JP2011057571A - 水性農薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】農薬有効成分の分散安定性が高く、温度変化による粘度の変化や、イオン性物質による増粘安定効果の低下が生じない水性農薬組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有する水性農薬組成物である。
(A)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、カルボキシル基の量が0.6〜2.2mmol/gであるセルロース繊維
(B)水に対する溶解度が30重量%未満の農薬有効成分
(C)水
【選択図】なし

Description

本発明は、水性農薬組成物に関するものである。
従来、農薬の剤型として、粉剤、粒剤、顆粒剤などの固体製剤、乳剤、液剤、フロアブル剤、油剤、エマルション製剤、などの液体製剤などが利用されている。
近年、農薬散布者や環境に対する安全性の配慮から、液体製剤においては水性の製剤が好まれる。一般に、農薬有効成分は水に溶解しないものが多いため、水に溶解しない油性の農薬有効成分を水性の農薬に製剤にするため、油性液状の農薬有効成分を水中に乳化させてエマルション製剤としたり、固体の農薬有効成分を水中に微粒子状に懸濁分散させて懸濁製剤としたりする方法が採用されている。
これらの水性のエマルション製剤や懸濁製剤においては、保管時の農薬有効成分油滴の分離防止や、農薬有効成分固体粒子の沈降防止の目的で、増粘安定剤が配合される。増粘安定剤としては、増粘安定効果の点では、チキソトロピーインデックスの大きい増粘安定剤が適しており、さらに、安全性や生物分解性も考慮して、多糖類の増粘安定剤が好んで使われる。多糖類の増粘安定剤としてキサンタンガムを配合した水性農薬組成物が開示されている(特許文献1)。
さらに、水性農薬組成物においては、さらにチキソトロピーインデックスが大きく、温度変化による粘度変化が少なく、増粘安定効果の大きい、多糖類からなる増粘安定剤が求められていた。
この点を改良するため、平均重合度が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率と、セルロースII型結晶成分の分率との和が1であり、該セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、該セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であり、かつ平均粒子径が5μm以下であるセルロース微粒子を含有する農薬組成物が提案されている(特許文献2)。
WO99/66792号公報 特開2007−320898号公報
しかし、特許文献1に記載のキサンタンガムは、農薬有効成分の種類や、水性農薬組成物中に含まれる農薬有効成分粒子または農薬有効成分油滴の物理的大きさによっては、分散安定効果が十分でないため、水性農薬組成物を保管中に、農薬有効成分の分離が生じる場合があった。また、キサンタンガム水溶液は、温度変化により粘度が変化するため、水性農薬組成物を保管中に、周囲の温度変化により、水性農薬組成物の粘度が変化し、農薬有効成分の分離が生じる場合があった。
一方、特許文献2に記載のセルロース微粒子は、イオン性物質の存在により増粘安定効果が低下するため、具体的には、塩類、イオン性界面活性剤を高濃度で水性農薬組成物に配合すると、増粘安定効果が低下するため、その使用範囲に制限があるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、農薬有効成分の分散安定性が高く、温度変化による粘度の変化や、イオン性物質による増粘安定効果の低下が生じない水性農薬組成物の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする水性農薬組成物を第一の要旨とする。
(A)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、カルボキシル基の量が0.6〜2.2mmol/gであるセルロース繊維
(B)水に対する溶解度が30重量%未満の農薬有効成分
(C)水
すなわち、本発明者らは農薬有効成分の分散安定性が高く、温度変化による粘度の変化や、イオン性物質による増粘安定効果の低下が生じない水性農薬組成物を得るために、鋭意研究を重ねた。その過程で数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、カルボキシル基の量が0.6〜2.2mmol/gであるセルロース繊維を用いると、農薬有効成分の分散安定性が高く、温度変化による粘度の変化や、イオン性物質による増粘安定効果の低下が生じないことを見出し、本発明に到達した。
本発明の水性農薬組成物は、上記特定のセルロース繊維を配合することにより、上記特定のセルロース繊維はチキソトロピーインデックスが大きいことに起因して、水性農薬組成物中に乳化または懸濁された農薬有効成分の分散安定性が良く水性農薬組成物保管中の農薬有効成分の分離を防止する効果に優れる。
さらに、上記特定のセルロース繊維は、温度変化による粘度変化が少ないため、
水性農薬組成物を保管中に、周囲の温度変化がある場合でも、水性農薬組成物の粘度変化が少なく、農薬有効成分の分離を防止する効果に優れる。
また、上記特定セルロース繊維は、イオン性物質により増粘安定効果の影響を受けにくいため、水性農薬組成物に、塩類、イオン性界面活性剤を配合した場合でも、増粘安定効果が低下せず、農薬有効成分の分離を防止する効果に優れ、安定性が高いという優れた効果を発揮する。
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の水性農薬組成物は、特定のセルロース繊維(成分A)と、特定の農薬有効成分(成分B)と、水(成分C)とを用いて得ることができる。
上記特定のセルロース繊維(成分A)は、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、カルボキシル基の量が0.6〜2.2mmol/gであるセルロース繊維である。
以下、さらに詳しく、本発明の組成物に使用するセルロース繊維について説明する。
上記特定のセルロース繊維(成分A)は、I型結晶構造を有する天然物由来のセルロース固体原料を表面酸化し、ナノサイズにまで微細化した繊維である。原料となる、天然物由来のセルロースはほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーが多束化して高次構造を取っているため、そのままでは容易にはナノサイズにまで微細化して分散させることができない。上記特定のセルロース繊維(成分A)はその水酸基の一部を酸化しアルデヒド基およびカルボキシル基を導入し、ミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めて、分散処理し、ナノサイズにまで微細化したものである。
上記特定のセルロース繊維(成分A)の繊維径は、数平均繊維径が2〜150nmである。分散安定性の点から、さらに好ましくは、数平均繊維径が3〜80nmである。数平均繊維径が2nm未満であると、本質的に分散媒体に溶解してしまい、逆に数平均繊維径が150nmを超えると、セルロース繊維そのものの分散安定性が低下し、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができない。
上記数平均繊維径は、例えば次のようにして測定することができる。すなわち、上記特定のセルロース繊維(成分A)に水を加え希釈した試料を分散処理し、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、得られた画像から、数平均繊維径を測定算出することができる。
上記特定のセルロース繊維(成分A)を構成するセルロースが、I型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークを持つことから同定することができる。
上記特定のセルロース繊維(成分A)のカルボキシル基の量は、好ましくは0.6〜2.2mmol/gの範囲である。カルボキシル基の量が0.6mmol/g未満であると、セルロース繊維そのものの分散安定性に乏しく、セルロース繊維の沈澱を生じる場合があり、また水性農薬組成物の分散安定性が低下する。カルボキシル基の量が2.2mmol/g以上であると、セルロース繊維の水溶性が強くなり、水性農薬組成物の分散安定性が低下する傾向にある。
上記特定のセルロース繊維(成分A)のカルボキシル基量の測定は、例えば電位差滴定により行うことができる。すなわち、乾燥させた上記特定のセルロース繊維(成分A)を水に分散させ、0.01規定の塩化ナトリウム水溶液を加えて、十分に攪拌して分散させる。つぎに、0.1規定の塩酸溶液をpH2.5〜3.0になるまで加え、0.04規定の水酸化ナトリウム水溶液を毎分0.1mlの速度で滴下し、得られたpH曲線から過剰の塩酸の中和点と、セルロース繊維由来のカルボキシル基の中和点との差から、カルボキシル基量を算出することができる。
なお、上記カルボキシル基量の調整は、後述するように、セルロース繊維の酸化工程で用いる共酸化剤の添加量や反応時間を制御することにより、行うことができる。
上記特定のセルロース繊維(成分A)を構成するグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にアルデヒド基およびカルボキシル基に酸化されているかどうかは、例えば、13C-NMR分析により確認することができる。すなわち、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れることで確認できる。
次に、本発明の水性農薬組成物は、上記特定のセルロース繊維とともに上記特定の農薬有効成分(成分B)が用いられる。
上記特定の農薬有効成分(成分B)としては、水に対する溶解度が30重量%未満の農薬有効成分であれば、特に限定されるものではなく、例えば、水に対する溶解度が30重量%未満である有機リン系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、ネライストキシン系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、昆虫成長制御剤、その他の合成殺虫剤、天然殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、くん蒸剤、生物由来の殺虫剤、銅殺菌剤、無機殺菌剤、有機硫黄殺菌剤、有機リン系殺菌剤、メラニン生合成阻害剤、ベンゾイミダゾール系殺菌剤、ジカルボキシイミド系殺菌剤、酸アミド系殺菌剤、ステロール生合成阻害剤、メトキシアクリレート系殺菌剤、合成抗細菌剤、土壌殺菌剤、その他の合成殺菌剤、抗生物質殺菌剤、天然物殺菌剤、生物由来の殺菌剤、フェノキシ酸系除草剤、カーバメート系除草剤、酸アミド系除草剤、尿素系除草剤、スルホニル尿素系除草剤、ピリミジルオキシ安息香酸系除草剤、トリアジン系除草剤、ダイアジン系除草剤、ダイアゾール系除草剤、ビピリジリウム系除草剤、ジニトリロアニリン系除草剤、芳香族カルボン酸系除草剤、脂肪酸系除草剤、有機リン系除草剤、アミノ酸系除草剤、その他の有機除草剤、無機除草剤、生物由来の除草剤、植物成長調整剤、誘引剤、忌避剤、殺鼠剤、展着剤、等が挙げられる。さらに、社団法人日本植物防疫協会発行の農薬要覧(2008年版)に記載されている農薬有効成分等が挙げられる。これらは、2種類以上を併用しても良い。
上記特定の農薬有効成分(成分B)の水に対する溶解度は、本発明の水性農薬組成物中に配合される上記特定の農薬有効成分(成分B)の配合量の重量%以下であることが好ましい。具体的には、上記特定の農薬有効成分(成分B)の配合量は種類によって異なるが、水に対する溶解度が、30重量%未満であり、好ましくは、10重量%未満である。上記特定の農薬有効成分(成分B)の水に対する溶解度が30重量%以上の場合、本発明の水性農薬組成物中に配合される上記特定の農薬有効成分(成分B)の濃度が30重量%以下において、水性農薬組成物は均一な水溶液となるので、増粘安定剤を配合する意味をなさない。
本発明の水性農薬組成物には、上記特定のセルロース繊維(成分A)および上記特定の農薬有効成分(成分B)に加えて、水(成分C)が用いられる。
本発明の水性農薬組成物においては、上記特定のセルロース繊維(成分A)と上記特定の農薬有効成分(成分B)、下記の任意成分の含有量を除いた残量が水(成分C)の含有量となる。
本発明の水性農薬組成物には、その効果を妨げない範囲内において、任意の成分を添加しても良い。
任意の成分としては粘土鉱物類・充填剤、着色剤、界面活性剤類、溶剤類・オイル類、グリコール類・糖類、水溶性高分子類、防腐剤、凍結防止剤、無機塩類、紫外線遮蔽剤、ラテックス類、エマルジョン類、消泡剤、pH調整剤、香料類・消臭剤類、肥料等が挙げられる。
上記粘土鉱物類・充填剤としては、具体的にはアルミナ、ジルコニア、蛙目粘土、カオリナイト、カオリン、カルシウムベントナイト、クロマイトサンド、けい砂、けい砂シリカ、珪酸ジルコニウム、けい石粉、珪藻土、窒化アルミニウム、炭酸バリウム、サポナイト、コレマナイト、焼成珪藻土、シラス、シラスバルーン、シリコンカーバイド、ジルコン砂、ジルコン、ジルコンフラワー、水酸化アルミニウム、ゼオライト、石英ガラス粉、ソジウムベントナイト、ソジウムモンモリトナイト、長石粉、陶石、ハロサイト、硼砂、マグネシア、木節粘土、蝋石、パーライト、セメント、炭酸カルシウム、マイカ、カオリンクレー、滑石、石筆石、石鹸石、ガラスビーズ、アルミナ、燐酸カルシウム、硅灰石、ワラストナイト、軽質炭酸カルシウム、合成ハイドロタルサイト、合成マイカ、重質炭酸カルシウム、焼成クレー、シルクパウダー、消石灰、セリナイト、炭酸カルシウム、超微粒酸化亜鉛、沈降性硫酸バリウム、ドロマイト粉末、ナイロン粉体、硫酸バリウム、微粒子水酸化アルミニウム、ポリエチレンワックス、ホワイトカーボン、有機ベントナイト、溶融シリカ、ロウ石、等が挙げられる。
上記着色剤としては、亜鉛華、亜酸化銅、一酸化鉛、ウォッチングレッド、塩素法酸化チタン顔料、オイルファーネスブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、オキシサルファイド蛍光体、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、蛍光顔料、黒鉛、黒色酸化鉄、極微細炭酸カルシウム、コバルト青、コバルト緑、コバルト紫、胡粉、紺青、サーマルブラック、酸化クロム、酸化チタン(アタナース)、酸化チタン(ルチル)、酸化テルビウム、酸化銅、ジスアゾイエロー、赤色酸化鉄、造粒カーボンブラック、茶色酸化鉄、チャンネルブラック、超微粒子状酸化チタン、鉄黒、天然黒鉛粉末、天然土状黒鉛、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、バナデート蛍光体、微粒子酸化チタン、ファストイエロー10G、ベンガラ、モリブデンレッド、等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としては、アルキル(炭素数10〜15)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数6〜18)硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテル硫酸エステル塩、脂肪酸(炭素数6〜18)塩、アルカン(炭素数6〜18)スルホン酸塩、オレフィン(炭素数8〜18)スルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、リグニンスルホン酸塩、アルキル(炭素数6〜18)スルホコハク酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテルスルホコハク酸塩 、アルキル(炭素数6〜18)リン酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテル酢酸塩、等が挙げられる。上記の塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミンなどのアミン、等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜50モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテル、 ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜50モル)アシル(炭素数6〜18)エステル、アルキル(炭素数6〜18)ジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜100モル)トリグリセリド(脂肪酸炭素数6〜18)エーテル、ソルビタン脂肪酸(炭素数6〜18)エステル、ショ糖脂肪酸(炭素数6〜18)エステル、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜50モル)ソルビタン脂肪酸(炭素数6〜18)エステル、アルキル(炭素数6〜18)ポリグリコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、等が挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、モノアルキル(炭素数6〜18)アミン塩、ジアルキル(炭素数6〜18)アミン塩、トリアルキル(炭素数6〜18)アミン塩、アルキル(炭素数6〜18)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(炭素数6〜18)ジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(炭素数6〜18)ジメチルアミノプロピルアミド、等が挙げられる。上記の塩としては、塩素、臭素等のハロゲンが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、アルキル(炭素数6〜18)ベタイン、脂肪酸(炭素数6〜18)アミドプロピルベタイン、2−アルキル(炭素数6〜18)−N−カルボキシルメチル−N−ヒドロキシエチル−イミダゾリニウムベタイン、アルキル(炭素数6〜18)ジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキル(炭素数6〜18)ジエチレントリアミノ酢酸、アルキル(炭素数6〜18)アミンオキシド、等が挙げられる。
上記溶剤類・オイル類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸、無水酢酸、アセトフェノ、オレイン酸メチル、ヤシ油、ナタネ油、大豆油、ひまし油、アマニ油、パラフィン油、ケロシン、高級アルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、へキシレングリコール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、脂肪酸メチルエステル、メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロアニリン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ノルマルパラフィン、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、シクロヘキサノン、アセトニトリル、灯油、マシン油、芳香族溶剤、等が挙げられる。これらは2種類以上を混合しても良い。
上記グリコール類・糖類としては例えば、ジオール化合物、グリセリンとその誘導体、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ショ糖、ブドウ糖、果糖、等が挙げられる。
上記水溶性高分子としては、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、リグニンスルホン酸塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デキストリン、ベントナイト、ポリビニルピロリドン、等が挙げられる。水溶性高分子は本発明の効果を妨げない範囲で、最少量の添加が好ましい。
上記防腐剤としては、例えば、安息香酸塩、ソルビン酸塩、パラベン類、1,2-ベンツチアゾリン-3-オン、等が挙げられる。
上記凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、等が挙げられる。
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、等が挙げられる。
上記肥料としては、例えば、窒素質肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、石灰質肥料、苦土質肥料、ケイ酸質肥料、微量要素肥料、動物質肥料、植物質肥料、
等が挙げられる。
上記特定のセルロース繊維(成分A)は、例えば、次のようにして作成することができる。すなわち、木材パルプ等の天然セルロースを、水に分散させてスラリー状としたものに、臭化ナトリウム、N-オキシラジカル触媒を加え、十分攪拌して分散・溶解させる。つぎに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の共酸化剤を加え、pH10〜11を保持するように0.5規定水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながらpH変化がなくなるまで反応を行う。上記反応により得られたスラリーから未反応原料、触媒等を除去するために、水洗、ろ過を行い精製することにより、繊維表面が酸化され、カルボキシル基の量が0.6〜2.2mmol/gであるセルロース繊維の水分散物が得られる。このようにして得られた該セルロース繊維の水分散物を水中で混合・分散処理することで、数平均繊維径が2〜150nmの上記特定のセルロース繊維(成分A)が得られる。
上記N-オキシラジカル触媒としては、例えば2,2,6 ,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO等が挙げられる。特に好ましくは、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)である。上記N−オキシラジカル触媒の添加量は触媒量で十分であり、好ましくは0.1〜4mmol/l、さらに好ましくは、0.2〜2mmol/lの範囲で反応水溶液に添加する。
上記共酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、過有機酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ次亜ハロゲン酸塩が好ましい。そして、上記次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属の存在下で反応を進めることが、反応速度の点において好ましい。上記臭化アルカリ金属の添加量は、上記N-オキシラジカル触媒に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
本発明の水性農薬組成物は、上記特定のセルロース繊維(成分A)の水分散体を、予め水中で混合・分散処理して、平均繊維径を2〜150nmにした特定のセルロース繊維を調製しておき、本発明の水性農薬組成物の他の成分に配合しても良く、また、本発明の水性農薬組成物を製造する際に実施される、混合・分散処理と同時に、特定のセルロース繊維の分散を行い、平均繊維径を2〜150nmにした特定のセルロース繊維としても良い。本発明の水性農薬組成物を製造する際の合理性からすれば、後者の方法が好ましい。
実際には、上記特定のセルロース繊維(成分A)、上記特定の農薬有効成分(成分B)、および、必要であれば、濃度調整用の水(成分C)、その他の任意の添加物を混合・分散することにより得られる。その混合方法と混合順序には制約はない。
以下に、さらに具体的に、農薬製剤のタイプ別に本発明の水性農薬組成物の調整方法を例示するが、これらに限定するものではない。
上記特定の農薬有効成分(成分B)が固体・粉体であって、製剤がフロアブル剤(水性懸濁製剤)の場合の調整方法は以下の通りである。すなわち、上記特定の農薬有効成分(成分B)、水(成分C)、上記特定のセルロース繊維(成分A)、必要に応じて、任意成分として界面活性剤、消泡剤、凍結防止剤、その他の任意成分を予備混合した後、湿式粉砕機で粉砕することにより、フロアブル剤と呼ばれる水性懸濁農薬組成物(本発明の水性農薬組成物)が得られる。上記湿式粉砕機としては、例えば、ホモミキサー、ホモディスパー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、真空乳化装置、ディスパー、プロペラミキサー、等が挙げられる。なお、予め乾式粉砕した農薬有効成分を用い、湿式粉砕操作を省略しても良い。
上記特定の農薬有効成分(成分B)が固体・粉体であって、製剤がエマルション製剤(水性乳化製剤)の場合の調製方法は以下の通りである。すなわち、予め、上記特定の農薬有効成分(成分B)を溶剤またはオイルに溶解し、必要なら界面活性剤、任意成分、を混合して油相を調製しておく。一方、上記特定のセルロース繊維(成分A)、水(成分C)、必要なら、任意成分として界面活性剤、消泡剤、凍結防止剤、その他任意成分を混合・分散して水相を調製しておく。乳化装置または混合装置を用い、前記油相と水相を混合・乳化することにより、エマルション製剤と呼ばれる本発明の水性農薬組成物が得られる。
前記乳化装置または混合装置としては、ホモミキサー、ホモディスパー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、真空乳化装置、ディスパー、プロペラミキサー、等が挙げられる。
上記特定の農薬有効成分(成分B)が液体(油状)の場合のエマルション製剤(水性乳化製剤)の調製方法は以下の通りである。すなわち、前記エマルション製剤(水性乳化製剤)を調製する方法において、油相の替わりに上記特定の農薬有効成分(成分B)を用いることにより、水性乳化製剤(本発明の水性農薬組成物)が得られる。
さらに、他の調整方法としては固体または油状の上記特定の農薬有効成分(成分B)を粘度鉱物質・充填剤と混合して粉末とした後、前記フロアブル剤(水性懸濁製剤)の調整方法の方法に準じて、水性農薬組成物としても良く、複数の上記特定の農薬有効成分(成分B)を上記調整方法を組み合わせて調整し、サスポエマルション製剤としても良い。
また、上記特定の農薬有効成分(成分B)をマイクロカプセル化したり、担体に包接・吸着して用いても良い。
本発明の水性農薬組成物における上記特定の農薬有効成分(成分B)の配合量は、農薬有効成分の種類によって生物活性が異なるため、農薬有効成分ごとに異なるが、一般的に、0.1%〜80%、好ましくは1%〜60%の範囲である。0.1%以下では経済的でなく、80%以上では水性農薬組成物の流動性を保つことが困難となり、ハンドリング性が悪くなる傾向がある。
本発明の水性農薬組成物における、上記特定のセルロース繊維(成分A)の配合量は、通常0.01%〜3%、好ましくは0.05%〜2%の範囲内である。0.01%以下では水性農薬組成物の粘度が低く、増粘安定効果が不十分となるので好ましくない。3%以上では水性農薬組成物の粘度が高過ぎて、農薬製造時及び農薬使用時のハンドリングが悪化するので好ましくない。
本発明の水性農薬組成物の粘度としては、100mPa・s〜10,000mPa・sの範囲であり、好ましくは500mPa・s〜3,000mPa・sの範囲である。
ここでいう粘度とは、BM型粘度計を用い、25℃にて、ローター番号3番、30rpm(測定範囲;100mPa・s〜4,000mPa・s)または12rpm(測定範囲;4,001mPa・s〜10,000mPa・s)、で180秒後に測定される粘度のことをいう。100mPa・s以下では水性農薬組成物の粘度が低く、増粘安定効果が不十分となるので好ましくない。10,000mPa・s以上では水性農薬組成物の粘度が高過ぎて、農薬製造時及び農薬使用時のハンドリングが悪化するので好ましくない。
本発明の水性農薬組成物の粘度は、セルロース繊維の配合量により調整することができる。すなわち、上記特定のセルロース繊維(成分A)の配合量を増やすと粘度は増加する傾向にあり、配合量を減らすと粘度は低下する傾向にある。
また、本発明の水性農薬組成物の粘度は、上記特定の農薬有効成分(成分B)の種類と配合量および粒子径、任意成分の種類と配合量の影響を受けるので、個別の水性農薬組成物ごとに、粘度の調整を行うことが好ましい。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例に先立ち、次のようにしてセルロース繊維を作製した。
〔セルロース繊維T1(実施例用)の作製〕
針葉樹パルプ2g(乾燥重量)に対し水150g、臭化ナトリウム0.025g、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)0.025gを加え十分攪拌して分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.4mmol/g-セルロースとなるように加え、pHを10〜11に保持するように0.5規定水酸化ナトリウム溶液を滴下しながらpH変化が見られなくなるまで反応させた。(反応時間は120分)反応終了後、0.1規定塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。
〔セルロース繊維T2、T3(実施例用)、セルロース繊維H1、H2(比較例用)〕
添加する次亜塩素酸ナトリウム量および反応時間を、下記の表1に示すとおりに変更する以外は、セルロース繊維T1の作製に準じて、各セルロース繊維を作製した。
Figure 2011057571
このようにして得られたセルロース繊維T1〜T3(実施例用)、セルロース繊維H1、H2(比較例用)を用い、下記の基準に従って各項目の測定を行った。これらの結果を、上記の表1に併せて示した。
<数平均繊維径>
得られたセルロース繊維の数平均繊維径は、以下のようにして測定した。すなわち、セルロース繊維に水を加え希釈した試料を真空乳化装置を用いて12000rpmで15分間分散した後、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、得られた画像から、数平均繊維径を測定算出した。
なお、後述する実施例で得られる水性農薬組成物中のセルロース繊維の数平均繊維径は、本方法で測定された値と一致することを確認している。
<セルロースI型結晶構造の確認>
得られたセルロース繊維がI型結晶構造を有することの確認を次のようにして行った。すなわち、広角X線回折像測定により得られた回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークを持つことからI型結晶構造を有することを確認した。
<カルボキシ基量の測定>
得られたセルロース繊維のカルボキシル基量を、次のようにして測定した。
すなわち、乾燥させたセルロース繊維0.3gを水55mlに分散させ、0.01規定の塩化ナトリウム水溶液5mlを加えて、十分に攪拌してセルロース繊維を分散させた。つぎに、0.1規定の塩酸溶液をpH2.5〜3.0になるまで加え、0.04規定の水酸化ナトリウム水溶液を毎分0.1mlの速度で滴下し、得られたpH曲線から過剰の塩酸の中和点と、セルロース繊維由来のカルボキシル基の中和点との差から、カルボキシル基量を算出した。
<アルデヒド基量の測定>
得られたセルロース繊維のアルデヒド基量を、次のようにして測定した。
すなわち、得られたセルロース繊維を水に分散させ、酢酸酸性下で亜塩酸ナトリウムを用いてアルデヒド基を全てカルボキシル基まで酸化させた試料のカルボキシル基量を測定し、酸化前のカルボキシル基量との差をもってアルデヒド基量とした。
<アルデヒド基およびカルボキシル基の確認>
得られたセルロース繊維を構成するグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にアルデヒド基およびカルボキシル基に酸化されているかどうかの確認を行った。すなわち、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認されたグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れたことを確認した。
〔セルロース微粒子分散体の作製〕
特開2007−320898 の実施例に基づき、セルロース微粒子分散体を調製した。すなわち、−5℃の65%重量%硫酸水溶液に、セルロース(木材パルプから製造したサルファイトパルプ)を、濃度5重量%となるように溶解させ、セルロースドープを得た。続いて、セルロースドープに対して2.5倍重量の5℃に維持された水中に、前記ドープを攪拌しながら添加し、セルロースをフロック状に凝集させた。得られた産物を、85℃で20分間維持し、ついでpH4以上になるまで、該産物の水洗と脱水を繰り返し、ゲル状物を得た。
次に、前記ゲル状物に、固形分濃度4重量%となるように水を添加した、その後、得られた産物を、分散機(プライミクス社製、TKロボミックス)に供して、10000rpmにて10分間処理することにより分散させた。さらに、得られた産物を、超高圧ホモジナイザー(みづほ工業製、マイクロフルイダイザー M−110−E/H、処理圧力は100MPa)に供して超高圧分散処理し、ゲル状のセルロース微粒子の分散体(固形分濃度4重量%)を得た。
このようにして得られたセルロース微粒子分散体を用い、下記の基準に従って各項目の測定を行った。
<セルロース平均重合度の測定>
得られたセルロース微粒子分散体のセルロース平均重合度を測定し得られたセルロース微粒子分散体を、70℃で乾燥させた。乾燥物 200mg、400mg、600mg、800mg、1000mをそれぞれカドキセン50mlに溶解してえられた希薄セルロース溶液の25℃における比粘度をウベローデ型粘度計を用いて測定し、極限粘度数ηを、濃度0に外挿したときの比粘度として算出した。ついで、得られた極限粘度数ηに基づき、式(I)
η=3.85×10-2×MW0.76 (I)
(式中、Mwは重量平均分子量を示す)
と、式(II)
平均重合度=MW/162 (II)
(式中、Mwは重量平均分子量を示す)
とにより、平均重合度を算出した。
その結果、得られたセルロース微粒子の分散体のセルロース平均重合度は約40であった。
<セルロース結晶化率の測定>
得られたセルロース微粒子の分散体のセルロース結晶化率を測定した。
得られたセルロース微粒子分散体を、70℃で乾燥させた後、粉砕し、錠剤に成型して、線源CuKα、反射法での広角X線回折法(リガク社製、RINT−ULtIma III)により得られた回折図において、セルロースI型結晶(110)面ピークに帰属される2θ=15.0°における絶対ピーク強度h0と、この面間隔おけるベースラインからのピーク強度h1から下記(III)式よりセルロースI型結晶成分の分率(χI)を求めた。同様に、前記回折図において、セルロースII型結晶(110)面ピークに帰属される2θ=12.6ある°における絶対ピーク強度h0*と、この面間隔おけるベースラインからのピーク強度h1から下記(IV)式よりセルロースII型結晶成分の分率(χII)を求めた。
χI=h1/h0 (III)
χII=h1*/h0* (IV)
そして、セルロースI型結晶成分の分率(χI)とセルロースII型結晶成分の分率(χII)とを用い、下記(V)式よりセルロースの結晶化率を求めた。
結晶化率(%)=(χI+χII)×100 (V)
その結果、得られたセルロース微粒子の分散体のセルロース結晶化率は、20%であった。
<平均粒子径の測定>
得られたセルロース微粒子の分散体の平均粒子径を測定した。得られたセルロース微粒子の分散体を、1.5%重量濃度となるように水で希釈し、続いて、超高圧ホモジナイザー((みづほ工業製、マイクロフルイダイザー M−110−E/H、処理圧力は100MPa)により超高圧分散処理した。得られた分散液を、粒度分布測定装置(日機装社製、マイクロトラックUPA)で測定し、体積基準でのメジアン径として平均粒子径を算出した。その結果、得られたセルロース微粒子の分散体の平均粒子径は、20nmであった。
つぎに、上記で得られたセルロース繊維(T1〜T3、H1〜H2)を用いて以下のようにして水性農薬組成物を調整した。
〔実施例1〕
上記セルロース繊維T1を固形分換算で0.1重量部(以下「部」と略す)、農薬有効成分としてマシン油(殺虫剤)30.0部、界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル並びにポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸エステル塩を其々3.0部、1.0部、凍結防止剤としてプロピレングリコールを5.0部、及び防腐剤として1,2−ベンツチアゾリン−3−オン0.1部を計量し、水を加えて100部とした。次に、真空乳化装置にて12000rpmで15分間処理して、エマルション型の水性農薬組成物を得た。
〔実施例2、3、比較例1〜4〕
下記の表2に示すように、各成分の種類及び配合量を変更する以外は、実施例1に準じてエマルション型の水性農薬組成物を得た。
〔実施例4〕
農薬有効成分として炭酸カルシウムを50.0部、界面活性剤としてナフタレンスルホン酸塩縮合物並びにポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルをそれぞれ3.0部、1.0部、凍結防止剤としてプロピレングリコール5.0部、および水40.8部を計量し、2mm直径のガラスビースとともにディスパーにて3000rpmで30分間湿式粉砕を行った。次にガラスビーズを濾別して得られた懸濁液に、上記セルロース繊維T1を固形分換算で0.1部、及び防腐剤として1,2−ベンツチアゾリン−3−オン0.1部を加え、さらにディスパーで3000rpmで10分間混合分散して、フロアブル剤と呼ばれる懸濁型の水性農薬組成物を得た。
〔実施例5,6〕
下記の表2に示すように、各成分の種類及び配合量を変更する以外は、実施例4に準じてフロアブル剤と呼ばれる懸濁型の水性農薬組成物を得た。
Figure 2011057571
このようにして得られた各水性農薬組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、上記の表2に併せて示した。
(粘度の評価)
BM型粘度計を用い、25℃にて、ローター番号3番、30rpm(測定範囲;100mPa・s〜4,000mPa・s)または12rpm(測定範囲;4,001mPa・s〜10,000mPa・s)、で180秒後に測定される粘度を測定した。
(分散安定性の評価)
得られた水性農薬組成物を、共栓付メスシリンダーに移し、40℃で1ヵ月放置した後、下記の判定基準に従い、組成物の分離状態を目視で判定した。
◎:全く分離が認められない。
○:ほとんど分離が認められない。
△:僅かに分離が認められる。
× :完全に分離している。
上記表2の結果から明らかなように実施品1〜7はいずれも粘度、分散安定性が良好であった。尚、実施例1〜3品に含有されるセルロース繊維(T1〜T3)の数平均繊維径を、前述の方法で測定し、算出した結果、農薬有効成分等の配合前と実質的変化は無かった。また、本発明者らは、上記セルロース繊維T1〜T3に代えて、カルボキシル基量が0.6mmol/g(下限)のセルロース繊維、及びカルボキシル基量が2.2mmol/g(上限)のセルロース繊維を用いた場合にも、セルロース繊維T1〜T3を用いた場合と同様の優れた効果が得られることを実験により確認している。
これに対して、実施例品のセルロース繊維T1〜T3に代えて、セルロース繊維H1を用いた比較例1品はセルロース繊維中のカルボキシル基量が0.5mmol/gと低いため、水性農薬組成物の粘度が50mPa・sと低く、分散安定性が実施例品より劣っていた。
また、セルロース繊維H2を用いた比較例2品はセルロース繊維中のカルボキシル基量が2.2.mmol/gと高いため、分散安定性が実施例品より劣っていた。
セルロース微粒子水分散体を用いた比較例3品は、水性農薬組成物中に含まれるイオン性物質であるポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸塩の影響を受けて、増粘効果を発揮することができず、分散安定性が実施例品より劣っていた。
キサンタンガムを用いた比較例4品は、セルロース繊維T1〜T3より増粘安定効果が劣るため、分散安定性が実施例品より劣っていた。
本発明の活用例として、農作物の防除を目的に、農薬として、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、展着剤、等に利用できる。

Claims (2)

  1. 下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする水性農薬組成物。
    (A)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、カルボキシル基の量が0.6〜2.2mmol/gであるセルロース繊維
    (B)水に対する溶解度が30重量%未満である農薬有効成分
    (C)水
  2. 上記(A)成分のセルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであることを特徴とする請求項1記載の水性農薬組成物。

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