけるフィン63が円形となるため、列または段方向において隣り合うフィン63の隙間を十分に確保することができ、塵埃の堆積をし難くして耐埃性に優れた構成とすることもできる。
特開昭60−240987号公報 特開2004−12119号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示される完全独立フィンチューブ型の熱交換器51は、プレートフィン52が矩形であることに伴って、周縁における冷媒管53からの距離が一様ではない構成となっている。
その結果、この熱交換器51を冷却器として用いた場合、境界層前縁効果によりフィン端面(端縁部)に多く着霜が生じる。
しかも、その着霜は、風上側から発生し、相互のプレートフィン52の通風間隔を遮断するように成長するため、目詰まり状態となって通風が阻害され、その結果、風下側での熱交換作用が得られなくなる。
かかることから、風下側では着霜が少なく、熱交換作用が得られる状態にありながら、除霜運転を行なわざるを得ない事態が伴うものであった。
その除霜運転は、除霜ヒータ等によって冷媒管53を加熱し、冷媒管53からの伝熱効果および冷媒管53内の冷媒の対流効果(以下、この対流効果を、サーモサイフォン効果と称す)によってプレートフィン52を加熱し、着霜を溶融する動作であるが、上述の如くプレートフィン52の冷媒管53を中心とする周縁距離が一様でないため、溶融斑が生じ易く、再度冷却運転を行った場合に、冷却能力が発揮できず、消費電力(量)が多くなることに加え、除霜運転を行なう頻度が高いものであった。
また、除霜時間を延長することにより、上述の除霜を確実に行うことはできるが、当然除霜ヒータの運転が長くなることに伴い、冷凍機器(除霜ヒータ等)の消費電力(量)が上がり、また、冷却運転の中断時間が長くなり、被冷却物の温度が上昇して貯蔵物品の品質を損なう可能性が生じるという課題を有していた。
また、除霜運転によって融解された霜はドレン水となり、プレートフィン52の表面を伝って自然落下して下部へ排水される。この時、プレートフィン52はほぼ垂直に設置され、かつフラット形状であるためドレン水は非常に速く流れ落ちる。流れ落ちる速度が速いと流れ落ち初期では連続して繋がって流れている水でも途中で途切れてしまい、取り残されてしまう水が発生するため、除霜運転が終了した時でも、プレートフィン52の表面に島状の孤立した残水が発生しやすい。その結果、冷却運転が再開された後、残水が凍りとなりそこから霜が成長しやすくなることから、短時間で目詰まり状態となり、耐着霜能力が劣化する、また、それに伴い除霜運転回数が多くなることから消費電力(量)が多くなるという問題があった。
なお、島状の孤立した残水を防止するために、プレートフィン52表面にコーティング処理として親水性または撥水性のプレコート処理または塗装処理をするという対策があるが、ともにコスト高くなるという問題がある。
さらに、上記特許文献2に開示されるスパイラルフィンチューブ型の熱交換器61は、フィン63の端縁が冷媒管62に近く、かつフィン63の端縁と冷媒管62との距離が略一様であることから、冷媒管63からの伝熱効果、およびサーモサイフォン効果による除霜効果は高いものの、列方向および段方向に隣り合うフィン63の間隔が広いことに起因して、冷媒管63を中心に異常に着霜することが多く、また、フィン表面積が、フィンチューブ型熱交換器と比べて小さいため、高性能化が困難ということから、冷却器に適さないという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、冷却器として使用した場合の熱交換性能の向上と除霜時の残水を防止し除霜回数を低減をはかり、冷凍機器の消費電力(量)を大幅に低減できる熱交換器を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の熱交換器は、完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、冷媒管を気流に対して千鳥状に配設し、さらに、プレートフィンには、略水平に突出するリブを一定間隔で複数個設け、さらに、前記プレートフィンにおける気流と交差するフィン端縁を、前記気流と略直角に交差する線を基軸に気流方向において距離が異なる略波形状としたものである。
これによって、フィンの境界層前縁効果と気流の乱流促進をはかり、空気側熱伝達率を向上することができる。したがって、熱交換器の性能を向上し、この熱交換器を搭載した冷凍機器の消費電力量を低減することができる。
また、冷媒管からの伝熱効果、およびサーモサイフォン効果による除霜性能(特性)を向上することが可能となり、除霜時の冷凍機器の消費電力量を低減することができる。
さらに、前記リブによって、ドレン水の表面張力を破壊するとともに落下速度を低減することができることから、除霜運転によって融解されたドレン水が途切れて島状の残水になるのを防ぎ、連続的に繋がった状態でドレン水を流すことができる。その結果、目詰まりによる熱交換効率低下や除霜回数増加による消費電力量を低減することができる。
さらに、本発明の物品貯蔵装置は、物品貯蔵室を冷却する冷凍サイクルの蒸発器に、上記完全独立フィンチューブ型の熱交換器を用いたものである。
かかることにより、冷却性能の向上をはかり、物品貯蔵装置における消費電力(量)の低減をはかることができる。
本発明の熱交換器は、冷媒管を気流に対して千鳥状に配設するとともに、プレートフィンにはリブを一定間隔で複数個設けたことにより、除霜運転時の残水を防止させることよって、除霜効率を向上させることができる。また、リブにより気流の乱流促進をはかることによって、空気側総括熱伝達率を向上させることができる。さらに、プレートフィンの端縁を、略波形状とすることにより、フィンの境界層前縁効果を生じる面積を大きくし、熱交換器の性能を向上することができる。
また、本発明の物品貯蔵装置は、前記熱交換器を蒸発器として搭載したことにより、冷却能力の向上と除霜性能の向上を可能にし、消費電力(量)を低減することができる。
本発明の実施の形態1における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図 同実施の形態1における熱交換器の図1のA−A線による断面図 同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図 同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの図3のB−B線による断面図 同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの図3のC−C線による断面図 本発明の実施の形態2における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図 同実施の形態2における熱交換器の図5のD−D線による断面図 同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図 同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの図8のE−E線による断面図 同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの図8のF−F線による断面図 本発明の実施の形態3における物品貯蔵装置の構成を示す模式図 従来例を示す完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図 従来例を示すスパイラルフィンチューブ型熱交換器の正面図
請求項1に記載の発明は、多数平行に並べられ、その間を気流が通過する矩形のプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンには、略水平に突出するリブを略垂直方向に一定間隔で複数個設けたものである。
かかる構成とすることにより、冷媒管の千鳥配置に伴って熱交換器を流れる気流を乱し、その乱流効果とプレートフィンの境界層前縁効果により、熱交換性能を向上することができる。
さらに、前記プレートフィンには、前記プレートフィンには略水平に突出するリブを一定間隔で複数個設けたことにより、一般的なフラットフィンに比べフィンの強度を向上させることができる。その結果、フィン板厚を薄くでき、低コスト化をはかることができる。
また、除霜運転によって融解されたドレン水が表面張力によって途切れて島状の残水になるのを防ぎ、連続的に繋がった状態でドレン水を排出できるため完全に除霜および離水ができることにより、また除霜時の残水を防止し除霜回数を低減することができる。
請求項2に記載の発明は、多数平行に並べられ、その間を気流が通過するプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンには、略水平に突出するリブを略垂直方向に一定間隔で複数個設け、さらに、前記プレートフィンにおける気流と交差するフィン端縁を、前記気流と略直角に交差する線を基軸に気流方向において距離が異なる略波形状としたものである。
かかる構成とすることにより、冷媒管の千鳥配置に伴って熱交換器を流れる気流を乱し、その乱流効果と端縁を略波形状に形成したプレートフィンの境界層前縁効果により、熱交換性能を向上することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記冷媒管と前記プレートフィン端縁間の距離を略一定としたものである。
かかることにより、冷媒管の熱や、その内部を流れる冷媒の熱を、前記プレートフィンの周縁へ略一様に伝達することができ、熱伝達の斑を抑制することができる。その結果、この熱交換器を冷却器として使用した場合の除霜時において、加熱された冷媒管の熱、およびその冷媒管内を流れる冷媒のサーモサイフォン効果の熱を、プレートフィンの周端縁へ略一様に伝達することができ、その結果、効率的に除霜ができ、除霜時間の短縮化をは
かることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記プレートフィンを、気流方向に複数配置し、該プレートフィンの略波形状を形成する凹部端縁に、後段の該プレートフィンの略波形状を形成する凸部端縁を突合せて配置したものである。
かかることにより、気流方向におけるプレートフィンの間隔を合理的に確保することができ、熱交換器をコンパクトに構成することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から2のいずれか一項に記載の発明において、前記リブを、前記プレートフィンの両面に設けたものである。
かかることにより、プレートフィンの表裏の2面ともに、除霜ドレン水が島状となる残水を防止できる。したがって、より除霜回数を低減できることから、この熱交換器を搭載した機器の消費電力(量)を低減することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から2のいずれか一項に記載の発明において、前記リブを、略垂直方向に千鳥状に配置したものである。
かかることにより、前記リブにより除霜ドレン水の流路がバランスよく形成されることからドレン水の水切れ性を向上できる。
請求項7に記載の発明は、断熱空間で形成される物品貯蔵室と、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を、配管を介して環状に連結した冷凍サイクルと、前記蒸発器による冷却気流を前記物品貯蔵室内に送り込む送風機を具備した貯蔵装置において、前記蒸発器を、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器とした物品貯蔵装置である。
かかることにより、除霜回数を少なくして安定した熱交換作用を得ることができ、効率のよい冷却運転を行うことができる。これに伴い、消費電力(量)を抑制した物品貯蔵装置を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図である。図2は、同実施の形態1における熱交換器の図1のA−A線による断面図である。図3は、同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図である。図4は、同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの図3のB−B線による断面図である。図5は、同実施の形態1における熱交換器を構成するプレートフィンの図3のC−C線による断面図である。
図1乃至図5において、完全独立フィンチューブ型の熱交換器1は、熱伝導率の高いアルミニウムや銅を素材とする冷媒管2と、同様の材料からなる多数のプレートフィン3によって構成されている。
プレートフィン3は、同一形状、同一大きさの矩形(長方形)に形成され、矢印Xで示す気流方向(列方向)に分断されて配置されている。このプレートフィン3には、冷媒管2が貫通する孔3aと、この孔3aの周囲で軸方向に突出するフィンカラー部3b(図4)と、プレートフィン3の両面に、金型加工に略水平(気流方向に略直角)かつ、略垂直
(気流方向に略平行)に千鳥状に配置する一定間隔で軸方向に複数個突出したリブ3hが設けられている。
そして、プレートフィン3における気流方向の分断配置は、該プレートフィン3を上下交互に反転させた配置構成としている。
その結果、気流方向における冷媒管2の配置関係は、気流方向に連続して重ならない千鳥状の配置となっている。
上記構成からなる熱交換器1の組み立ては、周知の工程手順で組み立てることができるため、説明を省略する。
次に、上記構成の熱交換器1を、冷却器として使用した場合について説明する。
まず、冷却運転により気流は、矢印Xで示す方向に流れ、プレートフィン3と接触して熱交換が始まる。このとき、プレートフィン3の縁3dによって境界層前縁効果が得られ、熱交換作用が促進されて冷却効果を得ることができる。
また、本実施の形態1においては、冷媒管2が気流に対して千鳥状に配設されていることから、冷媒管2に当たる気流は、矢印Yで示す如く円形断面をもつ冷媒管2によって分断され、風下の冷媒管2に当たるため、さらに効率の良い熱交換が可能となる。
また、冷媒管2に当たる気流は、図2の矢印Yに示す如く円形断面をもつ冷媒管2にて分断され、流れが乱される。そして、冷媒管2を通過した後、再び合流する流れとなることから、冷媒管2の気流の当たる反対面である冷媒管後部には、気流の止水域αが形成される。
さらに、本実施の形態1においては、略水平に突出するリブ3hを千鳥状に略垂直に一定間隔で複数個設けていることから、プレートフィン3の表面近くを通過する気流は、図2の矢印Zで示す如く、プレートフィン3の表面に突出して形成したリブ3hに衝突し、乱流となって冷媒管2の後部の止水域αに回りこむ。したがって、冷媒管2による気流の分断と、リブ3hの乱流に伴い、気流は、止水域αへ多く回り込むことができ、その結果、冷媒管2との熱交換が促進され、冷却能力を増大させることができる。
また、プレートフィン3にはリブ3hを有しているため、従来のフラットなプレートフィンと比べ、フィン強度を向上させることができる。そのため、製造工程や冷凍機器組込工程などにおいて、熱交換器の取扱いによるプレートフィン3の変形等を低減することができる。
また、プレートフィン3の板厚を薄くしても、従来のフラットなプレートフィンと同等の強度を確保することができるため、熱交換器の材料費の低減が可能となることから、製造費の低コスト化をはかることができる。
次に、冷却運転時が継続されると熱交換器1の全体に着霜が生じ、特に冷媒管2の周縁および気流が当たるプレートフィン3の縁3dに多く着霜する。これに伴い、気流Xにおける前段側からプレートフィン3間の目詰まりが生じ、徐々に後段への通風(量)が抑制され傾向となる。
さらに着霜が進み、除霜ヒータ等(図示せず)によって、例えば、熱交換器1の下部から冷媒管2やプレートフィン3を加熱し、霜を溶融する場合についても、その加熱に伴う
熱伝導、サーモサイフォン効果(冷媒の対流効果)、および加熱された気流の対流等によって各部の除霜が行われる。
なお、除霜ヒータから遠方になるにしたがい、熱交換器の熱升(熱容量)が大きいこと、また霜の潜熱が大きくなること、および除霜初期は対流がほとんどないということから、サーモサイフォン作用が占める除霜効果は大きい。
さらに、着霜した縁3dは、除霜ヒータによって暖められた冷媒管2や、その内部を流れる加熱された冷媒によるサーモサイフォン効果によって、熱が冷媒管2からプレートフィン3の縁3dへと伝わり、除霜を行う。
このとき、除霜運転によって融解された霜はドレン水となり、自然落下によりプレートフィン3の表面を伝って下部へ排水されるが、本実施の形態1においては、略水平に突出するリブ3hを一定間隔で複数個設けていることから、リブ3hによって、ドレン水の表面張力が破壊され、図5に示すように想像線Sで示す水玉を形成することなくプレートフィン3の表面に、想像線Tで示すように広がる。さらに、広がったドレン水はプレートフィン3の千鳥状に配置されたリブ3hで囲まれた水路を通って、自重によってゆっくり下部へ流れるようになる。すなわち、除霜され融解されたドレン水はプレートフィン3の表面を、ゆっくりではあるがプレートフィン3の下部端部へ連続して繋がった状態で確実に流れ、その結果、ドレン水が島状に残ることがない。
また、プレートフィン3同士の軸方向の隙間(以下、フィンピッチと称す)が狭い場合、ドレン水の表面張力によって、プレートフィン3同士にブリッジを形成し、残水となることがあるが、ドレン水はプレートフィン3の千鳥状に配置されたリブ3hで囲まれた水路を通り、自重によってゆっくり下部へ流れるようになため、毛細管現象およびそれに伴う誘引作用によってブリッジしているドレン水も排出することができる。
その結果、冷却運転が再開された後、残水が凍り、そこから霜が成長して短時間で目詰まり状態になるのを防止することができる。したがって、熱交換効率低下や除霜回数増加による消費電力量を低減することができる。
ここで、リブ3hの配置は、ドレン水の表面張力を破壊し水玉の形成を防止できるものかつリブ3hによるドレン水の水路を形成できるものであれば直線状に限るものではなく、一部湾曲した形状のものであってもよい。また、リブ3hの断面形状も同様にドレン水の表面張力を破壊し水玉の形成を防止できるものかつリブによるドレン水の水路を形成できるものであれば、略三角に限定せず、略四角または略多角形またはRをつけたものであってもよい。
また、リブ3hの長さ(略水平方向)、リブ3h同士の隙間(略水平方向および略垂直方向)やリブ3hの高さ(軸方向)を調節、設定することにより、ドレン水の落下速度をコントロールすることができることから、搭載する機器の除霜量に適した熱交換器を構成することができ、冷凍機器の運転効率の改善を可能にして消費電力(量)の低減化をはかることができる。
以上のように本実施の形態1における完全独立フィンチューブ型の熱交換器1は、高性能化を可能にし、かつ除霜時の残水を防止し耐着霜性能を向上させるとともに除霜回数を低減できるものである。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における完全独立フィンチューブ型熱交換器の斜視図で
ある。図7は、同実施の形態2における熱交換器の図6のD−D線による断面図である。図8は、同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの拡大図である。図9は、同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの図8のE−E線による断面図である。図10は、同実施の形態2における熱交換器を構成するプレートフィンの図8のF−F線による断面図である。、
図6乃至図10において、完全独立フィンチューブ型の熱交換器11は、熱伝導率の高いアルミニウムや銅を素材とする冷媒管12と、同様の材料からなる多数のプレートフィン13によって構成されている。
プレートフィン13は、同一形状、同一大きさのもので、矢印Xで示す気流方向(列方向)に分断されて配置されている。このプレートフィン13には、冷媒管12が貫通する孔13aと、この孔13aの周囲で軸方向に突出するフィンカラー部13b(図8)と、プレートフィン13の両面に、金型加工に略水平(気流方向に略直角)かつ、略垂直(気流方向に略平行)に千鳥状に配置する一定間隔で軸方向に複数個突出したリブ13hが設けられている。
さらに、プレートフィン13は、気流方向に対して略直角関係にある縁13dが略波形(以下、波形と称す)に形成されている。
この波形は、孔13aを中心とする複数の円13eを基調とした形状であるため、矢印Xで示す気流と略直角に交差する線Lを基軸に、気流方向における距離a1、a2が円弧を描きながら異なる形状となっている。したがって、縁13dには、線Lに最も近い距離a1の凸部端縁13fと、線Lから最も離れた距離a2の凹部端縁13gを交互に有し、また各孔13aの中心Oから縁13dの輪郭までの距離rは、(各円13eが交わる部分を除いては)一定の寸法となっている。
そして、プレートフィン13における気流方向の分断配置は、図7に示す如く該プレートフィン13を上下交互に反転させ、縁13dにおける凸部端縁13fに、隣のプレートフィン13における縁13dの凹部端縁13gを所定の距離を介して突合せるように配置した構成となっている。
その結果、気流方向における冷媒管12の配置関係は、気流方向に連続して重ならない千鳥状の配置となっている。さらに、前述の凸部端縁13fと凹部端縁13gの突合せ配置により、気流方向における寸法を小さくし、熱交換器11のコンパクト化をはかっている。
上記構成からなる熱交換器11の組み立ては、周知の工程手順で組み立てることができるため、説明を省略する。
次に、上記構成の熱交換器11を、冷却器として使用した場合について説明する。
まず、冷却運転により気流は、矢印Xで示す方向に流れ、プレートフィン13と接触して熱交換が始まる。このとき、プレートフィン13の縁13dは、凸部端縁13fと凹部端縁13gが交互に連続する波形状に形成されているため、従来の縁が直線的なプレートフィンに比べて気流との接触部(面積)が多く形成されていることから、境界層前縁効果が大きくなり、熱交換作用が促進されて冷却能力を増大させることができる。
また、冷媒管12に当たる気流は、矢印Yで示す如く円形断面をもつ冷媒管12にて分断されることから、冷媒管12の気流の当たる反対面である冷媒管後部には気流の止水域αが形成される。
しかしながら、本実施の形態2においては、冷媒管12が気流に対して千鳥状に配設されていることから、前述の分断された気流が風下の冷媒管12に当たるため、さらに効率の良い熱交換が可能となる。
さらに、本実施の形態2においては、略水平に突出するリブ13hを略垂直に千鳥状に一定間隔で複数個設けていることから、プレートフィン13の表面近くを通過する気流は、図2の矢印Zで示す如く、プレートフィン13の表面に突出して形成したリブ13hに衝突し、乱流となって冷媒管12の後部の止水域αに回りこむ。したがって、冷媒管12による気流の分断と、リブ13hの乱流に伴い、気流は、止水域αへ多く回り込むことができ、その結果、冷媒管12との熱交換が促進され、冷却能力を増大させることができる。
また、プレートフィン13は略水平方向に突出するリブ13hを有しているため、従来のフラットなプレートフィンと比べ、フィン強度を向上させることができる。そのため、製造工程や冷凍機器組込工程などにおいて、熱交換器の取扱いによるプレートフィン13の変形等を低減することができる。
また、プレートフィン13の板厚を薄くしても、従来のフラットなプレートフィンと同等の強度を確保することができるため、熱交換器の材料費の低減が可能となることから、製造費の低コスト化をはかることができる。
次に、冷却運転時が継続されると熱交換器11の全体に着霜が生じ、特に冷媒管12の周縁および気流が当たるプレートフィン13のフィン端部、すなわち波形状の縁13dに多く着霜する。これに伴い、気流Xにおける前段側からプレートフィン13間の目詰まりが生じ、徐々に後段への通風(量)が抑制される傾向となる。
さらに着霜が進み、除霜ヒータ等(図示せず)によって、例えば、熱交換器11の下部から冷媒管12やプレートフィン13を加熱し、霜を溶融する場合についても、その加熱に伴う熱伝導、サーモサイフォン効果(冷媒の対流効果)、および加熱された気流の対流等によって各部の除霜が行われる。
なお、除霜ヒータから遠方になるにしたがい、熱交換器の熱升(熱容量)が大きいこと、また霜の潜熱が大きくなること、および除霜初期は対流がほとんどないということから、サーモサイフォン作用が占める除霜効果は大きい。
さらに、着霜した波形状の縁13dは、除霜ヒータによって暖められた冷媒管12や、その内部を流れる加熱された冷媒によるサーモサイフォン効果によって、熱が冷媒管12からプレートフィン13の波形状の縁13dへと伝わっていくが、このとき本実施の形態2においては、プレートフィン13における冷媒管12から縁13dまでの距離rを略一様としているため、波形状の縁13dを略一様に加熱することができ、縁13dにおける除霜を略一様に行って除霜斑を抑制することができる。
なお、プレートフィン13における縁13dの波形状は、冷媒管12からの距離を略一様として除霜斑を少なくする点では、円を基調とする形状が望ましいが、フィンプレス金型の都合やプレートフィン13の強度等によっては、三角形、あるいは多角形で形成される直線的な波形としてもよい。
また、除霜運転によって融解された霜はドレン水となり、自然落下によりプレートフィン13の表面を伝って下部へ排水されるが、本実施の形態2においては、略水平に突出す
るリブ13hを千鳥状に一定間隔で複数個設けていることから、リブ13hによって、ドレン水の表面張力が破壊され、図10に示すように想像線Sで示す水玉を形成することなくプレートフィン13の表面に、想像線Tで示すように広がる。さらに、広がったドレン水は、プレートフィン13の千鳥状に配置されたリブ13hで囲まれた水路を通って、自重によってゆっくり下部へ流れるようになる。すなわち、除霜され融解されたドレン水はプレートフィン13の表面を、ゆっくりではあるがプレートフィン13の下部端部へ連続して繋がった状態で確実に流れ、その結果、ドレン水が島状に残ることがない。
また、プレートフィン13同士の軸方向の隙間(フィンピッチ)が狭い場合、ドレン水の表面張力によってプレートフィン13同士にブリッジを形成し、残水となることがあるが、ドレン水はプレートフィン13の千鳥状に配置されたリブ13hで囲まれた水路を通り、自重によってゆっくり下部へ流れるようになため、毛細管現象およびそれに伴う誘引作用によってブリッジしているドレン水も排出することができる。
その結果、冷却運転が再開された後、残水が凍り、そこから霜が成長して短時間で目詰まり状態になるのを防止することができる。したがって、熱交換効率低下や除霜回数増加による消費電力量を低減することができる。
ここで、リブ13hの配置は、ドレン水の表面張力を破壊し水玉の形成を防止できるものかつリブ3hによるドレン水の水路を形成できるものであれば直線状に限るものではなく、一部湾曲した形状のものであってもよい。また、リブ13hの断面形状も同様にドレン水の表面張力を破壊し水玉の形成を防止できるものかつリブによるドレン水の水路を形成できるものであれば、略三角に限定せず、略四角または略多角形またはRをつけたものであってもよい。
また、リブ13hの長さ(略水平方向)、リブ13h同士の隙間(略水平方向)やリブ13hの高さ(軸方向)を調節、設定することにより、ドレン水の落下速度をコントロールすることができることから、搭載する機器の除霜量に適した熱交換器を構成することができ、冷凍機器の運転効率の改善を可能にして消費電力(量)の低減化をはかることができる。
以上のように本実施の形態2における完全独立フィンチューブ型の熱交換器11は、高性能化を可能にし、かつ除霜時の残水を防止し耐着霜性能を向上させるとともに除霜回数を低減できるものである。
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3における物品貯蔵装置の構成を示す模式図である。なお、ここでは、実施の形態2の熱交換器11を蒸発器(冷却器)に採用した構成として説明する。
図11において、貯蔵装置本体21は、内部に、前面が開口し、断熱材によって囲われた第一貯蔵室22aと第二貯蔵室22bを具備し、前面に、第一貯蔵室22aおよび第二貯蔵室22bに対応して前記開口を開閉する断熱性を有する第一扉23aおよび第二扉23bを具備している。
また、第一貯蔵室22aと第二貯蔵室22bは、連絡通路24a、24bを介して連通している。
さらに、貯蔵装置本体21の内部には、圧縮機25、凝縮器26、減圧装置27、熱交換器(蒸発器)11を配管により環状に連結した冷凍サイクルが設けられており、熱交換
器11は、第一貯蔵室22aに配置されている。また、第一貯蔵室22aには、熱交換器11で冷却された冷気を、矢印aで示す如く積極的に第一貯蔵室22a内を循環させる送風機28が設けられている。第二貯蔵室22bは、矢印bで示す如く連絡通路24a、24bを介して流入した第一貯蔵室22aの一部の冷気の循環によって冷却される。
したがって、貯蔵装置21は、実施の形態2で説明したように、熱交換器11の高性能化による冷却時間の短縮化ができる。また、除霜運転時の残水を防止することができるため、短時間で除霜運転に入ることを抑制し、除霜回数の少ない冷却運転を行い、効率のよい冷却運転を行うことができる。これらに伴い、消費電力(量)を抑制した物品貯蔵装置を得ることができる。
なお、本実施の形態3においては、蒸発器に実施の形態2の熱交換器11を採用した構成について説明したが、実施の形態1の熱交換器1を採用した構成としても同様の作用効果が期待できる。
以上のように、本発明にかかるフィンチューブ型の熱交換器は、小型化および高性能化が可能であり、耐着霜性能を向上させるとともに除霜回数を低減させて省エネをはかることができるもので、冷蔵庫、自販機などの冷凍機器に広く適用できる。
1 熱交換器
2 冷媒管
3 プレートフィン
3h リブ
11 熱交換器
12 冷媒管
13 プレートフィン
13d 縁
13f 凸部端縁
13g 凹部端縁
13h リブ
21 貯蔵装置本体
22a 第一貯蔵室
22b 第二貯蔵室
23a 第一扉
23b 第二扉
25 圧縮機
26 凝縮器
27 減圧装置
28 送風機

Claims (7)

  1. 多数平行に並べられ、その間を気流が通過する矩形のプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンには、略水平に突出するリブを略垂直に一定間隔で複数個設けた熱交換器。
  2. 多数平行に並べられ、その間を気流が通過するプレートフィンと、前記プレートフィンを略直角に貫通し、かつ内部を流体が流動する冷媒管を具備し、前記冷媒管は、気流に対して千鳥状に配設され、前記プレートフィンは、前記冷媒管に対して列ごとに分断された構成の完全独立フィンチューブ型の熱交換器において、前記プレートフィンには、略水平に突出するリブを一定間隔で複数個設け、さらに、前記プレートフィンにおける気流と交差するフィン端縁を、前記気流と略直角に交差する線を基軸に気流方向において距離が異なる略波形状とした熱交換器。
  3. 前記冷媒管と前記プレートフィン端縁間の距離を略一定とした請求項2に記載の熱交換器。
  4. 前記プレートフィンを、気流方向に複数配置し、該プレートフィンの略波形状を形成する凹部端縁に、後段の該プレートフィンの略波形状を形成する凸部端縁を突合せて配置した請求項2または3に記載の熱交換器。
  5. 前記リブを、前記プレートフィンの両面に設けた請求項1から2いずれか一項に記載の熱交換器。
  6. 前記リブを、略垂直方向に千鳥状に配置した請求項1から2のいずれか一項に記載の熱交換器。
  7. 断熱空間で形成される物品貯蔵室と、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を、配管を介して環状に連結した冷凍サイクルと、前記蒸発器による冷却気流を前記物品貯蔵室内に送り込む送風機を具備した貯蔵装置において、前記蒸発器を、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器および熱交換器を備えた物品貯蔵装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013204855A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Mitsubishi Electric Corp 熱交換器
JP2014214894A (ja) * 2013-04-23 2014-11-17 株式会社ティラド 熱交換器のプレートフィン

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