JP2011062801A - 研磨具 - Google Patents

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Abstract

【課題】砥石の偏摩耗が発生し難い研磨具を提供すること。
【解決手段】支持板11、支持板の下方に接続部材12を介して支持され、下面に環状砥石13が装着された環状砥石装着板14、および砥石装着板に固定された超音波振動子15を含む研磨具であって、上記接続部材が、下記式(I)〜(IV)の関係を満足する形状及び配置の環状接続部12aを備えており、砥石が装着された砥石装着板の幅方向の重心が、砥石装着板の上面の環状接続部の外周縁と内周縁との間の領域の下側に位置していることを特徴とする研磨具:(I)0.1≦W/L≦0.5、(II)0.3≦T/W≦10、(III)L1/L≧1/4、(IV)L2/≧1/4[但し、W及びTは各々環状接続部の幅及び高さ、Lは環状砥石装着板の幅、そしてL1は環状砥石装着板の環状接続部の外周縁よりも外周側の部分の幅、そしてL2は環状砥石装着板の環状接続部の内周縁よりも内周側の部分の幅である]。
【選択図】図1

Description

本発明は、研磨対象物の表面を研磨するために用いられる研磨具に関する。
従来より、薄膜型電子部品の製造のため、ガラス基板、シリコン基板、シリコンカーバイド基板、シリコンナイトライド基板、サファイア基板、あるいはアルミナ−チタンカーバイド基板などが用いられている。これらの基板の表面は、環状の砥石を備える研磨具とその駆動装置とから構成される研磨装置を用いて平滑に研磨される。
特許文献1には、図6に示す研磨具が記載されている。図6の研磨具60は、駆動装置の回転軸の下端部に回転軸に対して垂直に固定される環状の支持板(接続板)61、支持板61の下方に複数個(合計で六個)の接続部材(接続部)62を介して支持されている、下面に環状の砥石63が装着された環状砥石装着板(環状弾性体)64、および砥石装着板64に固定された複数個(合計で六個)の超音波振動子65から構成されている。
前記の各接続部材62の幅(砥石装着板64の径方向に沿う長さ)は、砥石装着板64の幅と等しくされている。支持板61の各ねじ孔61aと各接続部材62のねじ孔62aとにボルトをねじ込むことにより、支持板61と砥石装着板64とが、複数個の接続部材62を介して互いに固定される。
研磨具60を備える研磨装置では、次のようにして研磨対象物の表面の研磨が行なわれる。先ず、駆動装置の回転軸を研磨具60と共に回転させる。次に、各々の超音波振動子65に電気的エネルギー(例、交流電圧)を付与することにより、各振動子65にて超音波振動を発生させる。この超音波振動は砥石装着板64を介して砥石63に付与されるため、砥石63が超音波振動する。そして研磨具60の砥石63を研磨対象物に接触させることにより、研磨対象物の表面の研磨が行なわれる。
研磨具60の砥石装着板64の互いに隣接する接続部材62の間の部位は、接続部材62に接続されている部位と比較して超音波振動し易い。従って、各々の超音波振動子65にて発生した超音波振動は、接続部材62、そして支持板61を介して回転軸に伝わり難く、その大部分が砥石装着板64を介して砥石63に付与される。このため、砥石63が大きな振幅にて超音波振動する。これにより砥石63と研磨対象物との摩擦抵抗が小さくなり、この摩擦による発熱が抑制され、研磨対象物の熱膨張や変質が抑制されるため、研磨対象物の表面が高精度にて研磨されると記載されている。
特許文献2には、図7に示す研磨具が記載されている。図7の研磨具70では、環状の砥石73は、駆動装置の回転軸79の下端部に固定された円板部74aとその周縁から下方に伸びる円筒部74bとからなる砥石装着部材74の下面に固定されている。円筒部74bの外周面には円環状外側溝79aが、そして内周面には円環状内側溝79bが形成されている。溝79aと溝79bとの深さの合計は、円筒部74bの厚みよりも大きく設定される。従って、溝79aと溝79bとは、円筒部74bに互いに上下に間隔をあけて形成される。
研磨具70では、超音波振動子75にて発生した超音波振動が、円筒部74bと、溝79a、79bの内部の空気層との界面から形成される超音波反射面にて反射され、その大部分が円筒部74bの溝79a、79bよりも下側の部分を介して砥石73に付与される。このため、研磨対象物の表面が高精度にて研磨されると記載されている。
国際公開第06/137453号パンフレット 国際公開第08/108463号パンフレット
図6の研磨具60は、砥石装着板64の接続部材62に接続された部位が超音波振動し難いため、砥石装着板64に装着された砥石63の接続部材62と対応する部位もまた超音波振動し難い。このため、砥石63の接続部材62と対応する部位の摩耗量が小さくなり、砥石63が偏摩耗(砥石が周方向において不均一に摩耗)して、長時間の使用により研磨の精度が低下する可能性がある。
図7の研磨具70では、研磨対象物の表面を高精度で研磨するため、砥石装着部材74の円筒部74bに互いに上下に間隔をあけて形成された円環状外側溝79aと円環状内側溝79bとが用いられている。
本発明の課題は、繰り返しの研磨操作によっても砥石の偏摩耗が発生し難い研磨具を提供することにある。
本発明は、回転軸の下端部に回転軸に対して垂直に固定される円盤状もしくは環状の支持板、支持板の下方に接続部材を介して前記支持板と間隔をあけて平行に支持され、下面に連続した又は不連続の環状の砥石が装着された環状砥石装着板、および砥石装着板に固定された超音波振動子を含む研磨具であって、上記接続部材が、下記の式(I)及び式(II)の関係を満足する幅と高さとを有する連続した環状の形状にあって前記環状砥石装着板の上面の下記の式(III)及び式(IV)の関係を満足する位置に配設された環状接続部を備えており、環状の砥石が装着された環状砥石装着板の幅方向の重心が、砥石装着板の上面の環状接続部の外周縁と内周縁との間の領域の下側に位置していることを特徴とする研磨具にある。
(I)0.1≦W/L≦0.5
(II)0.3≦T/W≦10
(III)L1/L≧1/4
(IV)L2/L≧1/4
[但し、Wは環状接続部の幅、Tは環状接続部の高さ、Lは環状砥石装着板の幅、L1は環状砥石装着板の環状接続部の外周縁よりも外周側の部分の幅、そしてL2は環状砥石装着板の環状接続部の内周縁よりも内周側の部分の幅を意味する。]
本発明はまた、回転軸の下端部に該回転軸に対して垂直に固定される円盤状もしくは環状の支持板、支持板の下方に接続部材を介して前記支持板と間隔をあけて平行に支持され、下面に連続した又は不連続の環状の砥石が装着された環状砥石装着板、および砥石装着板に固定された超音波振動子を含む研磨具であって、上記接続部材が、それぞれ下記の式(I)〜式(III)の関係を満足する幅と高さとを有する連続した環状の形状にあって前記環状砥石装着板の上面の下記の式(IV)及び式(V)の関係を満足する位置に互いに間隔をあけて同軸に配設された外周側環状接続部と内周側環状接続部とを備えており、環状の砥石が装着された環状砥石装着板の幅方向の重心が、砥石装着板の上面の外周側環状接続部の内周縁と内周側環状接続部の外周縁との間の領域の下側に位置していることを特徴とする研磨具にもある。
(I)0.1≦(W1+W2)/L≦0.5
(II)0.5≦W1/W2≦1.5
(III)0.3≦T/(W1+W2)≦10
(IV)L1/L≧1/8
(V)L2/L≧1/8
[但し、W1は外周側環状接続部の幅、W2は内周側環状接続部の幅、Tは各々の環状接続部の高さ、Lは環状砥石装着板の幅、L1は環状砥石装着板の外周側環状接続部の外周縁よりも外周側の部分の幅、そしてL2は環状砥石装着板の内周側環状接続部の内周縁よりも内周側の部分の幅を意味する。]
前記の各研磨具の好ましい態様は、次の通りである。
(1)上記L1及びL2が、更に0.5≦L1/L2≦1.5の関係を満足する。
(2)超音波振動子が環状砥石装着板の上面に固定されている。
本発明の研磨具は、砥石の偏摩耗が発生し難いため、長時間使用した際にも研磨対象物の表面を安定した高い精度で研磨することができる。
本発明の研磨具の構成例を示す断面図である。 図1に記入した切断線II-II線に沿って切断した研磨具10の断面図である。 本発明の研磨具の別の構成例を示す断面図である。 超音波振動する環状砥石装着板14の変位量を示す図である。 超音波振動する環状砥石装着板14の変位量を示す別の図である。 従来の研磨具の構成例を示す分解斜視図である。 従来の研磨具の別の構成例を示す断面図である。
本発明の研磨具の構成を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の研磨具の構成例を示す断面図であり、そして図2は、図1に記入した切断線II-II線に沿って切断した研磨具10の断面図である。
図1及び図2に示す研磨具10は、回転軸19の下端部に回転軸19に対して垂直に固定される環状の支持板11、支持板11の下方に接続部材12を介して支持板11と間隔をあけて平行に支持され、下面に連続した環状の砥石13が装着された環状砥石装着板14、および砥石装着板14に固定された超音波振動子15から構成されている。
研磨具10は、接続部材12が、下記の式(I)及び式(II)の関係を満足する幅と高さとを有する連続した環状の形状にあって砥石装着板14の上面の下記の式(III)及び式(IV)の関係を満足する位置に配設された環状接続部12aを備えており、環状の砥石13が装着された環状砥石装着板14の幅方向の重心が、砥石装着板14の上面の環状接続部12aの外周縁と内周縁との間の領域の下側に位置していることに主な特徴がある。
(I)0.1≦W/L≦0.5
(II)0.3≦T/W≦10
(III)L1/L≧1/4
(IV)L2/L≧1/4
[但し、Wは環状接続部12aの幅、Tは環状接続部12aの高さ、Lは環状砥石装着板14の幅、L1は環状砥石装着板14の環状接続部12aの外周縁よりも外周側の部分の幅、そしてL2は環状砥石装着板14の環状接続部12aの内周縁よりも内周側の部分の幅を意味する。]
研磨具10は、回転軸19の下端部に、例えば、ボルト21を用いて固定される。駆動装置としては、例えば、前記特許文献1あるいは特許文献2に記載された研磨装置に備えられている駆動装置を用いることができる。なお、回転軸19は、水平方向に配置されていてもよい。この場合、本発明の研磨具10の「上側」とは支持板11の側を、そして「下側」とは砥石13の側を意味する。
支持板11は、例えば、ボルト22を用いて接続部材12に固定される。接続部材12は、例えば、ボルト23を用いて砥石装着板14に固定される。砥石装着板14の下面には周溝14aが形成されている。この周溝14aに砥石13が嵌め合わされて固定されている。砥石装着板14と砥石13とは、例えば、接着剤を用いて固定することもできる。なお、回転軸19と支持板11、支持板11と接続部材12、接続部材12と砥石装着板14、そして砥石装着板14と砥石13のそれぞれの固定方法に特に制限はない。
接続部材12は、砥石装着板14に接続される環状接続部12aの構成に特徴があり、環状接続部12aよりも上方の部位の構成に特に制限はない。接続部材は、支持板の外周面に固定することもできる。接続部材は、その全体が環状接続部と同一の外径及び内径を有する筒状の形状に設定することもできる。なお、環状接続部の外径あるいは内径が、環状接続部の支持板の側の端部と砥石装着板の側の端部とで異なる場合には、環状接続部の外径あるいは内径とは、砥石装着板の側の端部(すなわち砥石装着板との接触面)における外径あるいは内径を意味する。
支持板11と接続部材12、あるいは接続部材12と砥石装着板14を予め一体に(一つの部品として)形成することもできる。また、回転軸19と支持板11とを予め一体に形成することもできる。
支持板11、接続部材12及び砥石装着板14の各々は、例えば、アルミニウム、青銅、ステンレススチール、アルミニウム合金(例、ジュラルミン)、およびチタン合金に代表される金属材料から形成することができる。
環状の砥石13としては、例えば、ダイヤモンド砥粒に代表される砥粒を、金属ボンドやレジンボンドで結着して連続した環状の形状に設定された砥石(連続した環状の砥石)を用いることができる。通常、砥粒の平均粒径は0.1〜50μmの範囲内に設定される。
環状の砥石としては、環状に並べて配置された複数個(例えば、2乃至50個)の砥石片の集合体(不連続の環状の砥石)を用いることもできる。不連続の環状の砥石は、上記の連続した環状の砥石と比較して、その作製が(特に環状の砥石の径が大きい場合に)容易である。また、研磨の際に砥石内部に生じる応力が低減するため、砥石の破損の発生が抑制される。
研磨具10では、環状に並べて配置された複数個(合計で18個)の超音波振動子15の集合体(不連続の環状の超音波振動子)が用いられている。これに代えて、連続した環状の超音波振動子を用いることもできる。
超音波振動子15としては、例えば、圧電体の上面及び下面の各々に電極層を付設した構成の圧電振動子が用いられる。
圧電体の材料の例としては、ジルコン酸チタン酸鉛系の圧電セラミック材料が挙げられる。圧電体は、例えば、その厚み方向(図1にて上下方向)に分極処理される。電極層の材料の例としては、銀やリン青銅などの金属材料が挙げられる。
超音波振動子15は、例えば、エポキシ樹脂を用いて砥石装着板14に固定される。超音波振動子15は、砥石装着板14の上面、下面、外周面及び内周面の何れの面に固定してもよいが、砥石装着板14の上面に固定することが好ましい。これにより、研磨の際に研磨対象物の表面に供給される研削補助液(代表例、水)を介した超音波振動子の上下面の電極層の電気的な短絡が防止される。
超音波振動子15は、その電極層に電源にて発生した電気的エネルギーが付与されると超音波振動を発生する。この超音波振動は砥石装着板14を介して砥石13に付与される。超音波振動子15と電源とは、例えば、ロータリートランスやスリップリングを介して互いに電気的に接続される。超音波振動子と電源との電気的な接続方法については、前記の特許文献1及び特許文献2の各々に詳しい記載がある。
図1の研磨具10の場合、砥石装着板14の質量に対して、砥石13の質量が小さいため、砥石13が装着された砥石装着板14の幅方向の重心は、概ね砥石装着板14の幅方向の中央(かつ厚み方向の中央)に位置する。従って、前記の重心は、砥石装着板14の上面の環状接続部12aの外周縁と内周縁との間の領域の下側に位置している。なお、例えば、砥石装着板14及び砥石13の各々の形状及び質量に基づく計算によって前記の重心の正確な位置を確認してもよい。
このような構成を採用すると、超音波振動子15にて超音波振動を発生させ、この超音波振動を砥石装着板14に付与することにより、砥石装着板14の環状接続部12aに接続された部位(前記重心の上方の部位)を中心として、砥石装着板14の環状接続部12aよりも外周側の部分と内周側の部分とが互いにバランスしながら、両者の部分の周方向の全体が幅方向(径方向)そして上下方向(軸方向)の各々に均一な振幅にて超音波振動する。このため、砥石装着板14に装着された環状の砥石13に偏摩耗が発生し難い。
また、前記の両者の部分が互いにバランスしながら超音波振動すると、砥石13が装着された砥石装着板14は、その幅方向の重心位置が前記超音波振動の影響を受けて移動することのない状態で、環状接続部12aに支持される。従って、超音波振動子15が発生した超音波振動は、環状接続部12a(接続部材12)を介して支持板11の側に殆ど伝わることなく、その大部分が砥石装着板14を介して砥石13に付与される。このため、砥石13は大きな振幅にて超音波振動する。これにより砥石13と研磨対象物との摩擦抵抗が小さくなり、この摩擦による発熱が抑制され、研磨対象物の熱膨張や変質が抑制されるため、研磨対象物の表面が高精度にて研磨される。
更にまた、前記の両者の部分が互いにバランスしながら超音波振動する際の超音波振動の周波数は、各々の幅L1及びL2(幅方向の固有振動数)により定まるので、砥石装着板14のサイズが大きくなった場合、すなわち周方向の長さが大きくなった場合であっても殆ど変動することはない。これに対して、図6の従来の研磨具60では、環状砥石装着板64のサイズが大きくなった場合には、互いに隣接する接続部材62と接続部材62との間隔が長くなるため、砥石装着板64の前記両者の接続部材の間の部位(両者の接続部材によって支持された部位)の超音波振動の周波数が低下する。このため研磨具60はそのサイズを変更すると、研磨加工の条件(超音波振動の周波数)の変動に応じて研磨の精度が変動し易い。このような研磨の精度の変動を抑制するためには、接続部材62の数を増加させて、互いに隣接する接続部材の間隔を小さくすればよいが、研磨具の構成が複雑になる。
なお、研磨具10の超音波振動子15に付与する交流電圧の周波数は、例えば、次のようにして定めることができる。先ず、砥石13が装着された砥石装着板14に固定された超音波振動子15のインピーダンスの周波数特性を、例えば、インピーダンスアナライザを用いて測定する。そして超音波振動子15に付与する交流電圧の周波数を、得られたインピーダンス特性に表れるアドミタンス(インピーダンスの逆数)のピークに対応する周波数に設定する。このような設定により、超音波振動子15に付与する電気的なエネルギーを、効率良く超音波振動のエネルギーに変換することができる。なお、アドミタンスのピークが複数表れる場合には、超音波振動子15に各ピークに対応する周波数の交流電圧を付与し、砥石装着板14の周方向の複数の位置における超音波振動の変位量を、例えば、レーザドップラー振動計により測定する。そして超音波振動子15に付与する交流電圧の周波数を、砥石装着板14の周方向の全体が最も大きな振幅で且つ均一に振動する周波数に設定することが好ましい。
本発明の研磨具10では、環状接続部12aの幅(W)と環状砥石装着板14の幅(L)との比(W/L)は、0.1〜0.5の範囲内の値に設定される。これにより環砥石装着板14が環状接続部12a(接続部材12)を介して支持板11に安定に支持され、また砥石装着板14の環状接続部12aよりも外周側の部分と内周側の部分との各々が超音波振動し易くなる。
また、環状接続部12aの高さ(T)と幅(W)との比(T/W)は、0.3〜10の範囲内の値に設定される。これにより環状接続部12aがその軸方向に撓み難くなるため、砥石装着板14が環状接続部12a(接続部材12)を介して支持板11に安定に支持される。
そして、環状砥石装着板14の環状接続部12aの外周縁よりも外周側の部分の幅(L1)、そして環状砥石装着板14の環状接続部12aの内周縁よりも内周側の部分の幅(L2)は、それぞれ環状砥石装着板14の幅(L)の1/4以上の値に設定される。これにより砥石装着板14の環状接続部12aよりも外周側の部分と内周側の部分との各々が、径方向そして軸方向の各々に大きな振幅にて超音波振動し易くなる。
上記L1及びL2は、更に0.5≦L1/L2≦1.5の関係を満足することが好ましい。これにより砥石装着板14の環状接続部12aに接続される部位に対して、砥石装着板14の環状接続部12aよりも外周側の部分と内周側の部分との対称性が良好になる。このため、砥石装着板14の環状接続部12aよりも外周側の部分と内周側部分とが互いに良好にバランスした状態で超音波振動する。これにより、超音波振動のエネルギーの環状接続部12a(接続部材12)を介した支持板11への伝達(超音波エネルギーの損失の発生)が効果的に抑制される。
図3は、本発明の研磨具の別の構成例を示す断面図である。
図3の研磨具50の構成は、接続部材52が、それぞれ下記の式(I)〜式(III)の関係を満足する幅と高さとを有する連続した環状の形状にあって環状砥石装着板14の上面の下記の式(IV)及び式(V)の関係を満足する位置に互いに間隔をあけて同軸に配設された外周側環状接続部52aと内周側環状接続部52bとを備えており、環状の砥石13が装着された環状砥石装着板14の幅方向の重心が、砥石装着板14の上面の外周側環状接続部52aの内周縁と内周側環状接続部52bの外周縁との間の領域の下側に位置していること以外は図1の研磨具10と同様である。但し、支持板11は、周方向に互いに隣接するボルト23aの間の位置にて、図に表れないボルトにより接続部材52に固定されている。
(I)0.1≦(W1+W2)/L≦0.5
(II)0.5≦W1/W2≦1.5
(III)0.3≦T/(W1+W2)≦10
(IV)L1/L≧1/8
(V)L2/L≧1/8
[但し、W1は外周側環状接続部52aの幅、W2は内周側環状接続部52bの幅、Tは各々の環状接続部の高さ、Lは環状砥石装着板14の幅、L1は環状砥石装着板14の外周側環状接続部52aの外周縁よりも外周側の部分の幅、そしてL2は環状砥石装着板14の内周側環状接続部52bの内周縁よりも内周側の部分の幅を意味する。]
研磨具50の砥石装着板14は、砥石13が装着された砥石装着板14の幅方向の重心の位置に対して、その外周側と内周側とに概ね対称に配置された環状接続部52a、52bを備える接続部材52を介して支持板11に支持されている。
このような構成の採用によっても、超音波振動子15にて超音波振動を発生させ、この超音波振動を砥石装着板14に付与することにより、超音波振動子15にて発生した超音波振動が砥石装着板14に付与された際に、砥石装着板14の前記重心の上方の部位を中心として、この部位よりも外周側の部分と内周側の部分とが互いにバランスしながら、両者の部分の周方向の全体が幅方向(径方向)そして上下方向(軸方向)の各々に均一な振幅にて超音波振動する。このため、砥石装着板14に装着された環状の砥石13に偏摩耗が発生し難い。図3の研磨具50の効果は、図1の研磨具10の場合と同様であるため、これ以上の説明は行なわない。
研磨具50は、砥石装着板14を安定に支持するため、外周側環状接続部52aの幅(W1)と内周側環状接続部52bの幅(W2)との和(W1+W2)が、上記式(I)及び式(III)の各々の関係を満足するように設計される。また各環状接続部の十分な機械的強度を確保するため、外周側環状接続部52aの幅(W1)と内周側環状接続部52bの幅(W2)との比(W1/W2)は、0.5〜1.5の範囲内の値に設定される。
そして、図1の研磨具10の場合と同様の理由により、図3の研磨具50の環状砥石装着板14の外周側環状接続部52aの外周縁よりも外周側の部分の幅(L1)、そして環状砥石装着板14の内周側環状接続部52bの内周縁よりも内周側の部分の幅(L2)は、それぞれ環状砥石装着板14の幅(L)の1/8以上の値に設定される。また、上記L1及びL2は、更に0.5≦L1/L2≦1.5の関係を満足することが好ましい。
なお、図3の研磨具50の場合には、超音波振動子15を砥石装着板14の上面の外周側環状接続部52aと内周側環状接続部52bとの間の領域に固定することが好ましい。これにより、超音波振動子15が、接続部材52と砥石装着板14との間に水密に収容されるため、研削補助液を介した超音波振動子15の上下面の電極層の電気的な短絡が確実に防止される。なお、超音波振動子15と電源との電気的な接続は、例えば、支持板11及び接続部材52に細孔を設けて、この内部に配設された電気配線を介して行なうことができる。
[実施例1]
図1の研磨具と同一の構成の研磨具を作製した。支持板11、接続部材12、そして環状砥石装着板14は、それぞれアルミニウム合金(ジュラルミン)から形成した。
環状接続部12aの外径は159mm、内径は139mm、幅(W)は10mm、そして高さ(T)は5mmである。環状砥石装着板14の外径は209mm、内径は89mm、幅(L)は60mm、そして厚み(H2)は5mmである。砥石装着板14の環状接続部12aの外周縁よりも外周側の部分の幅(L1)は25mm、そして砥石装着板14の環状接続部12aの内周縁よりも内周側の部分の幅(L2)は25mmである。なお、接続部材12の環状接続部12aよりも上側の部分の厚み(H1)は15mmである
従って、W/Lは0.17に、T/Wは0.5に、L1/Lは0.4に、そしてL2/Lは0.4に設定される。砥石13が装着された砥石装着板14の幅方向の重心は、砥石装着板14の上面の環状接続部12aの外周縁と内周縁との間の領域の下側に位置している。
この研磨具10の各超音波振動子15に、周波数が60kHzで振幅が60V(ピークピーク値)の交流電圧を付与して超音波振動を発生させた。この超音波振動は、砥石装着板14、次いで砥石13に付与され、これにより砥石13が装着された砥石装着板14が超音波振動する。
そして超音波振動する砥石装着板14の周方向の九カ所の測定位置にて、砥石装着板14の変位量(ピークピーク値)をレーザードップラー振動計を用いて測定した。各測定位置においては、砥石装着板14の外周面の変位量(径方向の変位量)と、砥石装着板14の下面の砥石13よりも外周側の表面領域の変位量(軸方向の変位量)とをそれぞれ測定した。
図4は、超音波振動する環状砥石装着板14の変位量を示す図である。図に示す九角形の中心点では変位量は零である。中心点から放射状に延びる直線と、中心点の周囲に記入した最も小さな九角形との交点では変位量は0.5μmであり、前記直線とその次に大きな九角形との交点では変位量は1.0μmであり、そして前記直線と最も大きな九角形との交点では変位量は1.5μmである。
図4に示すように、研磨具10の砥石装着板14は、その周方向の全体が約0.7μmの変位量(超音波振動の振幅値に相当する)にて径方向に均一に、そして約1μmの変位量にて軸方向に均一に超音波振動していることを確認した。従って、砥石装着板14に装着された砥石13に偏摩耗が発生し難い。
[実施例2]
超音波振動子15に付与する交流電圧の周波数を78kHzに設定すること以外は実施例1と同様にして、砥石装着板14の変位量(ピークピーク値)を測定した。
図5は、超音波振動する環状砥石装着板14の変位量を示す図である。図に示す九角形の中心点では変位量は零である。中心点から放射状に延びる直線と、中心点の周囲に記入した最も小さな九角形との交点では変位量は2μmであり、前記直線とその次に大きな九角形との交点では変位量は4μmであり、そして前記直線と最も大きな九角形との交点では変位量は6μmである。
図5に示すように、研磨具10の砥石装着板14は、その周方向の全体が約4μmの変位量にて径方向に均一に、そして約1μmの変位量にて軸方向に均一に超音波振動していることを確認した。従って、砥石装着板14に装着された砥石に偏摩耗が発生し難い。
10 研磨具
11 環状の支持板
12 接続部材
12a 環状接続部
13 環状の砥石
14 環状砥石装着板
14a 周溝
15 超音波振動子
19 回転軸
21、22、23、23a、23b ボルト
50 研磨具
52 接続部材
52a 外周側環状接続部
52b 内周側環状接続部
60 研磨具
61 環状の支持板
61a ねじ孔
62 接続部材
62a ねじ孔
63 環状の砥石
64 環状砥石装着板
65 超音波振動子
70 研磨具
73 環状の砥石
74 砥石装着部材
74a 円板部
74b 円筒部
75 超音波振動子
79 回転軸
79a 円環状外側溝
79b 円環状内側溝

Claims (6)

  1. 回転軸の下端部に該回転軸に対して垂直に固定される円盤状もしくは環状の支持板、該支持板の下方に接続部材を介して該支持板と間隔をあけて平行に支持され、下面に連続した又は不連続の環状の砥石が装着された環状砥石装着板、および該砥石装着板に固定された超音波振動子を含む研磨具であって、
    上記接続部材が、下記の式(I)及び式(II)の関係を満足する幅と高さとを有する連続した環状の形状にあって前記環状砥石装着板の上面の下記の式(III)及び式(IV)の関係を満足する位置に配設された環状接続部を備えており、環状の砥石が装着された環状砥石装着板の幅方向の重心が、該砥石装着板の上面の環状接続部の外周縁と内周縁との間の領域の下側に位置していることを特徴とする研磨具:
    (I)0.1≦W/L≦0.5
    (II)0.3≦T/W≦10
    (III)L1/L≧1/4
    (IV)L2/L≧1/4
    [但し、Wは環状接続部の幅、Tは環状接続部の高さ、Lは環状砥石装着板の幅、L1は環状砥石装着板の環状接続部の外周縁よりも外周側の部分の幅、そしてL2は環状砥石装着板の環状接続部の内周縁よりも内周側の部分の幅を意味する]。
  2. 上記L1及びL2が更に下記式(V)の関係を満足する請求項1に記載の研磨具。
    (V)0.5≦L1/L2≦1.5
  3. 超音波振動子が環状砥石装着板の上面に固定されている請求項1もしくは2に記載の研磨具。
  4. 回転軸の下端部に該回転軸に対して垂直に固定される円盤状もしくは環状の支持板、該支持板の下方に接続部材を介して該支持板と間隔をあけて平行に支持され、下面に連続した又は不連続の環状の砥石が装着された環状砥石装着板、および該砥石装着板に固定された超音波振動子を含む研磨具であって、
    上記接続部材が、それぞれ下記の式(I)〜式(III)の関係を満足する幅と高さとを有する連続した環状の形状にあって前記環状砥石装着板の上面の下記の式(IV)及び式(V)の関係を満足する位置に互いに間隔をあけて同軸に配設された外周側環状接続部と内周側環状接続部とを備えており、環状の砥石が装着された環状砥石装着板の幅方向の重心が、該砥石装着板の上面の外周側環状接続部の内周縁と内周側環状接続部の外周縁との間の領域の下側に位置していることを特徴とする研磨具:
    (I)0.1≦(W1+W2)/L≦0.5
    (II)0.5≦W1/W2≦1.5
    (III)0.3≦T/(W1+W2)≦10
    (IV)L1/L≧1/8
    (V)L2/L≧1/8
    [但し、W1は外周側環状接続部の幅、W2は内周側環状接続部の幅、Tは各々の環状接続部の高さ、Lは環状砥石装着板の幅、L1は環状砥石装着板の外周側環状接続部の外周縁よりも外周側の部分の幅、そしてL2は環状砥石装着板の内周側環状接続部の内周縁よりも内周側の部分の幅を意味する]。
  5. 上記L1及びL2が更に下記式(VI)の関係を満足する請求項4に記載の研磨具。
    (VI)0.5≦L1/L2≦1.5
  6. 超音波振動子が環状砥石装着板の上面に固定されている請求項4もしくは5に記載の研磨具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105150034A (zh) * 2015-08-12 2015-12-16 华侨大学 一种实现端面超声辅助研磨和抛光的磨头

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