JP2011064438A - 冷水循環システム - Google Patents

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Abstract

【課題】設備コストを低減でき、かつ、効率的な省エネルギーを実現可能な冷水循環システムを提供する。
【解決手段】熱源機3a,3bから排出される送り冷水が混合することができる混合部分である第2送り集合管26での送り冷水の温度tsを検出する負荷側送り冷水温度センサ28と、熱源側の熱源機3a,3bの後段部分にそれぞれ設けられ、各熱源機に係る送り冷水の温度ts1〜tsnを検出する熱源側出口温度センサ12a,12bとを備え、制御装置16の熱源機運転制御処理部17は、第2送り集合管26での送り冷水の温度tsと各熱源機に係る送り冷水の温度ts1〜tsnの差の総和である送水温偏差ΔTsが所定温度以上であるという第1の増段条件を所定期間満たすとき、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に熱源機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に熱源機3a,3bの運転を制御する増段制御処理部18を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷水2次ポンプを備えた蓄熱水槽のない密閉系配管(以下、単に「密閉系」という場合がある)の冷水循環システムに係り、特に、設備コストを低減でき、かつ、効率的な省エネルギーを実現可能な冷水循環システムに関するものである。
図14は、従来一般に使用されている密閉系の冷水循環システムのシステム図である。
図14に示すように、従来の冷水循環システム141は、送り冷水の供給を受け、還り冷水を還りヘッダ145に排出する負荷機としての空調機142a,142bと、還り冷水の供給を受け、還り冷水を冷却して送り冷水として第1送りヘッダ146aに排出する熱源機としての冷凍機143a,143bと、熱源側の冷凍機143a,143bの前段部分において冷凍機143a,143bごとに設けられ、空調機142a,142bから還りヘッダ145に排出された還り冷水を冷凍機143a,143bへ供給する冷水1次ポンプ144a,144bと、両冷凍機143a,143bから第1送りヘッダ146aに排出された送り冷水を、第2送りヘッダ146bを介して空調機142a,142bへ供給する、動力インバータ147aを備えた複数の冷水2次ポンプ147と、第1送りヘッダ146aと還りヘッダ145とを接続するバイパス管148とを備えている。
空調機142a,142bの空調空気の吹出口には、吹出口から吹出される空調空気の温度(吹出温度)tc1,tc2を測定する負荷側温度センサ149a,149bがそれぞれ設けられており、空調機142a,142bの下流側には、空調機142a,142bに供給される送り冷水の流量を調整するための制御二方弁150a,150bがそれぞれ設けられている。制御二方弁150a,150bは、二方弁151a,151bと、その二方弁151a,151bの開度を制御するモータ152a,152bとからなる。冷水循環システム141は、負荷側温度センサ149a,149bで検出した吹出温度tc1,tc2に基づきモータ152a,152bを制御して二方弁151a,151bの開度を調整することで、空調機142a,142bに供給される冷水の流量V1,V2を調整し、吹出温度tc1,tc2を予め設定された目標温度に近づけるように制御されている。
冷水2次ポンプ147の流量(送水量)を制御する方法としては、従来、第2送りヘッダ146bに設けた圧力検出器(図示せず)により第2送りヘッダ146bの圧力(水圧)を測定し、その圧力が一定となるように動力インバータ147aの運転周波数を制御して、冷水2次ポンプ147の流量を調整する方法が一般的であった。
しかし、この方法では、例えば冬期など空調機142a,142bで必要な送り冷水の流量が少ない場合(すなわち制御二方弁150a,150bの開度が小さくなっている場合)であっても、第2送りヘッダ146bの圧力を一定に保つよう冷水2次ポンプ147を制御することになるため、冷水2次ポンプ147の送水圧力の大部分が制御二方弁150a,150bで圧損として吸収されることとなり、冷水2次ポンプ147の搬送動力が無駄になるという問題がある。
また、冷水2次ポンプ147の流量が少なくなっても、冷水1次ポンプ144a,144bの流量は変化しないため、冷凍機143a,143bから供給された過剰な送り冷水がバイパス管148を経由して還りヘッダ145に戻されることになり、冷水1次ポンプ144a,144bの搬送動力が無駄になるという問題がある。さらには、冷凍機143a,143bからの送り冷水の大部分が還りヘッダ145に戻されるため、冷凍機143a,143bに供給される還り冷水と送り冷水の温度差が小さくなり、冷凍機143a,143bにおける冷却効率(成績係数)が悪化してしまうという問題も生じる。
特許文献1では、還りヘッダに排出される還り冷水の総流量を測定する流量計(流量センサ)と、第2送りヘッダと還りヘッダの圧力差を測定する差圧センサとを設け、流量計の測定値から演算された送水圧力と差圧センサから演算された吐出圧力とから動力インバータの運転周波数を決定し、冷水2次ポンプの送水量を調整する方法が提案されている。つまり、特許文献1では、還り冷水の流量に基づいて第2送りヘッダの圧力の設定を変更することで、冷水2次ポンプの無駄な搬送動力を低減させて、省エネルギー性を高めている。
また、特許文献2では、冷水1次ポンプを動力インバータを有する可変流量型のポンプとすると共に、バイパス管に流量計を設け、バイパス管の流量が0となる(空調機で使われない送り冷水がなくなる)ように、冷水1次ポンプ、冷水2次ポンプの動力インバータの運転周波数を調整して、冷水1次ポンプ、冷水2次ポンプの流量バランスを調整することにより、冷水1次ポンプと冷水2次ポンプの無駄な搬送動力を低減させて、省エネルギー性を高めている。
しかしながら、特許文献1,2では、必須の機器として流量計を用いる必要があるため、制御システムを構築する際に設備コストが高くなってしまい、特に、設備投資額の削減が要求される既存システムの省エネルギー改造工事において不利である。
そこで、本発明者は、コストの高い流量計を用いず、第2送りヘッダでの送り冷水の温度と還りヘッダでの還り冷水の温度との温度差を、空調機の設計定格温度差に近づけるように、冷水2次ポンプの運転台数と動力インバータの運転周波数を変えて冷水量を制御することで冷水2次ポンプの搬送動力を低減させて、設備コストを抑制しつつ省エネルギー性を高めた冷水循環システムを提案している(特許文献3)。
特開2003−106731号公報 特許第3365997号公報 特許第4301238号公報 特開2003−294290号公報
ところで、近年、冷水循環システムではさらなる省エネルギー性の向上が要求されており、上述の特許文献1〜3のように冷水2次ポンプや冷水1次ポンプの搬送動力を低減する以上に、省エネルギー性の向上が望まれている。
特許文献4では、熱源機である冷凍機から負荷機である空調機へ送られる送り冷水の温度(空調機に供給される冷水の温度)と空調機から冷凍機へ戻る還り冷水の温度(空調機から排出される冷水の温度)との差である負荷側温度差と、還り冷水の流量と、前記負荷側温度差と前記流量により算出する負荷側の熱量の3つのファクターに基づいて、冷凍機の運転台数を決定することが提案されている。
より具体的には、負荷側温度差が所定値より小さい場合は、還り冷水の流量に基づいて冷凍機の運転台数を決定し、一方、負荷側温度差が所定値より大きい場合は、負荷側の熱量に基づいて冷凍機の運転台数を決定している。
特許文献4のように、冷凍機の運転台数自体を増減させる台数制御を行い、冷凍機の運転台数をできるだけ少なくすることにより、冷凍機に連動して動作する補機類(冷却塔(クーリングタワー)、冷却水ポンプなど)や冷水1次ポンプの動力も低減できることとなり、冷水2次ポンプや冷水1次ポンプの搬送動力のみを低減する場合と比較して、より効率的な省エネルギーを実現できる。
しかしながら、特許文献4に記載された技術では、上述の特許文献1,2と同様に、必須の機器として流量計を用いる必要があるため、制御システムを構築する際に設備コストが高くなってしまい、特に、設備投資額の削減が要求される既存システムの省エネルギー改造工事において不利である。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、設備コストを低減でき、かつ、効率的な省エネルギーを実現可能な冷水循環システムを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、負荷側であって、送り冷水の供給を受け、還り冷水を還り集合管に排出する1つ以上の負荷機と、熱源側であって、前記還り冷水の供給を受け、該還り冷水を冷却して前記送り冷水として第1の送り集合管に排出する、冷水を発生しうる複数の熱源機と、熱源側の前記熱源機の前段部分において前記熱源機ごとに設けられ、前記負荷機から前記還り集合管に排出された前記還り冷水を前記熱源機へ供給する複数の冷水1次ポンプと、前記熱源機から前記第1の送り集合管に排出された前記送り冷水を前記負荷機へ供給する、送水圧力を可変調整するための可変調整機構を備えた冷水加圧送水ポンプと、前記第1の送り集合管と前記還り集合管とを接続するバイパス管と、前記冷水加圧送水ポンプの運転台数と前記可変調整機構とを制御する冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部を有する制御装置と、を備えた密閉系の冷水循環システムにおいて、前記複数の熱源機から排出される前記送り冷水が混合する混合部分に設けられ、該混合部分での前記送り冷水の温度tsを検出する負荷側送り冷水温度センサと、熱源側の前記複数の熱源機(第1熱源機、・・・、第n熱源機)の後段部分にそれぞれ設けられ、各熱源機に係る前記送り冷水の温度ts1〜tsnを検出する複数の熱源側出口温度センサとを備え、前記制御装置は、前記負荷側送り冷水温度センサおよび前記複数の熱源側出口温度センサを用いて前記複数の熱源機の運転(動作・停止)を制御する熱源機運転制御処理部を有しており、前記熱源機運転制御処理部は、[数1]に示す式(1)
Figure 2011064438
で表される送水温偏差ΔTが所定温度以上であるという第1の増段条件を所定期間満たすとき、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御する増段制御処理部を有する冷水循環システムである。
熱源側の前記複数の熱源機の前段部分にそれぞれ設けられ、各熱源機に係る前記還り冷水の温度を検出する複数の熱源側入口温度センサを備え、前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、動作中の所定の熱源機において、当該所定の熱源機の状態を監視し、前記動作中の所定の熱源機に係る前記送り冷水の温度が所定温度以上であり、かつ、前記動作中の所定の熱源機に係る還り冷水の温度から前記動作中の所定の熱源機に係る送り冷水の温度を減じた熱源側温度差が所定温度以上であるという第2の増段条件を所定期間満たすとき、前記第1の増段条件にかかわらず、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するようにされるとよい。
前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、運転中の前記熱源機が複数台数あるときは、前記運転中の熱源機のうち1台でも前記第2の増段条件を所定期間満たしていれば、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するとよい。
前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、前記混合部分での前記送り冷水の温度tsが所定温度以上であるという第3の増段条件を満たすとき、前記増段条件にかかわらず、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するとよい。
前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するとき、前記熱源機の運転台数を増加させてもよい。
前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御した後、当該制御による効果を反映させるための時間である効果待ち時間を経るまでは、次回の増段制御処理を実行しないとよい。
前記制御装置の記憶部には、複数のステップが設定されており、前記複数のステップ毎に、熱源側の総冷却能力が互いに異なるように、動作させる一台以上の熱源機を選択して割り付け、前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、前記増段条件を所定期間満たすとき、前記複数のステップのうち現状のステップから、当該現状のステップよりも熱源側の総冷却能力が大きい所定のステップに移行し、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するようにされるとよい。
前記増段制御処理部によるステップの移行は、移行順序が一定であるとよい。
前記複数のステップ毎に、送水温偏差上限値を設定して前記制御装置の記憶部に記憶しておき、前記送水温偏差ΔTsが、現状のステップに設定された前記送水温偏差上限値以上であるときに、前記第1の増段条件を満たすとしてもよい。
前記複数の熱源機の設計定格温度差は、全て同じ設計定格温度差ΔTdであり、前記熱源機運転制御処理部は、動作中の所定の熱源機(第1熱源機、・・・、第n熱源機)の状態を監視し、[数2]に示す式(2)
Figure 2011064438
により熱源側平均温度差ΔThを算出し、下式(3)
ΔTh×(現在の熱源側の総冷却能力÷減段後の熱源側の総冷却能力)≦ΔTd×α ・・・(3)
但し、ΔTd:熱源機の設計定格温度差
α:余裕率(%)
で表される減段条件を満たすとき、前記複数のステップのうち現状のステップから、当該現状のステップよりも熱源側の総冷却能力が小さい所定のステップに移行し、熱源側の総冷却能力が減少すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が減少する方向に前記複数の熱源機の運転を制御する減段制御処理部をさらに備えてもよい。
前記複数のステップ毎に、前記余裕率αを設定して前記制御装置の記憶部に記憶しておき、前記減段制御処理部は、現状のステップに設定された前記余裕率αを用いて前記減段条件を判断するようにされるとよい。
前記複数の冷水1次ポンプは、自動的に前記負荷機の負荷に基づいて運転周波数を変化させることがない運転方式のポンプであるとよい。
前記複数の熱源機は、互いに異なる冷却能力であり、前記複数の冷水1次ポンプは、前記複数の熱源機の冷却能力の大きさに比例させた流量を送る運転周波数が固定型のポンプであるとよい。
前記還り集合管に設けられ、前記還り集合管での前記還り冷水の温度tを検出する負荷側還り冷水温度センサを備え、前記冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部は、前記混合部分での前記送り冷水の温度tsと前記還り集合管での前記還り冷水の温度trとの温度差を、前記熱源機の設計定格温度差に近づけるように、前記冷水加圧送水ポンプの運転台数と前記可変調整機構を制御するようにされるとよい。
前記負荷機は、前記送り冷水を該送り冷水からの伝熱による冷却を必要とする媒体と熱交換させる熱交換器を有し、予め、1つ以上の前記負荷機を重要管理点として設定したものであって、前記冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部は、前記重要管理点として設定した負荷機において前記媒体が冷却されて排出された後、予め定めた評価地点において前記媒体によって行われる冷却の効果または前記媒体の冷却能力を示す温度が、所定期間、予め設定した目標値よりも所定温度以上高いときに、前記混合部分での前記送り冷水の温度tと前記還り集合管での前記還り冷水の温度tとの温度差を、前記熱源機の設計定格温度差に近づける制御に優先して、前記負荷機に送られる冷水量が増加する方向に、前記冷水加圧送水ポンプの運転台数と前記可変調整機構を制御するようにされるとよい。
本発明によれば、設備コストを低減でき、かつ、効率的な省エネルギーを実現可能な冷水循環システムを提供できる。
本発明の一実施の形態に係る冷水循環システムのシステム図である。 図1の冷水循環システムにおける制御装置の入出力構成を示すブロック図である。 図1の冷水循環システムにおいて設定したステップを説明する図である。 図1の冷水循環システムの冷水2次ポンプ運転制御処理の制御フローを示すフローチャートである。 図1の冷水循環システムの冷凍機運転制御処理の制御フローを示すフローチャートである。 図5のフローチャートにおける増段制御処理の制御フローを示すフローチャートである。 図5のフローチャートにおける減段制御処理の制御フローを示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態に係る冷水循環システムのシステム図である。 図8の冷水循環システムにおける制御装置の入出力構成を示すブロック図である。 図8の冷水循環システムにおいて設定したステップを説明する図である。 図8の冷水循環システムの冷凍機運転制御処理の制御フローを示すフローチャートである。 図11のフローチャートにおける増段制御処理の制御フローを示すフローチャートである。 図11のフローチャートにおける減段制御処理の制御フローを示すフローチャートである。 従来の冷水循環システムのシステム図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。なお以下の記載における「冷凍」とは「冷却すること」を意味している。
図1は、本実施の形態に係る冷水循環システムのシステム図である。
図1に示すように、冷水循環システム1は、負荷側であって、送り冷水の供給を受け、還り冷水を排出する負荷機としての第1空調機2a、第2空調機2bと、熱源側であって、空調機2a,2bからの還り冷水の供給を受け、その還り冷水を冷却して送り冷水として排出する熱源機(冷水を発生しうる熱源機)としての第1冷凍機3a,第2冷凍機3bとを備えている。冷水循環システム1は、蓄熱水槽のない密閉系の冷水循環システムである。
空調機2a,2bは、室内の発熱処理空調機であるが、外気処理空調機であってもよい。本実施の形態では、負荷機として空調機2a,2bを用いる場合を説明するが、これに限らず、例えば、生産用の冷却水を冷やす熱交換器などであってもよい。なお、負荷機は、送り冷水を送り冷水からの伝熱による冷却を必要とする媒体と熱交換させる熱交換器を有しており、送り冷水からの伝熱による冷却を必要とする媒体は、例えば、水や空気など(空調機の場合は空気)である。
空調機2a,2bは、負荷側排出管41a,41bにより還りヘッダ(還り集合管)23に接続されており、空調機2a,2bから排出された還り冷水は、負荷側排出管41a,41bを介して還りヘッダ23に排出されるようになっている。
還りヘッダ23と冷凍機3a,3bとは、熱源側供給管44a,44bにより接続されており、空調機2a,2bから還りヘッダ23に排出された還り冷水は、熱源側供給管44a,44bを介して冷凍機3a,3bに供給されるようになっている。また、冷凍機3a,3bは、熱源側排出管43a,43bにより第1の送り集合管としての第1送りヘッダ4に接続されており、冷凍機3a,3bから排出された送り冷水は、熱源側排出管43a,43bを介して第1送りヘッダ24に排出されるようになっている。
第1送りヘッダ24は、複数(図1では3台)の冷水加圧送水ポンプとしての冷水2次ポンプ25を介して、第2の送り集合管としての第2送りヘッダ26に接続され、第2送りヘッダ26は、負荷側供給管42a,42bにより空調機2a,2bに接続されており、冷凍機3a,3bから第1送りヘッダ24に排出された送り冷水は、冷水2次ポンプ25、第2送りヘッダ26、負荷側供給管42a,42bを介して、空調機2a,2bに供給されるようになっている。
なお、第1送りヘッダ24及び第2送りヘッダ25が複数の熱源機から排出される送り冷水が混合する混合部分である。より詳しくは、この混合部分は、複数の熱源機から排出される送り冷水と、還りヘッダ23からバイパス管14を経由して第1送りヘッダ24へ向けて流れる還り冷水とが混合する部分である。
第1送りヘッダ24と還りヘッダ23とは、バイパス管14により接続されている。なお、本明細書では、負荷側排出管41a,41b、負荷側供給管42a,42bを設けた側(空調機2a,2b側)を負荷側、熱源側排出管43a,43b、熱源側供給管44a,44b、バイパス管14を設けた側(冷凍機3a,3b側)を熱源側と呼称している。
空調機2a,2bには、第1負荷側温度センサ5a、第2負荷側温度センサ5bがそれぞれ設けられている。本実施の形態では、両負荷側温度センサ5a,5bを空調機2a,2bの空調空気の吹出口にそれぞれ設け、両負荷側温度センサ5a,5bにて吹出口から吹き出される空調空気の温度(以下、吹出温度という)tc1,tc2を測定するようにしている。ここでは、両負荷側温度センサ5a,5bにて空調機2a,2bの吹出温度を測定するようにしたが、これに限らず、両負荷側温度センサ5a,5bにて空調機2a,2bが設けられた空調室内の温度を測定するようにしてもよい。
空調機2a,2bの後段部分(下流側)である負荷側排出管41a,41bには、空調機2a,2bに供給される冷水の流量V,Vを調節するための第1制御二方弁6a,第2制御二方弁6bがそれぞれ設けられている。両制御二方弁6a,6bは、二方弁7a,7bと、その二方弁7a,7bの開度を制御する第1モータ8a、第2モータ8bとからなる。
冷凍機3a,3bの前段部分(上流側)である熱源側供給管44a,44bには、冷凍機3a,3bごとに、還り冷水を冷凍機3a,3bへ供給する第1冷水1次ポンプ4a,第2冷水1次ポンプ4bがそれぞれ設けられている。冷水1次ポンプ4a,4bとしては、空調機2a,2bの負荷に基づいて自動的に流量を変化させない運転方式の固定流量型ポンプを用いる。ここで固定流量型ポンプとは、供給動力の周波数(運転周波数)が一定のポンプのことをいい、動力インバータを有しないポンプ(運転周波数は関東で50Hz、関西で60Hzで一定となる)、動力インバータを有するが運転周波数が手動などで一定(例えば30〜60Hz)に設定されたポンプの両者を含む。
本実施の形態では、第1冷凍機3aの冷却能力(冷凍能力)C1を300RT(冷凍トン)、第2冷凍機3bの冷却能力C2を400RT(冷凍トン)とした場合を説明する。冷凍機3a,3bの冷却能力C1,C2についてはこれに限定されない。両ポンプ4a,4bの流量v1,v2は、対応する冷凍機3a,3bの冷却能力C1,C2の大きさに比例した流量とされる。冷水1次ポンプ4a,4bの流量v1,v2は、例えば、3,024L/分、4,032L/分である。
両冷凍機3a,3bの設計定格温度差T1,T2は、同じ設計定格温度差ΔTとされる。ここでは、ΔTd=T1=T2=5℃とした場合を説明するが、設計定格温度差ΔTは空調機2a,2bにおける設計定格温度差を考慮して適宜設定すればよく、例えば、ΔTd=T1=T2=8℃であってもよい。また、本実施の形態では冷凍機3a,3bの設計定格温度差T1,T2を同じ設計定格温度差ΔTdとしているが、冷凍機3a,3bの設計定格温度差T1,T2はほぼ同じであればよい。なお、空調機2a,2bの設計定格温度差は、冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTとほぼ同じとされる。
冷凍機3a,3bの後段部分(下流側)である熱源側排出管43a,43bには、冷凍機3a,3bが排出する送り冷水の温度ts1,ts2を検出するための第1熱源側出口温度センサ12a,第2熱源側出口温度センサ12bがそれぞれ設けられる。
また、冷凍機3a,3bの前段部分(上流側)である熱源側供給管44a,44bには、冷凍機3a,3bに供給される還り冷水の温度tr1,tr2を検出するための第1熱源側入口温度センサ13a、第2熱源側入口温度センサ13bがそれぞれ設けられる。熱源側入口温度センサ13a,13bは、熱源側供給管44a,44bの冷水1次ポンプ4a,4bの上流側にそれぞれ設けられる。
つまり、第1熱源側出口温度センサ12aと第1熱源側入口温度センサ13aは、第1冷凍機3aを挟むように設けられ、第2熱源側出口温度センサ12bと第2熱源側入口温度センサ13bは、第2冷凍機3bを挟むように設けられる。
また、第2送りヘッダ26には、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tを検出するための負荷側送り冷水温度センサ28が設けられ、還りヘッダ23には、還りヘッダ23での還り冷水の温度trを検出するための負荷側還り冷水温度センサ29が設けられる。
第1送りヘッダ24と第2送りヘッダ26間に設けられる冷水2次ポンプ25としては、送水圧力を可変調整するための可変調整機構としての動力インバータ25aを有し、動力インバータ25aに供給する供給動力の周波数(運転周波数)により流量と送水圧力が変化する可変流量型のポンプを用いる。なお、本実施の形態では、冷水2次ポンプ25の台数を3台としているが、冷水2次ポンプ25の台数はこれに限らない。
さらに、第1送りヘッダ24と第2送りヘッダ26とは、所定の圧力になったら開となるリリーフ弁27を介して接続されている。リリーフ弁27は、冷水2次ポンプ25を保護するためのものであり、例えば、両制御二方弁6a,6b(二方弁7a,7b)が全閉となったときに開となり、冷水2次ポンプ25の焼き付きを防止する。
また、第2送りヘッダの後段部分(下流側)である負荷側供給管42a,42bには、第1空調機2aに供給される冷水の流量V1と第2空調機2bに供給される冷水の流量V2のバランスを調整するための流量バランス調整用二方弁30がそれぞれ設けられている。流量バランス調整用二方弁30の開度を調整し、例えば、冷水が届きにくい(配管距離が長いあるいは冷水必要量のわりに配管の内径が小さい)空調機では流量バランス調整用二方弁30の開度を大きくし、冷水が届きやすい(配管距離が短いあるいは冷水必要量のわりに配管の内径が大きい)空調機では流量バランス調整用二方弁30の開度を小さくすることで、全ての空調機に均等に送り冷水を供給することが可能となる。望ましくは、全ての空調機2a,2bで送り冷水と還り冷水の温度差が同じになるように、流量バランス調整用二方弁30の開度を調整するとよい。
冷水循環システム1における冷水の総流量Vは、両冷水1次ポンプ4a,4bの流量v1,v2の合計値と等しく、また、空調機2a,2bに供給される冷水の流量V1,V2と、バイパス管14を送りヘッダ24側から還りヘッダ23側に通過する冷水の流量V3との合計値と等しくなる。つまり、V=v1+v2=V1+V2+V3となる。なお、冷水2次ポンプ25の流量の合計値(以下、単に冷水2次ポンプ25の流量という場合がある)は、空調機2a,2bに供給される冷水の流量V1,V2の合計値と等しい。
したがって、冷水1次ポンプ4a,4bの流量の合計値(v1+v2)が冷水2次ポンプ25の流量の合計値(V1+V2)よりも大きいと、バイパス管14では、冷水1次ポンプ4a,4bから送られた過剰な送り冷水が、第1送りヘッダ24から還りヘッダ23の方向(以下、正常方向という)に流れることになる。
また、冷水1次ポンプ4a,4bの流量の合計値(v1+v2)が冷水2次ポンプ25の流量(V1+V2)よりも小さいと、バイパス管14では、還りヘッダ23から第1送りヘッダ24の方向(以下、逆流方向という)に還り冷水が流れ、冷水2次ポンプ25での流量の不足分が還りヘッダ23からの還り冷水で補填されることになる。このとき、第1送りヘッダ24にて、冷凍機3a,3bからの送り冷水に温度の高い還り冷水が混合されるため、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度(すなわち空調機2a,2bに供給される送り冷水の温度)が高くなる。
さて、本実施の形態に係る冷水循環システム1は、負荷側送り冷水温度センサ28と各熱源側温度センサ12a,12b,13a,13bとを用いて、冷凍機3a,3bの運転(動作・停止)を制御する熱源機運転制御処理部としての冷凍機運転制御処理部17を有する制御装置16を備えている。制御装置16は、制御ライン21を介して、各熱源側温度センサ12a,12b,13a,13b、負荷側温度センサ5a,5b、負荷側送り冷水温度センサ28、負荷側還り冷水温度センサ29、冷水2次ポンプ25の動力インバータ25a、制御二方弁6a,6bのモータ8a,8b、および冷凍機3a,3bにそれぞれ接続されている。
図2に示すように、制御装置16には、負荷側温度センサ5a,5bで検出した吹出温度tc1,tc2、負荷側送り冷水温度センサ28で検出した第2送りヘッダ26での送り冷水の温度ts、負荷側還り冷水温度センサ29で検出した還りヘッダ23での還り冷水の温度tr、熱源側出口温度センサ12a,12bで検出した送り冷水の温度ts1,ts2、および熱源側入口温度センサ13a,13bで検出した還り冷水の温度tr1,tr2が入力される。
制御装置16の冷凍機運転制御処理部17は、動作中の所定の冷凍機(3a又は/及び3b)において、当該所定の冷凍機の状態を監視し、以下の3つの増段条件のいずれか1つでも成立したとき、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に冷凍機3a、3bの運転を制御する増段制御処理部18を備えている。
[第1の増段条件]
所定期間、下式(4)
ΔTs={(ts−ts1)×C1+(ts−ts2)×C2}/(C1+C2) ・・・(4)
但し、ts:第2送りヘッダ26での送り冷水の温度
s1:第1冷凍機3aに係る送り冷水の温度
s2:第2冷凍機3bに係る送り冷水の温度
1:第1冷凍機3aの冷却能力300RT(停止中は0とする)
2:第2冷凍機3bの冷却能力400RT(停止中は0とする)
で表される送水温偏差ΔTsが送水温偏差上限値ΔTsmax以上であるとき。
[第2の増段条件]
動作中の所定の冷凍機において、所定期間、送り冷水の温度ts1(またはts2)が所定温度tsmax以上であり、かつ、還り冷水の温度tr1(またはtr2)から送り冷水の温度ts1(またはts2)を減じた熱源側温度差ΔT1(またはΔT2)が所定温度ΔTmax以上であるとき。
[第3の増段条件]
第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上であるとき。
第1の増段条件において式(4)で表される送水温偏差ΔTsは、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsから各冷凍機3a,3bに係る送り冷水の温度ts1,ts2を減じた、各冷凍機3a,3bに係る送水温偏差(ts−ts1),(ts−ts2)を、冷却能力の比率(つまり冷凍機の設計定格流量の比率)で加重平均したものであり、熱源側全体における送水温偏差の平均値を表すものである。この送水温偏差ΔTsは、バイパス管14を逆流方向に流れる還り冷水の影響がどの程度負荷側に及ぶかを表している。
例えば、第1冷凍機3aのみが動作している場合、第1の増段条件は、「ΔTs=ts−ts1≧ΔTsmax」の状態が所定期間満たされた場合に成立し、第2の増段条件は、「ts1≧tsmax」かつ「ΔT1=tr1−ts1≧ΔTmax」の状態が所定期間満たされた場合に成立する。
同様に、第2冷凍機3bのみが動作している場合は、第1の増段条件は、「ΔTs=ts−ts2≧ΔTsmax」の状態が所定期間満たされた場合に成立し、第2の増段条件は、「ts2≧tsmax」かつ「ΔT2=tr2−ts2≧ΔTmax」の状態が所定期間満たされた場合に成立する。ここでは、ΔTsmax=1℃、tsmax=8℃とし、ΔTmaxを設計定格温度差ΔTdと等しく、すなわちΔTmax=ΔTd=5℃とする場合を説明するが、ΔTsmax,tsmax,ΔTmaxは適宜設定可能である。
第2の増段条件については、第1冷凍機3aと第2冷凍機3bの両方が動作している場合、両冷凍機3a,3bのうちいずれか一方が第2の増段条件を満たす場合に、成立したとする。本実施の形態では、冷凍機3a,3bの両方が動作している場合については、第2冷凍機3bが第2の増段条件を満たすか否かを判断することとした。
第3の増段条件については、第1の増段条件および第2の増段条件を満たさない場合であっても、空調機2a,2bに供給される送り冷水の温度(つまり第2送りヘッダでの送り冷水の温度ts)が高くなりすぎ、不具合が生じる場合が考えられるため、このような不具合を防止するために、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上であれば、第1の増段条件、第2の増段条件にかかわらず、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に冷凍機3a、3bの運転を制御するようにしている。
第1の増段条件、第2の増段条件を判断する期間(上述の所定期間)については、ここでは共に5分としたが、これに限定されず、適宜設定可能である。
また、冷凍機運転制御処理部17は、動作中の所定の冷凍機(3a又は/及び3b)の状態を監視し、下式(5)
ΔTh=(ΔT1×C1+ΔT2×C2)/(C1+C2) ・・・(5)
但し、ΔT1:第1冷凍機3aの熱源側温度差
ΔT2:第2冷凍機3bの熱源側温度差
1:第1冷凍機3aの冷却能力300RT(停止中は0とする)
2:第2冷凍機3bの冷却能力400RT(停止中は0とする)
により熱源側平均温度差ΔThを算出し、下式(6)
ΔTh×(現在の熱源側の総冷却能力÷減段後の熱源側の総冷却能力)≦ΔTd×α ・・・(6)
但し、ΔTd:冷凍機の設計定格温度差
α:余裕率(%)
で表される減段条件を満たすとき、熱源側の総冷却能力が減少すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が減少する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御する減段制御処理部19をさらに備えている。
式(5)で得られる熱源側平均温度差ΔThは、各冷凍機3a,3bの熱源側温度差ΔT1,ΔT2を、冷却能力の比率(つまり冷凍機の設計定格流量の比率)で加重平均したものであり、熱源側全体における送り冷水の温度と還り冷水の温度との差を表すものである。
また、式(6)における左辺は、減段後の熱源側平均温度差を表している。つまり、減段制御処理部19は、現在の熱源側平均温度差ΔThから減段後の熱源側平均温度差を予測し、これが設計定格温度差ΔTdよりも小さければ、減段条件を満たしたと判断する。式(6)の右辺において、設計定格温度差ΔTdに余裕率αを乗じているのは、減段した際に全く余力がない場合、減段したあとわずかに冷却負荷が増える変動が起きた途端に熱源側平均温度差ΔThが設計定格温度差ΔTdよりも大きくなってしまうことを抑制するためである。つまり、余裕率αを適宜設定することで、減段後すぐに冷凍機の能力の限界に達して再度増段されてしまう現象が繰り返されることを抑制できる。
本実施の形態では、制御装置16の冷凍機運転制御処理部17にて所定時間(例えば30秒あるいは1分)毎に熱源側平均温度差ΔThを算出して、これを記憶部22に記憶させておき、減段制御処理部19が、記憶部22に記憶された熱源側平均温度差ΔThに基づき、減段制御処理が実行される直前の所定期間(例えば30分)の熱源側平均温度差ΔThの平均値である平均熱源側平均温度差ΔTaveを算出し、得られた平均熱源側平均温度差ΔTaveに基づいて、熱源側の総冷却能力が減少すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が減少する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御するか否か(減段するか否か)を判断するようにしている。
つまり、本実施の形態では、減段制御処理部19における減段条件は、下式(7)
ΔTave×(現在の熱源側の総冷却能力÷減段後の熱源側の総冷却能力)≦ΔTd×α ・・・(7)
但し、ΔTd:冷凍機の設計定格温度差
α:余裕率(%)
で表される。
増段制御処理部18、減段制御処理部19において、熱源側の総冷却能力が増加あるいは減少する方向(冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加あるいは減少する方向)に冷凍機3a、3bの運転を制御する際には、単純に冷凍機3a,3bの運転台数を増加あるいは減少するようにしてもよいし、あるいは、冷却能力の高いあるいは低い冷凍機3a,3bに運転を切り替えるようにしてもよい。
本実施の形態では、予め複数のステップを設定し、ステップ毎に総冷却能力が互いに異なるように、動作させる冷凍機3a,3bを1台以上選択して割り付け、該割り付け結果に基づいて各熱源機の運転に関する指示信号(始動信号、停止信号)を発信する部分をサブルーチン化して制御装置16の記憶部22に記憶させておき、増段制御処理部18、減段制御処理部19が、設定した複数のステップのうち現状のステップから、当該現状のステップよりも熱源側の総冷却能力が大きいあるいは小さい所定のステップに移行するよう制御を行うことで、熱源側の総冷却能力が増加あるいは減少する方向に冷凍機3a、3bの運転を制御するようにしている。
図3に示すように、本実施の形態では、ステップ1〜3の3つのステップを設定した場合を説明する。なお、設定するステップの数については任意に設定可能である。
ステップ1では、第1冷凍機3aのみを動作させ、第2冷凍機3bを停止することとする。つまり、ステップ1では、総流量V=v1となり、熱源側の総冷却能力は第1冷凍機3aの冷却能力C1(300RT)と等しくなる。
ステップ2では、第1冷凍機3aを停止し、第2冷凍機3bのみを動作させることとする。つまり、ステップ2では、総流量V=v2となり、熱源側の総冷却能力は第2冷凍機3bの冷却能力C2(400RT)と等しくなる。
ステップ3では、第1冷凍機3a、第2冷凍機3bの両者を動作させることとする。つまり、ステップ3では、総流量V=v1+v2となり、熱源側の総冷却能力は第1冷凍機3aの冷却能力C1(300RT)と第2冷凍機3bの冷却能力C2(400RT)との和、すなわちC1+C2=700RTとなる。
つまり、本実施の形態では、ステップ1、ステップ2、ステップ3の順に熱源側の総冷却能力が増加するように各ステップ1〜3を設定している。
また、本実施の形態では、増段制御処理部18あるいは減段制御処理部19におけるステップの移行は、その移行順序を一定とした。
より具体的には、増段制御処理部18は、現状のステップがステップ1であるときは、上述の増段条件が満たされた時にステップ2に、現状のステップがステップ2であるときは、増段条件が満たされた時にステップ3に移行するように制御を行う。以下、ステップを増加させる移行を増段という。
同様に、減段制御処理部19は、現状のステップがステップ3であるときは、上述の減段条件が満たされた時にステップ2に、現状のステップがステップ2であるときは、減段条件が満たされた時にステップ1に移行するように制御を行う。以下、ステップを減少させる移行を減段という。
本実施の形態では、全てのステップ1〜3で送水温偏差上限値ΔTsmaxを一定(ここでは1℃)としているが、各ステップ1〜3毎に、送水温偏差上限値ΔTsmaxを設定して制御装置16の記憶部22に記憶しておき、送水温偏差ΔTsが、現状のステップに設定された送水温偏差上限値ΔTsmax以上であるときに、第1の増段条件を満たすとしてもよい。より具体的には、ステップが増加するに伴い送り冷水の総流量が増加し、バイパス管14を逆流して混合される還り冷水の影響が小さくなることを考慮し、ステップが増加するに伴い送水温偏差上限値ΔTsmaxが小さくなるように、送水温偏差上限値ΔTsmaxを設定するとよい。
また、本実施の形態では、全てのステップ1〜3で余裕率αを一定(ここでは80%)としているが、送水温偏差上限値ΔTsmaxと同様に、各ステップ1〜3毎に、余裕率αを設定して制御装置16の記憶部22に記憶しておき、現状のステップに設定された余裕率αを用いて減段条件を判断するようにしてもよい。
増段制御処理部18および減段制御処理部19は、冷凍機3a(または3b)を動作させるときは、冷凍機3a(または3b)に対して始動信号を送信する。始動信号を受信した冷凍機3a(または3b)は、さらに冷水1次ポンプ4a(または4b)に対してポンプ始動信号を送信し、冷水1次ポンプ4a(または4b)が始動してから所定時間経過後に、動作を開始する。
また、増段制御処理部18および減段制御処理部19は、冷凍機3a(または3b)を停止させるときは、冷凍機3a(または3b)に対して停止信号を送信する。停止信号を受信した冷凍機3a(または3b)は、動作を停止してから所定時間経過後に、冷水1次ポンプ4a(または4b)に対してポンプ停止信号を送信し、冷水1次ポンプ4a(または4b)を停止させる。
増段制御処理部18および減段制御処理部19は、増段あるいは減段の制御を行った場合には、当該制御による効果を反映するための時間である効果待ち時間を経るまでは、次回の増段あるいは減段の制御を実行しないようにされている。これは増段あるいは減段の効果が冷水循環システム1全体に反映されていない段階で、各温度センサの値に基づいてさらに増段あるいは減段がなされた場合、連続して過剰な増段や減段が行なわれ、省エネルギーの観点から問題となる場合があるためである。
また、本実施の形態では、1日の減段の回数の上限値である減段回数上限値を予め設定して、これを制御装置16の記憶部22に記憶させておき、減段制御処理部19が、1日に、記憶部22に記憶された減段回数上限値よりも多く減段を行わないようにしている。これは、1日に何度も冷凍機3a,3bの動作・停止を繰り返す動作を続けると、冷凍機3a,3bが傷んで故障の原因となってしまう場合があり、これを防止するためである。ここでは、減段回数上限値を1日最大6回としたが、減段回数上限値は任意に設定可能である。
なお、本実施の形態では、減段の回数(すなわちステップを減少させた回数)について1日の上限値を設定しているが、これに限らず、冷凍機3a,3bそれぞれの停止回数の上限値を設定するようにしてもよい。この場合、減段制御処理部19は、設定された各冷凍機3a,3bの停止回数の上限値よりも多く各冷凍機3a,3bを停止しないようにされる。
また、制御装置16は、負荷側温度センサ5a,5bで検出した吹出温度tc1,tc2に基づきモータ8a,8bを制御して二方弁7a,7bの開度を調整することで、空調機2a,2bに供給される冷水の流量V1,V2を調整し、吹出温度tc1,tc2を予め設定された目標温度に近づけるように制御する負荷側制御処理部20を備えているものであっても良い。
なお、この負荷側制御処理部20は必ずしも一体の制御装置16に組み込まれている必要はなく、吹出温度tc1,tc2を目標とする温度に近づけるべくPID制御等を成しうる制御装置16とは別の制御装置に備えられていても良い。
さらに、制御装置16は、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsと還りヘッダ23での還り冷水の温度trとの温度差(以下、検出温度差という)ΔTを、冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTd(ここでは5℃)に近づけるように、動力インバータ25aの運転周波数と冷水2次ポンプ25の運転台数とを制御する冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部としての冷水2次ポンプ運転制御処理部31を備えている。
具体的には、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、検出温度差ΔTと冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTdとの差が予め設定した許容幅を外れた状態が所定期間持続したとき(あるいは許容幅を外れた時間の累積時間が所定時間に達したとき)に、動力インバータ25aの運転周波数を増加あるいは減少させて、空調機2a,2bに送られる冷水の送水圧力を増加あるいは減少させ、検出温度差ΔTと冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTdとの差の絶対値を小さくするように制御を行う。
また、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、動力インバータ25aの運転周波数HZが、予め設定した最高周波数HZmaxに到達すると、冷水2次ポンプ25の運転台数を増加させ、逆に、動力インバータ25aの運転周波数HZが、予め設定した最低周波数HZminに到達すると、冷水2次ポンプ25の運転台数を減少させる。
なお、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、動力インバータ25aの運転周波数を増加あるいは減少させる制御、あるいは冷水2次ポンプ25の運転台数を増加あるいは減少させる制御を行った後、当該制御による効果を反映させるための時間である効果待ち時間を経るまでは、次回の制御(動力インバータ25aの運転周波数を増加あるいは減少させる制御、冷水2次ポンプ25の運転台数を増加あるいは減少させる制御)を実行しないようにされている。
また、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、所定期間、重要管理点に設定した空調機(2a又は/及び2b)において、吹出温度(tc1又は/及びtc2)が、予め設定した目標温度よりも所定温度以上高いとき、検出温度差ΔTを冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTdに近づける制御に優先して、空調機2a,2bに送られる冷水量が増加する方向に、動力インバータ25aの運転周波数と冷水2次ポンプ25の運転台数とを制御するようにされる。
重要管理点とは、例えば、空調機が冷やしている室内の目標温度と実際温度の誤差を1℃以内に維持しなければいけないなど、特に重点を置いて管理を行うべき空調機などの負荷側の機器を指す。重要管理点とする空調機は予め設定し、制御装置16内の記憶部22に記憶しておく。重要管理点とする空調機としては、上述のような制御要求条件の厳しい空調機の他、例えば、最も冷水が届きにくい(配管距離が長いあるいは冷水必要量のわりに配管の内径が小さすぎる)空調機などを設定してもよい。本実施の形態では、両空調機2a,2bを重要管理点に設定する場合を説明する。
冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、重要管理点として設定した負荷機(ここでは空調機2a,2b)において送り冷水と熱交換される媒体(ここでは空気)が冷却されて排出された後、予め定めた評価地点(ここでは空調空気の吹出口)において媒体によって行なわれる冷却の効果または媒体の冷却能力を示す温度(ここでは吹出温度tc1,tc2)が、所定期間、予め設定した目標値よりも所定温度以上高いときに、空調機2a,2bに送られる冷水量が増加する方向に、動力インバータ25aの運転周波数と冷水2次ポンプ25の運転台数とを制御するようにされている。
本実施の形態では、予め定めた評価地点において媒体によって行なわれる冷却の効果または冷却の能力を示す温度として、空調機2a,2bの吹出温度tc1,tc2を用いているが、これに限らず、例えば、空調機2a,2bが設置された室内の重要地点の乾球温度を用いてもよいし、負荷機が外気処理空調機の場合では吹き出し空気の露点温度、負荷機が生産用の冷却水を冷やす熱交換器の場合では冷やされた生産用の冷却水の送り温度を用いるようにしてもよい。
重要管理点として設定する負荷機としては、上述のように、冷水循環システム1の負荷機(ここでは空調機2a,2b)の全てを指定してもよいし、特に冷水が届き難いと予想される、または冷水が届き難かった実績がある負荷機、あるいは、媒体(水、または空気)によって行なわれる冷却効果または冷却能力を示す温度の変動を許容できる範囲が特に狭い負荷機を指定してもよい。
次に、冷水循環システム1の制御フローを図4〜7を用いて説明する。
冷水循環システム1では、冷凍機運転制御処理部17による冷凍機運転制御処理と、冷水2次ポンプ運転制御処理部31による冷水2次ポンプ運転制御処理とが同時に並行して実行される。
まず、冷水2次ポンプ運転制御処理について図4を用いて説明する。
図4に示すように、冷水2次ポンプ運転制御処理では、まず、制御装置16が、電源投入時であるかを判断する(S1)。このとき、制御装置16は、所定時間電源が投入されていないかどうかを判断することで、電源投入時であるかを判断する。つまり、瞬間停電後の復電時は電源投入時に含まれない。S1において電源投入時でないと判断された場合、S3に進む。
S1において電源投入時であると判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、予め設定した初期の冷水2次ポンプ25の台数PNを初期設定周波数HZINで起動する(S2)。
S3では、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、重要管理点に設定した空調機2a,2bが正常であるか判断する。より具体的には、例えば、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、5分以上「tc1−第1空調機2aの目標温度≧3℃」あるいは「tc2−第2空調機2bの目標温度≧3℃」の状態が持続したとき、重要管理点に設定した空調機2a,2bが正常でないと判断する。なお、ここでは空調機2a,2bの吹出温度tc1、tc2と目標温度との差が3℃以上であるときに、重要管理点に設定した空調機2a,2bが正常でないと判断するとしたが、空調機2a,2bの吹出温度tc1、tc2と目標温度との差については、適宜設定可能である。重要管理点に設定した空調機2a,2bが正常でないと判断された場合、S20に進む。
S3で重要管理点に設定した空調機2a,2bが正常であると判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、検出温度差ΔTが冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTd以下であるか判断する(S4)。検出温度差ΔTが冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTd以下でないと判断された場合、S13に進む。
S4で検出温度差ΔTが冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTd以下であると判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、検出温度差ΔTが設計定格温度差ΔTdよりも下側許容幅ΔTPL以上小さい値であるか判断する(S5)。検出温度差ΔTが設計定格温度差ΔTdよりも下側許容幅ΔTPL以上小さい値でないと判断された場合、S3に戻る。
S5で検出温度差ΔTが設計定格温度差ΔTdよりも下側許容幅ΔTPL以上小さい値であると判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、その維持時間を計測し、設定時間TL継続するかを判断する(S6)。設定時間TL継続しなければ、S3に戻る。
設定時間TL継続した場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、動力インバータ25aの運転周波数HZを、予め設定した周波数HZL下げる(S7)。
その後、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、動力インバータ25aの運転周波数HZが予め設定した最低周波数HZmin以上であるか判断する(S8)。動力インバータ25aの運転周波数HZが予め設定した最低周波数HZmin以上であると判断された場合、予め設定した効果待ち時間WT1が経過するまで待ち(S9)、S3に戻る。
S8で動力インバータ25aの運転周波数HZが予め設定した最低周波数HZmin以上でないと判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、冷水2次ポンプ25を減段して冷水2次ポンプ25の運転台数を1台減らし(S10)、運転中の冷水2次ポンプ25の送水圧力を揃え、かつ、減段以前と等しい送水圧力となるように、各動力インバータ25aを設定周波数HZNLに調整する(S11)。その後、予め設定した効果待ち時間WT3が経過するまで待ち(S12)、S3に戻る。
S4で検出温度差ΔTが冷凍機3a,3bの設計定格温度差ΔTd以下でないと判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、検出温度差ΔTが設計定格温度差ΔTdよりも上側許容幅ΔTPU以上大きい値であるか判断する(S13)。検出温度差ΔTが設計定格温度差ΔTdよりも上側許容幅ΔTPU以上大きい値でないと判断された場合、S3に戻る。
S13で検出温度差ΔTが設計定格温度差ΔTdよりも上側許容幅ΔTPU以上大きい値であると判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、その維持時間を計測し、設定時間TU継続するかを判断する(S14)。設定時間TU継続しなければ、S3に戻る。
設定時間TU継続した場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、動力インバータ25aの運転周波数HZを、予め設定した周波数HZU上げる(S15)。
その後、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、動力インバータ25aの運転周波数HZが予め設定した最高周波数HZmax以下であるか判断する(S16)。動力インバータ25aの運転周波数HZが予め設定した最高周波数HZmax以下であると判断された場合、予め設定した効果待ち時間WT2が経過するまで待ち(S17)、S3に戻る。
S16で動力インバータ25aの運転周波数HZが予め設定した最高周波数HZmax以下でないと判断された場合、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、冷水2次ポンプ25を増段して冷水2次ポンプ25の運転台数を1台増やし(S18)、運転中の冷水2次ポンプ25の送水圧力を揃え、かつ、増段以前と等しい送水圧力となるように、各動力インバータ25aを設定周波数HZNUに調整する(S19)。その後、予め設定した効果待ち時間WT3が経過するまで待ち(S12)、S3に戻る。
S3で重要管理点に設定した空調機2a,2bが正常でないと判断された場合、冷水2次ポンプ25の動力インバータを予め設定した周波数HZE上げて(S20)、S16に進む。
次に、冷凍機運転制御処理について図5〜7を用いて説明する。
図5に示すように、冷凍機運転制御処理では、まず、制御装置16が、電源投入時であるかを判断する(S21)。このとき、制御装置16は、所定時間電源が投入されていないかどうかを判断することで、電源投入時であるかを判断する。つまり、瞬間停電後の復電時は電源投入時に含まれない。S21において電源投入時でないと判断された場合、S24に進む。
S21において電源投入時であると判断された場合、制御装置16は、減段回数をリセットし(S22)、ステップ2をセットする(S23)。このとき、制御装置16は、第1冷凍機3aに停止信号を送信し、第2冷凍機3bに始動信号を送信する。なお、電源投入時には第1冷凍機3aは停止しているので、制御装置16は、第1冷凍機3aに停止信号を送信しないようにしてもよい。本実施の形態では、電源投入時にステップ2をセットするが、これに限らず、ステップ1やステップ3をセットするようにしてもよい。
その後、制御装置16は、タイマ1をリセットし、スタートする(S24)。タイマ1をスタートした後、制御装置16は、タイマ1が10分以上であるかどうか判断する(S25)。
S25において、タイマ1が10分以上でないと判断された場合、制御装置16は、現在のステップがステップ3であるかどうか判断する(S26)。S26において、現在のステップがステップ3でないと判断された場合、増段制御処理部18が、増段制御処理(詳細は後述する)を実行し(S27)、増段制御処理が終了したらS28に進む。また、S26において現在のステップがステップ3であると判断された場合、ステップ3からさらに増段することはできないため、S27の増段制御処理を行わずにS28に進む。S28では、制御装置16は、動作中の冷凍機3a,3bの各熱源側温度センサ12a,12b,13a,13bにて送り冷水の温度ts1,ts2と還り冷水の温度tr1,tr2を検出する。その後、制御装置16は、検出した送り冷水の温度ts1,ts2と還り冷水の温度tr1,tr2を基に、上述の式(3)により熱源側平均温度差ΔThを算出し、得られた熱源側平均温度差ΔThを記憶部(RAM)22に記憶し(S29)、S21に戻る。
S25において、タイマ1が10分以上であると判断された場合、制御装置16は、現在のステップがステップ1であるかどうか判断する(S30)。S30において、現在のステップがステップ1でないと判断された場合、減段制御処理部19が、減段制御処理(詳細は後述する)を実行し(S31)、減段制御処理が終了したらS24に戻り、タイマ1をリセットする。また、S30において現在のステップがステップ1であると判断された場合、ステップ1からさらに減段することはできないため、S31の減段制御処理を行わずにS24に戻り、タイマ1をリセットする。つまり、本実施の形態では、タイマ1を用いて、10分ごとに減段制御処理を実行して、減段を行うか否かを判断するようにしている(ただし、ステップ1でない場合)。減段制御処理を実行する時間間隔は10分に限定されず、適宜設定可能である。
次に、S27の増段制御処理について詳細に説明する。
図6に示すように、増段制御処理では、まず、増段制御処理部18は、現在のステップがステップ1であるかを判断する(S41)。
S41でステップ1であると判断された場合、増段制御処理部18は、タイマ2をリセット・スタート(S42)した後、送水温偏差ΔTsがΔTsmax(ここでは1℃)以上であるか判断する(S43)。ステップ1では、第1冷凍機3aのみが動作しているので、送水温偏差ΔTsは、ΔTs=ts−ts1となる。S43でYESと判断された場合、タイマ2が5分以上であるか判断し(S44)、5分未満であればS43に戻り、5分以上であればS49に進む。つまり、5分以上「ΔTs≧1℃」の状態が持続したときに、第1の増段条件を満たしたとしてS49に進む。
S43でNOと判断された場合、すなわち、第1の増段条件を満たさないと判断された場合、増段制御処理部18は、タイマ4をリセット・スタート(S45)した後、第1冷凍機3aの送り冷水の温度ts1が所定温度tsmax(ここでは8℃)以上であるか(S46)、第1冷凍機3aにおける送り冷水の温度ts1と還り冷水の温度tr1との温度差ΔT1が所定温度ΔTmax(ここでは5℃)以上であるかを判断する(S47)。S46,S47で共にYESと判断された場合、タイマ4が5分以上であるか判断し(S48)、5分未満であればS46に戻り、5分以上であればS49に進む。つまり、5分以上「ts1≧8℃」、「ΔT1≧5℃」の状態が持続したときに、第2の増段条件を満たしたとしてS49に進む。
S46,S47のいずれかでNOと判断された場合、増段制御処理部18は、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上であるか判断する(S67)。S67で第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上と判断された場合、第3の増段条件を満たしたとしてS49に進む。S67で第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上でないと判断された場合、増段制御処理を終了する。
S49では、増段制御処理部18は、タイマ6をリセット・スタートし、その後、ステップ2をセットする(S50)。つまり、ステップ1からステップ2に増段する。このとき、増段制御処理部18は、第1冷凍機3aに停止信号を送信し、第2冷凍機3bに始動信号を送信する。ステップ2をセットした後、増段による効果を反映させるため、タイマ6が20分となるまで待ち(S51)、増段制御処理を終了する。
S41でステップ1でない(つまりステップ2)と判断された場合、増段制御処理部18は、タイマ3をリセット・スタート(S52)した後、送水温偏差ΔTsがΔTsmax(ここでは1℃)以上であるか判断する(S53)。ステップ2では、第2冷凍機3bのみが動作しているので、送水温偏差ΔTsは、ΔTs=ts−ts2となる。S53でYESと判断された場合、タイマ3が5分以上であるか判断し(S54)、5分未満であればS53に戻り、5分以上であればS59に進む。つまり、5分以上「ΔTs≧1℃」の状態が持続したときに、第1の増段条件を満たしたとしてS59に進む。
S53でNOと判断された場合、すなわち、第1の増段条件を満たさないと判断された場合、増段制御処理部18は、タイマ5をリセット・スタート(S55)した後、第2冷凍機3bの送り冷水の温度ts2が所定温度tsmax(ここでは8℃)以上であるか(S56)、第2冷凍機3bにおける送り冷水の温度ts2と還り冷水の温度tr2との温度差ΔT2が所定温度ΔTmax(ここでは5℃)以上であるかを判断する(S57)。S56,S57で共にYESと判断された場合、タイマ5が5分以上であるか判断し(S58)、5分未満であればS56に戻り、5分以上であればS59に進む。つまり、5分以上「ts2≧8℃」、「ΔT2≧5℃」の状態が持続したときに、第2の増段条件を満たしたとしてS59に進む。
S56,S57のいずれかでNOと判断された場合、増段制御処理部18は、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上であるか判断する(S68)。S68で第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上と判断された場合、第3の増段条件を満たしたとしてS59に進む。S68で第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上でないと判断された場合、増段制御処理を終了する。
S59では、増段制御処理部18は、タイマ7をリセット・スタートし、その後、ステップ3をセットする(S60)。つまり、ステップ2からステップ3に増段する。このとき、増段制御処理部18は、第1冷凍機3aに始動信号を送信し、第2冷凍機3bに始動信号を送信する。なお、ステップ2で第2冷凍機3bは動作しているので、増段制御処理部18は、第2冷凍機3bに始動信号を送信しないようにしてもよい。ステップ3をセットした後、増段による効果を反映させるため、タイマ7が20分となるまで待ち(S61)、増段制御処理を終了する。
次に、S31の減段制御処理について詳細に説明する。
図7に示すように、減段制御処理では、まず、減段制御処理部19は、記憶部(RAM)22に記憶されている直前30分における熱源側平均温度差ΔThの平均値、すなわち平均熱源側平均温度差ΔTaveを算出する(S71)。その後、減段制御処理部19は、現在のステップがステップ3であるかを判断する(S72)。
S72でステップ3であると判断された場合、減段制御処理部19は、減段条件を満たすか否かを判断する(S73)。「現在の熱源側の総冷却能力」はステップ3の総冷却能力700RT、「減段後の熱源側の総冷却能力」はステップ2の総冷却能力400RTであるから、減段条件は下式(8)
ΔTave×(700RT÷400RT)≦ΔTd×α ・・・(8)
但し、ΔTd:冷凍機の設計定格温度差(5℃)
α:余裕率(80%)
で表される。ここでは、余裕率αを80%としたが、余裕率は適宜設定可能である。S73にて減段条件を満たさないと判断された場合、減段制御処理を終了する。
S73にて減段条件を満たすと判断された場合、減段制御処理部19は、減段回数が減段回数上限値(ここでは6回)以上かどうかを判断する(S74)。S74にて減段回数が減段回数上限値(6回)以上と判断された場合、減段制御処理を終了する。
なお、本実施の形態では、減段回数は、電源投入時にリセットされるため、電源投入後に減段が行われた回数となっている。つまり、本実施の形態では、冷水循環システム1の電源が1日に1回投入される(例えば、朝に電源を投入して、夜に電源を落とす)ことを前提としているが、例えば、冷水循環システム1が毎日24時間稼働する場合などについては、減段回数をリセットする時間(例えば午前0時)を設定しておき、24時間ごとに減段回数がリセットされるようにしてもよい。
S74にて減段回数が減段回数上限値(6回)以上でないと判断された場合、減段制御処理部19は、タイマ8をリセット・スタート(S75)した後、ステップ2をセットする(S76)。つまり、ステップ3からステップ2に減段する。このとき、減段制御処理部19は、第1冷凍機3aに停止信号を送信し、第2冷凍機3bに始動信号を送信する。なお、ステップ3で第2冷凍機3bは動作しているので、減段制御処理部19は、第2冷凍機3bに始動信号を送信しないようにしてもよい。
ステップ2をセットした後、減段制御処理部19は、減段回数をインクリメントし(S77)、その後、減段による効果を反映させるため、タイマ8が20分となるまで待ち(S78)、減段制御処理を終了する。
S72でステップ3でない(つまりステップ2)と判断された場合、減段制御処理部19は、減段条件を満たすか否かを判断する(S79)。「現在の熱源側の総冷却能力」はステップ2の総冷却能力400RT、「減段後の熱源側の総冷却能力」はステップ1の総冷却能力300RTであるから、減段条件は下式(9)
ΔTave×(400RT÷300RT)≦ΔTd×α ・・・(9)
但し、ΔTd:冷凍機の設計定格温度差(5℃)
α:余裕率(80%)
で表される。S79にて減段条件を満たさないと判断された場合、減段制御処理を終了する。
S79にて減段条件を満たすと判断された場合、減段制御処理部19は、減段回数が減段回数上限値(6回)以上かどうかを判断する(S80)。S80にて減段回数が減段回数上限値(6回)以上と判断された場合、減段制御処理を終了する。
S80にて減段回数が減段回数上限値(6回)以上でないと判断された場合、減段制御処理部19は、タイマ9をリセット・スタート(S81)した後、ステップ1をセットする(S82)。つまり、ステップ2からステップ1に減段する。このとき、減段制御処理部19は、第1冷凍機3aに始動信号を送信し、第2冷凍機3bに停止信号を送信する。
ステップ1をセットした後、減段制御処理部19は、減段回数をインクリメントし(S83)、その後、減段による効果を反映させるため、タイマ9が20分となるまで待ち(S84)、減段制御処理を終了する。
本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係る冷水循環システム1では、冷凍機運転制御処理部17の増段制御処理部18が、下式(10)
ΔTs={(ts−ts1)×C1+(ts−ts2)×C2}/(C1+C2)・・・(10) 但し、ts:第2送りヘッダ26での送り冷水の温度
s1:第1冷凍機3aに係る送り冷水の温度
s2:第2冷凍機3bに係る送り冷水の温度
1:第1冷凍機3aの冷却能力300RT(停止中は0とする)
2:第2冷凍機3bの冷却能力400RT(停止中は0とする)
で表される送水温偏差ΔTsが所定温度以上であるという第1の増段条件を所定期間満たすとき、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御している。
例えば、重要管理点に設定した空調機2a,2bにおける吹出温度tc1,tc2が目標温度より高くなった場合など、冷水2次ポンプ運転制御処理部31が冷水2次ポンプ25の流量の合計値を増加させたとき、冷水2次ポンプ25の流量の合計値が冷水1次ポンプ4a,4bの流量の合計値よりも大きくなると、バイパス管14を逆流方向に還り冷水が流れることになる。すると、第1送りヘッダ24にて、冷凍機3a,3bからの送り冷水に温度の高い還り冷水が混合され、空調機2a,2bに送られる送り冷水の温度が高くなる。その結果、空調機2a,2bにおける吹出温度tc1,tc2がさらに高くなり、これを受けて冷水2次ポンプ運転制御処理部31が冷水2次ポンプ25の流量の合計値を増加させ、バイパス管14を逆流方向に流れる還り冷水の量が増加する、といった悪循環が発生する。このような悪循環の発生を防止するためには、バイパス管14を逆流方向に流れる還り冷水の量をどの程度まで許容するかが重要なポイントとなる。
冷水循環システム1では、バイパス管14を逆流方向に流れる還り冷水が混合した第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsから、各冷凍機が送る冷水の温度ts1、ts2を減じた差を求め、その差を各冷凍機能力C1、C2により重み付けした平均値としての送水温偏差ΔTsを監視する。この送水温偏差ΔTsが所定温度以上であるとき、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御している。
つまり、冷水循環システム1では、バイパス管14を逆流方向に流れる還り冷水をある程度の量まで許容し、負荷機である空調機2a,2bに悪影響を及ぼす程度まで空調機2a,2bに送られる送り冷水の温度が上昇したときに、はじめて冷凍機3a,3bの運転台数を増加(増段)させるようにしている。
これにより、コストの高い流量計を用いることなく、冷水1次ポンプ4a,4b、冷水2次ポンプ25の流量バランスを考慮して、冷凍機3a,3bの運転台数を適切に制御することが可能となる。その結果、熱源機の補機類も最少運転台数とすることができ、設備コストを低減すると共に、システム全体として効率的な省エネルギーを実現することが可能となる。
さらに、冷水循環システム1では、冷凍機運転制御処理部17の増段制御処理部18にて、動作中の所定の冷凍機3a(又は/及び3b)の状態を監視し、送り冷水ts1(またはts2)の温度が所定温度tsmax以上であり、かつ、還り冷水の温度tr1(またはtr2)から送り冷水の温度ts1(またはts2)を減じた熱源側温度差ΔT1(またはΔT2)が所定温度ΔTmax以上であるという第2の増段条件を所定期間満たすとき、第1の増段条件にかかわらず、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御するようにしている。
冷凍機3a,3bの出口側の温度(送り冷水の温度ts1(またはts2))だけでなく、還り冷水の温度tr1(またはtr2)と送り冷水の温度ts1(またはts2)との差である熱源側温度差ΔT1(またはΔT2)を監視することにより、各冷凍機3a,3bが本当に現在発揮可能な冷却能力の上限近くに達しているか(つまり熱源側温度差ΔT1(またはΔT2)が設計定格温度差ΔTdにどれくらい近く(高く)なっているか)を判断することが可能となる。よって、流量計を用いることなく、当該冷凍機の冷却能力を発揮可能な上限の能力近くまで使用することが可能となり、システム全体として効率的な省エネルギーを実現することが可能となる。
さらに、冷水循環システム1では、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsが所定温度以上であるという第3の増段条件を満たすとき、第1の増段条件、第2の増段条件にかかわらず、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御するようにしている。これにより空調機2a,2bに供給される送り冷水の温度を冷却力が充分に確保される所定の温度未満に常に維持できるため、空調機2a,2bに供給される送り冷水の温度が高くなって送り冷水の量が増加し、その結果バイパス管14を逆流する還り冷水の量が増える、という悪循環が生じるおそれが更に少なくなる。
また、冷水循環システム1では、増段あるいは減段の制御を行った後、当該制御による効果を反映させるための時間である効果待ち時間を経るまでは、次回の増段あるいは減段の制御を実行しないようにしている。これにより、増段あるいは減段の効果が反映される前に次の増段や減段がなされてしまうことを防止できる。
さらに、冷水循環システム1では、制御装置16の記憶部22に、予め熱源側の総冷却能力が互いに異なるように、動作させる冷凍機(3a又は/及び3b)を割り付けた複数のステップを設定しておき、増段制御処理部18にて、第1の増段条件あるいは第2の増段条件を所定期間満たすとき、複数のステップのうち現状のステップから、当該現状のステップよりも熱源側の総冷却能力が大きい所定のステップに移行し、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が増加する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御するようにしている。
複数のステップ毎に冷凍機を割り付けるというアルゴリズムを採用することにより、制御設計が容易となり、汎用性を向上させることができる。換言すれば、制御装置16の記憶部22に、複数のステップが設定し、複数のステップ毎に、熱源側の総冷却能力が互いに異なるように、動作させる一台以上の熱源機を選択して割り付け、該割り付け結果に基づいて各熱源機の運転に関する指示信号(始動信号、停止信号)を発信する部分をサブルーチン化することにより、例えば、本実施の形態の冷水循環システムを別の工場に採用しようとする際、ステップの数を変える必要が無い場合には、メインルーチン、増段制御処理、減段制御処理をそのまま流用することができるため、非常にシステム構築がし易いというメリットがある。
さらにまた、冷水循環システム1では、下式(11)
ΔTh×(現在の熱源側の総冷却能力÷減段後の熱源側の総冷却能力)≦ΔTd×α ・・・(11)
但し、ΔTd:冷凍機の設計定格温度差
α:余裕率(%)
で表される減段条件を満たすとき、熱源側の総冷却能力が減少すると同時に冷凍機3a,3bを通過する冷水の総流量が減少する方向に冷凍機3a,3bの運転を制御する減段制御処理部19を備えているため、流量計を用いることなく、当該冷凍機の発揮可能な上限の冷却能力近くまで使用することを可能とし、かつ、減段時に熱源側の冷却能力に過剰の余裕が発生しないで、あらかじめ意図した適切な余裕があるように制御することが可能となる。よって、効率的な省エネルギーを実現することができる。
また、冷水循環システム1では、冷水2次ポンプ運転制御処理部31にて、第2送りヘッダ26での送り冷水の温度tsと還りヘッダ23での還り冷水の温度trとの温度差ΔTを、冷凍機3a,3bの設計定格温度差に近づけるように、動力インバータ25aの運転周波数と冷水2次ポンプ25の運転台数とを制御するようにしているため、コストの高い流量計を用いることなく、冷水2次ポンプ25の搬送動力を削減でき、設備コストをより低減し、より効率的な省エネルギーを実現できる。
またさらに、冷水循環システム1では、重要管理点に設定した空調機(2a又は/及び2b)において、所定期間、吹出温度(tc1又は/及びtc2)が、予め設定した目標温度よりも所定温度以上高いときに、空調機2a,2bに送られる冷水量が増加する方向に、動力インバータ25aの運転周波数と冷水2次ポンプ25の運転台数とを制御するようにしている。
つまり、冷水2次ポンプ運転制御処理部31は、設定した重要管理点の空調機において吹出温度が目標温度よりも所定温度以上高くなったとき、冷水2次ポンプ25の流量の合計値を大きくする。このとき、冷水1次ポンプ4a,4bの流量の合計値よりも冷水2次ポンプ25の流量の合計値の方が大きくなれば、バイパス管14にて逆流方向に還り冷水が流れてしまうことになるが、バイパス管14を逆流する還り冷水の量が増加し、送水温偏差ΔTが所定温度以上となれば、冷凍機運転制御処理部17が冷凍機の運転台数を増加させる(増段する)ことになる。
よって、設定した重要管理点の空調機において、(実際は、冷却上、とりわけ厳しい条件の下にあるとして定められた重要管理点が冷却される限り、重要管理点として指定されないものも含む全ての負荷機においての)冷却を確実に必要かつ充分に維持することが可能となる。
本発明の他の実施の形態を説明する。
図8に示す冷水循環システム71は、基本的に図1の冷水循環システム1と同じ構成であり、3台の冷凍機3a〜3cを備える点、およびステップ1〜3の設定(冷凍機3a〜3cの割り付けの設定)が異なる。
各冷凍機3a〜3cの前段部分には、冷凍機3a〜3cの冷却能力C1〜C3に比例した流量v1〜v3の固定流量型のポンプ4a〜4cがそれぞれ設けられている。また、各冷凍機3a〜3cには、各冷凍機3a〜3cを挟むように、熱源側出口センサ12a〜12cと熱源側入口温度センサ13a〜13cが設けられている。各冷凍機3a〜3cの設計定格温度差T1〜T3は、全て同じ設計定格温度差ΔTd=5℃である。
また、冷水循環システム71では、負荷側排出管41a,41bは負荷側排出メイン管45を介して還りヘッダ23に接続されており、空調機2a,2bから排出された還り冷水は、負荷側排出管41a,41b、負荷側排出メイン管45を介して還りヘッダ23に排出されるようになっている。
同様に、熱源側供給管44a〜44cは熱源側供給メイン管46を介して還りヘッダ23に接続されており、空調機2a〜2cから還りヘッダ23に排出された還り冷水は、熱源側供給メイン管46、熱源側供給管44a〜44cを介して冷凍機3a〜3cに供給されるようになっている。また、熱源側排出管43a〜43cは熱源側排出メイン管47を介して第1送りヘッダ24に接続されており、冷凍機3a〜3cから排出された送り冷水は、熱源側排出管43a〜43c、熱源側排出メイン管47を介して第1送りヘッダ24に排出されるようになっている。
負荷側供給管42a,42bは、負荷側供給メイン管48を介して第2送りヘッダ26に接続されており、第2送りヘッダ26からの送り冷水は、負荷側供給メイン管48、負荷側供給管42a,42bを介して、空調機2a,2bに供給されるようになっている。流量バランス調整用二方弁30は、負荷側供給管42a,42bの負荷側供給メイン管48側(上流側)の端部にそれぞれ設けられている。
この冷水循環システム71では、図9に示すように、制御装置16には、負荷側温度センサ5a,5bで検出した吹出温度tc1,tc2、負荷側送り冷水温度センサ28で検出した第2送りヘッダ26での送り冷水の温度ts、負荷側還り冷水温度センサ29で検出した還りヘッダ23での還り冷水の温度tr、熱源側出口温度センサ12a〜12cで検出した送り冷水の温度ts1〜ts3、および熱源側入口温度センサ13a〜13cで検出した還り冷水の温度tr1〜tr3が入力される。
図10に示すように、ステップ1では、第1冷凍機3aのみを動作させ、第2冷凍機3b、第3冷凍機3cを停止することとする。つまり、ステップ1では、総流量V=v1となり、熱源側の総冷却能力は第1冷凍機3aの冷却能力C1(300RT)と等しくなる。
ステップ2では、第1冷凍機3aと第2冷凍機3bを動作させることとする。つまり、ステップ2では、総流量V=v1+v2となり、熱源側の総冷却能力は第1冷凍機3aの冷却能力C1(300RT)と第2冷凍機3bの冷却能力C2(400RT)との和、すなわちC1+C2=700RTとなる。
同様に、ステップ3では、第1冷凍機3a〜第3冷凍機3cを全て動作させることとする。つまり、ステップ3では、総流量V=v1+v2+v3となり、熱源側の総冷却能力は第1冷凍機3aの冷却能力C1(300RT)と第2冷凍機3bの冷却能力C2(400RT)と第3冷凍機3cの冷却能力C3(500RT)との和、すなわちC1+C2+C3=1200RTとなる。
つまり、本実施の形態では、ステップ1、ステップ2、ステップ3の順に冷凍機の運転台数を増加させ、熱源側の総冷却能力が増加するように各ステップ1〜3を設定している。
次に、冷水循環システム71における制御フローを説明する。なお、冷水2次ポンプ制御処理部31による冷水2次ポンプ運転制御処理の制御フローは、図4で説明した冷水循環システム1における冷水2次ポンプ運転制御処理の制御フローと同様であるため、ここでは説明を省略する。
図11に示すように、冷水循環システム71における冷凍機運転制御処理の制御フローは、基本的に図5で説明した冷水循環システム1の冷凍機運転制御処理の制御フローと同じである。なお、冷水循環システム71では、3台の冷凍機3a〜3cを備えているため、S29で算出する熱源側平均温度差ΔThは、[数3]に示す式(12)で与えられる。ここでは、冷凍機の台数が3台であるため、式(12)におけるnは3となる。なお、図11では、図の簡略化のため、冷凍機3a〜3cに始動信号および停止信号を送信する部分の制御フローを省略している。
Figure 2011064438
図12に示すように、冷水循環システム71における増段制御処理は、基本的に図6で説明した冷水循環システム1の増段制御処理と同じであるが、ステップ2からステップ3に増段するときの制御フロー(ステップ2からステップ3に増段するときの第1の増段条件、第2の増段条件に相当する部分の制御フロー)が異なる。なお、図12では、図の簡略化のため、冷凍機3a〜3cに始動信号および停止信号を送信する部分の制御フロー、および第3の増段条件に相当する部分の制御フローを省略している。
冷水循環システム71では、S41でステップ1でない(つまりステップ2)と判断された場合、増段制御処理部18は、タイマ3をリセット・スタート(S52)した後、[数4]に示す式(13)で表される送水温偏差ΔTsがΔTsmax(ここでは1℃)以上であるか判断する(S62)。ここでは、冷凍機の台数が3台であるため、式(13)におけるnは3となる(但し、ステップ2では第3冷凍機3cは停止しているためC3=0となる)。
Figure 2011064438
S62でYESと判断された場合、タイマ3が5分以上であるか判断し(S54)、5分未満であればS62に戻り、5分以上であればS59に進む。つまり、5分以上「ΔTs≧1℃」の状態が持続したときに、第1の増段条件を満たしたとしてS59に進む。
S62でNOと判断された場合、すなわち、第1の増段条件を満たさないと判断された場合、増段制御処理部18は、タイマ5をリセット・スタート(S55)した後、第1冷凍機3aの送り冷水の温度ts1が所定温度tsmax(ここでは8℃)以上であるか(S63)、第1冷凍機3aにおける送り冷水の温度ts1と還り冷水の温度tr1との温度差ΔT1が所定温度ΔTmax(ここでは5℃)以上であるかを判断する(S64)。S63,S64で共にYESと判断された場合、S58に進む。
S63あるいはS64でNOと判断された場合、増段制御処理部18は、第2冷凍機3bの送り冷水の温度ts2が所定温度tsmax(ここでは8℃)以上であるか(S65)、第2冷凍機3bにおける送り冷水の温度ts2と還り冷水の温度tr2との温度差ΔT2が所定温度ΔTmax(ここでは5℃)以上であるかを判断する(S66)。S65,S66で共にYESと判断された場合、S58に進む。S65あるいはS66でNOと判断された場合、増段制御処理を終了する。
S58では、タイマ5が5分以上であるか判断し、5分未満であればS62に戻り、5分以上であれば、タイマ7をリセット・スタート(S59)した後、ステップ2からステップ3に増段する(S60)。
つまり、冷水循環システム71では、「ts1≧8℃」かつ「ΔT1≧5℃」の状態、あるいは、「ts2≧8℃」かつ「ΔT2≧5℃」の状態が5分以上持続されたときに、第2の増段条件を満たしたとして増段する。このように、動作中の冷凍機が複数あるときは、増段制御処理部18は、動作中の冷凍機(ここでは冷凍機3a、3b)のうち1台でも第2の増段条件を所定期間満たしていれば、増段を実行するようにしてもよい。
図13に示すように、冷水循環システム71における減段制御処理は、S73,S79の減段条件においてステップ1〜3の総冷却能力が異なるのみで、基本的に図7で説明した冷水循環システム1の減段制御処理と同じである。なお、図13では、図の簡略化のため、冷凍機3a〜3cに始動信号および停止信号を送信する部分の制御フローを省略している。
上記実施の形態では、冷凍機の台数が2台、あるいは3台である場合を説明したが、これに限らず、冷凍機の台数は4台以上であってもよい。なお、動作中の冷凍機が3台以上ある場合、図12の増段制御処理におけるステップ2からステップ3に増段するときの第2の増段条件に相当する部分の制御フローを、動作中の冷凍機の台数に応じた段数(図12の制御フローでは、動作中の冷凍機が2台であるため、S63,S64で1段、S65,S66で1段と合計2段になっている)に変更することにより、動作中の冷凍機のうち1台でも第2の増段条件を所定期間満たしていれば増段を実行することが可能となる。
また、上記実施の形態では、ステップの数を3とした場合を説明したが、これに限らず、ステップの数は任意に設定する事が可能である。
上記実施の形態では、冷凍機運転制御処理部17と負荷側制御処理部20と冷水2次ポンプ運転制御処理部31とを1つの制御装置16に設けた場合を説明したが、それぞれ別個の制御装置に設けるようにしてもよい。例えば、負荷側制御処理部20のみを別の制御装置に設ける場合、負荷側温度センサ5a,5bからの制御ライン21を分岐して、各制御装置に接続するようにすればよい。
また、上記実施の形態では、停電時処理について説明しなかったが、停電時に減段回数と現在のステップとを記憶部22に記憶させ、復電時に停電前の状況を再現する停電時処理部を制御装置16に備えるようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態では、最も総冷却能力が高いステップ(ステップ3)では増段制御処理を行わず、第1の増段条件、第2の増段条件を満たすか否かを判断しなかったが、最も総冷却能力が高いステップ(ステップ3)においても増段制御処理部18にて第1の増段条件、第2の増段条件を満たすか判断し、第1の増段条件、第2の増段条件を満たす場合、管理者にメールなどで通知するようにしてもよい。これにより、冷凍機に負荷がかかり過ぎていることを管理者に通知し、負荷側の熱の発生量を減らす対応を取ることなどで冷凍機の故障を未然に防止することが可能となる。
また、上記実施の形態では、増段制御処理部18あるいは減段制御処理部19におけるステップの移行順序を一定としたが、これに限定されない。つまり、ステップ1からステップ3に移行するようにしてもよい(これはステップ2に必須の冷凍機がメンテナンスで停止中であるときなどに起き得る)。なお、増段・減段は増台数・減台数を意味するのではなく、冷凍機の冷却能力の組合せによっては、増段であっても運転台数が減る場合もある。
さらに、上記実施の形態では、冷凍機として異なる冷却能力のものを用いたが、冷却能力が同じ冷凍機を複数用いるようにしてもよい。この場合、各冷凍機の動作・停止回数の偏りをなるべく少なくするために、使用する冷凍機をローテーションすることが望ましい。この場合、各ステップには冷凍機の運転台数のみを設定し、使用する冷凍機はローテーションで選択されるようにすればよい。
また、ここでは冷水循環システム1の熱源機を冷凍機に限って説明したが、実際に利用できる設備としては、1台で冷水と温水の両方を発生させうる機器(冷温水発生機)の冷却機能を使っている場合や、冷水の利用温度域が高い設備の場合(たとえば、30℃以上)などには冷水の製造に、いわゆる冷凍機を使用せず、冷却塔(クーリングタワー)などの、よりエネルギー消費が少ない冷水製造機器のみを使用する場合がある。このような冷水循環システムに関しても同様の制御手法が当てはまるものであり、そのような形態の変更は全て含むものとする。
また、上記実施の形態では、負荷側送り冷水温度センサ28を第2送りヘッダ26に設けた場合を示したが、第1送りヘッダ24に設けても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
また、上記実施の形態では、複数の冷水2次ポンプ25を第1送りヘッダ24と第2送りヘッダ26の間に設けたが、第2送りヘッダ26を省略して、複数の冷水2次ポンプ25を負荷側供給管42a,42b毎に設ける構成としても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。なお、この構成の場合、負荷側送り冷水温度センサ28は、第1送りヘッダ24に設ける。
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
1 冷水循環システム
2a,2b 空調機(負荷機)
3a,3b 冷凍機(熱源機)
4a,4b 冷水1次ポンプ
5a,5b 負荷側温度センサ
6a,6b 制御二方弁
12a,12b 熱源側出口温度センサ
13a,13b 熱源側入口温度センサ
16 制御装置
17 冷凍機運転制御処理部(熱源機運転制御処理部)
18 増段制御処理部
19 減段制御処理部
20 負荷側制御処理部
23 還りヘッダ(還り集合管)
24 第1送りヘッダ(第1の送り集合管)
25 冷水2次ポンプ(冷水加圧送水ポンプ)
25a 動力インバータ(可変調整機構)
26 第2送りヘッダ(第2の送り集合管)
27 リリーフ弁
28 負荷側送り冷水温度センサ
29 負荷側還り冷水温度センサ
30 流量バランス調整用二方弁
31 冷水2次ポンプ運転制御処理部(冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部)

Claims (15)

  1. 負荷側であって、送り冷水の供給を受け、還り冷水を還り集合管に排出する1つ以上の負荷機と、
    熱源側であって、前記還り冷水の供給を受け、該還り冷水を冷却して前記送り冷水として第1の送り集合管に排出する、冷水を発生しうる複数の熱源機と、
    熱源側の前記熱源機の前段部分において前記熱源機ごとに設けられ、前記負荷機から前記還り集合管に排出された前記還り冷水を前記熱源機へ供給する複数の冷水1次ポンプと、
    前記熱源機から前記第1の送り集合管に排出された前記送り冷水を前記負荷機へ供給する、送水圧力を可変調整するための可変調整機構を備えた冷水加圧送水ポンプと、
    前記第1の送り集合管と前記還り集合管とを接続するバイパス管と、
    前記冷水加圧送水ポンプの運転台数と前記可変調整機構とを制御する冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部を有する制御装置と、
    を備えた密閉系の冷水循環システムにおいて、
    前記複数の熱源機から排出される前記送り冷水が混合する混合部分に設けられ、該混合部分での前記送り冷水の温度tsを検出する負荷側送り冷水温度センサと、
    熱源側の前記複数の熱源機(第1熱源機、・・・、第n熱源機)の後段部分にそれぞれ設けられ、各熱源機に係る前記送り冷水の温度ts1〜tsnを検出する複数の熱源側出口温度センサとを備え、
    前記制御装置は、前記負荷側送り冷水温度センサおよび前記複数の熱源側出口温度センサを用いて前記複数の熱源機の運転(動作・停止)を制御する熱源機運転制御処理部を有しており、
    前記熱源機運転制御処理部は、[数1]に示す式(1)
    Figure 2011064438
    で表される送水温偏差ΔTsが所定温度以上であるという第1の増段条件を所定期間満たすとき、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御する増段制御処理部を有することを特徴とする冷水循環システム。
  2. 熱源側の前記複数の熱源機の前段部分にそれぞれ設けられ、各熱源機に係る前記還り冷水の温度を検出する複数の熱源側入口温度センサを備え、
    前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、
    動作中の所定の熱源機において、当該所定の熱源機の状態を監視し、
    前記動作中の所定の熱源機に係る前記送り冷水の温度が所定温度以上であり、かつ、前記動作中の所定の熱源機に係る還り冷水の温度から前記動作中の所定の熱源機に係る送り冷水の温度を減じた熱源側温度差が所定温度以上であるという第2の増段条件を所定期間満たすとき、
    前記第1の増段条件にかかわらず、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するようにされる請求項1記載の冷水循環システム。
  3. 前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、
    運転中の前記熱源機が複数台数あるときは、前記運転中の熱源機のうち1台でも前記第2の増段条件を所定期間満たしていれば、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御する請求項2記載の冷水循環システム。
  4. 前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、
    前記混合部分での前記送り冷水の温度tsが所定温度以上であるという第3の増段条件を満たすとき、
    前記増段条件にかかわらず、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御する請求項1〜3いずれかに記載の冷水循環システム。
  5. 前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、
    熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するとき、前記熱源機の運転台数を増加させる請求項1〜4いずれかに記載の冷水循環システム。
  6. 前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、
    熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御した後、当該制御による効果を反映させるための時間である効果待ち時間を経るまでは、次回の増段制御処理を実行しない請求項1〜5いずれかに記載の冷水循環システム。
  7. 前記制御装置の記憶部には、複数のステップが設定されており、前記複数のステップ毎に、熱源側の総冷却能力が互いに異なるように、動作させる一台以上の熱源機を選択して割り付け、
    前記熱源機運転制御処理部の前記増段制御処理部は、
    前記増段条件を所定期間満たすとき、前記複数のステップのうち現状のステップから、当該現状のステップよりも熱源側の総冷却能力が大きい所定のステップに移行し、熱源側の総冷却能力が増加すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が増加する方向に前記複数の熱源機の運転を制御するようにされる請求項1〜6いずれかに記載の冷水循環システム。
  8. 前記増段制御処理部によるステップの移行は、移行順序が一定である請求項7記載の冷水循環システム。
  9. 前記複数のステップ毎に、送水温偏差上限値を設定して前記制御装置の記憶部に記憶しておき、
    前記送水温偏差ΔTsが、現状のステップに設定された前記送水温偏差上限値以上であるときに、前記第1の増段条件を満たすとした請求項7または8記載の冷水循環システム。
  10. 前記複数の熱源機の設計定格温度差は、全て同じ設計定格温度差ΔTdであり、
    前記熱源機運転制御処理部は、動作中の所定の熱源機(第1熱源機、・・・、第n熱源機)の状態を監視し、[数2]に示す式(2)
    Figure 2011064438
    により熱源側平均温度差ΔThを算出し、下式(3)
    ΔTh×(現在の熱源側の総冷却能力÷減段後の熱源側の総冷却能力)≦ΔTd×α ・・・(3)
    但し、ΔTd:熱源機の設計定格温度差
    α:余裕率(%)
    で表される減段条件を満たすとき、
    前記複数のステップのうち現状のステップから、当該現状のステップよりも熱源側の総冷却能力が小さい所定のステップに移行し、熱源側の総冷却能力が減少すると同時に前記熱源機を通過する冷水の総流量が減少する方向に前記複数の熱源機の運転を制御する減段制御処理部をさらに備えた請求項7〜9いずれかに記載の冷水循環システム。
  11. 前記複数のステップ毎に、前記余裕率αを設定して前記制御装置の記憶部に記憶しておき、
    前記減段制御処理部は、現状のステップに設定された前記余裕率αを用いて前記減段条件を判断するようにされる請求項10記載の冷水循環システム。
  12. 前記複数の冷水1次ポンプは、自動的に前記負荷機の負荷に基づいて運転周波数を変化させることがない運転方式のポンプである請求項1〜11いずれかに記載の冷水循環システム。
  13. 前記複数の熱源機は、互いに異なる冷却能力であり、
    前記複数の冷水1次ポンプは、前記複数の熱源機の冷却能力の大きさに比例させた流量を送る運転周波数が固定型のポンプである請求項1〜11いずれかに記載の冷水循環システム。
  14. 前記還り集合管に設けられ、前記還り集合管での前記還り冷水の温度trを検出する負荷側還り冷水温度センサを備え、
    前記冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部は、前記混合部分での前記送り冷水の温度tsと前記還り集合管での前記還り冷水の温度trとの温度差を、前記熱源機の設計定格温度差に近づけるように、前記冷水加圧送水ポンプの運転台数と前記可変調整機構を制御するようにされる請求項1〜13いずれかに記載の冷水循環システム。
  15. 前記負荷機は、前記送り冷水を該送り冷水からの伝熱による冷却を必要とする媒体と熱交換させる熱交換器を有し、予め、1つ以上の前記負荷機を重要管理点として設定したものであって、
    前記冷水加圧送水ポンプ運転制御処理部は、前記重要管理点として設定した負荷機において前記媒体が冷却されて排出された後、予め定めた評価地点において前記媒体によって行われる冷却の効果または前記媒体の冷却能力を示す温度が、所定期間、予め設定した目標値よりも所定温度以上高いときに、前記混合部分での前記送り冷水の温度tsと前記還り集合管での前記還り冷水の温度trとの温度差を、前記熱源機の設計定格温度差に近づける制御に優先して、前記負荷機に送られる冷水量が増加する方向に、前記冷水加圧送水ポンプの運転台数と前記可変調整機構を制御するようにされる請求項14記載の冷水循環システム。
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