JP2011063243A - 移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を増加させることなく、移動体の倒立状態を安定的に保持する。
【解決手段】走行面を移動可能な車輪体5と、車輪体5を駆動する駆動力を発生させるアクチュエータ装置6と、これらが組み付けられた基体4とを備えた全方向移動車両1において、基体4の一側面の下方にステップ兼スタンド7を設け、このステップ兼スタンド7を、基体4の一側面に一端が固定された固定部27と、固定部27の他端側を支点として回転可能とされた可動部28とで構成する。そして、可動部28を回転させることで、ステップ兼スタンド27に乗員の足を載せるためのステップとしての機能と車両の倒立状態を保持させるスタンドとしての機能を併せ持たせるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、床面上を全方向に移動可能な全方向移動車両等の移動体の倒立状態を保持するスタンドを備えた移動体に関する。
特許文献1〜特許文献3には床面上を全方向に移動可能な全方向移動車両が開示されている。これら車両は倒立振子型移動体(以下、移動体)とも呼ばれ、運転時には支えがなくても自立可能となるように制御されている。
PCT国際公開公報WO/2008/132778 PCT国際公開公報WO/2008/132779 特許第3070015号
ところで上記のような移動体は制御がなされないパワーオフ時には支えがないと倒れてしまう。そこで適所に移動体の倒立状態を安定的に保持するスタンドを設けることが考えられるが、移動体が一輪として構成されるような場合には、接地面との接地箇所が一点しかないため、安定して倒立状態を保つには少なくとも接地箇所を二点加えなければならない。したがって、構成部品点数の増加ひいては重量の増加及び大型化が問題となる。
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、部品点数を増加させることなく、移動体の倒立状態を安定的に保持することが可能なスタンドを備える移動体の提供を目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、走行面を移動可能な被駆動機構(例えば実施形態における移動動作部5)と、前記被駆動機構を駆動する駆動力を発生させる駆動部(例えば実施形態におけるアクチュエータ装置6)と、前記被駆動機構および前記駆動部が組み付けられた基体(例えば実施形態における基体4)とを備えた移動体であって、前記基体の少なくとも一側面の下方に設けられたスタンド(例えば実施形態におけるステップ兼スタンド部7,7)を有し、前記スタンドが、前記基体の一側面に一端が固定された固定部(例えば実施形態における固定部27,27)と、該固定部の他端側を支点として回転可能とされた可動部(例えば実施形態における可動部28,28)とを有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記可動部は、前記固定部の上面に当接可能な第1ストッパ部(例えば実施形態における連結ストッパ部32,32)を有し、前記第1ストッパ部は、前記固定部の上面に当接した状態から前記固定部の上方および前記他端側の外方を通って前記固定部の下方まで、前記可動部とともに回転可能とされていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記可動部が前記固定部の下方まで回転された箇所において、該可動部の回転を規制する第2ストッパ部(例えば実施形態におけるストッパ凸部34,34)を設けることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記移動体が倒立振子制御型移動体であることを特徴とする。
請求項1,4に記載の発明によれば、可動部を回転させることにより一構成部品でステップとスタンドの機能を実現できるため、スタンドを構成するにあたり部品点数の増加を避けることができ、ひいては軽量化及び省スペース化を実現できる。
請求項2に記載の発明によれば、スタンドをステップとして機能させる場合に、ステップとしての可動部の安定状態を保つストッパを、固定部の上面に当接させる簡易構造で構成できる。
請求項3に記載の発明によれば、スタンドをスタンドとして機能させる場合に、スタンドとしての可動部の安定状態を保持することができる。
本発明の実施形態に係る全方向移動車両の斜視図である。 全方向移動車両のステップ兼スタンド部がステップとして機能した状態の正面図である。 全方向移動車両のステップ兼スタンド部がステップとして機能した状態の左側面図である。 全方向移動車両のステップ兼スタンド部がスタンドとして機能した状態の正面図である。 全方向移動車両のステップ兼スタンド部がスタンドとして機能した状態の左側面図である。 全方向移動車両の斜視図である。 本実施形態の変形例を説明するための車両下部の斜視図である。 本実施形態の変形例を説明する図であって、(a)は上面図、(b)はステップ兼スタンド部がステップとして機能した状態の正面図、(c)はステップ兼スタンド部がスタンドとして機能した状態の正面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。図1には本実施形態に係る全方向移動車両1が示されてある。なお、以下の説明で用いる図面には、車両前方を示す矢印FR、車両後方を示す矢印RR、車両左方を示す矢印LH、車両右方を示す矢印RHを適所に示している。以下の説明ではこれらの方向を適宜用いる。また、左右方向について説明する場合には、車幅方向の中央側を内方と、外側を外方と呼び説明を行うものとする。
図1に示す本実施形態に係る全方向移動車両1は、車体上部にグリップ部2を設けるとともに、車体下部に移動動作部カバー部3を設けた基体4を有し、移動動作部カバー部3内に詳細は後述する移動動作部5及びこの移動動作部5を駆動する動力を該移動動作部5に付与するアクチュエータ装置6(図1,破線)を設けている。
基体4内部にはグリップ部2、移動動作部カバー部3及び移動動作部5等を支持する図示しない車体フレームが適所に設けられ、移動動動作部カバー部3の左右両側面には乗員が足を載置するステップ兼スタンド部7,7が配設されている。
かかる全方向移動車両1は一輪の倒立振子制御型移動体として構成されており、乗員がステップ兼スタンド部7,7に両足を載せ、基体4を両足で足を挟むようにした状態で車体上部のグリップ部2適所を把持することで乗車が行われる。そして、車体の起立状態(倒立状態)が保持される制御が行われた状態で乗員が重心移動を行うことで、床面の全方向に移動可能なように構成されている。以下、各部の詳細を説明する。
移動動作部カバー部3は、湾曲状に形成され車体下部前方を覆う前側カバー部材8及び車体下部後方を覆う後側カバー部材(図示せず)と、前側カバー部材8及び後側カバー部材の側部と連なり車体下部左方を覆う略円板状に形成された左側カバー部材9(図2参照)及び車体下部右方を覆う略円板状に形成された右側カバー部材10とで構成されている。
かかる移動動作部カバー部3の各カバー部材に覆われる空間に上記移動動作部5及びアクチュエータ装置6が収容配置されており、上記ステップ兼スタンド部7,7は左側カバー部材9、右側カバー部材10にそれぞれ配設されている。なお、ここで左側カバー部材9、右側カバー部材10は、バネ等の付勢手段により、その下端部側が狭まる方向、すなわち内方に付勢されている。
図2には前側カバー部材8が取り外された状態で全方向移動車両1下部を前方から見た正面図が示されてある。図2に示すように移動動作部5及びアクチュエータ装置6は、左側カバー部材9、右側カバー部材10の間に配置されている。なお、本実施形態で例示する移動動作部5及びアクチュエータ装置6は、例えば前記特許文献2の図1に開示されているものと同じ構造のものである。従って、本実施形態の説明においては、移動動作部5及びアクチュエータ装置6の構成に関して、前記特許文献2に記載された事項については、簡略的な説明に留める。
本実施形態で移動動作部5は、ゴム状弾性材により円環状に形成された車輪体であり、ほぼ円形の横断面形状を有する。この移動動作部5(以降、車輪体5という)は、その弾性変形によって、円形の横断面の中心C1(より詳しくは、円形の横断面中心C1を通って、車輪体5の軸心と同心となる円周線)の周りに回転可能となっている。
この車輪体5は、その軸心C2(車輪体5全体の直径方向に直交する軸心C2)を左右方向に向けた状態で、左側カバー部材9、右側カバー部材10の間に配置され、該車輪体5の外周面の下端部にて床面に接地する。
そして、車輪体5は、アクチュエータ装置6による駆動(詳細は後述する)によって、車輪体5の軸心C2の周りに回転する動作(床面上を輪転する動作)と、車輪体5の横断面中心C1の周りに回転する動作とを行なうことが可能である。その結果、車輪体5は、それらの回転動作の複合動作によって、床面上を全方向に移動することが可能となっている。
アクチュエータ装置6は、車輪体5と右側カバー部材10との間に介装される回転部材11及びフリーローラ12と、車輪体5と左側カバー部材9との間に介装される回転部材13及びフリーローラ14と、回転部材11及びフリーローラ12の上方に配置されたアクチュエータとしての電動モータ15と、回転部材13及びフリーローラ14の上方に配置されたアクチュエータとしての電動モータ16とを備える。
電動モータ15,16は、それぞれのハウジングが右側カバー部材10、左側カバー部材9に各々取付けられている。なお、図示は省略するが、電動モータ15,16の電源(蓄電器)は、基体4の適所に搭載されている。
回転部材11は、左右方向の軸心を有する支軸17を介して右側カバー部材10に回転可能に支持され、同様に、回転部材13は、左右方向の軸心を有する支軸18を介して左側カバー部材9に回転可能に支持されている。この場合、回転部材11の回転軸心(支軸17の軸心)と、回転部材13の回転軸心(支軸18の軸心)とは同軸心である。
回転部材11,13は、それぞれ電動モータ15,16の出力軸に、減速機としての機能を含む動力伝達機構を介して接続されており、電動モータ15,16からそれぞれ伝達される動力(トルク)によって回転駆動される。各動力伝達機構は、例えばプーリ・ベルト式のものである。すなわち、回転部材11は、プーリ19とベルト20とを介して電動モータ15の出力軸に接続されている。同様に、回転部材13は、プーリ21とベルト22とを介して電動モータ16の出力軸に接続されている。
なお、上記動力伝達機構は、例えば、スプロケットとリンクチェーンとにより構成されるもの、あるいは、複数のギヤにより構成されるものであってもよい。また、例えば、電動モータ15,16を、それぞれの出力軸が各回転部材11,13と同軸心になるように各回転部材11,13に対向させて配置し、電動モータ15,16のそれぞれの出力軸を回転部材11,13に各々、減速機(遊星歯車装置等)を介して連結するようにしてもよい。
各回転部材11,13は、車輪体5側に向かって縮径する円錐台と同様の形状に形成されており、その外周面がテーパ外周面23,24となっている。回転部材11のテーパ外周面23の周囲には、回転部材11と同心の円周上に等間隔で並ぶようにして、複数のフリーローラ12が配列されている。そして、これらのフリーローラ12は、それぞれ、ブラケット25を介してテーパ外周面23に取付けられ、該ブラケット25に回転自在に支承されている。同様に、回転部材13のテーパ外周面24の周囲には、回転部材13と同心の円周上に等間隔で並ぶようにして、複数(フリーローラ12と同数)のフリーローラ14が配列されている。そして、これらのフリーローラ14は、それぞれ、ブラケット26を介してテーパ外周面24に取付けられ、該ブラケット26に回転自在に支承されている。
そして、前記車輪体5は、回転部材11側のフリーローラ12と、回転部材13側のフリーローラ14との間に挟まれるようにして、回転部材11,13と同軸心に配置されており、この場合、各フリーローラ12,14は、その軸心C3が車輪体5の軸心C2に対して傾斜すると共に、車輪体5の直径方向(車輪体5をその軸心C2の方向で見たときに、該軸心C2と各フリーローラ12,14とを結ぶ径方向)に対して傾斜する姿勢で配置されている。そして、このような姿勢で、各フリーローラ12,14のそれぞれの外周面が車輪体5の内周面に斜め方向に圧接されている。
より一般的に言えば、右側のフリーローラ12は、回転部材11が軸心C2の周りに回転駆動されたときに、車輪体5との接触面で、軸心C2周りの方向の摩擦力成分(車輪体5の内周の接線方向の摩擦力成分)と、車輪体5の前記横断面中心C1の周り方向の摩擦力成分(円形の横断面の接線方向の摩擦力成分)とを車輪体5に作用させ得るような姿勢で、車輪体5の内周面に圧接されている。左側のフリーローラ14についても同様である。
そして、ここで、右側カバー部材10、左側カバー部材9は、上述したように図示しない付勢手段によって、右側カバー部材10、左側カバー部材9の下端部側が狭まる方向に付勢されている。このため、この付勢力によって、右側のフリーローラ12と左側のフリーローラ14との間に車輪体5が挟持されると共に、車輪体5に対する各フリーローラ12,14の圧接状態(より詳しくはフリーローラ12,14と車輪体5との間で摩擦力が作用し得る圧接状態)が維持されるようになっている。
以上説明した構造を有する全方向移動車両1においては、電動モータ15,16によりそれぞれ、回転部材11,13を同方向に等速度で回転駆動した場合には、車輪体5が回転部材11,13と同方向に軸心C2の周りに回転することとなる。これにより、車輪体5が床面上を前後方向に輪転して、車両1の全体が前後方向に移動することとなる。なお、この場合は、車輪体5は、その横断面中心C1の周りには回転しない。
また、例えば、回転部材11,13を互いに逆方向に同じ大きさの速度で回転駆動した場合には、車輪体5は、その横断面中心C1の周りに回転することとなる。これにより、車輪体5がその軸心C2の方向(すなわち左右方向)に移動し、ひいては、車両1の全体が左右方向に移動することとなる。なお、この場合は、車輪体5は、その軸心C2の周りには回転しない。
さらに、回転部材11,13を、互いに異なる速度(方向を含めた速度)で、同方向又は逆方向に回転駆動した場合には、車輪体5は、その軸心C2の周りに回転すると同時に、その横断面中心C1の周りに回転することとなる。そして、このとき、これらの回転動作の複合動作(合成動作)によって、前後方向及び左右方向に対して傾斜した方向に車輪体5が移動し、ひいては、車両1の全体が車輪体5と同方向に移動することとなる。この場合の車輪体5の移動方向は、回転部材11,13の回転方向を含めた回転速度(回転方向に応じて極性が定義された回転速度ベクトル)の差に依存して変化するものとなる。
以上のように車輪体5の移動動作が行なわれるので、電動モータ15,16のそれぞれの回転速度(回転方向を含む)を制御し、ひいては回転部材11,13の回転速度を制御することによって、車両1の移動速度及び移動方向を制御できることとなる。
なお、かかる制御を実行する手段として車両1には、図示しないが、マイクロコンピュータや電動モータ15,16のドライブ回路ユニットなどを含む電子回路ユニットにより構成された制御ユニット、基体4の所定の部位の鉛直方向(重力方向)に対する傾斜角及びその変化速度を計測するための傾斜センサ、車両1に乗員が搭乗しているか否かを検知するための荷重センサ、電動モータ15,16のそれぞれの出力軸の回転角度及び回転角速度を検出するための角度センサとしてのロータリエンコーダ等が搭載されている。
続いて図3〜図6も参照して、乗員が足を載せるステップ兼スタンド部7,7の詳細について説明する。本実施形態でステップ兼スタンド部7,7は、乗員の乗車時には乗員の足を載せるステップとして機能するとともに乗員の非乗車時に車両1の倒立状態を安定的に保つスタンドとしての機能を併せ持つように構成されている。
ステップ兼スタンド部7,7は主に比較的剛性の高い樹脂材料やアルミニウムから形成されるものであって、左側カバー部材9、右側カバー部材10の側面に一端を固着し、それぞれ外方に延びる板状の固定部27,27と、固定部27,27の他端側(外方側)において該固定部27,27に対して回転可能に軸支された可動部28,28とを備えている。
図2,図3に示されるように、固定部27,27のカバー部材9,10に固着した一端に対する他端側(外方側)には、固定部27,27に対して貫通状態で前後方向に延びる軸部29,29が設けられ、これら軸部29,29の両端に可動部28,28が軸支されている。
図1に示すように、可動部28,28は、固定部27,27の前方に配置される扇形状の前側構成部30,30と、固定部27,27の後方に配置される扇形状の後側構成部31,31と、これら前側構成部30,30と後側構成部31,31とを連結させる連結ストッパ部32,32とを一体に有している。
前側構成部30,30及び後側構成部31,31は、図1〜図3に示す状態において、下方から上方に向けて刳り貫かれるような箱状に形成されており、それぞれの弧面が外方に向けられた状態で配置されている。そして、図3に示すように前側構成部30,30において後側に位置し、固定部27,27の前面に対して略平行に延びる壁部30A,30A(図5も参照のこと)には上記軸部29,29の一端が挿通される挿通孔が形成され、後側構成部31,31において前側に位置し、固定部27,27の後面に対して略平行に延びる壁部31A,31A(図5も参照のこと)には、上記軸部29,29の他端が挿通される図示しない挿通孔が形成されている。
連結ストッパ部32,32は、図2,図3に示す状態で、前側構成部30,30及び後側構成部31,31のカバー部材9,10側(内方端部)において前後方向に沿って延び、前側構成部30,30及び後側構成部31,31を固定部27,27の長さ分だけ離間させるようにして、これらを連結している。
連結ストッパ部32,32は断面視矩形に形成され、その前後方向長さを固定部27,27の幅(前後方向長さ)と略同一に設定されており、図1〜図3に示す状態でその一面を固定部27,27の上面に当接させている。このように連結ストッパ部32,32が固定部27,27に当接することにより、可動部28,28の下方向、具体的には、図2,図3に示す状態からの下方に向けての回転が規制されるようになっている。
そして、固定部27,27の上面のカバー部材9,10側端部には、図2に示される連結ストッパ部32,32を収容する収容凹部33,33が形成されている(図4も参照のこと)。これら収容凹部33,33は、図1〜図3に示す状態で連結ストッパ部32,32を収容しており、これにより可動部28,28が水平状態となるとともに、固定部27,27の上面と可動部28,28の上面とが略面一とされるようになっている。
以上で説明した構成により、図1〜図3に示す状態でステップ兼スタンド部7,7は、その可動部28,28の内側下方に向けての回転が規制されており、乗員が足を載せた状態でも可動部28,28が回転することなく安定した状態でステップとしての機能を果たすように構成されている。
そして、ステップ兼スタンド部7,7は、図2に示す回転矢印R1方向に向けて、すなわち、外方かつ下方に向けて可動部28,28を約270度回転させることでスタンドとしての機能を果たすようになる。より詳しくは、連結ストッパ部32,32を固定部27,27の上面に当接させた状態から、連結ストッパ部32,32を離反させ、固定部27,27の上方および外方を通して固定部27,27の下方まで回転させることで、ステップ兼スタンド部7,7はスタンドとしての機能を果たす。図4〜図6には、スタンドとして機能した場合のステップ兼スタンド部7,7の状態が示される。
図4〜図6に示す状態では、可動部28,28が上下に延びる起立状態となっている。ここで、図2を参照し、前側構成部30,30の内方側の壁部30B,30B、及び、後側構成部31,31の内方側の壁部31B,31Bのそれぞれの外壁面には接地面30C,30C、及び、接地面31C,31Cが設定されており、図4〜図6に示すように可動部28,28が回転された状態では、これら接地面30C,30C、及び、接地面31C,31Cが床面上に接地された状態となっている。
ここで固定部27,27の下面における軸部29,29より内方の位置には、図4に示すように固定部27,27の下面から下方に突出するとともに、図5に示すように固定部27,27の前後面から前後方向に突出する左右一対のストッパ凸部34,34が設けられている(図2,図3も参照のこと)。
そして、図4〜図6に示す状態では、これらストッパ凸部34,34に可動部28,28に当接されており、可動部28,28の内方かつ上方への回転が規制されている。なお、ここではストッパ凸部34,34を可動部28,28一つに対して一対設けたが、一つの可動部28に対して前側のみに設ける等、一方のみとしても構わない。また、可動部28,28は、ストッパ凸部34,34と当接した状態では、図示しないラチェット機構により、回転矢印R2方向に示す外方かつ上方に向けての回転を規制されるようになっている。
以上で説明した構成により、図4〜図6に示す状態で可動部28,28は、基体4が前方に倒れ込もうとするモーメント荷重を支えるとともに、後側構成部31の接地面31C,31Cは、基体4が後方に倒れ込もうとするモーメント荷重を支え、ストッパ凸部34,34および上記ラチェット機構により起立状態での回転を規制されることで、基体4の左右方向の倒れ込みに対するモーメント荷重を支えている。これにより、ステップ兼スタンド部7,7は、図6に示すように車両1の倒立状態を保持しており、スタンドとしての機能を果たしている。
なお、乗員が車両1に乗車する場合には、上記ラチェット機構を解除した上で、図4に示す回転矢印R2方向に可動部28,28を回転させることで、ステップ兼スタンド部7,7を再度ステップとして機能させることができる。
したがって、本実施形態では、ステップ兼スタンド部7,7の可動部28,28を回転させることにより一構成部品でステップとスタンドの機能を実現できるため、車両1の倒立状態を安定的に保持するスタンドを構成するにあたり部品点数の増加を避けることができ、ひていは軽量化及び省スペース化を実現できる。
また、可動部28,28に一体に形成された連結ストッパ部32,32を固定部27,27の上面に当接させて、可動部28,28の回転を規制することで、可動部28,28をステップとして機能させた場合の該可動部28,28の安定状態を保つストッパを簡易構造で構成できる。
また、可動部28,28を回転させてステップ兼スタンド部7,7をスタンドとして機能させた場合に、可動部28,28と当接して回転を規制するストッパ凸部34,34と上記ラチェット機構を設けたことで、可動部28,28を回転させてスタンドとして機能させた際の可動部28,28の安定状態を保持することができる。
なお、上記実施形態における構成はこの発明の一例であり、部品構成や構造、形状、大きさ、数及び配置等を含め、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、図7,図8には、可動部28,28の変形例に係る可動部35,35が示されてある。この例では、これら図に示すように可動部35,35は略半円状に形成され、その弧面の略中央に固定部27,27の前後方向長さよりも幅広な切欠きが形成されている。そして、この切欠きの両側部にそれぞれ軸部29,29が挿通され、これにより可動部35,35は、固定部27,27に対して、図8(b),(c)に示す回転矢印R3及びR4方向に回転可能とされている。また、図8(b),(c)に示すように、可動部35,35にはステップとして機能させた状態で固定部27,27を収容して固定部27,27と可動部35,35の上面を一定高さとする凹部36,36が形成されている。
かかる態様でも、一構成部品でステップとスタンドの機能を実現できるため、車両1の倒立状態を安定的に保持するスタンドを構成するにあたり部品点数の増加を避けることができ、軽量化及び省スペース化を実現できる。
また、本実施形態では、ステップ兼スタンド部7,7を左右に配置するようにしたが、一方のみにステップ兼スタンド部7を設け、他方をステップとしても良く、この場合も車両1の倒立状態を保持することは可能である。また、乗員はステップ兼スタンド部7,7に足を載せ、立った状態で車両1に乗車する態様を説明したが、基体4の上部にシートを設け、かかるシートに乗員が着座するとともに、ステップ兼スタンド部7,7に足を載せるような態様であっても本発明は好適に用いることが可能である。
また、駆動機構である、移動動作部5及びアクチュエータ装置6の構成についても他の構成でも良く、移動動作部5を、例えば、特許文献2参照されるような周方向にスリーブを複数等間隔で設けた構成等としても構わない。また、可動部28,28において前側構成部30,30及び後側構成部31,31はそれぞれ扇型状に形成したが、矩形としても構わない。また、可動部28,28を前側構成部30と後側構成部31とが連結ストッパ部32,32により一体に形成される態様を説明したが、前側構成部30と後側構成部31とを別部品として、それぞれが固定部27,27に対して回転可能となるような態様であっても構わない。また、ステップ兼スタンド部7,7をスタンドとして機能させた場合において、可動部28,28の回転矢印R2方向(図4参照)に向けての回転を規制する機構は、上記ラチェット機構に限らず他の手段を用いても構わない。
1 全方向移動車両(移動体)
5 移動動作部(被駆動機構)
6 アクチュエータ装置(駆動部)
7 ステップ兼スタンド部(スタンド)
27 固定部
28 可動部
32 連結ストッパ部(第1ストッパ部)
34 ストッパ凸部(第2ストッパ部)

Claims (4)

  1. 走行面を移動可能な被駆動機構と、前記被駆動機構を駆動する駆動力を発生させる駆動部と、前記被駆動機構および前記駆動部が組み付けられた基体とを備えた移動体であって、
    前記基体の少なくとも一側面の下方に設けられたスタンドを有し、
    前記スタンドが、前記基体の一側面に一端が固定された固定部と、該固定部の他端側を支点として回転可能とされた可動部とを有することを特徴とする移動体。
  2. 前記可動部は、前記固定部の上面に当接可能な第1ストッパ部を有し、
    前記第1ストッパ部は、前記固定部の上面に当接した状態から前記固定部の上方および前記他端側の外方を通って前記固定部の下方まで、前記可動部とともに回転可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
  3. 前記可動部が前記固定部の下方まで回転された箇所において、該可動部の回転を規制する第2ストッパ部を設けることを特徴とする請求項2に記載の移動体。
  4. 前記移動体が倒立振子制御型移動体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動体。
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