JP2011078421A - 封入体における高い量の正しく折りたたまれた異種タンパク質の生産方法 - Google Patents

封入体における高い量の正しく折りたたまれた異種タンパク質の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異種タンパク質が発現される生物において形成される非古典的封入体から異種タンパク質を得ることを含む、異種タンパク質の生産のための改善された方法を提供する。
【解決手段】異種タンパク質としてのタンパク質の発現を含み、発現後に前記異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体が封入体内に蓄積される、タンパク質の生産のための方法。異種タンパク質としてのタンパク質の生合成を実施することを含み、前記異種タンパク質の前駆体が微生物の封入体内で形成され、その前駆体が非変性条件下で生物活性異種タンパク質を形成できるように生合成を実施すること;前記前駆体を非変性条件下で封入体から単離し、それによって生物活性異種タンパク質を形成すること、の工程を含む、タンパク質の生産のための方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、異種タンパク質が発現される生物において形成される封入体から異種タンパク質を生産する新しい方法に関する。本発明の原理は、主として生物活性顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を生産する方法を対象として説明するが、適切な発現生物から発現される広範囲の異種タンパク質に適用することができる。
ヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG−CSF)は、好中球の形成において決定的な役割を有する造血系増殖因子に属する。G−CSFは、血液学及び腫瘍学の分野において薬剤中で使用されている。現在、臨床使用のための2つの形態:グリコシル化されており、哺乳類細胞、特にCHO細胞系において生産されるレノグラスチム(Holloway CJ(1994)Eur J Cancer 30A Suppl 3:S2−S6,欧州特許第169566号)、及びグリコシル化されておらず、大腸菌におけるその発現後に生産されるフィルグラスチム(欧州特許第237545号)、が市販されている。
細菌である大腸菌における異種G−CSFの細胞内生産のために、前記タンパク質は封入体(古典的封入体)の形態で蓄積される。大腸菌ペリプラズムへの分泌の実験では、G−CSFが古典的封入体の形態で蓄積されるか(Lei S.Pら(1987)J Bacteriol 169:4379−4383;Chung BHら(1998)J Ferment Bioeng 85:443−446)、又はこのようにして生産されるG−CSFの生物活性に関する報告は存在しない(Jeong KJ&Lee SY(2001)Protein Expression and Purification 23:311−318)。
上記より、従来技術において大腸菌からのG−CSFの単離について記述されているほとんどすべての実験では、G−CSFが古典的封入体内で認められることは明らかである。
古典的封入体の形成に関する同様の所見は、G−CSF以外の異種タンパク質の生産方法にもあてはまる。
酵母において生産される古典的封入体の幾つかの例が記述されているが、G−CSFに関する報告はない。
天然条件下で水ベースの液体に不溶の封入体(古典的封入体)から正しく折りたたまれた生物活性タンパク質を生産するには、その封入体を細胞から単離し、洗浄して、可溶化し、次にインビトロでの再生を実施しなければならない。インビトロでの再生は、大規模なタンパク質分離の方法においては付加的な工程である。
古典的封入体から組換えタンパク質を生産する方法は、細胞の溶解と破壊及びそれに続く遠心分離を含む。大きな割合の古典的封入体を含むペレットを、通常は界面活性剤で洗浄する。G−CSFの単離のためには、1%デオキシコール酸塩(Zsebo KMら(1986)Immunobiology 172:175−184、欧州特許第237545号;米国特許第5849883号)又は0.1%Tween 80を加えた1.0M NaCl溶液(Gelunaite Lら(2000)J Chromatogr A 904:131−143)による古典的封入体の洗浄が簡便であると報告されている。
組換えタンパク質を入手する場合のさらなる工程は、一般にかなり強い変性剤の使用を必要とする古典的封入体の可溶化である。G−CSFの生産に関しては、6M GdHCl(Wingfield Pら(1988)Biochem J 256:213−218;Zink Tら(1992)FEBS Lett 314:435−439)、pH7.2での7M尿素(Kuga Tら(1989)Biochem Biophys Res Commun 159:103−111)又はpH8.0での8M尿素(Yamasaki Mら(1998)Biosci Biotechnol Biochem 62:1528−1534)、20mMトリス/HClの使用及びEDTAとDTTの添加が記述されている。Kang S−Hとその共同研究者達は、約12の強いアルカリ性pHの2M尿素に古典的封入体を可溶化することに成功した(Kang SHら(1995)Biotechnol Lett 17:687−692)。同様の方法は、短期間pHを11.5に上昇させることを伴う10mM HEPES緩衝液での可溶化である(Gelunaite Lら(2000)J Chromatogr A 904:131−143)。変性濃度の強力な変性剤、例えば50mMトリス/HCl pH8.5中5%エタノールを加えた1%SDSも、同様に可溶化のために有効である(Souza LMら(1986)Science 232:61−65)。2%N−ラウロイルサルコシンがしばしば使用され、(Lu HSら(1992)J Biol Chem 267:8770−8777;Lu HSら(1993)Protein Expr Purif 4:465−472;Young DCら(1997)Protein Science 6:1228−1236;欧州特許第237545号;米国特許第5849883号)又は1%N−ラウロイルサルコシンが単独で使用される(Zsebo KMら(1986)Immunobiology 172:175−184)。ほとんどの場合、古典的封入体の可溶化は、毒性であり、非自然共生性で、深刻な環境汚染物質である強力な界面活性剤の使用を必要とする。それらの使用はまた、工程終了後の安全な除去のために付加的な費用と時間がかかるので、非経済的である。
例えばC4 RP HPLCでの最初のクロマトグラフィー工程における(Souza LMら(1986)Science 232:61−65;Zsebo KMら(1986)Immunobiology 172:175−184;欧州特許第237545号)又はゲルろ過を使用することによる(Wingfield Pら(1988)Biochem J 256:213−218;米国特許第4999291号)、変性条件下でのタンパク質の分離の幾つかの例が記述されているが、大部分の例においては、予備的なインビトロ再生後にクロマトグラフィー分離を実施する。
強力な変性剤中での古典的封入体の可溶化に続いて、インビトロでのタンパク質の再生を実施する。再びG−CSFを例にとると、そのインビトロ再生は、より低い(非変性)濃度の変性剤を含む緩衝液に対する透析によって(Wingfield Pら(1988)Biochem J 256:213−218)、変性剤を含まない緩衝液に対する透析によって(Kuga Tら(1989)Biochem Biophys Res Commun 159:103−111)、0.8Mアルギニンを加えた緩衝液中で(Zink Tら(1992)FEBS Lett 314:435−439)、又はゲルろ過によって(米国特許第4999291号;D.C.Youngら(1997)Protein Science 6:1228−1236)達成される。変性濃度のN−ラウロイルサルコシン中で可溶化した後、室温で長期間攪拌しながら低濃度のCuSOを添加し、その後強塩基性イオン交換体を使用した界面活性剤の除去によって酸化的折りたたみが達成される(米国特許第5849883号)。極端なアルカリ性条件下で可溶化を実施する場合、より低いpHを回復することによってタンパク質は自然に再生される(Kang SHら(1995)Biotechnol Lett 17:687−692)。インビトロ再生のために記述されている方法はすべて、複雑であり、時間がかかる。大規模な希釈は大容量の装置を必要とし、従ってより高い初期投資(より大きな場所、より大きな装置等)が必要であり、また生産のためにより高い操作費用(電力、水、緩衝剤等)がかかる。
オリゴペプチド親水性タグ及びIgAプロテアーゼについての制限部位がN末端に付加されている融合タンパク質では、改善されたインビトロ再生が実現される(欧州特許第0500108号)。
文献において細胞質内の可溶性タンパク質の割合の上昇が報告されている(Weickert MJら(1997)、Appl and Environmental Microbiology,63:4313−4320;Bhandari P&Gowrishankar J(1997)J.Bacteriol,179:4403−4406;Zhang Yら(1998)Protein Expr Purif,12:159−165;Thomas JGとBaneyx F(1996)J of Biological Chemistry,271:11141−11147;Kapust RBとWaugh DS(1999)Protein Science,8:1668−1674;Davis GDら(1999)Biotech and Bioeng 65:382−388)が、封入体内での蓄積に代わる細胞質内での可溶性G−CSFの生産に関する報告はない。
本発明者らの知る限り、特許及び学術文献において、既に封入体内にある正しく折りたたまれた異種タンパク質の割合の上昇に関する報告はこれまでのところ存在しない。
G−CSFの場合は、インビトロでの再生が第一条件として、それ故生物活性タンパク質の生産のための唯一の可能な方法として報告されている(Rudolph R(1996)in Protein Engineering:Principles and Practice(Cleland JLとCraik CS編集)pp.283−298,Wiley−Liss,Inc.,New York)。
欧州特許第169566号 欧州特許第237545号 米国特許第5849883号 米国特許第4999291号
Holloway CJ(1994)Eur J Cancer 30A Suppl 3:S2−S6 Lei S.Pら(1987)J Bacteriol 169:4379−4383 Chung BHら(1998)J Ferment Bioeng 85:443−446 Jeong KJ&Lee SY(2001)Protein Expression and Purification 23:311−318 Zsebo KMら(1986)Immunobiology 172:175−184 Gelunaite Lら(2000)J Chromatogr A 904:131−143 Wingfield Pら(1988)Biochem J 256:213−218 Zink Tら(1992)FEBS Lett 314:435−439 Kuga Tら(1989)Biochem Biophys Res Commun 159:103−111 Yamasaki Mら(1998)Biosci Biotechnol Biochem 62:1528−1534 Kang SHら(1995)Biotechnol Lett 17:687−692 Souza LMら(1986)Science 232:61−65 Lu HSら(1992)J Biol Chem 267:8770−8777 Lu HSら(1993)Protein Expr Purif 4:465−472 Young DCら(1997)Protein Science 6:1228−1236 Weickert MJら(1997)、Appl and Environmental Microbiology,63:4313−4320 Bhandari P&Gowrishankar J(1997)J.Bacteriol,179:4403−4406 Zhang Yら(1998)Protein Expr Purif,12:159−165 Thomas JGとBaneyx F(1996)J of Biological Chemistry,271:11141−11147 Kapust RBとWaugh DS(1999)Protein Science,8:1668−1674 Davis GDら(1999)Biotech and Bioeng 65:382−388 Rudolph R(1996)in Protein Engineering:Principles and Practice(Cleland JLとCraik CS編集)pp.283−298,Wiley−Liss,Inc.,New York
異種タンパク質が発現される生物において形成される非古典的封入体から異種タンパク質を得ることを含む、異種タンパク質の生産のための改善された方法を提供することが本発明の目的である。
その目的は、請求項1、2、27及び33に規定する選択的方法のいずれかによって解決される。本発明に従った方法の好ましく且つ有益なさらなる開発を従属する請求項の中で述べる。本発明はまた、請求項36に記載の使用を提供する。
本発明の概念は、細菌及び酵母のような微生物などの適切な宿主細胞系において発現させうる多様な異種タンパク質に適用することができる。本発明は特にG−CSFの生産に関して開発された。本発明の概念は、中でも特に、比較的疎水性のタンパク質から形成される封入体の形成を含むので、本発明は、他の異種タンパク質の生産、特にあまり多すぎるジスルフィド結合は持たないタンパク質の生産にも容易に適用できる。本発明は、それ故、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EGF、HSA、デオキシリボヌクレアーゼ、FGF、TNF−α、TNF−β、インターフェロン及びインターロイキンから成る群の異種タンパク質の生産に特に適する。
本発明に従った方法の基礎として、驚くべきことに、G−CSFが、古典的封入体よりも高い量の正しく折りたたまれた前駆体を有する封入体において正しく折りたたまれた前駆体の形態で蓄積されうることが認められた。あるいは、G−CSFの生合成の調節は、直接封入体において、非変性条件下で又は変性/再生工程なしで、生物活性G−CSFを生成できる実質的な割合の異種タンパク質の前駆体を生産可能にする。また前述したような他の異種タンパク質の場合にも、やはり本発明に従った方法において封入体中のそのような他の異種タンパク質の蓄積が可能であると期待される。
本発明の1つの特定局面では、既に、生合成、すなわち発酵及びタンパク質発現工程の間の条件又はパラメータは、異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体の形成を制御し、好都合に促進又は増強するように調整される。生合成を実施する方法を考慮に入れた工程は、既に封入体内にあるG−CSF、すなわち異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体の蓄積を可能にすると想定される。前記工程のそのような実施方法、すなわち封入体内で異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体を形成し、増加させるという見地から生合成を調節し、有益に制御することは、培養温度、培地の組成、誘導様式、発酵の実施原理、ストレスを生じさせることができる物質の添加、及び補助タンパク質の同時発現を含む群より選択される1つ以上の条件を含む。生合成の制御は、従来の生合成条件と比較したとき、より低い温度、発酵培地及び発酵のタイプの選択、誘導物質及び誘導様式の選択、及びストレスの誘発などの調整及び/又は変更を含む。
本発明のもう1つの特定局面では、封入体内に認められる異種タンパク質の前駆体を、封入体からの異種タンパク質の単離及び精製の工程中、前記異種タンパク質にとっての非変性条件下に保持する。本発明の生物活性異種タンパク質の生産のための方法の特に好ましい実施態様は、従って、好ましくは洗浄工程に続く、非変性条件、好ましくは天然条件下での封入体の可溶化をさらに含み、変性剤を使用する必要なしに又は変性/再生工程を適用する必要なしに、生物活性タンパク質の直接の単離を可能にする。本発明は異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体の実質的な割合を有する封入体(非古典的封入体)の生産を可能にするので、本発明のこの特定局面は、変性/再生工程を必要としない、前記タンパク質の生産の非常に効率的な方法を提供する。
図1は、SDS−PAGE及びタンパク質染色による、本発明に従った様々な条件に依存して得られた封入体内のタンパク質組成の分析を示す。 図2は、SDS−PAGE及びタンパク質染色によって分析したときの、本発明に従った培養温度(25℃又は37℃)に依存する封入体の可溶化の比較を示す。 図3は、SDS−PAGE及びタンパク質染色による、本発明に従った様々な条件に依存する封入体内のタンパク質組成の分析を示す。 図4は、SDS−PAGE及びタンパク質染色によって分析したときの、本発明に従った種々の溶液による洗浄/可溶化に依存する封入体の可溶化の比較を示す。
本発明を、本発明の基本的概念と好ましい実施態様の両方に関して以下でさらに詳細に説明する。本発明は、しかしながら、特定して述べる実施態様に限定されず、当業者は添付の特許請求の範囲内で多様性及び改変が存在することを了解するである。
驚くべきことに、異種タンパク質を発現する生物の培養又は発酵に影響することにより、特に前記生物によって行われる生合成に影響することにより、生物活性G−CSFの生産、及びそれに対応して他の異種タンパク質の生産を、G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体が封入体内に蓄積されるように実施することができることが見出された。このようにして非古典的封入体を形成することができる。
特許及び学術文献に述べられている封入体は、不正確に折りたたまれた又は部分的に正しく折りたたまれたタンパク質の不溶性の緻密な凝集物(古典的封入体)を提供するが、本発明ではG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体が封入体内に蓄積され、非古典的封入体を形成しうることが実現された。以下で述べる、生合成に有益な影響を及ぼす2つ以上の条件、好ましくは多数の条件の組合せを遵守することにより、封入体内に認められるG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の量が著明に上昇する。G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体を含む封入体(非古典的封入体)は、当技術分野で認められる封入体(古典的封入体)よりも可溶性である。より高い溶解度は、より容易でより時間のかからない封入体からのG−CSFの生産を可能にする。それ故、その大規模生産においては収率が高く、有用で、実用的且つ経済的である。
ここで使用する古典的封入体という用語は、従来技術において記述されている、主として誤って折りたたまれたタンパク質を含む不溶性又はわずかに可溶性の(非変性水溶液などの非変性条件下での媒質中)封入体を指す。
ここで使用する非古典的封入体という用語は、古典的封入体よりも可溶性であり(非変性水溶液などの非変性条件下での媒質中)、ある程度の量の異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体を含む封入体を指す。
ここで使用する異種タンパク質(G−CSFなど)の「正しく折りたたまれた前駆体」という用語は、ジスルフィド結合がまだ形成されていないか又は完全には形成されていない、正しいコンフォメーションを有する(天然コンフォメーションが存在するか又は固有に生成されうる)タンパク質(例えばG−CSF)を指す。あるいは、「正しく折りたたまれた前駆体」という用語は、封入体内に存在し、その形態が変性剤又は強力なアルカリ溶液なしでも直接可溶化されて、生物活性タンパク質を提供することができる異種タンパク質の形態とすることができる。これは、例示的な異種タンパク質G−CSFを説明する実施例において明らかにされる。
本発明者らは、G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体は、非古典的封入体内に存在する不溶性凝集物の中に幾分か捕獲されており、それ故これらの凝集物からの単離だけが必要であると考える。その単離は封入体の可溶化によって実施され、好ましくは可溶化に先立って洗浄工程を実施する。そのような単離のためには穏やかな可溶化剤だけを使用すべきであり、古典的封入体の可溶化のために慣例的に使用される強力な変性剤は回避することができる。可溶化に先立つ洗浄工程は、好ましくは正しく折りたたまれた前駆体が洗浄液によって溶解しない条件下で実施すべきである。G−CSF前駆体の単離の工程は、自然酸化を可能にし(例えば空気中の酸素の存在によって)、分子内ジスルフィド架橋の自然形成を許容すると推定される。所望する場合は、洗浄及び/又は可溶化の間に、CuSO又は他の金属塩などの小量の触媒で適切に処理することによってジスルフィド結合の形成を促進することができる。それによって生物活性G−CSFを入手し、直接単離して、適切な精製手法によって精製することができる。
発現後に、古典的封入体内に認められる異種タンパク質の生産の他の既知の手法と比較して、本発明の手順は経済的見地からより優れる。強力な界面活性剤で洗浄する代りに水又は緩衝液による洗浄しか必要とせず、また可溶化は、穏やかな条件下で、強力な変性剤、強アルカリ溶液又は高濃度の界面活性剤の存在なしで実施する。さらに、通常はリフォールディングのために必要なインビトロでの再生手順を必要としない。
既に封入体内に存在する異種タンパク質(特にG−CSF)の正しく折りたたまれた前駆体の形成と蓄積が特に有効であり、生物活性タンパク質(例えばG−CSF)が封入体から直接入手できる、本発明の特に好ましい実施態様では、生物活性タンパク質(例えばG−CSF)の生産のための方法は、
・培養温度、
・誘導様式、
・発酵のタイプ、
・培地の選択、
・ストレスを生じさせることができる物質の添加、及び
・補助タンパク質の同時発現
から成る群より選択される幾つかのパラメータ又は条件の1つ又は組合せによって生合成を実施する方法を調節することを含む。
これらのパラメータの調節は、非古典的封入体が形成されるように実施することができる。
本発明の生物活性異種タンパク質(G−CSFなど)の生産のための方法は、好ましくは封入体の洗浄及び/又は可溶化をさらに含み、変性剤の使用又はインビトロでの再生工程を伴わない生物活性異種タンパク質(G−CSFなど)の単離を可能にする。それ故、前記異種タンパク質の生産のための工程及び異種タンパク質のその後の単離及び/又は精製は、工程の間ずっと天然条件下で好都合に実施することができ、これは収率のために有益であって、経済的で環境に優しい方法を提供する。
本発明の方法の1つの特徴は、生合成を実施する方法が、正しく折りたたまれたタンパク質分子(特にG−CSFの分子、中でもG−CSFの前駆体)の割合が上昇するように、封入体の組成の調節を可能にするパラメータ又は条件の少なくとも1つを調整することを含む。異種タンパク質の高い蓄積は、その異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体の高い比率を自動的に意味するわけではない。本発明の生物活性異種タンパク質の生産のための方法はまた、異種タンパク質の蓄積とその異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体の割合の間で最適の比率を見出すことを可能にする(特に異種タンパク質がG−CSFである場合)。
生物活性G−CSFの高い収率の大規模生産がそれによって達成され、他の異種タンパク質についても同様に期待される。
ここで使用する「生物活性G−CSF」という用語は、造血前駆細胞の分化と増殖及び造血系の成熟細胞の活性化を促進することができるG−CSFを指す。本発明の方法により、有益には少なくとも1×10IU/mgの範囲、より好ましくは4×10IU/mg以上の範囲にあるG−CSFの比活性を得ることが可能になる。その後に適切な精製工程を適用するとき、前記比活性を少なくとも7−8×10IU/mgの範囲、最も好ましくは少なくとも1×10IU/mgの範囲に上昇させることができる。前記比活性は、実施例12で述べるように細胞増殖の刺激に基づく方法によって測定される。
ここで使用する「異種タンパク質」という用語は、発現を実施する生物にとって外来性であるタンパク質を指す。
ここで使用する「再生」という用語は、変性タンパク質が、それらのタンパク質がそれらの天然コンフォメーションにおいて有するコンフォメーションへと転換することを指す。
ここで使用する「インビトロでの再生」という用語は、生物の体外で実施される再生を指す。
ここで使用する「変性」という用語は、タンパク質の天然コンフォメーション(三次元構造)は変化するが、前記タンパク質の一次構造(アミノ酸鎖、ペプチド結合)は不変のままである過程を指す。
ここで使用する「変性剤」という用語は、(通常は溶液中で)その存在下ではタンパク質の天然コンフォメーションが保存されない物質を指す。変性剤の存在下ではタンパク質の生物活性が変化し、保存されない。
ここで使用する「凝集物」という用語は、主として疎水性結合によってならびに他の結合によって(例えばジスルフィド結合など)相互に連結された分子のクラスターを指す。これらの分子は生物学的に活性ではない。
ここで使用する「非変性条件」という用語は、所望タンパク質の変性が起こらない条件を指す。この条件は、例えば、変性剤が存在しないか又は変性濃度未満で存在する条件を指す。
ここで使用する「天然条件」という用語は、タンパク質分子がその天然コンフォメーションと生物活性を保存することができる条件を指す。
ここで使用する「生合成」という用語は、微生物を使用することによる異種タンパク質の生産を指す。
ここで使用する「培養」という用語は、微生物が、その微生物の増殖のために必要な基質の提供ソースと共に液中にあるか(submersed)又は固体支持体上に存在する、制御された条件下での微生物の増殖を指す。
ここで使用する「発酵」という用語は、バイオリアクター(発酵槽)又は振とうフラスコにおける液中条件下での微生物の培養を指す。
ここで使用する「異種タンパク質の蓄積」及び「G−CSFの蓄積」という用語は、総タンパク質に関して、異種タンパク質又はG−CSFについての遺伝子の異種発現を使用することによってそれぞれ得られる異種タンパク質及びG−CSFの割合を指す。所望する場合は、本発明に従って、発現系において生産される所望の正しく折りたたまれた異種タンパク質を、発現系において使用する宿主細胞の総タンパク質量に対して少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%、特に少なくとも約30%及びそれ以上の割合に蓄積することが可能である。ここで使用する「異種発現」という用語は、発現を実施する生物にとって外来性である遺伝子の発現を指す。
ここで使用する「異種タンパク質(G−CSFなど)の正しく折りたたまれた前駆体の割合」という用語は、正しく、部分的に正しく、不正確に折りたたまれた形態を含む、異種タンパク質形態(例えばG−CSFタンパク質)の総量に対する、異種タンパク質(例えばG−CSF)の正しく折りたたまれた前駆体の割合を指す。
ここで使用する「生物活性異種タンパク質(G−CSFなど)の割合」という用語は、(非古典的)封入体の洗浄と可溶化後の異種タンパク質(例えばG−CSF)の正しく折りたたまれた前駆体の割合を指す。本発明の方法の間、特に洗浄及び/又は可溶化の間及びその後、異種タンパク質(例えばG−CSF)の正しく折りたたまれた前駆体は、自然酸化、及びそれ故ジスルフィド結合の自然形成によって生物学的に活性にすることができる。
本発明のG−CSFなどの生物活性異種タンパク質の生産のための方法は、ヒト及び獣医学における臨床使用に適したG−CSFなどの異種タンパク質の製造を可能にする。
前記方法は、ヒトG−CSF及び他の哺乳類G−CSFの製造のため、ならびにメチオニルG−CSF(Met−G−CSF)、酵素的及び化学的に修飾された(例えばペグ化、スクシニル化など)G−CSF、G−CSF類似体及びG−CSFを含む融合タンパク質などのG−CSF誘導体の製造のために使用できる。
本発明の上記説明は特に生物活性G−CSFの生産を対象とするが、本発明の方法はまた、非古典的封入体の形態で蓄積される他の生物活性な異種タンパク質の生産のためにも使用できる。これらのタンパク質は、IFN−β1b、IFN−β2b、IFN−γ1bなどのインターフェロン(IFN)、IL−2及びIL−4などのインターロイキン(IL)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、表皮増殖因子(EGF)、ヒト血清アルブミン(HSA)、デオキシリボヌクレアーゼ(DNAse)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、腫瘍壊死因子α(TNFα)及び腫瘍壊死因子β(TNFβ)を含む群から選択され、及びさらに、(少なくとも一部、好ましくは実質的な割合が)自発的に正しい三次元構造に折りたたまれうる、あまり多すぎるジスルフィド結合は持たない融合タンパク質を含む、他のタンパク質を包含する。
本発明のG−CSFなどの生物活性異種タンパク質の生産のための方法は、発現のための宿主として使用される生物に関わりなく非古典的封入体の形成の場合に使用できる。適切な宿主生物として、主として細菌及び酵母を含む群から選択されるものが使用できる。細菌系では大腸菌及びストレプトミセス属、酵母系ではSaccharomyces cerevisiaeなどの従来の酵母菌株及びPichia pastoris、Hansenula polymorpha、Candida utilisその他のような非従来型酵母菌株が使用できる。
本発明のG−CSFなどの異種タンパク質の生合成を実施する方法は、培養温度、培地の組成物、誘導様式、発酵の実施原理又はタイプ、ストレスを生じさせる物質の添加、及び補助タンパク質の同時発現の群から選択される条件又はパラメータを調節することを含む。前記パラメータの個々のパラメータを最適化することにより、G−CSFに関して認められるように、異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体の割合を実質的に上昇させることが可能であり、前記パラメータの組合せはさらより高い割合を可能にする。生合成によってG−CSFを生産する好ましい実施態様に言及して、前記条件又はパラメータを以下でより詳細に説明する。
(培養温度)
驚くべきことに、培養温度を低下させると、既に非古典的封入体内に存在するG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の蓄積を可能にすることが認められた。例えば大腸菌細胞の通常の最適培養温度は37℃である。本発明では、既に非古典的封入体内に存在するG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の蓄積のための好ましい温度は、37℃より有意に低いこと、すなわち約20℃から約30℃であることを認めた。最も好ましい温度は約25℃である。
(誘導様式)
驚くべきことに、封入体(非古典的)内のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合はまた、誘導様式にも依存することが認められた。誘導は、好ましくはIPTG、ラクトース及びNaClから成る群より選択される誘導物質の添加によって実施できる。特に好ましい誘導はIPTGによるものである。非古典的封入体内のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合はまた、誘導物質の濃度にも依存する。IPTGを添加するとき、その選択濃度は、好ましくは約0.1mMから約1mMの範囲内である。より好ましい濃度は約0.3から0.6mM、特に約0.4mMである。NaClを使用するときは、その選択濃度は、好ましくは約0.3Mから1.3Mの範囲内である。より好ましい濃度は約1.0から1.3mM、特に約1.2Mである。ラクトースを使用するときは、その選択濃度は、好ましくは約1から約10g/lの範囲内であり、最も好ましい濃度は約2から約4g/lである。封入体内のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合はまた、誘導様式(培養時間)にも依存する。発酵の開始時に(前培養工程を実施するときは:その前培養工程の直後に)誘導物質を添加することができ、これはIPTG、NaCl又はラクトースの場合に好ましい。IPTG及びNaClは発酵のより後の段階で、適切には約6.0のOD600nmで(ODは細菌数の尺度である)添加することもできる。
(発酵を実施する原理又はタイプ)
驚くべきことに、非古典的封入体内のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合はまた、発酵を実施するタイプにも依存することが認められた。これは、バイオリアクターでの発酵及び振とうフラスコにおいて発酵を実施することを含む群から選択される。バッチ方式で発酵を行うこと及びフェドバッチ方式で発酵を行うことを含む、バイオリアクターの発酵の実施が好ましい。発酵を実施することの好ましい原理又はタイプは、封入体の高い可溶化と共にバイオマスの高い生産性が得られるバッチ方式である。
(補助タンパク質の同時発現又はストレスを生じさせる物質の添加)
さらに、封入体内のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合はまた、ストレスを引き起こすことができる物質の添加にも依存することが認められた。これらの添加物はストレスタンパク質の同時発現の引き金となり、好ましくはエタノール及びプロパノールを含む群から選択され、これらの物質は1%から5%(v/v)の範囲内の様々な濃度で使用することができる。約3%(v/v)の濃度でのエタノール及びプロパノールの使用が最も好ましい。
(培地の組成)
さらに、驚くべきことに、非古典的封入体内のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合はまた、培地の組成にも依存することが認められた。好ましい培地は、抗生物質、例えば100mg/lアンピシリンを補足したGYST(20g/lトリプトン、5g/l酵母抽出物、10g/l NaCl、10g/lグルコース、極微量の金属)、抗生物質、例えば100mg/lアンピシリンを補足したGYSP(20g/lファイトン、5g/l酵母抽出物、10g/l NaCl、10g/lグルコース、極微量の金属)、及び抗生物質、例えば100mg/lアンピシリンを補足したLYSP(20g/lファイトン、5g/l酵母抽出物、10g/l NaCl、6g/lグリセロール、2g/l又は4g/lラクトース、極微量の金属)、抗生物質、例えば100mg/lアンピシリンを補足したLYST(20g/lトリプトン、5g/l酵母抽出物、10g/l NaCl、6g/lグリセロール、2g/l又は4g/lラクトース、極微量の金属)、抗生物質、例えば100mg/mlアンピシリンを補足したLBON(10g/lファイトン、5g/l酵母抽出物)、抗生物質、例えば100mg/lアンピシリンを補足したGYSPON(20g/lファイトン、5g/l酵母抽出物、10g/lグルコース、極微量の金属)を含む群から選択される(極微量の金属:FeSO×7HO:40mg/l、CaCl×2HO:40mg/l、MnSO×nHO:10mg/l、AlCl×6HO:10mg/l、CoCl×6HO:4mg/l、ZnSO×7HO:2mg/l、NaMoO×2HO:2mg/l、CuSO×5HO:1mg/l、HBO:0.5mg/l))。好ましくは100mg/mlアンピシリンを補足したGYST及びGYSP培地を使用する。
(封入体の洗浄)
封入体内の生物活性タンパク質のより高い割合は、封入体のより高い溶解度を導く。封入体を界面活性剤で洗浄した場合、G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の高い割合が洗浄液と共に洗い流される。それ故、洗浄は、好ましくは水及び非常に低い濃度(1mMから10mM)の様々な緩衝液、例えばトリス/HCl緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液から成る群より選択される洗浄液で実施する。水による洗浄が最も好ましい。洗浄液は、好ましくは低い温度、適切には4℃付近に調節する。洗浄は1回又は複数回実施することができる。
(封入体の可溶化)
封入体内の異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体のより高い溶解度の故に生じる非古典的封入体のより高い溶解度は、可溶化が、強力な変性剤、強アルカリ溶液又は変性濃度の界面活性剤を添加せずに、穏やかな条件下で好都合に実施できることを示す。封入体の可溶化のために、使用する溶媒は、非変性濃度(1−2M、好ましくは10以下のpH、より好ましくは約8.0のpHの緩衝液中)の尿素、非変性濃度(0.05−0.25%(m/v))のN−ラウロイルサルコシン、低濃度の両性界面活性剤、種々の非界面活性スルホベタイン(NDSB)、ベタイン、サルコシン、カルバモイルサルコシン、タウリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びより高い濃度の緩衝液(好ましくは10以下、より好ましくは約8.0に維持されるpHの)、例えばHEPES、HEPPS、MES、ACES及びMESから成る群より選択することができる。好ましくはN−ラウロイルサルコシン、NDSB及びDMSOを使用する。最も好ましくは0.1%から0.25%(m/v)の濃度範囲のN−ラウロイルサルコシンを使用する。
約20から30℃、特に約25℃の培養温度;バッチ方式での発酵の実施;各々抗生物質、例えば100mg/mlアンピシリンを補足したGYST又はGYSP培地;発酵の開始時に、場合により前培養工程を実施する場合はその前培養工程の後に、約0.3−0.6mM、好ましくは約0.4mMの濃度でIPTGを添加することによる誘導様式;場合により水による洗浄及び約0.1から0.25%、好ましくは約0.2%の濃度のN−ラウロイルサルコシン中での封入体の可溶化が、G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合(及びその結果として生物活性G−CSFの割合)及びG−CSFの蓄積が特に高い最適化パラメータである。これらのパラメータにより、生じるタンパク質の組成物は、このようにして得られたG−CSFを、抽出、慣用的又は流動床クロマトグラフィー工程、例えばイオン交換、疎水性相互作用、サイズ排除又はアフィニティーなどのさらなる単離手順において、好ましくは固定化金属アフィニティークロマトグラフィー−IMAC用の充填溶液として、直接使用することを可能にする。この方法は、高い収率でG−CSFの大規模生産において使用できる。
上述したように、生物活性異種タンパク質の形成は、変性及び/又は再生のための処理を必要とせず、所望の異種タンパク質の単離及び精製を含む全工程を非変性条件、好ましくは天然条件下で実施する、本発明の方法の好ましい実施態様によって達成することができる。所望の異種タンパク質の単離及び/又は精製のための適切な手法は当業者に既知であり、例えば、周知の原理のいずれか、例えばイオン交換、疎水性相互作用、アフィニティー又はサイズ排除のいずれかを用いた古典的又は流動床クロマトグラフィー、ならびに適切なマトリックス又は溶液を用いた連続的バッチ方式抽出が使用できる。好ましい手法は固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)であり、これは、高い収率及び天然条件下で純粋な生物活性タンパク質の極めて効率的な製造を可能にする。
(実施例1)
封入体内のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合及び封入体の可溶化後の総タンパク質の濃度への培養温度の影響
G−CSFについてのヒト遺伝子を、大腸菌(Fopt5)における高発現のために改変した。プラスミドpET3aを含む発現系、大腸菌BL21(DE3)では、すべての細胞タンパク質の50%以上を占めるG−CSFの蓄積レベルが達成される。−70℃の菌株バンクからの大腸菌培養物BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5を、100mg/lアンピシリンを補足したLBG培地(10g/lトリプトン、5g/l酵母抽出物、10g/l NaCl、2.5g/lグルコース)に1:100の比率で接種し、その培養物を振とう装置において25℃、160rpmで10時間培養した。この培養物2から4mlを、100mg/mlアンピシリンを補足したGYST培地40mlに接種し、そこに、最終濃度0.4mMとなるIPTG誘導物質を発酵の開始時に添加した(培養物の初期ODλ600nmは0.385であった)。次にその培養物を振とう装置(振とうフラスコ)で、3つの異なる温度にて160rpmで指数的増殖期まで培養した:
25℃:22時間、培養物の最終ODλ600nmは15.2±0.5であった;
37℃:15時間、培養物の最終ODλ600nmは12.2±0.4であった;
42℃:15時間、培養物の最終ODλ600nmは6.75±0.2であった。
培養の完了後、生じた培養物を5000rpmで10分間遠心分離し、4−5倍容量の10mMトリスHCl/pH=8.0で洗浄し、バイオマスを新しい遠心分離管に移して、再び5000rpmで10分間遠心分離した。そのバイオマスを5倍容量の10mMトリスHCl/pH=8.0緩衝液に再懸濁し、液中プローブと共に12×で1分間超音波処理した(負荷サイクル:60%、仕事率:7、パルス:2/秒)。超音波処理後、破壊された細胞を再び5000rpmで30分間遠心分離した。封入体を含むペレットを、非変性条件下で50倍容量の40mMトリスHCl/pH=8.0中の0.2%N−ラウロイルサルコシンに可溶化し、50rpmで振とうしながら室温で一晩、16から18時間放置して可溶化を進行させた。可溶化後、純粋なhMet−G−CSFを標準品として使用して、ブラッドフォード法に従ってタンパク質濃度を定量した。濃度は42℃及び37℃については約1mg/ml、25℃については2〜3mg/mlであった。0.2%N−ラウロイルサルコシンへの封入体の可溶化後の総タンパク質の濃度、及びそれぞれ種々の温度で培養したバイオマスから調製したG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体及び生物活性G−CSFの割合を表1に示す。G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体及び生物活性G−CSFの割合は、それぞれ、(封入体からの抽出後)N−ラウロイルサルコシンを除去せずに(この希釈でN−ラウロイルサルコシンは生物活性測定に干渉しない)可溶化した封入体の生物活性を測定することによって定量した。
Figure 2011078421
表1に示すデータから明らかなように、封入体内の正しく折りたたまれた前駆体の割合は、低い温度での培養によって著明に上昇した。さらに、0.2%N−ラウロイルサルコシン中での封入体の可溶化後に2.5倍までの高い濃度の総タンパク質が得られ、このようにして調製した封入体が基本的により可溶性であることを示唆した。非古典的封入体がこのようにして形成された。
(実施例1)
G−CSFの蓄積へのIPTGによる誘導様式の影響
発酵開始時のIPTGによる誘導
種々の濃度のIPTG(0.05mMから0.4mM)による予備実験は、最終ODλ600nm=20−30のバイオマスについて0.1−0.4mMの範囲内でG−CSFの十分に高い、ほぼ同じ蓄積が達成されることを示した。−70℃の菌株バンクからの大腸菌BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5を、LBG/アンピシリン培地に1:500の比率で接種し、振とう装置において25℃、150rpmで14−18時間培養した。この培養物を、100mg/mlアンピシリンを補足したGYST生産培地に1:20の比率で発酵槽培養物を接種するための接種培養物として使用し、前記培地に、最終濃度0.4mMになるIPTG誘導物質を発酵の開始時に添加した。発酵は、25℃、500rpm及び気流1vvmで20−23時間、バッチ方式で実施した(7L実験用発酵槽)。工程の終了時に、培養物のODλ600nmは約25であった。
前記バイオマスを5000rpmで5分間遠心分離し(Beckman遠心分離機)、さらなる処理のために凍結した。SDS−PAGE及びクマシー染色後、デンシトメトリー分析を使用して総タンパク質中のG−CSFの割合を測定した。それは30%〜40%の範囲であった。
OD600nm≒6.0でのIPTGによる誘導
培養物がOD600nm≒6.0に達したときに最終濃度0.4mMになるIPTG誘導物質を添加したことを除いて、工程の開始時の0.4mM IPTGによる誘導の場合と同様にして発酵を実施した。発酵は、25℃、500rpm及び気流1vvmで18−20時間、バッチ方式で実施した(7L実験用発酵槽)。工程の終了時に、培養物のODλ600nmは約30であった。バイオマスを5000rpmで5分間遠心分離し(Beckman遠心分離機)、さらなる処理のために凍結した。SDS−PAGE及びクマシー染色後、プロフィールデンシトメトリー分析を使用して総タンパク質中のG−CSFの割合を測定し、30%〜40%の範囲であった。実施例3で述べるように封入体をバイオマスから単離した。次に、封入体を含むペレットを冷水又は低温10mMトリスHCl/pH=8緩衝液で洗浄し、10000rpmで30分間再び遠心分離して、非変性条件下で50倍容量の40mMトリスHCl/pH=8.0中の0.2%N−ラウロイルサルコシンで可溶化した。100−150rpmで振とうしながら室温で一晩、16〜18時間放置して可溶化を進行させた。可溶化後、純粋なhMet−G−CSFを標準品として使用するブラッドフォード法によってタンパク質の濃度を測定した。
総可溶化タンパク質の濃度は、両方の誘導方式後に2〜4mg/mlの範囲であった。
発酵の開始時にIPTGを添加したとき(即時誘導)又は培養物のOD600nmが約6.0のときの封入体内のhG−CSFの割合の比較
図1は、封入体中のタンパク質組成の結果を示す。
方法:SDS−PAGE(4%濃縮用ゲル、15%分離用ゲル、クマシーブリリアントブルーで染色)。
封入体の調製のための条件:培養温度25℃、バッチ方式での発酵の実施、OD600nm≒6.0又は開始時の0.4mM IPTGによる誘導、冷水又は低温10mMトリスHCl/pH=8.0緩衝液による洗浄、0.2%N−ラウロイルサルコシンでの可溶化。
レーン1:hG−CSF標準品0.6μg
レーン2:OD600nm≒6.0での誘導、水による封入体洗浄
レーン3:OD600nm≒6.0での誘導、10mMトリスHCl/pH=8.0緩衝液による封入体洗浄
レーン4:分子量標準品(LMW−BioRad)
レーン5:開始時の誘導、水による封入体洗浄
レーン6:開始時の誘導、10mMトリスHCl/pH=8.0緩衝液による封入体洗浄。
結果は、開始時にIPTGを培地に添加したとき、G−CSFの非常に高い含量を有する封入体及び他の大腸菌タンパク質の重要でない不純物が得られることを明らかにしている。OD600nm≒6.0での誘導の場合は、封入体内のG−CSFの含量はまだ非常に高いが、他の大腸菌タンパク質の含量がより高く、その後の単離工程に影響を及ぼす可能性がある。
(実施例2)
封入体の溶解度への温度の影響
細胞を25℃で培養するとき、封入体の溶解度がはるかに高い。界面活性剤による洗浄は、それ故、洗浄液中へのG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の損失を導く。しかし、洗浄は、さもなければクロマトグラフィーなどのその後の精製工程を妨げる可能性がある一部のタンパク質又は宿主細胞生物から生じる他の成分が封入体内に付着又は捕獲されたままであり、その後同時溶解しうるので、少なくとも水で実施すべきである。
バイオマスの生成:−70℃の菌株バンクからの大腸菌培養物BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5を、100mg/mlアンピシリンを補足したLBG培地に1:500の比率で接種し、その培養物を振とう装置において25℃、150rpmで14−18時間培養した。この培養物を、100mg/mlアンピシリンを補足したGYST生産培地に1:20の比率で発酵槽培養物を接種するための接種培養物として使用し、前記培地に、最終濃度0.4mMになるIPTG誘導物質を発酵の開始時に添加した。発酵は、2つの異なる温度で、500rpm及び気流1vvmでバッチ方式として(7L実験用発酵槽)実施した:
25℃、18−25時間、工程の終了時に培養物のODλ600nmは約25であった;
37℃、8−25時間、工程の終了時に培養物のODλ600nmは約28であった。
非古典的封入体の単離:発酵の完了後、細菌ペレットを+4℃、5000rpmでの遠心分離によって上清から分離した。湿性細菌ペレットを4倍容量の緩衝液X(10mMトリス/HCl、pH=8.0)に再懸濁した。Ultraturaxを使用して試料の均質化を実施した。次にホモジナイザーEmulsiFlex C−5(AVESTIN)を使用して10000から15000psi(70−110MPa)の圧差での1回通過によって細胞を破壊した。10000rpmで30分間遠心分離した後、可溶性大腸菌タンパク質を含む上清を廃棄し、ペレット(非古典的封入体を含む)を−20℃で凍結して、非古典的封入体の洗浄及び可溶化実験のために使用した。
非古典的封入体洗浄の以下の実験を実施した(図2):
A.水による封入体の洗浄
所定量の非古典的封入体を10倍容量の冷水(+4℃)に再懸濁し、+4℃、10000rpmで10分間遠心分離して、この工程を同じ容量の冷水に関して反復した。両方の洗浄後の上清においてブラッドフォード法(ウシ血清アルブミン(BSA)を標準品として使用する)に従ってタンパク質の量を定量した。タンパク質組成物をSDS−PAGEによって分析した。
水の品質:水はMilli−Q RG(Millipore)装置を使用して調製した。
B.緩衝液X(10mMトリス/HCl、pH8.0)による封入体の洗浄
所定量の非古典的封入体を10倍容量の低温緩衝液X(10mMトリス/HCl、pH8.0)(+4℃)に再懸濁し、+4℃、10000rpmで10分間遠心分離して、この工程を同じ容量の低温緩衝液Xに関して反復した。両方の洗浄後の上清においてブラッドフォード法(BSAを標準品として使用する)に従ってタンパク質の量を定量した。タンパク質組成物をSDS−PAGEによって分析した。
C.1%デオキシコール酸ナトリウムによる封入体の洗浄
所定量の非古典的封入体を10倍容量の低温(+4℃)緩衝液W(1%デオキシコール酸ナトリウム、5mMジチオトレイトール(DTT)及び5mM EDTAを加えた50mMトリス/HCl、pH9.0)に再懸濁し、氷上で30分間放置して、+4℃、10000rpmで10分間遠心分離した。その上清においてブラッドフォード法(BSAを標準品として使用する)に従ってタンパク質の量を定量した。タンパク質組成物をSDS−PAGEによって分析した。
D.1%トリトンX−100による封入体の洗浄
所定量の非古典的封入体を、1%トリトンX−100を加えた10倍容量の低温(+4℃)緩衝液X(10mMトリス/HCl、pH=8.0)に再懸濁し、氷上で30分間放置して、+4℃、10000rpmで10分間遠心分離した。その上清においてブラッドフォード法(BSAを標準品として使用する)に従ってタンパク質の量を定量した。タンパク質組成物をSDS−PAGEによって分析した。
E.2M尿素による封入体の洗浄
所定量の非古典的封入体を、2M尿素を加えた10倍容量の低温(+4℃)緩衝液X(10mMトリス/HCl、pH=8.0)に再懸濁し、氷上で30分間放置して、+4℃、10000rpmで10分間遠心分離した。その上清においてブラッドフォード法(BSAを標準品として使用する)に従ってタンパク質の量を定量した。タンパク質組成物をSDS−PAGEによって分析した。
F.8M尿素による封入体の洗浄
所定量の非古典的封入体を、8M尿素を加えた10倍容量の低温(+4℃)緩衝液X(10mMトリス/HCl、pH=8.0)に再懸濁し、氷上で30分間放置して、+4℃、10000rpmで10分間遠心分離した。その上清においてブラッドフォード法(BSAを標準品として使用する)に従ってタンパク質の量を定量した。
タンパク質組成物をSDS−PAGEによって分析した。図2は、培養温度(25℃又は37℃)に関する封入体の可溶化の比較を示す。
方法:SDS−PAGE(4%濃縮用ゲル、15%分離用ゲル、クマシーブリリアントブルーで染色)。
非古典的封入体の作製のための条件:培養温度:25℃(レーン4−10)及び37℃(レーン12−18、20)、バッチ方式での発酵の実施、開始時に0.4mM IPTGによる誘導、冷水又は低温10mMトリスHCl/pH=8.0緩衝液又は1%デオキシコール酸ナトリウム又は1%トリトンX−100又は2M尿素又は8M尿素による洗浄。
レーン1:分子量標準品(LMW−BioRad)
レーン2:タンパク質の可溶性分画(ホモジネート上清)
レーン3:総タンパク質
レーン4:水による非古典的封入体の1回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン5:水による非古典的封入体の2回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン6:10mMトリスHCl/pH=8.0による非古典的封入体の1回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン7:10mMトリスHCl/pH=8.0による非古典的封入体の2回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン8:1%デオキシコール酸ナトリウムによる非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン9:2M尿素による非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン10:1%トリトンX−100による非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン11:分子量標準品(LMW−BioRad)
レーン12:水による非古典的封入体の1回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン13:水による非古典的封入体の2回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン14:10mMトリスHCl/pH=8.0による非古典的封入体の1回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン15:10mMトリスHCl/pH=8.0による非古典的封入体の2回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン16:1%デオキシコール酸ナトリウムによる非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン17:2M尿素による非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン18:1%トリトンX−100による非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン19:標準hG−CSF、0.6μg
レーン20:8M尿素による非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質。
図2に示すように、細胞を37℃で培養したとき(レーン12−18、20)よりも細胞を25℃で培養したとき(レーン4−10)の方が非古典的封入体の溶解度が上昇した。細胞を25℃で培養したとき、界面活性剤(1%デオキシコール酸塩又は1%トリトンX−100)及び2M尿素による洗浄は、異種タンパク質の大部分が洗浄液と共に失われたため、もはや不可能であり(レーン8、9、10)、細胞を37℃で培養した場合は、界面活性剤(1%デオキシコール酸塩、レーン16)、2M尿素(レーン17)及び1%トリトンX−100(レーン18)による洗浄がまだ可能であった。図からわかるように、37℃の培養温度で得られた非古典的封入体は8M尿素でのみ可溶化することができた(レーン20)。
(実施例4)
封入体内のG−CSFの蓄積及びG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合への発酵の実施の影響
バッチ方式又はフェドバッチ方式で発酵を実施することにより、非古典的封入体におけるG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の高い割合を得ることができる。
バッチ方式での発酵の実施
−70℃の菌株バンクからの大腸菌培養物BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5を、100mg/mlアンピシリンを補足したLBG培地に1:500の比率で接種し、その培養物を振とう装置において25℃、150rpmで14−18時間培養した。この培養物を、100mg/mlアンピシリンを補足したGYST生産培地に1:20の比率で発酵槽培養物を接種するための接種培養物として使用し、前記培地に、最終濃度0.4mMとなるIPTG誘導物質を発酵の開始時又は培養物のODλ600nmが6である指数的増殖期初期に添加した。発酵は、25℃、500rpm及び気流1vvm(7L実験用発酵槽)で18−25時間、バッチ方式で実施した。工程の終了時、培養物のODλ600nmは、誘導の開始時には約25、遅い方の誘導の場合には30であった。バイオマスを5000rpmで5分間遠心分離し(Beckman遠心分離機)、さらなる処理のために凍結した。SDS−PAGE及びクマシー染色後、デンシトメトリー分析を使用して総タンパク質中のG−CSFの割合を測定した。前記割合は30%から40%の範囲であった。
フェドバッチ方式での発酵の実施
25℃、500rpm及び気流1vvm(7L実験用発酵槽)で25.5−30時間、フェドバッチ方式で発酵を実施した。ひとたび培地中のグルコースが消費され、すなわちバッチ工程(前記のように実施)が終了し、及び培地のpHが上昇すれば、0.05−0.1μ/時の比増殖速度を提供するように100mg/lアンピシリンを加えた20%グルコース溶液の供給を開始した。7−7.5時間の供給後(合計25.5−30時間)、培養物のODλ600nmが約42になったときに工程を終了した。バイオマスを5000rpmで5分間遠心分離し(Beckman遠心分離機)、さらなる処理のために凍結した。SDS−PAGE及びクマシー染色後、バッチ方式で発酵を実施する場合と同様の高いレベルに維持されるG−CSFの蓄積をデンシトメトリー分析によって測定した。前記蓄積は30%から40%の範囲であった。非古典的封入体を実施例3で述べたようにバイオマスから単離した。非古典的封入体を含むペレットを冷水で洗い、再び10000rpmで30分間遠心分離して、非変性条件下で50倍容量の40mMトリスHCl/pH=8.0中の0.2%N−ラウロイルサルコシンに可溶化した。100−150rpmで振とうしながら室温で一晩、16から18時間放置して可溶化を進行させた。可溶化後、純粋なhMet−G−CSFを標準品として使用するブラッドフォード法によってタンパク質濃度を定量した。
タンパク質の濃度は、どちらの発酵実施原理後も、2から4mg/mlの範囲であった。G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体又は生物活性G−CSFの割合を、N−ラウロイルサルコシンを除去せずに(この希釈でN−ラウロイルサルコシンは生物活性測定に干渉しない)可溶化した比古典的封入体の生物活性を測定することによって定量した。
以下の表2は、発酵の実施方法及び誘導様式に依存したG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合を示す。
Figure 2011078421
表2に示すデータから明らかなように、すべての場合に生物活性時の高い割合が得られ、バッチ方式で発酵を実施することによって最も高い割合が得られた。
(実施例5)
G−CSFの蓄積及びG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合へのラクトースによる誘導の影響
−70℃の菌株バンクからの大腸菌培養物BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5を、100mg/mlアンピシリンを補足したLBG培地に1:500の比率で接種し、その培養物を振とう装置において25℃、150rpmで14−18時間培養した。この培養物を、100mg/mlアンピシリンを補足したLYST改変生産培地に1:20の比率で発酵槽培養物を接種するための接種培養物として使用し、但し、グルコースの代わりにグリセロール(6g/l)及びラクトース(2g/l又は4g/l)を炭素ソースとして使用し、これらは同時に、IPTGに代わる発現誘導物質でもあった。発酵は、25℃、500rpm及び気流1vvm(7L実験用発酵槽)で17−21時間、バッチ方式で実施した。工程の終了時に培養物のODλ600nmは約20であった。バイオマスを5000rpmで5分間遠心分離し(Beckman遠心分離機)、10mMトリス/HCl、pH=8緩衝液で1回洗浄して、さらなる処理のために凍結した。SDS−PAGE及びクマシー染色後、デンシトメトリー分析を使用してG−CSFの蓄積を測定し、2g/lラクトースによる誘導については27%及び4g/lによる誘導では33%であった。非古典的封入体を実施例3で述べたようにバイオマスから単離した。非古典的封入体を含むペレットを冷水で洗い、再び10000rpmで30分間遠心分離して、非変性条件下で50倍容量の40mMトリスHCl/pH=8.0中の0.2%N−ラウロイルサルコシンに可溶化した。100−150rpmで振とうしながら室温で一晩、16から18時間放置して可溶化を進行させた。
表3は、ラクトースによる生産菌株、大腸菌BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5の誘導によって得られた非古典的封入体中のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体又は生物活性G−CSFの割合(%)を示す。
Figure 2011078421
表3から明らかなように、ラクトースによる誘導の使用により、25℃で培養したとき、少なくとも23%という封入体中のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合が得られた。
(実施例6)
G−CSFの蓄積及びG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合へのNaClによる誘導の影響
−70℃の菌株バンクからの大腸菌培養物BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5を、100mg/mlアンピシリンを補足したLBON培地に1:20の比率で接種し、その日に振とう装置において25℃、160rpmで8時間培養した。この培養物1mlを、100mg/mlアンピシリンを補足したGYSPON培地20mlに接種するための接種培養物として使用し、前記培地に、開始時又はODλ600nm≒0.5の時点、すなわち培養の約3時間後に最終濃度1.2MになるNaCl誘導物質を添加した。どちらの場合も、培養物を振とう装置において25℃、160rpmで20−24時間培養した。SDS−PAGE分析のために、培養が完了した後この培養物5mlを5000rpmで5分間遠心分離した。次にペレットを10mMトリスHCl/pH=8.0 15mlに再懸濁した。試料を、4×SDS−DTTを含む試料緩衝液(pH=8.7)と3:1の比率で混合し、95℃で10分間加熱して、遠心分離し、その上清をゲルに負荷した。G−CSFの蓄積を表4に提示しており、表4は、種々の培地及び誘導方式での生産菌株BL21−SI pET3a/P−Fopt5のG−CSFの蓄積の比較を示している。表に示すように、1.2M NaClを開始時に、すなわち製造者(Life Technologies)によって推奨されている従来のODλ600nm≒0.5の時点ではなく接種時に培地に添加したときにより高いG−CSFの蓄積が得られた。
Figure 2011078421
G−CSFアッセイに関して報告した数値は、図3に示すクマシーブリリアントブルーで染色したSDS−PAGEゲルのデンシトメトリー分析によって得た。相対的割合は、Imaging densitometer GS670型装置(BioRad)でのゲルのプロフィール分析(Molecular analystプログラム;BioRad)によって決定した。
図3は、非古典的封入体中のタンパク質の組成物を示す。
方法:SDS−PAGE(4%濃縮用ゲル、15%分離用ゲル、クマシーブリリアントブルーで染色)。
非古典的封入体の作製のための条件:生産菌株BL21−SI pET3a/P−Fopt5、培養温度25℃、振とうフラスコでの発酵、非誘導培養又はODλ600nm≒0.5の時点で又は開始時に1.2M NaClによる誘導。
レーン1:BL21−SI pET3a/P−Fopt5、非誘導培養
レーン2:BL21−SI pET3a/P−Fopt5、ODλ600nm≒0.5の時点で1.2M NaClによる誘導
レーン3:BL21−SI pET3a/P−Fopt5、ODλ600nm≒0.5の時点で1.2M NaClによる誘導
レーン4:BL21−SI pET3a/P−Fopt5、開始時に1.2M NaClによる誘導
レーン5:BL21−SI pET3a/P−Fopt5、開始時に1.2M NaClによる誘導
レーン6:rhG−CSF 0.6μg
生物活性の定量及び非古典的封入体洗浄実験のための試料の調製
生物活性の分析及び非古典的封入体洗浄実験のために、より多量のバイオマスを調製した。−70℃の菌株バンクからの大腸菌培養物BL21−SI pET3a/P−Fopt5を、100mg/mlアンピシリンを補足したLBON培地に1:20の比率で接種し、その日に振とう装置において25℃、160rpmで8時間培養した。この培養物の10mlアリコートを、100mg/mlアンピシリンを補足したGYSPON培地8×200mlに接種し、前記培地に、開始時に最終濃度1.2MとなるNaCl誘導物質を添加した。前記培養物を振とう装置において25℃、160rpmで24時間培養した。非古典的封入体を実施例3で述べたようにバイオマスから単離した。次に、非古典的封入体を含むペレットを冷水で洗い、実施例9で述べるように0.2%N−ラウロイルサルコシンで可溶化した。可溶化後、純粋なhMet−G−CSFを標準品として使用するブラッドフォード法に従ってタンパク質濃度を測定した。総可溶化タンパク質の濃度は2−3mg/mlの範囲であった。
従って、表5は、1.2M NaClによる生産菌株、大腸菌BL21−SI pET3a/P−Fopt5の誘導によって得た非古典的封入体中のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体又は生物活性G−CSFの割合を示す。
Figure 2011078421
表5から明らかなように、25℃で培養したとき1.2M NaClによる異種遺伝子の発現の誘導により、生産菌株、大腸菌BL21−SI pET3a/P−Fopt5に関してG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体(又は生物活性G−CSF)の高い割合が得られた。
非古典的封入体の溶解度
25℃で培養したとき1.2M NaClによる異種遺伝子の発現の誘導により、生産菌株、大腸菌BL21−SI pET3a/P−Fopt5に関して封入体の溶解度が大きく上昇した。ここでも、界面活性剤による非古典的封入体の洗浄は、G−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の洗浄液への損失を導く。これは、種々の溶媒での洗浄に関する非古典的封入体の溶解度の比較を示す図4によって明らかにされる。
方法:SDS−PAGE(4%濃縮用ゲル、15%分離用ゲル、クマシーブリリアントブルーで染色)。
非古典的封入体の作製のための条件:菌株BL21(SI)pET3a/P−Fopt5、培養温度25℃、振とうフラスコでの発酵、1.2M NaClによる誘導、水又は10mMトリスHCl/pH=8.0又は1%デオキシコール酸ナトリウム又は1%トリトンX−100又は2M尿素による洗浄。
非古典的封入体を25℃で振とうフラスコにおいて作製し、開始時に培地に添加した1.2mM NaClで誘導した。
レーン1:タンパク質の可溶性分画(ホモジネート上清)
レーン2:分子量標準品(LMW−BioRad)
レーン3:総タンパク質
レーン4:水による非古典的封入体の1回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン5:水による非古典的封入体の2回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン6:10mMトリスHCl/pH=8.0による非古典的封入体の1回目の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン7:1%デオキシコール酸ナトリウムによる非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン8:2M尿素による非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質
レーン9:1%トリトンX−100による非古典的封入体の洗浄後の可溶化タンパク質。
(実施例7)
封入体中のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合への、ストレスを生じさせることができる添加物、例えばエタノール又はプロパノールの影響
−70℃の菌株バンクからの大腸菌BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5を、100mg/mlアンピシリンを補足したLBPG培地(10g/lファイトン、5g/l酵母抽出物、10g/l NaCl)に1:500の比率で接種し、振とう装置において25℃、160rpmで17時間培養した。この培養物10mlを、最終濃度0.4mMになるIPTG誘導物質を即時添加した培地200mlに接種した;
−100mg/mlアンピシリンを補足したGYSP培地(対照);
−エタノール(培地中の最終エタノール濃度3%)を添加した100mg/mlアンピシリン補足GYSP培地;
−イソプロパノール(培地中の最終イソプロパノール濃度3%)を添加した100mg/mlアンピシリン補足GYSP培地。
次に、対照(100mg/mlアンピシリンを補足したGYSP培地)の場合は培養物を振とう装置において25℃、160rpmで24時間培養した。エタノール又はイソプロパノールを添加した100mg/mlアンピシリン補足GYSP培地の場合は、どちらの物質の添加も増殖を緩慢化するので、同じ条件下で34時間培養した。非古典的封入体を実施例3で述べたようにバイオマスから単離した。次に、非古典的封入体を含むペレットを冷水で洗い、実施例9で述べるように0.2%N−ラウロイルサルコシンの添加によって可溶化した。
従って、表6は、0.4mM IPTG及びストレスを生じさせることができるエタノール又はプロパノールの添加による、100mg/mlアンピシリン補足GYSP培地中の生産菌株、大腸菌BL21(DE3)pET3a/P−Fopt5の誘導によって得た非古典的封入体中のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体の割合(%)を示す。
Figure 2011078421
表6から明らかなように、ストレスタンパク質の引き金となるエタノール又はプロパノールの添加は、非古典的封入体中のG−CSFの正しく折りたたまれた前駆体又は生物活性G−CSFの割合を上昇させる。
(実施例8)
緩衝液中の尿素による非古典的封入体の可溶化
2M尿素を含む緩衝液Z(40mMトリス/HCl pH=8.0)12mlを、あらかじめ冷水で洗浄した湿性非古典的封入体0.30gに加えた(実施例3参照)。均質化後、非古典的封入体を、80rpmで穏やかに振とうしながら20℃で16時間可溶化した。その溶液を14000rpm、+10℃で10分間遠心分離し、ペレットを廃棄した。可溶化非古典的封入体を含む上清を、総タンパク質含量の定量、SDS−PAGE分析及び生物活性の測定のために使用した。
ブラッドフォード法(hMetG−CSFを標準品として使用する)に従ったタンパク質濃度:2.6mg/ml、総可溶化タンパク質:31mg(可溶化タンパク質の量:湿性非古典的封入体の量に対して約10%)。
G−CSFの生物活性:約1.5×10IU/mg。
(実施例9)
緩衝液中のN−ラウロイルサルコシンによる非古典的封入体の可溶化
0.2%N−ラウロイルサルコシンを含む緩衝液Z(40mMトリス/HCl pH=8.0)15.6mlを、あらかじめ冷水で洗浄した湿性非古典的封入体0.31gに加えた(実施例3参照)。均質化後、非古典的封入体を、100−50rpmで振とうしながら室温(20−22℃)で1時間可溶化し、最終濃度40μMとなるように0.1M CuSO×5HOを添加して酸化(すなわちジスルフィド結合形成)を促進した。80rpm、20℃で一晩(16時間)、振とうを継続した。翌日その溶液を14000rpm、+10℃で10分間遠心分離し、ペレットを廃棄した。DOWEX0.39gが添加されるようにDOWEX(DOWEX1×4 Sigma)を使用することにより、可溶化非古典的封入体を含む上清からN−ラウロイルサルコシンを除去し、その溶液を100−150rpm、室温(20−22℃)で1時間振とうした。ペレットを廃棄した。可溶化非古典的封入体の溶液を、総タンパク質含量の測定、SDS−PAGE分析及び生物活性の測定のために使用した。ブラッドフォード法(hMetG−CSFを標準品として使用する)に従ったタンパク質濃度:4.4mg/ml、総可溶化タンパク質含量:68mg(可溶化タンパク質の量:湿性非古典的封入体の量に対して約20%)。
G−CSFの生物活性:約4.0−4.5×10IU/mg−CuSO×5HOの添加とは無関係。
(実施例10)
緩衝液中のNDSBによる非古典的封入体の可溶化
0.2%の濃度の種々のNDSB(非界面活性スルホベタイン)を添加した、40倍過剰の緩衝液Z(40mMトリス/HCl pH=8.0)を、あらかじめ冷水で洗浄した湿性非古典的封入体の0.16gアリコートに加えた(実施例3参照)。NDSB195、NDSB201、NDSB211及びNDSB256を使用した。均質化後、非古典的封入体の試料を、80rpmで振とうしながら20℃で一晩可溶化した。平行実験において、最初の30分間の可溶化期間後、酸化を促進するため、最終濃度40μMになるように0.1M CuSO×5HOを添加した。翌日遠心分離した後、非溶解ペレットを廃棄し、上清を、事前の処理を行わずに、総タンパク質含量の測定、SDS−PAGE分析及び生物活性の測定のために使用した。ブラッドフォード法(hMetG−CSFを標準品として使用する)に従ったタンパク質濃度:すべての場合に約3.6mg/ml、それ故総タンパク質含量:約24mg(可溶化タンパク質の量:湿性非古典的封入体の量に対して約15%)。
G−CSFの生物活性:約3−4×10IU/mg−CuSO×5HOの添加とは無関係。
(実施例11)
緩衝液中のDMSOによる非古典的封入体の可溶化
5%DMSOを添加した、40倍過剰の緩衝液Z(40mMトリス/HCl pH=8.0)を、あらかじめ冷水で洗浄した非古典的封入体0.16gに加えた(実施例3参照)。均質化後、非古典的封入体を、80rpmで振とうしながら20℃で一晩可溶化した。平行実験において、最初の30分間の可溶化期間後、酸化を促進するため、最終濃度40μMになるように0.1M CuSO×5HOを添加した。翌日遠心分離した後、沈殿物を廃棄し、上清を、事前の処理を行わずに、総タンパク質含量の測定、SDS−PAGE分析及び生物活性の測定のために使用した。ブラッドフォード法(hMetG−CSFを標準品として使用する)に従ったタンパク質濃度:約3.6mg/ml、それ故総タンパク質含量:約24mg(可溶化タンパク質の量:湿性非古典的封入体の量に対して約15%)。
G−CSFの生物活性:約4×10IU/mg−CuSO×5HOの添加とは無関係。
(実施例12)
インビトロでのG−CSFの生物活性の試験
既知の方法(Hammerling Uら、J Pharm Biomed Anal 13,9−20(1995))に従った細胞系NFS−60に関する増殖アッセイの使用及び国際標準ヒト組換えG−CSF(88/502、酵母細胞由来;NIBSC Potters Bar,Hertfordshire,UK);(Mire−Sluis A Rら、J Immunol Methods 179,117−126(1995))の使用によってG−CSFの生物活性を測定した。

Claims (37)

  1. 異種タンパク質としてのタンパク質の発現を含み、発現後に前記異種タンパク質の正しく折りたたまれた前駆体が封入体内に蓄積される、タンパク質の生産のための方法。
  2. 異種タンパク質としてのタンパク質の生合成を実施することを含み、
    前記異種タンパク質の前駆体が微生物の封入体内で形成され、その前駆体が非変性条件下で生物活性異種タンパク質を形成できるように生合成を実施すること;
    前記前駆体を非変性条件下で封入体から単離し、それによって生物活性異種タンパク質を形成すること、
    の工程を含む、タンパク質の生産のための方法。
  3. 前記異種タンパク質が、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EGF、HSA、デオキシリボヌクレアーゼ、FGF、TNF−α、TNF−β、インターフェン及びインターロイキンを含む群から選択される、請求項1又は2に記載のタンパク質の生産のための方法。
  4. 前記選択された異種タンパク質がG−CSFである、請求項1又は2に記載のタンパク質の生産のための方法。
  5. 前記発現を細菌及び酵母から成る群より選択される生物において実施する、先行請求項のいずれかに記載のタンパク質の生産のための方法。
  6. 前記発現を大腸菌(E.coli)において実施する、請求項5に記載のタンパク質の生産のための方法。
  7. 前記異種タンパク質が、発現系において使用する宿主細胞の総タンパク質量に対して少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、特に少なくとも約30%の割合で封入体内に蓄積する、先行請求項のいずれかに記載のタンパク質の生産のための方法。
  8. 前記封入体が主として非変性条件下で溶解されうる、先行請求項のいずれかに記載のタンパク質の生産のための方法。
  9. 前記方法が、培養温度、培地の組成、誘導様式、発酵の実施原理、ストレスを生じさせることができる物質の添加、及び補助タンパク質の同時発現から成る群より選択される1以上のパラメータを調節することを含む生合成の実施方法を含む、先行請求項のいずれかに記載のタンパク質の生産のための方法。
  10. 前記培養温度が約20℃〜30℃である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記培養温度が約25℃である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記誘導様式の調節が、IPTG、ラクトース及びNaClから成る群より誘導物質を選択することを含む、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記選択された誘導物質がIPTGである、請求項12に記載の方法。
  14. IPTGの濃度が0.1mM〜1mMの範囲内である、請求項13に記載の方法。
  15. IPTGの濃度が約0.4mMである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記誘導様式の調節が、発酵の開始時に誘導物質を添加することを含む、請求項9から15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記生合成の実施原理が、バッチ方式での発酵の実施、フェドバッチ方式での発酵の実施及び振とうフラスコでの発酵を含む群から選択される、請求項9から16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記選択された発酵実施原理がバッチ方式である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記培地が、GYST、GYSP、LYSP、LYST、LBON及びGYSPONを含む群から選択される、請求項9から18のいずれかに記載の方法。
  20. 前記選択された培地がGYST又はGYSPである、請求項18に記載の方法。
  21. ストレスを生じさせることができる前記添加物が、エタノール及びプロパノールから成る群より選択される、請求項9から20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記封入体の洗浄をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  23. 前記洗浄を、トリス/HCl緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液及び水から成る群より選択される溶液を用いて実施する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記選択された緩衝液の濃度が約1mM〜10mMの範囲内である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記選択された溶液が水である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記封入体の可溶化をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載のタンパク質の生産のための方法。
  27. 封入体を単離すること;
    場合により前記封入体を洗浄すること;及び
    前記封入体を非変性条件下で可溶化処理に供すること
    の工程を含む、タンパク質が異種タンパク質として発現され、微生物の封入体内で形成される、微生物を使用したタンパク質の生産のための方法。
  28. 封入体における前記異種タンパク質の形成を請求項1から25のいずれかに従って実施する、請求項27に記載の方法。
  29. 非変性濃度(1−2M)の尿素、非変性濃度(0.05−0.25%(m/v))のN−ラウロイルサルコシン、低い非変性濃度の両性界面活性剤、非界面活性スルホベタイン(NDSB)、ベタイン、サルコシン、カルバモイルサルコシン、タウリン、DMSOから成る群より選択される可溶化剤、並びにHEPES、HEPPS、MES、ACES及びMESから成る群より選択される、高い可溶化濃度の緩衝液を用いて可溶化を実施する、請求項26又は27に記載の方法。
  30. 選択された溶媒がN−ラウロイルサルコシンである、請求項29に記載の方法。
  31. N−ラウロイルサルコシンの濃度が約0.1%〜0.25%の範囲内である、請求項30に記載の方法。
  32. N−ラウロイルサルコシンの濃度が約0.2%である、請求項30に記載の方法。
  33. 生合成を実施する方法についてのパラメータが以下のように:
    ・培養温度:約20−30℃、好ましくは約25℃
    ・培地の組成:GYST、GYSP、LYSP、LYST、LBON及びGYSPON、好ましくはGYST及びGYSPから成る群から選択される
    ・発酵のタイプ:バッチ方式
    ・誘導様式:発酵の開始時に、任意に予備培養工程を実施する場合はその予備培養工程後に、IPTGを添加して、最終IPTG濃度を約0.3〜0.6mM、好ましくは約0.4mMに調整する
    選択される、生合成による生物活性G−CSFの生産のための方法。
  34. 前記方法が、封入体を単離すること及び単離した封入体を水で洗浄することをさらに含む、請求項33に記載の生物活性G−CSFの生産のための方法。
  35. 前記方法が、約0.1〜0.25%、好ましくは約0.2%の濃度のN−ラウロイルサルコシンによる封入体の可溶化をさらに含む、請求項33又は34に記載の生物活性G−CSFの生産のための方法。
  36. 生産される生物活性異種タンパク質、例えばG−CSFを、非変性条件下で実施する精製工程によって最終的に精製する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
  37. 薬剤の製造のための、請求項1から35のいずれかに従って生産され、好ましくは請求項36に従って精製される、生物活性異種タンパク質、例えばG−CSFの使用。
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