JP2011071898A - 立体映像表示装置および立体映像表示方法 - Google Patents

立体映像表示装置および立体映像表示方法 Download PDF

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Abstract

【課題】視聴者が立体視用の映像ストリームを利用した立体映像をより快適に見ることができる立体映像表示装置を提供すること。
【解決手段】立体映像表示方法は、左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示装置で用いられる方法であって、画面に対する立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得するステップ(S1200)と、眼鏡情報が、立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を満たすか否かを判断するステップ(S1300)と、眼鏡情報が適正視条件を満たさないとき(S1300:NO)、左目用映像および右目用映像の少なくとも1つに対して大きさおよび位置の少なくとも1つの補正を行うステップ(S1400〜S1700)と、映像を画面に出力するステップ(S1800)とを有する。
【選択図】図10

Description

本発明は、眼鏡などの補助光学機器を介して、視聴者の右目および左目にそれぞれ異なる映像を提示することにより、立体映像を表示する、二眼式の立体映像表示装置および立体映像表示方法に関する。
近年、立体(3 dimension:3D)映像技術が注目を集めている。人間が肉眼で立体物を見る際、左目に映る像と右目に映る像とは、左右の眼球の位置の違いにより、微妙な差異(視差)を有する。すなわち、人間は、左右の目で微妙に異なる像(物体形状)を見ている。人間には、これと同じような異なる形状の像を左右の目で見た際に、実際には立体物ではない対象であっても、あたかも立体物を見ているように感じる性質がある。この性質を利用し、差異を有する左目用映像および右目用映像から構成される映像(以下「視差映像」という)を表示することにより立体映像を表示する、様々な立体視装置が提案されている。
立体視装置の一分類として、ディスプレイ装置に視差映像を表示し、眼鏡型の補助光学機器(以下単に「立体視眼鏡」という)を用いることにより、視聴者の左右それぞれの目に左目用映像と右目用映像とを提供する装置が提案されている。具体的には、例えば、赤と青など異なる色の視差映像を表示して、立体視眼鏡のカラーフィルタで視差映像を分離する装置が提案されている。また、異なる偏光状態の視差映像を表示して、立体視眼鏡の偏光フィルタで視差映像を分離する装置が提案されている。更に、時分割で視差映像を表示して、映像切り替えに同期した立体視眼鏡の液晶シャッターで視差映像を分離する装置が提案されている。
立体視眼鏡を用いた立体映像表示装置の場合、ディスプレイ装置の映像表示面(以下「画面」という)に表示される視差映像そのものは、通常のテレビジョン装置と同様に、定位置に投影された像である。このため、視聴者の位置や姿勢に応じて、実際に視聴者に左右の目に提供される像は変化する。
具体的には以下の通りである。例えば、図1(A)に示すように、視聴者10が画面20に正対せず、左右どちらかの斜め位置から視差映像30を見る場合を考える。この場合、図1(B)に示すように、視聴者10には、視聴者10に近い側の像(例えば右目用映像)31は大きく、遠い側の像(例えば左目用映像)32は小さく見える。これは、立体映像表示装置の場合、視聴者10の目が通常の立体物を見る場合とは異なり、人工的に生成された映像が左右それぞれの目に強制的に与えられるからである。
また、例えば、図2(A)に示すように、視聴者10が顔を傾けており、顔の左右方向が画面20の左右方向から大きく傾いている場合を考える。この場合、図2(B)に示すように、視聴者10には、右目用映像31と左目用映像32とが上下にずれて見える。
平面状の物体である通常の2D映像の場合、図1(B)および図2(B)に示す現象が発生しても、人間が両目で通常の平面物体を見る場合と全く同じ状況であるため、視覚上および認知上の問題は生じない。ところが、視差映像の場合には、視覚上および認知上の問題が生じる。物体の像は本来左右の目に同じ大きさおよび同じ高さで提供されることから、人間は、左右の目に異なる大きさあるいは異なる高さで提供される像を、同一物体の像であると認識し難いためである。
したがって、視聴者10が、画面20の斜め位置から、あるいは画面20に対して顔を傾けて視差映像30を見る場合には、現実に立体物を見ている状況と大きく矛盾する状況が、視聴者10の目と脳にもたらされることになる。そして、想定された立体映像として見えないという問題や、長時間視聴する際に違和感や疲労感が蓄積するという問題が生じ得る。以下、画面20の斜め位置から視差映像30を見ることによって生じる上述の問題は、「斜め問題」という。また、画面20に対して顔を傾けて視差映像30を見ることによって生じる上述の問題は、「傾き問題」という。
斜め問題を低減することが可能な技術として、例えば、視聴者に正対する仮想的な画面を設定し、設定した仮想的な画面に合わせて、実際の画面に出力する像を変形させる装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この装置は、具体的には、視差映像に対し、矩形を台形へと変化させる画像変換処理を行う。これにより、特許文献1記載の装置は、視聴者から台形に見える実際の画面を矩形の仮想的な画面に変換したときに、元の視差映像を正面から見たときと同様の状態で表示することができる。
また、傾き問題を低減することが可能な技術として、例えば、3Dコンピュータグラフィックにより視差映像を生成する装置において、立体視眼鏡の傾きを検出し、傾きに応じて生成する視差映像を変化させる装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。この装置は、具体的には、立体視眼鏡の位置および姿勢に応じて、立体図形の左目用映像および右目用映像をリアルタイムで描画(レンダリング)する。これにより、特許文献2記載の装置は、自然な立体映像を表示することができる。
特開2006−333400号公報 特開2006−84963号公報
ところが、特許文献1記載の技術は、視聴の際の快適性に欠けるという課題を有する。理由は以下の通りである。人間は、映像の中の対象物を見る際に、画面の周辺にある物体(例えばディスプレイの枠)との相対的な関係に基づいて、対象物の形状を認識する。したがって、斜めのディスプレイの枠の像と、正対した状態の視差映像とが見える状態では、視聴者には、視差映像の中の物体が歪んでいるように見えてしまう。すなわち、斜めからの視聴の際に映像を台形状に歪ませる手法は、映像の幾何学形状を維持することはできても、従来の2D映像を表示するディスプレイを視聴するときの感覚と同様の感覚を視聴者に与えることができない。したがって、特許文献1記載の技術によって表示された視差映像は、かえって視聴者に不快感を与えることがある。
また、特許文献2記載の技術は、予め作り込まれた左目用映像および右目用映像から成る立体視用の映像ストリームには、適用することができないという課題を有する。近年、立体視用の映像ストリームから成る映画や映像コンテンツの普及が広がっており、映像ストリームに対する傾き問題の解決手法が求められる。
更に、特許文献1および特許文献2記載の技術は、視聴者が複数人居る場合には適さないという問題がある。図3に示すように、例えば4人の視聴者10−1〜10−4が同一の画面20を視聴しているとき、通常、視聴者10毎に位置や顔の傾きは異なる。全ての視聴者10−1〜10−4に対して、斜め問題および傾き問題を解決することは困難である。以下、複数の視聴者の位置や顔の傾きが異なることによって生じる上述の問題を「複数人問題」という。
本発明の目的は、視聴者が立体視用の映像ストリームを利用した立体映像をより快適に見ることができる立体映像表示装置および立体映像表示方法を提供することである。
本発明の立体映像表示装置は、左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示装置であって、前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を設定する適正視条件設定手段と、前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得する眼鏡情報取得部と、前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記左目用映像および前記右目用映像の少なくとも1つに対して大きさおよび位置の少なくとも1つの補正を行って、前記映像を前記画面に出力する映像補正部とを有する。
本発明の立体映像表示装置は、左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示装置であって、前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を設定する適正視条件設定手段と、前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得する眼鏡情報取得部と、前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記立体視眼鏡を装着した視聴者に対して所定の通知を行う通知部とを有する。
本発明の立体映像方法は、左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示装置で用いられる立体映像表示方法であって、前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得するステップと、前記眼鏡情報が、前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を満たすか否かを判断するステップと、前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記左目用映像および前記右目用映像の少なくとも1つに対して大きさおよび位置の少なくとも1つの補正を行うステップと、前記映像を前記画面に出力するステップとを有する。
本発明の立体映像方法は、左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示方法であって、前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得するステップと、前記眼鏡情報が、前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を満たすか否かを判断するステップと、前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記立体視眼鏡を装着した視聴者に対して所定の通知を行うステップとを有する。
本発明によれば、視聴者は、立体視用の映像ストリームを利用した立体映像をより快適に見ることができる。
従来の立体映像表示装置における斜め問題を説明するための図 従来の立体映像表示装置における傾き問題を説明するための図 従来の立体映像表示装置における複数人問題を説明するための図 本発明の実施の形態1に係る立体映像表示装置を含む立体映像表示システムの構成の一例を示すシステム構成図 実施の形態1におけるパラメータについて説明する第1の図 実施の形態1におけるパラメータについて説明する第2の図 実施の形態1におけるパラメータについて説明する第3の図 実施の形態1に係る立体映像表示装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態1における立体視眼鏡の構成の一例を示す外観図 実施の形態1に係る立体映像表示装置の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1における映像ストリームの視差映像の一例を示す図 実施の形態1における平行移動の処理を説明するための図 実施の形態1における拡大縮小の処理を説明するための図 本発明の実施の形態2に係る立体映像表示装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態2に係る立体映像表示装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態3に係る立体映像表示装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態3に係る立体映像表示装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態4に係る立体映像表示装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態4に係る立体映像表示装置の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態4における眼鏡の制御の様子の一例を示す図
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る立体映像表示装置を含む立体映像表示システムの構成の一例を示すシステム構成図である。本実施の形態は、本発明を液晶シャッター式立体映像システムに適用した例である。
図4において、立体映像表示システム100は、映像再生装置200、立体映像表示装置300、および立体視眼鏡(以下単に「眼鏡」という)500を有する。
映像再生装置200は、映像データ再生機能を備えた機器であり、例えばブルーレイディスク(登録商標)プレーヤである。映像再生装置200は、ブルーレイディスク(登録商標)等の記録媒体または受信信号等から、立体映像用の視差映像の映像ストリームを再生し、再生した映像ストリームを、立体映像表示装置300へ出力する。映像ストリームは、左目用映像および右目用映像(つまり視差映像)を含む。
立体映像表示装置300は、液晶シャッター式の立体映像表示機能を備えた機器であり、例えばテレビジョンである。立体映像表示装置300は、映像再生装置200から入力された映像ストリームに基づいて、画面600に視差映像を表示する。より具体的には、立体映像表示装置300は、左目用映像と右目用映像とを、同じ画面600に、例えばフレーム(動画を構成する1コマ1コマの画像)単位で高速に切り替えながら表示する。そして、映像再生装置200は、眼鏡500の左右レンズの光透過状態を制御するための同期信号を、眼鏡500へ送信する。
また、立体映像表示装置300は、眼鏡500を装着した視聴者(以下単に「視聴者」という)が、立体映像を見ることができる眼鏡500の位置および傾きの範囲(以下「適正視聴範囲」という)を、適正視条件として設定している。適正視条件の詳細については後述する。そして、立体映像表示装置300は、眼鏡500の位置および傾き(眼鏡情報)を取得する。立体映像表示装置300は、取得した眼鏡500の位置および傾きが適正視聴条件を満たすか否かを判断する。立体映像表示装置300は、適正視聴条件を満たさないと判断したとき、映像ストリームの左目用映像および右目用映像の少なくとも1つを、大きさおよび位置の少なくとも1つを補正して画面600に表示する。すなわち、立体映像表示装置300は、上述の斜め問題および傾き問題が軽減されるように、表示される視差映像を補正する。適正視条件については後述する。
眼鏡500は、立体映像を見る視聴者が装着する光学機器であり、例えば液晶シャッター式眼鏡である。眼鏡500は、立体映像表示装置300から受信する同期信号に従って、左右のレンズの光の透過状態を高速に切り替える。液晶シャッター式眼鏡の場合、眼鏡500は、液晶シャッターの駆動制御によってこの切り替えを行う。
この結果、眼鏡500は、例えば、立体映像表示装置300に左目用映像が表示されているとき、左レンズを光透過状態にして右レンズを遮光状態にする。そして、眼鏡500は、立体映像表示装置300に右目用映像が表示されているとき、右レンズを光透過状態にして左レンズを遮光状態にする。すなわち、眼鏡500は、立体映像表示装置300に左目用映像が現れている瞬間には左レンズのみを透過状態とし、立体映像表示装置300に右目用映像が現れている瞬間には右レンズのみを透過状態とすることができる。
このような立体映像表示システム100を用いることにより、視聴者は、左目で左目用映像のみを見、右目で右目用映像のみを見ることができる。この結果、視聴者は、立体映像を見ることができる。また、視聴者は、上述の斜め問題および傾き問題が軽減された状態で立体映像を見ることができ、より快適に立体映像を見ることができる。
ここで、立体映像表示システム100が用いる各種パラメータについて説明する。
図5〜図7は、立体映像表示システム100が用いるパラメータについて説明する図である。
図5および図6に示すように、立体映像表示システム100は、パラメータとして、表示実寸長W、画面解像度R、基準視差d、眼鏡情報、眼鏡基線長e、左目視線距離Ll、および右目視線距離Lrを用いる。なお、眼鏡情報は、左レンズ位置Pl(xl,yl,zl)、右レンズ位置Pr(xr,yr,zr)、眼鏡位置P(x,y,z)、および眼鏡傾き角θを含む。
表示実寸長Wは、画面600の横サイズであり、通常はテレビジョンの機種ごとに固定既定値となっている値である。
画面解像度Rは、単位長さ当たりの画素数である。画面解像度Rは、例えば、視差映像の横ピクセル数を表示実寸長Wで除することによって得ることができる。視差映像の横ピクセル数は、通常、視差映像の映像フォーマットに定められた既知の値である。例えば、幅1920ピクセルのフルHD(ハイディフィニション)フォーマットであれば、視差映像の横ピクセル数が1920ピクセルであることは自明である。
基準視差dは、元の視差映像に存在する視差の代表値であり、視差映像の補正の基準となる視差を示すパラメータである。例えば、基準視差dは、左目用映像の基準画像(以下「左目基準画像」という)610lの基準点P0lと、右目用映像の基準画像(以下「右目基準画像」という)610rの基準点P0rとの間の、画面600上でのずれ量である。基準画像610および基準点については後述する。
ここで、ここで使用する座標系は、左目基準画像610lの基準点P0lと右目基準画像610rの基準点P0rとの中点を原点Oとし、画面600の法線方向をz軸、垂直方向をy軸、画面600に向かって右方向をx軸と定義する。
左レンズ位置Pl(xl,yl,zl)は、眼鏡500の、視聴者の左の瞳に対応する位置である。
右レンズ位置Pr(xr,yr,zr)は、眼鏡500の、視聴者の右の瞳に対応する位置である。
眼鏡位置P(x,y,z)は、眼鏡500の代表位置であり、ここでは、左レンズ位置Plと右レンズ位置Prとの中点とする。
眼鏡基線長eは、眼鏡500の左レンズ位置Plと右レンズ位置Prとの間の距離である。
左目視線距離Llは、左レンズ位置Plから画面600上の左目基準画像610lの基準点P0lまでの距離である。
右目視線距離Lrは、右レンズ位置Prから画面600上の右目基準画像610rの基準点P0rまでの距離である。
眼鏡傾き角θは、図6に示すように、左レンズ位置Plと右レンズ位置Prとを結ぶ線(以下「眼鏡基線」という)を画面600に投影した線と水平面との間の角度である。なお、以下、特に説明が無い限り、眼鏡基線の方向(以下「眼鏡基線方向」という)が画面600に対して平行であるものとして説明を行う。
視差映像を構成する左目用映像および右目用映像は、通常、視聴者が直接に立体物を見た際に、左目の位置から見える像および左目の位置から見える像をそれぞれ再現した映像である。視差映像のうち、左目用映像において右目用映像よりも右側となっている部分は、画面600よりも手前に浮き出て見える。逆に、視差映像のうち、左目用映像において右目用映像よりも左側となっている部分は、画面600よりも奥に奥まって見える。また、視差が大きいほど、画面600からの距離が大きく見える。そして、視差がゼロの部分は、画面600と同じ位置に存在するように見える(つまり、2D映像と同じように見える)。
人間の目は、一度に複数の距離や複数の点または広い範囲に焦点を合せることは困難であり、通常、各時点においてある非常に狭い奥行きおよび視野に注目する。これは、画面600の視差映像を見る場合も同様である。ここでは、視聴者が注目することを映像製作者が意図した映像部分を、上述の「基準画像」というものとする。
また、基準画像を見る場合も、同様に、人間の目は、通常、各時点において基準画像の中の1つのポイントに焦点を合わせる。ここでは、基準画像において、視聴者が目の焦点を合わせることを映像製作者が意図したポイントを、上述の「基準点」というものとする。人間が基準画像に対して感じる奥行き感は、通常、基準点の視差によって定まる。したがって、立体映像表示装置300は、基準画像610の基準点P0の視差、すなわち基準点P0lから基準点P0rまでの距離を基準視差dとして取得し、この基準視差dを補正後の視差映像においても保持する。
映画に代表される各種制作コンテンツの多くのシーンにおいて、このような基準画像および基準点は存在する。基準画像は、例えば、登場人物の顔画像部分や木等の目立つ物体の画像部分である。基準点は、例えば、登場人物の瞳や物体の中心点である。したがって、ここでは、視差映像には、各時刻において、基準画像610および基準視差dが存在するものとして説明を行う。
視差映像の映像ストリームに、各時刻の基準視差dを示す情報が付随している場合には、映像ストリームから基準視差dを得ることが可能である。また、映像ストリームに基準視差dに相当する画素数(以下「視差画素数」という)を示す情報が付随している場合には、この視差画素数から基準視差dを得ることも可能である。更に、映像ストリームの内容によって、基準視差dは、経験則から決定したり、取得済みの値で固定することもできる。
また、視差映像の映像ストリームに、各時刻の基準点を示す情報が付随している場合の基準視差dは、画面600上における左目基準画像610lの基準点P0lと、右目基準画像610rの基準点P0rとの距離から得ることができる。また、視差映像の映像ストリームに、各時刻の基準画像610を示す情報が付随している場合には、基準画像610の位置に基づいて逐次算出することも可能である。この場合、基準視差dは、例えば、左目基準画像610lの中心点と右目基準画像610rの中心点との距離から得ることができる。
また、基準視差dは、左目用映像および右目用映像から同一の図形を画像認識により抽出し、これらの図形の位置の画面600上での距離を計算することによって得ることができる。一方で、一般に、立体映像のコンテンツには、視差が異なる図形が多数含まれている。したがって、基準視差dは、複数の図形に対して得られる複数の視差の最大値または平均値を取ることによって、得るようにしてもよい。
なお、以下、画面600上における左目基準画像610lの基準点P0lと右目基準画像610rの基準点P0rとの距離を「画像視差」といい、これら基準点P0l、P0rを通る線を「画像基線」という。また、画像基線の方向は、「画像基線方向」(視差方向)という。
次に、適正視条件について説明する。
上述の通り、視聴者の位置が画面の正面方向の位置から著しく離れていたり、視聴者の顔の左右方向が水平方向から著しく傾いている場合、斜め問題および傾き問題が発生する可能性がある。一方で、人間の脳は立体視に関してある程度の慣用性を有しており、立体映像を適正に見ることが可能な顔の位置および傾きには、ある程度の許容幅があることが知られている。例えば、画像サイズ差が15%以下であり、かつ画像傾き角が−6度〜+6度であれば、多くの視聴者がほぼ問題なく基準画像を立体映像として認識することが、実験等により知られている。ここで、「画像サイズ差」とは、目に映る左目基準画像に対する右目基準画像の相対的な大きさの差をいうものとする。また、「画像傾き角」とは、顔の左右方向(眼鏡基線方向)に対する画像基線方向の相対的な傾き角をいうものとする。
そこで、本実施の形態では、図7に示すように、立体映像を適正に見ることが可能な範囲(適正視可能範囲)に眼鏡500の位置および傾きが属することを、適正視条件として用いる。具体的には、適正視可能範囲は、例えば、予め定めた基準画像に対して画像サイズ差が15%以下となり、かつ、画像傾き角が−6度〜+6度となるような、眼鏡位置と眼鏡傾き角との組合わせの集合である。
適正視条件は、例えば、以下の式(1)、(2)で定義することもできる。ここで、θthは、傾き問題を回避するための画像傾き角の最大許容値の絶対値であり、例えば6度である。Dは、画像サイズ差である。Dthは、斜め問題を回避するための画像サイズ差の最大許容値であり、例えば0.85(15パーセントの差)である。画像サイズ差Dが右目視線距離Lrに対する左目視線距離Llの比に等しいのは、目に結像する像の大きさが目から対象物までの距離に反比例するためである。
Figure 2011071898
Figure 2011071898
次に、各装置の構成について説明する。
図8は、立体映像表示装置300の構成の一例を示すブロック図である。
図8において、立体映像表示装置300は、視差映像取得部310、眼鏡情報取得部320、適正視条件設定部330、基準視差設定部340、眼鏡基線長取得部350、表示実寸長取得部360、映像補正部370、表示部380、および眼鏡制御部390を有する。なお、立体映像表示装置300は、テレビジョンである場合には、電源部、操作部、放送受信部、映像入出力部、および音声入出力部等の上記以外の装置部も備えるが、ここではその図示および説明を省略する。
視差映像取得部310は、映像再生装置200から視差映像の映像ストリームを入力し、入力した映像ストリームを、フレーム単位で基準視差設定部340および映像補正部370へ順次出力する。
眼鏡情報取得部320は、眼鏡500からの無線信号を逐次取得し、取得した無線信号から眼鏡情報を算出し、映像補正部370へ出力する。なお、眼鏡情報は、眼鏡位置P、左レンズ位置Pl、右レンズ位置Pr、および眼鏡傾き角θ(図5および図6参照)を含む。ここでは、眼鏡情報取得部320は、立体映像表示装置300に取り付けられた複数のUWB(ultra wideband)アンテナと、眼鏡500に取り付けられた2つのUWBアンテナとの間で無線通信を行うものとする。眼鏡情報取得部320は、無線信号の往復時間に基づいてUWBアンテナ間の距離を算出し、三角測量法により眼鏡500のUWBアンテナの位置を算出し、眼鏡500のUWBアンテナの位置から上述の眼鏡情報を算出する。
適正視条件設定部330は、視聴者が立体映像を見ることができる眼鏡位置Pの範囲および眼鏡傾き角θの範囲を、適正視条件として設定し、設定した適正視条件を、映像補正部370へ出力する。適正視条件設定部330は、例えば、予め設定された固定の眼鏡位置Pの範囲および眼鏡傾き角θの範囲を採用することにより、適正視条件を設定する。または、適正視条件設定部330は、例えば、ディスプレイの機種と適正視条件とを対応付けたテーブルを予め格納し、立体映像表示装置300の機種を示す情報から、テーブルを用いて、対応する適正視条件を取得する。ここでは、適正視条件設定部330は、固定の適性視範囲(図7)を、適正視条件として設定するものとする。
基準視差設定部340は、視差映像の補正に用いられる基準視差d(図5および図6参照)を設定する。ここでは、視差映像取得部310が取得する映像ストリームに、視差映像の横ピクセル数と、各時刻における基準画像の視差画素数および基準点とが付随しているものとする。基準視差設定部340は、視差映像取得部310から入力される映像ストリームから、視差映像の横ピクセル数、視差画素数、および基準点(以下「映像情報」という)を逐次取得し、映像補正部370へ出力する。
眼鏡基線長取得部350は、眼鏡基線長e(図5および図6参照)を取得し、取得した眼鏡基線長eを、映像補正部370へ出力する。眼鏡基線長取得部350は、例えば、ユーザから眼鏡基線長eの設定を受け付けたり、各国の国民の平均的な両目間隔等、一般値として予め定められた固定値を採用することによって、眼鏡基線長eを取得する。ここでは、眼鏡基線長取得部350は、固定値を眼鏡基線長eとして取得するものとする。
表示実寸長取得部360は、表示実寸長W(図5参照)を取得し、取得した表示実寸長Wを、映像補正部370へ出力する。表示実寸長取得部360は、例えば、予め設定された固定値を採用することによって表示実寸長Wを取得する。または、表示実寸長取得部360は、例えば、ディスプレイの機種と表示実寸長とを対応付けたテーブルを予め格納し、立体映像表示装置300の機種を示す情報からテーブルを用いて、対応する表示実寸長Wを取得する。ここでは、表示実寸長取得部360は、固定値を表示実寸長Wとして取得するものとする。
映像補正部370は、眼鏡情報取得部320から入力される眼鏡情報が、適正視条件設定部330から入力される適正視条件を満たすとき、視差映像取得部310から入力される映像ストリームを、補正を行わずに、表示部380へ出力する。このとき、映像補正部370は、フレーム毎に左目用映像のデータと右目用映像のデータとを切り替えながら表示部380へ出力する。一方、眼鏡情報が適正視条件を満たさないときは、映像補正部370は、視聴者が立体映像を見ることができるように、映像ストリームを補正して出力する。ここでは、映像補正部370は、右目用映像のみに対して、大きさおよび位置の補正を行うものとする。具体的な補正の内容については後述する。また、映像補正部370は、表示部380への左目用映像と右目用映像との出力切り替えのタイミングに合わせて、眼鏡500の左右レンズの光透過状態を切り替えるための同期信号を生成し、眼鏡制御部390へ出力する。同期信号は、眼鏡500に対し、表示部380に左目用映像が表示されているとき、左レンズを光透過状態にして右レンズを遮光状態にすることを指示する信号である。一方、同期信号は、表示部380に右目用映像が表示されているとき、右レンズを光透過状態にして左レンズを遮光状態にすることを指示する信号である。
表示部380は、映像補正部370から入力される映像ストリームの左目用映像および右目用映像を、画面600(図4〜図6参照)に表示する。
眼鏡制御部390は、映像補正部370から入力される同期信号を、UWB通信によって眼鏡500へ送信する。
立体映像表示装置300は、図示しないが、CPU(central processing unit)、制御プログラムを格納したROM(read only memory)等の記憶媒体、RAM(random access memory)などの作業用メモリ、および通信回路等によって実現することができる。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することによって実現される。
図9は、立体視眼鏡500の構成の一例を示す外観図である。
図9において、眼鏡500は、フレーム510、左通信部520l、右通信部520r、左レンズ530l、および右レンズ530rを有する。左通信部520l、右通信部520r、左レンズ530l、および右レンズ530rは、いずれも、予め定められた位置関係でフレーム510に固定されている。したがって、左レンズ位置Plおよび右レンズ位置Prは、左通信部520lの位置および右通信部520rの位置と、眼鏡基線長e(固定値)とから求めることが可能となっている。
左通信部520lは、立体映像表示装置300との間でUWB通信を行う。左通信部520lは、眼鏡情報の算出のために必要な応答処理を行うと共に、立体映像表示装置300から受信した同期信号を左レンズ530lへ出力する。
右通信部520rは、立体映像表示装置300との間でUWB通信を行う。右通信部520rは、眼鏡情報の算出のために必要な応答処理を行うと共に、立体映像表示装置300から受信した同期信号を右レンズ530rへ出力する。
左レンズ530lは、視聴者の左目の前に配置されるレンズであり、液晶シャッターを備えている。液晶シャッターは、左通信部520lから入力される同期信号に従って、光の透過状態を高速に切り替える。
右レンズ530rは、視聴者の右目の前に配置されるレンズであり、液晶シャッターを備えている。液晶シャッターは、右通信部520rから入力される同期信号に従って、光の透過状態を高速に切り替える。
このような構成の立体映像表示システム100は、視差映像の映像ストリームに基づいて、立体映像を表示することができる。また、立体映像表示システム100は、視聴者が立体映像を見ることができるように、映像ストリームを適宜補正して表示する。これにより、視聴者は、眼鏡位置Pおよび眼鏡傾き角θが本来の適正視条件を満たさないときでも、立体映像を見ることができる。
次に、立体映像表示装置300の動作について説明する。
図10は、立体映像表示装置300の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS1100において、映像補正部370は、適正視条件設定部330、眼鏡基線長取得部350、および表示実寸長取得部360から、適正視条件、眼鏡基線長e、および表示実寸長Wをそれぞれ取得する。
より具体的には、適正視条件設定部330、眼鏡基線長取得部350、および表示実寸長取得部360は、予め記憶した固定値を、適正視条件、眼鏡基線長e、および表示実寸長Wとして、映像補正部370へ出力する。
そして、ステップS1200において、映像補正部370は、視差映像取得部310、基準視差設定部340、および眼鏡情報取得部320から、所定数(例えば1)のフレーム分の映像ストリームと、映像情報と、眼鏡情報とをそれぞれ取得する。なお、映像情報は、横ピクセル数、視差画素数、および基準点を含む。また、眼鏡情報は、眼鏡位置P、左レンズ位置Pl、右レンズ位置Pr、および眼鏡傾き角θを含む。但し、眼鏡基線長eおよび眼鏡傾き角θと、眼鏡位置P、左レンズ位置Plおよび右レンズ位置Prのいずれか1つとから、眼鏡位置P、左レンズ位置Plおよび右レンズ位置Prの全てを特定することが可能である。したがって、眼鏡情報は、眼鏡傾き角θと、眼鏡位置P、左レンズ位置Plおよび右レンズ位置Prのいずれか1つとを含むようにしてもよい。なお、ここでは、映像補正部370は、表示実寸長Wと映像ストリームの横ピクセル数および視差画素数とから、基準視差dを取得する例について説明する。また、ここでは、上述の通り、映像補正部370は、映像ストリームから基準視差dを得ることが可能なものとする。
より具体的には、視差映像取得部310および基準視差設定部340は、フレーム単位で、映像ストリームと映像情報とを、それぞれ映像補正部370へ出力する。そして、映像補正部370は、視差画素数を画面解像度Rで除することにより、または、表示実寸長Wを映像ストリームの横ピクセル数で除した値に視差画素数を乗じることにより、基準視差dを算出する。また、映像補正部370は、例えば、眼鏡情報取得部320により生成された眼鏡情報を、逐次的に、定期的に、あるいは必要に応じて(ここでは上述の所定数のフレーム毎に)取得する。なお、眼鏡情報は、眼鏡位置P、左レンズ位置Pl、右レンズ位置Pr、および眼鏡傾き角θを含むものとする。
図11は、入力される映像ストリームの視差映像の一例を示す図である。図11(A)は、左目用映像を示し、図11(B)は、右目用映像を示す。
映像ストリームが補正されない場合、左目基準画像610lと右目基準画像610rとは、画面600において、画面600の左右方向(水平方向)にずれて表示される。このずれ量が、視差映像の基準視差dである。
そして、図10のステップS1300において、映像補正部370は、眼鏡情報が適正視条件を満たすか否か、つまり眼鏡位置Pと眼鏡傾き角θとが適正視範囲内にあるか否か(図7参照)を判断する。すなわち、映像補正部370は、映像ストリームの補正を行わなくても視聴者が立体映像を快適に見ることができるか否かを判断する。映像補正部370は、眼鏡情報が適正視条件を満たす場合は(S1300:YES)、後述のステップS1800へ進み、眼鏡条件が適正値条件を満たさない場合は(S1300:NO)、ステップS1400へ進む。
ステップS1400において、映像補正部370は、右目用映像の平行移動量M(xm,ym,zm)を算出する。平行移動量Mとは、傾き問題を解決するのに必要な右目用映像の移動量である。すなわち、平行移動量Mは、画像視差が基準視差dと同じであり、かつ、画像基線方向と水平面との間の角度(以下「画像傾き角」という)φが、眼鏡傾き角θと同じとなるような変位量である。
より具体的には、映像補正部370は、ステップS1200で取得した眼鏡傾き角θを、画像傾き角φとして取得する。そして、映像補正部370は、例えば、画像傾き角φおよび眼鏡位置P(x,y,z)から、以下の式(3)〜(5)を用いて、平行移動量M(xm,ym,zm)を算出する。
Figure 2011071898
Figure 2011071898
Figure 2011071898
図12は、平行移動の処理を説明するための図であり、図11と対応するものである。
図12に示すように、左目基準画像610lと右目基準画像610rとの画像視差hは、基準視差d(図6参照)と同じ値となる。そして、平行移動量Mに相当する画像傾き角φは、眼鏡傾き角θ(図6参照)と同じ値となる。これにより、視聴者は、画面600に対して顔を傾けた姿勢でも、眼鏡基線方向と画像基線方向とが一致した状態で基準画像610を見ることができる。したがって、視聴者は、立体視を認知する際に、左目基準画像610lと右目基準画像610rとの自然な重なり合いを得ることができる。
そして、ステップS1500において、映像補正部370は、眼鏡基線長e、基準視差d、左レンズ位置Pl、右レンズ位置Pr、および眼鏡傾き角θに基づいて、左目視線距離Llおよび右目視線距離Lrを算出する(いずれも図5参照)。
より具体的には、映像補正部370は、例えば、以下の式(6)、(7)を用いて、左目視線距離Llおよび右目視線距離Lrを算出する。ここでは、処理の簡素化のため、y軸方向の変位については無視する。また、ここでは、基の視差映像において、左目基準画像610lの基準点P0lのxz座標を(xdl,zdl)とし、右目基準画像610rの基準点P0rのxz座標を(xdr,zdr)とする。
Figure 2011071898
Figure 2011071898
なお、眼鏡基線方向が画面600に平行ではない場合には、映像補正部370は、例えば、以下の式(8)、(9)を用いて、左目視線距離Llおよび右目視線距離Lrを算出してもよい。
Figure 2011071898
Figure 2011071898
そして、ステップS1600において、映像補正部370は、左目視線距離Llおよび右目視線距離Lrに基づいて、右目用映像の拡大縮小率Sを算出する。この拡大縮小率Sとは、斜め問題を解決するのに必要な右目用映像の拡大縮小率である。すなわち、拡大縮小率Sは、拡大縮小後の画像サイズ差がほぼゼロとなるような拡大縮小率である。
より具体的には、映像補正部370は、例えば、以下の式(10)を用いて、拡大縮小率Sを算出する。
Figure 2011071898
図13は、拡大縮小の処理を説明するための図であり、図11と対応するものである。
図13に示すように、画面600上での実際の左目基準画像610lに対する右目基準画像610rの大きさの比率は、算出された拡大縮小率Sとほぼ同一となる。そして、視聴者の右目に見える右目基準画像610rの大きさは、視聴者の左目に見える左目基準画像610lとほぼ同じ大きさとなる。すなわち、画像サイズ差は、ほぼゼロとなる。これにより、視聴者は、画面600に対して斜めの位置からでも、右目と左目で同じ大きさで基準画像610を見ることができる。したがって、視聴者は、立体視を認知する際に、左目基準画像610lと右目基準画像610rとの自然な重なり合いを得ることができる。
そして、図10のステップS1700において、映像補正部370は、入力された映像ストリームのうち右目用映像を、左目用映像に対して相対的に、平行移動量Mで移動させ、かつ、拡大縮小率Sで拡大縮小させる補正を行う。映像補正部370は、例えば、右目用映像の基準点(左目用映像の基準点に対応する点)P0rを固定点として、拡大縮小を行う。
なお、平行移動の処理および拡大縮小の処理は、映像補正部370が直接に右目用映像に対して画面600の枠に対する相対位置や相対サイズを補正してもよい。また、平行移動の処理および拡大縮小の処理は、表示部380に対して画面600における右目用映像の表示位置や表示サイズを変更させてもよい。表示部380に対して表示位置や表示サイズを変更させる場合には、映像補正部370は、例えば、映像ストリームに付随された、表示位置および表示サイズに関するパラメータを補正する。
そして、ステップS1800において、映像補正部370は、映像ストリームをフレーム単位で表示部380へ出力し、視差映像を画面600に表示させる。この結果、表示部380には、左目用映像と右目用映像とが、高速に切り替わりながら表示される。このとき、映像補正部370は、右目用映像の補正を行った場合には、入力された右目用映像に置き換えて補正後の右目用映像を出力する。また、このとき、眼鏡制御部390は、上述の通り、映像補正部370から入力される同期信号を眼鏡500に送信することにより、眼鏡500を視差映像に同期して動作させる。
そして、ステップS1900において、映像補正部370は、視差映像の表示の処理を継続するか否かを判断する。映像補正部370は、例えば、映像ストリームの入力が継続している間は処理を継続すると判断し、映像ストリームの入力が終了したときに処理を継続しないと判断する。映像補正部370は、処理を継続する場合には(S1900:YES)、ステップS1200へ戻り、処理を継続しない場合には(S1900:NO)、一連の処理を終了する。
このような動作により、立体映像表示装置300は、視聴者の位置や顔の傾きに合わせて、視聴者が立体映像を見ることができるように補正した視差映像を表示するので、斜め問題や傾き問題を低減することができる。また、基準視差と同じ画像視差を保持した状態で補正を行うので、映像製作者が意図した奥行き感で基準画像を立体表示することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、視聴者の位置および顔の傾きに合わせて、立体映像を見ることができるように視差映像に対して大きさおよび位置の補正を行う。これにより、視聴者は、斜め問題および傾き問題が低減された状態で、立体映像を視聴することができる。
また、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、右目用映像に対する平行移動と拡大縮小という簡単な処理で済むため、3D映画コンテンツの映像ストリームであっても、容易に斜め問題および傾き問題を低減することができる。
また、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、ディスプレイの枠に対して基準画像を歪ませないため、従来の2D映像を表示するディスプレイを視聴するときの感覚と同様の感覚を、視聴者に与えることができる。
すなわち、視聴者は、本実施の形態に係る立体映像表示システムを用いることにより、予め作り込まれた立体視用の映像ストリームを利用した立体映像を、より快適に視聴することができる。
なお、立体映像表示システムは、平行移動と拡大縮小のうちいずれか一方の処理のみを行うようにしてもよい。また、立体映像表示システムは、拡大縮小処理を行わない場合には眼鏡位置を取得しなくてもよいし、平行移動処理を行わない場合には、眼鏡傾き角を取得しなくてもよい。
また、立体映像表示システムは、適正視条件を満たすか否かの判断を行わずに、常に平行移動量および拡大縮小率の算出を行い、算出結果に応じた平行移動処理および拡大縮小処理を行ってもよい。
また、立体映像表示システムは、必ずしも画像傾き角をゼロにする必要はなく、補正後の映像ストリームにおいて、適正視条件が満たされるような(つまり、画像傾き角が適正視条件を満たすような)平行移動処理を行えばよい。この場合には、立体映像表示システムは、例えば、眼鏡傾き角を適正視範囲の幅よりも小さい幅でレベル分けしレベル毎に平行移動の方向を対応付けたテーブルを用いればよい。これにより、平行移動処理は、高速化することができる。
また、立体映像表示システムは、必ずしも画像サイズ差をゼロにする必要はなく、補正後の映像ストリームにおいて、適正視条件が満たされるような(つまり、画像サイズ差が適正視条件を満たすような)拡大縮小処理を行えばよい。この場合には、立体映像表示システムは、例えば、右目視線距離に対する左目視線距離の比を適正視範囲の幅よりも小さい幅でレベル分けしレベル毎に拡大縮小率を対応付けたテーブルを用いればよい。これにより、拡大縮小処理は、高速化することができる。
また、立体映像表示システムは、右目用映像を基準として左目用映像のみを補正したり、右目用映像と左目用映像の両方を補正してもよい。両方を補正する場合には、映像製作者が意図した大きさにより近い大きさで、基準画像を表示することができる。
また、立体映像表示システムは、適正視条件、眼鏡基線長、および表示実寸長を、可変値としてもよい。また、立体映像表示システムは、基準視差を、固定値としてもよい。
また、立体映像表示システムは、傾き問題を考慮しない場合には、眼鏡傾き角を取得する必要が無いため、眼鏡500に設けるUWBアンテナを1つとしてもよい。UWBアンテナを眼鏡の中央に固定した場合には、眼鏡位置の取得が容易となる。
また、立体映像表示システムは、眼鏡500の制御および眼鏡情報の取得を、UWB通信ではなく、赤外線通信等の他の手段を用いて行うようにしてもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、適正視条件が満たされないときに、2D映像表示への切り替えを行う例である。
図14は、本実施の形態に係る立体映像表示装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態1の図8に対応するものである。図8と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図14において、立体映像表示装置300aは、図8とは異なり、基準視差設定部、眼鏡基線長取得部、および表示実寸長取得部を有していない。また、立体映像表示装置300aは、図8の映像補正部とは異なる処理を実行する映像補正部370aを有している。
映像補正部370aは、眼鏡情報が適正視条件を満たさないとき、右目用映像の表示を停止し、右目用映像のデータを、同じフレームの左目用映像のデータで差し替える。すなわち、映像補正部370aは、斜め問題や傾き問題が生じ得るときは、例えば、左目用映像のみを連続して表示し、2D映像表示に切り替える。
図15は、立体映像表示装置300aの動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態1の図10に対応するものである。図10と同一部分には同一ステップ番号を付し、これについての説明を省略する。
まず、ステップS1100aにおいて、映像補正部370aは、適正視条件設定部330から適正視条件を取得する。
そして、ステップS1200aにおいて、映像補正部370aは、視差映像取得部310および眼鏡情報取得部320から、映像ストリームと眼鏡情報とをそれぞれ取得する。なお、眼鏡情報は、上述の通り、眼鏡位置P、左レンズ位置Pl、右レンズ位置Pr、および眼鏡傾き角θを含む。
そして、眼鏡情報が適正視条件を満たす場合には(S1300:YES)、映像補正部370aは、ステップS1800へ進み、視差映像取得部310から入力された映像ストリームをそのまま表示部380へ出力する。すなわち、映像補正部370aは、通常通り、視差映像を画面600に表示させる。
一方、眼鏡情報が適正視条件を満たさない場合には(S1300:NO)、映像補正部370aは、ステップS1810aへ進む。
ステップS1810aにおいて、映像補正部370aは、右目用映像のデータを同じフレームの左目用映像のデータで差し替えることにより、左目用映像のみの映像ストリームを表示部380へ出力し、左目用映像のみを表示させる。この結果、画面600に表示されるのは、2D映像となり、3D映像に特有の斜め問題および傾き問題は発生し得ない状態となる。そして、映像補正部370aは、ステップS1900へ進む。
このように、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、映像に対する平行移動や拡大縮小処理を行うことなく、できるだけ3D映像を表示しつつ、斜め問題および傾き問題を回避することができる。したがって、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、実施の形態1に比べて、処理負荷を軽減し装置構成を簡素化することができる。
また、単に右目用映像の表示を停止するものではないので、映像の輝度を維持した状態で、2D映像表示に切り替えることができ、視聴者に与える切り替え時の違和感を軽減することができる。
なお、本実施の形態の立体映像表示システムは、実施の形態1と組合わせ、映像に対する補正と2D映像表示とを必要に応じて切り替えるようにしてもよい。例えば、画面に近すぎる等して、基準画像以外の画像部分の画像の大きさがマッチしなくなる場合や右目用画像の欠落が大きくなる場合には、2D映像表示に切り替えることが望ましい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、適正視条件が満たされないとき、あるいは眼鏡情報が適正視条件を逸脱しそうな状態になったとき、その旨の通知を行う例である。
図16は、本実施の形態に係る立体映像表示装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態2の図14に対応するものである。図14と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図16において、立体映像表示装置300bは、映像補正部に変えて、通知部400bを有している。
通知部400bは、映像に対する補正は行わず、眼鏡情報が適正視条件を満たさないとき、あるいは眼鏡情報が適正視条件を逸脱しそうな状態になったとき、その旨を示す所定の通知を行う。眼鏡情報が適正視条件を逸脱しそうな状態とは、例えば、眼鏡500が、眼鏡適正視範囲のうち適正視範囲外との間の境界の位置に近い位置に居る状態、および眼鏡適正視範囲のうち適正視範囲外との間の境界の角度に傾けられた状態である。本実施の形態において、以下、眼鏡情報が適正視条件を逸脱しそうな状態を、眼鏡情報が適正視条件を満たさない状態に含めるものとする。
図17は、立体映像表示装置300bの動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態2の図15に対応するものである。図15と同一部分には同一ステップ番号を付し、これについての説明を省略する。また、実施の形態2の映像補正部が実行する処理のうち本実施の形態においても実行される処理は、通知部400bが実行するものとする。
通知部400bは、眼鏡情報が適正視条件を満たす場合には(S1300:YES)、ステップS1800へ進み、視差映像取得部310から入力された映像ストリームをそのまま表示部380へ出力する。すなわち、通知部400bは、通常通り、視差映像を画面600に表示させる。
一方、眼鏡情報が適正視条件を満たさない場合には(S1300:NO)、通知部400bは、ステップS1820bへ進む。
ステップS1820bにおいて、通知部400bは、眼鏡情報が適正視条件を満たさない旨、つまり、斜め問題や傾き問題が発生する旨を示す所定の通知を行ってから、ステップS1800へ進む。所定の通知は、例えば、スピーカからの音声出力や、画面600における文字表示である。
単純な通知のみでは、どのようにすれば立体映像を見ることが可能になるかをすぐに判断することができない視聴者もいる。したがって、通知は、どのようにすれば斜め問題や傾き問題を回避することができるかを、視聴者に伝えられる内容であることが望ましい。例えば、「もう少し画面の正面に移動して下さい」、「もう少し顔をまっすぐにして下さい」等の文章を出力することが考えられる。視聴者は、所定の通知を受けて、立体映像を見ることができるように自ら位置や顔の傾きを的確に調整し、立体映像を継続して見ることができる。
このように、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、映像に対する補正も2D表示への切り替えも行うことなく、斜め問題および傾き問題を回避することができる。したがって、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、実施の形態1および実施の形態2に比べて、処理負荷を軽減し装置構成を簡素化することができる。
また、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、眼鏡情報が適正視条件を逸脱しそうな状態となったときに通知を行うことにより、斜め問題および傾き問題をより確実に回避することができる。
なお、本実施の形態の立体映像表示システムは、実施の形態1と組合わせ、画面に近すぎる等して、基準画像以外の画像の大きさがマッチしなくなる場合や右目用画像の欠落が大きくなる場合に、その旨を通知するようにしてもよい。
また、本実施の形態の立体映像表示システムは、実施の形態1と組合せ、眼鏡情報が適正視条件を満たさない旨の通知後、一定期間後に、なお眼鏡情報が適正視条件を満たさない場合は、補正処理を施すようにしてもよい。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4は、複数人問題の低減のために、2D映像表示への切り替えを視聴者単位で行う例である。
図18は、本実施の形態に係る立体映像表示装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態1の図8に対応するものである。図8と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。また、本実施の形態では、複数人の視聴者がそれぞれ眼鏡500を装着して立体映像表示装置300cを視聴しているものとする。また、各眼鏡500には予め識別情報が割り当てられており、各眼鏡500と立体映像表示装置300cとの間では、識別情報を用いて個別に無線通信が可能となっているものとする。
図18において、立体映像表示装置300cは、図8の眼鏡情報取得部、映像補正部、および眼鏡制御部に変えて、複数眼鏡情報取得部320c、複数眼鏡映像補正部370c、および複数眼鏡制御部390cを有している。
複数眼鏡情報取得部320cは、複数の眼鏡500から個別に眼鏡情報を逐次取得し、取得した眼鏡情報を複数眼鏡映像補正部370cへ出力する。但し、本実施の形態では、眼鏡情報は、対応する眼鏡500の識別情報を含む。
複数眼鏡映像補正部370cは、複数の眼鏡500の眼鏡情報を総合的に取り扱って右目用映像に対する補正を行うと共に、眼鏡500毎に、適正視条件を満たすか否かの判断を行う。そして、複数眼鏡映像補正部370cは、適正視条件を満たす視聴者には通常の視差映像が見え、適正視条件を満たさない視聴者には左目用映像のみが見えるように、同期信号を生成する。より具体的には、複数眼鏡映像補正部370cは、適正視条件を満たす眼鏡500に対しては視差映像に合わせて光透過状態を切り替えさせ、適正視条件を満たさない眼鏡500に対しては左目用映像のみを透過させる同期信号を生成する。
複数眼鏡制御部390cは、複数の眼鏡500のそれぞれに、同期信号を送信する。
眼鏡500毎に上述の異なる動作を実現させる手法としては、例えば、異なる動作に対応する2つの信号を生成して眼鏡500毎に対応する信号のみを送信する手法がある。また、他の手法としては、共通の信号に左目用映像のみを透過する眼鏡500を指定する情報を付加する手法等が挙げられる。本実施の形態では、後者を適用して説明を行う。
図19は、立体映像表示装置300cの動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態1の図10に対応するものである。図10と同一部分には同一ステップ番号を付し、これについての説明を省略する。また、実施の形態1の映像補正部が実行する処理のうち本実施の形態においても実行される処理は、複数眼鏡映像補正部370cが実行するものとする。また、記号iは、眼鏡500毎に個別に取得されるパラメータであることを示す。
複数眼鏡映像補正部370cは、複数の眼鏡500の眼鏡情報をそれぞれ取得すると、ステップS1210aにおいて、代表眼鏡位置Prおよび代表眼鏡傾き角θrを算出する。なお、眼鏡情報は、上述の通り、眼鏡位置Pi、左レンズ位置Pli、右レンズ位置Pri、および眼鏡傾き角θiを含む。代表眼鏡位置Prは、複数の眼鏡500の眼鏡位置Piを代表する眼鏡位置であり、例えば眼鏡位置Piの座標軸毎の平均値の組合わせである。代表眼鏡傾き角θrは、複数の眼鏡500の眼鏡傾き角θiを代表する眼鏡傾き角であり、例えば眼鏡傾き角θiの平均値である。すなわち、代表眼鏡位置Prおよび代表眼鏡傾き角θrは、複数の眼鏡500を代表する仮想的な眼鏡500の眼鏡位置および傾き角である。
そして、複数眼鏡映像補正部370cは、代表眼鏡位置Prおよび代表眼鏡傾き角θrに基づいて、図10のステップS1300〜S1700の処理を実行する。これにより、代表眼鏡位置Prおよび代表眼鏡傾き角θrが適正視条件を満たさない場合には、実施の形態1と同様に、右目用映像に対する補正が行われる。すなわち、複数眼鏡映像補正部370cは、上述の仮想的な眼鏡500に合わせて、右目用映像を補正する。
そして、ステップS1710cにおいて、複数眼鏡映像補正部370cは、眼鏡情報に含まれる識別情報を用いて、複数の眼鏡500の中から眼鏡500を1つ選択する。
そして、ステップS1720cにおいて、複数眼鏡映像補正部370cは、選択した眼鏡500の眼鏡情報が、実際に表示される視差映像において適正視条件を満たすか否かを判断する。実際に表示される視差映像とは、ステップS1300〜S1700の結果として、複数眼鏡映像補正部370cが表示部380に出力し、表示部380に実際に表示される視差映像である。
表示される視差映像において適正視条件を満たすか否かは、例えば、表示される視差映像に合わせて基の適正視範囲(図7参照)を変換し、変換後の適正視範囲に眼鏡情報が属するか否かを判断することによって行うことができる。この場合の変換は、例えば、画面600の法線方向および水平方向が画面600に対する代表眼鏡位置Prの方向および画像基線方向となるような変換である。
または、表示される視差映像において適正視条件を満たすか否かは、例えば、以下の式(11)、(12)を満たすか否かを判断することによって行うことができる。
Figure 2011071898
Figure 2011071898
複数眼鏡映像補正部370cは、眼鏡情報が適正視条件を満たす場合には(S1720c:YES)、ステップS1730cへ進み、眼鏡情報が適正視条件を満たさない場合には(S1720c:NO)、ステップS1740cへ進む。
ステップS1730cにおいて、複数眼鏡映像補正部370cは、選択中の眼鏡500を、視差映像の表示の対象となる眼鏡(以下「対象眼鏡」という)に設定し、ステップS1750cへ進む。
一方、ステップS1740cでは、複数眼鏡映像補正部370cは、選択中の眼鏡500を、視差映像の表示の対象とならない眼鏡(以下「対象外眼鏡」という)に設定し、ステップS1750cへ進む。
そして、ステップS1750cにおいて、複数眼鏡映像補正部370cは、対象眼鏡にも対象外眼鏡にも設定していない眼鏡500が存在するか否かを判断する。複数眼鏡映像補正部370cは、未設定の眼鏡500が存在する場合には(S1750c:YES),ステップS1710cへ戻り、未設定の眼鏡500を選択して処理を繰り返す。複数眼鏡映像補正部370cは、全ての眼鏡500に対して対象眼鏡と対象外眼鏡とのいずれかを設定した場合には(S1750c:NO)、ステップS1830cへ進む。
ステップS1830cにおいて、複数眼鏡映像補正部370cは、複数眼鏡制御部390cを介して、対象眼鏡または対象外眼鏡のいずれであるかに基づいて、各眼鏡500を制御する。この結果、各眼鏡500は、対象眼鏡に設定された眼鏡500には視差映像を、対象外眼鏡に設定された眼鏡500には左目用映像のみが表示されるように、制御される。
より具体的には、複数眼鏡映像補正部370cは、実施の形態1と同様に、映像ストリームを表示部380へ出力し、同期信号を複数眼鏡制御部390cへ出力する。但し、このとき、複数眼鏡映像補正部370cは、対象外眼鏡に設定した眼鏡500が存在するときは、その眼鏡500の識別情報を、対象外情報として複数眼鏡制御部390cへ出力する。
複数眼鏡制御部390cは、同期信号と共に、対象外情報を各眼鏡500に対して送信する。
各眼鏡500の左レンズ530lおよび右レンズ530rは、受信した同期信号に、自己の識別情報が対象外情報として含まれているとき、左目用映像のみが透過されるように、光の透過状態を切り替える。
図20は、本実施の形態における眼鏡500の制御の様子の一例を示す図である。図20において、縦軸は時刻を示し、左の欄は立体映像表示装置300cの表示映像の状態を示す。そして、真中の欄は対象眼鏡に設定された眼鏡500を装着した視聴者の左右の目に到達する像の状態を示し、右の欄は対象外眼鏡に設定された眼鏡500を装着した視聴者の左右の目に到達する像の状態を示す。
図20に示すように、立体映像表示装置300cには、左目用映像と右目用映像とが、交互に表示される。対象眼鏡に設定された眼鏡500は、同期信号に合わせて、左目用映像が表示されている間は左レンズ530lのみを透過させ、右目用映像が表示されている間は右レンズ530rのみを透過させる。これにより、対象眼鏡に設定された眼鏡500を装着した視聴者は、左目で左目用映像のみを、右目で右目用映像のみを見ることになる。
対象眼鏡に設定された眼鏡500は、表示される視差映像において適正視条件を満たす眼鏡500である。したがって、この眼鏡500の視聴者は、映像ストリームを3D映像として見ることができる。
一方、対象外眼鏡に設定された眼鏡500は、左目用映像が表示されている間は左レンズ530lと右レンズ530rの両方を透過させ、右目用映像が表示されている間は左レンズ530lと右レンズ530rの両方を遮光する制御を行う。これにより、対象外眼鏡に設定された眼鏡500を装着した視聴者は、両目で左目用映像のみを見ることになる。
対象外眼鏡に設定された眼鏡500は、表示される視差映像において適正視条件を満たさない眼鏡500である。したがって、この眼鏡500の視聴者は、左目で左目用映像のみを見、右目で右目用映像のみを見ても、斜め問題や傾き問題により、立体映像を見ることができず、むしろ2D映像の映像ストリームのほうが快適である。そこで、本実施の形態では、このような視聴者に対しては2D映像として映像ストリームを表示する。
このように、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、代表眼鏡位置および代表眼鏡傾き角を用いるので、複数の視聴者を考慮した映像補正を簡単に行うことができる。
また、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、複数の眼鏡の全てにおいて適正視条件を満たすことは困難であるところ、適宜、個別に2D映像への表示に切り替え、できるだけ3D映像を表示するようにしている。これにより、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、斜め問題および傾き問題を回避することができ、複数人問題を低減することができる。
また、本実施の形態に係る立体映像表示システムは、眼鏡側の動作を個別に制御するので、眼鏡毎の表示制御を簡単に行うことができる。
なお、複数の視聴者を考慮した映像補正の妥当性は、使用環境によって異なる。したがって、代表眼鏡位置および代表眼鏡傾き角の決定手法は、上述の手法に限定されるものではなく、使用環境に適した手法が採用されることが望ましい。例えば、視聴者の多くが固まって位置することが想定されているような場合には、立体映像表示システムは、他の眼鏡との間の距離が大きい眼鏡を、平均値算出の対象から除外することが望ましい。また、視聴者の多くが似たような角度で顔を傾けることが想定されているような場合には、他の眼鏡との間の眼鏡傾き角の差が大きい眼鏡を、平均値算出の対象から除外することが望ましい。
また、立体映像表示システムは、実際に表示される視差映像において適正視条件を満たさない眼鏡が一定数以上または一定割合以上存在する場合に、実施の形態2と同様に、2D映像表示に切り替えてもよい。この場合、眼鏡側の動作を個別に制御する必要が無くなり、処理負荷を軽減し装置構成を簡素化することができる。
また、立体映像表示システムは、実際に表示される視差映像において適正視条件を満たさない眼鏡が少なくとも1つ存在する場合、一定数以上または一定割合以上存在する場合に、実施の形態3と同様に、所定の通知を行うようにしてもよい。この場合、立体映像表示システムは、どの眼鏡に対する通知であるかを明確にするため、例えば、眼鏡に設けたバイブレータ、スピーカ、発光素子等を動作させてもよい。
また、本実施の形態では、立体映像装置をテレビジョンに配置した例について説明したが、立体映像装置を映像再生装置200や他の装置に配置してもよい。この場合、立体映像装置は、眼鏡情報と併せて、テレビジョンに表示される左目基準画像の基準点の位置と右目基準画像の基準点の位置とを取得する必要がある。
また、本実施の形態では、液晶シャッター式の立体映像表示システムに本発明を適用した例について説明したが、カラーフィルタ式の立体映像表示システムや、偏光フィルタ式の立体映像表示システム等、他の各種立体映像表示システムに適用することができる。
本発明に係る立体映像表示装置および立体映像表示方法は、視聴者が立体視用の映像ストリームを利用した立体映像をより快適に見ることができる立体映像表示装置および立体映像表示方法として有用である。より具体的には、本発明は、例えば、家庭用テレビジョンやブルーレイディスク(登録商標)再生装置等の映像機器のうち、眼鏡を用いて立体映像を得る様態の映像機器に有用である。また、本発明は、例えば、公共の映像提供施設(ミニシアター、スポーツ映像提供施設等)のうち、同様に立体映像を顧客に提供する施設に用いられる映像機器に有用である。
100 立体映像表示システム
200 映像再生装置
300、300a、300b、300c 立体映像表示装置
310 視差映像取得部
320 眼鏡情報取得部
320c 複数眼鏡情報取得部
330 適正視条件設定部
340 基準視差設定部
350 眼鏡基線長取得部
360 表示実寸長取得部
370、370a 映像補正部
370c 複数眼鏡映像補正部
380 表示部
390 眼鏡制御部
390c 複数眼鏡制御部
400b 通知部
500 眼鏡
510 フレーム
520l 左通信部
520r 右通信部
530l 左レンズ
530r 右レンズ
600 画面

Claims (10)

  1. 左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示装置であって、
    前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を設定する適正視条件設定手段と、
    前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得する眼鏡情報取得部と、
    前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記左目用映像および前記右目用映像の少なくとも1つに対して大きさおよび位置の少なくとも1つの補正を行って、前記映像を前記画面に出力する映像補正部と、
    を有する立体映像表示装置。
  2. 前記映像補正部は、
    前記画面における前記左目用映像と前記右目用映像との視差方向が、前記立体視眼鏡の傾き方向に一致する位置に、前記左目用映像および前記右目用映像の少なくとも1つを平行移動させる補正を行う、
    請求項1記載の立体映像表示装置。
  3. 前記映像補正部は、
    前記画面における前記左目用映像の画像と前記右目用映像の画像との視差が保持される位置に、前記左目用映像および前記右目用映像の少なくとも1つを平行移動させる補正を行う、
    請求項2記載の立体映像表示装置。
  4. 前記映像補正部は、
    前記画面における前記左目用映像の画像に対する前記右目用映像の画像の大きさの比が、前記立体視眼鏡の右レンズから前記右目用映像の画像までの距離に対する前記立体視眼鏡の左レンズから前記左目用映像の画像までの距離の比に一致する拡大縮小率で、前記左目用映像および前記右目用映像の少なくとも1つを拡大縮小させる補正を行う、
    請求項1記載の立体映像表示装置。
  5. 前記映像補正部は、
    前記立体視眼鏡が複数存在するとき、前記複数の立体視眼鏡の位置を代表する代表位置と前記複数の立体視眼鏡の傾きを代表する代表傾きとの少なくとも1つが前記適正視条件を満たさないとき、前記補正を行う、
    請求項1記載の立体映像表示装置。
  6. 前記代表位置は、前記複数の立体視眼鏡の位置の平均値であり、前記代表傾きは、前記複数の立体視眼鏡の傾きの平均値である、
    請求項5記載の立体映像表示装置。
  7. 前記映像補正部が補正を行った映像において、前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさない前記立体視眼鏡が存在するとき、少なくとも当該立体視眼鏡を装着した視聴者が左目用映像および右目用映像の1つのみを見ることができるように、前記映像ストリームの前記画面における表示状態または立体視眼鏡の光透過状態を制御する表示制御部、を更に有する、
    請求項1記載の立体映像表示装置。
  8. 左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示装置であって、
    前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を設定する適正視条件設定手段と、
    前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得する眼鏡情報取得部と、
    前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記立体視眼鏡を装着した視聴者に対して所定の通知を行う通知部と、
    を有する立体映像表示装置。
  9. 左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示装置で用いられる立体映像表示方法であって、
    前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得するステップと、
    前記眼鏡情報が、前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を満たすか否かを判断するステップと、
    前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記左目用映像および前記右目用映像の少なくとも1つに対して大きさおよび位置の少なくとも1つの補正を行うステップと、
    前記映像を前記画面に出力するステップと、
    を有する立体映像表示方法。
  10. 左目用映像および右目用映像を含む立体視用の映像ストリームから、画面および立体視眼鏡を用いて立体映像を表示する立体映像表示方法であって、
    前記画面に対する前記立体視眼鏡の位置および傾きの少なくとも1つを、眼鏡情報として取得するステップと、
    前記眼鏡情報が、前記立体視眼鏡を装着した視聴者が立体映像を見ることができる適正視条件を満たすか否かを判断するステップと、
    前記眼鏡情報が前記適正視条件を満たさないとき、前記立体視眼鏡を装着した視聴者に対して所定の通知を行うステップと、
    を有する立体映像表示方法。

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