JP2011072251A - 術後補助食 - Google Patents

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Abstract

【課題】経口的な栄養補給を必要とする外科手術患者が術後早期からジュースやスープなどの普通流動食に混ぜてもおいしく摂取できる高たんぱく質でビタミンB6をはじめとするビタミン類、および亜鉛をはじめとする微量元素を含有する術後補助食を提供すること。
【解決手段】たんぱく質を豊富に含むたんぱく質原料を主成分とし、実質的に脂質および糖質を配合しない術後補助食であって、該術後補助食はたんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートを95重量%以上配合したものであり、さらにビタミンB6を0.1〜20mg/10gおよび亜鉛を0.1〜30mg/10gを含有することを特徴とする術後補助食。
【選択図】なし

Description

本発明は、経口的に栄養補給を必要とする外科手術患者が摂取することを目的とした術後補助食に関する。さらに詳しくは、本発明は、たんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートとビタミンB6および亜鉛を含有しても、混ぜた食品にできるだけ影響せず、たんぱく質を高含有しても、透明に溶解し、味への影響の少ない術後補助食に関するものである。
現在、消化器術後患者の治療は、クリニカルパスとして標準化され、多くの医療機関で実践されており、医療の質の向上に寄与している。特に、クリニカルパスにおいて、栄養管理は重要な位置づけと認識されている。具体的には、栄養管理は、管理栄養士をはじめ、医師や看護師、薬剤師等、多職種の医療従事者が連携して栄養サポートチーム(Nutrition Support Team;NST)を作り、個々の患者の病態と栄養状態を評価し、きめ細かな栄養管理を実践している施設も多くみられるようになってきた。さらに急性期病院においては診療費包括請求制度(Diagnosis Procedure Combination;DPC)の導入に伴い、医療の質的向上と術後在院日数の短縮を推進する上で、栄養管理は重要と認識されている。
しかしながら、栄養管理のシステムが充実していく中で、その重要な位置を占める食事については、十分であるとは言いがたい。従来、日本の消化器術後の栄養管理は、主に、重湯、三分粥、五分粥、全粥と言った、いわゆる粥食を中心とした段階食が施行されてきた。この粥食を用いた消化器術後の栄養管理は、日本古来の米を用いて段階的に固形食へとステップアップしていくものであることから、患者は安心感と治癒の経過を実感できると言われている。その一方で粥食は、味覚的、視覚的な問題で摂取量は十分ではないと言われており、また、術後早期に供される普通流動食は、重湯やスープ、果汁など(非特許文献1)水分補給を主とし、十分な栄養量を補給できないと言われている(非特許文献2)。
具体的には、粥食を基にした胃癌切除症例23例に対して、重湯、三分粥、五分粥を供し、術後日数(POD)を追って測定した。すなわち、術前、術後第1病日(以下1PODということもある)、術後第4病日(以下4PODということもある)、術後第7病日(以下7PODということもある)の周術期の栄養状態を鋭敏に反映するとされるRapid Turnover Protein(RTP)である、トランスフェリン、プレアルブミン、レチノール結合蛋白の3項目をこれらの測定ポイントについて測定したところ、術前値に対する7PODの変動率は、それぞれ66.5%、58.3%および52.1%であり(非特許文献3)、同様に濃厚流動食を経口摂取させた場合でも、7PODの変動率は粥食と変わりがなく、回復傾向があまり認められないのが現状である。
このように術後の早期回復の結果として、術後在院日数の短縮や患者のQOL向上には、術後早期から積極的に経口摂取を推進する必要がある。そのためには、術後に普通流動食に添加しても食事の味にさほど影響を与えず、かつ不足しているたんぱく質やビタミンおよび微量元素を補給することができる栄養補助食品の開発が望まれていた。
しかしながら、最近では栄養素が強化された液状の総合栄養食品として濃厚流動食が多くのメーカーから発売され、栄養管理のツールとして患者に食事として提供されているが、「甘い」ことから患者の受容性が良いとは言い難いのが実情である。
そこで、たんぱく質を効率よく外科手術患者などに摂取させるために、通常、水、牛乳、ジュース、スープなどに溶解させたり、あるいは、ゼリー、プリンなどのデザートや食事に混ぜることが行われている。しかしながら、この場合、たんぱく質が多くなると味が悪くなり、食しにくくなり、摂取しなくなるという問題がある。このため、混ぜた食品にできるだけ影響しないようにすることにより、術後早期から経口摂取でき、食事の味に影響を与えず、かつ、たんぱく質とビタミンおよび微量元素を補給することができる術後補助食が要望されていた。
小林澄枝,栄養管理のあり方に関する研究「術後の食事形態」,済生,78,2002,66―74. 本田佳子編,臨床栄養学 食事療法の実習 第5版,医歯薬出版,2004,33. 近藤正男,消化器疾患の術前術後栄養管理,臨床栄養,103,2003,276−280.
本発明の目的は、上述の状況を鑑みてなされたもので、経口的な栄養補給を必要とする外科手術患者が術後早期からジュースやスープなどの普通流動食に混ぜてもおいしく摂取できる高たんぱく質でビタミンB6をはじめとするビタミン類、および亜鉛をはじめとする微量元素を含有する術後補助食を提供するものである。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、術後早期から普通流動食などに混ぜて経口摂取できる術後補助食を得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(2)に示したものである。
(1)たんぱく質を豊富に含むたんぱく質原料を主成分とし、実質的に脂質および糖質を配合しない術後補助食であって、該術後補助食はたんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートを95重量%以上配合したものであり、ビタミンB6を0.1〜20mg/10gおよび亜鉛を0.1〜30mg/10gを含有することを特徴とする術後補助食。
(2)ビタミンB6が、ピリドキシン塩酸塩であり、亜鉛がグルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、および亜鉛酵母の中から選ばれる少なくとも1種のものである上記(1)に記載の術後補助食。
以上述べたように、本発明の術後補助食は、たんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートとビタミンB6および亜鉛を含有し、混ぜた食品にできるだけ影響せず、たんぱく質を高含有しても、透明に溶解し、味への影響の少ない術後補助食を提供することにより、経口的な栄養補給を必要とする外科手術患者が摂取しやすくした術後補助食を提供することができる。
図1は術後早期からの経口摂取に対する患者の抵抗感を調査した結果を示したグラフである。 図2は患者の受容性について調査した結果を示したグラフである。 図3は胃切除症例における血中トランスフェリンの変動率(%)を示したグラフである。 図4は胃切除症例における血中プレアルブミンの変動率(%)を示したグラフである。 図5は胃切除症例における血中レチノール結合蛋白の変動率(%)を示したグラフである。 図6は大腸切除症例における血中トランスフェリンの変動率(%)を示したグラフである。 図7は大腸切除症例における血中プレアルブミンの変動率(%)を示したグラフである。 図8は大腸切除症例における血中レチノール結合蛋白の変動率(%)を示したグラフである。
以下、本発明の栄養食品を詳細に説明する。
本発明の術後補助食で使用するたんぱく質原料としては、たんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートが用いられる。
該ホエイプロテインアイソレートのたんぱく含量(純度)が、90重量%より少ないと、水に溶解した際に透明性を保持できなくなり、また、食品に混ぜた際に、味が悪くなるため、好ましくない。
本発明に使用することのできる具体的なホエイプロテインアイソレートとしては、WPI 895(フォンテラジャパン(株))、エンラクト YYY(日本新薬(株))が挙げられる。
本発明の術後補助食で使用する上記たんぱく質原料の配合量は、術後補助食中95重量%以上である。95重量%より少ないと、栄養強化の目的を達成できなくなる。
本発明の術後補助食で使用するビタミンB6は、従来から、食品に慣用されるものでよく、例えば、ピリドキシン塩酸塩が挙げられる。ビタミンB6の配合量としては、術後補助食10gあたり、0.1〜20mg、好ましくは0.5〜10mgが適当である。ビタミンB6の配合量が、術後補助食10gあたり、0.1mgより少ないと、たんぱく質の代謝に関与するビタミンB6の効果が十分発揮できず、好ましくない。また、20mgを越えると、ビタミンB6の風味が強くなるため、好ましくない。
本発明の術後補助食で使用する亜鉛は、従来から、食品に慣用されるものでよく、例えば、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、および亜鉛酵母が挙げられる。亜鉛の配合量としては、術後補助食10gあたり、0.1〜30mg、好ましくは0.5〜15mgが適当である。亜鉛の配合量が、術後補助食10gあたり、0.1mgより少ないと、たんぱく質の代謝に関与する亜鉛の効果が十分発揮できず、好ましくない。また、30mgを越えると、亜鉛の風味が強くなるため、好ましくない。
本発明の術後補助食を製造する際には、ビタミンB6および亜鉛以外のビタミンや微量元素を必要に応じて適宜配合することが出来る。
本発明の術後補助食に用いるビタミンB6以外のビタミンとしては、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンKなどが挙げられ、これら複数をできる限り組み合わせて配合するのが好ましい。
ビタミンの配合量としては、術後補助食10gあたり、下記の範囲が適当である。
ビタミンB1 0〜40mg、好ましくは0.1〜25mg
ビタミンB2 0〜20mg、好ましくは0.1〜12mg
ビタミンB12 0〜100μg、好ましくは0.2〜60μg
ナイアシン 0〜300mg、好ましくは1.5〜60mg
パントテン酸 0〜55mg、好ましくは0.6〜30mg
葉酸 0〜1000μg、好ましくは20〜200μg
ビオチン 0〜1000μg、好ましくは3〜500μg
ビタミンC 0〜2000mg、好ましくは10〜1000mg
ビタミンA 0〜3000μg、好ましくは60〜600μg
ビタミンD 0〜50μg、好ましくは0.3〜5μg
ビタミンE 0〜800mg、好ましくは1〜150mg
ビタミンK 0〜1000μg、好ましくは2〜700μg
本発明の術後補助食に用いる亜鉛以外の微量元素としては、鉄、銅、マンガン、セレン、クロム、ヨウ素、モリブデンなどが挙げられ、これら複数をできる限り組み合わせて配合するのが好ましい。
微量元素の配合量としては、術後補助食10gあたり、下記の範囲が適当である。
鉄 0〜55mg、好ましくは0.1〜10mg
銅 0〜10mg、好ましくは0.01〜6mg
マンガン 0〜11mg、好ましくは0.01〜8mg
セレン 0〜450μg、好ましくは0.1〜35μg
クロム 0〜40μg、好ましくは0.1〜35μg
ヨウ素 0〜3000μg、好ましくは0.1〜150μg
モリブデン 0〜320μg、好ましくは0.1〜25μg
本発明の術後補助食は、食品として摂取される際の水溶液の状態での腐敗を考慮して保存剤あるいは防腐剤などを添加することができる。保存剤あるいは防腐剤の添加方法としては、術後補助食の製造時にあらかじめ添加しておくか、あるいは本発明の造粒工程中でバインダー液中に添加することができ、水溶性のものであれば直接添加でよいが、水懸濁性のものであれば、術後補助食の製造工程中で懸濁するか懸濁液を添加する方法、あるいは、本発明の造粒工程におけるバインダー液調製段階でバインダー液に懸濁する方法が使用できる。また、揮発性を有するものや耐熱性に劣るものを使用する場合は、乳化させてマイクロカプセル化したものを懸濁させる方が好ましい。保存剤あるいは防腐剤としては、エタノール、グリシン、グルコノデルタラクトン、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸、デヒドロ酢酸、次亜塩素酸およびその塩類、低級脂肪酸エステル、ポリリジン、プロタミン、リゾチーム、芥子抽出物、ワサビ抽出物、晒粉、キトサンなどを用いるのが適当である。
本発明に係る術後補助食の製造方法としては、常法により製造できる。例えば、流動層造粒法、流動層多機能型造粒法、噴霧乾燥造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法などがあり、ホエイプロテインアイソレートにバインダー液を噴霧して、粉体にバインダー液成分を被覆できる方法が挙げられる。なかでも流動層造粒法により製造するのが好ましい。
流動層造粒法による製造方法として、以下の方法を例示することができる。例えば、たんぱく質含量が90重量%以上のホエイプロテインアイソレート粉体を造粒機にいれ、下方から熱風を送り込むことで、造粒機中の粉体を流動させる。この流動層に界面活性剤を溶解したバインダー液をノズル噴霧し、粉体表面に均一に界面活性剤液を付着させ、凝集粒をつくり、これを乾燥させることにより術後補助食を製造する方法を挙げることができる。
バインダー液は、界面活性剤とこれらを溶解あるいは懸濁させる溶媒により構成される。使用される溶媒としては、水単独が好ましいが、エチルアルコールなどの水溶性の溶剤を添加してもよい。
該術後補助食にビタミンまたは微量元素を混合する方法としては、たんぱく質と一緒に造粒機に入れ、混合したり、界面活性剤と一緒にバインダー液に溶解して、噴霧したり、また、バインダー液を噴霧後または乾燥後、混合する方法が挙げられる。
本発明の術後補助食を栄養補給の目的で適宜添加して使用することができる対象食品として、例えば、たんぱく質・リン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、濃厚流動食、ミキサー食、およびキザミ食などの特殊食品や治療食や牛乳、豆乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、コーヒー飲料、茶飲料、アミノ酸飲料、澱粉飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、粉末飲料、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープなどの各種スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、グラタンなどのスープ類などを挙げることができる。
更には、各種加工食品の製造時に本発明の術後補助食を添加することもできる。例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓などの冷菓類やカスタードプリン、ミルクプリンおよび果汁入りプリンなどのプリン類、ゼリー、ババロアおよびヨーグルトなどのデザート類など、種々の食品およびこれらの食品を更に加工した、加工食品などの一般食品も挙げることができる。
このようにして得られた術後補助食は、たんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートとビタミンB6および亜鉛を含有し、混ぜた食品にできるだけ影響せず、たんぱく質を高含有しても、透明に溶解し、味への影響の少ない術後補助食を提供することを可能とし、経口的に栄養補給を必要とする外科手術患者が摂取しやすくすることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ホエイプロテインアイソレート(たんぱく質含量:94重量%、商品名:WPI895、フォンテラジャパン(株))10.6kgおよび表1に示すミネラルミックス98gを流動造粒乾燥機にいれ、入口温度70℃、排風温度60℃、造粒時間5分間の条件下で、これらの混合物からなる粉体を流動させる。この流動層に界面活性剤(デカグリセリンモノミリステート)50gとシアノコバラミン(デキストリンによる1000倍散)0.8gを水1500gに溶解したバインダー液をノズル噴霧し、粉体表面に均一に界面活性剤液を付着させ、凝集粒をつくり、これを25分間乾燥処理を行った。その後、表2に示すビタミンミックス120.4gを流動造粒乾燥機にいれ、5分間混合処理を行って目的とする術後補助食を得た。
Figure 2011072251
Figure 2011072251
(試験例1)
術後早期からの経口摂取に対する抵抗感と、術後補助食の受容性について次の通り試験を実施した。消化器術後患者21名を対象に、食事と共に供されるスープ(オニオン味)またはジュース(フルーツミックス味)に、実施例1の術後補助食を混合・溶解した後、患者に供した。その後、専用のアンケート用紙を用いて管理栄養士が患者に聞き取り式で記入し、集計した。
術後早期からの経口摂取に対する抵抗感については図1に示した通り、集計の結果、術後早期からの経口摂取に対して抵抗は無いと回答した患者が61%、ほとんど抵抗が無いと回答した患者は5%であった。どちらとも言えないと回答した患者は10%、やや抵抗があったとする患者は14%、抵抗があったと回答した患者は10%であった。
次に、術後補助食の受容性に関しては図2に示した通り、スープに実施例1の術後補助食を混合した場合の味については、美味しいと回答した患者は33%、どちらとも言えないと回答した患者は48%、まずいと回答した患者は19%であった。同様に、ジュースに混合した場合の味については、美味しいと回答した患者は65%、どちらとも言えないと回答した患者は30%、まずいと回答した患者は、5%であった。また、実施例1の術後補助食を混合したスープ形態で供した場合の飲みやすさについては、飲みやすいと回答した患者は52%、どちらとも言えないと回答した患者は38%、飲みにくいと回答した患者は10%であった。同様にジュース形態で供した場合の飲みやすさについては、飲みやすいと回答した患者は85%、どちらとも言えないと回答した患者は15%であり、飲みにくいと解答した患者はいなかった。
(試験例2)
対象は、幽門側胃切除術10例(男性7例、女性3例)とした。平均年齢は68歳(57〜82歳)であり、術式は、Billroth−1再建術9例、Roux−en Y再建術1例であった。これらの症例に対して、栄養管理方法は、術後第1病日(1POD)から第7病日(7POD)にかけて、実施例1の術後補助食を供した。
患者へ供した食事の総熱量は、1POD〜2PODが800kcal/day、3POD〜4PODが1200〜1400kcal/day、5POD〜7PODが1600kcal/dayとした。熱量の糖質は、甘味の少ないマルトデキストリン(パインデックス#2;松谷化学工業株式会社)を用いてゼリー食を作成し、1PODから3PODまでの期間、患者へ供した。このプロトコールに従って、胃切除症例に対して、実施例1の術後補助食を以下のように供した。
1POD〜2PODまでは、術後に供される1日3回のスープ(クノールカップスープ コーンクリーム、チキンコンソメ、オニオンコンソメ、いずれも味の素(株))のいずれか150mL/回に対して、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。
3PODでは、五分粥食を含む1日4回の食事と共に供される上記スープまたはジュースのいずれか150mL/回に、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。
4PODでは、胃切五分粥食を含む1日6回の食事の内、2回だけ供される上記スープまたはジュースのいずれか150mL/回に、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。
5POD〜7PODでは、胃切全粥食を含む1日6回の食事の内、1回だけ供される上記スープまたはジュースのいずれか150mL/回に、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。
評価項目は、完遂率、術後在院日数とした。また、血液中の栄養指標として、周術期の栄養状態を鋭敏に反映するとされるRTP(Rapid turnover protein;トランスフェリン、プレアルブミン、レチノール結合蛋白)を術前、1POD、4POD、7PODで測定し、平均値を算出した。この術前平均値を100%として、1PODから7PODまでを変動率として算出した。
胃切除症例の遂行率は、100%(10/10)であった。術前値を100%とした時の周術期の血中RTPの変動率を図3〜5に示す。胃切除症例の7PODにおけるトランスフェリンの変動率は、73.2%であった。同様にプレアルブミンの7PODにおける変動率は、64.5%、レチノール結合蛋白では75.9%であった。入院時から、これら血液指標や患者状態をもとに退院許可が認められた日までを術後在院日数とした場合、術後在院日数は、胃切除症例では10.1日(8〜12日)であった。
遂行率の結果から、1PODからのたんぱく質とビタミンおよび微量元素から構成される術後補助食の経口摂取は安全に行えた。また、術後早期からの経口摂取において重篤な合併症が経験されなかったことからも、その安全性が確認された。血中RTPの変動率から、いずれも4PODから回復へと転じており、7PODでは術前値の約70%前後まで回復していることから栄養状態の早期回復が示された。これは通常の濃厚流動食を摂取した前記非特許文献3とは異なる結果である。また、術後在院日数も10.1日であたったことから、胃切除症例に対する実施例1の術後補助食の有用性が示された。
(試験例3)
対象は、大腸切除術14例(男性10例、女性4例)とした。平均年齢は67歳(52〜80歳)であり、術式は、右半切除3例、横行結腸切除2例、左半切除3例、S状結腸切除3例、低位前方切除2例、Miles手術1例であった。これらの症例に対して、栄養管理方法は、術後第1病日(1POD)から第7病日(7POD)にかけて、実施例1の術後補助食を提供した。
患者へ提供する食事の総熱量は、1POD〜2PODが800kcal/day、3POD〜4PODが1200〜1400kcal/day、5POD〜7PODが1600kcal/dayとした。熱量の糖質は、甘味の少ないマルトデキストリン(パインデックス#2;松谷化学工業株式会社)を用いてゼリー食を作成し、1PODから3PODまでの期間、患者へ供した。このプロトコールに従って、大腸切除症例に対して、実施例1の術後補助食を以下のように供した。
1POD〜2PODまでは、術後に供される1日3回の上記スープのいずれか150mL/回に対して、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。3PODでは、五分粥食を含む1日4回の食事と共に供される上記スープのいずれか150mL/回と1日1回の上記ジュース150mLに、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。4PODでは、1日3回の五分粥食の内、2回だけ供される上記スープまたはジュースのいずれか150mL/回に、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。5POD〜7PODでは、1日3回の全粥食の内、1回だけ供される上記スープまたはジュースのいずれか150mL/回に、実施例1の術後補助食を10.6g/回を混合した後、十分に溶解させ、適時適温で患者に供した。
評価項目は、完遂率、術後在院日数とした。また、血液中の栄養指標として、周術期の栄養状態を鋭敏に反映するとされるRTPを術前、1POD、4POD、7PODで測定し、平均値を算出した。この術前平均値を100%として、1PODから7PODまでを変動率として算出した。
大腸切除症例の遂行率は、85.7%(12/14)であった。術前値を100%とした時の周術期血中RTPの変動率を図6〜8に示す。大腸切除症例の7PODにおけるトランスフェリンの変動率は、85.0%であった。同様にプレアルブミンの7PODにおける変動率は、68.5%であり、レチノール結合蛋白では、73.9%であった。入院時から、これら血液指標や患者状態をもとに退院許可が認められた日までを術後在院日数とした場合、術後在院日数は11.6日(6〜21日)であった。
遂行率の結果から、1PODからのたんぱく質とビタミンおよび微量元素から構成される術後補助食の経口摂取は安全に行えた。また、術後早期からの経口摂取において重篤な合併症が経験されなかったことからも、その安全性が確認された。血中RTPの変動率から、いずれも4PODから回復へと転じており、7PODでは術前値の約70%前後まで回復していることから栄養状態の早期回復が示された。また、術後在院日数は11.6日であたったことから、大腸切除症例に対する術後補助食の有用性が示された。
本発明は、たんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートとビタミンB6および亜鉛を含有し、混ぜた食品にできるだけ影響せず、たんぱく質を高含有しても、透明に溶解し、味への影響の少ない術後補助食を提供することを可能とし、経口的に栄養補給を必要とする外科手術患者が摂取しやすくかつ早期の回復を可能とした術後補助食に関するものであって、産業上十分に利用できるものである。

Claims (2)

  1. たんぱく質を豊富に含むたんぱく質原料を主成分とし、実質的に脂質および糖質を配合しない術後補助食であって、該術後補助食はたんぱく質含量90重量%以上のホエイプロテインアイソレートを95重量%以上配合したものであり、ビタミンB6を0.1〜20mg/10gおよび亜鉛を0.1〜30mg/10gを含有することを特徴とする術後補助食。
  2. 前記ビタミンB6が、ピリドキシン塩酸塩であり、前記亜鉛がグルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、および亜鉛酵母の中から選ばれる少なくとも1種のものである請求項1に記載の術後補助食。
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