JP2011063156A - 環状軸体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無端円環状の環状軸体に複数のドリブンローラを組み付けた構造を有する摩擦式駆動装置における環状軸体の製造を好適に行う。
【解決手段】板状ブランク材71を旋盤にセットして、多角形断面形状の環状中間ブロック材73を加工して切り取り、環状中間ブロック材を円盤状治具74にセットして正八角形断面形状の環状軸体用素材81を形成し、その環状軸体用素材の一部を切除してC字状軸主体を形成すると共に、別の環状軸体用素材から軸補完部材を切り取り、C字状軸主体と軸補完部材とを組み付けて環状軸体を形成する。ベンダで曲げる場合の曲げによる断面形状の変形も無く、高精度な多角形断面形状の無端円環状の環状軸体を形成でき、環状軸体の周方向に複数のドリブンローラを配置する構造の車輪の製造において、車輪の基準となる環状軸体を高精度に形成することができる。
【選択図】図7
【解決手段】板状ブランク材71を旋盤にセットして、多角形断面形状の環状中間ブロック材73を加工して切り取り、環状中間ブロック材を円盤状治具74にセットして正八角形断面形状の環状軸体用素材81を形成し、その環状軸体用素材の一部を切除してC字状軸主体を形成すると共に、別の環状軸体用素材から軸補完部材を切り取り、C字状軸主体と軸補完部材とを組み付けて環状軸体を形成する。ベンダで曲げる場合の曲げによる断面形状の変形も無く、高精度な多角形断面形状の無端円環状の環状軸体を形成でき、環状軸体の周方向に複数のドリブンローラを配置する構造の車輪の製造において、車輪の基準となる環状軸体を高精度に形成することができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、環状軸体の製造方法に関し、特に、全方向移動車に用いられる車輪を構成する環状軸体の製造方法に関するものである。
全方向移動体のための走行駆動装置として、無端円環状の環状軸体とその環状軸体の環方向に複数個配置され各々自身の配置位置に於ける環状軸体の接線方向の軸線周りに回転可能なドリブンローラとを含む主輪と、主輪の中心軸線方向の左右両側に各々自身の中心軸線周りに回転可能に配置された左右のドライブディスクと、左右のドライブディスクの各々にドライブディスクの中心軸線に対してねじれの関係をなす軸線周りに回転可能に配置され、外周面をもってドリブンローラの外周面に接触する複数個のドライブローラとを有する摩擦式駆動装置がある(例えば、特許文献1)。
この摩擦式駆動装置は、一輪式の倒立振子型移動体の走行ユニット等として用いられ、左右のドライブディスクが倒立振子型移動体のフレームより回転可能に支持され、左右のドライブローラがドリブンローラを左右より挟むようにして主輪を回転(公転)可能に支持する。
この摩擦式駆動装置が用いられた倒立振子型移動体では、ドライブローラがドリブンローラに押し付けられ、ドライブローラとドリブンローラ(フリーローラ)との摩擦によってドライブディスクの回転がドライブローラよりドリブンローラに伝達され、左右のドライブディスクが互いに同方向に同速度で回転駆動された場合には、主輪が公転し、左右のドライブディスクが互いに異なる方向あるいは異なる速度で回転駆動された場合には、主輪が公転しつつドリブンローラが自転(環状軸体の接線方向の軸線周りに回転)あるいは主輪が公転せずドリブンローラが自転し、前後左右、斜めに、移動(走行)することができる。
上述のような摩擦式駆動装置では、無端円環状の環状軸体の環方向に複数のドリブンローラを配置しており、ドリブンローラを環状軸体に組み付けるためには環状軸体の一部を取り除けるようにして、その一部を取り除いた隙間からドリブンローラを1個ずつ組み付けることが考えられる。そのためには、例えば、環状軸体を、一部を取り除かれた形状のC字環状の軸主体と、その取り除いた一部に対応する短い円弧状の軸補完部材とを互いに連結して形成するようにしたものが本出願人により提案されている(特許文献2)。
一方、ドリブンローラを環状軸体に対して環方向軸線周りに回転自在に組み付けるには、ドリブンローラをベアリングを介して環状軸体に組み付けることが考えられる。その場合に、ベアリングのインナレースは円筒状であり、そのままでは環状軸体に組み付けることができないため、上記特許文献2に記載されているように、環状軸体を例えば正八角形断面形状に形成し、その正八角形の外周の形状に対応した正八角形孔を有すると共にインナレースが嵌装される外周面を有するインナスリーブを環状軸体に組み付けると良い。
しかしながら、環状軸体を、正八角形に限られないが任意の多角形断面形状に形成し、かつドリブンローラの組み付けのために上記したようにC字環状の軸主体と円弧状の軸補完部材とにより形成する必要があり、そのような形状の環状軸体を形成する方法は不明かつ確立されていない。したがって、C字環状の軸主体と円弧状の軸補完部材とからなる環状軸体の製造が困難であるという問題があった。
このような課題を解決して、無端円環状の環状軸体に複数のドリブンローラを組み付けた構造を有する摩擦式駆動装置における環状軸体の製造を好適に行うことを実現するために、本発明に於いては、無端円環状の環状軸体(51)と、前記環状軸体(51)の周方向に配置されかつ前記環状軸体(51)の接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられた複数のドリブンローラ(52)とにより構成された車輪(50)における前記環状軸体(51)が多角形断面形状に形成されている環状軸体の製造方法であって、前記環状軸体(51)に対応する形状の板状ブランク材(71)に対して前記環状軸体(51)の径方向の内外周部分を形成する工程と、前記ブランク材(71)から前記内外周部分が形成された状態の環状中間ブロック材(73)を切り取る工程と、前記環状中間ブロック材(73)に対して前記環状軸体(51)の中心軸線方向幅部分を形成する工程とを有し、前記環状軸体(51)の径方向の内外周部分を形成する工程と前記環状軸体(51)の中心軸線方向幅部分を形成する工程とにより前記環状軸体(51)の前記多角形断面形状を形成するものとした。
これによれば、例えば、円板形状のブランク材を旋盤の三爪チャックで径方向に把持して保持することにより、旋盤加工でブランク材から環状部材における内外周面を形成することができ、そのようにして形成された環状部分をさらにブランク材から切り取って環状中間ブロック材を形成することができる。その環状中間ブロック材を位置決め状態に受容し得る環状溝を設けた治具を用い、その環状溝に受容された状態の環状中間ブロック材を固定具により固定して、環状軸体の中心軸線方向に臨む部分(環状中間ブロック材における環状溝から外方に臨む部分)をNC加工機により加工することにより、ブランク材から多角形断面形状の環状軸体を形成することができる。
環状軸体の形成では、例えば直線状の棒材をベンダで曲げて両端を溶接することが考えられるが、そのように加工された場合には環状軸体の径方向内周側では縮み変形し、外周側では伸び変形することから直線状における多角形断面形状が変形してしまうことが考えられ、例えばドリブンローラを組み付ける場合の軸受用インナスリーブの多角形断面形状との整合性を取るのが困難であるという問題がある。
それに対して、上記製造方法により、例えば正多角形の断面形状に形成する場合でも高精度に形成することができ、環状軸体に他の部材を組み付ける場合に何等問題が生じることがない。
さらに、前記環状軸体(51)に前記ドリブンローラ(52)が通過可能な間隙(S)を設けるべく前記環状軸体(51)の一部を切除したC字状軸主体(61)を形成する工程と、前記C字状軸主体(61)の隙間を埋めて前記環状軸体(51)を形成するための軸補完部材(62)を形成する工程とを有すると良い。また、前記軸補完部材(62)が、別の前記環状軸体(51)から複数個切り出されて形成されると良い。
これによれば、無端円環状の環状軸体にその周方向に複数のドリブンローラを配置する構造において、環状軸体をC字状軸主体と軸補完部材とにより形成することにより、C字状軸主体の隙間からドリブンローラ構成部品を組み付けることができるため、簡単な組み付け性を確保し得る。また、C字状軸主体を形成することにより切り出される軸補完部材に相当する部分は切りしろ分だけ小さくなってしまうため、その部分を軸補完部材として用いることができないが、軸補完部材を別の環状軸体から切り出すことにより高精度な形状の軸補完部材を形成することができると共に1つの環状軸体から複数個の軸補完部材を好適に切り出すことができる。
このように本発明によれば、例えば円板形状のブランク材から無端環状かつ多角形断面形状の環状軸体を形成することができ、ベンダで曲げる場合の曲げによる断面形状の変形も無く、高精度な多角形断面形状の環状軸体を形成することができるため、環状軸体の周方向に複数のドリブンローラを配置する構造の車輪の製造において、車輪の基準となる環状軸体を高精度に形成することができることから、複数のドリブンローラによる高精度な走行制御を容易に実現し得る。
以下に、本発明による環状軸体を用いて構成された車輪を用いた摩擦式駆動装置、全方向移動車の実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態の全方向移動車1は、図1、図2に示されているように、門形の車体7を有し、車体7が後述する駆動ローラ(3L、3R)を介して車輪50を回転可能に支持している。
車体7は、左側脚部材7Lと、左側脚部材7Lにヒンジ軸71によってヒンジ接続された右側脚部材7Rとを有する。右側脚部材7Rの外側には右側ステップ32Rが、左側脚部材7Lの外側には左側ステップ32Lが各々略水平に取り付けられている。車体7の左側脚部材7Lの上部にはポール33の下端部が固定されている。ポール33は、車体7より垂直に立てられており、ポール33の上端部には水平かつ左右方向に延出するハンドルバー34が取り付けられている。車体7の右側脚部材7Rと左側脚部材7Lとの間には圧縮コイルばね8が設けられている。圧縮コイルばね8は、右側脚部材7Rと左側脚部材7Lを互い近づける方向に付勢する。
車体7、左右のステップ32R、32L、ポール33、ハンドルバー34は、互いに一体構造であり、本実施形態では、車体7、左右のステップ32R、32L、ポール33、ハンドルバー34の全体が、全方向移動車1の車体であると云える。
車体7にはアーム36によって補助輪35が取り付けられている。アーム36は、上端を車体7の後部に枢支され、跳ね上げ可能になっている。補助輪35は、車輪50に対して車体7の前後方向後方にあり、水平軸線周りに回転可能になっている。ハンドルバー34にはグリップレバー37が設けられている。グリップレバー37は、公知のボーデンケーブル(図示せず)によってアーム36の先端部と連結され、ハンドルバー34と共に手にて握られてアーム36の跳ね上げを行う。
右側脚部材7Rは支持軸6Rによって右側の駆動回転部材4Rを回転可能に支持している。左側脚部材7Lは支持軸6Lによって左側の駆動回転部材4Lを回転可能に支持している。これにより、左右の駆動回転部材4R、4Lは、所定の軸線方向間隔(左右方向間隔)をおいて、車体7に、互いに同一の中心軸線(図2のA)周りに、各々回転可能に取り付けられる。
駆動回転部材4R、4Lには、プーリ9R、9L(或いはスプロケット)が同心位置に一体的に形成されている。右側脚部材7Rと、左側脚部材7Lには、各々、電動モータ5R、5Lが取り付けられている。電動モータ5Rは、無端ベルト10R(或いはリンクチェーン)によってプーリ9Rと駆動連結され、プーリ9Rを回転駆動する。電動モータ5Lは、無端ベルト10L(或いはリンクチェーン)によってプーリ9Lと駆動連結され、プーリ9Lを回転駆動する。
なお、車体7、ポール33には、図示していないが、電動モータ5R、5Lの電源として、リーチャージブルなバッテリ電源、制御装置が搭載される。
駆動回転部材4R、4Lは、互い対向する側に切頭円錐状のテーパ外周面41R、41Lを有する。駆動回転部材4Rのテーパ外周面41Rには、複数個の右側駆動ローラ3Rが、各々ブラケット42Rによって、駆動回転部材4Rの円周方向に等間隔に配設されかつ各々回転可能に取り付けられている。駆動回転部材4Lのテーパ外周面41Lには、複数個の左側駆動ローラ3Lが、各々ブラケット42Lによって、駆動回転部材4Lの円周方向に等間隔に配設されかつ各々回転可能に取り付けられている
車輪50は、左右の駆動回転部材4R、4Lの間に配置され、内周側の左右両側部分を右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lによって挟まれるようにして左右の駆動回転部材4R、4Lの中心軸線Aと同一の中心軸線(図3に示される環状軸体51の環中心)B周りに回転可能に支持されている。
車輪50は、図3、図4に示されているように、無端円環状の環状軸体51と、環状軸体51に各々当該環状軸体51の接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられた複数のドリブンローラ52と、隣接するドリブンローラ52間に配置されたスペーサ53により構成されている。本実施例では、環状軸体51は、図6に示されているように、当該環状軸体51の中心軸線Cに対して直交する断面形状が正八角形になるように形成されている。
環状軸体51の外周には、当該環状軸体51の曲率と同じ曲率で曲がった正八角形孔による装着孔54Aを有する金属製のインナスリーブ54が各ドリブンローラ52毎に装着孔54Aをもって回転不能に嵌着されている。インナスリーブ54の外周面54Bは円筒面になっており、当該外周面54Bにはニードルベアリング55のインナレース56が嵌合している。
ドリブンローラ52は、駆動力を作用させる対象物に接触するローラであって、数珠繋ぎ状に環状軸体51に装着され、各々、円筒状の金属製スリーブ52Aと、金属製スリーブ52Aの外周に接合されてドリブンローラ52の外周面52Cを構成する円筒状のゴム状弾性体製の外周部材52Bとにより構成されている。ドリブンローラ52を構成する金属製スリーブ52Aは、ニードルベアリング55のアウタレースとして環状軸体51の環方向(周方向)に対応する接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられている。ここに、ドリブンローラ52は、各々、自身の中心軸線周りに個々に回転可能であり、このドリブンローラ52の回転をドリブンローラ52の自転と云う。
スペーサ53は、環状軸体51の曲率と同じ曲率で曲がった正八角形孔による装着孔53Aを有する金属製のものであり、装着孔53Aをもって環状軸体51の外周に回転不能に嵌着され、隣接するドリブンローラ52同士が接触することを避けるもの(ディスタンス機構)として設けられている。
スペーサ53は、インナスリーブ54、インナレース56と軸線方向(周方向)端面同士で密に接触している。このことは、後述のスペーサ57も同じで、インナスリーブ54、インナレース56と端面同士で密に接触している。
これにより、環状軸体51の外周において、スペーサ53、57とインナスリーブ54、インナレース56とが環状軸体51の円周方向に剛体接続された無端円環状(閉ループ)をなす。これは、環状軸体51の補強構造体となり、車両用の車輪50として、車輪50に積載荷重が作用した時に、環状軸体51が楕円に撓むことを防止する補強効果を奏する。
環状軸体51は、金属製の正八角形断面形状かつ円弧状のC字状軸主体61と、C字状軸主体61と同じ金属製の正八角形断面形状に形成され、C字状軸主体61の隙間を埋める円弧形状に形成されて、C字状軸主体61と補完し合って無端円環状を形成する軸補完部材62とにより構成されている。
軸補完部材62の両端(図4における左右端部)にできるC字状軸主体61と軸補完部材62との接合部63は、環状軸体51の円環状の断面中心線Cに対して直交しない非直交面として、断面中心線Cを含む面と平行な接合面61A、62Aを含む段違い形状になっている。C字状軸主体61には接合面61Aを環状軸体51の径方向に貫通するねじ孔61Bが、軸補完部材62には接合面62Aを環状軸体51の断面径方向に貫通するボルト通し孔62Bが各々貫通形成されている。本実施例では、ボルト通し孔62Bがねじ孔61Bより環状軸体51の断面径方向で見て外側にある。
C字状軸主体61と軸補完部材62とは、ボルト通し孔62Bに通されてねじ孔61Bにねじ係合するボルト64によって分解可能に固定連結される。この固定連結により環状軸体51は無端円環状の閉鎖状態になる。
環状軸体51に、ドリブンローラ52とニードルベアリング55とインナレース56とインナスリーブ54の組立体(以下、ドリブンローラ組立体と称す)と、スペーサ53を組み付ける際には、ボルト64を外してC字状軸主体61より軸補完部材62を取り外し、軸補完部材62を取り外した部分に、ドリブンローラ52、スペーサ53等の組立作業用間隙(図4のS)が画定される開放状態とする。この組立作業用間隙Sは、組立作業時に、ドリブンローラ52やスペーサ53をC字状軸主体61に通せるように設けられた部分である。
この開放状態で、ドリブンローラ組立体とスペーサ53とを交互に組立作業用間隙SよりC字状軸主体61に挿入して組み付ける。また、軸補完部材62にもインナスリーブ54の組立体とスペーサ53とを交互に挿入して組み付ける。これにより、ドリブンローラ52やインナレース56等を半割構造にすることなく、これらを環状軸体51に組み込みができる。
C字状軸主体61と軸補完部材62に対して所定個数のドリブンローラ組立体とスペーサ53の組み付けが完了すれば、C字状軸主体61に軸補完部材62を組み付け、結合部63のボルト通し孔61Bにボルト64を通し、ボルト64をねじ孔62Bにねじ係合させる。これにより、C字状軸主体61と軸補完部材62とが固定連結され、この固定連結により上記したように環状軸体51は無端円環状の閉鎖状態になる。
ボルト64のねじ締結は、ボルト通し孔62Bがねじ孔61Bより環状軸体51の断面径方向で見て外側にあることにより、ドリブンローラ組立体とスペーサ53の組み付け完了後に、環状軸体51の外側より行うことができる。
これらのことにより、複数のドリブンローラ52を個々に回転可能にかつ等間隔に配置する組み付けを容易に行うことができ、車輪50を、所要の車輪性能を確保し得る形に作業性よく生産することができる。
図5に示されるように、結合部63においては、後付け可能な馬蹄形のスペーサ57が用いられる。スペーサ57にはボルト通し孔57Aが形成されており、ボルト通し孔57Aにボルト64を通して軸補完部材62と共にC字状軸主体61にスペーサ57が共締め固定される。これにより、結合部63においても、隣接するドリブンローラ52同士が接触することを避ける機構が構成される。
接合面61A、62Aは、環状軸体51の断面中心線Cに対して直交する断面で見て最大線分となる部分にて環状軸体51の接線方向に延在している。このことにより、接合面61A、62Aの幅寸法(図5で見て左右方向の寸法)を大きく取ることができ、これに応じてボルト通し孔62B、ねじ孔61Bの径を大きくすることができ、ボルト64も大きい径のものを用いることができる。なお、高いねじ結合力を確保するべく、ねじ孔61Bの軸線方向長さをできるだけ長くするように、環状軸体51の断面中心線Cより外側(環状軸体51の外周側)に接合面61A、62Aが位置するようにされている。このようにして、結合部63の機械的強度を保って高い締結強度を得ることができる。
なお、図4に符号80により示されている部分の構造のように、スペーサ53とインナスリーブ54とを一体構造品として構成することもできる。この場合には、部品点数、組み付け個数の削減を図ることができる。
ドリブンローラ52と右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lとの関係(個数)は、ドリブンローラ52の空すべりを回避するために、接地しているドリブンローラ52には必ず少なくとも一つの右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lが接触し、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lより接地状態にあるドリブンローラ52に常に推進力(回転力)が与えられるような設定になっている。
右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、前述の圧縮コイルばね8のばね力によってドリブンローラ52の外周面52Cに向けて付勢されて外周面3Ra、3Laをもってドリブンローラ52の外周面52Cに接触し、摩擦によって推進力(回転力)をドリブンローラ52に伝達する。つまり、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの外周面3Ra、3Laが、ドリブンローラ52の外周面52Cに摩擦力をもって運動(回転と並進)を車輪50に伝達する動力伝達関係で接触している。
右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lは、車輪50の中心軸線B周り(駆動回転部材4R、4Lの中心軸線A周りと同じ)の回転方向(より正確には、接触箇所における中心軸線B周りの円周の接線方向)に対して、直交および平行の何れでもない方向(一つの仮想面を直交する方向)に延在する中心軸線D周りに回転自在に配置されている。つまり、右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの各ローラ軸は、左右対称の配置で、各々車輪50の中心軸線Bに対してねじれの関係をなす軸線方向に延在している。これにより、左右のローラ軸により支持された左右の駆動ローラ3R、3Lは、左右対称で、はすば歯車の歯すじと同様の傾斜配置になる。
この実施形態の車輪50では、駆動回転部材4R、4Lと共に回転移動する右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lとの接触によってドリブンローラ52が環状軸体51の接線方向軸線周りに回転し、左右方向への駆動力を接地面に作用させることができると共に、車輪50全体の中心軸線B周りの回転による円周方向移動により、前後方向への駆動力を接地面に作用させることができる。
本実施形態の全方向移動車1では、左右の電動モータ5R、5Lによって左右の駆動回転部材4R、4Lの回転方向あるいは(および)回転速度を互いに違えると、駆動回転部材4R、4Lの回転力による円周(接線)方向の力に対し、この力に直交する向きの分力が車輪50における右側駆動ローラ3R、左側駆動ローラ3Lの当接面(接触面)に作用する。この分力により、車輪50のドリブンローラ52の外表面には、これを捩る力、ドリブンローラ52の中心軸線周りの回転駆動力が作用し、ドリブンローラ52が自身の中心軸線周りに回転、つまり自転することになる。
このドリブンローラ52の自転は、駆動回転部材4R、4L同士の回転速度差によって定まる。例えば、駆動回転部材4R、4Lを互いに同一速度で逆向きに回転させると、車輪50は中心軸線B周りには回転せず、ドリブンローラ52の自転することになる。これにより、車輪50には、車輪50の中心軸線Bと同じ方向、つまり左右方向の駆動力が加わることになり、車体7は、換言すると、全方向移動車1は、左右方向移動する。
これに対し、左右の駆動回転部材4R、4Lの回転方向および回転速度が同一である場合には、ドリブンローラ52が自転することがなく、車輪50が中心軸線B周りに回転し、全方向移動車1は、旋回することなく前進あるいは後進する。
このように、電動モータ5R、5Lによって駆動回転部材4R、4Lの回転速度および回転方向を独立に制御することにより、全方向移動車1は、路面上で全方向へ移動することができる。
次に、このようにして構成される全方向移動車1に用いられる車輪50の大円となる円環形状を形成する環状軸体51の製造方法について図6〜図11を参照して以下に説明する。
先ず、図6に示されるように、環状軸体51を加工する基となる円形の板状ブランク材71を、例えば旋盤72に、その三爪チャック72aにより径方向に把持して旋盤加工可能な状態にセットする。なお、板状ブランク材71の外径は環状軸体51の外径より切りしろ分を含めて拡径された大きさで良い。そして、図7に示されるように板状ブランク材71の外周近傍部分に対して旋盤加工する。
旋盤加工における第1段階では、図7(a)に示されるように、環状軸体51の円環形状における内径Diと外径Doとに対応した内外周面71a、71bを形成する。なお、内外周面71a、71bの各高さ(切り込み深さ)hは環状軸体51の八角形断面形状における最大幅(Do/2−Di/2)より長くする。この加工において、板状ブランク材71の露出している側の中心軸線方向端面を八角形断面形状の一面として用いることができるが、ブランク材の面精度が悪い場合にはその面(上記一面)の仕上げを行うことができる。
第2段階では、図7(b)の実線で示されるように環状軸体51の八角形断面形状の一部(図示例では5つの角)を形成し、またカッタ72bが板状ブランク材71の径方向外側から切り込み可能にする深さの凹部71cを形成する。そして、カッタ72bにより、上記高さhを確保し得る切断面71dで切断し、残り2つの角が未加工状態(仕上げの切りしろを残した形状)の七角形断面形状の環状中間ブロック材73を切り取る。
第3段階では、図7(c)に示されるように、環状中間ブロック材73の内周面71aを円盤治具74により中心側から支持するように固定配置すると共に、三爪チャック72cにより半径方向外側から環状中間ブロック材73を固定する。なお、三爪チャック72cは、環状中間ブロック材73の外周面71bに当接する部分と、環状中間ブロック材73の加工済み中心軸線方向端面71cを支持する部分とを有する凸状に形成されている。このようにして、内外周面71a・71b及び加工済み中心軸線方向端面71cの三面が固定支持されて位置決めされた環状中間ブロック材73に対して、残りの2つの角に対する加工を行う。なお、環状中間ブロック材73の加工は旋盤に限られるものではなく、例えばNC加工機により加工することもできる。
上記加工により、環状軸体51の八角形断面形状の上記残りの2つの角に相当する部分(図の二点鎖線)を形成して、製品としての環状軸体51と同寸法の八角形断面形状の環状軸体用素材81が形成される。
このようにして形成された無端円環状の環状軸体用素材81を、図8に示されるように、円盤状治具76にセットする。円盤状治具76は、環状軸体用素材81をその中心軸線方向に載置した状態にセットし、環状軸体用素材81の内外周面及び下面の3方を位置決め可能に受容する環状溝76aを有している。さらに、図9に併せて示されるように、円盤状治具76の環状溝76aの外周側を形成する外周壁には、周方向に所定の間隔をおいて2つの径方向スリット76bが設けられている。径方向スリット76bは、円盤状治具76の外周面に開口しかつその開口から環状溝76aに至るまで切り込まれた形状に形成されている。
また、環状溝76aに受容された環状軸体用素材81の一部を、環の中心軸線方向に押さえ付けて固定する固定具75が設けられているが、その固定対象位置は2つの径方向スリット76bの間である。円盤状治具76には、固定具75を構成する固定バー75aをねじ75bにより結合するためのねじ孔76cが所定の位置に設けられている。また、固定バー75aには、ねじ75bを挿通するための長孔と、環状軸体用素材81の環状溝76aから外方に臨む上面(露出面)を押さえ付けるための押さえねじ75cをねじ込むためのねじ孔75dが設けられている。
次に、円盤状治具76にセットされた環状軸体用素材81からC字状軸主体61を形成する。図9に示されるように、例えばワイヤ加工機のワイヤカッタ77を、移動制御して、先ず径方向スリット76bを通過させて環状軸体用素材81の外周に至らせ、さらに半径方向内側に所定長移動して環状軸体用素材81に切り込み、次に周方向に所定長移動して切り込んだ後、再度半径方向内側に移動して、環状軸体用素材81が径方向にクランク状に切断される。この切断により上記したC字状軸主体61の接合面61Aが形成され、他方の径方向スリット76bからの同様(対称形)の切断により、C字状軸主体61が形成される。
このようにして形成されたC字状軸主体61は図10に示されるようになり、この切断により切除された切除部材78は、図の二点鎖線で示されるように、切りしろ分だけ軸補完部材62より小さくなってしまう。したがって、切除部材78を軸補完部材62としては用いることができない。
軸補完部材62は、図11に示されるように、別の環状軸体用素材81から上記と同様にワイヤ加工機を用いて切り取る。この場合には軸補完部材62の接合面62Aを形成する寸法で切断する。軸補完部材62の周方向長さは環状軸体用素材81に対して十分短いため、1つの環状軸体用素材81から複数の軸補完部材62を切り取ることができ、取り得る最大数で切り取るようにすると良い。図示例では、1個の環状軸体用素材81から6個の軸補完部材62を形成することができ、ワイヤ加工機を共用して効率的に軸補完部材62を形成することができる。
このようにして形成されたC字状軸主体61と軸補完部材62とに、上述したように固定連結するためのねじ孔61Bとボルト通し孔62Bとを形成し、軸補完部材62を図10に示されるようにC字状軸主体61の切除された部分に嵌め込み、最終的にボルト64のねじ締結により1つの環状軸体51が形成される。図示例では、7個の環状軸体用素材81から6個の環状軸体51を製造することができる。
なお、上記実施の形態では、環状軸体51をC字状軸主体61と軸補完部材62との2部材で無端円環状に形成したが、例えばドリブンローラ52を二つ割り構造にすれば、環状軸体用素材81をそのまま環状軸体として用いることができ、そのようにしても良い。
50 車輪
51 環状軸体
52 ドリブンローラ
61 C字状軸主体
62 軸補完部材
71 板状ブランク材
73 環状中間ブロック材
S 間隙
51 環状軸体
52 ドリブンローラ
61 C字状軸主体
62 軸補完部材
71 板状ブランク材
73 環状中間ブロック材
S 間隙
Claims (3)
- 無端円環状の環状軸体と、前記環状軸体の周方向に配置されかつ前記環状軸体の接線方向軸線周りに回転可能に取り付けられた複数のドリブンローラとにより構成された車輪における前記環状軸体が多角形断面形状に形成されている環状軸体の製造方法であって、
前記環状軸体に対応する形状の板状ブランク材に対して前記環状軸体の径方向の内外周部分を形成する工程と、
前記ブランク材から前記内外周部分が形成された状態の環状中間ブロック材を切り取る工程と、
前記環状中間ブロック材に対して前記環状軸体の中心軸線方向幅部分を形成する工程とを有し、
前記環状軸体の径方向の内外周部分を形成する工程と前記環状軸体の中心軸線方向幅部分を形成する工程とにより前記環状軸体の前記多角形断面形状を形成することを特徴とする環状軸体の製造方法。 - 請求項1で形成された前記環状軸体に前記ドリブンローラが通過可能な隙間を設けるべく前記環状軸体の一部を切除したC字状軸主体を形成する工程と、
前記C字状軸主体の隙間を埋めて前記環状軸体を形成するための軸補完部材を形成する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の環状軸体の製造方法。 - 前記軸補完部材が、別の前記環状軸体から複数個切り出されて形成されることを特徴とする請求項2に記載の環状軸体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009216788A JP2011063156A (ja) | 2009-09-18 | 2009-09-18 | 環状軸体の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017113340A (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | トヨタ自動車株式会社 | バランス訓練装置 |
JP2020059451A (ja) * | 2018-10-12 | 2020-04-16 | 本田技研工業株式会社 | 車輪の製造方法及び車輪 |
-
2009
- 2009-09-18 JP JP2009216788A patent/JP2011063156A/ja active Pending
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