JP2006257451A - 耐熱合金の耐酸化被覆構造および被覆方法 - Google Patents

耐熱合金の耐酸化被覆構造および被覆方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素を遮断する表面酸化物層と内部合金とのはく離、および酸化の進行を抑制することにより、耐酸化性に優れた被覆構造を有する耐熱合金を提供する。
【解決手段】耐熱合金の基材表面に、必要に応じて拡散防止を目的とする第一層の合金皮膜が形成され、さらにその表面に少なくともAl又はSiを含む合金層中に強化繊維が分散された第二相の複合皮膜が形成された耐熱合金の耐酸化被覆構造。とくに耐熱合金が二オブ基合金の場合に、第一層の合金皮膜はRe及びReと安定な相を形成する元素を2種以上含むものとし、第二層皮膜は、少なくともAlを含みCrとNiのうちの1種以上を含む合金層中に、強化繊維が分散されたものとする。また、上記の強化繊維として、平均アスペクト比2〜1,000の酸化物系セラミックスの繊維又はウィスカーを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスタービン、ジェットエンジン等に用いられるニオブ基合金等の耐熱合金に係り、とくに基材表面に高温酸化を抑制するための皮膜が形成された耐熱合金の耐酸化被覆構造とその被覆方法に関する。
近年、発電用ガスタービンの運転温度の一層の高温化が求められ、従来からタービン部材として多用されているNi基合金よりも、使用温度限界の高い新たな耐熱材料が必要となっている。このような材料の一つとして、ニオブ(Nb)系の耐熱材料、例えば固溶強化型又は析出強化型のNb合金やNb−Al系金属間化合物等(本発明では、これらをニオブ基合金という)が注目されている。
これらのニオブ基合金は高温強度に優れるが、いずれも高温域例えば800℃以上の温度域ではきわめて酸化され易く、ガスタービンのような高温の酸化性雰囲気下でそのまま使用することは困難であり、耐酸化を目的とするコーティングについて種々の検討がなされている。
従来から、高温酸化性雰囲気下で使用する金属部材の耐熱・耐酸化被覆として、CrやAlの拡散層を形成する方法や、セラミックコーティングする方法が検討されている。とくにNi基合金においては、遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)と呼ばれる方法が主流になっている。これは基材表面に金属結合層と、その表面にセラミックスの遮熱層を積層してなるもので、金属結合層にはMCrAlY合金(M=Ni,Coなど)が、遮熱層にはZrO2を主成分とするセラミックスが用いられることが多い。
ニオブ基合金の耐酸化被覆としては、Irの表面被覆層、又はIrの表面被覆層とその下側にTa,Re,Wのうちの1種以上を主成分とする拡散防止層とが形成されたNb合金耐熱部材が開示されている(下記特許文献1)。また、基材表面にIrを真空蒸着すると同時にAlイオン照射を行い、Ir−Al合金からなる被覆層を形成する耐酸化被覆層の製造方法が開示されている(下記特許文献2)。
また、本発明者らも、先に耐熱性に加えて耐酸化性にも優れた二オブ基合金の耐熱部材について提案している(下記特許文献3)。この耐熱部材は、二オブ基合金基材の表面に、構成元素の拡散を防ぐためのRe基合金からなる第一層(拡散防止層)皮膜と、さらにその表面に酸化物皮膜(Al23又はSiO2)を形成するためのAl又はSiを供給するAl基合金又はSi基合金からなる第二層(酸化防止層)皮膜との、2層の耐酸化皮膜を有するものである。
特開平10−140333号公報 特開平10−140347号公報 WO02/27067A1(特願2002−530827) 柴田、市橋:岐阜県製品技術研究所研究報告No.4,2003
本発明者らが既に提案した上記の2層皮膜を有する二オブ基合金は、耐酸化皮膜の酸素遮断性と耐拡散性を兼ね備え、耐熱性に加えて耐酸化性にも優れる。とくに、Re基合金の中間被覆層を設けることにより、これが表面皮膜と基材間の元素の拡散を抑制するため、耐酸化皮膜の変質を防くことができ、皮膜の耐久性が確保される。しかし、本発明の対象である二オブ基合金は、実用金属材料として最も耐熱性に優れるニッケル基合金でも対応できない、1200℃以上の温度域での使用を目的とするものである。かかる超高温域では、表面に形成されるAl23と内部合金との熱膨張率の差によって皮膜がはく離し易くなり、これによる酸化の進行が無視できなくなることが知見された。
そこで本発明は、耐熱合金とくにニオブ基合金の基材表面に、Re基合金からなる拡散防止層と、さらにその表面にAl基合金又はSi基合金からなる酸化防止層との2層の耐酸化被覆構造を有する耐熱部材において、最外面に形成されるAl23皮膜又はSiO2皮膜と内部合金との熱膨張率の差による皮膜のはく離やき裂の発生を防止して、これに起因する酸化の進行を抑制する手段を提供することを課題としている。
本発明者らは各種の皮膜はく離防止策を検討した結果、表面の酸化防止層に短繊維又はウィスカーを添加することにより、表面に形成されるAl23又はSiO2皮膜と内部合金との間に連結作用が働き、熱膨張率の差による皮膜はく離、ひいては酸化の進行を著しく抑制できることを見出した。
この知見に基く本発明の耐熱合金の耐酸化被覆構造の第一は、
耐熱合金の基材表面に、少なくともAl又はSiを含む合金層中に強化繊維が分散された耐酸化皮膜が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の耐熱合金の耐酸化被覆構造の第二は、
耐熱合金の基材表面に、拡散防止を目的とする第一層の合金皮膜が形成され、さらにその表面に、少なくともAl又はSiを含む合金層中に強化繊維が分散された第二層の皮膜が形成されていることを特徴とするものである。
上記の第二の耐酸化被覆構造においては、
耐熱合金がニオブ基合金である場合に、前記第一層の合金皮膜が、一般式Re1-a-bab(式中、MはCr,Ni,Alのうち1種以上の元素、RはNb,Mo,W,Hf,Cのうち1種以上の元素、a,bはそれぞれM,Rの原子比である)で表される組成を有するものであり、かつ前記第二層皮膜が、少なくともAlを含みCrとNiのうちの1種以上を含む合金層中に、強化繊維が分散されたものであることが好ましい。
このニオブ基合金の耐酸化被覆構造においては、前記第一層の合金皮膜が、一般式Re1-d-ede(式中、TはCrとSiのうちの1種以上の元素、RはNb,Mo,W,Hf,Zr及びCからなる群より選ばれた1種以上の元素で、d,eはそれぞれT,Rの原子比である)で表される組成を有するものであり、かつ前記第二層皮膜が、少なくともSiを含みMo,W,Nbのうちの1種以上を含む合金層中に、強化繊維が分散されたものであってもよい。
上記の耐酸化被覆構造のいずれにおいても、前記強化繊維が、酸化物系セラミックスの繊維又はウィスカーからなる群より選ばれた1種又は2種以上であって、平均アスペクト比2〜1,000の短繊維又はウィスカーからなり、かつ第二層皮膜中の強化繊維の含有率が3〜50体積%であることが好ましい。
本発明の耐熱合金の被覆方法の第一は、上記第一の耐酸化被覆構造を形成する方法であって、耐熱合金の基材表面に、少なくともAl又はSiを含む金属粉末と強化繊維とをバインダー中に分散させた塗料の塗膜を形成し、次いでこの塗膜中の前記金属粉末を焼結させる熱処理を施すことを特徴とするものである。
また、本発明の耐熱合金の被覆方法の第二は、上記第二の耐酸化被覆構造を形成する方法であって、耐熱合金の基材表面に前記第一層の合金皮膜を形成し、
さらにその表面に、少なくともAl又はSiを含む金属粉末と強化繊維とをバインダー中に分散させた塗料の塗膜を形成し、次いでこの塗膜中の前記金属粉末を焼結させる熱処理を施すことを特徴とするものである。
上記の被覆方法のいずれにおいても、前記熱処理に際し、2種以上の金属粉末を燃焼合成法により反応させて、金属間化合物を生成させてもよい。
本発明により、基材表面にRe基合金からなる拡散防止層と、さらにその表面にAl基合金又はSi基合金からなる酸化防止層との2層の耐酸化皮膜を有するニオブ基合金において、最外面に形成されるAl23又はSiO2皮膜中に含まれる強化繊維のくさび止め効果により、この皮膜と内部合金との熱膨張率の差による皮膜のはく離や亀裂の発生を防止することができ、これらの皮膜欠陥に起因する酸化の進行を抑制することが可能になった。
本発明の耐酸化被覆構造は、ニオブ基合金の場合にとくに有用であるが、その他の耐熱合金、例えばニッケル基、クロム基、コバルト基、モリブデン基等の合金にも適用することができる。
図1は、本発明のニオブ基合金の耐酸化被覆構造を示す断面模式図である。この耐酸化被覆は2層の皮膜からなり、下側の第一層皮膜2は合金皮膜であり、上側の第二層皮膜3は、合金層中に強化繊維5が分散された複合材料の皮膜である。第二層皮膜3は、合金層中に酸化物のもとになる金属元素(Al又はSi)を含有していて、これが雰囲気中の酸化性ガスにより酸化され、表面に酸化物層(Al23又はSiO2)を生成することにより、雰囲気中の酸素や窒素等の非金属元素を遮断する。一方、第一層皮膜2は基材1と第二層皮膜3の間の元素の拡散防止を主な目的とする。
まず、本発明の耐酸化被覆構造において、第二層皮膜3中に強化繊維5を分散させる理由について説明する。この第二層皮膜3は、表面に生成した酸化物層がはく離等により脱落を起こした場合に、合金層が露出した表面で、Al又はSiが酸化されて酸化物層が再生されるため、自己補修の機能を有している。しかしながら、この酸化物層と合金層本体との熱膨張率の差がきわめて大きいため、非常にはく離し易い。しがって、酸化物層のはく離と再生が繰り返されて、第二層皮膜3の酸化侵食の速度が非常に大きくなるという問題がある。そこで、強化繊維5のくさび止め効果によって、最表面の酸化物層の脱落を防止し、第二層皮膜3の耐久性を確保することが、強化繊維5を分散させる目的である。
第二層皮膜3の合金層の組成は、酸化物形成元素がAlの場合(Al系)とSiの場合(Si系)に大別される。Al系での合金層は、少なくともAlを含み、かつCrとNiのうちの1種以上を含む。Alは表面に緻密な酸化物皮膜を形成するために必要な元素であり、CrとNiのうちの1種以上は、Alとの間に高温で安定な相(合金又は金属間化合物)を形成するため必要な元素である。一方、Si系での合金層は、少なくともSiを含み、かつMo,W,Nbのうちの1種以上を含む。この場合は、Siが酸化物皮膜形成元素で、Mo,W,Nbのうちの1種以上が、Siとの間に高温で安定な相(合金又は金属間化合物)を形成する元素である。
第二層皮膜3の合金層中に分散させる強化繊維としては、酸化物系セラミックスの繊維又はウィスカーのうちの1種又は2種以上を用いることができる。酸化物系セラミックスとしては、アルミナ系、高シリカ系、アルミナ−シリカ系、シリケート(ガラス)系、ジルコニア系の繊維や、繊維化可能な各種金属酸化物の繊維を用いることができる。
本発明においては、強化繊維として平均アスペクト比が2〜1,000の短繊維又はウィスカーを用いることが好ましい。その理由は、長繊維を薄い皮膜中に分散させることはきわめて困難であり、短繊維の方が第二層皮膜中に均一に分散させることが容易なためでる。
後述するように、合金層の原料粉末と強化繊維とを混合して焼結させるので、強化繊維の径は、原料粉末の粒径と同程度又はそれ以下であることが好ましい。上記のいずれの繊維でも、数〜数十ミクロンの極細繊維を入手することは可能であるから、おおむね原料粉末の粒径と同程度の繊維を用いることができる。また、ウィスカーの径は通常数ミクロン程度以下であるから、本発明においてとくに好適である。
ウィスカーとしては、例えばアルミナ、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、マグネシア、酸化亜鉛等の非金属のウィスカーを用いることができる。
第二層皮膜中の強化繊維の含有率は3〜50体積%であることが好ましい。強化繊維の含有率が3体積%未満では繊維による強化効果が不十分であり、50体積%を超えると緻密な皮膜生成が困難になり、これに伴い酸化が促進されて逆効果となる。より好ましい強化繊維の含有率の範囲は、5〜30体積%である。
なお、第二層皮膜の合金層中の酸化物形成元素(Al又はSi)の原子比は、0.05〜0.95であることが好ましい。これが0.05未満では、緻密な酸化物皮膜を形成するという機能が不十分となり、これが0.95を越えると、相対的に他の元素の量が少くなって、高温で安定な相を形成することができなくなるためである。
次に、第一層皮膜2の構成物質及び機能は、前記特許文献3の場合と同様であるが、以下に簡単に説明する。この合金皮膜の組成はAl系とSi系で相違する。Al系では、一般式Re1-a-bab(ここで、Reはレニウムで、MはCr,NiおよびAlよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素、RはNb,Mo,W,Hf,ZrおよびCよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素で、a,bはそれぞれM,Rの原子比である。)で表される組成を有する。
一方、Si系では、一般式Re1-d-ede(式中、TはCrとSiのうちの1種以上の元素、RはNi,Mo,W,Hf,Zr及びCからなる群より選ばれた1種以上の元素で、d,eはそれぞれT,Rの原子比である)で表わされる組成を有する。
Al系、Si系いずれの場合も、Reは拡散防止の主要な役割をする元素である。第一層の合金皮膜を3元系以上の組成物で構成する理由は、第二層皮膜の合金層中の元素のみならず、基材中の元素も予め第一層皮膜に含ませておき、しかも成分ごとに各相における化学ポテンシャルを等しくしておくことによって、拡散を防止するためである。これにより、耐酸化被覆の分解・変質を抑制することができ、皮膜の耐久性を大幅に向上させることができる。
また、Al系における元素MとR、及びSi系における元素TとRは、いずれもReとの間に高温で安定な相を形成する元素が好ましく、かかる元素の添加は第一層皮膜の分解・変質を抑制する上で有効である。例えば、Re−Cr−Ni系のシグマ相や、Re−(Nb,Mo,W)系のシグマ相又はカイ相等の金属間化合物相が好適である。これらの相はそれ自体が高い融点を持つことから、第一層皮膜が分解して消失するのを防止することができ、さらに他の元素の拡散係数が小さいことから、拡散防止の機能を発揮する。
なお、Al系、Si系のいずれの場合も、第一層及び第二層皮膜は、実質的に上記の組成を有するものであればよく、不可避的不純物元素や少量の他の添加元素を含むものであってもよい。
図2は、上記の耐酸化被覆構造を有するニオブ基合金を高温大気に曝露した後の皮膜の変化を示す断面模式図である。図に見られるように、第二層の合金皮膜3の表面に緻密な酸化物層4が形成される。この酸化物層4は、主にAl23又はSiO2からなっており、層厚が小さくても、元素の遮断能は大きい。
この状態で継続して使用した時に、第一層皮膜2は、Reを含む高温できわめて安定な相であり、拡散を抑制する効果が大きい。そのため、第二層皮膜3の分解・変質を防止することができる。また、第二層皮膜3中の強化繊維5は、最表面の酸化物層4にき裂・はく離が生じても、これを繋ぎ止める効果を有するから、酸化物層のはく離による酸化の進行を抑制し、これにより耐酸化被覆の耐久性が確保される。
本発明の被覆方法は、上述のような耐酸化被覆構造を形成するためのものである。以下、図1に示すような2層の皮膜を形成する場合について説明する。まず、基材表面に第一層の合金皮膜を形成する方法は、従来から実用化されている各種の方法のいずれかによればよい。例えばPVD法、CVD法、溶射法、電解被覆法、拡散注入法等のいずれであってもよく、また、これらを組み合わせて用いてもよい。
一方、第二層の複合皮膜(合金層中に強化繊維が分散された皮膜)を基材表面に形成するという技術は、従来あまり実例がなく、かかる技術が確立されているとは言いがたい。本発明者らは、種々検討の結果、所定成分の金属又は合金粉末と強化繊維とをバインダー中に分散させた塗料を調製し、これを基材表面に塗布して塗膜を形成し、その後この塗膜を熱処理して、金属又は合金粉末を焼結させる方法が適切なことを知見した。これにより、強化繊維が金属粉末と固結して、十分な強度の皮膜を形成することができる。なお、当然ながら、熱処理中にバインダー成分の大部分は分解、揮散する。バインダーについてはとくに限定を要しないが、有機物系のバインダーを用いることができ、塗膜を形成し易いように、粘性、基材への付着性、乾燥性等を考慮して適宜選択すればよい。
この塗膜の熱処理に際しては、燃焼合成法により金属間化合物の合成を行うこともできる。燃焼合成法は、2種以上の金属粉末を加熱・反応させて、その反応熱も利用して金属間化合物の合成や焼結体の製造を行うもので、近年ではこれを金属材料上の皮膜形成に応用しようとする報告例もある(前記非特許文献1)。 後記実施例に示すように、上記の第二層皮膜がAl系の場合には、AlとNiの金属粉末から燃焼合成法より、Ni−Al系の金属間化合物を合成し、その際の発熱も利用し(必要により外部からも加熱して)、金属粉末粒子と強化繊維の焼結を進行させることができる。
Nb−5Mo−5W−Cr(モル%)の組成を持つNb基合金をアーク溶解法によりAr雰囲気中で溶製した。原料としては、Nbについては99.99%、Mo、WとCrについては99.9%の粉末あるいは粒状のものを用いた。溶製した合金を1気圧のAr気流中に、1800℃において24時間にわたって加熱して、均質化熱処理とした。その後20×20×2(厚さ)mmの試験片母材を切り出して、被覆処理に供した。
第一層皮膜の形成には、まず母材の表面に塩化レニウムを含む溶融塩化物浴から厚さ5μmの金属Reを、電析させた。続いて、フェロクロム粉末とともにアルミナるつぼに埋め込み、1×10-3Paの真空中において1300℃で10h保持することによりCr蒸気の拡散処理を行い、厚さ約10μmの第一層合金皮膜とした。
次に、同一モル%のAlとNiの純金属粉に、Al23短繊維を約0.6〜60体積%添加しミルを用いて均一に分散させた後、これに有機バインダーとしてパラフィン10重量%を加えて混合したものを約100℃に加熱溶解し、上記試験片母材に塗布した。
この試料を、静水圧プレス後、水素中で一旦550℃に1時間保定して燃焼焼結反応により50Al−Ni(モル%)金属間化合物に合金化焼結した後、有機物を除去するため900℃で10h脱脂を行った。次に、この試料をアルミナ粉とともに1200℃、15min、30MPaのホットプレス処理により、約100μm厚さの50Al−Ni(モル%)合金の第二層耐酸化合金皮膜を形成し、被覆処理を完了した。
この比較材として、上記と同様に厚さ約10μmの第一層Re−Cr合金皮膜を施した試験片に、Ni電気めっきを行った後、Fe−Al合金粉末とともにアルミナるつぼに埋め込み、1×10-3Paの真空中において1000℃で20h保持してAl蒸気拡散処理することで、約100μm厚さの50Al−Ni(モル%)合金の第二層耐酸化合金皮膜の被覆処理を行った。
以上の工程による被覆処理を行った本発明の試験片(本発明材)および比較材を、1350℃の静止大気中で100時間加熱して、酸化処理を行った。その結果、本発明材および比較材ともに、図2に示すように、基材表面の第一層合金皮膜2、第二層耐酸化合金皮膜3が積層し、最表面に酸化物層(Al、O)4が形成された二オブ基合金耐熱部材が得られた。ここで、本発明材では、第二層耐酸化合金皮膜中のAlの優先酸化に伴い、表面に形成するAl23酸化膜中の一部耐酸化合金層側にはAl23短繊維が包含されていた。
本発明及び比較材の成膜後の第二層耐酸化合金皮膜の繊維含有量、および酸化処理後の表面酸化物層(ほぼ全量がAl23で構成)のはく離比率・酸化増量を、表1に示す。なお、ここではく離比率とは、以下の定義で表す。
はく離比率 =(はく離Al23量 ÷ 全Al23量)×100
Figure 2006257451
以上の結果から、第二層への繊維含有の場合、Al23短繊維の含有率がわずか3.4体積%でも、はく離比率、すなわち密着性が著しく改善されたことがわかる。しかし、Al23短繊維が62.6体積%の場合、はく離比率は小さくて良好であるが、酸化が非常に進行した。これは、繊維含有量が多くなり過ぎたことにより充填密度が低下し、酸化をむしろ促進させたためと推定される。
本発明の耐熱合金の耐酸化被覆構造の例を示す断面模式図である。 本発明の耐熱合金を高温大気に曝露した後の皮膜の変化を示す断面模式図である。
符号の説明
1 基材
2 第一層皮膜
3 第二層皮膜
4 酸化物層
5 強化繊維

Claims (7)

  1. 耐熱合金の基材表面に、少なくともAl又はSiを含む合金層中に強化繊維が分散された耐酸化皮膜が形成されていることを特徴とする耐熱合金の耐酸化被覆構造。
  2. 耐熱合金の基材表面に、拡散防止を目的とする第一層の合金皮膜が形成され、さらにその表面に、少なくともAl又はSiを含む合金層中に強化繊維が分散された第二層の皮膜が形成されていることを特徴とする耐熱合金の耐酸化被覆構造。
  3. 前記耐熱合金がニオブ基合金であり、前記第一層の合金皮膜が、一般式Re1-a-bab(式中、MはCr,Ni,Alのうち1種以上の元素、RはNb,Mo,W,Hf,Cのうち1種以上の元素、a,bはそれぞれM,Rの原子比である)で表される組成を有するものであり、かつ前記第二層皮膜が、少なくともAlを含みCrとNiのうちの1種以上を含む合金層中に、強化繊維が分散されたものである請求項2記載の耐酸化被覆構造。
  4. 前記耐熱合金がニオブ基合金であり、前記第一層の合金皮膜が、一般式Re1-d-ede(式中、TはCrとSiのうちの1種以上の元素、RはNb,Mo,W,Hf,Zr及びCからなる群より選ばれた1種以上の元素で、d,eはそれぞれT,Rの原子比である)で表される組成を有するものであり、かつ前記第二層皮膜が、少なくともSiを含みMo,W,Nbのうちの1種以上を含む合金層中に、強化繊維が分散されたものである請求項2記載の耐酸化被覆構造。
  5. 前記強化繊維が、酸化物系セラミックスの繊維又はウィスカーからなる群より選ばれた1種又は2種以上であって、平均アスペクト比2〜1,000の短繊維又はウィスカーからなり、かつ第二層皮膜中の強化繊維の含有率が3〜50体積%である請求項1乃至4のいずれかに記載の耐酸化被覆構造。
  6. 請求項1記載の耐酸化被覆構造を形成する方法であって、
    耐熱合金の基材表面に、少なくともAl又はSiを含む金属粉末と強化繊維とをバインダー中に分散させた塗料の塗膜を形成し、次いでこの塗膜中の前記金属粉末を焼結させる熱処理を施すことを特徴とする耐熱合金の被覆方法。
  7. 請求項2乃至5のいずれかに記載の耐酸化被覆構造を形成する方法であって、耐熱合金の基材表面に前記第一層の合金皮膜を形成し、
    さらにその表面に、少なくともAl又はSiを含む金属粉末と強化繊維とをバインダー中に分散させた塗料の塗膜を形成し、次いでこの塗膜中の前記金属粉末を焼結させる熱処理を施すことを特徴とする耐熱合金の被覆方法。
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