JP2011080133A - ニオブ基材料用の酸化物形成型保護皮膜 - Google Patents

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リチャード・ディドミツィオ
Voramon Supatarawanich Dheeradhada
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Abstract

【課題】高温酸化環境に暴露される、モノリシックニオブ基合金を始めとするニオブ基基材表面の保護酸化物形成性皮膜として好適な皮膜の提供。
【解決手段】皮膜20は、アルミニウムを含有しており、さらにケイ素を含んでいてもよく、適宜ニオブ、チタン、ハフニウム及び/又はクロムを含有しており、これらからなる組成物によって、酸化物スケール26が緩やかに成長する1つ以上の金属間化合物相が形成される。例示的実施形態では、この金属間化合物相は、Mをニオブ、チタン、ハフニウム及び/又はクロムとする場合、M(Al,Si)3、M5(Al,Si)3、及び/又はM3Si5Al2からなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、概して、ガスタービンエンジンの高温ガス流路のような高温環境に暴露される部品の保護に適した皮膜に関する。具体的には、本発明は、ニオブ基材料、特にモノリシックニオブ基合金に耐酸化性を付与する皮膜に関する。
ガスタービンエンジンの効率を向上させるため、作動温度の高温化が探求され続けている。ニッケル基、コバルト基及び鉄基超合金がガスタービンエンジンのホットセクション部品に広く使用されているが、高温特性をさらに向上させるための代替材料も提案されている。例えば、高融点金属合金及び金属間化合物材料が、ガスタービンエンジンの動翼、ノズル、静翼、シュラウド、アフタバーナ部品その他の高温ガス流路部品のような高温用途用の候補として提案されている。具体例として、ニオブ基、チタン基、ハフニウム基及びジルコニウム基合金を含めた、モノリシック高融点金属合金及び高融点金属間化合物複合材(RMIC;refractory metal intermetallic composite)材料がある。RMICの注目すべき例はケイ化ニオブ(Nb−Si)合金であり、チタン、ハフニウム、アルミニウム、クロムなどの他の合金成分をさらに含んでいてもよい。Nb基RMICは、通常、金属Nb基相と1以上の金属間化合物相(例えば合金の凝固時にその場(in situ)で形成されるケイ化二オブ(NbSi)金属間化合物相)を含むミクロ組織を有する。ニオブ基相は比較的延性であるが、金属間化合物相は脆性で強く、強度、破壊靭性その他の望ましい機械特性に寄与する。ケイ化ニオブ合金その他のニオブ基RMIC材料とは対照的に、モノリシックニオブ基合金(この用語を本明細書で用いる)は、ケイ化物その他の金属間化合物相のような強化相を基本的に含んでいない。
上述の組成物は、その主成分がニオブである点、つまり、他の成分よりもニオブの含有量が高いという点で、ニオブ基と呼ばれる。組成によっては、ニオブ基合金及びRMICは、既存のニッケル基、コバルト基及び鉄基超合金よりも格段に優れた高温性能を有することがある。
Nb基RMIC及びモノリシックNb基合金は、室温靭性のような低温機械特性だけでなく、高温強度及び耐クリープ性という有望な特性を兼ね備えているので、タービンエンジンのホットセクションにおける超合金の代替材料として特に注目されている。しかし、航空機エンジンにおける高温用途用のニオブ基合金及びRMICの開発の障害となっているのはそれらの耐酸化性である。高温酸化環境に暴露される既存のニッケル基、コバルト基及び鉄基超合金は、空気中で高温に暴露されると保護酸化膜を形成する耐酸化性皮膜で保護されることが多い。酸化膜は、一般に酸化物スケールと呼ばれ、多くは酸化アルミニウム(アルミナ、Al23)又は酸化クロム(クロミア、Cr23)であるが、皮膜及びその下の基材の酸化を防止する。高温酸化性環境で使用するためのNb基材料は、従前、それらの耐酸化性を高めるため耐酸化性皮膜(例えばSi−Cr−Ti及びSi−Cr−Feケイ化物皮膜)で保護されてきた。これらの皮膜は相互に拡散し、大きな拡散域を形成する。これらの皮膜組成物で形成される酸化物スケールは複合酸化物であり、次式で表されるゆっくりとした放物線形の経時的質量増加を常に示すわけではない。
(Δm)2=kp
ここで、Δmは重量増加率、tは時間、kpは速度定数(常に正)である。
酸化物成長速度の低い改良皮膜を提供するため、保護アルミナスケールを形成できるNb−Al化合物を製造するためのアルミニウム相互拡散の利用に関して多大な研究がなされてきた。しかし、こうした試みでは、アルミナスケールの持続的形成は達成できず、Nb合金の保護に適したアルミニウム基皮膜で実用的なものは従前存在していなかった。
Si−Cr−Ti又はSi−Cr−Fe皮膜を形成するための相互拡散法のもう一つの結果は、これをNb−Si複合材料上で形成すると、皮膜に多数(多くの場合、1インチ当たり100超)の縦亀裂が生じることである。これらの亀裂は、皮膜/基材界面に略垂直な方向に相互拡散皮膜内を延びているので、「縦」亀裂と呼ばれる。図3は、R512E(重量基準で60Si−20Cr−20Fe)として市販されている公知のSi−Cr−Feで被覆されたNb基基材の3枚の断面図であり、亀裂が皮膜表面から基材材料の中まで延びていて、基材材料が酸化環境に直接暴露される経路を生じていることが認められる。高温暴露時に縦亀裂中に形成される酸化物がくさびとなって亀裂を開き、基材内での亀裂の深さを増大させる。さらに、図3に示すように、十分な暴露時間が経過すると、亀裂が皮膜/基材界面で向きを変えて界面に沿って延び、皮膜と基材の間でくさび作用を生じることがある。結局、酸化による亀裂開口作用によって基材材料が酸化環境に直接暴露されるので、皮膜が剥落してしまう。
Si−Cr−Ti又はSi−Cr−Fe皮膜における縦亀裂の原因の1つは、相互拡散皮膜の熱膨張率(CTE)が基材材料よりも大幅に高い(例えば50%以上も高い)ことである。Si−Cr−Ti及びSi−Cr−Fe皮膜のCTEが高いのは、相互拡散プロセスで形成されるケイ化物、例えばTi5Si3(CTE約11.5ppm/℃)、TiSi2(CTE約12ppm/℃)及びCrSi2(CTE約14ppm/℃)に起因し、それらのCTEがNb−Si材料のCTEよりも格段に大きいからである。縦亀裂の形成を低減しかつ解消するため、皮膜と基材とのCTE差が10%未満であるのが望ましい。
米国特許第5833773号明細書 米国特許第5932033号明細書 米国特許第5942055号明細書 米国特許第6409848号明細書 米国特許第6419765号明細書 米国特許第6428910号明細書 米国特許第6447623号明細書 米国特許第6676381号明細書 米国特許第5741376号明細書
以上の点から、Nb基材料の高温特性を向上させることのできる皮膜組成物及び方法が望まれている。
本発明は、Nb基基材、特にガスタービンエンジンの過酷な環境を始めとする高温・酸化性環境に暴露される製品のNb基表面の保護酸化物形成性皮膜として使用するのに適した皮膜を提供する。Nb基基材材料の例としては、特に限定されないが、モノリシックニオブ基合金及びニオブ基RMICが挙げられ、後者にはケイ化ニオブ(Nb−Si)複合材料も含まれる。
本発明のある態様では、モノリシックニオブ基合金のようなニオブ基基材の表面の耐酸化性を増進させることのできる皮膜を提供する。皮膜はアルミニウムを含んでおり、ケイ素をさらに含んでいてもよく、適宜ニオブ、チタン、ハフニウム及び/又はクロムを含んでいてもよく、これらは、M(Al,Si)3、M5(Al,Si)3及びM3Si5Al2からなる群から選択される1種以上の金属間化合物相を形成する。式中、Mは、ニオブ、チタン、ハフニウム及び/又はクロムである。
本発明のある態様では、上記皮膜はオーバーレイ法で形成できる。この方法では、基材上にアルミニウム含有層を堆積させるオーバーレイ堆積技術が用いられ、次いで適宜熱処理が行われる。
本発明の別の態様では、モノリシックニオブ基合金のようなニオブ基材料からなる基材を有するガスタービンエンジン部品を提供する。基材の体感仮性を増進させるため、基材表面に上述のアルミニウム含有組成物からなる皮膜が形成される。最終的には、皮膜表面に酸化アルミニウム(アルミナ、Al23)スケールが存在する。
本発明の顕著な効果は、上記皮膜組成物が、Nb基基材、特にモノリシックニオブ基合金からなる部品の耐酸化性を大幅に向上させることができることである。この皮膜は自律的アルミナ形成体であり、その保護アルミナスケールは経時的に放物線形のゆっくりとした質量増加を示す。
本発明のその他の目的及び利点は以下の詳細な説明から明らかとなろう。
ニオブ基材料から形成することのできるガスタービンエンジン部品の代表的な例としてのガスタービンエンジンのタービン動翼を示す図。 図1の動翼の表面領域の部分断面図であり、動翼表面に本発明に係る保護オーバーレイ皮膜を設けたものを示す。 従来技術のSi−Cr−Feケイ化物皮膜で被覆したNb基基材の断面の3枚の走査画像である。
本発明は、比較的高温で特徴付けられる環境下で作動し、強い酸化作用を受ける部品に広く適用できる。かかる部品の代表例としては、ガスタービンエンジンの動翼、ノズル、静翼、シュラウド、アフタバーナ部品その他の高温ガス流路内の部品が挙げられる。その一例として、高圧タービン動翼10を図1に示す。動翼10は通例鋳造品であり、概して翼形部12を有しているが、翼形部12には、ガスタービンの作動時に高温燃焼ガスが当たり、その表面は酸化、腐食及びエロージョンによる過酷な作用を受ける。プラットフォーム16は、動翼10の根元部に形成されたダブテール部14から翼形部12を隔てており、ダブテール14によって翼形部12はタービンディスク(図示せず)に固定される。本発明の利点を図1のタービン動翼10を参照して説明するが、本発明の教示内容は、概して、部品をその周囲環境から保護するため皮膜系が望まれる他の部品にもあまねく適用できる。
本発明を例示するため、動翼10の表面領域18を図2に示す。動翼10又は少なくともその表面領域18は、好ましくはモノリシックニオブ基合金のようなニオブ基材料で形成されるが、その他のニオブ基合金又はニオブ基RMIC材料も本発明の技術的範囲に属する。図2に示すように、動翼10の表面領域18は、オーバーレイ皮膜20で保護される。オーバーレイ皮膜20は動翼10の最外側面を画成するものであってもよいし、或いは遮熱コーティングを始めとする追加の皮膜で被覆してもよい。オーバーレイ皮膜20は、その下の表面領域18を環境から保護するので、動翼10は、該皮膜がないときよりも高温の環境に耐えることができる。動翼10に追加の熱及び/又は環境保護を与えるため、皮膜20上に遮熱コーティング(TBC)又は耐環境保護コーティング(EBC)のような外側皮膜を適宜設けてもよい。
本発明のある態様では、オーバーレイ皮膜20は、モノリシックニオブ基合金からなる基材を保護するため特別に処方される。一般に、本発明で特に興味深いモノリシックNb基合金は、5重量%以下のアルミニウム、1重量%以下の炭素、5重量%以下のコバルト、20重量%以下のクロム、5重量%以下の鉄、10重量%以下のハフニウム、3重量%以下のマンガン、15重量%以下のモリブデン、0.2重量%以下のケイ素、30重量%以下のタンタル、20重量%以下のチタン、8重量%以下のバナジウム、15重量%以下のタングステン、10重量%以下のジルコニウム、5重量%以下の希土類元素、25重量%以下の白金族元素、残部のニオブ及び不可避不純物を含むものである。これらの元素の有無及び使用量は、最終合金製品に望まれる特性など様々な因子に依存し、かかる組成物はすべて本発明の技術的範囲に属する。
本発明で特に興味深いモノリシックNb基合金とは別に、興味深い他のNb基材料として、金属間化合物相で強化されたニオブ基RMICがあり、その具体例として、金属Nb基マトリックス相中にニオブ−ケイ化物強化相(及び適宜他のケイ化金属間化合物相)を含むミクロ組織を有するNbSi合金がある。NbSi系RMICの例は、Bewlay他の米国特許第5833773号、Jackson他の同第5932033号、Bewlay他の同第6409848号、Jackson他の同第6419765号、Subramanian他の同第6676381号、Jackson他の同第6913655号及びBewlay他の同第7296616号、並びにBewlay他の米国特許出願公開第2006/0042725号及びBancheri他の同第2007/0181278号に開示されている。これらの特許文献におけるニオブ基材料の組成及び加工処理を始めとするニオブ基材料に関する開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。NbSi合金中のケイ化物相の量及び組成は、Bewlay他の米国特許公開第2006/0042725号に記載されているように、大きく変更できる。ケイ化物相は、例えばM3Si又はM5Si3であり、Mは合金の組成に応じてNb、Ti及び/又はHfである。合金のミクロ組織は、Cr2Nbのようなラーベス(金属間化合物)相を始めとするその他の相を含んでいてもよい。
図2に示すオーバーレイ皮膜20は、表面領域18上のオーバーレイ領域22と、表面領域18中に延在する限られた拡散域24とを有するものとして示してある。以下で説明する通り、拡散域24の存在及び範囲は、皮膜20の堆積に用いられるオーバーレイ法によって制限される。皮膜20は、皮膜20とその下の表面領域18の耐酸化性を増進させる酸化物スケール26が形成されたものとして示してある。酸化物スケール26は本質的に皮膜20の組成物から成長するが、皮膜20の適当な熱処理によって促進することもできる。
オーバーレイ皮膜20は、数多くのオーバーレイ堆積法、例えば物理気相堆積(PVD)、大気プラズマ溶射(APS)、真空プラズマ溶射(VPS)、減圧プラズマ溶射(LPPS)、高圧酸素式高速フレーム溶射(HVOF)、圧縮空気式高速フレーム溶射(HVAF)、イオンプラズマ堆積(IPD)及び/又はスパッタリングなどで、堆積させることができ、表面領域18との相互拡散を最小限に抑制しながら、本明細書で「オーバーレイ」皮膜と呼ぶものを形成する。オーバーレイ皮膜20はアルミニウムを含有するように堆積されるが、適宜ケイ素と、さらに例えばニオブ、チタン、ハフニウム及び/又はクロムのような追加の成分を含有するように堆積してもよい。皮膜20の成分は、本発明において放物線形のゆっくりとした経時的質量増加を示す連続酸化物スケール26の形成を増進することのできるものとして規定される金属間化合物相として存在する。具体的には、皮膜20は、M(Al,Si)3、M5(Al,Si)3及びM3Si5Al2(式中、Mは、ニオブ、チタン、ハフニウム及び/又はクロムである。)の金属間化合物相の2種以上が分散したものを含むように堆積・処理される。これらの相の各々は、皮膜20が自律的アルミナ(Al23)形成体として機能できるようにする。皮膜20の好適な厚さは約25〜500μmであり、約50〜150μmの厚さが特に望ましいと思料される。
図2の皮膜20はオーバーレイ皮膜として示したが、同じ金属間化合物相を有する拡散皮膜も本発明の技術的範囲に属する。特に限定されないが、スラリー法、パックセメンテーション法、気相堆積法(気相アルミナイジング法など)、化学気相堆積法(CVD)を始めとする多種多様な拡散堆積法が知られている。オーバーレイ堆積法で形成される皮膜は、拡散堆積法で形成される皮膜とは、堆積材料を基材材料と反応させて所望の金属間化合物相を形成させるのに、拡散法で皮膜20を形成した場合のようなNb基表面領域18との大きな相互拡散(例えば50μm超の拡散域24)を必要としないという点で異なる。拡散堆積法の一例では、表面領域18上にアルミニウム含有組成物を堆積し、堆積組成物と表面領域18とを相互拡散させて所望の金属間化合物相をその場で形成する。こうした拡散皮膜の形成に付随する表面領域18との多大な相互作用は、基材の局所領域での拡散勾配及び元素溶解度の変化の結果として、様々な金属間化合物相及び準安定相を含む広い拡散域を生じる。そのため、皮膜20を拡散皮膜とし、かつMSi3(M(Al,Si)3金属間化合物相として)又はM5Si3(M5(Al,Si)3金属間化合物相として)又はM3Si5Al2を含むときは、適当なケイ素の不在下でこれらの相を形成するため、表面領域18にケイ素を意図的に堆積しなければならない。拡散皮膜の拡散域は表面領域18中に250μm以上延在していてもよいが、通例、拡散域が薄い方が望ましい。
対照的に、オーバーレイ堆積法では、表面領域18上に所望の皮膜組成物(金属間化合物相を含む)を直接堆積させ、皮膜20はほぼ堆積時のままの組成を保持する。堆積前に、所望のM(Al,Si)3、M5(Al,Si)3及び/又はM3Si5Al2相を形成させるための金属間化合物相の「M」成分とアルミニウム源と適宜ケイ素源を適量含む組成物を溶融その他の方法で合金化することによって、金属間化合物相を形成しておいてもよい。例えば、M(Al,Si)3相としてNbAl3金属間化合物を形成するには、化学量論比(Nb:Al原子比=1:3)が実質的に達成されるようにニオブとアルミニウム(その適当な供給源を含む)とを混合し、次いで溶融その他の方法で合金化して、ニオブとアルミニウムとを反応させて金属間化合物を形成する。金属間化合物相の所望成分の各供給源は、好ましくはゼロ価の元素又は金属もしくは合金であることが、各々反応して所要の相を形成するのに十分な程度に還元できるものであれば、化合物の使用も本発明の技術的範囲に属する。金属及び/又はメタロイドの溶融その他の合金化は当技術分野で公知であり、所望の組成物をバルクインゴットとして溶融する方法が具体例として挙げられる。用いるオーバーレイ堆積法によっては、インゴットを機械加工してターゲット(例えばスパッタリングによる堆積のためのもの)を形成してもよいし、粉体(例えばプラズマ溶射用のもの)として加工処理してもよい。
堆積後に、相の形成/安定化を図るための皮膜20の均質化のため、オーバーレイ皮膜20を熱処理してもよい。かかる熱処理は、オーバーレイ皮膜20が基材中にある程度拡散して表面領域18との密着を確保する傾向ももつが、皮膜20の相組成が大きく変化することはない。適当な熱処理は、約1200°C〜約1500°Cの温度で、皮膜20と表面領域18との相互拡散が限られるように短時間で行われる。その結果、拡散域24は通例、表面領域18中に50μm未満しか延在せず、表面領域18の上のオーバーレイ領域22はほぼ堆積時のままの組成を保持する。
M(Al,Si)3、M5(Al,Si)3及び/又はM3Si5Al2金属間化合物相は、適当な体積分率(表I参照)で存在していれば、ニオブ基表面領域18(及び他のニオブ基合金及び複合材料、特にNb−Si複合材料)に耐酸化性を付与することのできる連続した自律的Al23スケール26を形成し、高温作動条件下での動翼10の寿命を延ばすことが判明した。さらに、皮膜20の組成及びその酸化物スケール26によって、ガスタービンエンジンの高温ガス流路においてニッケル基超合金よりも高温で動翼10を作動させることができるようになり、効率及び燃費が向上する。皮膜20のアルミナ酸化物スケール26は、高温水蒸気に暴露されたときに、従来のSi基皮膜(Si−Cr−Ti及びSi−Cr−Fe)の複合酸化物スケールよりも格段に優れた応答を示す。従来技術のSi基皮膜は、高温水蒸気に暴露されると大幅な重量増加及び/又は皮膜破壊を示すが、皮膜20は、高温水蒸気又は高温周囲空気に暴露されても基本的に同じ性能を呈し、そのアルミナ酸化物スケール26は望ましい放物線形の質量増加特性を示し続ける。水蒸気はガスタービンエンジンの高温ガス流路に本質的に存在するので、アルミナ形成性皮膜20のもたらす効果は顕著である。
ニオブ基合金又は複合材料上でアルミナ酸化物スケール26を持続的に形成できる皮膜の開発に成功できたことは、従来技術の教示内容に反することであった。皮膜20が自律的アルミナ酸化物スケール26を形成できることは、以下の表Iに示す皮膜20中の金属間化合物相の種類及び概略相対量(体積百分率基準)に起因する。上述の通り、オーバーレイ堆積法により、表Iに示す量の金属間化合物相を形成する量のアルミニウム及び皮膜20のその他の成分を堆積させることができる。皮膜20において、M5(Al,Si)3及び/又はM3Si5Al2金属間化合物相は、概して、主M(Al,Si)3相で形成されるマトリックス中に分散する。
上述の相を有するオーバーレイ皮膜20を生じさせることのできる概略化学組成(原子百分率に基づく)及び量を以下の表IIに示す。
皮膜20中のアルミニウムの存在及び使用量は、上述の金属間化合物相を形成するとともに、所望のアルミナ酸化物スケールの成長及び維持のためのものである。皮膜20にハフニウムを配合することによって、皮膜20とNb基合金及びNb−Si複合材料基材との化学的適合性を増進させることができる。
以上、幾つかの実施形態を参照して本発明を説明してきたが、他の形態を当業者が採用できることは自明である。よって、本発明の技術的範囲は専ら特許請求の範囲によって規定される。
10 タービン動翼
12 翼形部
14 ダブテール
16 プラットフォーム
18 表面領域
20 皮膜
22 オーバーレイ領域
24 拡散域
26 スケール

Claims (10)

  1. ニオブ基基材(18)の表面の耐酸化性を増進させることのできる皮膜(20)であって、アルミニウムと、ケイ素と、ニオブ、チタン、ハフニウム及びクロムの少なくとも1種とを含む組成物からなり、該組成物が、M(Al,Si)3、M5(Al,Si)3及びM3Si5Al2からなる群から選択される1種以上の金属間化合物相(式中、Mはニオブ、チタン、ハフニウム及び/又はクロムである。)を含む皮膜(20)。
  2. 前記組成物が、約0〜約90体積%のM(Al,Si)3金属間化合物と、約0〜約50体積%のM5(Al,Si)3金属間化合物相と、約0〜約30体積%のM3Si5Al2金属間化合物相とから基本的になる、請求項1記載の皮膜(20)。
  3. 前記組成物が、約40〜約90体積%のM(Al,Si)3金属間化合物と、約5〜約40体積%のM5(Al,Si)3金属間化合物相と、約1〜約25体積%のM3Si5Al2金属間化合物相とから基本的になる、請求項1記載の皮膜(20)。
  4. 前記組成物が、約50〜約90体積%のM(Al,Si)3金属間化合物と、約5〜約30体積%のM5(Al,Si)3金属間化合物相と、約1〜約20体積%のM3Si5Al2金属間化合物相とから基本的になる、請求項1記載の皮膜(20)。
  5. 当該皮膜(20)がオーバーレイ皮膜(20)である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の皮膜(20)。
  6. 当該皮膜(20)が拡散皮膜である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の皮膜(20)。
  7. 当該皮膜(20)が、主にアルミナからなる酸化物スケール(26)を表面に有する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の皮膜(20)。
  8. 当該皮膜(20)が、ニオブ基基材(18)の表面と密着している、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の皮膜(20)。
  9. 前記ニオブ基基材(18)が、5重量%以下のアルミニウム、1重量%以下の炭素、5重量%以下のコバルト、20重量%以下のクロム、5重量%以下の鉄、10重量%以下のハフニウム、3重量%以下のマンガン、15重量%以下のモリブデン、0.2重量%以下のケイ素、30重量%以下のタンタル、20重量%以下のチタン、8重量%以下のバナジウム、15重量%以下のタングステン、10重量%以下のジルコニウム、5重量%以下の希土類元素、25重量%以下の白金族金属、残部のニオブ及び不可避不純物からなる組成を有するモノリシックニオブ基合金である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の皮膜(20)。
  10. 前記基材(18)がガスタービンエンジンの部品(10)である、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の皮膜(20)。
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