JP2011051765A - 給紙装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数枚の用紙を略水平な姿勢で積載する給紙トレイ2と、積載された用紙束Pの最上部の用紙P1を最上部から二枚目の用紙P2の上面に沿ってスライドさせて一枚ずつ分離して一方向へ送出する給紙機構3と、を備えた給紙装置1であって、給紙機構3は、用紙束Pの用紙送出方向後端縁に当接して用紙送出方向へ加振しつつ分離する振動部材(17、18)を備え、給紙トレイ2の用紙送出方向先端部に、最上部の用紙P1の送出をガイドする上向き傾斜ガイド面Kを設けた。
【選択図】図2
Description
1.コーナーセパレータ方式
給紙トレイの用紙束給送方向先端両角隅部にコーナーセパレータと呼ばれる爪を搭載したものである。フィードローラにより用紙を送り出すと、最上部の用紙がコーナーセパレータで座屈してコーナーセパレータから抜け出すことにより用紙が1枚ずつ分離される。長所は、構成がシンプルである点、及びコストが著しく安い点である。一方、短所は、用紙分離性能が劣るため、使用機種が低速機に制限される点、用紙の吸湿が性能に影響し易い点、及び用紙対応性が低い点である。
2.フリクションリタード方式(摩擦分離方式)
重送阻止部材を使用する紙、ローラ及び阻止部材の摩擦係数の差を利用して分離する方式である。長所は、使用紙種範囲が比較的広い点である。一方、短所は、紙粉の発生が多い点、阻止部材でさばき音が発生することがある点、阻止部材の寿命が短い点、及び用紙交換時分離部に用紙が残り易い点である。
3.戻し分離方式(FRR方式)
トルクリミッタを介して駆動される戻しローラによって分離する方式である。長所は、使用紙種範囲が広い点、及び分離確実度がきわめて高い点である。一方、短所は、機構が複雑でコストが高くなるという点である。
4.エア分離方式
負圧吸着とエアーナイフによって分離する方式である。長所は、高速分離良好(60〜250枚/分)な点、寿命が長い点、及び信頼性が高い点である。一方、短所は、エア圧力の調整が必要で難しい点、騒音が大きい点、高速大量処理用途向けである点、大型でコストが高くなる点である。
例えば、特許文献1には、戻し分離方式の給紙機構を備えた給紙装置が記載されている。この給紙装置は、用紙トレイの積載面に対し上流側へ傾斜させたストッパゲートを設けて、用紙束の下層部が給送方向下流側へ繰り出しつつ上層部が徐々に後退した略楔形に用紙束を積載収容することにより、用紙束の下層部から、分離ローラ対によって最下紙1枚だけを分離する点に特徴がある。
また、特許文献2には、フリクションリタード方式の給紙機構を備えた給紙装置が記載されている。この給紙装置は、給紙ローラを正逆転方向に夫々短時間駆動させることにより、給紙ローラに接する最上部の用紙を給送方向上下流方向に振動させて、用紙先端を分離する点に特徴がある。
言い換えれば、従来の用紙分離搬送機構においては、上述のコーナーセパレータ方式やフリクションリタード方式に代表される比較的構造がシンプルでコストが安い構成の場合、分離性能が比較的劣る、対応可能な紙種が限定される、或いは生産性が比較的劣るといった機能的なデメリットがある。また、上述の戻し分離方式やエア分離方式に代表される高機能な構成では複雑でコストが高いといったデメリットがある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従来技術と同等以上の分離性能を確保しつつ、シンプルな構成で低コストの給紙装置を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明は、前記振動部材は、前記用紙束の最上部用紙を先頭とした複数枚の用紙の後部に接して順次位置をずらして送出する構成を備え、前記上向き傾斜ガイド面の傾斜最下点の位置を、前記振動部材と当接する複数枚の用紙のうち最下部にある用紙の水平面位置よりも低く設定した請求項1記載の給紙装置を特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記上向き傾斜ガイド面の傾斜最上点の位置を、前記用紙束の水平な最上面の位置よりも高く設定した請求項1又は2記載の給紙装置を特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記上向きガイド面に形成された複数の気流孔と、前記気流孔から気流を噴出させる気流発生装置と、を備えた請求項1乃至4の何れか一項記載の給紙装置を特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記各気流孔の開口面積が、前記上向き傾斜ガイド面の上方に向かうほど大きくなるように構成した請求項5記載の給紙装置を特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記気流発生装置の気流発生動作が、前記給紙機構による給紙動作に連動する請求項5又は6記載の給紙装置を特徴とする。
まず、本発明の給紙装置が適用される画像形成装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るデジタル複写機の概略構成図である。
複写機100の最上部には、原稿束Pから原稿を一枚ずつ分離して搬送する自動原稿送り装置201と、原稿束を載置する原稿トレイ202と、自動原稿送り装置201から搬送された原稿が停止するコンタクトガラス206と、コンタクトガラス206の下方から原稿画像を読み取る読み取り手段250と、コンタクトガラス206上の原稿を搬送する搬送ベルト204と、を備えた画像読取部が配置されている。
複写機100の最下部には、用紙を積載する第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210と、夫々のトレイから用紙を1枚ずつ分離して給送する第1給紙ユニット211、第2給紙ユニット212、第3給紙ユニット213と、を備える給紙装置が配置されている。
給紙装置の上部には、トナー像を形成する画像形成部が配置され、給紙装置の用紙搬送方向下流には、用紙を画像形成部へと搬送する縦搬送ユニット214が配置されている。
画像形成部は、読み取り手段250によって原稿から読み取られた画像データを感光体215に書き込む書き込みユニット257と、書き込みユニット257からのレーザによって感光体215に書き込まれた潜像をトナー像化する現像ユニット227と、を備える。
画像形成部の用紙搬送方向下流には、熱と圧力によりトナー像を用紙に定着させる定着ユニット217と、用紙を複写機100の外部に排出する排紙ユニット218と、排出された用紙を積載する排紙トレイ219が配置されている。
第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210の各給紙トレイに積載された用紙は、各々第1給紙ユニット211、第2給紙ユニット212、第3給紙ユニット213によって給紙され、縦搬送ユニット214によって感光体215に当接する位置まで搬送される。読み取りユニット250にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット257からのレーザによって感光体215に書き込まれ、現像ユニット227を通過することによってトナー像が形成される。そして、用紙は感光体215の回転と等速で搬送ベルト216によって搬送されながら、感光体215上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット217にて画像を定着させ、排紙ユニット218に搬送される。排紙ユニット218に搬送された用紙は、排紙トレイ219に排紙される。
給紙装置1は、複数枚の用紙を略水平な姿勢で積載する給紙トレイ2と、積載された用紙束Pの最上部の用紙P1を最上部から二枚目の用紙P2上面に沿ってスライドさせて一枚ずつ分離して一方向へ送出する給紙機構3と、を備えている。
給紙機構3は、用紙束Pの用紙送出方向後端縁に当接して用紙送出方向へ加振しつつ分離する振動部材(振動体17及び振動発生装置18)を備えるとともに、給紙トレイ2の用紙送出方向先端部に、用紙P1の送出をガイドする上向き傾斜ガイド面Kが設けられている。振動体17は、用紙束の最上部用紙を先頭とした複数枚の用紙の後部に接して順次位置をずらして送出する。振動体17と当接する各用紙が夫々の直下に位置する用紙の上面に沿って順次スライドして、用紙が一枚ずつ分離されて一方向へ送出される構成である。また、給紙装置1の動作は、制御装置(図示せず)により制御されている。
給紙トレイ2から用紙送出方向直下流には、給紙トレイ2より1枚ずつ分離された用紙を搬送する搬送ローラ対15が配置されており、搬送ローラ対15を通過した用紙は搬送経路16を経由して感光体215と対向する位置へ搬送される。
給紙トレイ2に積載された用紙束Pの用紙送出方向後端部には、用紙束Pの幅方向中央部後端縁に上方から当接して用紙送出方向に沿って振動する振動体17と、振動体17を振動させるための振動発生装置18が設けられている。
振動体17の下面は用紙送出方向に対して上向きに傾斜しており、同時に複数の用紙後端に斜め上方から接触する。また、振動体17の下面は、用紙後端部に対してやや凹形状の曲面であり、用紙束Pの上位にある紙ほど大きく送出される構成である。振動体17の用紙幅方向における長さは、例えば5センチ程度とする。振動体17は用紙束Pの幅方向に複数配置してもよい。用紙同士の密着性が高い場合にあっては、振動体17の幅を広くするか、複数の振動体17を用紙幅方向に配置して、用紙の分離性を高くする。
振動体17の下面を図のような鱗状とすることで、振動体17が用紙を後退させる方向に力を加えないようにして、用紙送出方向における分離・搬送能力を高めている。振動体17の下面を均等な粗面とした高摩擦部材とすることも考えられるが、正常に分離・搬送できない虞がある。つまり、振動体17が用紙後部上端に当接しつつ、振動する過程で用紙を後退させる方向へ移動すると、振動体の摩擦力により振動体17の移動に合わせて用紙が後退する虞がある。従って、少なくとも、用紙送出方向に強い押し出し力を加えることが可能であり、かつ後退する方向に力を加えないような構成とする必要がある。
振動発生装置18は、振動体17を用紙の進行方向に沿った方向に振動させる装置である。振動発生装置18は、振動体17下面の傾斜に略平行に振動を発生させてもよいが、水平方向に振動を発生させることが望ましい。
ケーシング11に積載された用紙束Pの用紙送出方向先端部が当接する側壁11aの上部には、用紙P搬送方向下流側に向かって斜め上方向に突出する上向き傾斜ガイド面Kが配置されている。
図4は、用紙束Pが給紙トレイにセットされた直後における用紙束と振動体との関係を示した部分拡大模式図である。図5は、振動発生装置が振動している時の用紙の状態を示した模式図である。
給紙トレイ2に積載された用紙束Pの最上部の用紙を用紙P1とし、その一枚下にある用紙を用紙P2とし、以下n枚目を用紙Pnとする。図4に示すように、振動発生装置18が振動動作を開始する前においては、用紙P1乃至用紙Pnの後端部は積載された状態のまま鉛直方向に揃っている。振動体17の下面に形成された鱗片状突起17aが用紙P1の送出方向後端部に当接した状態にて静止している。
一方、用紙束Pの先端部には、上向き傾斜ガイド面Kが配置されており、振動体17によって押し出された用紙の先端部が、上向き傾斜ガイド面Kに沿って上昇する。
上向き傾斜ガイド面Kには、用紙通紙面から裏面にかけて貫通する複数の気流孔Hが形成されている。また、上向き傾斜ガイド面Kの裏面には、気流孔Hを通じて用紙通紙面に空気を送る通風用のダクト19が配置され、ダクト19は気流を発生させる気流発生装置(図示せず)と接続されている。すなわち、気流発生装置より送られた空気はダクト19及び気流孔Hを通過して、用紙通紙面に噴出する。
用紙束Pの先端部は、振動体17下面の傾斜と鱗片状突起17aと振動との働きにより、段差を有した状態にて上向き傾斜ガイド面Kに到達する。上向き傾斜ガイド面Kの用紙通紙面から噴出した空気は、用紙と用紙との間に吹き込こまれ、用紙と用紙との間に空気層が形成される。形成された空気層により、用紙P1と用紙P2同士の摩擦抵抗が軽減され、用紙P1が給紙トレイ2から滑らかに分離搬送される。
用紙P1がさらに振動体17により押し出され、用紙P1の先端部が搬送ローラ対15のニップに到達すると、ローラの搬送力によって搬送経路16に搬送される。
以下、振動体17が順次用紙P2、用紙P3・・・用紙Pnに作用することにより積載された用紙を連続的に分離搬送する。
以上の給紙装置の動作は制御装置により制御されている。さらに、制御装置は、振動発生装置18と搬送ローラ対15の動作(給紙動作)と、気流発生装置の気流発生動作とが連動するように制御している。
また、従来技術に比べ構成がシンプルで部品点数が少ないため、コストが低く信頼性の高い給紙装置を提供することができる。
また、上向き傾斜ガイド面の傾斜最下点の高さを、積載された用紙のうち振動部材と接触する最下部の用紙よりも低く設定することにより、振動部材と当接する用紙の先端部が上向き傾斜ガイド面に乗るようにしたので、最上部の用紙先端が側壁に突き当たることを防止でき、最上部の用紙が上向き傾斜ガイド面を確実にスライドする。また、上向き傾斜ガイド面の傾斜最下点と振動部材と当接する最下部の用紙との高低差を0〜5mmに規定することにより、振動部材により分離搬送された最下部の用紙が、搬送後速やかに上向き傾斜ガイド面に到達し、上昇移動を開始する。これにより、無駄な搬送パスを最小限に抑え生産性の向上を図ることができる。
また、上向き傾斜ガイド面の傾斜最上点の高さを、最上紙の水平面高さよりも高く設定したので、振動部材により分離搬送される用紙が確実に上向き傾斜ガイド面をスライドして、上昇しつつ搬送される。また、その高低差を3〜15mmに規定することにより、用紙の上昇動作による用紙間の空間形成及び用紙間の密着力低減を充分に行うことができ、円滑かつ確実な分離搬送を実現することができる。
また、上向き傾斜ガイド面に設けた気流孔を通じて、気流発生装置より送られた気流が積載された用紙先端部に送られることにより、用紙と傾斜部との間に形成される略密閉空間に空気が吹き込まれ、用紙と用紙との間に空気層を形成する。形成された空気層により、用紙束の上部に位置する用紙同士の摩擦抵抗が軽減され、給紙トレイから滑らかに分離搬送される。気流孔の開口面積が、上向き傾斜ガイド面の上方に向かうほど大きくなるように構成したので、常に最上部の用紙が最も搬送抵抗が少なく滑らかに搬送される構成となっている。用紙の分離搬送が滑らかに行われることによって、搬送速度の高速化を図ることができる。また、本構成によれば、従来の高速な給紙機構に比べ構成がシンプルで部品点数が少ないため、低コストでありながら信頼性の高い給紙装置を提供できる。さらに、従来のエア分離方式に比べ必要とする気流量が格段に少ないため、装置の小型化、低騒音化、低電力化を実現することができる。
また、気流発生装置の動作を給紙機構による給紙動作と連動させることにより、必要な時のみ気流を発生させるので、不必要な騒音、電力の発生を防止することができる
Claims (7)
- 複数枚の用紙を略水平な姿勢で積載する給紙トレイと、前記用紙束の少なくとも最上部の用紙を最上部から二枚目の用紙上面に沿ってスライドさせて一枚ずつ分離して一方向へ送出する給紙機構と、を備えた給紙装置であって、
前記給紙機構は、前記用紙束の用紙送出方向後端縁に当接して該用紙送出方向へ加振しつつ分離する振動部材を備え、
前記給紙トレイの用紙送出方向先端部に、前記最上部の用紙の送出をガイドする上向き傾斜ガイド面を設けたことを特徴とする給紙装置。 - 前記振動部材は、前記用紙束の最上部用紙を先頭とした複数枚の用紙の後部に接して順次位置をずらして送出する構成を備え、
前記上向き傾斜ガイド面の傾斜最下点の位置を、前記振動部材と当接する複数枚の用紙のうち最下部にある用紙の水平面位置よりも低く設定したことを特徴とする請求項1記載の給紙装置。 - 前記上向き傾斜ガイド面の傾斜最上点の位置を、前記用紙束の水平な最上面の位置よりも高く設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の給紙装置。
- 前記上向き傾斜ガイド面の摩擦係数を、前記給紙トレイに積載された用紙の摩擦係数よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の給紙装置。
- 前記上向きガイド面に形成された複数の気流孔と、前記気流孔から気流を噴出させる気流発生装置と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の給紙装置。
- 前記各気流孔の開口面積が、前記上向き傾斜ガイド面の上方に向かうほど大きくなるように構成したことを特徴とする請求項5記載の給紙装置。
- 前記気流発生装置の気流発生動作が、前記給紙機構による給紙動作に連動することを特徴とする請求項5又は6記載の給紙装置。
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