JP2011066316A - 光センサ - Google Patents

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【課題】光を最大に効率良く利用し、高いS/N比を有した超小型で、赤外線領域の赤外線を電圧信号に変換するのに適した光センサを提供すること。
【解決手段】光センサは、半導体基板1の表面に設けられた少なくとも第1の半導体層2と、この第1の半導体層2上に設けられた光吸収層となる第3の半導体層4と、この第3の半導体層4上に設けられた第2の半導体層3と、半導体基板1の裏面に設けられた保護層5とから構成されている。半導体基板の裏面から入射した光量に応じた信号を電圧又は電流で出力し、半導体基板の裏面が粗面であり、さらに半導体基板の裏面に保護層を設けることで、半導体基板の裏面の変色を防ぎ、また、光の利用効率を向上することが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体基板の裏面から入射された光を電気信号に変換する光センサに関し、より詳細には、赤外線領域の赤外線量を電気信号に変換するのに適した光センサに関する。
近年、環境問題への関心が高まり、省エネルギー化・環境センサの観点から、赤外線センサが注目されている。人体が発する赤外線を検知する人感センサは、照明やエアコンなどに搭載され、省エネルギー化に貢献している。さらに、赤外線領域には、二酸化炭素、一酸化炭素、窒化酸素、ホルムアルデヒドなどの強い吸収があるため、赤外線領域に感度波長をもつ赤外線センサは、ガスセンサなど環境センサとしても大きく期待されている。
赤外線センサは動作原理から、熱型センサと量子型センサに分類される。熱型センサは一般に広く用いられているが、周波数応答性が低く、また静態検知が出来ないなどの課題がある。一方、量子型センサは、周波数応答性が高く静態検知も可能であるといった特長があり、人感センサやガスセンサ用途として有望である。
量子型センサとしては、半導体材料を用いたPN又はPIN接合構造の赤外線センサが挙げられる。これらの赤外線センサでは、被検出光の束密度に応じて電子とホールが生成されて電気信号となるが、信号強度は微弱な場合が多い。そのため、高感度化によって信号強度を高めることはもとより、発生する微弱な信号を確実に増幅して使用するために、S/N比を高めることが重要である。
赤外線センサのS/N比を高めるためには、入射した光利用効率の向上や発生した電子を効率よく取り出したりするためにリーク電流を抑制することが有効である。また、アバランシェ増幅現象に代表される増幅機構を利用して高感度化を図ることも試みられている。
例えば、特許文献1には、このアバランシェ増幅現象を利用した、高温下で使用する紫外線センサが提案されている。アバランシェ増幅現象を利用するためには、高電界をセンサに与える必要があり、この技術では、メサ側壁と基板とが成す角度を適切な範囲にすることによって高電界を与えた時の漏洩電流を抑制しているが、半導体層の表面側から光を入射しているため、狭い範囲から光を入射する必要があり、光の利用効率は高くならず、高感度化は十分には達成されないという問題があった。
このような課題に対し、例えば、特許文献2では、光の利用効率を向上させるために、光入射窓となる基板の裏面を粗面とし、光の前方散乱により光利用効率の向上を達成している。
特開2004−193615号公報 特開2008−066584号公報
しかしながら、基板の裏面から光を入射する場合、湿度や温度など使用環境によって基板の裏面が変色し、赤外線センサの出力が低下するなどの問題があった。基板の裏面を粗面にすることで、光が大気から赤外線センサに入射する際に生じる光反射損失は低減できるが、微弱信号を増幅する赤外線センサでは、S/N比の更なる向上が必要である。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光を最大に効率よく利用して高S/N比を実現し、高S/N比の特長を活かした超小型の光センサを提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、半導体基板と、該半導体基板の表面に形成された半導体層とを有するフォトダイオードを用いて、前記半導体基板の裏面から入射した光量に応じた信号を電圧又は電流で出力する光センサにおいて、前記半導体基板の裏面が粗面であり、かつ前記半導体基板の裏面に保護層が形成されていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記保護層の厚みが、5nm以上900nm以下であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記保護層が、酸化チタン,酸化シリコン,窒化シリコンのいずれかであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記半導体基板の裏面粗さが、5nm以上500nm以下であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記フォトダイオードが、半導体基板と、少なくとも第1の半導体層及び第2の半導体層を含んで積層された形態のPN型のフォトダイオードであることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記フォトダイオードが、半導体基板と、少なくとも第1の半導体層と、第2の半導体層及び第3の半導体層を含んで積層された形態のPIN型のフォトダイオードであることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、前記第1の半導体層と、第2の半導体層と、第3の半導体層とが化合物半導体であり、該化合物半導体が、インジウム,ガリウム,アルミニウム,アンチモン,砒素のいずれかを含むことを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1記載の光センサの感度波長が、1μm以上15μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、半導体基板の表面に少なくとも第1の半導体層と、第2の半導体層を含む積層されたPNフォトダイオード、さらに第3の半導体層を含んだPINフォトダイオードのいずれかの構造で、半導体基板の裏面から入射した光量に応じた信号を電圧又は電流で出力する光センサにおいて、半導体基板の裏面が粗面であり、さらに半導体基板の裏面に保護層を設けることで、半導体基板裏面の変色を防ぎ、また、光の利用効率を向上することが出来る。
本発明に係る光センサの実施形態1を説明するための構成断面図である。 本発明に係る光センサの実施形態2を説明するための構成断面図である。 本発明に係る光センサの実施形態3を説明するための構成断面図である。 本発明に係る光センサの具体的な実施例1及び2を説明するための構成断面図である。 本発明に係る酸化チタン薄膜の厚みと光電流比を示す図である。 本発明に係るガリウム砒素基板の裏面粗さと光電流比を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明の光センサは、光を吸収して電気信号に変換するセンサであり、多層の半導体層からなるPN又はPIN接合からなるフォトダイオードを利用し、半導体基板の半導体層が形成されていない裏面から入射した光を半導体層で吸収し、電気信号を出力するものである。
図1は、本発明に係る光センサの実施形態1を説明するための構成断面図である。本実施形態1における光センサは、半導体基板1の表面に設けられた第1の半導体層2と、この第1の半導体層2上に設けられた第3の半導体層4と、この第3の半導体層4上に設けられた第2の半導体層3と、半導体基板1の裏面に設けられた保護層5とから構成されている。
つまり、図1に示された光センサは、PIN構造のフォトダイオードを示しており、半導体基板1上に、第1の半導体層としてn型の半導体層2と、第2の半導体層としてp型半導体層3と、n型の半導体層2とp型半導体層3との間に光吸収層であるi型半導体層4を積層した形態のPIN構造例である。
さらに、n型の半導体層2が積層されていない半導体基板1の裏面には、保護層5が設けられた構造であり、半導体基板1の裏面は粗面となっている。そして、本発明の光センサにおいて光は、半導体基板1の裏面から入射される。
入射された光は、光吸収層であるi型半導体層4で吸収され、電子とホールが生成し、電荷分離されることで光センサの出力となる。図1には半導体基板上にn→i→pの順に積層した層構造を示したが、p→i→nの順に積層した構造でも構わない。
図2は、本発明に係る光センサの実施形態2を説明するための構成断面図である。この図2に示すように、光吸収層であるi型半導体層4とp型半導体層3の間に、生成したキャリアのリークを防ぐためのバリア層6が挿入された構造でも構わず、少なくともn型半導体層2、p型半導体層3及びi型半導体層4を含んで積層された形態であればよい。
図3は、本発明に係る光センサの実施形態3を説明するための構成断面図である。本実施形態2における光センサは、半導体基板1の表面に設けられた第1の半導体層2と、この第1の半導体層2上に設けられた第2の半導体層3と、半導体基板1の裏面に設けられた保護層5とから構成されている。
つまり、図1及び図2では、PINフォトダイオードの構造を示したが、図3においては、PN構造のフォトダイオードを示しており、半導体基板1上に第1の半導体層としてn型半導体層2と、第2の半導体層としてp型半導体層3を含む半導体層が積層された構造を有し、さらに、半導体基板1の裏面に保護層5が設けられた構造である。
半導体基板1の裏面より光が入射されると、n型半導体層2とp型半導体層3との接合によって生じる空乏層で光が吸収され、電子とホールが生成・電荷分離されることで光センサ出力となる。図3には、半導体基板上にn→pの順に積層した層構造を示したが、p→nの順に積層した構造でも構わない。
本発明の光センサは、半導体基板の裏面より入射された光を吸収して電気信号に変換することで、光量を定量できる光センサである。本発明の半導体基板としては、赤外線のエネルギーよりバンドギャップが大きいことが好ましく、1eV以上が好ましい。このような半導体基板としては、ガリウム砒素(GaAs)基板、シリコン(Si)基板などが挙げられる。
本発明の光センサでは、半導体基板の裏面に保護層が設けられた構造であり、保護層の厚みは、5nm以上900nm以下、好ましくは、50nm以上800nm以下、より好ましくは、100nm以上700nm以下である。
次に、半導体基板の裏面に設けられた保護層の効果について説明する。
光が空気中から光センサに入射する際、空気と半導体基板の屈折率との違いの影響で光が反射され、光の利用効率は低下する。一方、保護層を半導体基板の裏面に設けた場合には、空気から光センサに入射する際の光の損失は、空気と保護層の界面での光損失となる。光の損失を低減する屈折率をもつ材料を保護層として選択することで光の利用効率は向上する。
また、本発明の光センサのように、半導体基板の裏面から被検出光を入射する場合には、温度や湿度などの使用環境により、半導体基板の変色が問題となる。例えば、ガリウム砒素(GaAs)を半導体基板として用いた場合には、高温や高湿の条件では半導体基板の裏面が変色する。この場合、光の入射光量が変化し、センサの出力低下の要因となる。一方、半導体基板の裏面に保護層が設置されている場合には、高温や高湿などの使用環境による基板の変色が生じず、センサの出力の安定性は向上する。
本発明の光センサの保護層としては、入射光の波長域での吸収係数が小さく、半導体基板よりも屈折率の低い材料が好ましい。このような材料の保護層としては、酸化チタン(TiO2)、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)などがあげられる。保護層としてはこれらの材料に制限されること無く、使用する半導体基板の屈折率に合わせて適宜、選択される。また、保護層は電子線蒸着法、スパッタリング法、プラズマ化学気相成長法など一般に良く用いられる方法で作製できる。
本発明に用いられる半導体基板裏面の粗さは、5nm以上500nm以下であり、好ましくは、100nm以上400nm以下、より好ましくは、150nm以上300nmである。
本発明における光センサは、第1の半導体層、第2の半導体層及び光吸収層が化合物半導体であり、少なくともインジウム(In)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、砒素(As)のいずれかを含む構造であればよく、これらによって構成される化合物半導体に適宜n型ドーパント、あるいはp型ドーパントをドーピングすることによってn型及びp型の化合物半導体層を形成する。n型ドーパントとしては、Sn、Si、Seなどが挙げられる。またp型ドーパントとしては、Ge、Zn、Be,Ca、Mgなどが挙げられる。
本発明の光センサは、検出感度波長域が1μm以上15μmである。光吸収層の材料としては、インジウムアンチモン(InSb)、インジウム砒素(InAs)、インジウム砒素アンチモン(InAsSb)、インジウムガリウムアンチモン(InGaSb)などがあるが、これらに限らず、少なくともインジウム、ガリウム、アルミニウム、アンチモン、砒素のいずれかを含む化合物半導体層であればよい。
本実施例1では、半導体基板としてガリウム砒素基板を用い、半導体層としてインジウムアンチモン薄膜、保護層として酸化チタン層を用いた。
図4は、本発明に係る光センサの具体的な実施例1を説明するための構成断面図で、本実施例1で用いたPIN構造の光センサの層構造例を示すが、本発明の光センサの層構造はこれらに限定されるものではない。ガリウム砒素基板7上に、第1の半導体層として、n型のインジウムアンチモン層8を成膜し、第2の半導体層としてp型のインジウムアンチモン層9、第3の半導体層として光吸収層であるi型のインジウムアンチモン層10を含む構造である。また、i型のインジウムアンチモン層10とp型のインジウムアンチモン層9の間には、バリア層としてp型のインジウムアルミアンチモン層11を挿入した構造である。ガリウム砒素基板7の裏面には、保護層として酸化チタン層12を設けた構造である。
また、ガリウム砒素基板7の裏面は、ラッピング加工などにより粗さ(Ra)を150nmとした。本発明における半導体層は、分子線エピタキシャル成長(MBE)法により成膜し、また、保護層である酸化チタン層11はスパッタリング法により成膜した。酸化チタンの厚みを0nm,300nm,520nm,800nmと変えて成膜した。
上述した光センサを素子化することで光センサの出力を評価した。光センサのS/N比の評価は、光電流を比較することで行った。
図5は、本発明に係る酸化チタン薄膜の厚みと光電流比を示す図である。保護層である酸化チタン層12が設けられていない場合の光電流を1とした際の光電流比を示している。図5からわかるように、保護層である酸化チタン層を設けることで光電流比は向上し、光センサのS/N比が向上することがわかる。これは、光利用効率の向上によるものである。
さらに、これらの素子を用いて、加速試験(温度121℃、湿度99%、気圧2気圧)を
10時間行った結果、酸化チタン薄膜のない場合は、半導体基板裏面が変色し、光電流が約30%低下した。一方、酸化チタン薄膜を設けた素子では、半導体基板裏面の変色もなく、光電流の低下もなかった。
本実施例2は、図4と同様の層構造の光センサである。
図6は、本発明に係るガリウム砒素基板の裏面粗さと光電流比を示す図である。裏面粗さRaを、0nm(鏡面), 150nm,200nm,230nmとして検討を行った。ガリウム砒素基板の裏面が鏡面(粗さRa=0nm)の時の光電流を1とした。酸化チタン層の膜厚は500nmとした。ガリウム砒素基板の裏面を粗面にすることにより、前方散乱の効果が顕著になり光電流比が増大し、光センサのS/N比が増大する。
本発明の光センサは、赤外線を電気信号に変換するのに適した光センサに関するもので、光の利用効率が高く、高出力、高S/N比の光センサが実現できる。高感度、高いS/N比を持つため、小型化を達成でき、携帯電子機器等に応用できる。さらに感度波長域が赤外領域であり、二酸化炭素、一酸化炭素などのガスセンサとしても使用でき、環境センサを実現できる。
1 半導体基板
2 n型半導体層(第1の半導体層)
3 p型半導体層(第2の半導体層)
4 光吸収層
5 保護層
6 バリア層
7 ガリウム砒素基板
8 n型のインジウムアンチモン層(第1の半導体層)
9 p型のインジウムアンチモン層(第2の半導体層)
10 i型のインジウムアンチモン層(光吸収層)
11 p型のアルミインジウムアンチモン層(バリア層)
12 酸化チタン層(保護層)

Claims (8)

  1. 半導体基板と、該半導体基板の表面に形成された半導体層とを有するフォトダイオードを用いて、前記半導体基板の裏面から入射した光量に応じた信号を電圧又は電流で出力する光センサにおいて、
    前記半導体基板の裏面が粗面であり、かつ前記半導体基板の裏面に保護層が形成されていることを特徴とする光センサ。
  2. 前記保護層の厚みが、5nm以上900nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
  3. 前記保護層が、酸化チタン,酸化シリコン,窒化シリコンのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光センサ。
  4. 前記半導体基板の裏面の粗さが、5nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1記載の光センサ。
  5. 前記フォトダイオードが、半導体基板と、少なくとも第1の半導体層及び第2の半導体層を含んで積層された形態のPN型のフォトダイオードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光センサ。
  6. 前記フォトダイオードが、半導体基板と、少なくとも第1の半導体層と、第2の半導体層及び第3の半導体層を含んで積層された形態のPIN型のフォトダイオードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光センサ。
  7. 前記第1の半導体層と、第2の半導体層と、光吸収層とが化合物半導体であり、該化合物半導体が、インジウム,ガリウム,アルミニウム,アンチモン,砒素のいずれかを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の光センサ。
  8. 前記光センサの感度波長が、1μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
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