以下、発明の実施の形態例を図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の内側に収容された遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、前面枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、前面枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7等を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。
このパチンコ機Pには、遊技球の貸し出しを行うためのCRユニット(遊技球貸出機)300が隣接して配置されている。このCRユニット300は、正面に、ICカードを挿入するためのカード挿入口310と、各種の表示を行う表示部320とが設けられている。このCRユニット300は、カード挿入口310にICカードを挿入した状態でパチンコ機Pに設けられた貸出ボタン71(後述)を押下すると遊技球の貸し出しが行われ、返却ボタン72(後述)を押下すると、ICカードが返却されるようになっている。
また、図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部11と、副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fと、発射制御処理部13と、賞球払出装置(遊技球払出装置)14等を備えている。続いて、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
遊技盤3は、その盤面に遊技領域31を有しており、前面枠2に装着した後、ガラス板10から遊技領域31を観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、特別図柄表示装置17と、演出表示装置34と、スルーチャッカ21と、普通図柄表示装置22と、電動チューリップ49と、ステージ36と、始動入賞口(始動口)37と、一般入賞口38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、アタッカー装置41等が設けられている。
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置17に変動表示される特別図柄と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)115に記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。つまり、この表示領域の部分が保留球表示装置34aとなっているのである。
また、特別図柄表示装置17は、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、より具体的には、抽選結果を、特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示するものである。この特別図柄表示装置17は、本実施形態では7セグメント表示器が用いられており、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するための普通図柄表示装置22が、特別図柄表示装置17の隣に設けられている。この普通図柄表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普通図柄当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。
電動チューリップ49は、始動入賞口37の入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、始動入賞口37の入口を拡大するようになっている。ステージ36は、演出表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ36の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には始動入賞口37が配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で始動入賞口37へと導かれる。
アタッカー装置41は、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、大当たりとなって大当たり遊技に移行した場合に所定回数開放される装置である。このアタッカー装置41が開放すると、大入賞口42が露呈し、そこに遊技球が入賞することで多くの賞球が獲得できるようになっている。また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、始動入賞口37や一般入賞口38に入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、始動入賞口37、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43〜45(図4参照)が設けられている。
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が前面枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作するタッチボタン60が設けられているほか、遊技球の貸し出しを行うための貸出ボタン71と、CRユニット300に挿入したICカードを返却させるための返却ボタン72が設けられている。
主制御処理部11は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等とにより構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
具体的には、図4に示すように、始動入賞口37に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行う特別図柄抽選部(電子抽選手段)110と、この特別図柄抽選部110が判定した抽選結果に応じて特別図柄を決定する特別図柄決定部120と、変動パターンコマンドを決定するための変動パターンコマンド決定部140と、保留球乱数記憶部115に記憶されている保留球乱数が大当たりであるか否かを、当該保留球乱数に基づく遊技が開始されるよりも前に判定する先読み当否判定部(先読み当否判定手段)150と、特別図柄抽選部110による抽選結果の判定が大当たりとなった場合にアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部(大当たり遊技制御手段)160と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選部170と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180とを備えて主制御処理部11は構成されている。
特別図柄抽選部110は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄用乱数発生部(特別図柄用乱数発生手段)111と、始動入賞口37に遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する特別図柄用乱数取得部(特別図柄用乱数取得手段)112と、この特別図柄用乱数取得部112が取得した乱数が大当たりであるか否かを特別図柄判定テーブル114を参照して決定する特別図柄当否判定部(特別図柄当否判定手段)113と、特別図柄用乱数取得部112が乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する保留球乱数記憶部115と、を備えている。
変動パターンコマンド決定部140は、演出態様を決定するためのコマンドである変動パターンコマンドの決定に用いられる変動パターン用乱数の抽選処理を行う変動パターン用乱数抽選部130と、変動パターン用乱数と変動パターンコマンドのパターンNo.(遊技コマンド)とが対応づけられたテーブルが複数記憶されたコマンド参照テーブル135と、を備えている。この変動パターン用乱数抽選部130は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(0〜63まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する変動パターン用乱数発生部と、始動入賞口37に遊技球が入賞したことに基づいて(始動入賞口検知センサ43からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する変動パターン用乱数取得部と、この変動パターン用乱数取得部が取得した乱数を記憶する変動パターン用乱数記憶部と、を備えている。
また、コマンド参照テーブル135は、取得した特別図柄用乱数が大当たり乱数である場合に参照される大当たり時参照テーブルと、ハズレの場合に参照されるハズレ時参照テーブルとを有しており、これらのテーブルを参照して、変動パターンコマンド決定部140は、変動パターンNo.を決定している。
より具体的に説明すると、大当たり時参照テーブルには、遊技コマンドである変動パターンNo.1〜64までが割り当てられ、ハズレ用時参照テーブルには遊技コマンドである変動パターンNo.65〜127までが割り当てられている。そして、特別図柄用乱数取得部112が取得した乱数が大当たり乱数である場合には、変動パターンコマンド決定部140は変動パターンNo.1〜64の中から変動パターン用乱数に基づいて1つのパターンを選択して、そのパターンを変動パターンコマンドとして演出制御処理部12aに送信している。このコマンドを受けて、演出制御処理部12aは、今回行う遊技における演出態様を決定することとなる。
同様に、ハズレの場合には、変動パターンコマンド決定部140は、変動パターンNo.65〜127の中から変動パターン用乱数に基づいて1つのパターンを選択して演出制御処理部12aにそのコマンドを送信している。このコマンドを受けて、演出制御処理部12aが演出態様の決定を行っている。なお、変動パターンNo.1〜64までは、変動パターンNo.65〜127に比べて全体的に特別図柄の変動時間が長い変動パターンコマンドとなっており、変動時間が長い演出態様が表示されると、遊技者は大当たりの可能性が高いのではないかと予測することができるようになっている。
先読み当否判定部150は、保留球乱数記憶部115に記憶された保留球乱数が大当たりであるか否かを、保留球乱数として記憶された時点で特別図柄判定テーブル114を参照して行うものである。なお、この先読み当否判定部150による判定結果のコマンド、即ち、大当たりコマンドまたはハズレコマンドは、直ちに賞球払出/遊技球貸出に関する装置Uへ送信されて所定の処理が行われることとなるが、この点についての詳しい説明は後述することとする。
大当たり遊技制御部160は、大当たりの種類に応じて所定のラウンド数だけアタッカー装置41の開閉を行うように制御している。また、普通図柄抽選部170は、特別図柄用乱数発生手段111が発生させる乱数の数より少ないが同様の構成からなる普通図柄用乱数発生部と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する普通図柄用乱数取得部と、この普通図柄用乱数取得部が取得した乱数が普通図柄当たりであるか否かを普通図柄判定テーブルを参照して決定する普通図柄当否判定部と、普通図柄用乱数取得部が乱数を取得したときに普通図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を普通図柄用保留球乱数として記憶する普通図柄用保留球乱数記憶部と、を備えている。また、電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄抽選部170による電子抽選で普通図柄当たりに当選したコマンドに基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。
続いて、主制御処理部11からの指令(コマンド)を受けて各種装置を制御する副制御処理部について説明する。副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fは、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられ、主制御処理部11が生成した処理情報に従って、演出表示装置34やスピーカ20、その他の演出装置(LED装置など)などの制御を行う装置である。
演出制御処理部12aは、処理部として、演出態様を決定するための演出態様決定部と、この演出態様決定部が決定した演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御する演出表示制御部と、を備えており、記憶部として、複数種類の演出態様が変動パターンコマンドと対応づけられて記憶された演出態様記憶部を備えている。
特別図柄表示制御部12bは、主制御処理部11の特別図柄決定部120が決定した特別図柄のコマンドと、変動パターンコマンド決定部140が決定した変動パターンコマンドに基づき、特別図柄表示装置17に特別図柄を所定の時間だけ変動させた後に停止させる態様で特別図柄決定部120が決定した特別図柄を表示する。一方、普通図柄表示制御部12fは、普通図柄抽選部170による普通図柄に係る抽選結果のコマンドを受け、そのコマンドに基づいて普通図柄表示装置22に普通図柄を変動させた後に停止させる態様で表示するよう制御している。なお、普通図柄表示制御部12fは、上記した特別図柄表示制御部12bによる表示制御と比べて表示する図柄の対象が相違するものの、表示制御の基本構成はほぼ同じである。また、ランプ制御処理部12cは、主制御処理部11からコマンドを受けて各種ランプや電飾の点灯制御を行うものである。
次に、賞球払出/遊技球貸出に関する装置Uについて、図5を参照しながら詳細に説明する。まず、払出制御処理部12eは、先読み当否判定部150による判定結果を保留球乱数に基づく遊技が開始されるまで記憶する先読みコマンド記憶部80と、貸出ボタン71の1回の操作で貸し出される遊技球の個数を、通常の貸し出し個数である規定貸出単位数と、この規定貸出単位数より貸し出し個数の少ない特別貸出単位数の何れかに決定する貸出単位決定部(貸出単位決定手段)81と、この貸出単位決定部81の決定に基づいて生成された遊技球の貸出要求コマンドをCRユニット300に対して送信する貸出要求コマンド送信部(貸出要求コマンド送信手段)82と、賞球払出装置14の作動を制御する賞球払出装置制御部83と、を備えて構成されている。
先読みコマンド記憶部80は、先読み当否判定部150が保留球乱数に対して行った大当たり判定の結果のコマンド(大当たりコマンドまたはハズレコマンド)が入力されると、そのコマンドを保留球乱数に基づく遊技が開始するまで記憶する。
貸出単位決定部81は、1回の貸出ボタン71の操作で貸し出す遊技球の個数を100円、200円、300円、400円、500円の中から決定するためのものである。ここで、本実施形態においては、遊技球1個が4円で貸し出されるように設定されているため、100円だと25個、200円だと50個、300円だと75個、400円だと100個、500円だと125個を1単位として貸し出しされることになる。そして、本実施形態では、通常は、1回の貸出ボタン71の操作で500円の遊技球(即ち、125個)が貸し出されるように設定されている。
よって、500円は、通常の貸し出し個数である規定貸出単位数である。500円以外の単位は、全て500円より貸し出し個数が少なく設定された特別貸出単位数である。そして、先読み当否判定部150による大当たり判定の結果、保留球乱数の中に大当たりが含まれている場合において、その大当たりに係る保留球乱数が保留球乱数記憶部115に1番目に記憶されている場合には、1回の貸出ボタン71の操作で100円(25個)分の遊技球が貸し出され、2番目に記憶されている場合には200円(50個)分の遊技球が貸し出され、3番目に記憶されている場合には300円(75個)分の遊技球が貸し出され、4番目に記憶されている場合には400円(100個)分の遊技球が貸し出されるように特別貸出単位数のそれぞれと大当たりに係る保留球乱数が保留球乱数記憶部115に記憶されている順番とが対応づけられている。これら100円、200円、300円、400円はそれぞれ互いに貸し出し個数が異なる保留順特別貸出単位数である。
貸出要求コマンド送信部82は、上記した貸出単位決定部81が決定した貸出単位数(規定貸出単位数である500円、保留順特別貸出単位数である400円、300円、200円、100円の何れか)に基づいたコマンドを生成してCRユニット300に貸出要求コマンドとして送信するためのものである。
賞球払出装置制御部83は、CRユニットから入力された貸出指令コマンドに従って、所定個数の遊技球を払い出すように賞球払出装置14の作動を制御するほか、始動入賞口37、一般入賞口38および大入賞口42に遊技球が入賞した場合にも所定個数の賞球を払い出すように賞球払出装置14の作動を制御している。
この賞球払出装置14は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示せず)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。そして、モータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。
発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて、発射装置9に対する作動の制御を行う装置である。より具体的に言うと、発射装置9に対して通電させたり、通電を停止したり、あるいは、通電電流を変化させるといった制御処理を行う。なお、この発射制御処理部13は、払出制御処理部12eと接続されており、CRユニットが接続されていない場合に発射停止信号が受信されるようになっている。
次に、CRユニット300は、CRユニットの作動を制御するためのCRユニット制御部340と、ICカードの読み込みと書き込みを行うためのICカードリーダライタ330と、を備えている。このCRユニット300は、払出制御処理部12eと電気的に接続されており、貸出ボタン71を押下したことを契機に生成された貸出要求コマンドがCRユニット制御部340に入力されると、CRユニット制御部340は、この貸出要求コマンドをそのまま貸出指令コマンドとして払出制御処理部12eに送信する。つまり、このCRユニット制御部340は、払出制御処理部12eからのコマンドを中継する役割を果たしているのである。
ICカードリーダライタ330は、カード挿入口310に挿入されたICカードの情報を読み取ると共に、貸出ボタン71が押下された場合には、貸出要求コマンドに従った貸出単位数だけICカードに記憶された金額から差し引いた残りの金額を新たに書き込む。例えば、ICカードに5000円分の金額が記憶されていた場合に、1回貸出ボタン71を押下すると、規定貸出単位数である500円が差し引かれて、4500円が新たな金額としてICカードに書き込まれるようになっている。なお、カード挿入口310に挿入されたICカードは、返却ボタン72を押下すると、そのカード返却コマンドが払出制御処理部12eを経由してCRユニット300に入力され、その後直ちに返却される。
次に、上記したパチンコ機Pの遊技球の貸出処理の手順について図6を参照しながら説明する。まず、貸出ボタン71が押下されたか否かを判断する(ステップS10)。貸出ボタン71が押下された場合(ステップS10でYes)には、次に先読みコマンド記憶部80に大当たりコマンドが記憶されているか否かを判断する(ステップS11)。大当たりコマンドが記憶されている場合(ステップS11でYes)の場合には、貸出単位決定処理が行われる(ステップS12)。具体的には、貸出単位決定部81が、先読みコマンド記憶部80に記憶されている大当たりコマンドが保留球乱数として何番目に記憶されているものであるかを判断し、1番目であれば100円(25個)、2番目であれば200円(50個)、3番目であれば300円(75個)、4番目であれば400円(100個)を貸出単位数としてセットして次のステップS14に進む。一方、ステップS11でNoの場合には、ステップS13にて通常の貸出単位数である500円(125個)にセットしてステップS14に進む。
次いで、ステップS12またはステップS13で決定した貸出単位数に従って貸出要求コマンドを生成する処理を行う(ステップS14)。次いで、このステップS14で生成されたコマンドを貸出要求コマンド送信部82がCRユニット300に送信する(ステップS15)。次に、貸出指令コマンドをCRユニット300から受信したか否かを判断する(ステップS16)。このステップS16でYesの場合には、払出制御処理部12eは、賞球払出装置14を作動させて、所定個数の遊技球を払い出す(貸し出す)。なお、ステップS10でNoの場合、およびステップS16でNoの場合には、遊技球の貸出処理は終了する。
以上、説明したように、本実施形態に係るパチンコ機によれば、保留球乱数の中に大当たりがある場合には、貸出ボタン71を操作しても、通常より少ない個数の遊技球しか貸し出されないため、余分な遊技球の貸し出しを防止できる。加えて、貸し出される遊技球が少ないと大当たりであることが予測できるので、新たな大当たりの報知としても面白いものとなる。しかも、貸し出される遊技球の個数によって保留球乱数の何番目が大当たりであるかが予測できるので、遊技の趣向性が向上することとなる。
次に、図4に示した賞球払出/遊技球貸出に関する装置Uの別の態様例について図7を参照しながら説明するが、この別の態様例は、図5に示す払出制御処理部12eの構成のうち、先読みコマンド記憶部80と貸出単位決定部81と貸出要求コマンド送信部82に相当する構成がCRユニット300側に設けられた構成となっている点に大きな特徴がある。即ち、別の態様例に係る払出制御処理部512eは、主制御処理部11と電気的に接続され、始動入賞口37、一般入賞口38および大入賞口42に遊技球が入賞した場合に主制御処理部11からの賞球払出コマンドを受けて、賞球払出装置14が所定個数の賞球を払い出すようにその作動を制御するための賞球払出装置制御部583を備えている。この賞球払出装置制御部583は、さらに後述する貸出指令コマンドをCRユニット(遊技球貸出機)500から受け取ると、その貸出指令コマンドに従って賞球払出装置14から所定個数の遊技球を払い出す(貸し出す)ように賞球払出装置14の作動を制御している。
また、主制御処理部512eは、貸出ボタン71が押下された場合には、その押下信号を貸出要求コマンドとしてCRユニット500に送信し、返却ボタン72が押下された場合には、その押下信号をカード返却コマンドとしてCRユニット500に送信している。
次に、別の態様例に係るCRユニット(遊技球貸出機)500について説明する。CRユニット500は、CRユニットの作動を制御するためのCRユニット制御部540と、ICカードの読み込みと書き込みを行うためのICカードリーダライタ330と、主制御処理部11から入力された先読みコマンドを記憶するための先読みコマンド記憶部580と、を備えて構成されている。なお、このCRユニット500は、図1に示すCRユニット300と外観構成は同じであり、前面にカード挿入口310と表示部320が設けられている。
ICカードリーダライタ530は、カード挿入口310(図1参照)に挿入されたICカードの情報を読み取ると共に、貸出ボタン71が押下された場合には、貸出指令コマンドに従った貸出単位数だけICカードに記憶された金額から差し引いた残りの金額を新たに書き込む。例えば、ICカードに5000円分の金額が記憶されていた場合に、1回貸出ボタン71を押下すると、規定貸出単位数である500円が差し引かれて、4500円が新たな金額としてICカードに書き込まれるようになっている。なお、カード挿入口310に挿入されたICカードは、返却ボタン72を押下すると、そのカード返却コマンドが払出制御処理部512eを経由してCRユニット500に入力され、その後直ちに返却される。
先読みコマンド記憶部580は、先読み当否判定部150が保留球乱数に対して行った大当たり判定の結果のコマンド(大当たりコマンドまたはハズレコマンド)が入力されると、そのコマンドを保留球乱数に基づく遊技が開始するまで記憶するためのものである。
CRユニット制御部540は、貸出ボタン71からの操作信号1回につき貸し出す遊技球の個数を決定するための貸出単位決定部(貸出単位決定手段)581と、この貸出単位決定部581の決定に基づいて生成された貸出指令コマンドをパチンコ機Pの払出制御処理部512eに対して送信する貸出指令コマンド送信部(貸出指令コマンド送信手段)582と、を備えて構成されている。
貸出単位決定部581は、1回の貸出ボタン71の操作信号(貸出要求コマンド)の入力に基づき、貸し出す遊技球の個数の単位を100円、200円、300円、400円、500円の中から決定するためのものである。ここで、別の態様例に係るCRユニット500は、遊技球1個が4円で貸し出されるように設定されているため、100円だと25個、200円だと50個、300円だと75個、400円だと100個、500円だと125個を1単位として貸し出しすることとなる。そして、別の態様例に係るCRユニット500は、通常は1回の貸出ボタン71の操作で500円の遊技球(即ち、125個)が貸し出されるように設定されている。
よって、この500円は、通常の貸し出し個数である規定貸出単位数である。500円以外の単位は、全て500円より貸し出し個数が少なく設定された特別貸出単位数である。そして、先読み当否判定部150による大当たり判定の結果、保留球乱数の中に大当たりが含まれている場合において、その大当たりに係る保留球乱数が保留球乱数記憶部115に1番目に記憶されている場合には、1回の貸出ボタン71の操作で100円(25個)分の遊技球が貸し出され、2番目に記憶されている場合には200円(50個)分の遊技球が貸し出され、3番目に記憶されている場合には300円(75個)分の遊技球が貸し出され、4番目に記憶されている場合には400円(100個)分の遊技球が貸し出されるように特別貸出単位数のそれぞれと大当たりに係る保留球乱数が保留球乱数記憶部115に記憶されている順番とが対応づけられている。これら100円、200円、300円、400円はそれぞれ互いに貸し出し個数が異なる保留順特別貸出単位数である。
貸出指令コマンド送信部582は、上記した貸出単位決定部581が決定した貸出単位数(規定貸出単位数である500円、保留順特別貸出単位数である400円、300円、200円、100円の何れか)に基づいたコマンドを生成してパチンコ機Pの賞球払出装置制御部583に貸出指令コマンドとして送信するためのものである。
次に、上記したCRユニット500の遊技球の貸出処理の手順について図8を参照しながら説明する。まず、貸出要求コマンドは入力されたか(貸出ボタン71が押下されたか)否かを判断する(ステップS510)。貸出要求コマンドが入力されている場合(ステップS510でYes)には、先読みコマンド記憶部580に記憶されているコマンドに大当たりコマンドがあるか否かを確認する(ステップS511)。大当たりコマンドが記憶されている場合(ステップS511でYes)の場合には、貸出単位決定処理が行われる(ステップS512)。具体的には、貸出単位決定部581が、先読みコマンド記憶部580に記憶されている大当たりコマンドが保留球乱数として何番目に記憶されているものであるかを判断し、1番目であれば100円(25個)、2番目であれば200円(50個)、3番目であれば300円(75個)、4番目であれば400円(100個)を貸出単位数としてセットして次のステップS514に進む。一方、ステップS511でNoの場合には、ステップS513にて通常の貸出単位数である500円(125個)にセットしてステップS514に進む。
次いで、ステップS512またはステップS513で決定した貸出単位数に従って貸出指令コマンドを生成する処理を行う(ステップS514)。次いで、このステップS514で生成されたコマンドを貸出指令コマンド送信部582がパチンコ機Pの払出制御処理部512eに送信する(ステップS515)。この貸出指令コマンド送信部582からの貸出指令コマンドを受けたパチンコ機Pは、賞球払出装置14を作動させて所定個数の遊技球を遊技者に払い出す(貸し出す)こととなる。なお、ステップS510でNoの場合は、遊技球の貸出処理は終了する。
以上、説明したように、別の態様例に係るCRユニット(遊技球貸出機)500によれば、保留球乱数の中に大当たりがある場合には、パチンコ機に設けられた貸出ボタン71を操作しても、通常より少ない個数の遊技球を貸し出す旨のコマンドしか生成しないため、余分な遊技球の貸し出しを防止できる。加えて、貸し出される遊技球が少ないと大当たりであることが予測できるので、新たな大当たりの報知としても面白いものとなる。しかも、貸し出される遊技球の個数によって保留球乱数の何番目が大当たりであるかが予測できるので、遊技の趣向性が向上することとなる。