JP2011074205A - フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フェノールとジシクロペンタジエンとの反応により得られるフェノール樹脂の製造において、未反応フェノール類や一官能性成分などの不要成分量を効率よく減らす。
【解決手段】 ジシクロペンタジエンとフェノールとをルイス酸触媒存在下で反応させる反応工程、触媒除去工程、反応容器内を180℃以上250℃以下の温度で10KPa以下の減圧条件とし、反応容器内に溶媒を添加しながら蒸留する蒸留工程を含んでなり、一分子内にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分の含有量を2%未満に低減させるフェノール樹脂の製造方法であって、前記ルイス酸触媒が三フッ化ホウ素錯体であり、前記溶媒が水および有機溶剤の混合溶媒であり、有機溶剤が沸点110℃以上の有機溶剤であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明はフェノール樹脂の製造方法に関する。
従来、このようなフェノール重合体の製造方法に関しては、特許文献1〜7、非特許文献1等に記載されている。上記公知の製造方法を類別すると、特許文献2,6及び非特許文献1に記載の方法と、特許文献1,3〜5、7及び非特許文献1に記載の方法とに分類することが出来る。
前者の方法は、無触媒でオートクレーブ中200℃以上の温度で反応させる方法であり、これらの製造方法は、オートクレーブ中で加圧下、高温で反応させる必要があるため、装置およびエネルギー的に経費の増大となる。又、高温下で反応を行なうため、原料のジシクロペンタジエンの開裂反応やフェノールを含まない単独重合等の副反応が生起するので、好ましい交互共重合体の生成割合が低下する等の問題がある(非特許文献1)。
又、後者の方法は、フリーデルクラフツ触媒としてルイス酸触媒を使用する方法であり、このフリーデルクラフツ触媒を使用する方法は、主として交互共重合体を製造する方法として開示されている。この反応で、最も好ましい触媒は三フッ化ホウ素系触媒であり、公知技術のいずれの場合も使用されている触媒が、専ら三フッ化ホウ素およびその錯体である。しかしながら、これらの樹脂製造方法では、未反応フェノールや下記一般式(1)、(2)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分が樹脂中に多量に残存しており、このようなフェノール樹脂を硬化剤として用いる場合、不要な単官能体が副生し、樹脂物性、特に硬化性が悪化し、硬化物の耐熱特性を著しく低下させてしまうという問題がある。
Figure 2011074205
Figure 2011074205
上記一般式(1)、(2)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分の含有量を減らす方法として特許文献8及び9において、減圧下で高圧の水蒸気を吹き込み、反応生成物を蒸留することにより一官能性成分含有量を減少させる方法が開示されている。しかし、該方法による製造方法では除去された一官能性成分が配管中で固まって閉塞することが度々起こり、その閉塞を取り除く工程が必要となること、閉塞により一官能性成分を十分減らすことが困難になるなどの問題がある。
このため、未反応フェノール類や一官能性成分を効率的に除去することが可能な樹脂製造方法の開発が望まれている。
特公昭41−14099号公報 特開昭47−35000号公報 特開昭61−168624号公報 特開昭63−99224号公報 特開昭62−4720号公報 米国特許 3,336,398号公報 米国特許 3,536,734号公報 特開2003−105069号公報 特開2003−137980号公報
石油学会誌第27巻、No.3、(1984年) 207〜 213ページ
すなわち、本発明の目的は、フェノールとジシクロペンタジエンとの反応により得られるフェノール樹脂の製造において、未反応フェノール類や一官能性成分などの不要成分量を効率よく減らすことにある。
このような目的は、下記[1]〜[4]に記載の本発明により達成される。
[1] ジシクロペンタジエンとフェノールとをルイス酸触媒存在下で反応させる反応工程、触媒除去工程、反応容器内を180℃以上250℃以下の温度で10KPa以下の減圧条件とし、反応容器内に溶媒を添加しながら蒸留する蒸留工程を含んでなり、下記一般式(1)又は(2)で表される一分子内にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分の含有量を2%未満に低減させることを特徴とするフェノール樹脂の製造方法。
Figure 2011074205
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[2] 前記ルイス酸触媒が三フッ化ホウ素錯体である[1]記載のフェノール樹脂の製造方法。
[3] 前記溶媒が水および有機溶剤の混合溶媒である[1]または[2]に記載のフェノール樹脂の製造方法。
[4] 有機溶剤が沸点110℃以上の有機溶剤である[3]記載のフェノール樹脂の製造方法。
本発明のフェノール樹脂の製造方法によれば、上記一般式(1)、(2)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分の含有率を容易に2%未満に減らすことが可能であり、反応性が高く、高純度なフェノール樹脂を製造することが可能である。
以下、本発明のフェノール樹脂の製造方法について説明する。
本発明のフェノール樹脂の製造方法は、反応工程、触媒除去工程、蒸留工程を含む。以下に一官能性成分およびその制御方法について詳しく説明する。
まず、反応工程について説明する。反応工程では、先ずルイス酸触媒の存在下にて、フェノールとジシクロペンタジエンとを反応させる。
本発明に用いるルイス酸触媒としては、例えば三フッ化ホウ素・エーテル錯体、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・水錯体、三フッ化ホウ素・アルコール錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、または、これらの混合物等が用いられる。このなかでも特に好ましいものは、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体である。
反応に使用する触媒の濃度は、フェノールとジシクロペンタジエンの反応機構や付加位置に影響を与えるため、フェノール、ジシクロペンタジエンおよび触媒の合計重量に対して0.05〜1質量%以下とするのが好ましい。例えば、フェノールとジシクロペンタジエンとを三フッ化ホウ素・フェノール錯体の存在下に反応させる場合は、フェノール、ジシクロペンタジエンおよび三フッ化ホウ素・フェノール錯体の合計重量に対して、三フッ化ホウ素が1質量%以下となるようにする。触媒濃度が1質量%より多い場合、反応の進行が速くなる反面、分解などの副反応を起こしやすく、最終製品の性状に影響を与える可能性があるため好ましくない。また触媒濃度が0.05質量%未満の場合、反応が十分に進行せず、一官能性成分を副生する怖れがあり、最終的に得られるフェノール樹脂中の一官能性成分の含有量が2質量%より多くなる恐れがあるので好ましくない。
なお、触媒濃度は反応の全工程にわたって維持する必要がある。したがって、フェノールと触媒を先に反応器に仕込み、ジシクロペンタジエンを滴下して加えることにより反応させる場合、反応開始時点の触媒濃度は、実際上フェノールに対する濃度となるが、反応開始時から終了時まで上記の触媒濃度の範囲が維持されるようにする。
また、上記触媒濃度領域においては、水分が反応生成物の組成に大きく影響するため、反応開始前における触媒添加前のフェノールおよびジシクロペンタジエン中の水分濃度を200ppm以下とすることが必要である。フェノールは極性基を含む性質上水分を含有し易いため、適宜、脱水操作を行って水分を制御することが重要である。脱水方法としては例えば、窒素気流下においてフェノールを必要に応じて有機溶剤とともに共沸する方法等が挙げられるが、反応系内の脱気などの処理の際にかえって吸湿したりすることがあり、脱水操作には十分な注意が必要である。水分量の確認は系内からのサンプリング等によって行う。また必要に応じてジシクロペンタジエンも脱水して用いる必要がある。反応に際しては、通常、反応器内を窒素、アルゴン等の不活性ガスで置換する。不活性ガスで置換された密閉系において反応を行うのが好ましいが、反応器内に不活性ガスを供給しつつ開放系で反応を行なうこともできる。反応においては、系内に水分が入り込まないようにして、反応系中の水分量を200ppm以下とすることが肝要である。
反応温度および反応時間は、樹脂中の一官能性成分の含有率および製造効率に影響するため、以下のように制御するのが好ましい。すなわち、フェノールとジシクロペンタジエンの反応を2段階に分けてそれぞれの反応条件を制御することにより、本発明の高純度フェノール樹脂を効率的に製造することができる。第1段階は、触媒の存在下に、フェノールにジシクロペンタジエンを滴下する工程である。この際の温度は、50℃〜110℃の範囲で行うのが好ましい。低温では反応の進行が著しく遅くなり、110℃以上では不飽和環状炭化水素の分解などにより低分子量の不純物が生成するため好ましくない。反応時間は特に制限されるものではないが、通常は10分〜60時間の範囲から適宜に選択することができる。作業効率を向上させるという点から、特に1時間〜3時間の範囲で完結させるのが好ましい。
ジシクロペンタジエンの滴下終了後の第2段階として、樹脂を所望の性状にするため第1 段階より高温で加熱処理を行う。反応温度は、110〜170℃の範囲とするのが好ましく、特に140〜150℃で反応させると効率よく一官能性成分を少なくすることができる。170℃を超える場合には、触媒の分解又は副反応が起こり、また110℃未満の場合には、反応に長時間を要し効率が悪くなるので好ましくない。反応時間は特に制限されるものではないが、通常は1時間〜3時間の範囲から適宜に選択することができる。反応の終点は反応液中の樹脂組成を確認することによって決められる。
次に触媒除去工程について説明する。反応は触媒を失活させることにより終了させる。その際、反応を確実に停止させることが重要である。失活の手段は特に制限されないが、最終的に得られるフェノール樹脂中のホウ素、フッ素等のイオン性不純物の残存量が100ppm以下となるような手段を用いるのが好ましい。失活剤として、アルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはそれらの酸化物、水酸化物、炭酸塩、水酸化アンモニウム、アンモニアガス等の無機塩基類等を用いることができるが、速く簡潔な処理が可能で、かつ処理後のイオン性不純物の残存量も少なく、安価であることから無機炭酸塩を失活剤として用いるのが好ましい。
上記の反応工程において一官能性成分の生成をできるだけ抑制しておくことにより、後の蒸留工程において効率的に一官能性成分を低減することができ、本発明の高純度フェノール樹脂を得ることができる。
上記失活剤を用いて触媒を失活させた後、触媒と共に失活剤を除去する工程が必要となる。除去方法は特に限定されないが、最も簡便な方法はろ過である。
また本発明のフェノール樹脂を封止材用樹脂として使用した場合に、優れた硬化性、成形性等を示し、硬化後に優れた耐熱性、耐湿性等を付与するために、フェノール樹脂の樹脂物性を以下のように制御することが重要である。不飽和環状炭化水素1分子にフェノール類が2分子付加した、フェノール性水酸基を2つ含有する化合物( 以下、2核体成分と称することがある。)の樹脂中における含有量は、樹脂の粘度、流動性、硬化性等に大きく影響するため、適宜調整することが重要である。フェノール樹脂中の2核体成分の含有量としては、30〜90質量%が好ましく挙げられ、特に40〜80質量%の範囲において好ましい硬化特性を示す。2核体成分の含有量が30質量%未満の場合は樹脂の流動性が低下して成形性が悪くなり、また90質量%より多い場合は流動性は良好であるものの硬化後の架橋密度が低下するため好ましくない。2核体成分の量は、主としてフェノールとジシクロペンタジエンの反応モル比によって制御可能であり、モル比を適宜調整して2核体成分の量を制御するのが好ましい。また、樹脂粘度は成形時の流動特性に大きく影響を与えるため適度に調節する必要がある。粘度の規定については特に限定されるものではないが、例えばキャノン− フェンスケ動粘度管手法による、n−ブタノールの50%樹脂溶液の溶液粘度を把握することが有効であり、同法による溶液粘度において50mm/s〜250mm/sの範囲に入るものが好ましく、特に70mm/s〜200mm/sの範囲で制御された樹脂は好ましい流動特性を発揮する。
また、樹脂中のフェノール性水酸基含有量は硬化特性等に影響するため、適宜調節する必要がある。フェノール性水酸基含有量の規定については特に制限されるものではないが、例えばピリジン− 無水酢酸溶液中でのアセチル化物のアルカリ逆滴定法で測定された樹脂中水酸基の当量で160g/eq〜200g/eqの範囲が好ましく、特に165g/eq〜190g/eqに調整された樹脂は好ましい硬化特性を発揮するだけでなく、流動性とのバランスが良く成型時のハンドリングが非常に良好である。
本明細書に記載の製造方法によれば、上記の樹脂物性を満足するフェノール樹脂を製造することができる。
次に、蒸留工程について説明する。上記の反応液は、濾過により失活剤等を除去したのち蒸留工程で処理される。蒸留工程では、未反応のフェノールが回収されるとともに一官能性成分等の不純物が除去され、高純度フェノール樹脂が得られる。蒸留条件は、蒸留系内の温度や圧力と蒸気圧との関係から定められるものであり、系内温度については、180〜250℃の範囲で行うことにより最も効率的な蒸留が可能となる。
系内圧力については、10kPa以下の減圧下で行うことにより、前記の温度範囲で蒸留を円滑にかつ迅速にすませることができる。
さらに、樹脂中の一官能性成分および未反応フェノールを効率良く除去するために、前記減圧条件下において系内に溶媒を添加しながら行う。系内に導入する溶媒については特に限定されるものではないが、具体的には水と有機溶媒との混合溶媒であることが好ましく、より好ましくは用いられる有機溶媒の沸点が110℃以上である場合に効率よく不純物を除去できる。
蒸留方法は特に制限されるものではないが、好ましい蒸留方法として以下の例が挙げられる。濾過を行った反応液(濾液)を蒸留を行う釜に移送した後、加熱を開始すると同時に系内を連続的に減圧していく。系内が200℃に到達した時点で系内をフル減圧とし、10kPa以下とする。任意の時間、この状態で蒸留を行った後、減圧下において溶媒を添加し、最終的に水蒸気を残留させないよう窒素を吹き込むことにより蒸留を終了する。蒸留の終了点は、GPC分析により、未反応フェノールおよびポリスチレン換算数平均分子量320以下の領域に検出される一官能性成分の量を確認することによって決定される。フェノール樹脂中における一官能性成分の含有量は、2質量%以下になっていることが必要である。また、未反応フェノールの含有量は製品を使用する際の環境への配慮の点からは少ない方が好ましいが、生産効率および品質の面から、樹脂中の残存量が500ppm以下になるようにすれば十分であり好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。すなわち、500ppmより多い場合は、樹脂の性能や環境への影響の面から好ましくなく、一方、より少なくしようとすると蒸留時間が長くなる等の問題があるため、それらのバランスを考慮することが大切である。
以上のように、反応工程および蒸留工程において一官能性成分の量を制御することにより、本発明の高純度フェノール樹脂を得ること可能となる。
以下、一官能性成分について具体的に説明する。一官能性成分としては、主に下記の一般式(1)で示される化合物Aおよび一般式(2)で示される化合物Bが含まれる。
Figure 2011074205
Figure 2011074205
フェノール樹脂中の化合物Aおよび化合物Bの含有量は、GPC分析により、ポリスチレン換算数平均分子量320以下相当の領域に検出されるそれらの量を測定することにより求めることができる。
反応工程において、化合物Aおよび化合物Bの生成量を確認することが重要であり、反応工程終了時に化合物Aの含有量が樹脂全体の2質量% 未満、化合物Bの含有量が1.5質量%未満であれば、後の蒸留工程で効率的に一官能性成分を低減することができ、最終的にそれらの含有量が著しく少ない高純度のフェノール樹脂を得ることが可能となる。
蒸留工程においては、減圧下で溶媒の添加操作を行うことにより、樹脂中の化合物Aの含有量が1.5質量%以下、化合物Bの含有量が0.5質量%以下とすることができる。さらには、化合物Aの含有量を1質量%以下、化合物Bの含有量を0.2質量%以下にするのが好ましい。
本発明の高純度フェノール樹脂の製造方法は、上記の反応制御および蒸留制御を行うことが肝要であり、これらを同時に実施することにより、耐熱特性の良好な高純度フェノール樹脂を得ることができる。
以上のようにして得られた高純度フェノール樹脂は、耐熱特性が優れていることからエポキシ樹脂の原料とするほか、電気絶縁材料、特に半導体封止材用あるいは積層板用のエポキシ樹脂の硬化剤として有用であるが、特にその用途が限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[フェノールノボラック樹脂A]
フェノール1500gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体11.0gを還流冷却器を備えた容量3リットルの反応器に仕込み、100℃ に加熱して、ジシクロペンタジエン420gを1.5時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、140℃で3時間反応を行った。反応終了後、得られた反応生成物に炭酸カルシウム13.0gを添加し、30分間攪拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた反応液を250℃、5KPaの減圧下で蒸留し、続いて減圧下で4時間反応液中に水とキシレン混合液を逐添した。この時、0.8cm径の脱水用配管の閉塞は見られなかった。本操作によってフェノール樹脂(A)770g得た。各種分析結果について以下に示す。
得られたフェノール樹脂(A) は軟化点が104℃、残存ホウ素5ppm、フッ素は1ppm以下であった。フェノール性水酸基の含有量を、無水酢酸でアセチル化した後、逆滴定により求めたところ、フェノール性水酸基当量は178g/eqであった。さらにGPC分析によりフェノール樹脂(A)の数平均分子量を求めたところ630であり、一般式(1)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分量は0.9%であり、(2)で表される成分由来のピークは観測されなかった。また、溶媒を逐添する前にサンプリングした一般式(1)で表される一官能性成分量は1.8%であり、(2)で表される成分量は1.2%であった。
なお、実施例、比較例に記載の評価は下記の評価方法で行った。
(1) 軟化点:JIS K−2531に準じて測定した。
(2) 水酸基当量:得られたフェノール樹脂をピリジン−無水酢酸混合溶液中で加熱還流し、反応後の溶液を水酸化ナトリウムで逆滴定することにより測定した。
(3) 化学式(1)で表される成分の含有量:テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、測定した。装置は、本体:東ソー製HLC−8020、分析用カラム:東ソー製TSKgelG1000HXLを2本、G3000HXLを1本使用した。
(4) 化学式(2)で表される成分の含有量:上記化学式(1)測定方法と同様の方法にて測定した。
(5) 数平均分子量:上記化学式(1)測定方法と同様の方法にて測定した。
(6) 残存ホウ素量:製造した樹脂6gに対して純水40gを加え、125℃で20時間かけて抽出した上澄み液をキャピラリー電気泳動装置(大塚電子製 CAPI-3300)にて測定した。
(7) 残存フッ素量:上記(6)測定方法と同様にして測定した。
[実施例2]
[フェノールノボラック樹脂B]
フェノール1500gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体11.0gを還流冷却器を備えた容量3リットルの反応器に仕込み、100℃ に加熱して、ジシクロペンタジエン420gを1.5時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、140℃で3時間反応を行った。反応終了後、得られた反応生成物に炭酸カルシウム13.0gを添加し、30分間攪拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた反応液を180℃、5KPaの減圧下で蒸留し、続いて減圧下で4時間反応液中に水とキシレン混合溶液を逐添した。この時、0.8cm径の脱水用配管の閉塞は見られなかった。本操作によってフェノール樹脂(B)778g得た。各種分析結果について以下に示す。
得られたフェノール樹脂(B)は軟化点が104℃ 、残存ホウ素5ppm、フッ素は1ppm以下であった。フェノール性水酸基の含有量を、無水酢酸でアセチル化した後、逆滴定により求めたところ、フェノール性水酸基当量は179g/eqであった。さらにGPC分析によりフェノール樹脂(B)の数平均分子量を求めたところ628であり、一般式(1)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分量は1.1%であり、(2)で表される成分量は0.6%であった。
[実施例3]
[フェノールノボラック樹脂C]
フェノール1500gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体11.0gを還流冷却器を備えた容量3リットルの反応器に仕込み、100℃ に加熱して、ジシクロペンタジエン420gを1.5時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、140℃で3時間反応を行った。反応終了後、得られた反応生成物に炭酸カルシウム13.0gを添加し、30分間攪拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた反応液を250℃、10KPaの減圧下で蒸留し、続いて減圧下で4時間反応液中に水とキシレン混合液を逐添した。この時、0.8cm径の脱水用配管の閉塞は見られなかった。本操作によってフェノール樹脂(C)775g得た。各種分析結果について以下に示す。
得られたフェノール樹脂(C) は軟化点が103 ℃ 、残存ホウ素5ppm 、フッ素は1ppm以下であった。フェノール性水酸基の含有量を、無水酢酸でアセチル化した後、逆滴定により求めたところ、フェノール性水酸基当量は180g/eqであった。さらにGPC分析によりフェノール樹脂(C) の数平均分子量を求めたところ625であり、一般式(1)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分量は1.3%であり、(2)で表される成分量は0.4%であった。
[実施例4]
[フェノールノボラック樹脂D]
フェノール1500gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体11.0gを還流冷却器を備えた容量3リットルの反応器に仕込み、100℃ に加熱して、ジシクロペンタジエン420gを1.5時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、140℃で3時間反応を行った。反応終了後、得られた反応生成物に炭酸カルシウム13.0gを添加し、30分間攪拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた反応液を250℃、10KPaの減圧下で蒸留し、続いて減圧下で7 時間水とメタノールとの混合溶媒を添加しながら蒸留した。この時、反応器の温度が下がりすぎてしまう為、混合溶液の添加速度を遅くすると共に、より高温での加熱が必要であった。0.8cm径の脱水用配管の閉塞はなかった。本操作によってフェノール樹脂(D)773g得た。各種分析結果について以下に示す。
得られたフェノール樹脂(D) は軟化点が104 ℃ 、残存ホウ素5ppm 、フッ素は1ppm以下であった。フェノール性水酸基の含有量を、無水酢酸でアセチル化した後、逆滴定により求めたところ、フェノール性水酸基当量は178g/eqであった。さらにGPC分析によりフェノール樹脂(D)の数平均分子量を求めたところ628であり、一般式(1)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分量は1.3%であり、(2)で表される成分量は0.7%であった。
[比較例1]
[フェノールノボラック樹脂E]
フェノール1500gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体11.0gを還流冷却器を備えた容量3リットルの反応器に仕込み、100℃ に加熱して、ジシクロペンタジエン420gを1.5時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、140℃で3時間反応を行った。反応終了後、得られた反応生成物に炭酸カルシウム13.0gを添加し、30分間攪拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた反応液を250℃、10KPaの減圧下で蒸留し、続いて減圧下で5 時間水蒸気を吹き込みながら蒸留した。この時、0.8cm径の脱水用配管の閉塞した為、4回配管の洗浄を行った。本操作によってフェノール樹脂(E)773g得た。各種分析結果について以下に示す。
得られたフェノール樹脂(E)は軟化点が104 ℃、残存ホウ素5ppm 、フッ素は1ppm以下であった。フェノール性水酸基の含有量を、無水酢酸でアセチル化した後、逆滴定により求めたところ、フェノール性水酸基当量は178g/eqであった。さらにGPC分析によりフェノール樹脂(E)の数平均分子量を求めたところ628であり、一般式(1)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分量は1.1%であり、(2)で表される成分量は0.4%であった。
[比較例2]
[フェノールノボラック樹脂F]
フェノール1500gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体11.0gを還流冷却器を備えた容量3リットルの反応器に仕込み、100℃ に加熱して、ジシクロペンタジエン420gを1.5時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、140℃で3時間反応を行った。反応終了後、得られた反応生成物に炭酸カルシウム13.0gを添加し、30分間攪拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた反応液を250℃、13KPaの減圧下で蒸留し、続いて減圧下で4時間反応液中に水を逐添した。この時、0.8cm径の脱水用配管が樹脂付着物によって閉塞する為、2回配管の洗浄を行った。本操作によってフェノール樹脂(F)776g得た。各種分析結果について以下に示す。
得られたフェノール樹脂(F)は軟化点が102℃、残存ホウ素5ppm、フッ素は1ppm以下であった。フェノール性水酸基の含有量を、無水酢酸でアセチル化した後、逆滴定により求めたところ、フェノール性水酸基当量は182g/eqであった。さらにGPC分析によりフェノール樹脂(F)の数平均分子量を求めたところ622であり、一般式(1)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分量は1.6%であり、(2)で表される成分量は0.8%であった。
[比較例3]
[フェノールノボラック樹脂G]
フェノール1500gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体11.0gを還流冷却器を備えた容量3リットルの反応器に仕込み、100℃ に加熱して、ジシクロペンタジエン420gを1.5時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、140℃で3時間反応を行った。反応終了後、得られた反応生成物に炭酸カルシウム13.0gを添加し、30分間攪拌して触媒を失活させた後、濾紙を用いて反応液を濾過した。得られた反応液を170℃、10KPaの減圧下で蒸留し、続いて減圧下で6時間反応液中に水を逐添した。この時、0.8cm径の脱水用配管が樹脂付着物によって閉塞する為、5回配管の洗浄を行った。本操作によってフェノール樹脂(G)785g得た。各種分析結果について以下に示す。
得られたフェノール樹脂(G) は軟化点が101℃ 、残存ホウ素5ppm、フッ素は1ppm以下であった。
フェノール性水酸基の含有量を、無水酢酸でアセチル化した後、逆滴定により求めたところ、フェノール性水酸基当量は183であった。
さらにG P C 分析によりフェノール樹脂(G) の数平均分子量を求めたところ620であり、下記一般式(1)で表される1分子中にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分量は2.1%であり、(2)で表される成分は1.1%であった。
本発明は、副生成物の含有量が少なく、また、生産時に配管の閉塞が起きにくい、有用なフェノール樹脂の製造方法である。

Claims (4)

  1. ジシクロペンタジエンとフェノールとをルイス酸触媒存在下で反応させる反応工程、触媒除去工程、反応容器内を180℃以上250℃以下の温度で10KPa以下の減圧条件とし、反応容器内に溶媒を添加しながら蒸留する蒸留工程を含んでなり、下記一般式(1)又は(2)で表される一分子内にフェノール性水酸基を1つのみ含有する一官能性成分の含有量を2%未満に低減させることを特徴とするフェノール樹脂の製造方法。
    Figure 2011074205
    Figure 2011074205
  2. 前記ルイス酸触媒が三フッ化ホウ素錯体である請求項1記載のフェノール樹脂の製造方法。
  3. 前記溶媒が水および有機溶剤の混合溶媒である請求項1または2に記載のフェノール樹脂の製造方法。
  4. 有機溶剤が沸点110℃以上の有機溶剤である請求項3記載のフェノール樹脂の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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