以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置の機械的構成を示す模式図である。本実施の形態の画像形成装置100は、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)200(図2,図3参照、図1では不図示)、ポリゴンミラー102aなどの光学要素を含む光学装置102と、像担持体としての感光体ドラム、帯電装置、現像装置などを含む画像形成部112と、中間転写ベルトなどを含む転写部122とを備えて構成される。図1に示す実施形態では、VCSEL200から射出された光ビーム(レーザビーム)は、一旦、第1シリンドリカルレンズ(図示せず)により集光され、ポリゴンミラー102aにより、反射ミラー102bへと偏向される。
ここで、VCSEL200とは、同一チップ上に複数の半導体レーザ素子(光源)を格子状に配置した面発光型半導体レーザである。このようなVCSEL200を使用した画像形成装置としては様々な技術が知られており、本実施の形態の画像形成装置100の光学装置102には、これらの公知技術と同様の構成で、VCSEL200が組み込まれている。図2は、本実施の形態の光学装置102に組み込まれたVCSEL200の構成図である。本実施の形態のVCSEL200は、図2に示すように、複数の光源1001が格子状に配置された半導体レーザアレイを構成している。そして、複数の光源1001の配列方向が偏向器としてのポリゴンミラー102aの回転軸に対して所定の角度θで傾斜して設けられている。
図2では、光源の縦配列方向をa〜c、横配列方向を1〜4とし、例えば、図2の左上の光源1001をa1のように表記する。光源1001がポリゴンミラー角度θをもって配置されていることにより、光源a1と光源a2とは異なる走査位置を露光し、この2光源により1つの画素(1画素)を構成する場合、すなわち、図2において、2光源で1画素を実現する場合を考える。例えば2光源a1,a2で1画素、2光源a3,a4で1画素を構成していくとすると、図中の光源によって図2右端に示すような画素が形成される。図の縦方向を副走査方向としたとき、2光源により構成される画素の中心間距離が600dpi相当であるとする。このとき、1画素を構成する2光源の中心間隔は1200dpi相当となり、画素密度に対して光源密度が2倍となっている。よって1画素を構成する光源の光量比を変えることで、画素の重心位置を副走査方向にずらすことが可能となり、高精度な画像形成が実現できる。
本実施の形態の画像形成装置100では、光学装置102はfθレンズを使用しないポストオブジェクト型の装置を用いている。光ビームLは、図示した実施形態ではシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応した数のVCSEL200によりそれぞれ出射されている。各光ビームLは、反射ミラー102bで反射され、第2シリンドリカルレンズ102cで再度集光された後に感光体ドラム104a、106a、108a、110aを露光している。
従来のカラー画像形成装置では4色の画像を独立した4つの光学装置(光学ユニット)で形成しているが、本実施の形態の画像形成装置100では上述したように、単一の光学装置102によってシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の画像を形成する。
また、本実施の形態の光学装置102では、ポリゴンミラー102aを光学装置102の中央に配置し、1つのポリゴンミラー102aによって4色の光ビームを主走査方向に偏向させる構成になっている。
そして、ポリゴンミラー102aを中心に、左右対称にVCSEL200とミラー、レンズ等の光学部品、同期検出装置210(後述)を配置し、左右に各2色の光ビームの光路をレイアウトすることで1つのポリゴンミラー102aによって4色の光ビームを偏向させることを実現している。本実施の形態では、ポリゴンミラー102aの左側にマゼンタ(M)とシアン(C)の光路を、右側にイエロー(Y)とブラック(K)の光路をレイアウトしている。
光ビームLの照射は、上述したように複数の光学要素を使用して行われるため、主走査方向および副走査方向に関して、タイミング同期が行われている。なお、以下、主走査方向を、光ビームの走査方向として定義し、副走査方向を、主走査方向に対して直交する方向として定義する。
画像形成部112は、マゼンダ(M)色成分画像形成部104と、シアン(C)色成分画像形成部106と、イエロー(Y)色成分画像形成部108と、ブラック(K)色成分画像形成部110とを備えている。各色の画像形成部104,106,108,110は、それぞれ感光体ドラム104a、106a、108a、110aと、帯電器104b、106b、108b、110bと、現像器104c、106c、108c、110cとを主に備えている。
感光体ドラム104a、106a、108a、110aは、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。光導電層は、それぞれ感光体ドラム104a、106a、108a、110aに対応して配設され、コロトロン、スコロトロン、または帯電ローラなどを含んで構成される帯電器104b、106b、108b、110bにより表面電荷が付与される。
各帯電器104b、106b、108b、110bにより感光体ドラム104a、106a、108a、110a上に付与された静電荷は、光ビームLにより像状露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム104a、106a、108a、110a上に形成された静電潜像は、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、規制ブレードなどを含む現像器104c、106c、108c、110cにより現像され、現像剤像が形成される。
感光体ドラム104a、106a、108a、110a上に担持された現像剤像は、搬送ローラ114a、114b、114cにより矢線Aの方向に移動する中間転写ベルト114上に転写される。中間転写ベルト114は、C、M、Y、Kの現像剤を担持した状態で搬送される。
一方、給紙部(不図示)に載置されている上質紙、プラスチックシートなどの受像材124は、給紙ローラ対(不図示)により一番上のものがピックアップされて下流方向Bへ搬送される。給紙部から搬送される受像材124は、レジストセンサSSで検出されたのちに給紙レジストローラ134に突き当たって停止する。さらに、中間転写ベルト114の表面に転写された多色現像剤像(フルカラートナー画像)と位置合わせされたタイミングで、受像材124は給紙レジストローラ134により搬送ローラ114bに当接する転写ローラ13へと送り出される。そして、転写ローラ13により、中間転写ベルト114の表面に形成された多色現像剤像(フルカラートナー画像)がその表面に転写される。
転写後の受像材124は、定着装置120へ送り込まれ、その表面に転写されたフルカラートナー画像が熱定着されて、排紙部(不図示)へ搬送されて排出される。
また、搬送ローラ114cの近傍に設けられた位置合わせパターン読取センサ15は、中間転写ベルト114の表面に形成された位置合わせパターンを読み取るためのものである。この位置合わせパターンは、各色成分画像形成部104、106、108、110がそれぞれ形成する色成分画像の副走査方向のずれを検出するためのものである。
図3は、VCSEL200を含む光学装置102が感光体ドラム104aを露光する場合の概略的な斜視図を示す。VCSEL200から射出された光ビームLは、光ビーム束を整形するために使用される第1シリンドリカルレンズ202により集光され、反射ミラー204および結像レンズ206を経た後、ポリゴンミラー102aにより偏向される。ポリゴンミラー102aは、数千〜数万回転するスピンドルモータなどにより回転駆動されている。ポリゴンミラー102aで反射された光ビームLは、反射ミラー102bで反射された後、第2シリンドリカルレンズ102cにより再整形され、感光体ドラム104a上を露光する。
また、光ビームLの副走査方向への走査開始タイミングを同期するため、反射ミラー208が配置されている。反射ミラー208は、副走査方向の走査を開始する以前で、光ビームLを、フォトダイオードなどを含む同期検出装置210へと反射させる。同期検出装置210は、当該光ビームを検出すると、副走査を開始させるために同期信号を発生させる。この同期信号により、VCSEL200への駆動制御信号の生成処理などの処理が副走査方向への走査と同期される。
VCSEL200は、後述するGAVD310から入力される入力パルス信号により駆動され、後述するように、画像データの所定の画像ビットに対応する位置に光ビームLが露光され、感光体ドラム104a上に静電潜像を形成する。図3におけるVCSEL200および感光体ドラム104aを除いた構成が走査部である。
図4は、本実施の形態の画像形成装置100の機能構成を示す図である。図4に示すように、スキャナ301と、制御ユニット300を備えている。制御ユニット300は、画像取得部302と、プリンタ部308と、エンジン制御部(主制御部)330とを備えている。画像取得部302は、画像読取手段としてのスキャナ301から画像信号を取得し、画像処理を行うものである。より具体的には、画像取得部302は、VPU304とIPU306とを含んで構成されている。VPU304は、スキャナ301に対してスキャン処理開始を指示するスキャン開始指令信号を送出する。また、VPU304は、これによりスキャナ301から入力された画像信号をA/D変換して黒オフセット補正、シェーディング補正、画素位置補正を行う。IPU306は、主に、取得した画像信号を、RGB表色系からCMYK表色系での画像データとしてデジタル変換するための画像処理を行う。画像取得部302が処理を行った画像データは、デジタルデータとしてIPU306からプリンタ部308へと送られる。
プリンタ部308は、VCSEL200の駆動制御を行うVCSELコントローラであるGAVD310と、GAVD310が生成した入力パルス信号により光源としての半導体レーザ素子を駆動させるための電流(発光電流、閾値電流、バイアス電流)を生成し、生成した各電流を半導体レーザ素子に供するLDドライバ312と、2次元的に配置された半導体レーザ素子を実装するVCSEL200とを含んで構成される。本実施形態のGAVD310は、画像取得部302から送られた画像データについて、VCSEL200の半導体レーザ素子から出射される光ビームの空間的なサイズに対応するように画素データを分割して高解像度化処理を実行する。
また、画像取得部302とプリンタ部308は、システムバス316を介してエンジン制御部330と接続されていて、エンジン制御部330の指令により、画像取得部302による画像取得および画像処理、プリンタ部308による画像形成が制御されている。画像形成装置全体の制御を行なうエンジン制御部330は、中央処理装置(以下、CPUとして参照する。)320と、CPU320が処理のために使用する処理空間を提供するRAM322とを含んでいる。CPU320は、これまで知られたいかなるCPUでも使用することができ、例えば、PENTIUM(登録商標)シリーズ、またはその互換CPUなどCISC(Complex Instruction Set Computer)、MIPSなどのRISC(Reduced Instruction Set Computer)などを使用することができる。CPU320は、インタフェース328を介してユーザからの指令を受け付け、指令に対応する処理を実行するプログラムモジュールを呼び出して、コピー、ファクシミリ、スキャナ、イメージストレージなどの処理を実行させる。さらに、エンジン制御部330は、ROM324を含んでおり、CPU320の初期設定データ、制御データ、プログラムなどをCPU320が利用可能に格納する。イメージストレージ326は、ハードディスク装置、SDカード、USBメモリなどの固定または着脱自在のメモリ装置として構成され、画像形成装置100が取得した画像データを格納して、ユーザによる各種処理のために利用可能としている。
画像取得部302が取得した画像データについてプリンタ部308を駆動して感光体ドラム104aなどに静電潜像として画像を出力する場合、CPU320は、受像材124の主走査方向制御および副走査位置制御を実行する。CPU320は、副走査方向のスキャンを開始させる場合、GAVD310にスタート信号を出力する。GAVD310がCPU320からスタート信号を受領すると、GAVD310は、スタート信号受信の旨の通知信号をVPU304に送出する。VPU304は、この通知信号を受信すると、スキャナ301に対して、副走査方向のスキャン処理開始を指示するスキャン開始指令信号を送出する。スキャナ301によるスキャン処理によって得られた画像信号は、VPU304に送出され、VPU304で上述の画像処理が行われた後、画像データとしてIPU306に送出される。そして、IPU306は、画像データに対して上述のデジタル変換を行った後、画像データをGAVD310に送出する。GAVD310は、IPU306から受信した画像データを一旦メモリ340(図5参照)に入力し、その後、GAVD310は、メモリ340に格納された画像データを処理し、処理した画像データをLDドライバ312に出力する。LDドライバ312は、GAVD310から画像データを受け取ると、VCSEL200に対する駆動制御信号を生成する。その後、LDドライバ312は、この駆動制御信号をVCSEL200に送出することにより、VCSEL200の半導体レーザ素子を点灯させる。なお、LDドライバ312は、半導体レーザ素子を、PWM制御などを使用して駆動させる。本実施形態で説明するVCSEL200は、半導体レーザ素子を8ch備えるが、VCSEL200のチャネル数は限定されるものではない。
図5は、GAVD310のより詳細な機能ブロックを示す。GAVD310は、同期信号DETP_Nを受信して、IPU306から送付される画像データを格納して記憶するFIFOバッファなどのメモリ340を備えていて、IPU306から送信された画像データを先入れ/先出し方式で画像処理部342に渡している。画像処理部342は、メモリ340から画像データを読み込んで、画像データの解像度変換、半導体レーザ素子チャネルの割当て、および画像ビットの追加・削除の処理等を実行する。画像データは、主走査方向に規定される主走査ラインアドレス値および副走査方向に規定される副走査ラインアドレス値により、感光体ドラム104aに対して露光される位置が規定されている。
出力データ制御部344は、VCSEL200により発光された光ビームを同期検出装置210で検知することにより生成された同期信号DETP_Nを基準に処理を行っている。また、出力データ制御部344は、システム動作開始信号STTRIG_N(後述)をトリガとして、画像処理部342に対してラスタデータを転送させるための画像転送要求信号MLSYNC_N、副走査方向の印刷開始の基準を示す信号である副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。また、出力データ制御部344は、LDドライバ312にVCSEL200の駆動制御のための入力パルス信号と書込み対象の画像データを送出する。
図6は、本実施の形態にかかるGAVD310の出力データ制御部344の機能的構成を示すブロック図である。
出力データ制御部344は、図6に示すように、各色の書込制御部70M(マゼンタ),70C(シアン),70Y(イエロー),70K(黒:ブラック)を備えている。出力データ制御部344の各書込制御部70M,70C、70Y、70Kは、エンジン制御部330によって動作モードが設定される。また、エンジン制御部330は、出力データ制御部344の各書込制御部70M,70C、70Y、70Kに対して各種設定を行い、4色の内、基準となる色(基準色)を設定する。基準色は、最初に作像開始する色を設定する。本実施の形態では、最初に作像開始するマゼンタ(M)を基準色とする(図1参照)。
なお、本実施の形態では、マゼンタを基準色に設定したが、これに限定されることなく、マゼンタ色成分画像形成部104、シアン色成分画像形成部106、イエロー色成分画像形成部108、および黒色成分画像形成部110のうち、上述したように最初に作像開始する色を基準色として決定できる。
書込制御部70M,70C、70Y、70Kは、図6に示すように、それぞれ独立に、同期信号制御部74と、MLSYNC生成部73と、遅延ライン制御部72と、信号生成部であるMFSYNC生成部71と、送出部である遅延スキャン制御部75と、書込画像展開部76と、第2判断部62とを主に備えている。また、本実施の形態では、基準色に対応する書込制御部70Mは、さらに第1判断部61を備えている。また、書込制御部70M,70C、70Y、70Kは、副走査遅延スキャンレジスタmfdly_rと副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_r(いずれも不図示)を備えている。また、副走査遅延スキャンレジスタmfdly_rと副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_rは、レジスタREAD/WRITE線(不図示)によりエンジン制御部330と接続されている。
なお、本実施の形態では、書込制御部70M,70C、70Y、70Kを、これらの各部、レジスタによりハードウェアで実現しているが、書込制御部70M,70C、70Y、70KにCPUを設け、書込制御部70M,70C、70Y、70Kの機能をCPUで実行されるプログラムで実現するように構成してもよい。
以下では、処理の手順に沿って各構成の説明をする。エンジン制御部330は、給紙レジストローラ134の位置に設けたレジストセンサSSにて転写紙位置を検出したタイミングで、システム動作開始信号STTRIG_Nを基準色のマゼンタ(M)に対応する書込制御部70Mへ出力する。なお、基準色以外の色成分は、従属色に設定される。ここで、システム動作開始信号STTRIG_Nは、レジストセンサSSから検出信号に基づいて生成され、印刷動作の開始を示す信号である。
本実施の形態では、書込制御部70Mは基準色であるマゼンダ色の書込制御部であるので、エンジン制御部330から受信したシステム動作開始信号STTRIG_Nの立ち下がりエッジを保持(ラッチ)し、各色のスキャン管理された特定タイミングで書込制御部動作開始信号STOUT_Nを、基準色の書込制御部70Mおよび従属色の書込制御部70C,70Y,70Kへ各出力する。ここで、書込制御部動作開始信号STOUT_Nを出力する特定のタイミングは、全色の同期信号DETP_Nとスキャン同期信号lclr(後述)を生成しないタイミングである。
また、このとき、書込制御部70Mの第1判断部61は、システム動作開始信号STTRIG_Nをエンジン制御部330から受信したタイミングが、主走査方向の走査周期(主走査周期)を2つに分割した分割領域のうち、いずれの分割領域にあるかを判断する。具体的には、例えば、スキャン同期信号lclrでクリアされるカウンタ値が所定値より大きいか否かで判断する。そして、書込制御部70Mは、システム動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングに応じて、書込制御部動作開始信号STOUT_Nを出力するタイミングを変更する。
本実施の形態では、書込制御部70Mは、システム動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングが、主走査周期の前半であった場合は、書込制御部動作開始信号STOUT_Nを主走査周期の1/4の位置に出力し、システム動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングが、主走査周期の後半であった場合は、書込制御部動作開始信号STOUT_Nを主走査周期の3/4の位置に出力する。
各色の書込制御部70M,70C,70Y,70Kでは、遅延スキャン制御部75が書込制御部動作開始信号STOUT_Nをトリガにスキャン同期信号lclrをカウントする。ここで、スキャン同期信号lclrは、同期信号制御部74で生成される信号である。具体的には、スキャン同期信号lclrは、光学装置102の同期検出装置(検知センサ)210により検出される同期信号DETP_Nを基準に、書込制御部70M,70C,70Y,70Kの同期信号制御部74でタイミング制御されたポリゴンミラー102aの1面に1パルス生成する信号である。
また、各色の書込制御部70M,70C,70Y,70Kの第2判断部62は、書込制御部動作開始信号STOUT_Nを受信したタイミングが、主走査周期の1/4の位置(前半)にあるか、3/4の位置(後半)にあるかを判断する。第2判断部62は、例えば、スキャン同期信号lclrのカウンタが所定値より大きいか否かで、当該タイミングが、主走査周期の前半であるか後半であるかを判断する。スキャン同期信号lclrのカウンタが所定値より小さい場合は、前半である主走査周期の1/4の位置にあると判断し、スキャン同期信号lclrのカウンタが所定値より大きい場合は、後半である主走査周期の3/4の位置にあると判断する。
エンジン制御部330は、CPU320によって実行されるプログラムにより、予め、中間転写ベルト114上に転写される各色の画像の静電潜像を形成する副走査方向位置を検出し、検出された位置から基準色マゼンタからシアン、イエロー、ブラックの作像する遅延タイミングを算出する。ここで、エンジン制御部330による副走査方向位置の検出は、例えば、位置合わせパターン読取センサ15により各色の位置合わせパターンの読取状態に基づいて行われる。
また、エンジン制御部330は、算出された遅延タイミングに、転写紙位置を検出するレジストセンサSSと基準色マゼンタの転写位置の位置関係から算出される搬送遅延時間を加算する。そして、エンジン制御部330は、加算結果としての各色の作像遅延時間を、副走査方向のスキャン回数(走査回数)である遅延副走査スキャン数と、副走査方向のライン数である遅延副走査ライン数とに置きかえる。そして、エンジン制御部330は、レジスタREAD/WRITE線を介して、この各色の遅延副走査スキャン数の値を、各色の書込制御部70M,70C,70Y,70Kの副走査遅延スキャンレジスタmfdly_rに設定し、各色の遅延副走査ライン数の値を副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_rに設定する。例えば、作像遅延時間がnスキャン+mラインに置換された場合には(ここで、n,mは整数)、副走査遅延スキャンレジスタmfdly_rにレジスタ値「n」、副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_rにレジスタ値「m」が設定される。
MLSYNC生成部73は、画像転送要求を示す画像転送要求信号MLSYNC_Nを生成し、画像処理部342と遅延ライン制御部72に送出する。
遅延ライン制御部72は、MLSYNC生成部73で生成された画像転送要求信号MLSYNC_Nの生成回数を、主走査方向の複数ラインを同時にスキャン(走査)する主走査周期(スキャン周期)内でカウントし、各主走査周期内における分割領域で何番目の画像転送要求信号MLSYNC_Nを出力したかをMFSYNC生成部71に通知する。
遅延スキャン制御部75は、遅延タイミング制御用の遅延カウンタ0〜3(mfcount0〜3)を備え、これらの遅延カウンタ0〜3(mfcount0〜3)により遅延スキャン数を制御する。遅延スキャン制御部75は、遅延カウンタmfcount0〜3により、書込制御部動作開始信号STOUT_Nのタイミングでカウンタ初期値をロードしてスキャン同期信号lclrをダウンカウントし、このカウント値により副走査方向への遅延スキャン数を制御する。
より具体的には、遅延スキャン制御部75は、書込制御部動作開始信号STOUT_Nで選択された遅延カウンタmfcount0〜3が初期値として副走査遅延スキャンレジスタmfdly_rのレジスタ値をロードする。そして、遅延スキャン制御部75は、スキャン同期信号lclrの検出毎に、選択された遅延カウンタmfcount0〜3のカウント値をデクリメントしていき(ダウンカウントし)、カウント値が0に達したら、すなわち、スキャン同期信号lclrの発生回数が遅延副走査スキャン数に等しくなったら、MFSYNC生成部71にカウント値が0に達した旨を通知する。
各色のMFSYNC生成部71は、遅延スキャン制御部75から、遅延カウンタが0に達した旨が通知されると、第2判断部による判断結果に応じた異なるタイミングで副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。具体的には、各色のMFSYNC生成部71は、書込制御部動作開始信号STOUT_Nを受信したタイミングが主走査周期の1/4位置であった場合、遅延ライン制御部72から知らされる画像転送要求信号MLSYNC_Nがその主走査周期内で何番目かの情報と副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_rが一致したタイミングで、画像処理部342に対して副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。これにより、各色のMFSYNC生成部71は、画像処理部342に対して画像転送要求する(図7参照)。
一方、各色のMFSYNC生成部71は、書込制御部動作開始信号STOUT_Nを受信したタイミングが主走査周期の3/4位置であった場合、遅延ライン制御部72から知らされる画像転送要求信号MLSYNC_Nがその主走査周期内で何番目かの情報と副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_r+4が一致したタイミングで、画像処理部342に対して副走査方向の印刷開始の基準を示す信号である副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。これにより、各色のMFSYNC生成部71は、画像処理部342に対して画像転送要求する(図8参照)。
なお、副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_r+4が、1主走査周期内に出力する画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数を超える場合には、各色のMFSYNC生成部71は、次の主走査周期の、(副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_r+4−8)番目の画像転送要求信号MLSYNC_Nを出力するタイミングで副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。
画像処理部342は、画像取得部302から展開された入力画像データをメモリ340を介して受信し、この入力画像データに基づき各種の画像処理を施し、入力画像データに画像処理を施した画像データを蓄積している。そして、画像処理部342は、各色の書込制御部70M,70C,70Y,70Kから入力された副走査開始基準信号MFSYNC_Nを基準に、画像データ有効副ゲート信号IPFGATEと、蓄積された画像データを示す画像信号IPDATA_Nとを、書込制御部70M,70C,70Y,70Kに出力する。より具体的には、画像処理部342は、画像データ有効副ゲート信号IPFGATEを出力するとともに、画像信号IPDATA_Nを、副走査開始基準信号MFSYNC_N受信後の画像転送要求信号MLSYNC_Nに応じてライン単位で、同時に書き込む複数ライン数(例えば、8〜10ライン)分を転送する。
書込制御部70M,70C,70Y,70K内の書込画像展開部76は、スキャン同期信号lclrを基準に、画像データの信号である画像信号IPDATA_Nを主走査と副走査の2次元画像信号に展開し、LDドライバ312へ供給する。
LDドライバ312は、入力された2次元画像信号に基づいて、VCSEL200の半導体レーザ素子を駆動する。これにより、1回のスキャンで、複数ラインの画像光が出力される。
図7、8は、本実施の形態の画像形成装置のジョブスタート制御のタイミングチャートを示す説明図である。図7、8では、色毎に8つの半導体レーザ素子を有し、1スキャン周期(主走査周期)に8ラインの走査を行なう場合を想定しており、画像処理部342へ出力する画像転送要求信号(ライン単位)MLSYNC_Nは、1スキャン周期(主走査周期)内で8本生成されている。
レジストセンサSSによる転写紙位置の検出タイミングにより、エンジン制御部330からシステム動作開始信号STTRIG_Nを書込制御部70Mへ出力する。そして基準色のマゼンタ色書込制御部70Mにて、全色の同期信号DETP_Nとスキャン同期信号lclrを生成しないタイミング(上述の特定のタイミング)で書込制御部動作開始信号STOUT_Nを出力する(特開2005−178080号公報参照)。本実施の形態では、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの順序で作像するため、各色の副走査遅延ラインレジスタmfdly_rのレジスタ値は、以下のような関係に設定される。
mfdly_r(M)<mfdly_r(C)<mfdly_r(Y)<mfdly_r(K)
書込制御部70Mが書込制御部動作開始信号STOUT_Nを出力すると、書込制御部70M,70C,70Y,70K内の遅延スキャン制御部75は、複数の遅延スキャン制御用の遅延カウンタmfcount0〜3の中から動作させる遅延カウンタを選択する。このカウンタ選択は、ジョブ転写紙毎にトグル順序で切り替える構成とする。すなわち、最初のシステム動作開始信号STTRIG_Nの受信により遅延カウンタmfcount0が選択された場合、次のシステム動作開始信号STTRIG_Nの場合には、遅延カウンタmfcount1が選択される。図7、8の例では、遅延カウンタmfcount0が選択された場合を示している。
書込制御部動作開始信号STOUT_Nの生成時に、遅延カウンタmfcount0が遅延カウンタとして選択されると、遅延カウンタmfcount0のカウント値に副走査遅延スキャンレジスタmfdly_rのレジスタ値を初期値としてロードする。図7、8の例(p)では、副走査遅延スキャンレジスタmfdly_rに遅延スキャン数「6」が設定されており、このため、遅延カウンタmfcount0(K)に初期値として「6」がロードされた場合を示している。カウンタ初期値のロード後、対応した色のスキャン同期信号lclrをカウンタ用クロックとしてポリゴンミラー102aの1面毎に遅延カウンタmfcount0をデクリメントする。
遅延カウンタmfcount0のカウンタ値が0に達した主走査周期において、書込制御部動作開始信号STOUT_Nタイミングが主走査周期の1/4位置であった場合(図7)は、MFSYNC生成部71は、その主走査周期で出力した画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数=mfsyncpos_rの出力タイミングで、画像処理部342へ副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。
一方、遅延カウンタmfcount0のカウンタ値が0に達した主走査周期において、書込制御部動作開始信号STOUT_Nタイミングが主走査周期の3/4位置であった場合(図8)は、MFSYNC生成部71は、その主走査周期で出力した画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数=mfsyncpos_r+4の出力タイミングで、画像処理部342へ副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。
なお、副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_r+4が、1主走査周期内に出力する画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数を超える場合には、次の主走査周期の、(副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_r+4−8)番目の画像転送要求信号MLSYNC_Nを出力するタイミングで副走査開始基準信号MFSYNC_Nを出力する。
本実施の形態では、レジストセンサSSで検出された非同期のタイミングにて入力されるシステム動作開始信号STTRIG_Nを基に、画像信号IPDATA_Nを転写紙上に2次元に展開する書込制御部76にて副走査方向への画像書き出し位置を乱すこと無く画像形成するため、同期信号DETP_Nを基準に書込制御部動作開始信号STOUT_Nを別途生成し、このタイミングを起点に主走査基準信号であるスキャン同期信号lclrを用いて副走査方向への遅延スキャン数を各色独立に制御することで、各色の副走査方向の色合わせタイミングを制御することができる。
また、本実施の形態では、システム動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングが、主走査周期のどの位置であったかに応じて、書込制御部動作開始信号STOUT_Nの生成タイミングを変更するので、複数の転写紙に画像を出力した場合に、各転写紙間での転写紙端部を基準とする画像副走査位置のずれ量を、1スキャン未満とすることができる。
図7の(q)〜(t)には、図7の(n)に丸で囲んだ部分AAにおけるブラックの遅延スキャン制御部75の動作の一例を示す。遅延スキャン制御部75は、基準色であるマゼンタ色の書込制御部70Mからブラック色の書込制御部70Kへの書込制御部動作開始信号STOUT_Nの入力時に、遅延カウンタmfcount0(K)に初期値であるmfdly_r(K)値をロードする。図7では、mfdly_r=06hである。遅延スキャン制御部75は、ブラックのスキャン同期信号lclr(K)が入力される毎に遅延カウンタ:mfcount0(K)を1ずつデクリメントする。MFSYNC生成部71は、遅延カウンタ:mfcount0(K)=0hに達した主走査周期で、その周期で出力した画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数=mfsyncpos_rのタイミングで副走査開始基準信号MFSYNC_N(K)を出力する。すなわち、MFSYNC生成部71は、主走査方向の複数ラインを同時にスキャンする主走査周期内におけるライン数で分割した領域において、画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数=mfsyncpos_rのタイミングで副走査開始基準信号MFSYNC_N(K)を出力する。
図8の(q)〜(t)には、図8の(n)に丸で囲んだ部分BBにおけるブラックの遅延スキャン制御部75の動作の一例を示す。遅延スキャン制御部75は、基準色であるマゼンタ色の書込制御部70Mからブラック色の書込制御部70Kへの書込制御部動作開始信号STOUT_Nの入力時に、遅延カウンタmfcount0(K)に初期値であるmfdly_r(K)値をロードする。図8では、mfdly_r=06hである。遅延スキャン制御部75は、ブラックのスキャン同期信号lclr(K)が入力される毎に遅延カウンタ:mfcount0(K)を1ずつデクリメントする。MFSYNC生成部71は、遅延カウンタ:mfcount0(K)=0hに達した主走査周期で、その周期で出力した画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数=mfsyncpos_r+4のタイミングで副走査開始基準信号MFSYNC_N(K)を出力する。すなわち、MFSYNC生成部71は、主走査方向の複数ラインを同時にスキャンする主走査周期内におけるライン数で分割した領域において、画像転送要求信号MLSYNC_Nの信号数=mfsyncpos_r+4のタイミングで副走査開始基準信号MFSYNC_N(K)を出力する。
副走査開始基準信号MFSYNC_N(K)出力後は、遅延カウンタmfcount0(K)はデクリメント動作を終了し、待機状態であるFF00hに移行する。各色で独立に副走査遅延スキャンレジスタmfdly_r(M)、mfdly_r(C)、mfdly_r(Y)、mfdly_r(K)と、副走査遅延ラインレジスタmfsyncpos_r(M)、mfsyncpos_r(C)、mfsyncpos_r(Y)、mfsyncpos_r(K)を有しているので、各色に適切な値を設定することで書込制御部動作開始信号STOUT_Nから各色の副走査開始基準信号MFSYNC_N出力までの副走査タイミングを、ライン単位で任意に調整が可能である。
このように、本実施の形態では、システム動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングを、主走査周期を複数に分割した分割領域のいずれにあるかを判断し、システム動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングに応じて、副走査開始基準信号MFSYNC_Nを画像処理部342に出力するタイミングを変更することで、複数の転写紙間での副走査位置のずれを、1スキャン単位未満に低減できる。