JP2011069707A - 血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、検査を簡略化しつつ、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することができる血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本発明に係る血球計数装置1は、被験者(患者)の血液中の血球を検出する検出部と、該検出部による検出結果に基づいて、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は血液中の血小板に関する第3分析情報とを取得する検出ユニット(分析情報取得手段)2と、検出ユニット(分析情報取得手段)2で取得した第1分析情報と、第2分析情報又は第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するデータ処理ユニット(診断支援情報出力手段)3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラムに関し、特に、臨床的に重篤な疾患状態になった患者の予後予測を支援する血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
病院では、所定の疾患状態の患者の中でも特に臨床的に重篤な疾患状態になった患者は、集中治療室(ICU)などの施設において、24時間体制で管理され、集中的な治療を受ける。このような重篤な患者に対して早期に予後予測を行うことができれば、その後の治療方針や投薬の計画を適切に決定することが可能となる。ここで、臨床的に重篤な患者には、全身性炎症反応症候群(SIRS:Systemic Inflammatory Response Syndrome)と診断された患者や、呼吸、循環、代謝などで重篤な機能不全におちいった患者などが含まれる。また、予後予測とは、患者(被験者)が高確率で死亡に至る程度の重症(severity)であるか否かの予測、患者(被験者)が長期治療を必要とするほどの重症であるか否かの予測等をいう。例えば、SIRSと診断された患者について、早期に予後予測を行うことができれば、適切な治療や投薬を早期に開始して、さらに重篤な疾患(多臓器機能障害(MOD))へと進行することを未然に回避することが可能になる。
従来、ICU患者の予後予測を行う方法として、APACHE−II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)やSOFA(Sepsis−related Organ Failure Assessment)によるスコアリング方法が採用されている。
ここで、APACHE−IIでは、体温、血圧、PaO2 、血清クレアチニン等の臓器機能の指標としての12個の測定値に基づく点数、年齢による点数、慢性疾患の点数に基づいてスコア値を算出する。そして、APACHE−IIでは、算出したスコア値から疾患の重症の度合いを階層化し、生存・死亡に関する予後予測を行う。
また、SOFAでは、呼吸器(PaO2 /FiO2 )、凝固系(血小板数)、肝機能(ビリルビン濃度)、心血管系(血圧)、中枢神経系(Glasgow coma scale)、腎機能(クレアチニン濃度または尿量)の6項目に基づくスコア値を算出する。そして、SOFAでは、算出したスコア値から疾患の重症の度合いを推定する。
また、非特許文献1及び2には、重症患者の血液中の有核赤血球(NRBC)がその患者の死亡率と関係することが開示されている。また、非特許文献2には、敗血症患者の血液中の幼若顆粒球(IG)がその患者の死亡率と関係することも開示されている。
アクセル スタション(Axel Stachon)、他5名、「医療集中治療患者の血液の中の有核赤血球が、死亡率の増加リスクを示すことの研究(Nucleated red blood cells in the blood of medical intensive care patients increased mortality risk:a prospective cohort study)」、(米国)、クリティカルケア(Critical Care)、2007年、第11巻、第3号 モンタグ(B. Montag)他1名、「敗血症における重要マーカーの評価(Assessment of Key Markers in Sepsis)」、(独国)、パブストサイエンス(Pabst Science Publishers)、2003年、p.69−73
APACHE−II、SOFA等のスコアリング方法では、多数の検査項目の情報が必要となるため、煩雑な検査が必要となり、費用がかかるという問題があった。
一方、非特許文献1及び非特許文献2では、有核赤血球(NRBC)が患者の死亡率と関係することが開示されているが、有核赤血球(NRBC)を単独の指標として用いて予後予測を行ったとしても、患者が重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を行うことは難しかった。また、非特許文献2では、幼若顆粒球(IG)が患者の死亡率と関係することも開示されているが、幼若顆粒球(IG)を単独の指標として用いて予後予測を行ったとしても、やはり早期に予後予測を行うことは難しかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検査を簡略化しつつ、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することができる血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために第1発明に係る血球計数装置は、被験者の血液中の血球を検出する検出部と、該検出部による検出結果に基づいて、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段と、該分析情報取得手段で取得した前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段とを備える。
また、第2発明に係る血球計数装置は、第1発明において、前記分析情報取得手段は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記第1分析情報と、前記第2分析情報と、前記第3分析情報とを取得し、前記診断支援情報出力手段は、前記第1分析情報乃至前記第3分析情報の分析情報に基づいて前記診断支援情報を出力する。
また、第3発明に係る血球計数装置は、第2発明において、前記分析情報取得手段は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記血液中の幼若網赤血球に関する第4分析情報をさらに取得し、前記診断支援情報出力手段は、前記第1分析情報乃至前記第4分析情報の分析情報に基づいて前記診断支援情報を出力する。
また、第4発明に係る血球計数装置は、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記第2分析情報は、好中球又は幼若顆粒球に関する分析情報である。
また、第5発明に係る血球計数装置は、第1乃至第4発明のいずれか一つにおいて、前記第3分析情報は、成熟血小板又は幼若血小板に関する分析情報である。
また、第6発明に係る血球計数装置は、第3発明において、前記検出部は、染色処理された血液中の血球を検出するように構成されており、前記分析情報取得手段は、前記第2分析情報として好中球の数に関する分析情報、前記第3分析情報として成熟血小板に関する分析情報をそれぞれ取得するとともに、前記検出部による検出結果に基づいて、好中球の染色度合いを示す第5分析情報、幼若顆粒球の数に関する第6分析情報、幼若血小板に関する第7分析情報をさらに取得し、前記診断支援情報出力手段は、前記第1分析情報乃至前記第7分析情報の分析情報に基づいて前記診断支援情報を出力する。
また、第7発明に係る血球計数装置は、第1乃至第6発明のいずれか一つにおいて、前記分析情報取得手段で取得した前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づく指標を、所定の基準で算出する診断支援指標算出手段をさらに備え、前記診断支援情報出力手段は、前記診断支援指標算出手段で算出した前記指標に基づいて前記診断支援情報を出力する。
また、第8発明に係る血球計数装置は、第7発明において、前記診断支援情報出力手段は、前記診断支援指標算出手段で算出した前記指標と、所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて前記診断支援情報を出力する。
また、第9発明に係る血球計数装置は、第1乃至第6発明のいずれか一つにおいて、前記分析情報取得手段で取得した前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づく指標を、所定の基準で算出する診断支援指標算出手段をさらに備え、前記診断支援情報出力手段は、前記診断支援指標算出手段で算出した前記指標を、前記診断支援情報として出力する。
また、第10発明に係る血球計数装置は、第1乃至第9発明のいずれか一つにおいて、前記検出部は、前記血液が通過するフローセルと、該フローセルを通過する血液に光を照射する光源と、該光源から光が照射された血液からの光を受光する受光部とを備える。
上記目的を達成するために第11発明に係る血球計数装置は、被験者の血液中の血球を検出する検出部と、該検出部による検出結果に基づいて、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段と、該分析情報取得手段で取得した第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段とを備える。
上記目的を達成するために第12発明に係る診断支援装置は、被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける分析情報受付手段と、該分析情報受付手段で入力を受け付けた前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段とを備える。
上記目的を達成するために第13発明に係る診断支援装置は、被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段と、該分析情報取得手段で取得した第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段とを備える。
上記目的を達成するために第14発明に係る診断支援方法は、被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける第1ステップと、該第1ステップで入力を受け付けた前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する第2ステップとを含む。
また、第15発明に係る診断支援方法は、第14発明において、前記第1ステップで入力を受け付ける前記第1分析情報、前記第2分析情報、前記第3分析情報は、全身性の炎症反応を呈している被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく。
また、第16発明に係る診断支援方法は、第14発明において、前記第1ステップで入力を受け付ける前記第1分析情報、前記第2分析情報、前記第3分析情報は、全身性炎症反応症候群と診断された被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく。
また、第17発明に係る診断支援方法は、第14乃至第16発明のいずれか一つにおいて、前記第1ステップで入力を受け付ける前記第1分析情報、前記第2分析情報、前記第3分析情報は、集中治療室の被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく。
また、上記目的を達成するために第18発明に係る診断支援方法は、被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける第1ステップと、該第1ステップで入力を受け付けた前記第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する第2ステップとを含む。
上記目的を達成するために第19発明に係るコンピュータプログラムは、被験者の予後予測を支援する診断支援装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、 前記診断支援装置を、被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける分析情報受付手段、該分析情報受付手段で入力を受け付けた前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段 として機能させる。
上記目的を達成するために第20発明に係るコンピュータプログラムは、被験者の予後予測を支援する診断支援装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、 前記診断支援装置を、被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段、該分析情報取得手段で取得した第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段として機能させる。
第1発明、第12発明、第14発明及び第19発明では、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は血液中の血小板に関する第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することが可能となり、多数の検査項目の情報を得るための作業が不要で、血球計数装置以外の装置を用いて検査する必要も生じないため、被験者の予後予測を支援するための検査に必要な手間と費用を軽減することができる。なお、血球計数装置とは、血液に希釈・溶血・染色等の処理を施し、光学的又は電気的に血球を計数する装置である。血球計数装置としては、XE−2100(シスメックス株式会社製)、LH700シリーズ(ベックマン・コールター社製)、セルダイン−4000(アボット社製)、ADVIA−2120(シーメンス社製)等が挙げられる。これらの血球計数装置は、CBC項目、白血球分類、及び網赤血球(RET)を検出するように構成されている。
第2発明では、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、血液中の顆粒球に関する第2分析情報と、血液中の血小板に関する第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することが可能となり、被験者の予後予測を支援するための検査に必要な手間と費用を軽減することができる。
第3発明では、診断支援情報出力手段が、第1分析情報と、第2分析情報と、第3分析情報と、血液中の幼若網赤血球に関する第4分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することができる。
第4発明では、第2分析情報は、好中球又は幼若顆粒球に関する分析情報であるので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することができる。
第5発明では、第3分析情報は、成熟血小板又は幼若血小板に関する分析情報であるので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することができる。
第6発明では、診断支援情報出力手段が、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報、好中球の数に関する第2分析情報、成熟血小板に関する第3分析情報、血液中の幼若網赤血球に関する第4分析情報、好中球の染色度合いを示す第5分析情報、幼若顆粒球の数に関する第6分析情報、幼若血小板に関する第7分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することができる。
第7発明では、診断支援情報出力手段は、診断支援指標算出手段で算出した指標に基づいて、診断支援情報を出力するので、複雑な処理を行うことなく、予後予測を支援でき、費用を軽減することができる。
第8発明では、診断支援情報出力手段は、診断支援指標算出手段で算出した指標と、所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて診断支援情報を出力するので、複雑な処理を行うことなく、予後予測を支援でき、費用を軽減することができる。
第9発明では、診断支援情報出力手段は、診断支援指標算出手段で算出した指標を、診断支援情報として出力するので、複雑な処理を行うことなく、予後予測を支援でき、費用を軽減することができる。
第10発明では、検出部が、血液が通過するフローセルと、フローセルを通過する血液に光を照射する光源と、光源から光が照射された血液からの光を受光する受光部とを備えるので、予後予測を支援するために必要な検出結果を、他の検出方法と比較して安価に得ることができる。
第11発明、第13発明、第18発明及び第20発明では、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することが可能となり、予後予測を支援するための検査に必要な手間と費用を軽減することができる。
第15発明では、入力を受け付ける第1分析情報、第2分析情報、第3分析情報が、全身性の炎症反応を呈している被験者の血液中の血球を検出した結果に基づくので、このような被験者に対して、検査に必要な手間と費用を軽減しつつ、血球計数装置から取得することができる分析情報に基づいて、全身性の炎症反応を呈してから早期に予後予測を支援することができる。
第16発明では、入力を受け付ける第1分析情報、第2分析情報、第3分析情報が、全身性炎症反応症候群と診断された被験者の血液中の血球を検出した結果に基づくので、このような被験者に対しても、検査に必要な手間と費用を軽減しつつ、血球計数装置から取得することができる分析情報に基づいて、全身性炎症反応症候群と診断されてから早期に予後予測を支援することができる。
第17発明では、入力を受け付ける第1分析情報、第2分析情報、第3分析情報が、集中治療室の被験者の血液中の血球を検出した結果に基づくので、このような被験者に対しても、検査に必要な手間と費用を軽減しつつ、血球計数装置から取得することができる分析情報に基づいて、集中治療室での治療を開始してから早期に予後予測を支援することができる。
上記構成によれば、本発明における血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラムは、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は血液中の血小板に関する第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することが可能となり、多数の検査項目の情報を得るための作業が不要で、血球計数装置以外の装置を用いて検出する必要も生じないため、予後予測を支援するための検査に必要な手間と費用を軽減することができる。
また、上記構成によれば、本発明における別の血球計数装置、診断支援装置及びコンピュータプログラムは、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することが可能となり、多数の検査項目の情報を得るための作業が不要で、血球計数装置以外の装置を用いて検出する必要も生じないため、予後予測を支援するための検査に必要な手間と費用を軽減することができる。
本発明の実施の形態に係る血球計数装置の概略構成を示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置の検出ユニットの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置の検出部の構成を模式的に示す概略平面図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置のデータ処理ユニットの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置のデータ処理ユニットのデータ処理部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置で作成したNRBCスキャッタグラムを示した図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置で作成したDIFFスキャッタグラムを示した図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置で作成したWBC/BASOスキャッタグラムを示した図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置で作成したRETスキャッタグラムを示した図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置で作成したRETスキャッタグラムの一部を拡大した部分を示した図である。 ROC曲線を示した図である。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置のデータ処理ユニットのデータ処理部のCPUの指標(ICPS)を算出する手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る血球計数装置のデータ処理ユニットのデータ処理部のCPUの指標(ICPS)を算出する手順を示すフローチャートである。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた有核赤血球の数(NRBC#)の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 図15で示した図の縦軸を有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値に変換した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた幼若顆粒球の数(IG#)の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+Neut#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。 複数のSIRS患者の血液を血球計数装置で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。
以下、本発明の実施の形態における血球計数装置、診断支援装置、診断支援方法及びコンピュータプログラムについて、図面を用いて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
図1は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置の概略構成を示す正面図である。図1に示すように、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1は、所定の疾患状態(例えば、SIRSなどの重篤な疾患状態)になった後の被験者(患者)の血液中の血球を検出し、被験者の予後予測を支援する装置であり、主として検出ユニット2及びデータ処理ユニット3により構成されている。検出ユニット2は、被験者の血液中の血球を検出する。データ処理ユニット3は、検出ユニット2で検出した結果を含むデータを受信して分析処理を行う。血球計数装置1は、例えば、病院、病理検査施設等の医療機関の施設内に設置してある。検出ユニット2とデータ処理ユニット3とは、互いにデータ通信することが可能であるように、伝送ケーブル3aによって接続してある。なお、伝送ケーブル3aで検出ユニット2とデータ処理ユニット3とを直接接続する構成に限定されるものではなく、例えば電話回線を使用した専用回線、LAN、インターネット等の通信ネットワークを介して検出ユニット2とデータ処理ユニット3とを接続してもよい。
検出ユニット2の正面の右下部分には、被験者の血液を収容した採血管をセットすることが可能な採血管セット部2aが設けてある。採血管セット部2aは、その近傍に設けてあるボタンスイッチ2bを操作者が押すことにより操作者側へ迫り出して、採血管をセットすることが可能な状態となる。採血管セット部2aは、採血管をセットした後、操作者が再度ボタンスイッチ2bを押すことで、検出ユニット2側へ移動して収納される。
図2は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1の検出ユニット2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、検出ユニット2は、従来の血球計数装置の本体部と同様の構成を備えており、試料供給部4と、検出部5と、制御部8と、通信部9とを備えている。試料供給部4は、チャンバ、複数の電磁弁、ダイヤフラムポンプ等を備えた流体ユニットであり、検出ユニット2にセットされた被験者の血液と試薬とを混合した検出試料を検出部5に供給する。制御部8は、検出ユニット2の各種構成要素の動作制御を行う。通信部9は、例えばRS−232Cインタフェース、USBインタフェース、Ethernet(登録商標)インタフェースであり、データ処理ユニット3との間でデータの送受信を行う。
図3は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1の検出部5の構成を模式的に示す概略平面図である。図3に示すように、検出部5は、光学式のフローサイトメータであり、半導体レーザによるフローサイトメトリー法により血液中の有核赤血球(NRBC)、網赤血球(RET)、成熟赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板(PLT)等を検出する。なお、本明細書においては、「赤血球」を、「有核赤血球(NRBC)」、「網赤血球(RET)」及び「成熟赤血球(RBC)」の全てを含む概念で用いる。また、「血小板」を、「成熟血小板」及び「幼若血小板」を含む概念で用いる。検出部5は、検出試料の液流を形成するフローセル51を備えている。フローセル51は、透光性を有する石英、ガラス、合成樹脂等の材料によって管状に構成されており、その内部が検出試料及びシース液が通流する流路となっている。検出部5では、フローセル51へ向けてレーザ光を出射するように半導体レーザ光源52を配置してある。半導体レーザ光源52とフローセル51との間には、複数のレンズからなる照射レンズ系53を配置してある。照射レンズ系53によって、半導体レーザ光源52から出射された平行ビームがビームスポットに集光される。また、半導体レーザ光源52から直線的に延びた光軸上に、フローセル51を挟んで照射レンズ系53と対向するようにフォトダイオード54を設け、半導体レーザ光源52からの直接光を遮光するようにビームストッパ54aを配置してある。
フローセル51に検出試料が通流すると、レーザ光により散乱光及び蛍光の光が発生する。発生した光のうち、レーザ光の照射方向(前方)の光がフォトダイオード54で光電変換される。半導体レーザ光源52から直線的に延びた光軸に沿って進行する光のうち、半導体レーザ光源52からの直接光はビームストッパ54aによって遮光され、フォトダイオード54には概ね光軸方向に沿って進行する散乱光(以下、前方散乱光という)のみが入射する。フローセル51を通流する検出試料から発せられた前方散乱光は、フォトダイオード54で光電変換され、光電変換された電気信号(以下、前方散乱光信号という)がアンプ54bによって増幅され、制御部8に出力される。前方散乱光信号は、血球の大きさを反映している。
また、フローセル51の側方であって、半導体レーザ光源52からフォトダイオード54へ直線的に延びる光軸に対して交差する方向に、側方集光レンズ55を配置してあり、側方集光レンズ55は、フローセル51を通流する検出試料にレーザ光を照射したときに発生する側方光(光軸に対して交差する方向へ出射される光)を集光する。側方集光レンズ55の下流側にはダイクロイックミラー56を配置してあり、側方集光レンズ55で集光した光は、ダイクロイックミラー56で散乱光成分と蛍光成分とに分けられる。ダイクロイックミラー56で反射する光軸方向(側方集光レンズ55とダイクロイックミラー56とを結ぶ光軸方向に交差する方向)には、側方散乱光受光用のフォトダイオード57が配置してあり、ダイクロイックミラー56を透過する光軸方向には、側方蛍光受光用の光学フィルタ58a及びフォトダイオード58を配置してある。
ダイクロイックミラー56で反射された光は、側方散乱光であり、フォトダイオード57で光電変換され、光電変換された電気信号(以下、側方散乱光信号という)がアンプ57aによって増幅され、制御部8に出力される。側方散乱光信号は、血球の内部情報(核の大きさ等)を反映している。また、ダイクロイックミラー56を透過した光は、側方蛍光であり、光学フィルタ58aによって波長選択された後、フォトダイオード58で光電変換され、光電変換された電気信号(以下、側方蛍光信号という)がアンプ58bによって増幅され、制御部8に出力される。側方蛍光信号は、血球の染色度合いを示す情報を反映している。
図4は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1のデータ処理ユニット3の構成を示すブロック図である。図4に示すように、データ処理ユニット3は、少なくとも、CPU(中央演算装置)等で構成されるデータ処理部31、画像表示部32、入力部33で構成されている。データ処理部31は、CPU31a、メモリ31b、ハードディスク31c、読出装置31d、入出力インタフェース31e、画像出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、内部バス31hで構成されている。データ処理部31は、CPU31aと、メモリ31b、ハードディスク31c、読出装置31d、入出力インタフェース31e、画像出力インタフェース31f、通信インタフェース31gのそれぞれとは、内部バス31hを介して接続されている。
CPU31aは、上記したハードウェア各部の動作を制御するとともに、ハードディスク31cに記憶されているコンピュータプログラム34に従って、検出ユニット2から受信したデータの処理を行う。
メモリ31bは、SRAM、フラッシュメモリ等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム34の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム34の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
ハードディスク31cは、内蔵される固定型記憶装置等で構成されている。ハードディスク31cに記憶されているコンピュータプログラム34は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体35から、可搬型ディスクドライブである読出装置31dによりダウンロードされ、実行時にはハードディスク31cからメモリ31bへ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース31gを介して外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。ハードディスク31cには、被験者の予後予測を支援する診断支援情報として、例えば重症度が極めて高く、死亡に至る確率が高いことを示すメッセージと、重症度が中程度であり、死亡に至る確率が低いことを示すメッセージとが記憶されている。また、分析情報をスコア化するときに用いられる分析情報ごとのスコア用閾値(後に説明する)、被験者の予後予測を行うための判別用閾値(後に説明する)も記憶されている。
入出力インタフェース31eは、キーボード、タブレット等で構成される入力部33と接続されている。画像出力インタフェース31fは、CRTモニタ、LCD等の画像表示部32と接続されている。
通信インタフェース31gは内部バス31hに接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、外部のコンピュータ、検出ユニット2等とデータ送受信を行うことが可能となっている。例えば上記したハードディスク31cは、データ処理ユニット3に内蔵される構成に限定されるものではなく、通信インタフェース31gを介して接続されている外部のストレージ等の外部記録媒体であっても良い。
以下、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1の動作について説明する。まず、血球計数装置1の試料供給部4は、採血管セット部2aにセットされた採血管から血液を吸引し、吸引した血液を4つのアリコートに分割し、所定の専用試薬を添加することにより、NRBC検出試料、RET検出試料、DIFF検出試料、及びWBC/BASO検出試料を調製する。なお、NRBC検出試料は、血液を希釈処理し、さらに有核赤血球検出用の専用試薬を用いて染色処理することによって調製される。RET検出試料は、血液を希釈処理し、さらに網状赤血球検出用の専用試薬を用いて染色処理することによって調製される。DIFF検出試料は、血液を希釈処理し、白血球分類用の専用試薬を用いて溶血処理し、さらにDIFF検出用の専用試薬を用いて染色処理することによって調製される。WBC/BASO検出試料は、血液を希釈処理し、さらに白血球検出用の専用試薬を用いて溶血処理することによって調製される。試料供給部4は、調製された検出試料を、検出部5のフローセル51に供給する。
図5は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1のデータ処理ユニット3のデータ処理部31のCPU31aの処理手順を示すフローチャートである。まず、フローセル51に検出試料が供給されると、CPU31aは、通信インタフェース31gを介して、検出ユニット2の検出部5から出力された前方散乱光信号、側方散乱光信号、側方蛍光信号のデータをそれぞれ受信し、メモリ31bに記憶する(ステップS51)。CPU31aは、メモリ31bに記憶した検出部5で検出した前方散乱光信号、側方散乱光信号、側方蛍光信号のデータから複数のスキャッタグラムを作成する(ステップS52)。具体的には、CPU31aはステップS52において、NRBC検出試料について、前方散乱光信号をY軸方向、側方蛍光信号をX軸方向としたNRBCスキャッタグラム、RET検出試料について、前方散乱光信号をY軸方向、側方蛍光信号をX軸方向としたRETスキャッタグラム、DIFF検出試料について、側方蛍光信号をY軸方向、側方散乱光信号をX軸方向としたDIFFスキャッタグラム、WBC/BASO検出試料について、前方散乱光信号をY軸方向、側方散乱光信号をX軸方向としたWBC/BASOスキャッタグラムを作成する。
次に、CPU31aは、NRBCスキャッタグラムを用いて、有核赤血球の数(NRBC#)を算出し(ステップS53)、血液中の有核赤血球(NRBC)に関する分析情報として取得する。図6は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1で作成したNRBCスキャッタグラムを示した図である。図6に示すように、NRBCスキャッタグラムは、血球を、有核赤血球(NRBC)領域60、白血球(WBC)領域61、赤血球ゴースト領域62の三つの領域に分類する。有核赤血球(NRBC)領域60に含まれる赤血球の個数を数えることで有核赤血球の数(NRBC#)を算出することができる。
次に、CPU31aは、DIFFスキャッタグラム及びWBC/BASOスキャッタグラムを用いて、好中球の数(Neut#)を算出し(ステップS54)、顆粒球に関する分析情報として取得する。なお、本明細書においては、「顆粒球」を「成熟顆粒球」及び「幼若顆粒球」の両方を含む概念で用いる。「成熟顆粒球」には、好中球(Neut)、好酸球(EO)、好塩基球(BASO)が含まれる。図7は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1で作成したDIFFスキャッタグラムを示した図である。図8は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1で作成したWBC/BASOスキャッタグラムを示した図である。図7に示すように、DIFFスキャッタグラムは、白血球(WBC)を、単球(MONO)領域71、リンパ球(LYMPH)領域72、好中球(Neut)+好塩基球(BASO)領域73、好酸球(EO)領域74、及び幼若顆粒球(IG)領域75の五つの領域に分類する。そのため、DIFFスキャッタグラムから、好中球(Neut)+好塩基球(BASO)領域73の白血球(WBC)の個数を数えることで、好中球(Neut)の数と好塩基球(BASO)の数との和を算出することができる。
好中球(Neut)の数と好塩基球(BASO)の数との和から好中球の数(Neut#)を算出するために、WBC/BASOスキャッタグラムを用いて好塩基球(BASO)の数を求める。図8に示すように、WBC/BASOスキャッタグラムは、白血球(WBC)を、単球(MONO)+リンパ球(LYMPH)+好中球(Neut)+好酸球(EO)領域81と、好塩基球(BASO)領域82との二つの領域に分類する。そのため、WBC/BASOスキャッタグラムから、好塩基球(BASO)領域82の白血球(WBC)の個数を数えることで、好塩基球(BASO)の数を算出することができる。DIFFスキャッタグラムから算出した好中球(Neut)の数と好塩基球(BASO)の数との和から、WBC/BASOスキャッタグラムから算出した好塩基球(BASO)の数を減算することで、好中球の数(Neut#)を算出することができる。
次に、CPU31aは、DIFFスキャッタグラムを用いて、好中球の染色度合いを示す値(Neut−Y)を算出し(ステップS55)、顆粒球に関する分析情報として取得する。具体的には、DIFFスキャッタグラムから、好中球(Neut)+好塩基球(BASO)領域73に含まれる全ての血球(すなわち好中球(Neut)及び好塩基球(BASO))の側方蛍光強度の平均値を算出することで、好中球の染色度合いを示す値(Neut−Y)を算出することができる。なお、算出した好中球の染色度合いを示す値(Neut−Y)には、好塩基球(BASO)の側方散乱光強度の影響が含まれるが、好塩基球(BASO)の数が少なく影響は小さい。
次に、CPU31aは、DIFFスキャッタグラムを用いて、幼若顆粒球の数(IG#)を算出し(ステップS56)、顆粒球に関する分析情報として取得する。具体的には、DIFFスキャッタグラムから、幼若顆粒球(IG)領域75の白血球(WBC)の個数を数えることで、幼若顆粒球の数(IG#)を算出することができる。
次に、CPU31aは、RETスキャッタグラムを用いて、成熟血小板の数(PLT#)を算出し(ステップS57)、血液中の血小板に関する分析情報として取得する。図9は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1で作成したRETスキャッタグラムを示した図である。図9に示すように、RETスキャッタグラムは、血液を、成熟赤血球(RBC)領域90、血小板(PLT)領域91、網赤血球(RET)領域92の三つの領域に分類する。そして、RETスキャッタグラムから、血小板(PLT)領域91の血小板の個数を数えることで、成熟血小板の数(PLT#)を算出することができる。
次に、CPU31aは、RETスキャッタグラムを用いて、幼若網赤血球の数(IRF#)を算出し(ステップS58)、血液中の幼若網赤血球に関する分析情報として取得する。具体的には、網赤血球(RET)領域92を側方蛍光強度により、低蛍光強度領域LFR、中蛍光強度領域MFR、高蛍光強度領域HFRの三つの領域に分け、中蛍光強度領域MFRに含まれる網赤血球の個数及び高蛍光強度領域HFRに含まれる網赤血球の個数を数え、それらを合算することで、幼若網赤血球の数(IRF#)を算出することができる。
次に、CPU31aは、RETスキャッタグラムを用いて、血小板(PLT)領域91において、核酸染色蛍光色素と良く反応する大型で側方蛍光強度の高い領域(IPF分画領域)に出現する幼若血小板の数(IPF#)を算出し(ステップS59)、血液中の幼若血小板に関する分析情報として取得する。図10は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1で作成したRETスキャッタグラムの一部を拡大した部分を示した図である。図10に示すように、血小板(PLT)領域91は、IPF分画領域91aとそれ以外の領域に分けることができる。そのため、RETスキャッタグラムから、IPF分画領域91aの血小板の個数を数えることで、幼若血小板の数(IPF#)を算出することができる。なお、ステップS57で算出した成熟血小板の数(PLT#)には、幼若血小板の数(IPF#)も含まれているが、幼若血小板の数は成熟血小板の数と比較して十分小さいため、本実施形態では、血小板(PLT)領域91の血小板の数を成熟血小板の数(PLT#)としている。もちろん、血小板(PLT)領域91の血小板の数から幼若血小板の数(IPF#)を減算して得られた数値を、成熟血小板の数(PLT#)としてもよい。
次に、CPU31aは、ステップS53乃至ステップS59において算出して取得した複数の分析情報(NRBC#、Neut#、Neut−Y、IG#、PLT#、IRF#、IPF#)から、分析情報(Neut#、Neut−Y、IG#、NRBC#_IRF#、PLT#_IPF#)ごとに、所定の基準でスコア値を設定し、設定したスコア値を合算して指標を算出する(ステップS60)。ここで、分析情報(NRBC#_IRF#)は、有核赤血球の数(NRBC#)と幼若網赤血球の数(IRF#)とに基づく分析情報で、分析情報(PLT#_IPF#)は、成熟血小板の数(PLT#)と幼若血小板の数(IPF#)とに基づく分析情報である。なお、ステップS60で算出する指標は、以下、指標(ICPS:Intensive Care Prognostic Score)と呼ぶ。分析情報ごとに設定したスコア値は、ステップS53乃至ステップS59で取得した分析情報と、ハードディスク31cに予め分析情報ごとに記憶されているスコア用閾値とを比較することにより設定される。
ここで、スコア用閾値の決め方について説明する。スコア用閾値は、例えば以下の方法により血球計数装置1の開発者等によって予め決定され、ハードディスク31cに記憶されている。本発明の実施の形態では、ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線によるROC分析を用いている。一般的にROC分析は、スクリーニング検査等の精度の評価や従来の検査と新しい検査との比較に用いられている。ROC曲線は、縦軸を感度(%)、横軸を100−特異度(%)とする平面図上に示される。なお、感度(%)とは、所定の疾患で死亡に至った被験者の数に対する、重症度が極めて高く、死亡に至る確率が高いと予測された被験者の数の割合である。特異度(%)とは、所定の疾患で死亡に至らなかった被験者の数に対する、重症度が中程度であり、死亡に至る確率が低いと予測された被験者の数の割合である。
ROC曲線は、血球計数装置1の開発者等により、以下のように生成される。例えば幼若顆粒球の数(IG#)を分析情報として用いた場合、開発者等は、ある閾値を設定し、該閾値と、被験者の幼若顆粒球の数(IG#)とに基づいて被験者の予後予測を行う。当該予後予測は、複数の被験者について実行される。そして、開発者等は、複数の被験者の予後予測を行った結果から、感度(%)及び特異度(%)を算出する。さらに、開発者等は、前述の縦軸を感度(%)、横軸を100−特異度(%)とする平面図上において、算出した感度(%)及び特異度(%)に対応する位置に、マーク(点)を付す。すなわち、当該マーク(点)は、設定された閾値における感度(%)及び特異度(%)に対応する。開発者等は、順次閾値を変化させながら、上記の判別、算出、及びマーキングを繰り返す。そして、開発者等は、上記平面図上に付された複数のマーク(点)を近似する曲線を描く。当該曲線がROC曲線である。
図11は、ROC曲線を示した図である。図11に示す平面図は、縦軸が感度、横軸が100−特異度で、曲線111が幼若顆粒球の数(IG#)のROC曲線である。曲線111において、座標(0,100)から曲線111までの距離lが最短となる点111aが、感度と特異度のバランスが最適となる点である。そして、点111aをマーキングしたときに設定された閾値がベストカットオフ値である。また、曲線111と軸とで囲む面積のうち、座標(100,0)側の面積が幼若顆粒球の数(IG#)のAUC(Area Under the Curve)111bである。
スコア用閾値の決め方の説明に戻る。まず開発者等は、ROC曲線に基づきベストカットオフ値を取得し、当該ベストカットオフ値を第1のスコア用閾値として決める。次に開発者等は、ROC曲線に基づき特異度が85%となる点について設定された閾値を、第2のスコア用閾値として決める。さらに開発者等は、ROC曲線に基づき特異度が95%となる点について設定された閾値を、第3のスコア用閾値として決める。例えば、幼若顆粒球の数(IG#)の第1乃至第3のスコア用閾値は、それぞれ、150個/μl、500個/μl、1000個/μlとなる。好中球の数(Neut#)の第1乃至第3のスコア用閾値は、それぞれ、11000個/μl、15000個/μl、22000個/μlとなる。好中球の染色度合いを示す値(Neut−Y)の第1乃至第3のスコア用閾値は、それぞれ、480、500、550となる。血小板の数(PLT#)の第1乃至第3のスコア用閾値は、それぞれ、150×103 個/μl、100×103 個/μl、50×103 個/μlとなる。NRBC#_IRF#、PLT#_IPF#についても、血球計数装置1の開発者等により、同様の方法でスコア用閾値が決定され、ハードディスク31cに記憶されている。
ハードディスク31cに予め記憶されている前述のスコア用閾値を用いて、CPU31aが分析情報ごとにスコア値を設定し、設定したスコア値を合算して指標(ICPS)を算出する処理を以下に説明する。図12及び図13は、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1のデータ処理ユニット3のデータ処理部31のCPU31aによる指標(ICPS)を算出する手順を示すフローチャートである。CPU31aは、図5のステップS53乃至ステップS59で算出して取得した複数の分析情報から順次スコア化する分析情報を選択する(ステップS121)。CPU31aは、ステップS121で選択した分析情報が好中球の数(Neut#)、好中球の染色度合いを示す値(Neut−Y)、幼若顆粒球の数(IG#)のいずれかであるか否かを判断する(ステップS122)。CPU31aが、ステップS121で選択した分析情報が好中球の数(Neut#)、好中球の染色度合いを示す値(Neut−Y)、幼若顆粒球の数(IG#)のいずれかであると判断した場合(ステップS122:YES)、CPU31aは、処理を図13のステップS131に進める。例えば、ステップS121で選択した分析情報が好中球の数(Neut#)である場合について説明する。CPU31aは、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が、第1のスコア用閾値以上か否かを判断する(ステップS131)。CPU31aが、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が第1のスコア用閾値未満であると判断した場合(ステップS131:NO)、CPU31aは、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)に対してスコア値を‘0(ゼロ)’に設定する(ステップS132)。
CPU31aが、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が第1のスコア用閾値以上であると判断した場合(ステップS131:YES)、CPU31aは、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が、第2のスコア用閾値以上か否かを判断する(ステップS133)。CPU31aが、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が第2のスコア用閾値未満であると判断した場合(ステップS133:NO)、CPU31aは、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)に対してスコア値を‘1’に設定する(ステップS134)。
CPU31aが、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が第2のスコア用閾値以上であると判断した場合(ステップS133:YES)、CPU31aは、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が、第3のスコア用閾値以上か否かを判断する(ステップS135)。CPU31aが、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が第3のスコア用閾値未満であると判断した場合(ステップS135:NO)、CPU31aは、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)に対してスコア値を‘2’に設定する(ステップS136)。CPU31aが、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)が第3のスコア用閾値以上であると判断した場合(ステップS135:YES)、CPU31aは、ステップS54において算出した好中球の数(Neut#)に対してスコア値を‘4’に設定する(ステップS137)。そして、CPU31aは、処理を図12のステップS125に進める。
CPU31aが、ステップS121で選択した分析情報は、好中球の数(Neut#)、好中球の染色度合いを示す値(Neut−Y)、幼若顆粒球の数(IG#)のどれでもないと判断した場合(ステップS122:NO)、CPU31aは、ステップS121で選択した分析情報が、NRBC#_IRF#であるか否かを判断する(ステップS123)。CPU31aが、ステップS121で選択した分析情報がNRBC#_IRF#であると判断した場合(ステップS123:YES)、CPU31aは、処理をステップS127に進める。
ステップS127では、まず、有核赤血球の数(NRBC#)をスコア化する。ハードディスク31cには、上記の第1及び第2のスコア用閾値が記憶されており、さらに、第3のスコア用閾値として特異度が90%となる点について設定された閾値が記憶されており、第4のスコア用閾値として特異度が95%となる点について設定された閾値が記憶されている。そして、CPU31aは、上記のステップS131乃至S137と同様の方法で有核赤血球の数(NRBC#)をスコア化する。このとき、有核赤血球の数(NRBC#)が第3のスコア用閾値以上であり、第4のスコア用閾値未満である場合には、スコア値が‘3’に設定され、第4のスコア用閾値以上である場合には、スコア値が‘4’に設定される。ハードディスク31cには、さらに、IRF#に関するスコア用閾値として15個/μlおよび50個/μlの2つの閾値が記憶されている。そして、ステップS58で取得されたIRF#の値が15個/μl未満、又は50個/μl以上の場合には、有核赤血球の数(NRBC#)について設定されたスコア値に‘2’が加算される。このようにして求められたスコア値が、NRBC#_IRF#のスコア値として設定される。そして、CPU31aは、処理をステップS125に進める。
CPU31aが、ステップS121で選択した分析情報はNRBC#_IRF#ではないと判断した場合(ステップS123:NO)、CPU31aは、ステップS121で選択した分析情報が、PLT#_IPF#であるか否かを判断する(ステップS124)。CPU31aが、ステップS121で選択した分析情報が、PLT#_IPF#ではないと判断した場合(ステップS124:NO)、CPU31aは、処理をステップS125に進める。CPU31aが、ステップS121で選択した分析情報が、PLT#_IPF#であると判断した場合(ステップS124:YES)、CPU31aは、処理をステップS128に進める。
ハードディスク31cには、血小板の数(PLT#)についてのスコア用閾値として、50×103 個/μl,100×103 個/μl,150×103 個/μlが記憶されており、幼若血小板の数(IPF#)についてのスコア用閾値として5000個/μlが記憶されている。これらのスコア用閾値は、過去の統計データに基づいて設定される。ステップS128では、CPU31aは、これらのスコア用閾値に基づいてPLT#_IPF#のスコア値を設定する。具体的には、血小板の数(PLT#)が150×103 個/μl以上の場合には、スコア値が‘0’に設定される。血小板の数(PLT#)が100×103 個/μl以上150×103 個/μl未満、かつ、幼若血小板の数(IPF#)が5000個/μl未満の場合には、スコア値が‘1’に設定される。また、血小板の数(PLT#)が50×103 個/μl以上100×103 個/μl未満、かつ、幼若血小板の数(IPF#)が5000個/μl以上である場合にも、スコア値が‘1’に設定される。血小板の数(PLT#)が50×103 個/μl未満、かつ、幼若血小板の数(IPF#)が5000個/μl以上である場合には、スコア値が‘2’に設定される。血小板の数(PLT#)が50×103 個/μl以上100×103 個/μl未満、かつ、幼若血小板の数(IPF#)が5000個/μl未満の場合には、スコア値が‘3’に設定される。血小板の数(PLT#)が50×103 個/μl未満、かつ、幼若血小板の数(IPF#)が5000個/μl未満の場合には、スコア値が‘4’に設定される。
CPU31aは、分析情報の中で、まだスコア化していない分析情報があるか否かを判断する(ステップS125)。CPU31aが、分析情報の中で、まだスコア化していない分析情報があると判断した場合(ステップS125:YES)、CPU31aは、処理をステップS121に戻す。CPU31aが、分析情報のすべてをスコア化したと判断した場合(ステップS125:NO)、CPU31aは、分析情報ごとに設定したスコア値を合算して指標(ICPS)を算出する(ステップS126)。なお、指標(ICPS)を算出するために分析情報ごとに設定したスコア値を合算する方法は、分析情報ごとに設定したスコア値を単純に合算する方法に限定されるものではなく、分析情報ごとに設定したスコア値を所定の指標(ICPS)算出式に当てはめる方法を用いれば良く、例えば、分析情報ごとに設定したスコア値に適宜重み付けをして合算する方法であっても良い。
図5に戻って、CPU31aは、ステップS60で算出した指標(ICPS)に基づいて被験者の予後予測を行う(ステップS61)。CPU31aは、指標(ICPS)に基づく被験者の予後予測として、指標(ICPS)とハードディスク31cに記憶してある判別用閾値とを比較し、指標(ICPS)が判別用閾値以上であれば、重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いと判別し、指標(ICPS)が判別用閾値未満であれば、重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いと判別する。
ここで、ステップS60で算出した指標(ICPS)に基づく被験者の予後予測として、重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかの判別を行うことが可能であること、及び指標(ICPS)と比較する判別用閾値の決め方について、以下に説明する。なお、判別用閾値は、血球計数装置1の開発者等により予め決定され、ハードディスク31cに記憶されている。また、以下に説明する指標(ICPS)では、指標(ICPS(***+***))の「***」に記載されている分析情報のそれぞれを上記の方法でスコア化し、スコア化した値を合算して算出しているものとする。
図14は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図14では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#_IRF#、PLT#_IPF#、Neut#、Neut−Y、IG#のそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))を縦軸としている。折れ線141は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))の平均値を、折れ線142は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線141、142に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))の最高値と最低値とを表している。
折れ線141は、指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))が‘5’より大きくなることはほとんどなく、折れ線142は、指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))が‘5’以下になることはほとんどないため、‘5’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。つまり、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1を用いて、指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))を算出し、算出した指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))が‘5’以上であれば、重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いと予測することができる。逆に、指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))が‘5’未満であれば、重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いと予測することができる。
CPU31aによる診断支援情報出力処理の説明に戻る(図5参照)。CPU31aは、ステップS61での比較結果に基づき、ハードディスク31cから診断支援情報を読み出し、画像出力インタフェース31fを介して画像表示部32に、通信インタフェース31gを介して他のコンピュータ、プリンタ等に出力する(ステップS62)。具体的に、ステップS62において、ステップS61で被験者の予後予測を行った結果が、重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いとの判別(すなわち、指標(ICPS)が判別用閾値以上である)であれば、ハードディスク31cから、重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いことを示すメッセージを読み出し、診断支援情報として出力する。また、ステップS62において、ステップS61で被験者の予後予測を行った結果が、重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いとの判別(すなわち、指標(ICPS)が判別用閾値未満である)であれば、ハードディスク31cから、重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いことを示すメッセージを読み出し、診断支援情報として出力する。
ここで、比較例として、指標(ICPS)を算出するための分析情報として、有核赤血球の数又は幼若顆粒球の数を単独で用いた場合の予後予測の可否について説明する。
図15は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた有核赤血球の数(NRBC#)の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図15では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、有核赤血球の数(NRBC#)の計数値を縦軸としている。折れ線151は、死亡に至らなかったSIRS患者群における有核赤血球の数(NRBC#)の平均値を、折れ線152は、死亡に至ったSIRS患者群における有核赤血球の数(NRBC#)の平均値をそれぞれ示している。なお、折れ線151、152に示すエラーバーは、それぞれの有核赤血球の数(NRBC#)の計数値の最高値と最低値とを表している。
図15に示すように、SIRSであると診断された日から25日目までは、折れ線151と折れ線152とをある閾値で分けることはできないため、有核赤血球の数(NRBC#)計数値を単独で用いて重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかの判別を行うことができない。一方、図14と図15とを比較すると、本発明の実施の形態に係る指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#+Neut#+Neut−Y+IG#))を用いた場合には、有核赤血球の数(NRBC#)を単独で用いた場合と比較して早期に予後予測を支援することが可能であることが分かる。
図16は、図15で示した図の縦軸を有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値に変換した図である。スコア値への変換には、ステップS127における有核赤血球の数(NRBC#)のスコア化と同じ方法を用いた。図16では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値を縦軸としている。折れ線161は、死亡に至らなかったSIRS患者群における有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値の平均値を、折れ線162は、死亡に至ったSIRS患者群における有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値の平均値をそれぞれ示している。なお、折れ線161、162に示すエラーバーは、それぞれの有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値の最高値と最低値とを表している。
図16に示すように、SIRSであると診断された日から5日目までは、折れ線161と折れ線162とが非常に近い位置にあり、ある閾値で分けることはできないため、有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値を単独で用いて、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかの判別を行うことができない。一方、図14と図16とを比較すると、本発明の実施の形態に係る指標(ICPS(NRBC#+Neut#))を用いて重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかの判別を行う場合は、有核赤血球の数(NRBC#)のスコア値を単独で用いた場合と比較して早期に予後予測を支援することが可能であることが分かる。
図17は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた幼若顆粒球の数(IG#)の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図17では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、幼若顆粒球の数(IG#)のスコア値を縦軸としている。折れ線171は、死亡に至らなかったSIRS患者群における幼若顆粒球の数(IG#)のスコア値の平均値を、折れ線172は、死亡に至ったSIRS患者群における幼若顆粒球の数(IG#)のスコア値の平均値をそれぞれ示している。なお、折れ線171、172に示すエラーバーは、それぞれの幼若顆粒球の数(IG#)のスコア値の最高値と最低値とを表している。
図17に示すように、折れ線171と折れ線172とは重なってしまっており、幼若顆粒球の数(IG#)のスコア値を単独で用いて、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかの判別を行うことはできない。
なお、上記の実施形態では、指標(ICPS)の算出には上記した全ての分析情報(Neut#、Neut−Y、IG#、NRBC#_IRF#、PLT#_IPF#)を用いているが、これら全てを用いる必要はなく、これらの分析情報から所定の2つ以上の分析情報を選択し、スコア化し、得られた複数のスコア値を合算してもよい。また、NRBC#_IRF#をスコア化するのではなく、有核赤血球の数(NRBC#)をスコア化してもよい。この場合、有核赤血球の数(NRBC#)は、上記の第1乃至第3のスコア用閾値を用い、ステップS131乃至S137と同様の方法によりスコア化してもよい。さらに、PLT#_IPF#をスコア化するのではなく、血小板の数(PLT#)をスコア化してもよい。この場合も、血小板の数(PLT#)は、上記の第1乃至第3のスコア用閾値を用い、ステップS131乃至S137と同様の方法によりスコア化してもよい。
以下に、指標(ICPS)の算出に用いる分析情報の組み合わせが変更可能であることについて説明する。
図18は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+Neut#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図18では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#、Neut#のそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#+Neut#))を縦軸としている。折れ線181は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+Neut#))の平均値を、折れ線182は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+Neut#))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線181、182に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#+Neut#))の最高値と最低値とを表している。
折れ線181は、指標(ICPS(NRBC#+Neut#))が‘2’より大きくなることはほとんどなく、折れ線182は、指標(ICPS(NRBC#+Neut#))が‘2’以下になることはほとんどないため、‘2’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。
図19は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図19では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#、Neut−Yのそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))を縦軸としている。折れ線191は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))の平均値を、折れ線192は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線191、192に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))の最高値と最低値とを表している。
折れ線191は、指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))が‘2’より大きくなることはほとんどなく、折れ線192は、指標(ICPS(NRBC#+Neut−Y))が‘2’以下になることはほとんどないため、‘2’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。
また、図20は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図20では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#、PLT#_IPF#のそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))を縦軸としている。折れ線201は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))の平均値を、折れ線202は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線201、202に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))の最高値と最低値とを表している。
折れ線201は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))が‘2’より大きくなることはほとんどなく、折れ線202は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#_IPF#))が‘2’以下になることはほとんどないため、‘2’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。
また、図21は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。
図21では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#_IRF#、PLT#_IPF#のそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))を縦軸としている。折れ線211は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))の平均値を、折れ線212は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線211、212に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))の最高値と最低値とを表している。
折れ線211は、指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))が‘3’より大きくなることはほとんどなく、折れ線212は、指標(ICPS(NRBC#_IRF#+PLT#_IPF#))が‘3’以下になることはほとんどないため、‘3’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。
また、図22は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図22では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#、PLT#、IG#のそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))を縦軸としている。折れ線221は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))の平均値を、折れ線222は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線221、222に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))の最高値と最低値とを表している。
折れ線221は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))が‘3’より大きくなることはほとんどなく、折れ線222は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#+IG#))が‘3’以下になることはほとんどないため、‘3’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。
また、図23は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図23では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#、PLT#、Neut#のそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))を縦軸としている。折れ線231は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))の平均値を、折れ線232は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線231、232に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))の最高値と最低値とを表している。
折れ線231は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))が‘3’より大きくなることはほとんどなく、折れ線232は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut#))が‘3’以下になることはほとんどないため、‘3’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。
また、図24は、複数のSIRS患者の血液を血球計数装置1で測定して得られた指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))の経時変化を、死亡に至らなかったSIRS患者群及び死亡に至ったSIRS患者群に分けて示した図である。図24では、SIRSであると診断された日からの日数を横軸、NRBC#、PLT#、Neut−Yのそれぞれをスコア化して合算して算出した指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))を縦軸としている。折れ線241は、死亡に至らなかったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))の平均値を、折れ線242は、死亡に至ったSIRS患者群の指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))の平均値を、それぞれ示している。なお、折れ線241、242に示すエラーバーは、それぞれの指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))の最高値と最低値とを表している。
折れ線241は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))が‘3’より大きくなることはほとんどなく、折れ線242は、指標(ICPS(NRBC#+PLT#+Neut−Y))が‘3’以下になることはほとんどないため、‘3’を、SIRSの重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いか、SIRSの重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いかを判別する判別用閾値と決定することができる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1は、データ処理ユニット3が、検出ユニット2の検出部5で血球を検出した結果に基づき、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報(例えば、NRBC#)、血液中の顆粒球に関する第2分析情報(例えば、Neut#、Neut−Y、IG#)又は/及び血液中の血小板に関する第3分析情報(例えば、PLT#、IPF#)に基づいて指標(ICPS)を算出し、算出した指標(ICPS)に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力するので、血球計数装置1から取得することができる分析情報のみに基づいて、重篤な疾患状態になってから早期に予後予測を支援することが可能となり、多数の検査項目の情報を得るための作業が不要で、血球計数装置以外の装置を用いて検出する必要も生じないため、予後予測を支援するための検査に必要な手間と費用を軽減することができる。
また、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1は、全身性の炎症反応を呈している被験者の血液中の血球を検出した結果に基づき指標(ICPS)を算出し、算出した指標(ICPS)に基づいて被験者の予後予測を支援することが可能で、このような被験者に対して、検査に必要な手間と費用を軽減しつつ、血球計数装置1で取得した分析情報に基づいて、全身性の炎症反応を呈してから早期に予後予測を支援することができる。
さらに、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1は、全身性炎症反応症候群(SIRS)と診断された被験者の血液中の血球を検出した結果に基づき指標(ICPS)を算出し、算出した指標(ICPS)に基づいて被験者の予後予測を支援することが可能で、このような被験者に対しても、検査に必要な手間と費用を軽減しつつ、血球計数装置1で取得した分析情報に基づいて、SIRSであると診断されてから早期に予後予測を支援することができる。
またさらに、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1は、集中治療室の被験者の血液中の血球を検出した結果に基づき指標(ICPS)を算出し、算出した指標(ICPS)に基づいて被験者の予後予測を支援することが可能で、このような被験者に対しても、検査に必要な手間と費用を軽減しつつ、血球計数装置1で取得した分析情報に基づいて、集中治療室での治療を開始してから早期に予後予測を支援することができる。
なお、上記実施形態に係る血球計数装置1は、診断支援情報として、重症度が極めて高く死亡に至る確率が高いことを示すメッセージ又は重症度が中程度であり死亡に至る確率が低いことを示すメッセージを出力しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、診断支援情報として、図5のステップS60で算出した指標(ICPS)を出力しても良い。
また、上記実施の形態に係る血球計数装置1は、指標(ICPS)を算出し、算出した指標(ICPS)に基づいて予後予測を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の判別式を用いて予後予測を行ってもよい。判別式は、例えば死亡に至った患者及び死亡に至らなかった患者のそれぞれについて分析情報を取得し、取得した分析情報を多変量解析することによって作成してもよい。
また、上記実施の形態に係る血球計数装置1の検出部5は、単一のフローサイトメータを備えているが、複数のフローサイトメータを備えてもよいし、フローサイトメータに加えて、電気抵抗方式の検出器を備えてもよい。この場合、血小板については電気抵抗方式の検出器からの出力に基づいて、その分析情報(PLT#)を取得し、他の項目については上記のようにフローサイトメータからの出力に基づいて、分析情報を取得してもよい。
なお、本発明の実施の形態に係る血球計数装置1からデータ処理ユニット3を取り出し、被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、血液中の有核赤血球に関する第1分析情報(例えば、NRBC#)、血液中の顆粒球に関する第2分析情報(例えば、Neut#、Neut−Y、IG#)、血液中の血小板に関する第3分析情報(例えば、PLT#、IPF#)を受け付け、第1分析情報、第2分析情報又は/及び第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援装置としても構成することができる。
つまり、診断支援装置は、検出ユニット2を備えず、図5に示すステップS60乃至ステップS62の処理のみを行う装置として構成されている。そのため、診断支援装置は、第1分析情報、第2分析情報、第3分析情報等を受け付けることができれば、検出ユニット2に対して遠隔な場所に配置されていても、被験者の予後予測を支援することが可能となる。
1 血球計数装置
2 検出ユニット
3 データ処理ユニット
4 試料供給部
5 検出部
8 制御部
9 通信部
51 フローセル
52 半導体レーザ光源
53 照射レンズ系
54、57、58 フォトダイオード
54a ビームストッパ
54b、57a、58b アンプ
55 側方集光レンズ
56 ダイクロイックミラー
58a 光学フィルタ
31 データ処理部
31a CPU
31b メモリ
31c ハードディスク
31d 読出装置
31e 入出力インタフェース
31f 画像出力インタフェース
31g 通信インタフェース
31h 内部バス
32 画像表示部
33 入力部
34 コンピュータプログラム
35 可搬型記録媒体

Claims (20)

  1. 被験者の血液中の血球を検出する検出部と、
    該検出部による検出結果に基づいて、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段と、
    該分析情報取得手段で取得した前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段と
    を備えることを特徴とする血球計数装置。
  2. 前記分析情報取得手段は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記第1分析情報と、前記第2分析情報と、前記第3分析情報とを取得し、
    前記診断支援情報出力手段は、前記第1分析情報乃至前記第3分析情報の分析情報に基づいて前記診断支援情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の血球計数装置。
  3. 前記分析情報取得手段は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記血液中の幼若網赤血球に関する第4分析情報をさらに取得し、
    前記診断支援情報出力手段は、前記第1分析情報乃至前記第4分析情報の分析情報に基づいて前記診断支援情報を出力することを特徴とする請求項2に記載の血球計数装置。
  4. 前記第2分析情報は、好中球又は幼若顆粒球に関する分析情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の血球計数装置。
  5. 前記第3分析情報は、成熟血小板又は幼若血小板に関する分析情報であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の血球計数装置。
  6. 前記検出部は、染色処理された血液中の血球を検出するように構成されており、
    前記分析情報取得手段は、前記第2分析情報として好中球の数に関する分析情報、前記第3分析情報として成熟血小板に関する分析情報をそれぞれ取得するとともに、前記検出部による検出結果に基づいて、好中球の染色度合いを示す第5分析情報、幼若顆粒球の数に関する第6分析情報、幼若血小板に関する第7分析情報をさらに取得し、
    前記診断支援情報出力手段は、前記第1分析情報乃至前記第7分析情報の分析情報に基づいて前記診断支援情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の血球計数装置。
  7. 前記分析情報取得手段で取得した前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づく指標を、所定の基準で算出する診断支援指標算出手段をさらに備え、
    前記診断支援情報出力手段は、前記診断支援指標算出手段で算出した前記指標に基づいて前記診断支援情報を出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の血球計数装置。
  8. 前記診断支援情報出力手段は、前記診断支援指標算出手段で算出した前記指標と、所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて前記診断支援情報を出力することを特徴とする請求項7に記載の血球計数装置。
  9. 前記分析情報取得手段で取得した前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づく指標を、所定の基準で算出する診断支援指標算出手段をさらに備え、
    前記診断支援情報出力手段は、前記診断支援指標算出手段で算出した前記指標を、前記診断支援情報として出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の血球計数装置。
  10. 前記検出部は、
    前記血液が通過するフローセルと、
    該フローセルを通過する血液に光を照射する光源と、
    該光源から光が照射された血液からの光を受光する受光部と
    を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の血球計数装置。
  11. 被験者の血液中の血球を検出する検出部と、
    該検出部による検出結果に基づいて、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段と、
    該分析情報取得手段で取得した第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段と
    を備えることを特徴とする血球計数装置。
  12. 被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける分析情報受付手段と、
    該分析情報受付手段で入力を受け付けた前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段と
    を備えることを特徴とする診断支援装置。
  13. 被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段と、
    該分析情報取得手段で取得した第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段と
    を備えることを特徴とする診断支援装置。
  14. 被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける第1ステップと、
    該第1ステップで入力を受け付けた前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する第2ステップと
    を含むことを特徴とする診断支援方法。
  15. 前記第1ステップで入力を受け付ける前記第1分析情報、前記第2分析情報、前記第3分析情報は、全身性の炎症反応を呈している被験者の血液中の血球を検出した結果に基づくことを特徴とする請求項14に記載の診断支援方法。
  16. 前記第1ステップで入力を受け付ける前記第1分析情報、前記第2分析情報、前記第3分析情報は、全身性炎症反応症候群と診断された被験者の血液中の血球を検出した結果に基づくことを特徴とする請求項14に記載の診断支援方法。
  17. 前記第1ステップで入力を受け付ける前記第1分析情報、前記第2分析情報、前記第3分析情報は、集中治療室の被験者の血液中の血球を検出した結果に基づくことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の診断支援方法。
  18. 被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける第1ステップと、
    該第1ステップで入力を受け付けた前記第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する第2ステップと
    を含むことを特徴とする診断支援方法。
  19. 被験者の予後予測を支援する診断支援装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
    前記診断支援装置を、
    被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の顆粒球に関する第2分析情報又は前記血液中の血小板に関する第3分析情報との入力を受け付ける分析情報受付手段、
    該分析情報受付手段で入力を受け付けた前記第1分析情報と、前記第2分析情報又は前記第3分析情報とに基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段
    として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  20. 被験者の予後予測を支援する診断支援装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
    前記診断支援装置を、
    被験者の血液中の血球を検出した結果に基づく、前記血液中の有核赤血球に関する第1分析情報と、前記血液中の成熟血小板に関する第2分析情報と、前記血液中の幼若血小板に関する第3分析情報とを取得する分析情報取得手段、
    該分析情報取得手段で取得した第1乃至第3分析情報に基づいて被験者の予後予測を支援する診断支援情報を出力する診断支援情報出力手段
    として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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