JP2011080488A - ころ軸受用保持器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ころ軸受の軌道輪に形成した鍔部の鍔部内側面と、転動体の端面部との間の摩擦を低減する。
【解決手段】複数のポケット部2と、そのポケット部を連結する柱部3とを設け、各柱部の内輪側に突出して突出片4を設けて保持器1を形成するとともに、上記突出片4の先端部の軸方向外側に凹部5を形成する。この保持器1を内輪8に嵌め込むと、上記突出片4は内輪に形成した鍔部9の内側の鍔部内側面10に対向する。このころ軸受の回転の際に、上記鍔部内側面10に、上記突出片4に付着している潤滑剤が塗布されるので、この鍔部内側面10が潤滑され、この鍔部内側面10と円筒ころ11の端面部12との間の摩擦が低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】複数のポケット部2と、そのポケット部を連結する柱部3とを設け、各柱部の内輪側に突出して突出片4を設けて保持器1を形成するとともに、上記突出片4の先端部の軸方向外側に凹部5を形成する。この保持器1を内輪8に嵌め込むと、上記突出片4は内輪に形成した鍔部9の内側の鍔部内側面10に対向する。このころ軸受の回転の際に、上記鍔部内側面10に、上記突出片4に付着している潤滑剤が塗布されるので、この鍔部内側面10が潤滑され、この鍔部内側面10と円筒ころ11の端面部12との間の摩擦が低減できる。
【選択図】図1
Description
この発明は、転動体と軌道面に形成した鍔部との間の摩擦を軽減したころ軸受用保持器に関する。
ころ軸受の保持器は、複数の円筒ころや円錐ころ等の転動体をそのポケット部に収納し、そのポケット部内で上記転動体が転動して、内外の軌道輪(以下、必要に応じて「内輪」、「外輪」と使い分ける。)が円滑に相対回転するようにしている。
この軸受の組み立てに際しては、上記保持器の上記ポケット部に転動体を収納し、この保持器を上記外輪の内方、又は、内輪の外方に嵌めて一体化したり、両軌道輪の間に挿入したりする。
この軸受の組み立てに際しては、上記保持器の上記ポケット部に転動体を収納し、この保持器を上記外輪の内方、又は、内輪の外方に嵌めて一体化したり、両軌道輪の間に挿入したりする。
この軌道輪には、その軌道面に隣接して、上記軌道輪を周回する鍔部を形成することがある。この鍔部は、上記転動体の端面部と当接し、上記転動体が上記軌道面上を転動するように案内する。
上記当接の際、上記転動体の回転に伴って、上記鍔部の内側面と上記転動体の端面部との間に摩擦が生じる。この摩擦によって、上記鍔部内側面や上記端面部に磨耗傷が生じたり、磨耗によって生じた上記鍔部内側面等からの剥離片が、上記軸受の内部を潤滑する潤滑剤に混入したりすることがある。
この磨耗傷が生じると上記軸受の円滑な回転ができなくなったり、上記剥離片の混入によって上記潤滑剤の潤滑作用が低下し、頻繁にこの潤滑剤を交換する手間が生じたりする。
この磨耗傷が生じると上記軸受の円滑な回転ができなくなったり、上記剥離片の混入によって上記潤滑剤の潤滑作用が低下し、頻繁にこの潤滑剤を交換する手間が生じたりする。
そこで、上記鍔部内側面における摩擦の発生を低減するため、上記軌道輪の加工精度を高めて、この軌道輪を転動する転動体の、上記軌道輪の加工精度に起因した位置ずれ(特に転動体の軸に対して軸受の軸が傾くスキュー現象)を低減するようにしている(特許文献1の段落番号0030〜0044を参照)。上記位置ずれを低減することで、たとえ上記鍔部内側面と転動体とが接触した場合であってもその接触圧が小さくなり、上記鍔部内側面等における傷や磨耗の発生を回避し得る。
また、潤滑剤を溜めておく凹部を保持器のポケット内に形成し、この凹部内に溜められた潤滑剤を上記転動体等の摺動部に少しずつ供給して、上記摺動部の摩擦を低減する方法もある(特許文献2の図1等を参照)。上記潤滑剤は、転動体の転動面に直接供給され、上記転動面とポケット部との間の摩擦を軽減する。
上記の加工精度に起因した位置ずれを低減することによって摩擦を軽減する方法は、高い加工精度を確保するために多額のコストを要する。このため、コスト削減要求の高い汎用品に対してこの方法を採用するのは難しいという問題がある。
また、上記保持器のポケット内の柱部に凹部を形成して、その凹部に溜めた潤滑剤で潤滑を行う方法は、上記凹部に面している転動体の転動面を潤滑するのは容易である一方で、上記凹部に面していない上記転動体の端面部を潤滑するのは困難である。
例えば、円筒ころが保持器とともに回転する場合において、円筒ころの転動面は上記潤滑剤に直接接触し得るので十分潤滑されるが、上記軌道面は軌道輪の軌道面方向に傾斜している(丸みを有している)ため、上記転動面に付着した潤滑剤の大部分は、この円筒ころの転動面に沿って軌道面方向に流動し、この円筒ころの端面部にはほとんど流動しない。
特に上記潤滑剤としてグリースを用いる場合は、その粘度が高いため、上記端面部を潤滑するのは一層困難である。
このため、上記凹部に溜めた潤滑剤で、上記保持器の鍔部内側面と上記転動体の端面部との間に生じる摩擦を低減するのは難しい。
特に上記潤滑剤としてグリースを用いる場合は、その粘度が高いため、上記端面部を潤滑するのは一層困難である。
このため、上記凹部に溜めた潤滑剤で、上記保持器の鍔部内側面と上記転動体の端面部との間に生じる摩擦を低減するのは難しい。
そこで、この発明は、ころ軸受の軌道輪に形成した鍔部の鍔部内側面と、転動体の端面部との間の摩擦を低減することを課題とする。
上記の課題を解決するため、この発明は、保持器に、鍔部内側面に対向する突出片を設け、この突出片で上記摩擦が生じ得る上記鍔部内側面に直接に潤滑剤を塗布して、上記鍔部内側面を潤滑するようにしたのである。
この鍔部内側面は、軌道輪に形成された鍔部の内側にあるため、上記転動体の転動面を潤滑している潤滑剤がこの鍔部内側面に回り込みにくい。また、この潤滑剤の中でも特に粘度の高いグリースは、この保持器の回転の際に、遠心力によってあまり流動しないため、このグリースが上記鍔部内側面に一層回り込みにくい。
この鍔部内側面は、軌道輪に形成された鍔部の内側にあるため、上記転動体の転動面を潤滑している潤滑剤がこの鍔部内側面に回り込みにくい。また、この潤滑剤の中でも特に粘度の高いグリースは、この保持器の回転の際に、遠心力によってあまり流動しないため、このグリースが上記鍔部内側面に一層回り込みにくい。
しかしながら、この突出片で上記鍔部内側面に直接潤滑剤を塗布することによって、上記潤滑剤としてグリースを用いた場合においても、確実に上記鍔部内側面の潤滑を行い得る。
この発明の構成としては、内輪又は外輪の両軌道面のうち少なくとも一方に、転動体を案内する鍔部を形成し、上記転動体を潤滑剤で潤滑するようにした、ころ軸受に用いる保持器において、上記鍔部を形成した軌道面側に突出片を形成し、この突出片に、上記鍔部の鍔部内側面が近接的に対向する面を形成するようにすることができる。
つまり、上記鍔部が内輪側に設けられている場合は、上記突出片を上記保持器から内輪側に向けて形成し、上記鍔部が外輪側に設けられている場合は、上記突出片を上記保持器から外輪側に向けて形成する。
ここでいう、「近接的に対向する」とは、上記突出片の上記面に付着した潤滑剤が、鍔部内側面に転写又は塗布(付着)できる程度に、前記面と鍔部内側面とが離間した状態にあることを指す。そして、上記保持器の回転に伴い、上記突出片の上記鍔部内側面に対向する面に付着した潤滑剤が、上記鍔部内側面に塗布され、上記鍔部内側面と、上記転動体の端面部との間の潤滑が確保される。
また、上記突出片の上記鍔部内側面が近接的に対向する面に、凹部を形成することもできる。
この凹部に一定量の潤滑剤を溜めておくことによって、上記転動体の回転中に、上記鍔部内側面に間断なく上記潤滑剤を供給し続けることができる。このため、上記鍔部内側面と、上記転動体の端面部との間の潤滑性を常に確保し得る。
この凹部に一定量の潤滑剤を溜めておくことによって、上記転動体の回転中に、上記鍔部内側面に間断なく上記潤滑剤を供給し続けることができる。このため、上記鍔部内側面と、上記転動体の端面部との間の潤滑性を常に確保し得る。
上記凹部が、上記突出片の先端で開口するとともに、上記鍔部内側面に対向して開口するポケット形状とすることができる。
このように開口を設けることによって、上記凹部に溜めた上記潤滑剤が、上記開口のない場合と比較して速やかに上記鍔部内側面に供給され得るので、上記潤滑がよりスムーズになされる。
このように開口を設けることによって、上記凹部に溜めた上記潤滑剤が、上記開口のない場合と比較して速やかに上記鍔部内側面に供給され得るので、上記潤滑がよりスムーズになされる。
さらに、上記凹部が、上記保持器の回転方向に沿って形成されるとともに、その両端で開口した溝状とすることもできる。
この凹部を両端で開口した溝状とすることにより、上記ころ軸受の回転に伴い、上記溝状凹部の一端から上記鍔部内側面に速やかに潤滑剤が供給されるので、上記潤滑が一層円滑になされるとともに、上記溝状凹部の他端からこの突出片の周囲の潤滑剤が新たに上記凹部内に補充され得るので、上記凹部内の潤滑剤切れを生じるおそれが低い。
この凹部を両端で開口した溝状とすることにより、上記ころ軸受の回転に伴い、上記溝状凹部の一端から上記鍔部内側面に速やかに潤滑剤が供給されるので、上記潤滑が一層円滑になされるとともに、上記溝状凹部の他端からこの突出片の周囲の潤滑剤が新たに上記凹部内に補充され得るので、上記凹部内の潤滑剤切れを生じるおそれが低い。
また、上記突出片の上記鍔部内側面に近接的に対向する面が、凸形状を有するように構成することもできる。
このように凸形状とすることにより、上記面と鍔部内側面との隙間が部分的に狭まり、上記鍔部内側面への潤滑剤の供給をよりスムーズに行うことができる。
このように凸形状とすることにより、上記面と鍔部内側面との隙間が部分的に狭まり、上記鍔部内側面への潤滑剤の供給をよりスムーズに行うことができる。
また、上記突出片の保持器の回転方向に向かう前面が、この保持器の回転軸心の外径側に向かうほど、その回転方向の後側に傾斜するテーパ面とすることができる。
上記突出片の回転方向前面に付着した潤滑剤は、上記遠心力によって上記回転方向前面の全ての方向に向かって均等に流動するため、その分だけ、上記突出片と上記鍔部内側面の隙間の方に流動する潤滑剤の量が少なくなる。
そこで、上記のようにテーパ面を設けることにより、上記回転方向前面に付着した潤滑剤をこのテーパ面の傾きによって上記隙間の方に優先的に流動させることができるので、上記鍔部内側面と、上記転動体の端面部との間の潤滑に寄与し得る潤滑剤を十分確保することができる。
このようにテーパ面を設けることによって、上記潤滑剤として粘度の高いグリースを用いた場合であっても、このグリースが上記隙間の方に流動するのが促されるため、上記潤滑がより効率的になされる。
上記突出片の回転方向前面に付着した潤滑剤は、上記遠心力によって上記回転方向前面の全ての方向に向かって均等に流動するため、その分だけ、上記突出片と上記鍔部内側面の隙間の方に流動する潤滑剤の量が少なくなる。
そこで、上記のようにテーパ面を設けることにより、上記回転方向前面に付着した潤滑剤をこのテーパ面の傾きによって上記隙間の方に優先的に流動させることができるので、上記鍔部内側面と、上記転動体の端面部との間の潤滑に寄与し得る潤滑剤を十分確保することができる。
このようにテーパ面を設けることによって、上記潤滑剤として粘度の高いグリースを用いた場合であっても、このグリースが上記隙間の方に流動するのが促されるため、上記潤滑がより効率的になされる。
また、鍔部を内輪側に形成した場合、円環状の上記保持器に、その内輪側から外輪側に至るスリットを形成し、上記スリットの幅を広げて上記保持器の外径を拡径し、上記内輪に形成した上記鍔部の鍔部内側面に上記保持器に形成した上記突出片を嵌め込み、又は、鍔部を外輪側に形成した場合、円環状の上記保持器に、その内輪側から外輪側に至るスリットを形成し、上記スリットを形成した保持器の両端部が重ね合わさるように変形して上記保持器の外径を縮径し、上記外輪に形成した上記鍔部の鍔部内側面に上記保持器に形成した上記突出片を嵌め込むようにすることもできる。
上記鍔部内側面は上記鍔部の内側に設けられているので、上記保持器を上記内輪に嵌め込む際にあっては、上記保持器の内径(上記突出片を含む)を上記内輪の鍔部の外径より拡径させる一方で、上記保持器を上記外輪に嵌め込む際にあっては、上記保持器の外径(上記突出片を含む)を上記外輪の鍔部の内径より縮径させる。
上記保持器の上記軌道輪への嵌め込みにおいては、上記のように上記保持器にスリットを形成する方法以外に、上記保持器を2以上のパーツに分割し、この分割したパーツを上記軌道輪に嵌め込み、この嵌め込み後に各パーツを公知の連結部材で連結するようにすることもできる。
また、上記突出片と上記鍔部内側面との隙間の大きさと、上記転動体の端面部と上記鍔部内側面との隙間の大きさとを同一とすることができる。
上記突出片と上記鍔部内側面との隙間の大きさ(Aとする)は、上記転動体の端面部と上記鍔部内側面との隙間の大きさ(Bとする)と等しく(A=B)なるように上記保持器(特に上記突出片)を設計するとともに、この保持器に適合する軸心方向長さを有する上記転動体を選択する。
この隙間の大小関係がA>Bの場合、上記転動体が上記突出片よりも軸心方向(鍔部内側面方向)に突出し、上記突出片と上記鍔部内側面との間に、少なくともA−Bの隙間が生じる。この隙間のため、上記突出片からの上記鍔部内側面への潤滑剤の供給が十分になされず、潤滑が不十分となるおそれがある。
その一方で、この隙間の大小関係がA<Bの場合、上記突出片が上記転動体よりも軸心方向(鍔部内側面方向)に突出する。この突出によって、上記突出片と上記鍔部内側面が直接接触すると、上記鍔部内側面及び上記突出片に磨耗が生じるおそれがある。
上記鍔部内側面の効率的な潤滑と、上記突出片等の磨耗防止の双方の両立を勘案すると、上記両隙間の大きさの大小関係をA=Bとするのが理想的ではあるが、精密加工に伴う加工コスト抑制の必要性等を考慮して、若干のずれは許容され得る。このように、上記両隙間の大きさをほぼ等しくすることで、上記鍔部内側面の潤滑性と上記磨耗防止の双方を両立し得る。
上記突出片と上記鍔部内側面との隙間の大きさ(Aとする)は、上記転動体の端面部と上記鍔部内側面との隙間の大きさ(Bとする)と等しく(A=B)なるように上記保持器(特に上記突出片)を設計するとともに、この保持器に適合する軸心方向長さを有する上記転動体を選択する。
この隙間の大小関係がA>Bの場合、上記転動体が上記突出片よりも軸心方向(鍔部内側面方向)に突出し、上記突出片と上記鍔部内側面との間に、少なくともA−Bの隙間が生じる。この隙間のため、上記突出片からの上記鍔部内側面への潤滑剤の供給が十分になされず、潤滑が不十分となるおそれがある。
その一方で、この隙間の大小関係がA<Bの場合、上記突出片が上記転動体よりも軸心方向(鍔部内側面方向)に突出する。この突出によって、上記突出片と上記鍔部内側面が直接接触すると、上記鍔部内側面及び上記突出片に磨耗が生じるおそれがある。
上記鍔部内側面の効率的な潤滑と、上記突出片等の磨耗防止の双方の両立を勘案すると、上記両隙間の大きさの大小関係をA=Bとするのが理想的ではあるが、精密加工に伴う加工コスト抑制の必要性等を考慮して、若干のずれは許容され得る。このように、上記両隙間の大きさをほぼ等しくすることで、上記鍔部内側面の潤滑性と上記磨耗防止の双方を両立し得る。
上記の各構成の保持器は、公知の内外軌道輪に組み込んで、ころ軸受の完成品とすることができる。そのころ軸受は、上記の各保持器が発揮する作用を有するものとなる。
この発明によると、ころ軸受の軌道輪に形成した鍔部の鍔部内側面に直接潤滑剤を塗布するので、上記鍔部内側面と上記転動体の側面との間の潤滑を十分行うことができる。このため、摩擦に伴う上記鍔部内側面及び上記転動体の側面の磨耗が軽減され、円滑な回転を行い得るとともに、上記潤滑剤の交換頻度を減らすことができる。
この発明の実施形態を図1から図13に基づいて説明する。
この発明に係るころ軸受用保持器1は、図1に示すように、複数のポケット部2と、そのポケット部2を連結する柱部3とを設け、各柱部3の内輪側に突出して突出片4を設ける。また、この突出片4の先端部の軸方向外側(後述する内輪の鍔部に対向する側)に、図2に示すように凹部5を形成する。さらに、この保持器1の一部に、その内輪側から外輪側に至るスリット6を形成する。また、柱部3間は環状部7で連結されている。
この保持器1は、図3に示すように内輪8に嵌め込まれる。この保持器1の突出片4は、上記嵌め込みの際に、内輪8の鍔部9の内側の鍔部内側面10と突出片4との間に隙間gが生じるように設計されている。この隙間gによって、鍔部内側面10と突出片4とが直接接触しないので、両者の摩擦に起因した磨耗が回避できる。
この保持器1を内輪8へ嵌め込む際は、スリット6のスリット幅を広げることによってこの保持器1を拡径し、この保持器1に形成した突出片4を鍔部内側面8側に嵌め込む。
また、この凹部5には潤滑剤が溜められ、この潤滑剤でこの鍔部内側面10を潤滑しているので、鍔部内側面10と転動体11の端面部12との間で摩擦が生じて、磨耗や焼き付きが起こるおそれは低い。
この保持器1に円筒ころ11を収納して、これに内輪8及び外輪13を設けた様子を図10に示す。この突出片4は、内輪8の軌道面14及び鍔部内側面10のいずれにも接触していないので、この突出片4によって、このころ軸受の回転の円滑性が失われるおそれは低い。
また、図1から図3に示した保持器1において、図4に示したように、突出部4にその先端部(凹部5を形成した側)に向けて回転方向の幅wが小さくなるテーパ4aを形成することもできる。このテーパ4aに付着した潤滑剤は、この保持器1の回転の際の遠心力によって、上記先端部に誘導される。誘導された潤滑剤は凹部5に溜められて、これが鍔部内側面10の潤滑に用いられる。
この突出片4に形成する凹部5の形状として、図5から図7に示すように、凹部5を保持器1の回転方向に沿って形成した溝状凹部5とすることもできる。
この保持器1が嵌め込まれた内輪8が固定輪であって、保持器1が円筒ころ11とともに図6の紙面手前側(図7中の矢印方向)に回転する場合、この溝状凹部5の一端5a(図6の紙面反対側)から鍔部内側面10に潤滑剤を速やかに供給し得るとともに、この溝状凹部5の他端5b(図6の紙面手前側)から突出片4の周囲の潤滑剤が新たに溝状凹部5内に補充されるようになっている。この溝状凹部5への潤滑剤の補充は、このころ軸受の回転中、継続して行われるので、この回転中に鍔部内側面10への潤滑剤の供給切れが生じるおそれは低い。
この保持器1が嵌め込まれた内輪8が固定輪であって、保持器1が円筒ころ11とともに図6の紙面手前側(図7中の矢印方向)に回転する場合、この溝状凹部5の一端5a(図6の紙面反対側)から鍔部内側面10に潤滑剤を速やかに供給し得るとともに、この溝状凹部5の他端5b(図6の紙面手前側)から突出片4の周囲の潤滑剤が新たに溝状凹部5内に補充されるようになっている。この溝状凹部5への潤滑剤の補充は、このころ軸受の回転中、継続して行われるので、この回転中に鍔部内側面10への潤滑剤の供給切れが生じるおそれは低い。
また、図8から図11に示すように、突出片4の先端に凹部5を設けない構成とすることもできる。この構成においても突出片4に付着した潤滑剤を鍔部内側面10に供給し得るからである。
図1から図11に示した保持器1においては、突出片4を内輪側に突出して設けたが、図12に示すように外輪側にも鍔部9を形成する場合は、図13に示すように外輪側にも突出片4を設けることもできる。
なお、図12に示したように両軌道輪に鍔部9を形成した場合は、両軌道輪の少なくとも一方をその鍔部9を境に分割し得るようにして(同図では、内輪8を2部材8a、8bに分割)、保持器1を他方の軌道輪に嵌め込んだ後に、分割した軌道輪を嵌め込むようにする必要がある。
なお、図12に示したように両軌道輪に鍔部9を形成した場合は、両軌道輪の少なくとも一方をその鍔部9を境に分割し得るようにして(同図では、内輪8を2部材8a、8bに分割)、保持器1を他方の軌道輪に嵌め込んだ後に、分割した軌道輪を嵌め込むようにする必要がある。
また、保持器1の素材として、ステンレス等の金属材料をはじめとする公知の素材から幅広く選択し得るが、突出片4が上記軌道輪の鍔部内側面10に接触した際に、この鍔部内側面10に傷が付くのを防止するため、上記軌道輪の素材(一般的に鉄鋼等の金属材料)よりも硬度が低い樹脂素材を用いるのが好ましい。
例えば、ガラス繊維で強化したポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルイミド(PEI)等の公知の樹脂素材を採用し得る。
例えば、ガラス繊維で強化したポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルイミド(PEI)等の公知の樹脂素材を採用し得る。
1 保持器
2 ポケット部
3 柱部
4 突出片
4a テーパ
5 凹部
6 スリット
7 環状部
8(8a、8b) 内輪
9 鍔部
10 鍔部内側面
11 転動体(円筒ころ)
12 (転動体の)端面部
13 外輪
14 軌道面
2 ポケット部
3 柱部
4 突出片
4a テーパ
5 凹部
6 スリット
7 環状部
8(8a、8b) 内輪
9 鍔部
10 鍔部内側面
11 転動体(円筒ころ)
12 (転動体の)端面部
13 外輪
14 軌道面
Claims (9)
- 内輪(8)又は外輪(13)の両軌道面(14、14)のうち少なくとも一方に、転動体(11)を案内する鍔部(9)を形成し、上記転動体(11)を潤滑剤で潤滑するようにした、ころ軸受に用いる保持器において、
上記鍔部(9)を形成した軌道面(14)側に突出片(4)を形成し、この突出片(4)に、上記鍔部(9)の鍔部内側面(10)が近接的に対向する面を形成したことを特徴とするころ軸受用保持器。 - 上記突出片(4)の上記鍔部内側面(10)が近接的に対向する面に、凹部(5)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器。
- 上記凹部(5)が、上記突出片(4)の先端で開口するとともに、上記鍔部内側面(10)に対向して開口するポケット形状であることを特徴とする請求項2に記載のころ軸受用保持器。
- 上記凹部(5)が、上記保持器(1)の回転方向に沿って形成されるとともに、その両端で開口した溝状であることを特徴とする請求項2に記載のころ軸受用保持器。
- 上記突出片(4)の上記鍔部内側面(10)に近接的に対向する面が、凸形状を有することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器。
- 上記突出片(4)の、上記保持器(1)の回転方向に向かう前面(4a)が、この保持器(1)の回転軸心の外径側に向かうほど、その回転方向の後側に傾斜するテーパ面であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載のころ軸受用保持器。
- 鍔部(9)を内輪(8)側に形成した場合、円環状の上記保持器(1)に、その内輪(8)側から外輪(13)側に至るスリット(6)を形成し、上記スリット(6)の幅を広げて上記保持器(1)の外径を拡径し、上記内輪(8)に形成した上記鍔部(9)の鍔部内側面(10)に上記保持器(1)に形成した上記突出片(4)を嵌め込み、又は、
鍔部(9)を外輪(13)側に形成した場合、上記スリット(6)を形成した保持器(1)の両端部が重ね合わさるように変形して上記保持器(1)の外径を縮径し、上記外輪(13)に形成した上記鍔部(9)の鍔部内側面(10)に上記保持器(1)に形成した上記突出片(4)を嵌め込むようにしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載のころ軸受用保持器。 - 上記突出片(4)と上記鍔部内側面(10)との隙間の大きさと、上記転動体(11)の端面部(12)と上記鍔部内側面(10)との隙間の大きさとが同一であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載のころ軸受用保持器。
- 請求項1から8のいずれか1つに記載のころ軸受用保持器を組み込んだことを特徴とするころ軸受。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009230626A JP2011080488A (ja) | 2009-10-02 | 2009-10-02 | ころ軸受用保持器 |
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Publication Number | Publication Date |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009230626A Pending JP2011080488A (ja) | 2009-10-02 | 2009-10-02 | ころ軸受用保持器 |
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JP (1) | JP2011080488A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102015215432A1 (de) * | 2015-08-13 | 2017-02-16 | Aktiebolaget Skf | Wälzlager |
-
2009
- 2009-10-02 JP JP2009230626A patent/JP2011080488A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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