JP2011051862A - 高配向窒化アルミニウム結晶膜およびその製造方法 - Google Patents

高配向窒化アルミニウム結晶膜およびその製造方法 Download PDF

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博之 福山
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正信 東
Susumu Ikeda
奨 池田
Kazuya Takada
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Abstract

【課題】c軸配向した窒化アルミニウム単結晶の集体からり、結晶性、緻密性にすぐれた高配向窒化アルミニウム多結晶膜を提供する。
【解決手段】単結晶α−Al2O3基板3上に、酸窒化アルミニウム層4を介して窒化アルミニウム結晶膜5が形成されてなる母材6上に、スパッタリング法により、150〜500℃にて窒化アルミニウム1を析出させ、次いで、前記反応スパッタ温度よりも高く、かつ250〜800℃にてアニールを行うことにより高配向窒化アルミニウム多結晶膜1が形成さた窒化アルミニウム複合膜10が製造する。前記方法により製造される高配向窒化アルミニウム多結晶膜1は、c軸配向した窒化アルミニウム単結晶2の集合体からなり、該高配向窒化アルミニウム多結晶膜のチルト角が30〜1,300arcsec、ツイスト角が80〜4,000arcsecとなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高配向窒化アルミニウム結晶膜に関し、さらに具体的には、該結晶膜の膜面に対して略垂直にc軸配向した窒化アルミニウム結晶が、緻密に集合してなる高配向窒化アルミニウム結晶膜に関する。このような高配向窒化アルミニウム結晶膜は、圧電素子等の用途が期待される。また、本発明は、該高配向窒化アルミニウム結晶膜の製造方法に関する。
窒化アルミニウムは、圧電素子の小型化、薄型化に向けて有望な材料として期待されている。窒化アルミニウムを圧電素子として利用するには、c軸配向性が強いほど圧電性も高くなると考えられている。c軸配向した窒化アルミニウム薄膜は、ガラス基板上などへ様々な方法で製造したもの等が報告されている。しかし、これらの窒化アルミニウム薄膜では、c軸配向性、結晶性等が未だ不十分であった。
そこで、特許文献1(特開2004−6535公報)では、高配向窒化アルミニウム結晶膜を製造する手段として、所定の基板上に、窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一の配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面を有する金属の結晶面が、前記基板面に対して平行である配向性の金属層を形成し、この金属層上に窒化アルミニウム膜をスパッタリング法で成膜する技術が開示されている。ここで、前記金属層としては、配向性タングステン層、配向性白金層、配向性金層、配向性銀層などがあげられている。
しかし、特許文献1の窒化アルミニウム結晶膜においても、結晶性の向上はなお不十分であった。特許文献1においては、膜の結晶性を、X線ロッキングカーブの半値幅で評価している。半値幅が狭いほど結晶性が高い。特許文献1の実施例において調製されている結晶膜のX線ロッキングカーブの半値幅は0.4°(=1440arcsec.)であり、なお改善が要望されるところである。
特開2004−6535公報
本発明は上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、c軸配向した窒化アルミニウム結晶が集合してなる高配向窒化アルミニウム結晶膜において、さらに結晶性の向上された窒化アルミニウム多結晶膜を提供することを目的としている。
かかる課題を解決する本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)膜面に対して略垂直にc軸配向した窒化アルミニウム単結晶の集合体からなる多結晶膜であり、
該多結晶膜のチルト角が30〜10,000arcsec、ツイスト角が50〜20,000arcsecである、高配向窒化アルミニウム多結晶膜。
(2)c軸方向から観察される各窒化アルミニウム単結晶の平均径が30〜3,000nmである(1)に記載の高配向窒化アルミニウム多結晶膜。
(3)厚みが1〜50μmである(1)または(2)に記載の高配向窒化アルミニウム多結晶膜。
(4)単結晶α−Al基板上に、酸窒化アルミニウム層を介して窒化アルミニウム結晶膜が形成されてなる母材上に、高配向窒化アルミニウム多結晶膜が形成されてなる窒化アルミニウム複合膜であり、
窒化アルミニウム多結晶膜が、c軸配向した窒化アルミニウム単結晶の集合体からなり、該窒化アルミニウム多結晶膜のチルト角が30〜1,300arcsec、ツイスト角が80〜4,000arcsecである窒化アルミニウム複合膜。
(5)単結晶α−Al基板上に、酸窒化アルミニウム層を介して窒化アルミニウム結晶膜が形成されてなる母材上に、
スパッタリング法により、150〜500℃にて窒化アルミニウムを析出させ、次いで、
前記反応スパッタ温度よりも高く、かつ250〜800℃にてアニールを行う、窒化アルミニウム多結晶膜の製造方法。
本発明によれば、結晶性の高い窒化アルミニウム多結晶膜が提供される。この多結晶膜では、窒化アルミニウム結晶が膜面に対して略垂直にc軸配向されているため、優れた圧電特性を示すことから、圧電素子の応用が期待される。また、本発明によれば、該高配向窒化アルミニウム多結晶膜の製造方法が提供される。
本発明に係る窒化アルミニウム複合膜の概略断面図である。
以下、本発明について、その最良の形態を含めて、図面を参照しながら、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明に係る窒化アルミニウム複合膜10の断面図を示し、この複合膜の最上層が本発明の高配向窒化アルミニウム多結晶膜1を示す。
本発明に係る高配向窒化アルミニウム多結晶膜1は、膜面に対して略垂直にc軸配向した窒化アルミニウム単結晶2の集合体である。すなわち、繊維の長手方向をc軸とした短繊維(或いは、柱状構造、コラムナー構造ともいう)状の窒化アルミニウム単結晶2が、方向を揃えて集合して膜を形成している。
この多結晶膜1は、高い結晶性を有し、具体的にはチルト角が30〜10,000arcsec、好ましくは50〜5,000arcsec、さらに好ましくは80〜1,300arcsecの範囲にあり、またツイスト角が50〜20,000arcsec、好ましくは70〜10,000arcsec、さらに好ましくは80〜4,000arcsecの範囲にある。
結晶性の評価にはX線ロッキングカーブ法が用いられ、チルト角、ツイスト角が決定される。チルト角とは、膜面に対する結晶軸の傾きを表し、この値が大きいほど結晶軸の傾きが不均一であり、結晶性に劣る。また、ツイスト角は、結晶軸の回転を表し、この値が大きいほど結晶軸の捻れが大きく、結晶性に劣る。
繊維状の各窒化アルミニウム単結晶2は、互いに接触していてもよく、間隔をあけて並んでいても良い。
高配向窒化アルミニウム多結晶膜1は、繊維状の窒化アルミニウム単結晶2が方向を揃えて集合してなる。したがって、膜面に対して垂直な方向、すなわち窒化アルミニウム単結晶2のc軸方向から観察した場合には、繊維状の窒化アルミニウム単結晶2の径が観察される。本発明においては、窒化アルミニウム単結晶2の平均径は、好ましくは30〜3,000nm、さらに好ましくは50〜1,000nm、特に好ましくは100〜800nmである。柱状構造体が間隔を開けて存在する場合、10μm×10μmの範囲に少なくとも1個以上存在する。
本発明の繊維状の窒化アルミニウムが互いに接触してなる場合、隣あう繊維状窒化アルミニウムとの境界、即ち、結晶粒界がはっきり観察されるため、多結晶体であることが明らかである。一方、間隔を開けて存在する場合には、繊維状窒化アルミニウム単独では単結晶であるが、本発明は繊維状窒化アルミニウムが母材に対して略垂直に複数存在する集合体であるため、この場合においても、そのような態様を多結晶膜と定義した。
窒化アルミニウム単結晶2の平均径が上記範囲にあると、高配向窒化アルミニウム多結晶膜1のc軸配向が著しく向上する。窒化アルミニウム単結晶2の平均径は、試料を電子顕微鏡などにより直接観察して長さを計測することにより求めることができる。平均径は、予め計測する粒子の数を定めておき、その数の粒子の径の平均値のことである。
また、高配向窒化アルミニウム多結晶膜1の厚みは、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜10μmである。高配向窒化アルミニウム多結晶膜1の厚みは、前記した繊維状の各窒化アルミニウム単結晶2の長さにほぼ等しい。窒化アルミニウム単結晶2が長すぎる場合には、高配向窒化アルミニウム多結晶膜1の結晶性が低下するおそれがある。
また、窒化アルミニウム多結晶膜の平均径に対する長さの比は、上述の通り、1/3〜500/3となる。
本発明の高配向窒化アルミニウム多結晶膜1の製法は、特に限定はされないが、以下に述べるように、特定の母材6上に、特定条件下で窒化アルミニウムを析出させ、これを特定条件下でアニールして得ることが好ましい。
すなわち、図1に示すように、単結晶α−Al(サファイア)基板3上に、酸窒化アルミニウム層4を介して窒化アルミニウム結晶膜5が形成されてなる母材6上に、高配向窒化アルミニウム多結晶膜1が形成された窒化アルミニウム複合膜として、本発明の高配向窒化アルミニウム多結晶膜を得ることが好ましい。
高配向窒化アルミニウム多結晶膜1が、本発明の高配向窒化アルミニウム多結晶膜に相当し、前記した諸特性を有する。
母材6の製造方法は、特に限定はされないが、特開2004−137142号公報に記載の方法に準じて製造することが好ましい。何ら限定されるものではないが、以下に母材6の典型的な製法を説明する。
すなわち、単結晶α−Al(サファイア)基板3を窒化処理して、酸窒化アルミニウム層4並びに該酸窒化アルミニウム層4上に窒化アルミニウム結晶膜5を形成させることで、母材6が得られる。
単結晶α−Al基板3の結晶面がA面(11−20)であり、そして窒化アルミニウム結晶膜5の結晶面がC面(0001)であることが好ましい。ここで、面方位が(11−20)とは、便宜上、座標値が順に、「1」、「1」、「−2」、「0」であることを示す。単結晶α−Al基板3の窒化処理は、好ましくは、カーボン、窒素および一酸化炭素の存在下に、該基板を加熱処理することからなる。
単結晶α−Al基板3としては、市販のものが制限なく使用できる。特に内包する気泡の直径が50マイクロメートル以下、好ましくは10マイクロメートル以下で、かつ純度が99.99%以上のサファイア基板が好適に使用される。この基板表面に、酸窒化アルミニウム層4および窒化アルミニウム結晶膜5を形成させる場合、基板の結晶面としては任意の面が使用できるが、結晶の対称性の点でC面以外の面が好ましい。
カーボンとしては種々の市販品が使用できる。反応雰囲気をカーボンで飽和させる目的から、粉末状のグラファイトおよび/またはカーボンブラックが好適に利用される。カーボンの純度は99.9%以上であることが好ましく、99.999%以上であることがより好ましい。
窒素および一酸化炭素は、通常ガス状のものが使用されるが、99.9999%以上の窒素および99.9%以上の一酸化炭素が好ましい。
酸窒化アルミニウム層4並びに窒化アルミニウム結晶膜5は、単結晶α−Al基板3の表面を直接窒化することにより形成する。即ち、例えば、Al製反応管の底部に、表面の結晶性がA面(11−20)のサファイア基板とグラファイトを装入し、N−CO混合ガスの組成を調節することにより、酸素ポテンシャルと窒素ポテンシャルを制御した雰囲気下で、基板を窒化させる。窒化温度は酸窒化アルミニウムが生成する1903K以上とする。これにより酸窒化アルミニウム層と、酸窒化アルミニウム層の上の窒化アルミニウム結晶膜が生成する。
1903K以下の温度では、AlとAlNとが直接平衡するため、酸窒化アルミニウムは生成しない。しかし、1903K以上の温度では平衡相として、酸窒化アルミニウムがサファイアと窒化アルミニウムとの間に存在することになる。
単結晶α−Al基板3を酸窒化アルミニウムの生成温度(1903K以上)以上の温度に保持することにより、単結晶α−Al基板3の上に酸窒化アルミニウム層4が生成し、さらにその上に結晶性が優れた窒化アルミニウム膜5が生成する。この酸窒化アルミニウムが生成する温度よりも低い温度では、酸窒化アルミニウムが生成しないとともに、単結晶α−Al基板上に生成する窒化アルミニウム膜は多結晶化してしまう。例えば、全圧PCO+PN2が1気圧、炭素の活量aが1の条件下で1903K以上の温度に保持して単結晶α−Al基板上に酸窒化アルミニウムおよび窒化アルミニウムを生成する方法においては、ガスで単結晶α−Al基板の表面を窒化するため、α−Al中の酸素とガスから供給される窒素が互いにα−Al基板中で置換しながら、順に酸窒化アルミニウム層および単結晶窒化アルミニウム膜が形成されていく。MOVPE法等により成膜した窒化アルミニウム膜は、一軸方向には成長しているものの霜柱のような柱状の集合組織となっており転位密度も高い。上記方法により得られる窒化アルミニウム結晶膜は従来法で得られた窒化アルミニウム膜とは異なり、霜柱のような柱状の集合組織となっておらず、また転位密度も低く、電子顕微鏡観察によっても欠陥を発見できないような結晶性が優れたもの(例えばチルト角が200arcsec以下でツイスト角が400arcsec以下であるような結晶性)である。
ここで、カーボンの使用量は、単結晶α−Alに対して、好ましくは重量比で0.1〜1程度使用する。
一酸化炭素と窒素の混合比(分圧比)は、0.1〜0.5が好適に採用される。反応系の全圧は1気圧とするのが好ましい。そうすることが、反応装置の製作や運転の容易さから好ましい。反応に先立って、反応装置内は一度真空に排気した後、所定の分圧になるようにした混合ガスが導入される。反応中は、この混合ガスを所定の流量で流す。
加熱温度は、酸窒化アルミニウムが生成する温度(1903K)以上から酸窒化アルミニウムと窒化アルミニウムが直接平衡する上限の温度(2149K)以下の間から選ばれる。
加熱時間は、所望する膜厚により適宜決定される。例えば、1973KでPCO/PN2=0.1の条件下における窒化アルミニウム結晶膜の成長速度は、毎時0.2〜0.8マイクロメートルである。
単結晶α−Al基板上に上述の方法で形成した酸窒化アルミニウム層と窒化アルミニウム結晶層の厚みは合計で5〜300nmとすることが、本発明の効果を十分発揮するために好適である。当該厚みの範囲より、薄くても、厚くても短繊維状窒化アルミニウム膜の結晶性は低下するおそれがある。酸窒化アルミニウムと窒化アルミニウム結晶層の厚みが5〜300nmの範囲にある場合、酸窒化アルミニウム層と窒化アルミニウム層の結晶性はチルト角が30〜4000arcsec、ツイスト角が50〜6000arcsecの範囲となる。
以上は、酸窒化アルミニウムを介して窒化アルミニウム結晶を形成する方法の一例であるが、酸窒化アルミニウムを介さず、単結晶α−Al基板上に直接窒化アルミニウム結晶を形成することも勿論可能である。その場合は、装置、ガス、単結晶α−Al基板など窒化アルミニウム結晶を得るために使用する設備、原料などは上述の通りである。単結晶α−Al基板上に酸窒化アルミニウムを介さず、窒化アルミニウム結晶を得るには単結晶α−Al基板を1400℃〜1700℃に加熱した状態において、一酸化炭素の分圧は全圧力(一酸化炭素と窒素の混合圧力)の、0〜0.3とすることが好ましく、反応系の全圧は1気圧とするのが好ましい。処理時間を2時間〜24時間とすることで所望の厚みを得ることができる。
上記のような工程を経ることで、母材6が得られる。次いで、得られた母材6の窒化アルミニウム結晶膜5上に、スパッタリング法により、150〜500℃にて窒化アルミニウムを析出させ、さらにスパッタリング温度よりも高く、250〜800℃にてアニールを行うことで、母材6上に、窒化アルミニウム多結晶膜1が得られる。ここで、スパッタリング工程およびアニール工程は、2回以上行うことが好ましい。
したがって、より好ましい態様では、母材6を得た後、まずスパッタリング法により、窒化アルミニウムを析出させる(以下、「第1スパッタリング」ともいう)。第1スパッタリングは、たとえば窒素含有雰囲気中で、母材温度150〜500℃にて5分〜5時間程度行われる。第1スパッタリングの雰囲気は、反応源となる十分な量の窒素が存在すれば限定はされないが、窒素とアルゴンとの混合ガスが好ましく用いられる。混合ガスの組成は、窒素/アルゴン(流量比)で、1/10〜10/1程度が好ましい。また、その圧力は、0.1Pa〜10Paでよい。また、アルミニウム源としては、金属アルミニウム或いは窒化アルミニウム焼結体を用いることが好ましく、アルミニウム源への投入電力は50〜1,000W程度が好ましい。この処理により、窒化アルミニウムが母材上に柱状に析出する。
次いで、窒化アルミニウムが析出した母材6にアニール処理を施す(以下、「第1アニール」ともいう)。第1アニールの目的は第1スパッタリングで形成した薄膜層の結晶性を向上させるためである。
第1アニールは、たとえば不活性雰囲気中で、第1スパッタリング温度よりも高く、250〜800℃にて30分〜10時間程度行われる。第1アニールの雰囲気は、不活性であれば限定はされないが、窒素とアルゴンとの混合ガスが好ましく用いられる。混合ガスの組成は、窒素/アルゴン(流量比)で、1/10〜10/1程度が好ましい。また、その圧力は、0.001Pa〜大気圧でよい。
第1スパッタリングおよび第1アニールを経て生成する窒化アルミニウム膜の性状は特に限定はされないが、結晶性が良好であるものが好ましく、具体的にはチルト角が好ましくは30〜15,000arcsec、さらに好ましくは30〜12,000arcsecの範囲にあり、またツイスト角が好ましくは50〜30,000arcsec、さらに好ましくは50〜25,000arcsecの範囲にある。
次いで、さらにスパッタリング法により、窒化アルミニウムを成長させる(以下、「第2スパッタリング」ともいう)。第2スパッタリングは、たとえば窒素含有雰囲気中で、母材温度150〜500℃にて30分〜10時間程度行われる。第2スパッタリングの雰囲気は、反応源となる十分な量の窒素が存在すれば限定はされないが、窒素とアルゴンとの混合ガスが好ましく用いられる。混合ガスの組成は、窒素/アルゴン(流量比)で、1/10〜10/1程度が好ましい。また、その圧力は、0.1Pa〜10Paでよい。また、アルミニウム源としては、金属アルミニウム或いは窒化アルミニウム焼結体を用いることが好ましく、アルミニウム源への投入電力は50〜1,000W程度が好ましい。この処理により、第1スパッタリングで生成した窒化アルミニウム上に、さらに窒化アルミニウムが成長する。
その後、さらにアニール処理を施す(以下、「第2アニール」ともいう)。第2アニールの目的は第1スパッタリング、及び第2スパッタリングで形成した薄膜層の結晶性を向上させるためである。
第2アニールは、たとえば不活性雰囲気中で、第2スパッタリング温度よりも高く、250〜800℃にて30分〜10時間程度行われる。第2アニールの雰囲気は、不活性であれば限定はされないが、窒素とアルゴンとの混合ガスが好ましく用いられる。混合ガスの組成は、窒素/アルゴン(流量比)で、1/10〜10/1程度が好ましい。また、その圧力は、0.001Pa〜大気圧でよい。
上記のような工程を経ることで、析出した窒化アルミニウムが高度に結晶化し、本発明の窒化アルミニウム多結晶膜1が生成する。
上記の工程をとることにより、本発明の効果が顕著に現れる理由に関しては、本発明者等はその理由を解明すべく、鋭意検討を実施中である。その理由の一つとして、第1スパッタリングで形成する窒化アルミニウム層を特定の厚みとすることにより、第1アニールでの結晶性向上をもたらし、結晶性が向上した窒化アルミニウム膜上にさらに膜の形成、アニールを繰り返すことによって結晶性のさらなる向上を実現したものと推定している。
本発明に係る窒化アルミニウム多結晶膜の製法の一例を上記に示したが、本発明の窒化アルミニウム多結晶膜には、上記製法により得られるものに限定されることはない。また、本発明において、窒化アルミニウム多結晶膜のチルト角、ツイスト角は、製造条件を適宜に変更することで制御可能である。たとえば、チルト角及びツイスト角は、アニール時間を長くすることで低下させることができる。さらに、窒化アルミニウム多結晶膜を構成する窒化アルミニウム単結晶の平均径は、スパッタリング温度、アニール温度を高くすることで増大させることができる。
(実施例)
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、チルト角およびツイスト角は、次のように測定した。
1)チルト角、ツイスト角の測定
X線ロッキングカーブ法により測定した。より詳細には、チルト角は試料の(0002)面において、ブラックの回折条件を満たす角度にX線発生装置と検出器のなす角を固定してX線入射角(ω)を変化させて得られる回折チャートの検出カウント数の最大値の50%以上をとるωの範囲とした。また、ツイスト角は試料の(10−10)面において、ブラックの回折条件を満たす角度にX線発生装置と検出器のなす角を固定してX線入射角(φ)を変化させて得られる回折チャートに検出カウント数の最大値の50%以上をとるφの範囲とした。
2)平均粒径の測定
走査型電子顕微鏡により2000倍〜10万倍の倍率で試料を膜面に対して垂直方向から観察して、各単結晶の長径、短径をそれぞれ計測してその平均を、その単結晶の径とした。1試料中30個の単結晶の径の平均を平均径とした。
(実施例1)
<母材の作成>
アルミナ製反応管内に、サファイア基板を設置し、1973KでN−CO混合ガスとグラファイトによってサファイア基板を窒化することにより、窒化アルミニウムおよび酸窒化アルミニウム相を作製した。具体的には、Al製反応管の底部に、表面の結晶面がA面(11−20)のサファイア基板(10mm×10mm×1mm)およびグラファイト粉末(純度99.999%)を設置した。あらかじめ反応管内を一旦ロータリーポンプで真空排気して管内の水分を完全に除去し、一酸化炭素(CO)分圧と窒素(N)分圧の比が0.1である混合ガスで完全に置換を行った。その後、この混合ガスを一定の流量(55ml/min)で流した。装置系内の全圧は1気圧である。反応管の底部を炉の灼熱部に挿入することにより試料を急速昇温し、1973Kに保って反応を開始した。24時間保持した後、反応管を炉から引き抜くことによって試料を急速冷却し反応を終了し、母材を得た。
得られた母材は、X線回折分析によりサファイア基板の(11−20)面以外に酸窒化アルミニウムの(111)面と窒化アルミニウムの(0002)面の回折ピークが観察された。このことから、試料全面において生成した窒化アルミニウムおよび酸窒化アルミニウム層は単一の結晶方位を有していることがわかった。母材のチルト角およびツイスト角はそれぞれ、168arcsecおよび386arcsecであった(表1)。
次に、上記のようにして得られた母材をスパッタリング装置の中の母材ホルダーにセットして、スパッタリング装置内部の真空排気及び母材ホルダーの加熱を行った。装置内部圧力が1×10−4Pa、母材ホルダー温度が400℃になったのを確認した後、アルゴンガスを10sccm導入して1.33Paとした。この状態で2時間保持した。
続いて、圧力はそのままで母材ホルダー温度を300℃として、スパッタリング電力400Wで30分間、逆スパッタリングによりアルゴンプラズマによる母材表面の洗浄を実施した。
<第1スパッタリング>
逆スパッタリングが終了したのち、アルゴンガス流量を6sccm、窒素ガス流量を4sccmとしてスパッタリング装置内へ導入して、装置内圧力を1.33Paに調整した。母材ホルダー温度は300℃とした。この状態で、スパッタリング電力を500Wで15分間第1スパッタリング処理を行った。スパッタリング用のターゲット材には純度99.9999%の金属アルミニウムを使用した。
<第1アニール>
第1スパッタリング処理終了後、母材ホルダー温度を400℃にして30分間母材を維持し第1アニール処理を行った。
<第2スパッタリング>
第1アニール処理の終了後、母材ホルダー温度を300℃にして、その他は第1スパッタリング処理の条件と同じにして、1時間45分第2スパッタリング処理を行った。
<第2アニール>
第2スパッタリング処理の終了後、母材ホルダー温度を400℃にして、1時間母材を維持して第2アニール処理を行った。
以上の処理を終了した母材表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ約1μmの層状の薄膜が形成されていることを確認した。また、母材表面に対して垂直方向から観察される結晶の平均径は約360nmであった。X線回折により該薄膜の結晶構造を調べたところ窒化アルミニウムの単結晶であることが分かった。そこで、ロッキングカーブ法により結晶性を評価した結果、チルト角289arcsec、ツイスト角638arcsec、であった。表1にチルト角、ツイスト角をまとめた。
(実施例2)
実施例1において、第1スパッタリングの処理時間を1時間、第1アニールの処理時間を30分、第2スパッタリングの処理時間を1時間、第2アニールの処理時間を30分とすること以外は全て実施例1と同じにして、母材の処理を行った。得られた窒化アルミニウム単結晶のチルト角、ツイスト角を表1に示す。厚みは1μmであった。平均粒径は約280nmであった。
(実施例3)
実施例1において、第1スパッタリングの温度を160℃、第2スパッタリングの温度時間を160℃とすること以外は全て実施例1と同じにして、母材の処理を行った。得られた窒化アルミニウム単結晶のチルト角、ツイスト角を表1に示す。厚みは約1μmであった。平均粒径は約130nmであった。
(実施例4)
実施例1において、第1アニール温度及び第2アニール温度を600℃とすること以外は全て実施例1と同じにして、母材の処理を行った。得られた窒化アルミニウム単結晶のチルト角、ツイスト角を表1に示す。厚みは約1μmであった。平均粒径は約2,000nmであった。
(比較例1〜8)
実施例1において、第1スパッタリング温度、第1アニール温度、第2スパッタリング温度、第2アニール温度を表2のように変更して母材の処理を行った。得られた窒化アルミニウム薄膜のチルト角、ツイスト角を表1に示す。
(比較例9)
実施例1において、第1スパッタリングの処理時間を5分、第1アニールの処理時間を30分、第2スパッタリングの処理時間を30時間、第2アニールの処理時間を30分とすること以外は全て実施例1と同じにして、母材の処理を行った。得られた窒化アルミニウム単結晶のチルト角、ツイスト角を表1に示す。厚みは0.5μmであった。
(比較例10)
実施例1において、第1アニールを終えたところで母材の処理を終了した。得られた窒化アルミニウム単結晶のチルト角、ツイスト角を表1に示す。厚みは0.5μmであった。
Figure 2011051862
Figure 2011051862
1;高配向窒化アルミニウム多結晶膜
2;窒化アルミニウム単結晶
3;単結晶α−Al基板
4;酸窒化アルミニウム層
5;窒化アルミニウム結晶膜
6;母材
10;窒化アルミニウム複合膜

Claims (5)

  1. 膜面に対して略垂直にc軸配向した窒化アルミニウム単結晶の集合体からなる多結晶膜であり、
    該多結晶膜のチルト角が30〜10,000arcsec、ツイスト角が50〜20,000arcsecである、高配向窒化アルミニウム多結晶膜。
  2. c軸方向から観察される各窒化アルミニウム単結晶の平均径が30〜3,000nmである請求項1に記載の高配向窒化アルミニウム多結晶膜。
  3. 厚みが1〜50μmである請求項1または2に記載の高配向窒化アルミニウム多結晶膜。
  4. 単結晶α−Al基板上に、酸窒化アルミニウム層を介して窒化アルミニウム結晶膜が形成されてなる母材上に、高配向窒化アルミニウム多結晶膜が形成されてなる窒化アルミニウム複合膜であり、
    窒化アルミニウム多結晶膜が、c軸配向した窒化アルミニウム単結晶の集合体からなり、該窒化アルミニウム多結晶膜のチルト角が30〜1,300arcsec、ツイスト角が80〜4,000arcsecである窒化アルミニウム複合膜。
  5. 単結晶α−Al基板上に、酸窒化アルミニウム層を介して窒化アルミニウム結晶膜が形成されてなる母材上に、
    スパッタリング法により、150〜500℃にて窒化アルミニウムを析出させ、次いで、
    前記反応スパッタ温度よりも高く、かつ250〜800℃にてアニールを行う、窒化アルミニウム多結晶膜の製造方法。
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