以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第一の実施の形態における作業者監視システムの構成例を示す図である。
同図において、作業者監視システム1は、監視サーバ10及び一台以上の作業者端末20等を含む。監視サーバ10は、作業者端末20の位置等を監視し、作業者の異常の検知等を行うコンピュータである。作業者端末20は、作業者によって携帯可能な端末であり、主として作業者端末20の位置情報を無線通信によって監視サーバ10に送信する。作業者端末20としては、市販されている携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)等が利用されてもよいし、専用の端末が利用されてもよい。
なお、本実施の形態では、作業者監視システム1を圃場(農場)に適用した例について説明する。したがって、被監視者は、圃場において作業を行う作業者である。但し、作業者監視システム1の適用対象は圃場に限定されない。
作業者端末20は、位置情報検出部21、位置情報変換部22、位置情報変換指示受付部23、位置情報変換期間選択部24、位置情報送信部25、変換期間情報通信部26、及び位置情報変換テーブル27等を有する。これら各部は、作業者端末20にインストール又は組み込まれたプログラムが作業者端末20のCPUに実行させる処理によって実現される。
位置情報検出部21は、作業者端末20の位置を示す情報(位置情報)を検出する。位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波に基づいて検出又は算出される。位置情報変換部22は、位置情報変換テーブル27を用いて、位置情報の精度を変換(調節)する。詳しくは、位置情報変換部22は、位置情報検出部21によって検出された位置情報の精度を劣化又は低下させる。以下、位置情報検出部21によって検出された位置情報と、位置情報変換部22による変換後の位置情報とを区別する場合、前者を「高精度位置情報」といい、後者を「低精度位置情報」という。位置情報変換テーブル27は、作業者端末20の記憶装置において、位置情報の精度を変換するための情報が登録されているテーブルである。
位置情報変換指示受付部23は、作業者からの位置情報の変換開始又は変換終了の指示入力を受け付け、位置情報の変換の開始又は終了を位置情報変換部22に要求する。当該指示入力は、作業者端末20のハード的なボタンが押下させることにより入力されてもよいし、作業情報変換指示受付部が作業者端末20の表示部に表示させる画面を介して入力されてもよい。位置情報変換部22は、位置情報変換指示受付部23より位置情報の変換の開始要求が入力されてから位置情報の変換の終了要求が入力されるまでの期間において位置情報の変換を実行する。なお、位置情報変換指示受付部23は、予め作業者端末20の記憶装置に記録されたスケジュール情報等を位置情報の変換指示の入力元としてもよい。当該スケジュール情報は、例えば、位置情報の変換を実行する期間(開始時刻及び終了時刻)を示すものである。当該期間は複数指定されていてもよい。
位置情報変換期間選択部24は、位置情報を変換する期間(変換の開始時及び終了時)をランダムに(無作為に)選択する。位置情報変換期間選択部24は、ランダムに選択した期間の開始時に位置情報の変換の開始要求を位置情報変換部22に入力し、当該期間の終了時に位置情報の変換の終了要求を位置情報変換部22に入力する。位置情報変換部22は、位置情報変換期間選択部24より位置情報の変換の開始要求が入力されてから位置情報の変換の終了要求が入力されるまでの期間において位置情報の変換を実行する。すなわち、位置情報変換期間選択部24によって、作業者の意思とは無関係な期間において位置情報の変換が行われる。ランダムな選択は、位置情報を変換する期間の開始時だけを対象としてもよいが、当該期間の長さも対象とすることが望ましい。当該期間の長さが固定であると、位置情報変換期間選択部24に基づく低精度位置情報に規則性が生じ、位置情報変換期間選択部24に基づく低精度位置情報であることが、監視サーバ10において判別可能となりうるからである。本実施の形態において、位置情報変換期間選択部24は、位置情報を変換する期間を開始するタイミングを、例えば、当該期間に関する平均発生間隔を持つ指数分布に基づいて決定する。また、位置情報変換期間選択部24は、当該期間の長さを、当該期間に関する平均継続時間を持つ指数分布に基づいて決定する。但し、ランダム性が確保できれば、当該期間の開始タイミング及び長さの決定方法は所定のものに限定されない。
なお、位置情報変換指示受付部23に基づいて(すなわち、作業者の任意の指定によって)位置情報が変換される期間を、「任意変換期間」という。また、位置情報変換期間選択部24に基づいて位置情報が変換される期間を「無作為変換期間」という。また、任意変換期間と無作為変換期間とを区別しない場合、単に「変換期間」という。
位置情報送信部25は、位置情報を継続的に監視サーバ10に送信する。位置情報送信部25は、変換期間以外においては高精度位置情報を送信し、変換期間においては低精度位置情報を送信する。
変換期間情報通信部26は、所定期間(例えば、1日の作業開始時から終了時までの期間)における任意変換期間の長さ又は無作為変換期間の長さを示す情報を監視サーバ10に送信する。
一方、監視サーバ10は、位置情報受信部111、状態判定部112、変換期間情報受信部113、変換期間情報出力部114、及び作業者属性記憶部115等を有する。これら各部は、監視サーバ10にインストールされたプログラムが監視サーバ10のCPUに実行させる処理によって実現される。
位置情報受信部111は、各作業者端末20の位置情報送信部25より送信される位置情報を受信する。状態判定部112は、受信された位置情報の変化に基づいて作業者の異常(病気や事故等)の有無を判定する。例えば、一定期間の間、位置情報の示す位置に変化が無い場合(すなわち、作業者が移動していない場合)、状態判定部112は、何らかの異常が作業者に発生したものと判定する。異常が発生したと判定した場合、状態判定部112は、異常の発生を示す情報を出力(例えば、表示)させる。作業者属性記憶部115は、監視サーバ10の記憶装置において、作業者ごとの属性情報(作業者属性情報)が記憶される記憶領域である。作業者属性情報の一例としては、作業者ID、名前、年齢等が挙げられる。作業者IDは、各作業者を識別するためのID(識別子)である。なお、作業者属性情報は予め入力される。
図2は、本発明の実施の形態における監視サーバのハードウェア構成例を示す図である。図2の監視サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100と、補助記憶装置102と、メモリ装置103と、CPU104と、通信インタフェース装置105と、表示装置106と、入力装置107と、タイマー108とを有する。
監視サーバ10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って監視サーバ10に係る機能を実現する。通信インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。当該ネットワークは、作業者端末20が無線通信に利用するアクセスポイントに接続されている。表示装置106はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置107はキーボード及びマウス等であり、様々な操作指示を入力させるために用いられる。タイマー108は、いわゆるタイマー(時計)であり、時間の計測を行う。
図3は、本発明の実施の形態における作業者端末のハードウェア構成例を示す図である。図3において、作業者端末20は、ROM201、不揮発性RAM202、RAM203、CPU204、通信インタフェース205、表示装置206、入力装置207、及び位置検出装置208等を有する。
作業者端末20での処理を実行させるプログラムは、ROM201又は不揮発性RAM202にインストールされる。例えば、当該プログラムが、作業者端末20の出荷時に予めインストールされる場合はROM201に格納されるのが一般的である。また、当該プログラムが通信インタフェース装置205を介した無線通信によってインターネット等を介してダウンロードされて利用される場合は、不揮発性RAM202に格納される。なお、ROM201や不揮発性RAM202には、当該プログラム以外に、当該プログラムが用いる各種データも格納され得る。RAM203は、プログラムの起動指示があった場合に、ROM201又は不揮発性RAM202から読み出されたプログラム等を格納する。CPU204は、RAM203に格納されたプログラムに従って作業者端末20に係る後述される機能を実行する。通信インタフェース装置205は、無線通信を行うためのアンテナや無線通信モジュール等が含まれる。表示装置206は、プログラムによって出力される各種情報を表示させる。入力装置207は、ボタン等であり、ユーザからの入力指示を受け付ける。位置検出装置208は、作業者端末20の現在位置を検出するための装置であり、例えば、GPS(Global Positioning System)衛生より電波を受信することにより位置を検出するGPS受信機が相当する。または、無線通信に利用しているアクセスポイントに基づいて現在位置を検出するようにしてもよい。更に、RFID(Radio Frequency Identification)を利用して現在位置を検出するようにしてもよい。
以下、作業者監視システム1の処理手順について説明する。図4は、作業者端末が実行する処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS101において、位置情報検出部21は、位置検出装置208を用いて作業者端末20の現在位置の高精度位置情報(例えば、緯度及び経度)を検出する(S101)。位置情報検出部21は、検出された高精度位置情報を位置情報変換部22に入力する。続いて、位置情報変換部22は、現在が変換期間であるか否かを判定する(S102)。
例えば、作業者は、休憩をとる場合又はトイレに行く場合等において、入力装置207を介して位置情報の変換の開始指示を作業者端末20に入力する。当該指示は位置情報変換指示受付部23によって検知され、位置情報変換部22に入力される。また、作業者は、休憩の終了時又はトイレより帰ってきたときに、位置情報の変換の終了指示を作業者端末20に入力する。当該指示は位置情報変換指示受付部23によって検知され、位置情報変換部22に入力される。位置情報変換部22は、当該開始指示が入力されてから当該終了指示が入力されるまでの期間を任意変換期間として認識する。
また、位置情報変換期間選択部24は、ランダムなタイミングで位置情報の変換の開始要求を位置情報変換部22に入力し、ランダムなタイミングで位置情報の変換の終了要求を位置情報変換部22に入力する。位置情報変換部22は、当該開始要求が入力されてから当該終了要求が入力されるまでの期間を無作為変換期間として認識する。
現在が任意変換期間又は無作為変換期間である場合(S102でYes)、位置情報変換部22は、位置情報検出部21より入力された高精度位置情報を低精度位置情報に変換し、低精度位置情報を位置情報送信部25に入力する(S103)。
図5は、位置情報の変換処理の一例を説明するための図である。同図において圃場Fは、8つのエリア(ブロック)に分割されている。垂直方向の境界線に対して付されたx1〜x3と、水平方向の境界線に対して付されたy1〜y5は、それぞれ、経度又は緯度を示す。点Pは、位置情報検出部21によって検出された高精度位置情報が示す位置である。位置情報変換部22は、点Pの位置情報(緯度及び経度)を、エリア単位の位置情報に変換する。当該変換において、位置情報変換部22は、位置情報変換テーブル27を利用する。
図6は、位置情報変換テーブルの構成例を示す図である。同図に示されるように、位置情報変換テーブル27には、高精度位置情報の範囲ごとに、対応する低精度位置情報(図5のエリア)が登録されている。高精度位置情報の範囲は、各エリアの左上頂点と右下頂点との座標値によって示されている。なお、変換結果としての低精度位置情報(エリア情報)は、例えば、各エリアに付与された識別子(エリアID)であってもよいし、各エリアの緯度及び経度の範囲情報であってもよい。
一方、現在が任意変換期間でもなく、無作為変換期間でもない場合(S102でNo)、位置情報変換部22は、位置情報の変換は行わず、高精度位置情報をそのまま位置情報送信部25に入力する。
続いて、位置情報送信部25は、位置情報変換部22より入力された低精度位置情報又は高精度位置情報と作業者IDとを監視サーバ10に送信する(S104)。作業者IDは、例えば、不揮発性RAM203に記録されている。
上記ステップS101〜S104は、所定期間において一定間隔で繰り返し(すなわち、定期的に)実行される。一定間隔の時間は、作業者の異常検知の観点からは短ければ短いほど好ましい。
例えば、所定期間が終了すると(S105でYes)、変換期間情報通信部26は、所定期間内における、任意変換期間の長さ(時間)又は無作為変換期間の長さ(時間)を示す情報(変換期間情報)と作業者IDとを監視サーバ10に送信する(S106)。ここで、所定期間は、例えば、一日の作業時間でもよいし、昼休みを挟んで午前中の作業期間及び午後の作業期間のそれぞれであってもよい。または、さらに短い期間であってもよい。いずれの期間の場合であっても、無作為変換期間とは非同期な(無関係な)タイミングである必要がある。仮に、変換期間情報通信部26による情報の送信のタイミングが常に無作為変換期間の終了のタイミングであるとすると、監視側において無作為変換期間と任意変換期間との区別が可能となってしまい、無作為変換期間の存在意義が没却されてしまうからである。
なお、位置情報変換部22は、任意変換期間又は無作為変換期間の長さを示す情報の少なくともいずれか一方をRAM202に記録しておく。但し、任意変換期間の長さは位置情報変換指示受付部23によっても、また、無作為変換期間の長さは位置情報変換期間選択部24によっても判定可能である。したがって、位置情報変換指示受付部23又は位置情報変換期間選択部24によって、任意変換期間又は無作為変換期間の長さを示す情報がRAM202に記録されてもよい。変換期間情報通信部26は、RAM202に記録された情報を送信対象とする。
また、所定期間の終了は、作業者による入力装置207介した入力によって検知されてもよいし、所定期間の終了時刻の到達によって自動的に検知されてもよい。または、監視サーバ10からの要求に応じてステップS106が実行されてもよい。
図4の処理によって、作業者端末20より送信される位置情報は、例えば図7に示されるようなものとなる。図7は、作業者端末より送信される位置情報の例を示す図である。
図中(A)の各矢印は、位置情報検知部によって検知された位置情報を示す。矢印が一定間隔で配列されていることにより、定期的に位置情報が検知されていることが示されている。(B)における太線の矢印は、任意変換期間における変換によって生成された低精度位置情報を示す。同図では、作業者によって2回の変換指示が入力された例が示されている。(C)における太線の矢印は、無作為変換期間における変換によって生成された低精度位置情報を示す。同図では、無作為変換期間が4回発生した例が示されている。なお、各無作為変換期間の間隔は、平均発生間隔T1を有する指数分布と、平均継続時間T2を有する指数分布とに基づいて決定されている。(D)は、位置情報送信部25より送信される位置情報を示す。(D)は、概念的に(A)、(B)、(C)を合成したものである。その結果、監視サーバ10では、低精度位置情報が受信される時期は特定できるものの、任意変換期間は特定することはできない。したがって、作業者が実際に休憩をとった時期やトイレに行った時期は特定することは困難である。その結果、作業者のプライバシーを適切に保護可能となっている。
続いて、監視サーバ10において実行される処理手順について説明する。図8は、位置情報の受信に応じて監視サーバが実行する処理手順を説明するためのフローチャートである。
位置情報受信部111は、或る作業者端末20より位置情報及び作業者IDを受信すると、受信された位置情報及び作業者IDを状態判定部112に入力する(S201)。続いて、状態判定部112は、受信された位置情報と、受信された作業者IDに関してメモリ装置103に既に記録されている位置情報とを比較し、作業者の移動の有無を判定する(S202)。メモリ装置103に既に記録されている位置情報とは、以前の位置情報の受信時に、後述されるステップS203が実行されることによってメモリ装置103に記録された位置情報である。以下、今回受信された位置情報をカレント位置情報といい、今回受信された作業者IDをカレント作業者IDという。
作業者の移動の有無は比較対象とされた位置情報が一致するか否かに基づいて判定される。比較対象の位置情報の精度が異なる場合、すなわち、高精度位置情報と低精度位置情報とが比較される場合、二つの位置情報における包含関係の有無に基づいて移動の有無を判定すればよい。すなわち、高精度位置情報によって示される位置が低精度位置情報によって示されるエリアに含まれる場合、移動はしていないと判定すればよい。または、移動の有無を判定するために用いる位置情報は、高精度位置情報に限定してもよい。この場合、高精度位置情報が受信された場合についてのみステップステップS202以降が実行されればよい。
比較された位置情報が一致しない場合(S202でYes)、状態判定部112は、カレント位置情報及びカレント作業者IDと、現在時刻(時間情報)とを関連付けてメモリ装置103に記録し、図8の処理を終了させる(S203)。現在時刻は、タイマー108より取得される。なお、メモリ装置103に位置情報が記録されていない場合(カレント作業者IDについて初めて位置情報が受信された場合)も比較された位置情報は一致しないと判定される。
一方、比較された位置情報が一致する場合(S202でNo)、状態判定部112は、カレント作業者IDに対してメモリ装置103に記録されている時間情報が示す時刻から、所定時間が経過しているか否かを判定する(S204)。すなわち、現時点においてタイマー108が示す時刻が、カレント作業者IDに対してメモリ装置103に記録されている時間情報が示す時刻に所定時間を加算した時刻を経過しているか否かが判定される。所定時間は、全作業者に対して共通であってもよいし、作業者ごとに異なっていてもよい。
所定時間が経過している場合(S204でYes)、状態判定部112は、カレント作業者IDに対応する名前等を作業者属性記憶部115より取得し、当該名前の作業者に異常が発生したことを示すメッセージ又は画面等を表示装置106に表示させる(S205)。当該メッセージ等に基づいて、監視者は、作業者の異常を検知することができる。
続いて、図9は、変換期間情報の受信に応じて監視サーバが実行する処理手順を説明するためのフローチャートである。
変換期間情報受信部113は、或る作業者端末20より変換期間情報及び作業者IDを受信すると、受信された変換期間情報及び作業者IDを変換期間情報出力部114に入力する(S301)。続いて、変換期間情報出力部114は、受信された変換期間情報に基づいて、任意変換期間の長さを算出する(S302)。例えば、任意変換期間の長さを示す情報が変換期間情報として受信される場合、特別な演算は行われずに、当該長さが任意変換期間の長さとされる。一方、無作為変換期間の長さを示す情報が変換期間情報として受信される場合、変換期間情報出力部114は、所定期間(例えば、一日の作業期間)において低精度位置情報が受信された時間の総和から無作為変換期間の長さを差し引いた時間を任意変換期間の長さとする。
続いて、変換期間情報出力部114は、受信された作業者IDと関連付けて、任意変換期間の長さを示す情報を出力する(S303)。出力先は、補助記憶装置102であってもよいし、表示装置106であってもよい。
監視者は、出力された情報を確認することにより、作業者が実際に休憩等のプライベートな行動をとった時間を把握することができる。したがって、低精度位置情報がランダムに送信されることによる監視レベルの低下を適切に補完することができる。その結果、作業者のモラルの低下を適切に防止することができる。なお、出力される情報は、あくまでも任意変換期間の総和であり、そのタイミングではない。したがって、作業者のプライバシーは適切に確保される。
なお、所定期間Hにおける任意変換期間は、その平均発生間隔T1と平均継続時間T2とに基づいて、(T1/T2)×Hによって算出可能である。したがって、斯かる算出式によって算出された値を、当該所定期間において低精度位置情報が受信された時間の総和より減ずることにより、任意変換期間が算出されてもよい。この場合、T1及びT2は、監視サーバ10において決定されてもよいし、作業者端末20側で決定されてもよい。監視サーバ10において決定される場合、T1及びT2の値は、例えば、補助記憶装置102に記録され、監視サーバ10より各作業者端末20に配信される。各作業者端末20の変換期間情報通信部26はT1及びT2の値を受信し、位置情報変換期間選択部24は、受信されたT1及びT2の値に基づいて無作為作業期間を選択する。また、T1及びT2の値が作業者端末20において決定される場合、各作業端末20の変換期間情報通信部26は、所定期間の終了時等においてT1及びT2を監視サーバ10に送信すればよい。この場合、変換期間情報は送信されなくてもよい。
なお、監視サーバ10においてT1及びT2を決定する場合、作業者によって不当な値がT1及びT2に設定されるのを防止することができるという利点がある。ここでいう不当な値とは、無作為変換期間が不当に長くなるような値をいう。
ところで。位置情報変換期間選択部24が利用する平均発生間隔T1及び平均継続時間T2の値と、作業者の異常検知の精度とは密接な関係がある。具体的には、平均発生間隔T1を短くすればするほど、又は平均継続時間T2を長くすればするほど、無作為変換期間、すなわち、低精度位置情報が通知される期間が長くなる。そうすると、高精度位置情報に基づいて作業者の移動の有無を判定可能な機会が減少し、その結果として異常の発生の検知に遅延が生じる可能性が高くなる。
そこで、作業者ごとに、異常の発生する危険性の度合い(以下、「リスクレベル」という。)に応じて、平均発生間隔T1及び平均継続時間T2を変化させる例を第二の実施の形態として説明する。
図10は、第二の実施の形態における監視サーバの機能構成例を示す図である。図10中、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
同図において、監視サーバ10aは、リスクレベル判定部121、リスクレベル修正部122、無作為パラメータ判定部123、無作為パラメータ送信部124、リスクレベル管理テーブル125、環境情報記憶部126、及び作業情報記憶部127等を更に有する。
環境情報記憶部126は、補助記憶装置102において、環境情報が記憶される記憶領域である。環境情報は、例えば、圃場に設置された各種センサーより刻々と(リアルタイム入力される。環境情報の一例としては、気温、湿度、雨量、風速等が挙げられる。作業情報記憶部127は、補助記憶装置102において、作業者ごとの行動内容(作業スケジュール等の作業内容)を示す情報(作業情報)が記憶される記憶領域である。作業情報の一例としては、トラクタの利用の有無が挙げられる。作業情報は、例えば、作業内容が決定されるたびに入力される。
リスクレベル判定部121は、環境情報、作業者属性情報、及び作業情報等に基づいて、作業者ごとに、かつ、作業者の異常状態の項目又は種別(以下、「リスク項目」または「異常の種別」という。)ごとに、作業中のリスクレベルを判定する。判定されたリスクレベルは、作業者ごと及びリスク項目ごとにリスクレベル管理テーブル125に記録される。リスクレベル管理テーブル125は、監視サーバ10aの補助記憶装置102を用いてリスクレベルを管理するテーブルである。
図11は、リスクレベル管理テーブルの構成例を示す図である。同図において、リスクレベル管理テーブル125には、作業者ごと及びリスク項目ごとにリスクレベルが記録されている。すなわち、列方向における、A、B、C等は、作業者IDを示す。また、行方向における、熱射病、脳梗塞、及びトラクタ転倒事故等は、リスク項目の一例を示す。本実施の形態において、リスクレベルは、レベル0(リスク無し)、レベル1(リスク低)、レベル2(リスク中)、レベル3(リスク高)のの4段階の値をとることとする。但し、リスクレベルの表現方法は、作業者監視システム1を適用する作業等に応じて適宜選択すればよい。なお、リスクレベル管理テーブル125の最終行には、作業者ごとに全てのリスク項目に対するリスクレベルの中の最大値(最大リスクレベル)が記録される。また、環境情報の内容は刻々と変化するため、リスクレベルの判断は繰り返し(例えば、定期的に)実行される。したがって、環境情報等、動的に変化する情報に依存するリスク項目のリスクレベルは時間の経過に応じて変化しうる。
図10に戻る。リスクレベル修正部122は、リスクレベル判定部121によって判定されたリスクレベルについて、値の判定後、所定時間経過しても異常の発生が検知されなかった場合に値を低下させる。所定時間経過しても異常が検知されなかったということは、作業者はその後も異常状態にならない可能性が高いため、リスクレベルを下げてもよいと考えられるからである。
無作為パラメータ判定部123は、無作為変換期間の決定に利用されるパラメータの値(平均発生間隔T1及び平均継続時間T2)をリスクレベルに基づいて判定する。リスクレベルは作業者ごとに判定される。したがて、平均発生間隔T1及び平均継続時間T2の値も作業者ごとに判定される。無作為パラメータ送信部124は、無作為パラメータ判定部123によって判定された平均発生間隔T1及び平均継続時間T2の値を作業者端末20に送信する。
なお、作業者端末20の機能構成は第一の実施の形態と同様でよい。
以下、第二の実施の形態の監視サーバ10aの処理手順について説明する。図12は、リスクレベル及び無作為パラメータの判定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、図12の処理は、図8及び図9の処理と並行して実行される。
ステップS401において、リスクレベル判定部121は、環境情報記憶部126より環境情報を取得する。
図13は、環境情報記憶部の構成例を示す図である。同図では、気温、雨量、及び風速等が環境情報として例示されている。リスクレベルの判断に利用する環境情報は、作業内容等に応じて適宜選択すればよい。
続いて、リスクレベル判定部121は、未処理の作業者の一人分の作業者属性情報及び作業情報を作業者属性記憶部115又は作業情報記憶部127より取得する(S402)。ここで、未処理の作業者とは、図12の処理において処理対象とされていない作業者をいう。したがって、最初は全ての作業者が未処理の作業者である。
図14は、作業者属性記憶部の構成例を示す図である。同図において、作業者属性記憶部115には、作業者ごとに作業者属性情報が記憶されている。同図の作業者属性情報は、作業者ID、名前、年齢、既往歴、及び端末アドレス等の項目を有する。名前は、作業者の名前である。年齢は、作業者の年齢である。既往歴は、作業者の既往歴である。端末アドレスは、作業者端末20に関する通信用の識別情報(例えば、IPアドレス等)である。なお、図14に示される作業者属性記憶部115は、第一の実施の形態においても適用可能である。
また、図15は、作業情報記憶部の構成例を示す図である。同図において、作業情報記憶部127には、作業者ごとに、1日の作業内容を示す情報(作業情報)が記憶されている。同図の作業情報は、トラクタ利用及び農薬散布等の項目を有する。トラクタ利用は、トラクタの利用の有無を示す項目である。農薬散布は、農薬散布作業の有無を示す項目である。各項目について、作業の有無だけでなく作業時間が特定されていてもよい。例えば、トラクタ利用については、トラクタの利用予定時間が登録されていてもよい。同様に、農薬散布については、農薬散布の作業予定時間が登録されていてもよい。作業情報を構成する項目は、作業内容等に応じて適宜選択すればよい。
なお、ステップS402において作業者属性情報及び作業情報が取得された作業者を、以下「カレント作業者」という。
続いて、リスクレベル判定部121は、未処理のリスク項目を処理対象とする(S403)。例えば、リスクレベル管理テーブル125に列挙されているリスク項目の中で、図12の処理対象とされていないリスク項目が一つ処理対象とされる。以下、処理対象とされたリスク項目を「カレントリスク項目」という。
続いて、リスクレベル判定部121は、カンレント作業者のカレントリスク項目についてリスクレベルを判定し、判定結果としてのリスクレベルをリスクレベル管理テーブル125に記録する(S404)。続いて、リスクレベル判定部121は、リスクレベル修正部122を呼び出し、カレント作業者のカレントリスク項目に関するリスクレベル修正処理を開始させる(S405)。ステップS404及びS405の詳細については後述する。
ステップS403〜S405は、全てのリスク項目について繰り返し実行される(S406)。その結果、カレント作業者に関して全てのリスク項目のリスクレベルが判定される。全てのリスク項目に対する処理が完了すると(S406でYes)、リスクレベル判定部121は、カンレント作業者の最大リスクレベルをリスクレベル管理テーブル125に記録する(S407)。
続いて、無作為パラメータ判定部123は、最大リスクレベルに基づいて、カレント作業者に対する無作為パラメータ(平均発生間隔T1及び平均継続時間T2)の値を判定する(S408)。無作為パラメータの判定は、例えば、補助記憶装置102に予め記録されている、最大リスクレベルと無作為パラメータの値との対応情報に基づいて行われてもよいし、所定の計算式に基づいて行われてもよい。いずれの場合であっても、最大リスクレベルが高い程、平均発生間隔T1は長くなるようにする。または、最大リスクレベルが高い程、平均継続時間T2は短くなるようにする。または、最大リスクレベルが高い程、平均発生間隔T1は長くなるようにし、かつ、平均継続時間T2は短くなるようにする。すなわち、最大リスクレベルが高い程、無作為変換期間が短くなるように無作為パラメータの値が判定される。
続いて、無作為パラメータ判定部123は、判定された無作為パラメータの値をカレント作業者の作業者端末20に送信する(S409)。カレント作業者の作業者端末20は、例えば、作業者属性情報の端末アドレスによって特定される。当該作業者端末20では、変換期間情報通信部26によって無作為パラメータの値が受信される。その後、当該作業者端末20の位置情報変換期間選択部24は、受信された無作為パラメータに基づいて無作為変換期間を選択する(無作為変換期間の開始タイミング及び終了タイミングを決定する)。
ステップS402〜S409は、全ての作業者について繰り返し実行される(S410)。その結果、リスクレベル管理テーブル125の状態は、図11に示されるようになる。全ての作業者に関して処理が完了すると(S410でYes)、図12の処理は終了する。なお、図12の処理は、例えば、定期的に実行される。または、環境情報が変化したときに実行されてもよい。更に、作業情報に時間的要素が含まれている場合(すなわち、各項目の作業予定時間が特定されている場合)、作業の予定開始時刻の到来に応じて実行されてもよい。但し、当該予定開始時刻は、作業者ごとに異なる。したがって、作業の予定開始時刻の到来に応じて図12の処理を実行する場合、当該作業を行う作業者のみを処理対象としてもよい。
続いて、ステップS404の処理(リスクレベルの判定処理)の詳細について説明する。リスクレベルの判定処理の内容は、リスク項目ごとに異なる。リスク項目ごとに影響する事象が異なるからである。例えば、熱射病であれば、年齢及び気温(高温)等が影響しうる。脳梗塞であれば、年齢及び気温(低温)等が影響しうる。トラクタ転倒事故であれば、トラクタ利用の有無、年齢、及び雨量等が影響しうる。有毒農薬被爆であれば、農薬散布作業の有無等が影響しうる。したがって、リスク項目ごとに、どのような事象が影響するかを検討し、該検討結果に基づいて、リスクレベルの判定処理の内容を決定すればよい。本実施の形態では、熱射病及びトラクタ転倒事故のそれぞれのリスク項目についてリスクレベルの判定処理の具体例を説明する。
図16は、熱射病のリスクレベルの判定処理を説明するための図である。同図の熱射病リスク判定テーブル510は、補助記憶装置102において、気温と年齢との組み合わせごとにリスクレベルが記録されたテーブルである。リスクレベル判定部121は、カレントリスク項目が熱射病である場合は、カレント作業者の年齢と、環境情報に含まれている気温(現在の気温)とを熱射病リスク判定テーブル510に当てはめることにより熱射病のリスクレベルを判定する。例えば、図16に基づけば、作業者の年齢が35歳、圃場の気温が27℃の場合、熱射病発生リスクはレベル2と判定される。また、その後に圃場の気温が上昇し30℃を超えると、リスクレベルはレベル3と判定される。
なお、気温又は年齢のいずれか一方のみに基づいて熱射病のリスクレベルを判定してもよい。または、他の事象(パラメータ)をも考慮して熱射病のリスクレベルを判定してもよい。図16に示されるようなテーブルを利用した判定処理は、リスク項目に影響する事象(パラメータ)が二つ以下である場合に適している。
また、トラクタ転倒事故のように、3つ以上のパラメータが影響しうるリスク項目については、より複雑な計算アルゴリズムを用いてもよい。
図17は、トラクタ転倒事故のリスクレベルの判定処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS501において、リスクレベル判定部121は、トラクタ転倒事故のリスクレベルの値を0に初期化する。続いて、リスクレベル判定部121は、カレント作業者の作業情報に基づいて、トラクタの利用予定の有無を判定する(S502)。なお、作業情報として、トラクタの利用予定時間が指定されている場合は、現時点(図17の処理の実行時)がトラクタの利用予定時間内であるか否かが判定されればよい。トラクタの利用予定が有る場合(S502でYes)、リスクレベル判定部121は、リスクレベルに1を加算する(S503)。続いて、リスクレベル判定部121は、カレント作業者の作業者属性情報に含まれている年齢を確認する(S504)。カレント作業者が41〜50歳である場合、リスクレベル判定部121は、リスクレベルに1を加算する(S505)。カレント作業者が51歳異常である場合、リスクレベル判定部121は、リスクレベルに2を加算する(S506)。続いて、リスクレベル判定部121は、環境情報に含まれている雨量を確認する(S507)。雨量が20mm以上である場合(S507でYes)、リスクレベル判定部121は、リスクレベルに1を加算する(S508)。
一方、トラクタの利用予定が無い場合(S502でNo)、ステップS503以降は実行されない。したがって、この場合、リスクレベルはレベル0となる。トラクタを利用しない場合、トラクタによる転倒の可能性は無いからである。
なお、リスクレベルが最大値(レベル3)に達した場合、リスクレベルに対して加算が行われてもリスクレベルの値は増加しない。したがって、例えば、ステップS503、S506、及びS508が実行された場合、リスクレベルはレベル3となる。
他のリスク項目についても、影響するパラメータに基づいて、適切な処理手順によりリスクレベルを判定すればよい。
続いて、図12のステップS405の詳細について説明する。図18は、リスクレベルの修正処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図18の処理は、作業者ごと及びリスク項目ごとに、図12の処理と並行して実行される。例えば、リスクレベル修正部122は、ステップS405が実行されるたびにリスクレベル判定部121とは異なるスレッド又はプロセスとして起動されるようにしてもよい。この場合、ステップS405の開始時において、前回起動した各スレッド又はプロセスを停止するようにすればよい。
リスクレベル修正部122は、図12のステップS405において呼び出されると(起動されると)、タイマー108より現在時刻を取得し、現在時刻を開始時刻としてメモリ装置103に記録する(S601)。その後、状態判定部112より異常の発生の検知が通知されることなく(S602でNo)、開示時刻から所定時間が経過すると(S603でYes)、リスクレベル修正部122は、リスクレベル管理テーブル125に記録されているリスクレベルを1低下させる(S604)。ここで、低下対象となるリスクレベルは、当該リスクレベル修正部122(当該スレッド又は当該プロセス)に対応する作業者のリスク項目に対するリスクレベルである。すなわち、リスクレベル修正部122は、作業者ごと及びリスクレベルごとに並列的に図18の処理を実行している。
続いて、リスクレベル修正部122は、当該リスクレベルの低下により、自らに対応する作業者の最大リスクレベルが変化したか否かをリスクレベル管理テーブル125に基づいて判定する(S605)。最大リスクレベルが変化した場合(S605でYes)、リスクレベル修正部122は、新たな最大リスクレベルに基づく無作為パラメータの値の判定を無作為パラメータ判定部123に実行させる(S606)。無作為パラメータの値の判定方法は、図12のステップS408と同様でよい。続いて、リスクレベル修正部122は、新たに判定された無作為パラメータの送信を無作為パラメータ送信部124に実行させる(S607)。当該無作為パラメータの送信先は、当該リスクレベル修正部122に対応する作業者の作業者端末20である。
一方、開始時刻から所定時間経過前に状態判定部112より異常の発生が通知された場合(S602でYes)、図18の処理は終了する。例えば、リスクレベル修正部122としてのスレッド又はプロセスは終了する。
リスクレベル修正部122によって図18に示されるような処理が実行されることにより、異常が所定時間発生しない作業者についてはリスクレベルは低下する。その結果、無作為変換期間のタイミング及び長さを作業者の状態に応じて動的にかつ合理的に調節することができる。
なお、所定時間について複数の段階を設け、段階毎にリスクレベルを低下させるようにしてもよい。例えば、15分、30分、45分と3段階設けた場合、各時間が経過する度にリスクレベルを低下させる。これによりリスクレベルを更に細かく調節することができる。但し、リスクレベルは0より小さい値には低下しない。また、所定時間については、入力装置107等を介して設定可能としてもよい。
ところで、位置情報の精度の変換や無作為変換期間の選択は、必ずしも作業者端末20によって実行されなくてもよい。例えば、作業者端末20と監視サーバ10とを中継する位置に設置されるPC(Personal Computer)等のコンピュータ、携帯電話基地局、中継交換機、無線LANアクセスポイント等(以下、「中継装置」という。)によって実行されてもよい。
図19は、作業者監視システムの変形例を示す図である。図19中、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
同図の作業者監視システム2において、中継装置30は、位置情報変換部22、位置情報変換期間選択部24、位置情報送信部25、変換期間情報通信部26、及び位置情報変換テーブル27等を有する。また、作業者端末20は、位置情報検出部21及び位置情報変換指示受付部23を有する。
作業者監視システム2では、作業者端末20の位置情報検出部21によって検出され、位置情報送信部23によって送信される位置情報は、中継装置30の位置情報変換部22によって変換される。位置情報変換部22より出力される位置情報は、監視サーバ10の位置情報受信部111によって受信される。また、無作為変換期間の選択は、中継装置30の位置情報変換期間選択部24によって行われる。
斯かる構成によれば、複数の作業者端末20に関する位置情報の変換処理等を中継装置30に集約させることができる。その結果、各作業者端末20の処理負荷を軽減させることができ、リソースの乏しい端末であっても作業者端末20として利用することが可能となる。また、位置情報変換テーブル27等の保守作業等を簡便化することができる。
なお、中継装置30が有する機能(位置情報変換機能)を監視サーバ10に実装させることもできる。但し、この場合、作業者端末20に関する生の位置情報(高精度位置情報)が監視サーバ10に入力されることになる。したがって、監視サーバ10の構成を変化させることで、監視者等は、精度の変換前の位置情報の入手が可能ともなりかねない。斯かる点に鑑みれば、位置情報変換機能は、監視サーバ10外に実装されていることが望ましい。
また、図19において、監視サーバ10の機能構成は、図1に示されるものでもよいし、図10に示されるものでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
被監視者によって携帯される携帯端末であって、
位置情報を検出する位置情報検出部と、
前記位置情報の精度を変換する第一の期間の指示を受け付ける位置情報変換指示受付部と、
前記位置情報の精度を変換する第二の期間を選択する位置情報変換期間選択部と、
前記第一の期間及び前記第二の期間の位置情報の精度を変換する位置情報変換部と、
前記位置情報変換部によって精度が変換された位置情報と、前記位置情報検出部によって検出された前記第一の期間及び前記第二の期間以外の期間の位置情報を送信する位置情報送信部と、
を有する携帯端末。
(付記2)
前記第一の期間及び前記第二の期間を含む所定の期間における前記第一の期間又は前記第二の期間の長さを示す情報を前記位置情報の送信先に送信する期間情報送信部を有する付記1記載の携帯端末。
(付記3)
前記位置情報変換期間選択部は、前記第二の期間の長さを算出可能な所定のパラメータに基づいて前記第二の期間を選択する付記1記載の携帯端末。
(付記4)
前記所定のパラメータを前記位置情報の送信先である監視装置より受信するパラメータ受信部を有する付記3記載の携帯端末。
(付記5)
被監視者によって携帯される携帯端末と監視装置とを有する監視システムであって、
前記携帯端末は、
位置情報を検出する位置情報検出部と、
前記位置情報の精度を変換する第一の期間の指示を受け付ける位置情報変換指示受付部と、
前記位置情報の精度を変換する第二の期間を選択する位置情報変換期間選択部と、
前記第一の期間及び前記第二の期間の位置情報の精度を変換する位置情報変換部と、
前記位置情報変換部によって精度が変換された位置情報と、前記位置情報検出部によって検出された前記第一の期間及び前記第二の期間以外の期間の位置情報を送信する位置情報送信部とを有し、
前記監視装置は、
前記携帯端末より前記位置情報を受信する位置情報受信部と、
前記位置情報の変化に基づいて前記被監視者の異常の有無を判定する状態判定部とを有する監視システム。
(付記6)
前記携帯端末がさらに、
前記第一の期間の長さ又は前記第二の期間の長さを示す変換期間情報を前記監視装置に送信する変換期間情報通信部を備え、
前記監視装置がさらに、
前記変換期間情報を受信する変換期間情報受信部と、
前記変換期間情報受信部によって受信した前記第一の期間の長さの出力、または、前記変換期間情報受信部によって受信した前記第二の期間の長さと前記位置情報受信部によって受信した精度が変換された前記位置情報の受信時間の総和とに基づいて算出される前記第一の期間の長さの出力を行う出力部とを有する
付記5記載の監視システム。
(付記7)
被監視者によって携帯される携帯端末に、
位置情報を変換する第一の期間の指示を受け付ける位置情報変換指示受付ステップと、
位置情報を変換する第二の期間を選択する位置情報変換期間選択ステップと、
位置情報を検出する位置情報検出ステップと、
前記第一の期間及び前記第二の期間の位置情報の精度を変換する位置情報変換ステップと、
前記位置情報変換ステップにおいて精度が変換された位置情報と、前記位置情報検出ステップにおいて検出された前記第一の期間及び前記第二の期間以外の期間の位置情報を送信する位置情報送信ステップ
とを実行させるプログラム。
(付記8)
前記第一の期間及び前記第二の期間を含む所定の期間における前記第一の期間又は前記第二の期間の長さを示す情報を前記位置情報の送信先に送信する期間情報送信ステップを有する付記7記載のプログラム。
(付記9)
前記位置情報変換時期選択ステップは、前記第二の期間の長さを算出可能な所定のパラメータに基づいて前記第二の期間を選択する付記7記載のプログラム。
(付記10)
前記所定のパラメータを前記位置情報の送信先である監視装置より受信するパラメータ受信ステップを有する付記9記載のプログラム。