JP2011062742A - 回転工具 - Google Patents

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Chihiro Kawai
千尋 河合
Hideki Moriguchi
秀樹 森口
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Abstract

【課題】摩擦撹拌接合のプローブに適した回転工具を提供する。
【解決手段】この回転工具は、摩擦撹拌接合のプローブに用いられるものであり、WCを主成分とし、残部がSiC及び不純物から構成される焼結体からなる。この焼結体の熱伝導率が130W/m・K以下である。SiCを含有していながらも熱伝導率が低いことで、この回転工具により摩擦撹拌接合を行った場合、接合対象に摩擦熱を十分に伝えて、接合対象の構成材料を十分に塑性流動させて良好に接合できる。この回転工具は、WC-SiC系焼結体により構成されることで、ヤング率が高く剛性に優れる上に、硬度が高く耐摩耗性に優れるため、長期に亘り上記良好な接合を安定して提供することができると期待される。
【選択図】なし

Description

本発明は、摩擦撹拌接合のプローブに利用される回転工具に関するものである。特に、ヤング率や硬度が高く、耐摩耗性に優れる上に、接合対象に摩擦熱を十分に付与できる回転工具に関するものである。
従来、自動車、鉄道車両といった各種車両や飛行機などの輸送機器、建築材などを含む構造物、その他、家庭用電気製品などでは、金属材料からなる種々の部材(例えば、車両のボディなど)を具える。これら金属材料からなる部材同士を接合する場合、リベットを用いたり、抵抗スポット溶接といった点接合方法が広く利用されている。
その他の接合方法として、特許文献1,2に記載される摩擦撹拌接合(Friction Stir Spot Welding)と呼ばれる方法が近年検討されてきている。摩擦撹拌接合は、工具の先端に設けられたプローブを回転させながら、重ね合わせた接合対象の重複部分に押し込み、このときの摩擦熱により軟化した接合対象の構成材料を撹拌(塑性流動)することで接合する。この摩擦撹拌接合は、固相接合であることから、接合時、接合対象への入熱が少ないため、接合対象の軟化や歪みの程度が少ない上に、上記抵抗スポット溶接やリベットによる接合よりも、継手品質がよく、良好な接合状態が安定して得られる。
上記摩擦撹拌接合に用いられるプローブ(回転工具)には、耐摩耗性に優れることが望まれる。そこで、プローブの構成材料として、特許文献1では、工具鋼といった鋼を挙げており、特許文献2では、更に耐摩耗性に優れる超硬合金を挙げている。超硬合金は、硬質相をWC(炭化タングステン)とし、結合相をCo(コバルト)とするWC-Co系超硬合金が代表的である。
特許第2712838号公報 特開2001-314983号公報
摩擦撹拌接合は、上述のように優れた接合状態を安定して得られることから、今後汎用されていくと考えられる。そのため、摩擦撹拌接合のプローブの剛性及び耐摩耗性を向上して、長寿命化することが望まれる。
しかし、従来のWC-Co系超硬合金では、一般的なセラミックスよりも硬度が低い金属(Co)を含むことでヤング率が小さくなり易く、剛性の更なる向上が難しい。また、Coを含むことで硬度が小さくなり易く、耐摩耗性の更なる向上が難しい。更に、Coは、近年、希少金属となっており、Coの使用は、製造コストの増加を招く。
そこで、本発明の目的は、剛性及び耐摩耗性が高く、摩擦撹拌接合のプローブに好適に利用することができる回転工具を提供することにある。
本発明者らは、摩擦撹拌接合のプローブに適した素材として、WC-Co系超硬合金において結合相のCoに代わる好ましい材料を検討した。剛性や耐摩耗性を向上するには、一般に、高硬度で高ヤング率であるセラミックスを利用することが好ましい。そこで、セラミックスとしてWCと焼結が可能であり、比較的入手し易いSiC(炭化ケイ素)を結合相に利用して、WC-SiC系焼結体を検討した。しかし、SiCは、Coよりも熱伝導率が高いことから(Co:99.2W/m・K、SiC(代表値):270W/m・K)、WC-SiC系焼結体の熱伝導率が高いことで、摩擦撹拌接合のプローブに適さない、との知見を得た。摩擦撹拌接合では、上述のように撹拌時に発生した摩擦熱により接合対象の構成材料を軟化して塑性流動させるため、熱伝導率が高いプローブを用いると、発生した熱がプローブを通じて放出されて接合対象に十分に熱が加えられなくなる。その結果、接合対象の構成材料が十分に塑性流動しないことで、接合不良が生じ得る。そこで、本発明では、摩擦撹拌接合のプローブに適するように、WC-SiC系焼結体とすると共に、この焼結体の熱伝導率を特定の範囲とする。
本発明は、摩擦撹拌接合のプローブに用いられる回転工具であり、WCを主成分とし、残部がSiC及び不純物から構成される焼結体からなり、当該焼結体の熱伝導率が130W/m・K以下である。
本発明回転工具は、Coを構成材料とせず、かつCoよりもヤング率及び硬度が高いSiCを含有する焼結体から構成されることで、従来のWC-Co系超硬合金から構成される回転工具と同等以上の高いヤング率及び高い硬度を有する。そのため、本発明回転工具は、従来のWC-Co系超硬合金からなる回転工具よりも剛性及び耐摩耗性に優れると期待される。また、本発明回転工具は、Coよりも熱伝導率が高いSiCを含有していながらも、上述のように熱伝導率を特定の範囲とすることで、熱がある程度逃げ難い。そのため、本発明回転工具を摩擦撹拌接合に利用した場合、低熱伝導性であることから、発生した摩擦熱を接合対象に十分に伝えて、接合対象の構成材料を十分に塑性流動させて良好に接合できる上に、高剛性、高耐摩耗性であることから、長期に亘り上記良好な接合を安定して提供することができると期待される。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明回転工具は、主成分(60体積%以上)をWCを含有する粒子とし、残部をSiCを含有する成分、及び不純物から構成されるWC-SiC系焼結体から構成され、熱伝導率が130W/m・K以下である。WCを含有する粒子とは、WC、及びWCに金属や金属化合物が固溶したWC複合物を言う。SiCを含有する成分とは、SiC、及びSiCに化合物が固溶したSiC複合物を言う。より具体的な形態として、例えば、以下の(1)〜(6)の形態が挙げられる。
(1) WCを含有する粒子の少なくとも一部に、熱伝導率がWCよりも低いWC複合物を含む形態。
(2) WCを含有する粒子が微粒である形態。
(3) SiCを含有する成分の少なくとも一部に、熱伝導率がSiCよりも低いSiC複合物を含む形態。
(4) 焼結体の主成分がWC複合物であり、かつ上記焼結体に、WC複合物及びSiCを含有する成分以外の化合物が共存する形態。
(5) 焼結体中のSiCを含有する成分の含有量が特定の範囲である形態。
(6) 上記(1)〜(5)の構成を二種以上組み合わせた形態。
上記(1)〜(6)に記載される条件を適宜調整することで、熱伝導率が130W/m・K以下(但し、OW/m・Kを除く)、好ましくは110W/m・K以下、より好ましくは80W/m・K以下、更に好ましくは50W/m・K以下の焼結体とすることができる。熱伝導率が130W/m・Kを超えるWC-SiC系焼結体を摩擦撹拌接合のプローブ(回転工具)に利用すると、上述のように回転工具からの放熱が大きく、良好な接合が行えないと考えられる。上記焼結体の熱伝導率が低いほど、摩擦撹拌接合の際に接合対象に摩擦熱を十分に伝えられて、良好に接合できると期待される。従って、熱伝導率の下限は特に設けない。
以下、上記(1)〜(6)の各形態を説明する。
(1) WCを含有する粒子の熱伝導率の低減
純粋なWCは、熱伝導率が高いことから(代表的には130W/m・K)、本発明回転工具の主成分であるWCを含有する粒子の熱伝導率が低いと、WC-SiC系複合材料(焼結体)の熱伝導率が効果的に低くなる。例えば、本発明回転工具を構成する焼結体中のWCを含有する粒子がWC複合物を含むと、当該WC複合物中のフォノン散乱が大きくなって、WCを含有する粒子自体の熱伝導率を低下できる結果、焼結体の熱伝導率が効果的に低下する。
上記WC複合物は、WC中に、例えば、Ti、Nb、Ta、Cr、及びVから選択される一種以上の金属が固溶したものが挙げられる。上記金属は、WC中に当該金属の化合物として固溶することができる。従って、WC複合物は、金属が固溶した形態と、金属化合物が固溶した形態とが存在し得る。上記金属化合物は、炭化物、窒化物、炭窒化物の少なくとも一種が挙げられる。特に、Ti、Nb及びTaの少なくとも1種の金属が固溶したWC複合物を含有する焼結体は、耐摩耗性に優れることから、摩擦撹拌接合のプローブに利用した場合、接合対象が鋼などの比較的高強度な材料から構成されていても、摩耗し難い。上記耐摩耗性の向上効果は、Ta>Nb>Tiの順に高いと考えられる。
上記WC複合物においてWに対する上記金属の固溶量(mol割合)が多くなるほど、当該WC複合物の熱伝導率が低下する。上記金属は、WCに対して50mol%程度は固溶することができる。固溶限界まで固溶していると、WC複合物の熱伝導率をより低下することができて好ましい。50mol%程度を超えると、固溶しきれない上記金属は、当該金属の周囲に炭素源や窒素源が存在する場合、炭化物や窒化物、炭窒化物として析出する。後述するように、これらの化合物が存在することでも、焼結体の熱伝導率の低下に効果があると期待される。
上記WC複合物は、焼結体中のWCを含有する粒子に対する存在割合が高いほど、焼結体の熱伝導率が低下するため、WCを含有する粒子の実質的に全てがWC複合物であってもよい。WC複合物を焼結体中に存在させるには、例えば、原料として、WCの粉末と、上記金属化合物の粉末とを用意し、焼結時にWC中に当該金属化合物を固溶させたり、原料として、WC中に上記金属が固溶したものを利用することが挙げられる。
(2) WCを含有する粒子の微細化
本発明回転工具を構成するWC-SiC系焼結体は、マトリクスであるSiCを含有する成分中にWCを含有する粒子が分散した構造に近似した構造を有する。従って、上記焼結体の主成分であるWCを含有する粒子の粒径が小さい場合、当該粒子と上記マトリクスとの界面の面積が増加する。その結果、焼結体は全体として熱が伝わり難くなる、即ち、焼結体全体としての熱伝導率が低下する。この熱伝導率の低減効果は、焼結体中のWCを含有する粒子の平均粒径が小さいほど顕著になる。また、WCを含有する粒子が微細であると焼結体の強度が向上する。具体的は、WCを含有する粒子の平均粒径は、1μm以下が好ましく、特に0.5μm以下がより好ましい。焼結体中のWCを含有する粒子の平均粒径を上記のように微細にするには、例えば、原料として、平均粒径が1μm以下の微細なWC粉末を利用したり、後述する粒成長抑制効果がある物質を添加したり、短時間での焼結が可能な放電プラズマ焼結法(PAS(Plasma Activated Sintering)法)を利用したり、焼結条件を調整することが挙げられる。例えば、焼結温度を低めにしたり、昇温速度を大きくしたり、保持時間を短くすることで、WCを含有する粒子を微粒にすることができる。但し、微細過ぎるWC粉末を用いても粒成長して粗大になる場合があるため、WC粉末の平均粒径は、0.1μm以上が好ましい。
(3) SiCを含有する成分の熱伝導率の低減
純粋なSiCの単結晶や粉末は、熱伝導率が高く、250W/m・K〜400W/m・K程度(代表的には、270W/m・K)にも及ぶ。そのため、SiCを含有する成分の熱伝導率が低いと、WC-SiC系複合材料(焼結体)の熱伝導率が効果的に低くなる。例えば、本発明回転工具を構成する焼結体中のSiCを含有する成分がSiC複合物を含むと、当該SiC複合物中のフォノン散乱が大きくなって、SiCを含有する成分自体の熱伝導率を低下できる結果、焼結体の熱伝導率が効果的に低下する。上記SiC複合物は、例えば、SiC中にAlNが固溶したものが挙げられる。
上記SiC複合物においてSiCに対する上記金属化合物(AlNなど)の固溶量(mol割合)が多くなるほど、当該SiC複合物の熱伝導率が低下する。しかし、上記金属化合物(AlNなど)の固溶量が多過ぎると、SiC複合物の硬度が低下し、引いては焼結体の硬度の低下を招く。特に、SiC複合物がAlNを固溶する場合、SiC複合物においてSiCに対するAlNの固溶量は、3mol%以上が好ましく、上記硬度の低下を考慮して上限は50mol%程度が好ましい。
(4) 化合物の共存
本発明回転工具を構成する焼結体は、WCを含有する粒子及びSiCを含有する成分から構成される形態の他、WCを含有する粒子及びSiCを含有する成分に加えて、更に、Ti、Nb、Ta、Cr及びVから選択される一種類以上の金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、及びこれらの固溶体の一種以上の金属化合物が共存する形態が挙げられる。より具体的な金属化合物には、TiC,NbC,TaC,TaN,CrN,VC,TiCNが挙げられる。焼結体にこれらの金属化合物が含有されることで、焼結体の熱伝導率の低下に寄与することができると期待される。また、これらの金属化合物は、WCの粒成長抑制効果があることから、これらの金属化合物を含有する焼結体中のWCは、微粒になり易く、WCの微粒化による熱伝導率の低減の効果も期待できる。上記粒成長抑制効果は、V>Cr>Ta>Nb>Tiの順に高い傾向にあると言われる。従って、粒成長の抑制をより効果的に図る場合、焼結体は、VやCrの化合物を含有することが好ましく、上述のように硬度の向上、引いては耐摩耗性の向上をより効果的に図る場合、焼結体は、Ta,Nb,Tiの化合物を含有することが好ましい。
焼結体における上記金属化合物の含有量が多くなるほど、WCを含有する粒子が相対的に少なくなることで、焼結体の熱伝導率の低下に寄与することができると期待される。焼結体に対する上記金属化合物の含有量は、焼結体を100体積%とするとき、10体積%〜30体積%程度が好ましいと考えられる。上記金属化合物を焼結体中に存在させるには、例えば、原料に上記金属化合物の粉末を利用し、上述のようにWCへの固溶限界を超えるように添加量を調整して、製造中に析出させることが挙げられる。
(5) SiCを含有する成分の低減
上述のように純粋なSiCは、熱伝導率が高いことから、焼結体中のSiCを含有する成分そのものが少ないことで、焼結体の熱伝導率が効果的に低下する。但し、焼結体中のSiCを含有する成分が少な過ぎると、複合材料の焼結性が阻害されるなどして、焼結体の強度が低下する傾向がある。そのため、焼結体中のSiCを含有する成分についての含有量は、5体積%以上15体積%が好ましい。
(6) (1)〜(5)の条件の組合せ
上記(1)〜(5)の少なくとも一つの形態を具えることで、WC-SiC系焼結体は、熱伝導率:130W/m・K以下を満たす。更に、上記(1)〜(5)の二つ以上の形態を具えることで、熱伝導率が更に低くなり、上記(1)〜(5)の全ての形態を具えることで、熱伝導率が最も低くなると期待される。
<製造方法>
本発明回転工具は、WC-Co系超硬合金の製造に利用される一般的な製造方法、具体的には、原料の準備→原料の混合・粉砕→乾燥→成形→焼結という工程で製造することができる。上記焼結後に、更にHIP(熱間静水圧焼結)を行うと、緻密な焼結体を得ることができる。
上記原料には、WC粉末、上述した金属が固溶されたWC複合物粉末、SiC粉末或いはSiCウィスカ(繊維)、上述した化合物が固溶されたSiC複合物粉末或いはウィスカ、その他、上述した粒成長抑制効果がある物質を添加する場合は、その物質の粉末を利用するとよい。WC粉末やWC複合物粉末の粒径は、上述のように焼結体中のWCやWC複合物の平均粒径が所望の大きさとなるように適宜選択するとよい。SiCやSiC複合物のウィスカを用いた場合、得られた焼結体は、靭性が向上する傾向がある。SiCやSiC複合物の粉末やウィスカ、粒成長抑制剤の粉末などもWC粉末など同様に微粒としておくと(例えば、平均粒径(ウィスカの場合、平均直径):0.5μm〜3μm)、均一的に混合し易い上に、粒成長抑制剤の粉末の場合、焼結体中に残存しても、マトリクスとなるSiCを含有する成分と残存粒子との界面の面積を増加することができ、焼結体の熱伝導率の低下に寄与することができると期待される。
上記焼結は、ArやN2といった不活性ガス雰囲気や真空雰囲気とし、焼結温度を1550℃以上1750℃以下とすることが好ましい。焼結温度が1550℃未満では、靭性が不十分となり、1750℃超では、硬度が低下する傾向がある。焼結温度を1600℃以上1750℃以下とすると、焼結体中に、SiC相に加えて、WCとSiCとの反応生成物(W5Si3相)を形成することができ、W5Si3相の存在により、焼結体の靭性(例えば、破壊靭性)が向上する傾向がある。焼結方法には、通電加圧焼結法、放電プラズマ焼結法、ホットプレス焼結法などの加圧焼結法を好適に利用することができる。特に、放電プラズマ焼結法は、焼結時間が短く温度制御が容易であり、焼結体の生産性に優れる。特に、WCを含有する粒子の粒径を微粒にする場合、焼結温度を低くするほど、昇温速度を速くするほど、或いは保持時間を短くするほど、粒成長し難い傾向にあるため好ましい。原料にSiCウィスカを使用する場合、上記加圧焼結法は、焼結体の緻密化を促進することができ、高密度な焼結体が得られて好ましい。
本発明回転工具は、高靭性、高耐摩耗性、低熱伝導率であり、摩擦撹拌接合に利用した場合に、良好な接合状態を長期に亘り安定して行えると期待される。
種々の原料粉末を用意してWC-SiC系焼結体を作製し、得られた焼結体の組成、組織、機械的特性を調べた。
[原料]
原料として以下の粉末、ウィスカを用意した。いずれも市販品を利用してもよい。
WC粉末:平均粒径0.71μm、純度99.99%。
WC複合物粉末(I):表1に示す各種の金属炭化物(TiC,NbC,TaC,VC)、金属窒化物(TiN,TaN,CrN)、金属炭窒化物(TiCN)がWC粉末に固溶したもの。いずれも平均粒径0.55μm。表1中に「(I)」と示す。
WC複合物粉末(II):金属炭化物(TiC,NbC,TaC,VC)、金属窒化物(TiN,TaN,CrN)、及び金属炭窒化物(TiCN)がWC粉末に共存したもの。平均粒径0.75μm。表1中に「(II)」と示す。
なお、一部の試料については、WC複合粉末(I),(II)を更に粉砕した粉末を用いた。
SiC粉末:平均粒径0.5μm、純度99.99%。
SiCウィスカ(AlN固溶体):純度99.99%のSiCウィスカ中にAlNが固溶したもの。直径0.4μm、長さ30μm。
これらの原料粉末はいずれも、ピクノメーター法により比重を測定しておく。
[焼結体の製造]
上記原料の粉末を所定の組成となるように用意し、SiC製ボールを用いてボールミル混合(2時間)を行って混合粉末を得た。得られた混合粉末を表1に示す焼結方法により焼結した。
表1に「PAS」と記載された試料は、グラファイト型(内径20mm、外径50mm)に得られた混合粉末を充填した。断熱のために上記グラファイト型の周囲をグラファイトウールで囲んだ。そして、放電プラズマ焼結装置を用いて、雰囲気:真空、圧力:50MPaとし、昇温速度:50〜250℃/min、焼結温度:1550℃〜1750℃、保持時間:5〜15minの条件で焼結を行った。焼結温度、昇温速度、保持時間を上記範囲で適宜変化させることで、焼結体中のWC(WC複合物)の大きさを変化させた。例えば、試料No.2の昇温速度:200℃/min、保持時間:12minとした。焼結中、グラファイト型の表面を市販の放射温度計で測定した。測定温度(焼結温度)を表1に示す。
表1中に「常圧」と記載された試料は、雰囲気:アルゴン、圧力:大気圧、焼結温度:表1に記載、の条件で焼結を行った。
[評価]
得られた各焼結体について、WC(WC複合物を含む)の平均粒径、相対密度(%)、ヤング率(GPa)、ビッカース硬さHv(GPa)、破壊靭性値(MPa・m0.5)、熱伝導率(W/m・K)を測定した。その結果を表1に示す。
得られた焼結体中のWC(WC複合物を含む)の平均粒径は、焼結体の断面をSEM観察し、50個のWCを含有する粒子について、各粒子の面積における円相当径を求め、この円相当径を各粒子の粒径とし、50個の平均値とした。
相対密度(焼結体の密度/理論密度)は、原料粉末の設計組成から理論密度を算出し、アルキメデス法により測定した焼結体の密度を利用して求めた。なお、上記理論密度は、焼結体の成分を分析することで、推定することができる。
また、得られた焼結体にX線回折を行い、焼結体の構成成分を同定したところ、WCを含有する粒子及びSiCを含有する成分以外の生成相が認められた。更に、得られた焼結体にSEM-EDX分析を行い、WCを含有する粒子の含有量、SiCを含有する成分の含有量、上記生成相の含有量、WC複合物中の固溶金属の含有量、SiC複合物中の固溶化合物の含有量を調べた。その結果を表1に示す。表1の「WCへの固溶種」は、括弧内が固溶金属を示し、括弧外が固溶金属の供給源となった化合物種を示す。WC複合物中の金属の含有量は、Wに対する相対量、SiC複合物中の化合物の含有量は、SiCに対する相対量を示す。
焼結体のヤング率は、高温動弾性率測定装置(探触子:5MHz)を用い、超音波パルス法により縦波の音速と横波の音速とを測定して求めた。焼結体のビッカース硬さHvは、ビッカース硬度計を用い、試験力:10kgf(98N)、保持時間:15secの条件で測定した。焼結体の破壊靭性値は、上記ビッカース硬度の測定により得られたビッカース圧痕からインデンテーション法を用いて測定した。これらの結果を表1に示す。
得られた試料を加工し、摩擦撹拌接合用の回転工具を製作した。この回転工具は、円筒状の軸部と、その先端から突出した棒状のプローブとを具える。軸部は、回転駆動機構に支持される部分であり、プローブは、摩擦撹拌接合を行う際に、接合対象の接合界面に圧接される部分である。上記回転駆動機構を駆動することで、回転工具を回転させながら、水平方向に移動させることができる。ここでは、上記試料の焼結体により、上記軸部及びプローブの全体を作製したが、プローブのみを上記試料の焼結体で作製してもよい。
接合対象として、200mm×500mm×厚さ1.5mmの軟鉄板を2枚用意し、これらの軟鉄板を隣接して並べた後、その界面に沿って、作製した回転工具を用いて、500mm長さに沿って摩擦撹拌接合した。回転工具の回転速度は3000r.p.m.、回転工具の移動速度は25mm/minとした。
上記接合工程を3回繰り返し、接合後のプローブを観察し、チッピングの有無を確認した。チッピング無し、又はチッピングサイズが50μm以下の場合を◎、50〜100μmの場合を△とした。
次に、接合対象の撹拌部の断面を観察し、巣の発生の有無を確認して接合性を評価した。巣が無い、または巣の直径が1μm未満を◎、1〜10μmを△、10μmを超える場合を×とした。
Figure 2011062742
表1に示すように、試料No.2〜18のWC-SiC系焼結体は、熱伝導率が一般に高いSiCを含有していながらも、熱伝導率が130W/m・K以下と低い上に、高硬度、高ヤング率であることが分かる。また、このような高硬度、高ヤング率であって、熱伝導率が低いWC-SiC系焼結体は、WC中にTi,Nb,Taなどの金属を固溶したWC複合物を含有していたり、SiC中にAlNといった金属化合物を固溶したSiC複合物を含有していたり、焼結体中のWCを含有する粒子が微粒であったり、SiCを含有する成分の含有量が少なかったりすることが分かる。
更に、試料No.2〜18のWC-SiC系焼結体は、摩擦撹拌接合のプローブに利用した場合、良好な接合状態を提供することができることがわかる。また、これらの焼結体は、高硬度で高ヤング率であることから、耐摩耗性に優れるため、摩擦撹拌接合のプローブに利用した場合、上記良好な接合状態を長期に亘り安定して提供することができると期待される。
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、焼結体の組成(WCを含む粒子とSiCを含む成分との配合割合)、WC複合物の組成、SiC複合物の組成、WCを含む粒子の平均粒径などを適宜変更することができる。
本発明回転工具は、特に、金属材料からなる部材、例えば、一般構造用鋼材、建築などに用いられる構造用鋼材、自動車用鋼板などの鉄鋼材料といった鉄系材料や、アルミニウム、マグネシウムなどの非鉄金属材料からなる部材同士を摩擦撹拌接合により点接合などの接合を行うためのプローブに好適に利用することができる。

Claims (11)

  1. 摩擦撹拌接合のプローブに用いられる回転工具であって、
    WCを主成分とし、残部がSiC及び不純物から構成される焼結体からなり、
    前記焼結体の熱伝導率が130W/m・K以下であることを特徴とする回転工具。
  2. 前記焼結体の熱伝導率が110W/m・K以下であることを特徴とする請求項1に記載の回転工具。
  3. 前記焼結体の熱伝導率が80W/m・K以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転工具。
  4. 前記焼結体の主成分は、WC中にTi、Nb、及びTaから選択される一種以上の金属が固溶したWC複合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転工具。
  5. 前記焼結体の主成分は、WC中にTi、Nb、Ta、Cr及びVから選択される一種以上の金属が固溶したWC複合物であり、
    前記焼結体には、更に、Ti、Nb、Ta、Cr及びVから選択される一種以上の金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、及びこれらの固溶体の一種以上の金属複合物が共存することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転工具。
  6. 前記WC複合物においてWに対する前記金属の固溶量が5mol%以上50mol%以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の回転工具。
  7. 前記WCを含有する粒子の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転工具。
  8. 前記WCを含有する粒子の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転工具。
  9. 前記焼結体を構成するSiCの少なくとも一部は、SiC中にAlNが固溶したSiC複合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転工具。
  10. 前記SiCに対するAlNの固溶量が3mol%以上であることを特徴とする請求項9に記載の回転工具。
  11. 前記焼結体に対して、前記SiCを含む粒子の含有量が5体積%以上15体積%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の回転工具。
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