JP2011052257A - 転動部材、転動部材を用いた真空用機器および転動部材の製造方法 - Google Patents

転動部材、転動部材を用いた真空用機器および転動部材の製造方法 Download PDF

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清典 小熊
Mitsuaki Ikeda
満昭 池田
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Abstract

【課題】 潤滑寿命の長い転動部材、転動部材を用いた真空用機器および転動部材の製造方法を提供する。
【解決手段】 鉄基合金製の転動要素10の転動面上に形成された二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンの少なくともいずれか一方で形成された鉄を含む潤滑被膜100を有する鉄基合金製の転動部材1において、鉄の原子濃度をモリブデンまたはタングステンの原子濃度に対して0.02より大きく,0.12以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高真空環境下で使用される半導体製造装置や宇宙機器などに適用される軸受の転動部材、転動部材を用いた真空用機器および転動部材の製造方法に関する。
真空環境下で使用される半導体製造装置や宇宙機器などに適用される軸受を構成するボール、ローラ、内輪、あるいは外輪などの転動部材において、相手部材が転動接触する転動面には固定性の被膜が多く用いられており、真空環境下で摩擦係数が低く潤滑寿命の長いものが要求されている。従来の被膜には、スパッタ法で形成される二硫化モリブデンや二硫化タングステンなどの硫化物系の材質が採用されている。例えば、二硫化モリブデンでは、長寿命化を目的として、膜の構成元素である硫黄(S)とモリブデン(Mo)の原子数比S/Moを1.7以上2.0未満とするものがあり、特許文献1に示されている。
一方、転動面に、二硫化モリブデンと二硫化タングステンをそれぞれ特定の結晶軸方向に配向させ、数原子乃至数十原子層の厚さで交互に規則正しく積層した被膜について特許文献2に示されている。
特開平6−272715号公報 特開昭61−231093号公報
このようにして転動面に被膜が形成された転動部材により、玉軸受やクロスローラ軸受が組み立てられる。その後、大気中でならし運転調整が行われ、真空環境下で使用される半導体製造装置などの真空用機器に組み込まれる。さらに大気中で試運転調整が行われた後、真空環境下で実稼動される。
このように、大気中でならし運転調整されて真空用機器に組み込まれた後、さらに大気中での試験運転を経て真空環境下で使用されることから、大気中ならびに真空中の両環境下で長寿命の潤滑特性が要求される。しかし、従来の二硫化モリブデン膜や二硫化タングステン膜などで形成される硫化物系の被膜は、大気中において、潤滑寿命が著しく低下することが一般に知られている。大気中での潤滑寿命の低下は、相手部材との転動接触により摩擦係数の大きい酸化物が生じることや、被膜の密着力が弱くなることが原因である。S/Moを上記の範囲にした特許文献1の被膜についても同様であり、大気中での摩擦により潤滑寿命が低下する。
このような被膜を有する転動部材からなる軸受を大気中で稼動させた後に真空環境下で使用しても、真空環境下での実稼動時に潤滑寿命が長くなることは期待できない。特許文献2の被膜についても同様である。また、特許文献2の場合は、二種類の材料を数原子層ずつ規則正しく積層する必要があるので、転動要素表面の被膜の被着面が半導体シリコンのように原子レベルで平滑な場合の適用に限られることが多い。すなわち、実際の被着面の表面粗さは0.1μm程度と粗く、ボールやローラに代表されるような曲率を有しているため適用することが難しいといった問題もある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、転動接触時の摩擦による潤滑寿命の低下を防止し、さらに潤滑寿命を向上させるために密着力の強い被膜を有する転動部材を提供することを目的とする。また、この転動部材を用いた真空用機器および転動部材の製造方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、相手部材が転動接触する転動面に二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンの少なくともいずれか一方で形成された鉄を含む潤滑被膜を有する鉄基合金製の転動部材において、前記鉄の原子濃度が、モリブデンまたはタングステンの原子濃度に対して0.02より大きく0.12以下とするものである。
請求項2に記載の発明は、1×10−3Pa以下の高真空環境下で使用される真空用機器の軸受は、請求項1記載の転動部材により構成されるものである。
請求項3に記載の発明は、前記転動面に二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンの少なくともいずれか一方で形成された鉄を含まない被膜を有する鉄基合金製の転動部材を、大気中または大気と酸素濃度の異なる雰囲気下で、周囲温度、周囲湿度、または保管時間をコントロールして保管し、前記鉄基合金中の鉄成分を前記被膜中に混有させて前記潤滑被膜を作製するものである。
請求項4に記載の発明は、前記保管時の前記周囲温度は、摂氏150℃以下、前記周囲湿度は、相対湿度30%RH以上、前記保管時間は、30日以内とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、潤滑被膜中に含まれる鉄の原子濃度を、モリブデンまたはタングステンの原子濃度に対して0.02より大きく0.12以下の範囲として最適化しているので、被膜の密着力が向上するとともに、摩擦係数も低減される。このため、潤滑寿命が大幅に長くなり、摩擦力も低減する。
請求項2に記載の発明によれば、1×10−3Pa以下の高真空環境下で使用される真空用機器の性能が向上し、信頼性が改善する効果が得られる。
請求項3に記載の発明によれば、保管する周囲温度、周囲湿度、または時間をコントロールすることにより、鉄基合金製の転動要素に含まれる成分の腐蝕の進行をコントロールし、転動要素中の鉄成分を被膜中に拡散・定着させて混有させることができる。このような操作により、請求項1と同様の効果を得ることができるとともに、潤滑被膜の形成をコントロールすることができ、容易に製造できるようになる。
請求項4に記載の発明によれば、比較的容易な設定条件により、請求項2と同様の効果を得ることができる。
本実施形態の転動部材を示す概略構成図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態で参酌する図面では、発明の理解を容易にするため、各要素が模式的に示されている。
図1は、本実施形態の転動部材を示す概略構成図である。図において、本発明の転動部材1は、鉄基合金製の転動要素10と、転動要素10の転動面に被覆された二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンの被膜中に鉄を混有した潤滑被膜100で構成されている。
次に、転動部材の製造方法について述べる。
転動要素10には、ステンレス鋼(SUS440C)のローラ基材(直径4.00mm、長さ3.85mm)を用い、その上に一般的な高周波(RF)スパッタ法で厚さ約0.6μmの被膜を形成した。被膜材質は、二硫化モリブデンと二硫化タングステンの二種類とした。スパッタ条件は、投入電力100W、転動要素10(ローラ基材)と二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンからなるターゲットとの距離は50mm、アルゴン分圧は4Paとした。この条件で作製した二硫化モリブデン膜および二硫化タングステン膜の組成を波長分散型のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer、電子線マイクロアナライザー)で分析した結果、二硫化モリブデン膜におけるモリブデン(Mo)と硫黄(S)の原子数比(S/Mo)、および二硫化タングステン膜におけるタングステン(W)と硫黄(S)の原子数比(S/W)は、いずれも1.7以上2.0未満であった。
その後、被膜が形成された転動要素10(ローラ基材)をスパッタ装置から大気中に取り出し、摂氏80℃、相対湿度70%RHの大気中に保管した。水分を含む空気中に保管すると膜内に浸入した水分に起因してステンレス鋼製の転動要素10(ローラ基材)と二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンからなる被膜との間で接触腐食が生じ、転動要素10(ローラ基材)側が腐食される。この現象により生成した鉄イオンが膜中に拡散・定着する。このようにして、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンからなる被膜中に鉄が混有することとなり、この結果、転動接触時の摩擦力が低減し、転動要素10(ローラ基材)との密着力が向上した潤滑被膜100が形成される。
これらの現象は、転動面の解析により確認されたものであり、潤滑被膜100中に拡散・定着する鉄の混有量は腐食量に起因するので、保管する湿度、温度または時間により潤滑被膜100中の鉄の混有量をコントロールできることが判明した。
本実施例では、前述した温度および湿度に設定された大気中で保管する時間を任意に設定することによって潤滑被膜100中の鉄の混有量を調整することができた。保管期間は最大2週間とし、潤滑被膜100表面の成分組成はXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy、X線光電子分光法)で分析した。
次に、上記の転動部材1を用いてクロスローラ軸受のサンプルを作製し、摩擦試験を行った。試験条件は、アキシャル荷重215N、軸受の回転速度320min−1、および周囲温度を摂氏25℃とした。まず、相対湿度20%RHの大気中で所定時間稼動させ、その後、雰囲気圧力1×10−3Pa以下の真空環境下で稼動させた。潤滑寿命は、軸受の摩擦トルクが100N・mmになるまでの真空環境下での稼動時間とした。
表1に試験結果を示す。表中の潤滑膜100の組成は、最表面におけるモリブデン(Mo)またはタングステン(W)に対する鉄(Fe)の原子数比(Fe/MoまたはFe/W)としている。表中の比較例は、大気中で未保管のサンプルのものであり、XPS分析の結果、Feは検出されなかった。なお、摩擦トルクは、真空環境下で試験中の値である。
表1によると、二硫化モリブデンと二硫化タングステンのいずれの場合においても、Fe/Mo(またはFe/W)が0.02より大きく0.12以下の場合に、潤滑寿命が比較例のサンプルよりも長くなっている結果が得られた。一方、摩擦力に起因する摩擦トルクは、Fe/Mo(またはFe/W)が0.12以下の場合では組成によらずほぼ同じであるが、0.15以上で増大しており、潤滑寿命も低下していた。また、Fe/Mo(またはFe/W)が0.15以上の場合、運転中のトルクの変動が他の組成の場合に比べて大きかった。摩擦トルクが大きいと、軸受を組み込んだ機器の運転に、より多くのエネルギーが必要となり、省エネルギーの観点から望ましくない。
これらのことから、Fe/Mo(またはFe/W)は0.02より大きく0.12以下とするのが適切であり、上記の範囲に鉄の原子濃度を調整することにより、潤滑寿命を向上させる効果が得られることが実証された。


Figure 2011052257
なお、今回の試験ではクロスローラ軸受について記述したが、本実施例による転動部材1を玉軸受などの別の軸受に採用しても同様の効果が得られることは明白である。また、本実施例では、潤滑膜100の形成法としてスパッタ法を用いているが、スパッタ法以外のPVD(Physical Vapor Deposition、物理気相蒸着法)やCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相蒸着法)またはメカニカルアロイング法を用いても良い。転動要素10の材質についても鉄を含むものであれば、ステンレス以外でも特に限定されるものではなく、軸受鋼SUJ2などでも良い。さらに、潤滑被膜100中に鉄を混有させる工程においても、大気中とは異なる酸素濃度雰囲気下でも良く、保管する温度、湿度、および時間は、本実施例の条件に限られるものではない。
また、水分を含む空気中に保管することにより鉄基合金製の転動要素10から鉄を膜中に混有させることに限るものではなく、例えばスパッタ法などによる被膜形成時に鉄を混有させて潤滑被膜100を作製するものであっても良い。この場合、転動要素10は鉄を含まない材質であっても構わない。
このように、被膜中に適切な濃度の鉄を含んで潤滑被膜を形成しているので、摩擦力を低減し、潤滑寿命を向上させることができる。このような転動部材を用いて軸受を製造し、1×10−3Pa以下の高真空環境下で使用される半導体製造装置などの真空用機器に組み込むことにより、性能および信頼性の良好な機器を市場に提供することができる。
1 転動部材
10 転動要素
100 潤滑被膜

Claims (4)

  1. 相手部材が転動接触する転動面に二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンの少なくともいずれか一方で形成された鉄を含む潤滑被膜を有する鉄基合金製の転動部材において、前記鉄の原子濃度が、モリブデンまたはタングステンの原子濃度に対して0.02より大きく0.12以下であることを特徴とする転動部材。
  2. 1×10−3Pa以下の高真空環境下で使用される真空用機器の軸受は、請求項1記載の転動部材により構成されたことを特徴とする真空用機器。
  3. 前記転動面に二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンの少なくともいずれか一方で形成された鉄を含まない被膜を有する鉄基合金製の転動部材を、大気中または大気と酸素濃度の異なる雰囲気下で、周囲温度、周囲湿度、または保管時間をコントロールして保管し、前記鉄基合金中の鉄成分を前記被膜中に混有させて前記潤滑被膜を作製することを特徴とする請求項1記載の転動部材の製造方法。
  4. 前記保管時の前記周囲温度は、摂氏150℃以下、前記周囲湿度は、相対湿度30%RH以上、前記保管時間は、30日以内とすることを特徴とする請求項3記載の転動部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104962860A (zh) * 2014-09-05 2015-10-07 北京机械工业自动化研究所 一种多相耦合ws2/wn固体润滑薄膜制造方法
CN105543788A (zh) * 2015-12-18 2016-05-04 中国科学院兰州化学物理研究所 一种铁掺杂二硫化钨复合薄膜
WO2023181971A1 (ja) * 2022-03-24 2023-09-28 日本パーカライジング株式会社 潤滑剤、並びに潤滑皮膜を有する材料及びその製造方法

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