JP2011062052A - ケーブルグランド用ナットカバー - Google Patents

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Misa Fukumoto
未紗 福本
Kazuya Sano
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Abstract

【課題】ケーブルグランドのスリーブを押圧するナットが誤操作や悪戯によって緩められることを防止する。
【解決手段】ケーブルグランド1のスリーブ押圧用ナット8にケーブルグランド用ナットカバー30を装着する。このケーブルグランド用ナットカバー30は、ケーブルグランド1のスリーブ押圧用ナット8の工具係合部8cを被覆する円筒部31と、円筒部31に設けられて、スリーブ押圧用ナット8の奥側端部に係合する抜け防止係合部32と、同じく円筒部31に設けられて、スリーブ押圧用ナット8の手前側端部に係合する押し込み規制係合部33と、を備える。抜け防止係合部32には、奥側から手前側に向かって中心線側に傾斜したテーパ部32aが形成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ケーブルグランドのスリーブ押圧用ナットを被覆するケーブルグランド用ナットカバーに関する。
電気機器の筺体等の壁体を貫通するケーブルを保持するとともに、その壁体の貫通部とケーブルとの間から水、油、粉塵等が侵入することを防止するために、ケーブルグランドが従来より使用されている。
上記ケーブルグランドの多くは、グランド本体、スリーブ、袋ナット等で構成されている。グランド本体は、筺体等の壁体を貫通して取付けられる管状部材であり、その内部にゴム製のスリーブが嵌め込まれている。ケーブルは、グランド本体およびスリーブ内を貫通して設けられる。また、グランド本体には、スリーブをグランド本体内に押圧するための袋ナットが螺着されており、この袋ナットを締め付けることで、スリーブを内径側に撓ませてケーブルを隙間無く保持させることができる。これにより、壁体内への水、油、粉塵等の侵入が防止されるようになっている(例えば特許文献1を参照)。
特開2007−37364号公報
ところで、ケーブルグランドの袋ナットが、誤操作(例えば、袋ナットに手や物が当たってその袋ナットを緩めてしまう場合)や悪戯によって緩められることがあり、そうなると、スリーブとケーブルとの間に隙間ができ、その隙間より壁体内に水、油、粉塵等が侵入するおそれが生じる。
本発明はかかる問題に鑑みて創案されたものであり、ケーブルグランドのスリーブを押圧するナットが誤操作や悪戯によって緩められることを防止するケーブルグランド用ナットカバーを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための手段として、本発明のケーブルグランド用ナットカバーは、以下のように構成されている。
すなわち、本発明のケーブルグランド用ナットカバー(第1の発明)は、ケーブルグランドのスリーブ押圧用ナットに装着されるケーブルグランド用ナットカバーであって、前記スリーブ押圧用ナットの工具係合部を相対回転自在に被覆する筒部と、前記筒部に設けられ、前記スリーブ押圧用ナットの奥側端部に係合する抜け防止係合部とを備えることを特徴としている。
かかる構成を備えるケーブルグランド用ナットカバーによれば、筒部がスリーブ押圧用ナットの工具係合部を被覆し、筒部とスリーブ押圧用ナットとが回転方向に係合しないことから、誤操作によりこのケーブルグランド用ナットカバーを廻してしまっても、ケーブルグランド用ナットカバーのみが空回りしてその中のスリーブ押圧用ナットは緩まない。また、スリーブ押圧用ナットの工具係合部は、筒部に被覆されているため、スパナ、レンチ等の工具をスリーブ押圧用ナットの工具係合部に係合させることができない。しかも、抜け防止係合部がスリーブ押圧用ナットの奥側端部に係合しており、このケーブルグランド用ナットカバーを簡単に取り外すことができないようになっている。このため、悪戯によってスリーブ押圧用ナットを緩めることが困難となっている。
また、前記抜け防止係合部には、奥側から手前側に向かって中心側に傾斜したテーパ部が形成されていることが望ましい(第2の発明)。
かかる構成を備えるケーブルグランド用ナットカバーによれば、筒部の抜け防止係合部が設けられている部分が外側に広がり易くなるので、このケーブルグランド用ナットカバーのスリーブ押圧用ナットへの装着が容易になる。
また、本発明のケーブルグランド用ナットカバー(第3の発明)は、好ましくは、前記筒部に設けられ、前記スリーブ押圧用ナットの手前側端部に係合する押し込み規制係合部を更に備えたものである。
かかる構成を備えるケーブルグランド用ナットカバーによれば、抜け防止係合部と押し込み規制係合部との間にスリーブ押圧用ナットの工具係合部が常に配置され、工具係合部が筒部からはみ出ることを防止することができる。
また、前記筒部は、複数の筒構成部材からなり、前記複数の筒構成部材同士は、これらの筒構成部材と一体に形成された架橋部によって連結されていることが望ましい(第4の発明)。
かかる構成を備えるケーブルグランド用ナットカバーによれば、スリーブ押圧用ナットに装着された状態で架橋部をニッパ等の切断工具を使って切断するだけで容易にこのケーブルグランド用ナットカバーをスリーブ押圧用ナットから取り外すことができる。
また、前記架橋部は、前記筒部の外径より外側に湾曲していることが望ましい(第5の発明)。
かかる構成を備えるケーブルグランド用ナットカバーによれば、ニッパ等の切断工具によって架橋部を切断し易くなる。
また、本発明のケーブルグランド用ナットカバー(第6の発明)は、既述の第1〜第3の発明の何れかにおいて、前記筒部は、2つの筒構成部材からなり、前記2つの筒構成部材の一方の端部同士は、これらの筒構成部材と一体に形成された架橋部によって連結されており、前記2つの筒構成部材の他方の端部同士は、留め具により留め付け可能となっている。そして、前記留め具は、一方の筒構成部材の端部から周方向に突出し且つ径方向に開口した環状部と、他方の筒構成部材の端部に形成され、前記環状部が径方向に嵌まり込む凹部と、前記他方の筒構成部材の端部に形成され、前記環状部内に係合する係合凸部と、を有している。また、前記他方の筒構成部材には、前記係合凸部が前記環状部内に係合するときに当該環状部の先端縁部に沿うように、径方向外側に突出した突起部が形成されている。
かかる構成を備えるケーブルグランド用ナットカバーによれば、突起部が設けられていることにより、留め具の環状部に指先が掛かり難くなり、素手で係合状態を解除することが難しくなる。
また、本発明のケーブルグランド用ナットカバー(第7の発明)は、既述の第1〜第3の発明の何れかにおいて、前記筒部は、2つの筒構成部材からなり、前記2つの筒構成部材の一方の端部同士は、これらの筒構成部材と一体に形成された架橋部によって連結されており、前記2つの筒構成部材の他方の端部同士は、留め付け手段により留め付け可能となっている。そして、前記留め付け手段は、前記2つの筒構成部材の端部からそれぞれ径方向外側に突出し互いに連続したビス挿通孔を形成する一対のビス取付部と、前記ビス挿通孔に挿通されたビスと、を有している。
かかる構成を備えるケーブルグランド用ナットカバーによれば、ビスにより2つの筒構成部材が固定されるため、ケーブルグランドへの装着時にはドライバを使って簡単に装着することができる一方、ドライバ等の工具なしでは装着したケーブルグランドから取り外すことが難しくなる。
本発明に係るケーブルグランド用ナットカバーによれば、筒部がスリーブ押圧用ナットの工具係合部を被覆するため、スリーブ押圧用ナットが誤操作や悪戯によって簡単に緩められることが防止される。
ケーブルグランドを示す図である。(A)は中心線より上側が断面図であり中心線より下側が側面図である。(B)は正面図である。 第1の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを示す図である。(A)は平面図である。(B)は中心線より下側が側面図であり中心線より上側が断面図である。(C)は底面図である。(D)は中心線より左側が正面図であり、中心線より右側が断面図である。 ケーブルグランドの袋ナットに第1の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを装着した状態を示す図である。(A)は中心線より上側が断面図であり中心線より下側が側面図である。(B)は正面図である。 第2の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを示す図である。(A)は平面図である。(B)は断面図である。(C)は底面図である。(D)は左側面図である。 第2の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを示す展開図である。(A)は平面図である。(B)は正面図である。(C)は左側面図である。(D)は右側面図である。 ケーブルグランドの袋ナットに第2の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを装着した状態を示す図である。(A)は中心線より上側が断面図であり中心線より下側が側面図である。(B)は正面図である。 第3の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを示す図である。(A)は平面図である。(B)は断面図である。(C)は底面図である。 ケーブルグランドの袋ナットに第4の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを装着した状態を示す図である。(A)は中心線より上側が断面図であり中心線より下側が側面図である。(B)は正面図である。 第5の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーを示す展開図である。(A)は平面図である。(B)は正面図である。(C)は左側面図である。(D)は右側面図である。 第5の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーの正面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバーが装着されるケーブルグランド1の一例を示している。
図1に示すケーブルグランド1は、電気機器の筺体の壁体2を貫通して取付けられている。このケーブルグランド1は、壁体2を貫通して設置される電源ケーブル等のケーブル3を壁体2上に保持し、貫通穴2aとケーブル3との間から筺体内への水、油、粉塵等の異物の侵入を防止する。なお、本明細書では、筺体の外から壁体2に向かって奥側を単に「奥側」といい、筺体の外から壁体2に向かって手前側を単に「手前側」という。
上記ケーブルグランド1は、グランド本体5、スリーブ6、袋ナット8、ロック用ナット10、ゴムパッキン11等を備えている。
グランド本体5は、壁体2を貫通して取付けられ、その内部にケーブル3を挿通した管状部材である。グランド本体5は、その外周部の中間位置に六角形の工具係合部5aを有する。グランド本体5には、工具係合部5aより奥側に、ロック用ナット10が螺着可能な雄ねじ5bが形成され、工具係合部5aより手前側に、袋ナット8が螺着可能な雄ねじ5cが形成されている。また、グランド本体5の内部には、手前側から奥側に向かって縮径したテーパ部5dが形成されている。
グランド本体5は、その工具係合部5aより奥側部が壁体2に設けられた貫通穴2aに挿通され、ロック用ナット10にて壁体2に固定される。なお、壁体2の表側とグランド本体5の工具係合部5aとの間には、環状のゴムパッキン11が介装されており、これにより、グランド本体5の外周部と貫通穴2aとの間から水、油、粉塵等の異物が壁体2内に侵入することを防止している。
スリーブ6は、外周面が手前側から奥側に向かって縮径したゴム製等の可撓性の筒体である。このスリーブ6は、グランド本体5のテーパ部5dに嵌まり込んでおり、袋ナット8が締め付けられることで、内径側に撓んでその内部を挿通するケーブル3を弾性的に保持する。スリーブ6の長さ寸法は、テーパ部5dに嵌まり込んだ状態で、グランド本体5の手前側端部から所定量突出するものとなっている。また、スリーブ6の外周面の傾斜の度合いはテーパ部5dの傾斜の度合いより緩やかである。
袋ナット8は、グランド本体5の手前側の雄ねじ5cに螺着され、スリーブ6の手前側端部を奥側(グランド本体5内)に向かって押圧している。この袋ナット8は、スリーブ6が変形してケーブル3を隙間無く保持するために必要な締め付けトルクにて締め付けられる。なお、袋ナット8とグランド本体5の工具係合部5aとの間には、後述する抜け防止係合部32(図3参照)が入り込むスペースが確保されている。
以上のケーブルグランド1を電気機器の筺体の壁体2に取付けるには、まず、グランド本体5の奥側の雄ねじ5bにゴムパッキン11を取り付け、電気機器の筺体の壁体2に設けられた貫通穴2aにグランド本体5の雄ねじ5bを挿入する。そして、グランド本体5の雄ねじ5bに壁体2の内側よりロック用ナット10を螺着し、これを締め付ける。
つぎに、ケーブル3を袋ナット8、スリーブ6に順次挿通する(この時の袋ナット8、スリーブ6の向きは図1に示すものと同じ向きにする。)。その後、ケーブル3を手前側よりグランド本体5内に挿通し、スリーブ6をグランド本体5内のテーパ部5dに嵌め込む。そして、グランド本体5の雄ねじ5cに袋ナット8を螺着させ、既述した締め付けトルクにて袋ナット8を締め付ける。以上によりケーブルグランド1が電気機器の筺体の壁体2に取付けられる。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバー30(以下単に「ナットカバー30」という。)について図2および図3に基づいて説明する。
ナットカバー30は、袋ナット8に装着されることで、誤操作、悪戯等により、その袋ナット8が緩められることを防止するためのものである。このナットカバー30は、円筒部(筒部)31、抜け防止係合部32、押し込み規制係合部33等を備えている。ナットカバー30に適用する材料は特に限定されないが、例えば、軽量かつ耐候性に優れた樹脂材料を適用することが望ましい。
円筒部31は、ナットカバー30が袋ナット8に装着された状態で、工具係合部8cを相対回転自在に被覆するように、その内径、幅等の寸法が設定されている。なお、図3に示すように、袋ナット8が六角袋ナットである場合は、工具係合部8cは六角形の部分となる。
抜け防止係合部32は、円筒部31の奥側端部から袋ナット8の中心側に向かって突出し、ナットカバー30が袋ナット8に装着された状態で、袋ナット8の奥側端部に係合するように形成されている。この抜け防止係合部32の突出寸法は、工具係合部8cが何れの回転位置にあっても常に袋ナット8の奥側端部に係合可能な寸法となっている。また、この抜け防止係合部32には、奥側から手前側に向かって中心側(円筒部31の中心線側)に傾斜したテーパ部32aが形成されている。
本実施形態では、抜け防止係合部32は、円筒部31の奥側端部の2箇所に周方向に180°の間隔をおいて設けられているが、この抜け防止係合部32は、円筒部31の奥側端部の1箇所のみに設けられていてもよく、3箇所以上に設けられていてもよい。また、抜け防止係合部32は、円筒部31の奥側端部の全周に亘って設けられていてもよい。また、抜け防止係合部32は、円筒部31の奥側端部より所定寸法手前側に設けられていてもよい。
押し込み規制係合部33は、円筒部31の手前側端部から袋ナット8の中心側に向かって突出し、ナットカバー30が袋ナット8に装着された状態で、袋ナット8の手前側端部に係合するように形成されている。この押し込み規制係合部33と抜け防止係合部32とによって、常に袋ナット8の工具係合部8bを被覆可能な位置に円筒部31を保持している。なお、押し込み規制係合部33の突出寸法は、工具係合部8cが何れの回転位置にあっても常に袋ナット8の手前側端部に係合する寸法となっている。
本実施形態では、押し込み規制係合部33は、円筒部31の手前側端部の全周に亘って設けられているが、円筒部31の手前側端部の一部に設けられていてもよい。また、円筒部31の手前側端部より所定寸法奥側に設けられていてもよい。
既述した円筒部31は、2つの円筒構成部材(筒構成部材)31A,31Bからなる。これらの円筒構成部材31A,31B同士は、円筒部31と略同じ幅寸法を有する架橋部34によって連結されている。この架橋部34は、円筒構成部材31A,31Bと一体に形成され、円筒部31の外周面より外側に湾曲している。また、押し込み規制係合部33には、円筒構成部材31A,31B同士の境界部に続くスリット33a,33aが形成されている。
なお、後に説明するナットカバー30の取り外し作業を容易にするために、架橋部34の肉厚は、薄肉(例えば、円筒構成部材31A,31Bより薄肉)であることが望ましい。また、架橋部34の幅寸法は、円筒部31の幅寸法と略同じ寸法となっているが、円筒部31の幅寸法より格段に小さく(例えば円筒部31の幅寸法の1/2以下等に)してもよい。
以上に説明したナットカバー30をケーブルグランド1の袋ナット8に取付けるには、まず、ナットカバー30の開口を袋ナット8に合わせて奥側へ押し込む。このとき、抜け防止係合部32が設けられている部分が径方向外側に押し広げられて円筒部31が少し楕円筒状に歪むようになる。そして更にナットカバー30が奥側へ押し込まれると、その抜け防止係合部32が袋ナット8の奥側端部に達し、径方向外側に押し広げられて歪んでいた円筒部31は元の円筒状に戻って、抜け防止係合部32は袋ナット8の奥側端部に係合する。つまり、ナットカバー30は、図3に示すように袋ナット8に装着される。
ナットカバー30が袋ナット8に装着された状態では、ナットカバー30の円筒部31は袋ナット8の工具係合部8cを被覆している。そして、円筒部31の内周面は、袋ナット8の最大外径部より大きく、円筒部31と袋ナット8とは回転方向に係合し合うことがない(つまり相対回転自在となっている。)。このため、ナットカバー30を誤操作により廻してしまっても、ナットカバー30が空回りしてその中の袋ナット8は緩まないようになっている。
また、袋ナット8の工具係合部8cは、ナットカバー30の円筒部31に被覆されているため、スパナ、レンチ等の工具を袋ナット8の工具係合部8cに係合させることができない。しかも、ナットカバー30は、抜け防止係合部32が袋ナット8の奥側端部に係合しており、簡単に取り外すことができないようになっている。すなわち、袋ナット8を悪戯等によって緩めることが困難となっている。
ところで、ケーブルグランド1の袋ナット8に装着された上記ナットカバー30は、素手では容易に取り外すことができないものの、ニッパ等の切断工具を使えば容易に取り外すことができるようになっている。つまり、円筒部31の外周面より外側に湾曲した架橋部34を、ニッパ等の切断工具を用いて切断するだけで、ナットカバー30を2つに分割して袋ナット8から取り外すことができるようになっている。
また、既述したように、架橋部34の肉厚を薄くしたり、その幅寸法を小さくしておけば、上記切断作業を更に容易にすることができる。もちろん、素手で架橋部34が破断されないように、架橋部34の肉厚および幅寸法を設定することは必要である。
[第2の実施形態]
以下、第2の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバー30A(以下単に「ナットカバー30A」という。)について図4〜図6に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様の構成については同符号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係るナットカバー30Aも、第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様に、ケーブルグランド1の袋ナット8に装着されるものであり、円筒部35、抜け防止係合部32、押し込み規制係合部33等を備えている。そして、その円筒部35により袋ナット8の工具係合部8cを被覆して、誤操作、悪戯等によって袋ナット8が緩められることを防止する。
円筒部35は、第1の実施の形態における円筒部31と同様に、ナットカバー30Aが袋ナット8に装着された状態で、工具係合部8cを相対回転自在に被覆する。本実施形態においても円筒部35は2つの円筒構成部材35A,35Bからなるが、これらの円筒構成部材35A,35Bの一方の端部同士のみが架橋部34Aによって連結されている。なお、この架橋部34Aは、円筒構成部材35A,35Bと一体に形成され、その肉厚は、ヒンジとして機能し易いようにできるだけ薄くなっている(例えば円筒構成部材35A,34Bより薄い)ことが望ましい。
また、円筒構成部材35A,35Bの他方の端部同士は、留め具36により留め付け可能となっている。この留め具36は、円筒構成部材35A側に形成された環状部37と、円筒構成部材35B側に形成された凹部38および係合凸部40とで構成されている。環状部37は、円筒構成部材35Aの端部から周方向に突出し、円筒構成部材35Aの径方向に開口している。凹部38は、円筒構成部材35Bの端部外周側に形成されており、上記環状部37が嵌まり込むように、同環状部37の先端側部分の形状に対応して円筒構成部材35Bの径方向に凹んだ形状となっている。係合凸部40は、環状部37の開口形状に対応して円筒構成部材35Bの径方向に突出しており、環状部37内に係合するようになっている。なお、本実施形態では、上記凹部38の凹み深さと係合凸部40の突出高さとが同値となっており、留め具36が係合した状態では、環状部37の外周面と円筒構成部材35Bの外周面とが面一状態になる。
また、上記留め具36の近くには、この留め具36の環状部37と係合凸部40との係合状態を安定的に保持するために、図5に示すような、突出片39および突出片嵌入部43が設けられている。突出片39は、円筒構成部材35Aの端部から周方向に突出して設けられている。突出片39の肉厚は、円筒構成部材35Aの肉厚の略半分とされ、円筒構成部材35Aの内周面に沿って設けられている。突出片嵌入部43は、円筒構成部材35A,35Bが円筒を形成する際に突出片39が嵌入するよう円筒構成部材35Bの端部に設けられている。
また、円筒構成部材35Bには、その他に符号41で示す突起部41が形成されている。この突起部41は、円筒構成部材35Bの径方向外側に突出しており、係合凸部40が環状部37内に係合するとき、その環状部37の先端縁部に沿うように設けられている。
この突起部41は、人間の指先が環状部37に掛かり難くするためのものである。故に、突起部41の幅寸法L1は、環状部37の幅寸法L2と同等かそれ以上となっていることが望ましい。また、突起部41の径方向高さ(突出高さ)は、環状部37の径方向の高さ(厚さ)と同等かそれ以上となっていることが望ましい。図4〜図6においては、突起部41の径方向高さは、環状部37の径方向高さより格段に高くなっている。なお、係合凸部40が環状部37内に係合しているときの突起部41と係合凸部40との間には、指先が環状部37に掛かり難くなっている限り、多少の隙間があってもよい。もちろん、全く隙間が確保されていなくてもよい。
以上に説明したナットカバー30Aをケーブルグランド1の袋ナット8に取付けるに当たっては、まず、留め具36の環状部37と係合凸部40との係合を解除して、円筒部35を開いた状態にする(図5に示すような状態にする)。そして、抜け防止係合部32が設けられている方を奥側に配置し、その抜け防止係合部32を袋ナット8の奥側端部位置に合わせて円筒構成部材35A,35Bを閉じ合わせる。そうすると、図6に示すように、環状部37と係合凸部40とが係合し、突出片39が突出片嵌合部43に嵌合して、ナットカバー30Aが袋ナット8に装着される。このとき、一方の円筒構成部材35Bは、他方の円筒構成部材35Aの端部に設けられた環状部37と突出部41とによって径方向両側から挟まれることとなるため、留め具36の係合状態が安定的に保持され易くなる。
ナットカバー30Aが袋ナット8に装着された状態では、ナットカバー30Aの円筒部35が袋ナット8の工具係合部8cを被覆する。そして、円筒部35の内周面は、袋ナット8の最大外径部より大きく、円筒部35と袋ナット8とは回転方向に係合し合うことがないため(つまり、相対回転自在となっているため)、ナットカバー30Aを誤操作により廻してしまっても、ナットカバー30Aは空回りしてその中の袋ナット8は緩まないようになっている。
また、袋ナット8の工具係合部8cは、ナットカバー30Aの円筒部35に被覆されているため、スパナ、レンチ等の工具を袋ナット8の工具係合部8cに係合させることができない。しかも、ナットカバー30Aは、抜け防止係合部32が袋ナット8の奥側端部に係合しており、簡単に取り外すことができないようになっている。また、突起部41が設けられていることにより、留め具36の環状部37に指先が掛かり難くなっているため、容易に留め具36を解除することができない。これにより、悪戯等によって袋ナット8が簡単に緩められることがなくなる。
ところで、ケーブルグランド1の袋ナット8に装着されたナットカバー30Aは、素手では容易に取り外すことができないものの、マイナスドライバ等の工具を使えば容易に取り外すことができるようになっている。すなわち、マイナスドライバ等の工具を留め具の環状部37と突起部41との間に挿入し、工具の先端を環状部37の裏に潜り込ませてその環状部37を起立させることで、留め具36の環状部37と係合凸部40との係合を解除することができるようになっている。
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバー30B(以下単に「ナットカバー30B」という。)について、図7に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様の構成については同符号を付してその説明を省略する。
第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様に、本実施形態に係るナットカバー30Bも、ケーブルグランド1の袋ナット8に装着され、誤操作、悪戯等により袋ナット8が緩められることを防止するためのものである。このナットカバー30Bも、円筒部42、抜け防止係合部32、押し込み規制係合部33等を備えている。
円筒部42は、第1の実施の形態における円筒部31と同様に、ナットカバー30Bが袋ナット8に装着された状態で、工具係合部8cを相対回転自在に被覆する。但し、本実施形態においては、円筒部42は分割できない単体構造となっており、従って、スリット、架橋部、留め具等は設けられていない。
本実施形態に係るナットカバー30Bをケーブルグランド1の袋ナット8へ取付ける手順や、誤操作、悪戯等を無効化する原理については、第1の実施形態において説明した内容と同様であるため、それらの説明は省略する。
[第4の実施形態]
以下、第4の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバー30C(以下単に「ナットカバー30C」という。)について、図8に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様の構成については同符号を付してその説明を省略する。
第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様に、本実施形態に係るナットカバー30Cも、ケーブルグランド1の袋ナット8に装着され、誤操作、悪戯等により袋ナット8が緩められることを防止するためのものである。このナットカバー30Cも、円筒部45、抜け防止係合部32、押し込み規制係合部33等を備えている。
円筒部45は、図8に示すように、手前側から奥側に向かって拡径した中空円錐台の側面と同じ形状をしている。この円筒部45も、ナットカバー30Cが袋ナット8に装着された状態で、工具係合部8cを相対回転自在に被覆するように形成されている。
本実施形態においては、円筒部45は分割できない単体構造となっており、従って、スリット、架橋部、留め具等は設けられていない。
ナットカバー30Cが袋ナット8に装着された状態では、ナットカバー30Cの円筒部45は袋ナット8の工具係合部8cを相対回転自在に被覆する。そして、円筒部45の内周面は、袋ナット8の最大外径部より大きく、円筒部45と袋ナット8とは回転方向に係合し合うことがないため、ナットカバー30Cを誤操作により廻してしまっても、ナットカバー30Cが空回りしてその中の袋ナット8は緩まないようになっている。
また、袋ナット8の工具係合部8cは、ナットカバー30Cの円筒部45に被覆されているため、スパナ、レンチ等の工具を袋ナット8の工具係合部8cに係合させることができない。しかも、ナットカバー30Cは、抜け防止係合部32が袋ナット8の奥側端部に係合しており、簡単に取り外すことができないようになっている。このため、袋ナット8は悪戯等により簡単に緩められないようになっている。特に、本実施形態では、円筒部45が中空円錐台の側面と同様の形状をしているため、袋ナット8の工具係合部8cと円筒部45との間に比較的大きな空洞Hが確保されている。このため、強い力で円筒部45を握っても袋ナット8を廻すことは困難である。また、円筒部45は、既述の形状をしていることから、手で掴み難くなっており、このことが袋ナット8を更に廻し難くしている。
なお、本実施形態に係るナットカバー30Cをケーブルグランド1の袋ナット8へ取付ける手順ついては、第1の実施形態において説明した内容と同様であるため、ここでは、その説明は省略する。
[第5の実施形態]
以下、第5の実施の形態に係るケーブルグランド用ナットカバー30D(以下単に「ナットカバー30D」という。)について図9〜図10に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様の構成については同符号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係るナットカバー30Dも、第1の実施の形態に係るナットカバー30と同様に、ケーブルグランド1の袋ナット8に装着されるものであり、円筒部46、抜け防止係合部32、押し込み規制係合部33等を備えている。そして、その円筒部46により袋ナット8の工具係合部8cを被覆して、誤操作、悪戯等によって袋ナット8が緩められることを防止する。
円筒部46は、第1の実施の形態における円筒部31と同様に、ナットカバー30Dが袋ナット8に装着された状態で、工具係合部8cを相対回転自在に被覆する。本実施形態においても円筒部46は2つの円筒構成部材46A,46Bからなるが、これらの円筒構成部材46A,46Bの一方の端部同士のみが架橋部34Aによって連結されている。なお、この架橋部34Aは、円筒構成部材46A,46Bと一体に形成され、その肉厚は、ヒンジとして機能し易いようにできるだけ薄くなっている(例えば円筒構成部材46A,46Bより薄い)ことが望ましい。
また、円筒構成部材46A,46Bの他方の端部同士は、留め付け手段48により留め付け可能となっている。この留め付け手段48は、一対のビス取付部46Aa,46Baと、ビス49とで構成されている。上記ビス取付部46Aa,46Baは、2つの円筒構成部材46A,46Bの端部からそれぞれ径方向外側に突出している。これらのビス取付部46Aa,46Baには、互いに連続したビス挿通孔H,Hが形成されている。上記ビス49は、ビス取付部46Aa,46Baに形成されたビス挿通孔H,Hに挿通される(図10参照)。
なお、ビス取付部46Aaのビス挿通孔Hを丸穴とし、ビス取付部46Baのビス挿通孔Hをタッピング穴とし、ビス49として、タッピングネジを採用することができる。また、ビス取付部46Aa,46Baのビス挿通孔H,Hを丸穴とし、ビス49のほか、このビス49にナット(不図示)を螺着することにより、ビス取付部46Aa,46Ba同士を固定してもよい。
以上に説明したナットカバー30Dをケーブルグランド1の袋ナット8に取付けるに当たっては、まず、留め付け手段48のビス49をビス挿通孔H,Hから取り外し、円筒部46を開いた状態にする(図9に示すような状態にする)。そして、抜け防止係合部32が設けられている方を奥側に配置し、その抜け防止係合部32を袋ナット8の奥側端部位置に合わせて円筒構成部材46A,46Bを閉じ合わせる。そして、ビス49をビス挿通孔H,Hに挿通して(ねじ込んで)円筒構成部材46A,46B同士を固定する。これにより、ナットカバー30Dが袋ナット8に装着される。
ナットカバー30Dが袋ナット8に装着された状態では、ナットカバー30Dの円筒部46が袋ナット8の工具係合部8cを被覆する。そして、円筒部46の内周面は、袋ナット8の最大径部より大きく、円筒部46と袋ナット8とは回転方向に係合し合うことがないため(つまり、相対回転自在となっているため)、ナットカバー30Dを誤操作により廻してしまっても、ナットカバー30Dは空回りしてその中の袋ナット8は緩まないようになっている。
また、袋ナット8の工具係合部8cは、ナットカバー30Dの円筒部35に被覆されているため、スパナ、レンチ等の工具を袋ナット8の工具係合部8cに係合させることができない。しかも、ナットカバー30Dは、抜け防止係合部32が袋ナット8の奥側端部に係合しており、簡単に取り外すことができないようになっている。また、ビス49により、円筒構成部材46A,46B同士が固定されているため、ドライバ等の工具なしでは、容易に留め付け手段48による固定を解除することができない。これにより、悪戯等によって袋ナット8が簡単に緩められることがなくなる。
[他の実施形態]
既述した袋ナット8は、スリーブ6を押圧して変形させることを目的として締め付けられるナットの一例である。つまり、本発明のナットカバーは、スリーブ押圧用ナットであれば、その他の種類のナットにも適用可能である。
第4の実施の形態における円筒部45の形状を、第1、第2および第5の実施の形態に係るナットカバー30,30A,30Dの円筒部31,35、46の形状として適用することも可能である。
袋ナット8(スリーブ押圧用ナット)を相対回転自在に被覆できるものであれば、既述の円筒部に代えて、三角筒部、四角筒部など、その他の形状の筒部を採用するも可能である。
本発明は、ケーブルグランドのスリーブ押圧用ナットが誤操作、悪戯等により緩められてしまうことを防止するケーブルグランド用ナットカバーとして適用可能である。
1 ケーブルグランド
6 スリーブ
8 袋ナット(スリーブ押圧用ナット)
8c 工具係合部
30,30A〜30D ケーブルグランド用ナットカバー
31,35,42,45,46 円筒部(筒部)
31A,31B,35A,35B,46A,46B 円筒構成部材(筒構成部材)
32 抜け防止係合部
32a テーパ部
33 押し込み規制係合部
34,34A 架橋部
36 留め具
37 環状部
38 凹部
40 係合凸部
41 突起部
46Aa,46Ba ビス取付部
48 留め付け手段
49 ビス
H ビス挿通孔

Claims (7)

  1. ケーブルグランドのスリーブ押圧用ナットに装着されるケーブルグランド用ナットカバーであって、
    前記スリーブ押圧用ナットの工具係合部を相対回転自在に被覆する筒部と、
    前記筒部に設けられ、前記スリーブ押圧用ナットの奥側端部に係合する抜け防止係合部と、
    を備えることを特徴とするケーブルグランド用ナットカバー。
  2. 請求項1に記載のケーブルグランド用ナットカバーにおいて、
    前記抜け防止係合部には、奥側から手前側に向かって中心側に傾斜したテーパ部が形成されていることを特徴とするケーブルグランド用ナットカバー。
  3. 請求項1又は2に記載のケーブルグランド用ナットカバーにおいて、
    前記筒部に設けられ、前記スリーブ押圧用ナットの手前側端部に係合する押し込み規制係合部を更に備えることを特徴とするケーブルグランド用ナットカバー。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のケーブルグランド用ナットカバーにおいて、
    前記筒部は、複数の筒構成部材からなり、
    前記複数の筒構成部材同士は、これらの筒構成部材と一体に形成された架橋部によって連結されていることを特徴とするケーブルグランド用ナットカバー。
  5. 請求項4に記載のケーブルグランド用ナットカバーにおいて、
    前記架橋部は、前記筒部の外周面より外側に湾曲していることを特徴とするケーブルグランド用ナットカバー。
  6. 請求項1〜3の何れか1項に記載のケーブルグランド用ナットカバーにおいて、
    前記筒部は、2つの筒構成部材からなり、
    前記2つの筒構成部材の一方の端部同士は、これらの筒構成部材と一体に形成された架橋部によって連結されており、
    前記2つの筒構成部材の他方の端部同士は、留め具により留め付け可能となっており、
    前記留め具は、
    一方の筒構成部材の端部から周方向に突出し且つ径方向に開口した環状部と、
    他方の筒構成部材の端部に形成され、前記環状部が径方向に嵌まり込む凹部と、
    前記他方の筒構成部材の端部に形成され、前記環状部内に係合する係合凸部と、
    を有しており、
    前記他方の筒構成部材には、前記係合凸部が前記環状部内に係合するときに当該環状部の先端縁部に沿うように、径方向外側に突出した突起部が形成されている、
    ことを特徴とするケーブルグランド用ナットカバー。
  7. 請求項1〜3の何れか1項に記載のケーブルグランド用ナットカバーにおいて、
    前記筒部は、2つの筒構成部材からなり、
    前記2つの筒構成部材の一方の端部同士は、これらの筒構成部材と一体に形成された架橋部によって連結されており、
    前記2つの筒構成部材の他方の端部同士は、留め付け手段により留め付け可能となっており、
    前記留め付け手段は、
    前記2つの筒構成部材の端部からそれぞれ径方向外側に突出し互いに連続したビス挿通孔を形成する一対のビス取付部と、
    前記ビス挿通孔に挿通されたビスと、
    を有する、
    ことを特徴とするケーブルグランド用ナットカバー。
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