JP2011063523A - マスク用除菌/殺菌組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】マスクに対して除菌作用又は殺菌作用を示す組成物を提供する。
【解決手段】水及びアルコールを含む組成物であって、公定水分率12%以下の繊維を含むマスクの除菌又は殺菌のために用いられる組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、マスク用除菌/殺菌組成物に関する。
埃、若しくは病原体を含む飛沫の体内への侵入を防ぐため、又は咳、若しくはくしゃみにより体内から放出される飛沫の飛散を防ぐために、飛沫等を捕捉する性能を有する素材を使用したマスクが使用されている。
古くは織布などを重ね合わせたマスク(ガーゼマスク)が使用されてきた。近年では、飛沫等の捕捉能に優れるものとして不織布を使用したマスク(不織布製マスク)がガーゼマスクに代わって家庭用、医療用、産業用を問わず広く使用されている。
このようにマスクは衛生目的で使用されるものである。よって、予めマスクに細菌やウイルス等の微生物が存在していると問題が生じる。特に捕捉された微生物がそのまま生きた状態でマスクに残存している場合がある。この場合、繰り返し同じマスクを使用してしまうとこれらの微生物が体内に侵入するおそれがある。また、マスクに残存する微生物は不快臭の原因ともなる。
ガーゼマスクは洗濯することにより、いったん捕捉した微生物等を除菌又は殺菌することができる。しかしながら、洗濯には時間と労力を要するという問題があった。
また、不織布製マスクは洗濯することができないとされる。不織布製マスクにおいては、いったん捕捉した微生物等を除菌又は殺菌する術がないという問題があった。
本発明は、マスクに対して除菌作用又は殺菌作用を示す組成物を提供することを目的とする。
アルコールは除菌や殺菌のために幅広く使用されているものの一つである。しかしながら、もしマスクに対してアルコールを使用すると、乾燥後であってもわずかながら独特の不快な臭い(アルコール臭)が残存するおそれが懸念された。マスクは口と鼻を覆うものであり、かりにマスク自体が不快臭を発生するものであると、これを着用することによってその不快臭を吸入してしまうことになるので甚だ都合が悪い。発明者はこの点について予め検討し、実際にマスクに対してアルコールを使用するとアルコール臭が残存し、これを着用することによってアルコール臭が不快と感じられたことを確認した。このように、発明者は、アルコールをマスクに対して使用することには大きな問題があることを見出した。
しかしながら、発明者はさらに鋭意検討を重ねた結果、アルコールと水とを組み合わせた組成物を、公定水分率12%以下という特定の性質を有する繊維を含むマスクに適用(噴霧、塗布、浸漬等)して乾燥させると、(1)マスクに対して除菌/殺菌作用が発揮されるとともに、(2)マスクを構成している繊維同士が凝集することで、マスクの通気性が低下するという予期せぬ効果までもが得られることを見出した。そして、マスクの通気性の低下が、呼吸に合わせてマスクを通過する外気の量の低下につながり、これがさらにマスク上の残存アルコール臭をマスク使用者が吸入する量の低下、ひいては残存アルコール臭に起因する不快感を改善させることにまでつながることを見出した。さらには、(3)繊維が凝集することで、いわゆる繊維の目が詰まった状態となるため、飛沫等の捕捉能を向上させることができることを見出した。
また、本発明者は、さらに常温で結晶状であり、かつ水及び/又はアルコールに溶解する化合物を上の組成物に含有させることで、上の効果がより顕著に奏されることを確認した。
本発明はかかる知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
[項1]
水及びアルコールを含む組成物であって、
公定水分率12%以下の繊維を含むマスクの除菌又は殺菌のために用いられる組成物。
[項2]
さらに、常温で結晶状であり、かつ水及び/又はアルコールに溶解する化合物を含む項1記載の組成物。
[項3]
前記化合物が、モノテルペン、陽イオン性界面活性剤、フェノール化合物、パラベン、糖アルコール、糖、及びイオン結晶からなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、項2記載の組成物。
[項4]
前記化合物が、l−メントール、dl−カンフル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、クレゾール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、マルトース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びフッ化カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、項2記載の組成物。
[項5]
前記化合物を、0.1〜3重量%含有する、項2〜4のいずれか記載の組成物。
[項6]
マスクが公定水分率5%以下の繊維を含む、項1〜5のいずれか記載の組成物。
[項7]
マスクが不織布製である、項1〜6のいずれか記載の組成物。
本発明の水及びアルコールを含む組成物を公定水分率12%以下の繊維を含むマスクに対して用いることで、(1)アルコールによる優れた除菌又は殺菌効果を発揮しつつ、かつ、(2)マスクに残存するアルコール臭をマスク使用者によって吸引されにくくすることができ、さらには(3)飛沫等の捕捉性能を向上させることができる。
このため、従来は除菌又は殺菌のためには洗濯するしかなかったガーゼマスクなどの織布製マスクに対して本発明の組成物を使用することで、洗濯せずとも除菌又は殺菌することができ、洗濯に要する手間と時間を節約することができる。
また、従来は洗濯すら難しくそもそも使用後に除菌又は殺菌をすることが不可能とされてきた不織布製マスクに対して本発明の組成物を使用することで、使用後の除菌又は殺菌の手段を初めて提供できる。
(A)は、ポリプロピレン製繊維(公定水分率0%)に対して水を噴霧し、乾燥させた後の顕微鏡写真である。(B)は、同じ繊維に対して水:エタノール:メントール=20:70:10の組成物を同様に噴霧し、乾燥させた後の顕微鏡写真である(いずれも倍率=500倍)。なお、囲み線内は、複数の繊維間の凝集が特に顕著に現れている部分を示している。 (A)は、ナイロン製繊維(公定水分率4.5%)に対して水を噴霧し、乾燥させた後の顕微鏡写真である。(B)は、同じ繊維に対して水:エタノール:メントール=20:70:10の組成物を同様に噴霧し、乾燥させた後の顕微鏡写真である(いずれも倍率=500倍)。なお、囲み線内は、複数の繊維間の凝集が特に顕著に現れている部分を示している。
本発明の組成物は、水及びアルコールを含む組成物であって、公定水分率12%以下の繊維を含むマスクの除菌又は殺菌のために用いられる組成物である。
1.水及びアルコール
水は、例えば精製水、脱イオン水を用いることができる。
アルコールは、揮発性があり、除菌又は殺菌作用を示すものであればよく、とくに限定されないが、例えば、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノール等を挙げることができる。これらのアルコールは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、安全性及び公定水分率12%以下の繊維を含むマスクにおいて通気性が低下しやすい点からエタノールが特に好ましい。
組成物は水とアルコールの混合物であればよいが、アルコール含量が50〜90重量%の範囲内だと、除菌又は殺菌効果が高く、かつ公定水分率12%以下の繊維を含むマスクにおいて通気性が低下しやすいため好ましい。同様の理由で、アルコール含量が60〜80重量%であればより好ましい。
2.常温で結晶状であり、かつ水及び/又はアルコールに溶解する化合物
本発明の組成物において、常温で結晶状であり、かつ水及び/又はアルコールに溶解する化合物をさらに含むことによって、繊維が凝集した状態、すなわち通気性が低下した状態を維持しやすく、アルコール臭をより吸引されにくくすることができる。
常温で結晶状の化合物であれば特に制限されないが、例えば、モノテルペン、陽イオン性界面活性剤、フェノール化合物、パラベン、糖アルコール、糖、及びイオン結晶等が挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
モノテルペンとしては、例えば、l−メントール、及びdl−カンフルが挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
フェノール化合物としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、及びクレゾールが挙げられる。
パラベンとしては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、及びプロピルパラベンが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えば、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、及びソルビトールが挙げられる。
糖としては、例えば、スクロース、ラクトース、及びマルトースが挙げられる。
イオン結晶としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及びフッ化カルシウムが挙げられる。
これらの化合物の含有量は、本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定することができるが、0.1重量%以上であると、マスクに残存するアルコール臭をより吸引しにくくなるため好ましい。なお、これらの化合物の含有量が10重量%を超えると、組成物としてアルコール臭の吸引を抑える効果は十分にあるものの、化合物の単位配合量あたりの相乗効果が得られにくくなる点及び使用感の点から、0.1〜10重量%の範囲内とすることが好ましい。同じ観点から、0.1〜3重量%の範囲内とすることがより好ましい。また、化合物の中でも、特にエタノール臭を抑制する効果及び繊維の凝集状態を維持できる効果が大きい点並びに清涼感に優れる点からモノテルペンを使用することが好ましく、l−メントールやdl−カンフルを使用することがより好ましい。
3.その他の成分
本発明の組成物は、必要に応じてさらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、当該分野で従来公知のものを広く使用することができる。例えば防腐剤、消毒剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン系界面活性剤、酸化チタン、金属イオン、香料、植物由来等の天然オイル、シリコーン等を適宜選択して含有させることができる。
4.公定水分率12%以下の繊維を含むマスク
マスクは、家庭用、医療用、又は産業用など特に限定されない。
マスクは、織布製マスクであってもよいし、不織布製マスクであってもよい。
織布製マスクとは、ガーゼマスクなど、織布を重ね合わせたマスクである。
不織布製マスクとは、主に不織布からなるマスクである。不織布とは、繊維同士を織らずに積層して結合させた布のことをいう。不織布としては、好ましくはスパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、スパンレース法、ニードルパンチ法などの方法による不織布があげられ、より好ましくは、保形性の点からスパンボンド法による不織布で構成することができる。
本発明において、繊維を凝集させやすく、すなわちマスクの通気性を低下させやすくすることができることから不織布製マスクが好ましい。不織布製マスクの構造としては、1層又は2層以上とすることができ、例えばS層(スパンボンド単層)、SS層(スパンボンド−スパンボンドの2層構造)、SMS層(スパンボンド−メルトブロー−スパンボンドの3層構造)があげられる。
マスクを構成する織布又は不織布の繊維は、公定水分率12%以下の繊維を含む限り、通常マスクの材料として用いられるものであればよい。なお、公定水分率表は繊維製品品質表示規程、JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則及びJIS L 1030-2 繊維製品の混用率試験方法-第二部:繊維混用率に規定されている。そのような繊維としては、例えば、ポリプロピレン(公定水分率0%)、ポリエチレン(公定水分率0%)、ポリ塩化ビニル(公定水分率0%)、ポリエステル(公定水分率0.4%)、ポリウレタン(公定水分率1%)、アクリル(公定水分率2%)、トリアセテート(公定水分率3.5%)、ナイロン(公定水分率4.5%)、ビニロン(公定水分率5%)、アセテート(公定水分率6.5%)、アラミド(公定水分率7%)、綿(公定水分率8.5%)、レーヨン(公定水分率11%)、キュプラ(公定水分率11%)、パルプ(公定水分率11%)、麻(公定水分率12%)、絹(公定水分率12%)等が挙げられる。なかでも、繊維を凝集させやすく、すなわちマスクの通気性を低下させやすくすることができることから、公定水分率5%以下の繊維を含むマスクが好ましい。そのような繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、トリアセテート、ナイロン、又はビニロン等が挙げられる。
5.本発明の組成物の製造方法
本発明の組成物は、例えば、水及びアルコール等の各成分を混合することによって調製することができる。
6.本発明の組成物の使用方法
本発明の組成物は、公定水分率12%以下の繊維を含むマスクの除菌又は殺菌のために用いられる。上記マスクに対して本発明の組成物を噴霧、若しくは塗布等することにより、又は上記マスクを本発明の組成物に浸漬する等の方法により用いることができる。
噴霧又は塗布により使用する場合には、マスクの内側(顔に接する側)及び外側(外気側)のうちいずれに噴霧又は塗布してもよいし、どちらか一方のみに噴霧又は塗布してもよい。また、本体の内側にさらにインナーを重ね合わせて使用するマスクに対して本発明の組成物を用いる場合は、本体及びインナーの両方に対して用いてもよいし、いずれか一方に対してのみ用いてもよい。
噴霧又は塗布により使用する場合の使用量は、本発明の効果が奏される範囲内であればよく特に限定されるものではないが、例えば、一回当たり10〜1000μLであってもよい。
本発明の組成物を適用したマスクは、乾燥させてから装着して使用する。
以下に試験例、実施例、及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例にのみ限定されるものではない。なお、表中、特に示さない限り、単位は「重量%」である。
1.試験例1
(1)マスクの作製
表2及び表3に記載の繊維からなる2種類の不織布(スパンボンド法、目付け20g/m及び35g/m)を、外側20g/m、内側35g/mとなるように積層し、マスク形状に打ち抜いた後、周辺部を熱溶着してマスクとした。
(2)各種組成物の調製
表2及び表3に示す通り、アルコール、水及びメントールを混合、溶解し、各種組成物を調製した(比較例1〜4、実施例1〜9)。
(3)殺菌・殺ウイルス能の評価
調製した各種組成物について、それぞれ殺菌・殺ウイルス能を測定した。
殺菌能は、JIS Z 2801「抗菌性試験方法」を参考に、大腸菌、黄色ブドウ球菌、及びレンサ球菌に対し、各種組成物を15秒間作用させた後の生菌数を測定した。その結果、抗菌活性率2.0以上(滅菌率99%以上)の場合には「◎」、抗菌活性率1.0以上から2.0未満(滅菌率90%以上から99%未満)の場合には「○」、それ以下の場合には「×」と判定した。
殺ウイルス能は、インフルエンザウイルスに対し、各種組成物を15秒間作用させた後に細胞へ感染させ、細胞の感染率からウイルスの感染能力(感染価)を測定する方法(TCID50)で測定した。その結果、感染価低下率2.0以上(殺ウイルス率99%以上)の場合には「◎」、感染価低下率1.0以上から2.0未満(殺ウイルス率90%以上から99%未満)の場合には「○」、それ以下の場合には「×」と判定した。
殺菌能・殺ウイルス能の結果にもとづいて、以下の表1に従い、総合判定した。結果を表2及び表3に示す。
Figure 2011063523
(4)マスクの通気性の変化
調製した各種組成物0.8gをそれぞれ各マスクに対して噴霧し、乾燥させた。なお、対照例として、水のみを噴射、乾燥させたマスクを別に用意した。
乾燥後に、対照例を含む全てのマスクについて通気量を測定した。通気量の測定は通気性試験機FX3300(TEXTEST社製)を用いて行った。
「通気性」として、各マスクに水のみを噴射した場合を100%とする相対割合(%)を表示した。さらに、水のみを噴射した場合に比べて通気量が減少した割合(%)を算出し、その減少割合が10%以上の場合には「◎」、5%以上10%未満の場合には「○」、そして5%未満の場合には「×」をそれぞれ表示した。結果を表2及び表3に示す。
Figure 2011063523
Figure 2011063523
比較例1〜4に示すとおり、アルコールを含むが水を含まない組成物を使用した場合は、水を噴霧した場合と比較して通気量がほとんど変化しなかった。また、水及びアルコールを含む組成物を、公定水分率が12%を超える繊維を含む不織布から構成されているマスクに対して使用した場合も、同マスクに水を噴霧した場合と比較して通気量は変化しなかった。
これに対して、実施例1に示すように、水及びアルコールを含む組成物を公定水分率が12%以内の繊維を含む不織布から構成されているマスクに対して用いた場合は、同マスクに水を噴霧した場合に比べて通気量が大きく低下した。
マスクの通気性の低下は、呼吸に合わせてマスクを通過する外気の量の低下につながり、これがさらにマスク上の残存アルコール臭をマスク使用者が吸引する量の低下、ひいては残存アルコール臭に起因する不快感の改善にまでつながると考えられる。
さらに、実施例2〜9に示すように、常温で結晶状であり、かつ水及び/又はアルコールに溶解する化合物をさらに含む組成物を用いた場合には、より顕著に通気量が低下した。
メントールに代えて、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ナトリウム、キシリトール又はスクロースを用いた以外は実施例5と同じ組成とした組成物を同様に使用した場合も、実施例5と同様に通気量の低下が観察されたが、なかでも、モノテルペンであるメントールが好ましかった。そして、メントールを配合する場合、単位配合量あたりの相乗効果が得られにくくなる点から0.1〜3重量%の範囲内とすることが好ましかった。
エタノールに代えて、プロパノール、又はイソプロパノールを用いた以外は実施例5と同じ組成とした組成物を同様に使用した場合も、実施例5と同様の通気量の低下が観察されたが、なかでもエタノールが好ましかった。
2.試験例2
ポリプロピレン繊維以外の表4に記載の繊維を使用して作製したマスクに対して、実施例8の組成物を使用した場合の通気性の対照例(水のみを用いた場合)に対する変化、及び殺菌・殺ウイルス能を、試験例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
Figure 2011063523
ポリプロピレン繊維以外の繊維であっても、公定水分率が12%以下であれば、本発明の組成物を用いることで通気性の低下及び殺菌・殺ウイルス能が観察された。
また、実施例13〜15に示すように対象を公定水分率が5%以下の繊維を含むマスクとした場合には、その通気性の低下がより顕著となった。
先述の通り、ここでもマスクの通気性の低下は、呼吸に合わせてマスクを通過する外気の量の低下につながり、これがさらにマスク上の残存アルコール臭をマスク使用者が吸引する量の低下、ひいては残存アルコール臭に起因する不快感の改善にまでつながると考えられる。
ここで、実施例8(ポリプロピレン)及び14(ナイロン)について、本発明の組成物(実施例8の組成物:水20重量%、エタノール70重量%、メントール10重量%)を使用した後の繊維の変化の様子を顕微鏡(倍率500倍)によって観察した。結果を図1(実施例8)及び図2(実施例14)に示す。(A)は、対照例として水を噴霧、乾燥させた後の顕微鏡写真であり、(B)は本発明の組成物を噴霧、乾燥させた後の顕微鏡写真である。ポリプロピレン及びナイロンいずれの場合も、本発明の組成物を使用することによって、複数の繊維が互いに凝集している様子が観察された((B)の囲み線内)。このように繊維が凝集することで外気がマスクを通過しにくくなっている(通気性が低下している)と考えられる。なお、繊維として毛(公定水分率15.0%)を使用した場合は、繊維の凝集は観察されなかった。
3.試験例3
試験例1及び2で考察したとおり、マスクの通気性の低下は、残存アルコール臭に起因する不快感の改善につながると考えられる。このことを裏付けるために、通気性の低下により実際に残存アルコール臭に起因する不快感が改善されるかについて評価した。同時に、常温で結晶状の化合物としてモノテルペンを使用する場合、マスクの使用感の点で好ましいモノテルペンの含有量範囲についても検討した。
モノテルペンの含有量がそれぞれ異なる実施例3〜9の組成物(モノテルペンの含有量0.1〜10重量%)を、それぞれポリプロピレン製マスクに対して使用し、マスク使用時の快適性及び清涼感を評価した。マスクは試験例1の方法で作製した。
快適性の評価は、乾燥後のマスクを装着した時の快適性の程度を10名ずつのモニターに表5の基準に基づいて評価させることにより行った。
Figure 2011063523
清涼感の評価は、乾燥後のマスクを装着した時の清涼感の程度を10名ずつのモニターに表6の基準に基づいて評価させることにより行った。
Figure 2011063523
結果を表7に示す。なお、快適性、及び清涼感のいずれも合計得点が24〜30点の場合「○」、16〜23点の場合「△」、そして10〜15点の場合「×」と表示した。
Figure 2011063523
先述の試験例1で示した通り、実施例3〜9の組成物を用いることでマスクの通気性の低下がみられたことを既に確認している。表7の結果は、これらの組成物を使用したマスクを装着した者が吸引するアルコール臭の量が実際に低下していることを示している。これにより「マスクの通気性の低下が残存アルコール臭に起因する不快感の改善につながる」という先述の考察が裏付けられた。
また、モノテルペンの含有量にかかわらず、常に好ましい快適性が得られることが同時に確認された。また、モノテルペンの含有量は、試験例1及び3の結果が示すとおり、通気性の低下及び好ましい清涼感が得られることから、0.1〜3重量%の範囲内が特に好ましかった。
なお、織布から構成したガーゼマスクに対して本発明の組成物を使用したところ、不織布製マスクで示したのと同様の効果を得ることができたが、不織布製マスクの方が、通気性を低下させる効果及び快適性の点で優れていた。

Claims (7)

  1. 水及びアルコールを含む組成物であって、
    公定水分率12%以下の繊維を含むマスクの除菌又は殺菌のために用いられる組成物。
  2. さらに、常温で結晶状であり、かつ水及び/又はアルコールに溶解する化合物を含む請求項1記載の組成物。
  3. 前記化合物が、モノテルペン、陽イオン性界面活性剤、フェノール化合物、パラベン、糖アルコール、糖、及びイオン結晶からなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、請求項2記載の組成物。
  4. 前記化合物が、l−メントール、dl−カンフル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、クレゾール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、マルトース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びフッ化カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、請求項2記載の組成物。
  5. 前記化合物を、0.1〜3重量%含有する、請求項2〜4のいずれか記載の組成物。
  6. マスクが公定水分率5%以下の繊維を含む、請求項1〜5のいずれか記載の組成物。
  7. マスクが不織布製である、請求項1〜6のいずれか記載の組成物。
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