以下、本発明に好適な実施形態の例(実施例)を説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されない。本実施例は、主には日本における放送方式および限定受信方式に関するものである。
放送の形態に応じたICカード種別の分類がある場合、例えば地上デジタル放送専用カードと3波共用カードなどの分類がある場合は、規格などで視聴可能な放送形態が制限されることがある。上記の例では、地上デジタル放送専用カードではBS/CSデジタル放送を視聴することはできない、などのように制限されることがある。
また、1枚のICカードでデスクランブル可能な番組数は、規格などで制限されることがある。
実施例では、放送信号は、画像圧縮技術としてMPEG(Moving Picture Experts Group)方式によって符号化され、MPEG2―TS(Transport Stream)方式で多重化された信号を例に挙げて説明する。
図1に限定受信方式の概念図の例を示す。
送信側において、スクランブル鍵Ksによって映像等を含むストリームにスクランブルを施す。スクランブル鍵Ksはワーク鍵Kwにより暗号化され、スクランブルされたストリームに多重化される。また、ワーク鍵Kwはマスター鍵Kmにより暗号化され、スクランブルされたストリームに多重化される。以上のようにして限定受信方式を用いたストリームは生成され、送信される。限定受信のために必要な情報は、共通情報(ECM:Entitlement Control Message)、個別情報(EMM:Entitlement Management Message)に分類され、スクランブル鍵KsはECMとして、ワーク鍵KwはEMMとしてストリームに多重化される。
受信側において、受信したストリームよりECMおよびEMMなどの限定受信に必要な情報を分離する。特定の契約が必要な放送の場合は、EMMをマスター鍵Kmで復号することによりワーク鍵Kwおよび契約情報を得る。特定の契約が不要な放送であれば、限定受信制御を行うデバイスが持つKwを得る。ECMをワーク鍵Kwにより復号することでスクランブル鍵Ksを得る。契約情報に基づく視聴判定を行い、視聴可能であればスクランブル鍵Ksにより、受信したストリームをデスクランブルする。
<システム>
図2は、本実施例のシステムの構成例を示すブロック図である。この図は、放送で情報を送受信して表示および記録再生する場合を例示している。
301は放送局などの情報提供局に設置される送信装置、302は中継局や放送用衛星などに設置される中継装置、303はユーザの宅内などに設置される受信装置、304は受信装置303に内蔵される限定受信システムである。限定受信システム304は、デジタル放送に施されるスクランブルを解除(デスクランブル処理)し、視聴および/または録画可能とする仕組みを備える。記録再生部305では、限定受信システムでデスクランブルした情報を記録し、再生することができる。出力部306は、受信装置303がディスプレイなどの出力装置を備える場合はその装置から、備えない場合は別の装置へ情報信号を出力することができる。
送信装置301は、中継装置302を介して、変調された信号電波を伝送する。例えばケーブルによる伝送、電話線による伝送、地上波放送による伝送などを用いることもできる。受信装置303で受信されたこの信号電波は、後に述べるように、限定受信制御方式に基づきデスクランブル処理され、必要に応じ表示出力あるいは記録に適した信号に変換される。また、ユーザは、出力部306から出力される映像音声を視聴することができる。
<送信装置>
図3は、図2のシステムのうち、送信装置301の構成例を示すブロック図である。401はソース発生部、402はMPEG方式等で圧縮を行うエンコード部、403はスクランブル部、404は変調部、405は送信アンテナ、406はスクランブル制御部である。カメラ、記録再生装置などからなるソース発生部401で発生した映像音声などの情報は、より少ない占有帯域で伝送できるよう、エンコード部402でデータ量の圧縮が施される。放送事業者の運用に従って、必要に応じてスクランブル部403で、特定の視聴者には視聴可能となるようにスクランブル処理される。変調部404で伝送するに適した信号となるよう変調された後、送信アンテナ405から、中継装置302に向けて電波として送信される。このとき、スクランブル制御部406では、スクランブル処理に必要な情報を多重化する。
図4にスクランブル制御部406の動作例を示す。
スクランブル制御部406では、エンコード部で生成された映像信号、音声信号、および必要に応じて別途入力されるデータ信号に加え、限定受信制御に必要な情報であるECM、EMMをMPEG2規格で定められるTransport Stream(TS)として多重化する。この多重化された信号はスクランブル部403によりスクランブルされる。主にスクランブルは、MPEG2規格で定められるTSパケットのペイロード部分を対象として施される。なお、一つの電波には複数の情報が、時分割、スペクトル拡散などの方法で多重されることが多いが、その点については説明を割愛する。
<受信装置>
図5にデジタル受信装置の構成例を示し、各部の動作について説明する。図5の受信装置601において、602は放送波を受信するアンテナ、603は選局および復調を行うチューナ部、604は放送信号のスクランブルを解除するデスクランブラ、604は多重された信号から所望する信号を分離する分離部、606は映像・音声信号のデコードを行うデコード部、607はデコードされた映像・音声信号等を出力する出力部、608は受信制御を行う制御部、609は限定受信のための契約情報や鍵の管理および制御を行う限定受信制御部である。
アンテナ602で受信した放送信号は、チューナ部603へ送られ、チューナ部603はベースバンド信号に復調すると共にエラー訂正等を施してデスクランブラ604へ出力する。デスクランブラ604は、限定受信制御部609より得られるスクランブル解除鍵によりスクランブルの解除を行う。
例えば日本のデジタル放送では、映像・音声・データなどのコンテンツにスクランブルが施され、番組名などの番組付加情報にはスクランブルが施されておらず、また、限定受信のための限定受信制御信号には暗号化が施されており、前記スクランブルされたコンテンツがスクランブル解除の対象となる。
スクランブル解除された信号は分離部605において所望する信号が分離され、映像・音声信号はデコード部606へ、番組付加情報や限定受信制御信号は制御部608を通して限定受信制御部609へ伝送される。映像・音声信号デコード部606でデコードされ、出力部607によりディスプレイやスピーカ等で表示される。
制御部608は、上記のような受信制御を行い、分離部605より得た限定受信制御信号を限定受信制御部609へ渡し、前記スクランブル解除鍵を限定受信制御部609より得てデスクランブラ605に設定することで、スクランブルされた放送をスクランブル解除して視聴および/または録画可能とする。
この例の日本におけるデジタル放送の場合、限定受信制御部609は着脱可能なICカードであり、限定受信制御信号にはEMMとECMを用いる。よって、受信装置601には、限定受信制御部609を接続するスロット(接続部ともいう)を有する。また、以下の実施例では限定受信制御部を複数用いる構成を説明するが、複数の限定受信制御を用いる場合は上記スロットも複数有することとなる。
契約に関する情報であるEMMを取得し、限定受信制御部609に通知すると、限定受信制御部609が持つマスター鍵Kmで復号され、ワーク鍵Kwが設定される。スクランブルされた番組と共に放送されるスクランブルを解除する情報であるECMを取得し、限定受信制御部609に渡すと、限定受信制御部609に設定されたワーク鍵Kwで復号され、スクランブル鍵Ksが得られる。
制御部608は、限定受信制御部609から前記スクランブル鍵Ksを得、デスクランブラ605へ設定する。以上のように、契約情報が限定受信制御部609内にあり、その契約情報によって契約している放送のスクランブルを解除するための鍵を得る。
以降、地上デジタル放送などで提供される、特別な視聴契約を行うことなく視聴可能となるICカードを非契約カードと呼び、非契約カードによってデスクランブルすることのできる番組を無料番組と呼ぶ。また、一部のBSデジタル放送やCSデジタル放送などで提供される、放送波に特別なスクランブル処理を行い、特定の事業者との契約によりスクランブルを解除し視聴可能となるICカードを契約カードと呼び、契約カードによってのみデスクランブルすることのできる番組を有料番組と呼ぶ。
各実施例では、ICカードの数は2枚であり、そのうち契約カードの数は1枚、非契約カードの数は1枚であるとし、また、1枚のICカードで同時にデスクランブル可能な番組数は2番組までであるとし、同時視聴および/または同時録画可能な番組数は3番組までであるとして説明するが、本発明はこれらのICカード等の数や1枚のICカードで同時にデスクランブル可能な番組数、同時視聴および/または同時録画可能な番組数の例に制限されない。
以下、各実施例における具体的な構成の一例について説明する。
図6に、2系統の限定受信制御部を備え、同時に3番組の視聴および/または録画が可能な受信装置の構成例を示す。図6の受信装置701において、602はアンテナ、603および613はチューナ部AおよびB、604および614はスクランブルを解除するデスクランブラAおよびB、605および615は多重された信号から所望する信号を分離する分離部AおよびB(例えば、デマルチプレクサなど)、606はデコード部(例えば、MPEGデコーダなど)、607はデコードされた映像・音声信号等を出力する出力部(例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma DISPLAY Panel)などを利用した表示部、スピーカ等による音声出力部、または他の表示装置などにアナログあるいはデジタルの映像データ/音声データを出力するHDMI(High Definition Multimedia Interface)出力端子など)、608は受信制御を行う制御部、609および610は限定受信のための契約情報や鍵の管理及び制御を行う限定受信制御部AおよびB(例えば、ICカード・スマートカードなどと呼ばれる演算処理機能を有するカード類や半導体チップ(IC、システムLSI、ASIC、FPGAなど)、CPUなどの演算装置によりソフトウェアとして動作するプログラム、などが用いられる)、611は記録のためのデータ管理および制御を行う記録制御部、612は番組を記録するための記録媒体(例えばハードディスクドライブ(HDD)、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどのランダムアクセスが可能な媒体)、616は各放送データをデコード部606および/または記録制御部611のどちらへ出力するかを選択する経路選択部である。
各部の動作に関しては前述の受信装置601と同様であるが、チューナおよびデスクランブラおよび分離部および限定受信制御部が2系統となっている点で異なる。また、この例では、チューナA603およびデスクランブラA604および分離部A605および限定受信制御部A609は1つのチャンネル(番組)を取り扱い、チューナB613およびデスクランブラB614および分離部B115および限定受信制御部B610は2つのチャンネル(番組)を同時に取り扱う。また、限定受信制御部A609は、地上デジタル放送およびBSデジタル放送およびCSデジタル放送の有料番組の視聴が可能となる契約情報を保持するものとし(以降、契約情報xとする)、一方で、限定受信制御部B610は、地上デジタル放送のみの視聴が可能となる契約情報を保持するものとする(以降、契約情報yとする)。制御部608は、複数の番組のデスクランブル処理を、限定受信制御部A609および限定受信制御部B610のどちらに処理させるか(アクセス先をどちらにするか)を切り替える機能を備える。また、制御部608は、限定受信制御部A609または限定受信制御部B610のうち、どちらに有料番組を視聴可能な契約情報(契約情報x)を保持しているかを判別することができる(制御部608の備える機能ブロックの詳細は後述する)。
また、図7に受信装置の別の構成を示す。受信装置1001は、入力部1002および出力部1003を備え、その他の符号は図7の受信装置701と同様である。入力部1002は、チューナからの放送波や、他機器からネットワーク経由で受信する信号などを入力信号として扱うことが可能なインターフェースでであり、出力部1003は、他機器へネットワーク経由でデスクランブル後の信号を送出することが可能なインターフェースである。入出力信号は、主にMPEG2−TSによるストリームが想定されるが、限定受信制御を行う必要があるストリームデータであればその他の形式でもよい。
次に、上述した受信装置における特定のデータ放送(双方向サービスなど)や自動表示メッセージなどに対する処理について説明する。
上述したとおり、ICカード(B−CASカード)の種類が異なると、特定のデータ放送での挙動や自動表示メッセージの表示有無などが異なる可能性があり、このような場合、ユーザが受信装置の挙動を理解しにくく、使い勝手が悪いといった問題がある。そこで、ここでは複数のICカード(B−CASカード)が1つの受信装置に用いられる場合であっても、かかる使い勝手の悪さを低減する処理について説明する。
限定受信制御情報には、例えば番組視聴中、画面上へ自動的に表示する自動表示メッセージなど、受信装置での表示制御に関する情報がある(例えばEMMメッセージと呼ばれる情報など)。EMMメッセージ(例えばEMM個別メッセージ)に対して、カードID(カード固有のID番号)によって受信装置の挙動(レスポンス)が異なる場合がある。カードが複数枚あり、各カードIDごとにEMMメッセージに対するレスポンスが異なる場合、受信装置として一貫した動作を行わせるためには、複数枚あるカードのうちどのカードIDを使用して動作を行うかを定める方法が必要となる。この方法で定める一枚のカードを、ここでは『代表カード』と定義し、そのカードIDを『代表カードID』と定義する。
本実施例では、複数枚のICカードを用いる場合に、いずれか一枚を代表カードとして扱う。すなわち、受信装置は代表カードのカードIDのみに従い各種の限定受信制御に関連した動作を行う。例えば、EMMメッセージや特定のデータ放送などのカードIDを必要とする処理を、代表カードによるレスポンスに従ってのみ行うようにする。
図8に本実施例における制御部608の機能ブロックの構成例を示す。図8において、限定受信制御情報取得部2001は、限定受信制御情報各種を取得し、カードIDを指定する必要のある情報を取得すると、カード情報保持部2002へ通知する。カード情報保持部2002は、接続されている限定受信制御部A609およびB610が持つカードIDなどの情報を保持・管理しており、そのうちのどちらが代表カードであるかの情報(代表カードID)も保持している。限定受信制御情報取得部2001よりカードIDの情報が必要であるという通知を受けた場合、保持する代表カードIDの情報をカードアクセス部2003へ通知する。カードアクセス部2003は、代表カードを備える限定受信制御部へアクセスする。図8の場合は、限定受信制御部A609が代表カードを持つので、限定受信制御部A609へアクセスする。限定受信制御部A609は、限定受信制御情報取得部2001が取得した限定受信制御情報に対するレスポンスを返し、必要な動作を行う。カード情報設定部2004は、制御部608の動作に応じてカード情報保持部2002が保持するカード情報(代表カード)の設定を変更できるものとする。
本実施例におけるEMMメッセージ受信時の処理の一例を図16に示す。S1601でEMMメッセージを受信すると、S1602へ遷移する。S1602では、カード情報保持部2002が保持する代表カードの情報に基づき、限定受信制御部A609およびB610のうち代表カードと定めたICカードを備える限定受信制御部へアクセスを行い(図8の場合は、代表カードを備えるのは限定受信制御部A609であるので、限定受信制御部A609へアクセスを行う)、S1603へ遷移する。S1603では、代表カードを持つ限定受信制御部にて、受信したEMMメッセージがこの代表カードIDを対象としたものであるかを判別する。代表カードIDがEMMメッセージの対象でない場合、特に処理を行う必要はないので処理を終了する。代表カードIDがEMMメッセージの対象である場合は、S1604へ遷移し、EMMメッセージの内容に従い処理を行う。
本実施例では、複数枚のICカード使用時において、代表カードのレスポンスに従い常に一貫した動作が可能となり、使い勝手の向上を図ることができる。
また、カードIDを表示する場合や、カード情報を取得する場合は、代表カードと代表カード以外を容易に識別できる表示方法や処理方法により処理するようにする。ICカードから取得したICカードの情報を表示する方法の一例としては、例えば受信装置が備える出力部607による表示などを利用し、設定メニュー画面などのユーザインタフェースからICカード情報表示画面を呼び出す方法などが考えられる。
このICカード情報表示画面では、例えば、カードID、カード識別(メーカ名やバージョン番号などを含む情報)、グループID(同一グループから申し出があった場合に、その対象となるグループ内共通のカードID)などの情報を表示する。表示の方法としては、カード情報の表示であることを示す表示、カード識別として、メーカ識別(ASCII1文字)とバージョン(10進3桁)により表示、カード識別であることを示す表示、カードIDとして、ID識別(1桁)、個別カードID(10進4桁)、チェックコード(5桁)、これらをまとめて10進20桁とし4桁ごとに区切りを入れて表示、カードIDであることを示す表示、グループIDがある場合には、ID識別〜グループID〜チェックコードまでをまとめて10進20桁で4桁ごとに区切りを入れて表示、グループIDであることを示す表示、選択したID識別に対応するグループID番号(ID識別番号を含むグループID番号)の表示、選択したID識別に対応するグループID番号が設定されていない場合には、設定されていないことを示すメッセージ表示、などがある。本実施例では、これらに加え、複数枚のICカード情報を表示する方法の一例として、例えば複数枚のICカード情報を表示し、そのICカード情報のうちどれが代表カードに該当するカードかを示す表示を行う。
図9に本実施例における複数枚のICカード情報表示を行った場合の画面構成の一例を示す。本実施例では、受信装置の定めるICカード表示方法の一例として、2枚のICカードをICカード1、ICカード2というようにそれぞれ定め、出力部607における例えばディスプレイなどの画面表示として一画面に表示するものとする。この図の例ではICカード1が代表カードであるので、ICカード1の表示領域に<代表カード>と表示している。
図17に本実施例におけるICカード情報表示処理の一例を示す。S1701では、ユーザ操作などによるICカード情報表示要求を受け付け、S1702へ遷移する。S1702では、カード情報保持部2002が保持する代表カードの情報に基づき、限定受信制御部A609およびB610のうちどちらが代表カードと定めたICカードを備える限定受信制御部であるかの情報を取得する。S1702の後、S1703へ遷移し、受信装置の定めるICカード表示方法に従い(例えば図9に示すような2枚のICカードをICカード1、ICカード2と定める方法)、そのうち代表カードに該当するICカードの表示領域に代表カードである旨を追加して描画する処理を行い、出力部607における例えばディスプレイなどに表示する。以上で処理を終了する。
この方法により、複数枚のICカード使用時において、ユーザはどのICカードが代表カードであるかを把握しやすくなることで、受信装置の挙動を理解しやすくなり(例えば、契約などを行う場合はそのカードを使えばよい、など)、受信装置の使い勝手の向上を図ることができる。
代表カードの決定方法については、例えば、複数枚のICカードがすべて同じ形態のカード(地上デジタル専用カードまたは3波共用カードのいずれか一種類)であれば、複数枚のうち任意の1枚を初期設定として選択することで代表カードとし、複数枚のICカードで異なる種類を混在して使用する場合には、デスクランブル可能な放送波や番組がより多いICカード(例えば上位互換である3波共用カード、有料放送と無料放送の双方をデスクランブル可能なカード等)を初期設定として選択することで代表カードとする方法が考えられる。異なる種類のICカードが混在する場合には、契約番組の視聴が可能なICカード(例えば3波共用カード)を代表カードとすることで、契約番組の視聴に必要な契約を代表カードに集約できるため、ユーザは契約有無の管理を代表カードのみで行うことができる。
この他には、複数のICカードスロットのうちの1つを代表カード用スロットとあらかじめ設定し、そのスロットに挿入されたカードを代表カードとして扱う方法などが考えられる。これらで決定した代表カードの情報を、制御部608のカード情報設定部2004により、カード情報保持部2002へ設定しておくことで実現できる。ただし、代表カードの決定方法は、本実施例に限定されない。また、ICカード情報表示方法や表示処理手順は、本実施例に限定されない。
次に、複数枚のICカード(B−CASカード)を1つの受信装置で用いる場合におけるICカードを挿入するスロットに関する実施例を説明する。上述したように、カードを挿入するスロットが複数設けられると、どのカードをどのスロットに挿入すれば良いのかがわかり難くなるおそれがあり、ユーザにとって使い勝手が悪くなる。
そこで、本実施例では、複数枚のICカードで異なる形態のカードを混在して使用する場合に、ICカードを挿入するスロットを、視聴可能な放送の種類ごとに分別して設け、その種類に対応したICカードをそれぞれ挿入するようにする。本実施例におけるICカードスロットは、図8における限定受信制御部A609およびB610と、各ICカードとを物理的に接続するためのインターフェースに相当する。すなわち、ICカードスロットへICカードを挿入することにより、受信装置の限定受信制御部A609およびB610として使用することができる。
ICカード形態の分別の方法は、例えば、『地上デジタル専用カードのスロット』と『3波共用カードのスロット』などを、受信装置本体の各スロット近傍に印刷表示する方法がある。図10に受信装置でのスロットの構成例を示す。2101は3波共用カード用のスロットであることを示し、2103は地上デジタル専用カード用のスロットであることを示す表示を行っている。2102および2104は各カードの挿入口である。
この他にも、カードスロット部分を赤・青など色によって分別し、どちらのカードをどちらの色のスロットに挿入するかを示す文言を、受信装置に付属する取扱説明書等に記載するなどの方法が考えられる。
本実施例では、ユーザは複数枚のICカードをどのスロットに挿入すればよいかわかりやすくなり、使い勝手の向上を図ることができる。ICカード形態の分別方法は、本実施例に限定されない。
次に、複数のICカード(B−CASカード)のうちいずれかのカードが故障した場合や、いずれかのカードが未挿入であったり、誤挿入されていたりした場合についての処理を説明する。
複数枚のカードを使用する受信装置では、いずれかのICカードが未挿入あるいは誤挿入、または故障した場合などに、ユーザが所望する動作を実現できない可能性がある。そこで、本実施例では、ICカードが未挿入の場合や誤挿入の場合、故障を検知した場合などに、適切な表示や通知、あるいは動作制限を行うようにする。
一例としては、ICカードに故障などの異常が発生した際に、複数枚のICカードのうちどのカードに異常が発生したかを特定する手段を設けるようにする。例えば、視聴中に限定受信制御部A609およびB610がそれぞれ備えるICカードへのアクセスを行ったタイミングで、限定受信制御部から正常なレスポンスが得られない(異常発生)と判定された場合に、制御部608により異常となるICカードのカードIDを取得する方法がある。
本実施例におけるICカード異常状態の取得方法の一例を図18に示す。視聴処理中、S1801にて使用している限定受信制御部A609およびB610のレスポンスを判別する。正常である場合にはS1802へ遷移しデスクランブル処理を行い、処理終了する(なお、この処理は視聴中常に行われるため、すぐ処理開始される)。レスポンスが異常である場合は、S1803へ遷移し、カード情報保持部2002が備えるICカードの情報から、異常のあるICカードのカードIDを取得する。S1803で異常が発生したカードIDを取得すると、S1804へ遷移し、出力部607における例えばディスプレイなどの画面表示として、ICカードに異常が発生した旨とそのカードのカードIDを表示し、処理を終了する。
また、視聴中に限らず、上記の方法を任意のタイミングで行ってICカード状態を判別しても良い。例えばユーザ要求によるICカード情報表示などのときに、上記のような方法で取得した異常が発生したカードIDを表示できるようにする。
図12に、複数枚のICカードのうちどのカードに異常が発生したかを特定し表示する場合の画面構成例を示す。本実施例では、受信装置の定めるICカード表示方法の一例として、2枚のICカードをICカード1、ICカード2というようにそれぞれ定め、出力部607における例えばディスプレイなどの画面表示として一画面に表示するものとする。異常が発生しているカードがICカード1、ICカード2のどちらであるかを判別しやすいように、カードごとに状態を表示する。
このような方法を用いることで、ICカードを複数枚用いる場合でも、異常のあるICカードを特定できるため、ユーザに通知することで対応を促すことができるので、使い勝手の向上を図ることができる。
また、本実施例では、ICカードの状態に応じて適切な制御を行わせる手段を備える。ICカードの状態遷移の一例を図13に示す。実施例1で述べたような代表カードを定める場合には、代表カードが未挿入または故障した場合に、特定の契約番組の視聴や、特定のデータ放送などの処理ができないおそれがあるため、その旨をユーザに通知する。具体的な例としては、視聴中に代表カードを備える限定受信制御部(図8の場合は限定受信制御部A609)が備えるICカードへのアクセスを行ったタイミングで、限定受信制御部から正常なレスポンスが得られない(異常発生)と判定された場合に、出力部607における例えばディスプレイなどの画面表示として表示する。この場合の処理シーケンスは、図18の処理シーケンスを代表カードを備える限定受信制御部(図8の場合は限定受信制御部A609)に対して行った場合と同様である。
図14は、複数枚中の1枚のICカードが故障した場合の表示の一例である。図14のように、故障したカードが代表カードであることと、代表カードが故障しているため不可能となった処理内容を示すメッセージを表示することで、ユーザは異常状態を把握しやすくなる。このとき、異常状態への対応方法も合わせて表示することで、より使い勝手向上が図れる。
他の問題として、複数枚のICカードを用いる受信装置で、複数枚中何枚かのICカードが未挿入であっても、その構成によっては問題なく動作する可能性がある。このような受信装置では、複数枚中何枚かのICカードを抜き取り、他の機器に転用する(ICカード転用)など、放送事業者の意図しない方法で使用されるおそれがある。本実施例では、前記の問題に対し、ICカードが未挿入であることを検知した場合に、その受信装置が本来使用可能な機能を適切に制限し、完全な動作とならないようにする方法がある。具体的な例としては、限定受信制御部A609およびB610の物理的インターフェースであるICカードスロットへ適切にICカードが挿入されているかどうかを、カード情報保持部2002にて判別し、一部または全てのICカードが適切に挿入されていない場合は、出力部607における例えばディスプレイなどの画面表示として表示する方法がある。
本実施例におけるICカード未挿入の場合の処理方法の一例を図18に示す。S1901にて限定受信制御部A609およびB610のレスポンスを判別し、正常である場合には特に処理を行わずに終了する。限定受信制御部A609およびB610のいずれかあるいは全てに対してICカードが未挿入であると判別された場合、S1902へ遷移し、ICカード未挿入である旨のメッセージを出力部607における例えばディスプレイなどの画面表示として表示し、処理を終了する。
図15は、複数枚のうち1枚のICカードが未挿入の場合に表示するメッセージの一例である。ICカード未挿入であっても完全な動作が可能な受信装置である場合は、ICカード転用を助長するおそれがあり好ましくないため、全てのICカードが適切に使用されていない場合は、出力部607における例えばディスプレイなどの画面表示として図15のようなメッセージ画面を表示し、正常な視聴とさせないことで、ICカード転用を防ぐことができる。加えて、ICカード故障の場合も考慮し、挿入されているICカードによりデスクランブル可能なチャンネルは、メッセージ表示の背後にデスクランブルしデコードした映像を表示するなど、最低限の動作を可能とし、故障対応までの期間を救済する方法を用意するなどに、ユーザの使い勝手を考慮した動作としてもよい。
また、他の問題として、受信装置の受信制御によってはICカードスロットに対して挿入すべきICカード種別を定める場合が考えられる。その場合に、複数枚のICカードを挿入するにあたり、定められたスロットでないスロットへ誤って挿入してしまうおそれがある。本実施例では、このようなICカードの誤挿入に対し、適切なメッセージを表示する手段を備える。
複数のICカードスロットをインターフェースとして持つ限定受信制御部A609およびB610が、それぞれどの種別のICカードを挿入すべきかを定める場合、例えば、カード情報保持部2002によりその情報を保持することが考えられる。ICカード種別は、カードIDにより、3波共用カードであるか、地上デジタル放送専用カードであるかの判別が可能であるため、限定受信制御部A609は3波共用カード、限定受信制御部B610は地上デジタル放送専用カード、というように定めることが可能である。
本実施例によりICカード挿入時に、ICカードスロットに適切なICカード種別のICカードが挿入されているかを判別する処理の一例を、図20に示す。S3001で、挿入されているICカード種別が、カード情報保持部2002により保持する当該限定受信制御部に対応したICカード種別であるかを判別する。当該限定受信制御部に対応したICカード種別である場合は、特に問題はないため処理を終了する。当該限定受信制御部に対応したICカード種別でない場合は、ICカード誤挿入と判定し、S3002へ遷移し、カード情報保持部2002が備えるICカードの情報からカードIDを取得する。S3002の後、S3003へ遷移し、ICカード誤挿入(想定された適切なスロットへ挿入されていない)を示すメッセージおよびそのカードIDを表示し、処理を終了する。以上の処理を各限定受信制御部ごとに行い、ICカード誤挿入を検出し、ユーザに対応を促すようにする。
図21は、複数枚中の1枚のICカードが誤挿入された場合の表示の一例である。図21のように、ICカードが誤挿入されていることと、そのカードIDを表示している。合わせて、ユーザに適切なスロットへカードを挿入するよう促すメッセージや、誤挿入に伴う問題をあわせて表示するなどにより、より使い勝手向上が図れる。
以上の方法によりICカード状態(未挿入/誤挿入/故障)の判別を行い、図12、14、15、21などに示すような各状態に対応するメッセージ表示を行うタイミングの例としては、視聴中に行われるICカードへのアクセスを逐次監視し、レスポンスが正常であるかどうかによりICカード状態を判別する方法がある。このとき、ICカードが挿入されていないスロットがあれば未挿入のメッセージ(例えば図15)を表示し、実施例2に示すようなスロットごとに挿入するICカードの種類が異なる場合において、あるスロットに想定されるICカードの種類とは別のICカードが挿入されている場合は誤挿入のメッセージ(例えば図21)を表示し、あるスロットに対し想定される種類のICカードが挿入されているが正常なレスポンスを得られないことを検知した場合はカード故障のメッセージ(例えば図12)を表示する。
その他のICカード状態判別およびメッセージ表示のタイミングとしては、各種ICカードが受信装置に挿入されたタイミングでICカード状態の判別およびメッセージ表示を行うことが考えられる。例えば、ICカードスロットにICカードが挿入されたことを契機とし、全てのスロットのICカードへのアクセスを試み、レスポンスを監視することでICカードの状態判別を行う。このときの判別結果と表示メッセージの例は上述の視聴中ICカードのレスポンスを常に監視し判別・表示する場合と同様である。
その他のICカード状態判別およびメッセージ表示のタイミングとしては、放送を録画することが可能な受信装置において、ユーザが録画予約を行ったタイミングで(視聴および録画に伴うICカードアクセスに先駆けて)行う方法が考えられる。例えば、デジタル放送により提供される電子番組表から、特定の番組をリモコンなどで選択し、録画予約動作を決定するタイミングで、ICカードへのアクセスを行い、ICカードの状態を判別する。このときの判別結果と表示メッセージの例は上述の視聴中ICカードのレスポンスを常に監視し判別・表示する場合と同様である。
さらに、以上の方法で予約録画を行った際にはICカード状態が正常であっても、各種メッセージが表示されなかった場合において、その後ユーザが当該受信装置から離れるなどによりメッセージ表示を確認できない状態となった後に、ICカード状態に異常が発生することも考えられ(例えば、そのようなタイミングでICカードが故障したり、他者によりICカードを操作されたりした場合)、このような場合は録画失敗のおそれがある。これに対し、予約録画開始後、ICカード状態判別を録画中常に行っておき、ICカードの各種異常を検知した場合はその情報を受信装置内部の例えばカード情報保持部2002などで記憶しておき、その後、当該受信装置に録画した番組を一覧で表示する画面などから、上述の予約録画によって録画した番組をユーザが選択し視聴(再生)する場合に、録画中に検知し記憶しているICカード異常状態に基づき、録画中にICカードに異常が発生した旨のメッセージを再生前に表示する。このときの判別結果と表示メッセージの例は上述の視聴中ICカードのレスポンスを常に監視し判別・表示する場合と同様である。このようにすることで、録画が失敗していた場合などでも、その原因をユーザが理解しやすくなる。
また、上述の方法を任意のタイミングで行ってICカード状態を判別する場合も考えられる。例えばユーザ要求により、メニューなどから選択される設定変更の画面などからICカードの情報表示を行う場合など、ユーザが情報表示を要求するタイミングでICカードへのアクセスを行い、ICカードの状態を判別する。このときの判別結果と表示メッセージの例は上述の視聴中ICカードのレスポンスを常に監視し判別・表示する場合と同様である。
本実施例によれば、ICカードが未挿入や誤挿入、故障をユーザが認識でき、対応を促すことが出来るので使い勝手の向上を図ることができる。また、ICカード転用など、放送事業者や受信装置メーカの意図しない方法での使用を制限する効果もある。
なお、ICカードの状態に対する表示内容(メッセージなど)や表示処理手順、動作制限事項などは、本実施例に限定されない。また、ICカードの状態判別のタイミングや方法は本実施例に限定されない。
次に、有料放送の仮視聴期間に関する処理について説明する。上述したとおり、仮視聴期間はICカード(B−CASカード)ごとに設定される場合があり、1つの受信装置に複数のカードが用いられる場合、仮視聴期間が放送事業者が意図した期間よりも長くなってしまうおそれがある。
そこで、本実施例では、複数枚のICカードを用いて有料放送を視聴する場合に、有料放送に設定されている仮視聴期間を適切に設定するようにする。例えば、同じ契約形態の有料放送が視聴可能なICカードをN枚使用する場合、それぞれのICカードごとに仮視聴期間が存在するため、それらを1枚ずつN回使用すると仮視聴期間は見かけ上N倍となり、放送事業者が意図する仮視聴期間とはならなくなってしまう。そのため、放送事業者が意図する仮視聴期間を遵守する方法が必要である。
例えば、ICカードを制御する制御部などで、特定の放送の仮視聴期間を管理するための管理情報を保持しておき、同じ契約形態のICカードすべてのアクセスを、前記管理情報に基づき制御することで、仮視聴期間を複数回行使することを不可能とする方法が考えられる。
図8を用いて本実施例を説明する。図8の制御部608において、限定受信制御情報取得部2001は、限定受信制御情報各種を取得する。カード情報保持部2002は、接続されている限定受信制御部A609およびB610が備えるカードごとに、特定の放送/番組が視聴可能かという情報と、それらに仮視聴期間(有効期間)の設定があるかという情報を保持・管理しており、また、仮視聴期間が設定された特定の放送/番組ごとに、受信装置として利用可能な仮視聴期間を定め、保持する機能を備える。カードアクセス部2003は、限定受信制御部へアクセスし、情報を送受する機能を備える。カード情報設定部2004は、制御部608の動作に応じてカード情報保持部2002が保持するカード情報(代表カード)の設定を変更できるものとする。
本実施例における仮視聴期間を扱う場合の処理について図11を用いて説明する。S2201において、カード情報保持部2002は、限定受信制御情報取得部2001により得られた限定受信制御情報から、視聴可能な契約情報を保持しているかをまず判別し、視聴可能な契約情報を保持していない(未契約)である場合は、S2202へ遷移する。視聴可能な契約情報を保持している(契約済み)であれば、S2204へ遷移しデスクランブル処理を開始する。S2202では、仮視聴期間が設定された放送/番組であるかを判別する。仮視聴期間が設定されている放送/番組であれば、S2203へ遷移する。仮視聴期間が設定されていない場合は、視聴不可のため処理を終了する。S2203では、カード情報保持部2002が保持する受信装置として利用可能な仮視聴期間内であるかを判別し、仮視聴期間内であれば、S2204へ遷移し、その期間のみ適切な限定受信制御部にアクセスしデスクランブル処理を開始する。仮視聴期間内でない場合は視聴不可のため処理を終了する。以上のように、複数の限定受信制御部へアクセスし仮視聴期間の情報を利用するのではなく、カード情報保持部が一元的に仮視聴期間を管理し、受信装置の挙動を決定することができる。
受信装置として利用可能な仮視聴期間の決定方法としては、実施例1で述べたような代表カードを定め、その仮視聴期間の情報を、受信装置として利用可能な仮視聴期間と定める方法がある。この例では、代表カードの仮視聴期間を、受信装置として利用可能な仮視聴期間とみなすため、代表カードの仮視聴期間の情報をカード情報保持部2002が保持しており、受信装置はその情報に従い動作することで、代表カードでないカードの仮視聴期間を別途利用することを禁止できる。
本実施例により、複数枚のICカードを使用する場合であっても、制御部608により各カードの仮視聴期間をまとめて管理することで適切な仮視聴期間とすることができ、放送事業者の意図する仮視聴期間を遵守する受信装置を提供することができる。
以上、複数枚のICカードを使用する受信装置に関する実施例を複数説明したが、各実施例は適宜組み合わせることができる。