JP2011051152A - 液体吐出装置、及び、吐出検査方法、 - Google Patents

液体吐出装置、及び、吐出検査方法、 Download PDF

Info

Publication number
JP2011051152A
JP2011051152A JP2009200298A JP2009200298A JP2011051152A JP 2011051152 A JP2011051152 A JP 2011051152A JP 2009200298 A JP2009200298 A JP 2009200298A JP 2009200298 A JP2009200298 A JP 2009200298A JP 2011051152 A JP2011051152 A JP 2011051152A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
liquid
temperature
ink
potential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009200298A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Komatsu
伸也 小松
Tomohiro Sayama
朋裕 狭山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2009200298A priority Critical patent/JP2011051152A/ja
Priority to US12/856,721 priority patent/US8360543B2/en
Publication of JP2011051152A publication Critical patent/JP2011051152A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J29/00Details of, or accessories for, typewriters or selective printing mechanisms not otherwise provided for
    • B41J29/38Drives, motors, controls or automatic cut-off devices for the entire printing mechanism
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/07Ink jet characterised by jet control
    • B41J2/125Sensors, e.g. deflection sensors
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/21Ink jet for multi-colour printing
    • B41J2/2132Print quality control characterised by dot disposition, e.g. for reducing white stripes or banding
    • B41J2/2142Detection of malfunctioning nozzles

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Quality & Reliability (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】吐出検査を出来る限り正確に行う。
【解決手段】液体を吐出するノズルと、液体の温度変化に応じた信号を出力するセンサーと、ノズルから液体を吐出させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、ノズルから吐出される液体を第1電極によって第1電位にし、駆動信号によって前記第1電位の液体を第1電位とは異なる第2電位の第2電極に向けて吐出する検査部であって、第1電極及び第2電極間の静電容量の変化に基づいて、ノズルからの液体吐出の有無を検査する検査部と、吐出検査時にセンサーの出力結果に基づく液体の温度に応じて、駆動信号生成部に生成させる駆動信号を補正することによって、センサーの出力結果に基づく液体の温度が第1温度である時にノズルから吐出される液体重量を、センサーの出力結果に基づく液体の温度が第1温度よりも低い第2温度である時にノズルから吐出される液体重量よりも多くする制御部とを有する。
【選択図】図10

Description

本発明は、液体吐出装置、及び、吐出検査方法に関する。
インクジェットプリンター等の液体吐出装置には、帯電させたインクを検出用の電極に向けて吐出させ、この電極に生じる電気的な変化に基づいて液体の吐出検査を行うものが提案されている。
特開2007−152888号公報
上述の吐出検査では、ノズルから突出したインク柱と電極の距離の変化が、電気的な変化(静電容量の変化)として検出される。ただし、ノズルから吐出されるインクの温度が高くなると、インク柱からインク滴が分断され易く、インク柱と電極の距離の変化が小さくなってしまう。その結果、検出される電気的な変化も小さく、ノズルからインク滴が吐出されたにも関わらず、ノズルが目詰まりを起こしていると判断されてしまう虞がある。
そこで、本発明は、吐出検査を出来る限り正確に行うことを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)液体を吐出するノズルと、(B)前記液体の温度変化に応じた信号を出力するセンサーと、(C)前記ノズルから液体を吐出させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、(D)前記ノズルから吐出される液体を第1電極によって第1電位にし、前記駆動信号によって前記第1電位の液体を前記第1電位とは異なる第2電位の第2電極に向けて吐出する検査部であって、前記第1電極及び前記第2電極間の静電容量の変化に基づいて、前記ノズルからの液体吐出の有無を検査する検査部と、(E)吐出検査時に、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度に応じて、前記駆動信号生成部に生成させる前記駆動信号を補正することによって、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が第1温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量を、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が前記第1温度よりも低い第2温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量よりも多くする制御部と、(F)を有することを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
図1Aは印刷システムを説明するブロック図であり、図1Bはプリンターの斜視図である。 図2Aはヘッドの断面図であり、図2Bはノズルの配列を示す図である。 図3Aから図3Cはヘッドとキャップ機構との位置関係を示す図である。 キャップを上方から見た図であり、 図5Aはドット抜け検出部を説明する図であり、図5Bは検出制御部を説明するブロック図である。 図6Aは駆動信号を示す図であり、図6B及び図6Cは増幅器から出力される電圧信号を説明する図である。 図7Aは駆動波形を示す図であり、図7Bはインク温度の違いによる尾引き量の長さの違いを示す図である。 図8Aはインク温度が高いときの吐出検査結果を示す図であり、図8Bはインク温度が低いときの吐出検査結果を示す図である。 ノズルから吐出するインク重量を調整し尾引き量を調整する様子を示す図である。 図10Aはインク温度に応じて駆動波形を補正する様子を示す図であり、図10Bは駆動波形を補正した場合の尾引き量を示す図である。 インク温度と最高電位の補正量を対応付けた補正値テーブルである。 尾引き量を短くするために駆動波形の別のパラメーターを補正する様子を示す図である。 インク温度によるインク重量及び尾引き量の違いを示す図である。 印刷時の駆動波形の補正を説明する図である。 吐出検査時の駆動波形の補正を説明する図である。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、(A)液体を吐出するノズルと、(B)前記液体の温度変化に応じた信号を出力するセンサーと、(C)前記ノズルから液体を吐出させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、(D)前記ノズルから吐出される液体を第1電極によって第1電位にし、前記駆動信号によって前記第1電位の液体を前記第1電位とは異なる第2電位の第2電極に向けて吐出する検査部であって、前記第1電極及び前記第2電極間の静電容量の変化に基づいて、前記ノズルからの液体吐出の有無を検査する検査部と、(E)吐出検査時に、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度に応じて、前記駆動信号生成部に生成させる前記駆動信号を補正することによって、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が第1温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量を、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が前記第1温度よりも低い第2温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量よりも多くする制御部と、(F)を有することを特徴とする液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、吐出検査を出来る限り正確に行うことができ、吐出検査時間を出来る限り短縮することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記検査部は、前記駆動信号によって前記ノズルから突出した液体柱の先端部から前記第2電極までの距離に応じて変動する前記静電容量の変化に基づいて、前記ノズルからの液体吐出の有無を検査すること。
このような液体吐出装置によれば、液体の温度に関係なく、液体柱の先端部から第2電極までの距離を出来る限り一定にすることができ、吐出検査を出来る限り正確に実施し、且つ、吐出検査時間を出来る限り短縮できる。
かかる液体吐出装置であって、前記センサーにより検出される前記液体の温度を複数の温度範囲に分類し、前記温度範囲ごとに前記駆動信号に対する補正量が設定され、前記制御部は、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が常温を含む前記温度範囲に属するとき、前記駆動信号生成部に生成させる前記駆動信号を補正しないこと。
このような液体吐出装置によれば、液体柱の先端部から第2電極までの距離が、長くなり過ぎたり、短くなり過ぎたりしてしまうことを防止できる。
かかる液体吐出装置であって、前記駆動信号では、前記ノズルから前記液体を吐出させるための駆動波形が繰り返し発生し、ある前記ノズルからの液体吐出の有無を検査するための前記駆動波形と、次の前記ノズルからの液体吐出の有無を検査するための前記駆動波形と、の間隔が一定であること。
このような液体吐出装置によれば、吐出検査の制御を容易にすることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記駆動信号に発生する駆動波形が印加されることによって駆動素子が駆動し、その前記駆動素子に対応する前記ノズルに連通する圧力室が膨張、収縮し、その前記ノズルから液体が吐出され、前記駆動波形は、所定の電位から第1の電位まで電位が変化して前記圧力室を膨張させる膨張要素と、前記第1の電位から第2の電位まで電位が変化して膨張した前記圧力室を収縮させる収縮要素と、を有し、前記制御部は、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度に応じて、前記駆動信号生成部に生成させる前記駆動波形の前記第1の電位を補正すること。
このような液体吐出装置によれば、液体の温度に応じてノズルから吐出される液体重量を調整することができる。
また、ノズルから吐出される液体を第1電極によって第1電位にし、駆動信号によって前記第1電位の液体を前記第1電位とは異なる第2電位の第2電極に向けて吐出し、前記第1電極及び前記第2電極間の静電容量の変化に基づいて、前記ノズルからの液体吐出の有無を検査する吐出検査方法であって、前記液体の温度変化に応じた信号を出力するセンサーの出力結果に基づく前記液体の温度に応じて、前記駆動信号を補正することによって、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が第1温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量を、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が前記第1温度よりも低い第2温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量よりも多くすること、を特徴とする吐出検査方法である。
このような吐出検査方法によれば、吐出検査を出来る限り正確に行うことができ、吐出検査時間を出来る限り短縮することができる
===インクジェットプリンターについて===
液体吐出装置として、インクジェットプリンター(以下、プリンター1)を例に挙げて実施形態を説明する。
図1Aは、プリンター1とコンピューターCPとを有する印刷システムを説明するブロック図であり、図1Bは、プリンター1の斜視図である。プリンター1は、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。コンピューターCPは、プリンター1と通信可能に接続されている。プリンター1に画像を印刷させるため、コンピューターCPは、その画像に応じた印刷データをプリンター1に送信する。プリンター1は、用紙搬送機構10、キャリッジ移動機構20、ヘッドユニット30、駆動信号生成回路40、ドット抜け検出部50、キャップ機構60、検出器群70、及び、コントローラー80を有する。
用紙搬送機構10は、用紙を搬送方向に搬送させる。キャリッジ移動機構20は、ヘッドユニット30が取り付けられたキャリッジ21を移動方向(搬送方向と交差する方向)に移動させる。
ヘッドユニット30はヘッド31とヘッド制御部HCとを有する。ヘッド31はインクを用紙に向けて吐出させる。ヘッド制御部HCは、プリンター1のコントローラー80からのヘッド制御信号に基づき、ヘッド31を制御する。
図2Aは、ヘッド31の断面図である。ヘッド31は、ケース32と、流路ユニット33と、ピエゾ素子ユニット34とを有する。ケース32は、ピエゾ素子PZTなどを収容して固定するための部材であり、例えばエポキシ樹脂等の非導電性の樹脂材によって作製される。
流路ユニット33は、流路形成基板33aと、ノズルプレート33bと、振動板33cとを有する。流路形成基板33aにおける一方の表面にはノズルプレート33bが接合され、他方の表面には振動板33cが接合されている。流路形成基板33aには、圧力室331、インク供給路332、及び、共通インク室333となる空部や溝が形成されている。この流路形成基板33aは、例えばシリコン基板によって作製されている。ノズルプレート33bには、複数のノズルNzからなるノズル群が設けられている。このノズルプレート33bは、導電性を有する板状の部材、例えば薄手の金属板によって作製されている。また、ノズルプレート33bは、グランド線に接続されてグランド電位になっている。振動板33cにおける各圧力室331に対応する部分にはダイヤフラム部334が設けられている。このダイヤフラム部334はピエゾ素子PZTによって変形し、圧力室331の容積を変化させる。なお、振動板33cや接着層等が介在していることで、ピエゾ素子PZTとノズルプレート33bとは電気的に絶縁された状態になっている。
ピエゾ素子ユニット34は、ピエゾ素子群341と、固定板342とを有する。ピエゾ素子群341は櫛歯状をしている。そして、櫛歯の1つ1つがピエゾ素子PZTである。各ピエゾ素子PZTの先端面は、対応するダイヤフラム部334が有する島部335に接着される。固定板342は、ピエゾ素子群341を支持するとともに、ケース32に対する取り付け部となる。ピエゾ素子PZTは、電気機械変換素子の一種であり、駆動信号COMが印加されると長手方向に伸縮し、圧力室331内の液体に圧力変化を与える。圧力室331内のインクには、圧力室331の容積の変化に起因して圧力変化が生じる。この圧力変化を利用して、ノズルNzからインク滴を吐出させることができる。
図2Bは、ノズルプレート33bに設けられたノズル(Nz)の配列を示す図である。ノズルプレートには用紙の搬送方向に沿って180dpiの間隔で180個のノズル(#1〜#180)が並んだノズル列が複数設けられている。各ノズル列はそれぞれ異なる色のインクを吐出し、このノズルプレート33bには4つのノズル列が設けられている。具体的には、ブラックインクノズル列K、シアンインクノズル列C、マゼンタインクノズル列M、イエローインクノズル列Yである。
駆動信号生成回路40(駆動信号生成部に相当)は、駆動信号COMを生成する。駆動信号COMがピエゾ素子PZTに印加されると、ピエゾ素子は伸縮し、各ノズルNzに対応する圧力室331の容積が変化する。そのため、駆動信号COMは、印刷時やドット抜け検査時(後述)、ドット抜けするノズルNzの回復動作であるフラッシング時などに、ヘッド31に印加される。
ドット抜け検出部50(検査部に相当)は、各ノズルNzからインクが吐出されているか否かを検出する。キャップ機構60は、ノズルNzからのインク溶媒の蒸発を抑制したり、ノズルNzの吐出能力を回復させるため、各ノズルNzからインクを吸引する吸引動作を行ったりする。検出器群70はプリンター1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、コントローラー80に出力される。
コントローラー80(制御部に相当)はプリンター1における全体的な制御を行い、インターフェース部80aと、CPU80bと、メモリー80cとを有する。インターフェース部80aは、コンピューターCPとの間でデータの受け渡しを行う。メモリー80cは、コンピュータープログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU80bは、メモリー80cに記憶されているコンピュータープログラムに従い、各制御対象部(用紙搬送機構10、キャリッジ移動機構20、ヘッドユニット30、駆動信号生成回路40、ドット抜け検出部50、キャップ機構60、検出器群70)を制御する。
このようなプリンター1において、キャリッジの移動方向に沿って移動するヘッド31からインクを断続的に吐出し、用紙上にドットを形成するドット形成処理と、用紙を搬送方向に搬送する搬送処理と、が繰り返される。その結果、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる位置にドットが形成され、媒体上に2次元の画像が印刷される。
===吐出検査(概要)と回復動作について===
長時間ノズルからインク(液体)が吐出されなかったり、ノズルに紙粉などの異物が付着したりすると、ノズルが目詰まりすることがある。ノズルが目詰まりすると、ノズルからインクが吐出されるべき時にインクが吐出されず、ドットが形成されるべき所にドットが形成されない現象(ドット抜け)が発生する。「ドット抜け」が発生すると画質が劣化してしまう。そこで、本実施形態では、ドット抜け検出部50により「吐出検査」を実施した結果、ドット抜けノズルが検出された場合には、「回復動作」を行うことによって、ドット抜けノズルから正常にインクが吐出されるようにする。
なお、ドット抜け検査は、プリンター1の電源がオンされた直後や、プリンター1がコンピューターCPから印刷データを受信して印刷を開始する時に、実施すると良い。また、長時間の印刷中に所定時間おきにドット抜け検査を行っても良い。以下、ドット抜けノズルの回復動作について説明した後に、吐出検査(概要)について説明する。
<回復動作について>
図3Aから図3Cは、回復動作時のヘッド31とキャップ機構60との位置関係を示す図である。まず、キャップ機構60について説明する。キャップ機構60は、キャップ61と、キャップ61を支持するとともに斜め上下方向に移動可能なスライダ部材62とを有する。キャップ61は、長方形の底部(不図示)と底部の周縁から起立する側壁部611とを有し、ノズルプレート33bと対向する上面が開放された薄手の箱状をしている。底部と側壁部611に囲まれた空間には、フェルトやスポンジ等の多孔質部材で作製されたシート状の保湿部材が配置されている。
図3Aに示すように、キャリッジ21がホームポジション(ここでは移動方向の右側)から外れた状態では、キャップ61はノズルプレート33bの表面(以下、ノズル面ともいう)よりも十分に低い位置に位置付けられる。そして、図3Bに示すように、キャリッジ21がホームポジション側へ移動すると、スライダ部材62に設けられた当接部63にキャリッジ21が当接し、当接部63はキャリッジ21と共にホームポジション側へ移動する。当接部63がホームポジション側へ移動する際に案内用の長孔64に沿ってスライダ部材62が上昇し、それに伴ってキャップ61も上昇する。最終的には、図3Cに示すように、キャリッジ21がホームポジションに位置すると、キャップ61の側壁部611(多孔質部材)とノズルプレート33bが密着する。そのため、電源オフ時や長期休止時にはキャリッジ21をホームポジションに位置させることで、ノズルからのインク溶媒の蒸発を抑制できる。
次に回復動作について説明する。ドット抜けノズルの回復動作の1つとして「フラッシング動作」がある。フラッシング動作は、図3Bに示すように、ノズル面とキャップ61の開口縁の間に若干の隙間が開いた状態で、各ノズルから強制的に連続してインク滴を吐出させて、ノズルの目詰まりを解消する動作である。
また、キャップ61の底面と側壁部611との空間には廃液チューブ65が接続されており、廃液チューブ65の途中には吸引ポンプ(不図示)が接続されている。他の回復動作の1つとして、図3Cに示すようにキャップ61の開口縁がノズル面に当接した状態で、「ポンプ吸引」が行われる。キャップ61の側壁部611とノズル面が密着した状態で吸引ポンプを動作させると、キャップ61の空間を負圧にできる。これにより、ヘッド31内のインクを、増粘したインクや紙粉と共に吸引することができ、ドット抜けノズルを回復することができる。
その他、キャップ機構60を図3Bに示す位置に維持しつつ、キャリッジ21を移動方向に移動させることによって、キャップ61の側壁部611よりも上方に突出したワイパー66により、ノズル面に付着したインク滴や異物を除去する。その結果、異物により目詰まりしていたノズルから正常にインクを吐出させることができる。
<ドット抜け検出部50について>
図4は、キャップ61を上方から見た図であり、図5Aは、ドット抜け検出部50を説明する図であり、図5Bは、検出制御部57を説明するブロック図である。ドット抜け検出部50は、各ノズルから実際にインクを吐出させ、正常にインクが吐出されたか否かによって、ドット抜けするノズルを検出する。まず、ドット抜け検出部50の構成について説明する。図5Aに示すように、ドット抜け検出部50は、高圧電源ユニット51、第1制限抵抗52、第2制限抵抗53、検出用コンデンサー54、増幅器55、平滑コンデンサー56、及び、検出制御部57を有する。
ドット抜け検出時には図3B及び図5Aに示すようにノズル面とキャップ61が所定の間隔dを空けて対向する。キャップ61の側壁部611に囲われた空間内には、図4に示すように、保湿部材612と、ワイヤー状の検出用電極613が配設されている。この検出用電極613は、ドット抜け検出動作時には600V〜1kV程度の高電位になる。図4に例示した検出用電極613は、二重の矩形状に設けられた枠部と、枠部の対角同士を結ぶ対角線部、枠部の各辺における中点同士を結ぶ十字部とを有している。この構造によって、広い範囲に亘って一様に帯電されるようにしている。また、本実施形態のインク溶媒は導電性を有する液体(例えば水)とし、保湿部材612が湿った状態で検出用電極613を高電位にすると、保湿部材612の表面も同じ電位になる。この点でも、ノズルからインクが吐出される領域は広い範囲に亘って一様に帯電されるようになる。
高圧電源ユニット51は、キャップ61内の検出用電極613を所定電位にする電源の一種である。本実施形態の高圧電源ユニット51は、600V〜1kV程度の直流電源によって構成され、検出制御部57からの制御信号によって動作が制御される。
第1制限抵抗52及び第2制限抵抗53は、高圧電源ユニット51の出力端子と検出用電極613との間に配置され、高圧電源ユニット51と検出用電極613との間で流れる電流を制限する。本実施形態では、第1制限抵抗52と第2制限抵抗53は同じ抵抗値(例えば1.6MΩ)とし、第1制限抵抗52と第2制限抵抗53は直列に接続する。図示するように、第1制限抵抗52の一端を高圧電源ユニット51の出力端子に接続し、他端を第2制限抵抗53の一端と接続し、第2制限抵抗53の他端を検出用電極613に接続する。
検出用コンデンサー54は、検出用電極613の電位変化成分を抽出するための素子であり、一方の導体が検出用電極613に接続され、他方の導体が増幅器55に接続されている。この間に検出用コンデンサー54を介在させることで、検出用電極613のバイアス成分(直流成分)を除くことができ、信号の扱いを容易にすることができる。本実施形態では、検出用コンデンサー54を容量が4700pFとする。
増幅器55は、検出用コンデンサー54の他端に現れる信号(電位変化)を増幅して出力する。本実施形態の増幅器55は増幅率が4000倍のものによって構成されている。これにより、電位の変化成分を2〜3V程度の変化幅を持った電圧信号として取得できる。これらの検出用コンデンサー54及び増幅器55の組は検出部の一種に相当し、インク滴の吐出によって生じた検出用電極613に生じた電気的な変化を検出する。
平滑コンデンサー56は、電位の急激な変化を抑制する。本実施形態の平滑コンデンサー56は一端が第1制限抵抗52と第2制限抵抗53とを接続する信号線に接続され、他端がグランドに接続されている。そして、その容量は0.1μFである。
検出制御部57は、ドット抜け検出部50の制御を行う部分である。図5Bに示すように、この検出制御部57は、レジスタ群57a、AD変換部57b、電圧比較部57c、及び、制御信号出力部57dを有する。レジスタ群57aは、複数のレジスタによって構成されている。各レジスタには、ノズルNz毎の判定結果や判定用の電圧閾値などが記憶される。AD変換部57bは、増幅器55から出力された増幅後の電圧信号(アナログ値)をデジタル値に変換する。電圧比較部57cは、増幅後の電圧信号に基づく振幅値の大きさを電圧閾値と比較する。制御信号出力部57dは、高圧電源ユニット51の動作を制御するための制御信号を出力する
<吐出検査の概要について>
このプリンター1では、ノズルプレート33b(第1電極に相当)をグランドに接続してグランド電位(第1電位に相当)にし、キャップ61に配置された検出用電極613(第2電極に相当)を600V〜1kV程度の高い電位(第2電位に相当)にしている。グランド電位のノズルプレートによって、ノズルから吐出されるインク滴はグランド電位になる。ノズルプレート33bと検出用電極613とを、所定間隔d(図5Aを参照)を空けた状態で対向させて、検出対象のノズルからインク滴を吐出させる。そして、インク滴の吐出に起因して検出用電極613側に生じた電気的な変化を検出用コンデンサー54及び増幅器55を介して検出制御部57が電圧信号SGとして取得する。検出制御部57は、電圧信号SGにおける振幅値(電位変化)に基づいて、検出対象のノズルからインク滴が正常に吐出されたか否かを判断する。
検出の原理は正確に解明されていないが、ノズルプレート33bと検出用電極613とを所定間隔dを空けて配置したことにより、これらの部材が恰もコンデンサーの様に振る舞う構成ができたからと考えられる。図5Aに示すように、グランドに接続されたノズルプレート33bに接することで、ノズルNzから柱状に延びたインク(インク柱)もグランド電位になる。このインクの伸長が、コンデンサーにおける静電容量を変化させると考えられる。すなわち、ノズルからインクが吐出されることによって、グランド電位のインクと検出用電極613とがコンデンサーを構成し、静電容量が変化する。
そして、静電容量が小さくなると、ノズルプレート33bと検出用電極613との間で蓄えることのできる電荷の量が減少する。このため、余剰の電荷が検出用電極613から各制限抵抗52,53を通って高圧電源ユニット51側へ移動する。すなわち、高圧電源ユニット51へ向けて電流が流れる。一方、静電容量が増えたり、減少した静電容量が戻ったりすると、電荷が高圧電源ユニット51から各制限抵抗52,53を通って検出用電極613側へ移動する。すなわち、検出用電極613へ向けて電流が流れる。このような電流(便宜上、吐出検査用電流Ifともいう)が流れると、検出用電極613の電位が変化する。検出用電極613の電位の変化は、検出用コンデンサー54における他方の導体(増幅器55側の導体)の電位変化としても現れる。従って、他方の導体の電位変化を監視することで、インク滴が吐出されたか否かを判定できる。
図6Aは、吐出検査時に用いる駆動信号COMの一例を示す図であり、図6Bは、図6Aの駆動信号COMによってノズルからインクが吐出された場合に増幅器55から出力される電圧信号SGを説明する図であり、図6Cは、複数のノズル(#1〜#10)の吐出検査結果である電圧信号SGを示す図である。駆動信号COMは、繰り返し期間Tの前半期間TAにノズルからインクを吐出するための複数の駆動波形W(例えば24個)を有し、後半期間TBでは中間電位で一定の電位が保たれる。駆動信号生成回路40は複数の駆動波形W(24個の駆動波形)を繰り返し期間T毎に繰り返し生成する。この繰り返し期間Tが1つのノズルの検査に要する時間に相当する。
まず、検査対象の中の或るノズルに対応するピエゾ素子に、繰り返し期間Tに亘って駆動信号COMを印加する。そうすると、前半期間TAにて吐出検査対象のノズルからインク滴が連続的に吐出される(例えば24ショット打たれる)。これにより、検出用電極613の電位が変化し、増幅器55は、その電位変化を図6Bに示す電圧信号SG(サインカーブ)として検出制御部57に出力する。なお、1ショット分のインク滴による電圧信号SGの振幅が小さいため、ノズルからインク滴を連続的に吐出させることで、検査に十分な振幅である電圧信号SGが得られるようにした。
検出制御部57は、検査対象のノズルの検査期間(T)の電圧信号SGから最大振幅Vmax(最高電圧VHと最低電圧VLの差)を算出し、最大振幅Vmaxと所定の閾値THとを比較する。駆動信号COMに応じて検査対象のノズルからインクが吐出されれば、検出用電極613の電位が変化し、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが閾値THよりも大きくなる。一方、目詰まり等により、検査対象のノズルからインクが吐出されなかったり、吐出されるインク量が少なかったりすると、検出用電極613の電位が変化しなかったり、電位変化が小さかったりするため、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが閾値TH以下となる。
或るノズルに対応するピエゾ素子に駆動信号COMを印加した後は、次の検査対象ノズルに対応するピエゾ素子に繰り返し期間Tに亘って駆動信号COMを印加するというように、検査対象の1ノズルごとに、繰り返し期間Tに亘って、そのノズルに対応するピエゾ素子に駆動信号COMを印加する。その結果、検出制御部57は、図6Cに示すように、繰り返し期間Tごとに、サインカーブの電位変化が発生する電圧信号SGを取得できる。
例えば、図6Cの結果では、ノズル#5の検査期間に対応する電圧信号SGの最大振幅Vmaxが閾値THよりも小さいため、検出制御部57はノズル#5がドット抜けノズルであると判断する。他のノズル(#1〜#4・#6〜#10)の各検査期間に対応する電圧信号SGの最大振幅Vmaxは閾値TH以上であるため、検出制御部57は他のノズルは正常なノズルであると判断する。こうしてドット抜け検出部50によりドット抜けノズルが検出された場合には、プリンター1のコントローラー80はヘッド31に対して回復動作を実施する。その結果、ドット抜けのない高画質な画像を印刷することができる。
===本実施形態の吐出検査について===
<尾引き量について>
図7Aは、検査用の駆動信号COM(図6A)にて発生する駆動波形Wを示す図であり、図7Bは、インク温度の違いによる尾引き量の長さの違いを示す図である。図7Bでは、ヘッド31に設けられたノズルからインクが柱状に突出した様子を示し、図中の斜線部分がインクに相当する。
まず、検査用の駆動信号COMにて発生する駆動波形Wについて詳しく説明する。駆動波形Wは、中間電位Vc(所定の電位)から最高電位Vh(第1の電位)まで電位が上昇する第1膨張要素P1と、最高電位Vhを保持する第1ホールド要素P2と、最高電位Vhから最低電位Vlまで電位が下降する収縮要素P3と、最低電位Vl(第2の電位)を保持する第2ホールド要素P4と、最低電位Vlから中間電位Vcまで電位が上昇する第2膨張要素P5と、を有する。
中間電位Vcがピエゾ素子(図2AのPZT)に印加された状態ではピエゾ素子は伸縮しておらず、中間電位Vcがピエゾ素子に印加された時の圧力室(図2Aの331)の容積を基準容積とする。駆動波形Wの第1膨張要素P1がピエゾ素子に印加されると、ピエゾ素子は長手方向に収縮し、圧力室の容積は膨張する。そして、第1ホールド要素P2がピエゾ素子に印加されると、ピエゾ素子の収縮状態が維持され、これに伴い圧力室の膨張状態も維持される。次に、収縮要素P3がピエゾ素子に印加されると、ピエゾ素子は収縮した状態から一気に伸長し、圧力室の容積が一気に収縮する。この圧力室の収縮により、圧力室内のインク圧力が急激に高まり、ノズルからインク柱が突出し、インク滴が吐出方向に飛翔する。その後、第2ホールド要素P4がピエゾ素子に印加され、ピエゾ素子の伸長状態と圧力室の膨張状態が維持される。最後に、ピエゾ素子に第2膨張要素P5が印加されると、圧力室の容積が基準容積に戻る。
駆動波形Wの収縮要素P3によって圧力室が収縮すると、図7Bに示すように、ノズルからインクが柱状に突出した状態となる。その後、インク柱の先端部分がインク柱から分断されて、吐出方向に飛翔する。このインク柱の先端部分を「メイン滴」と呼ぶ。印刷時はインク柱から分断されたメイン滴が媒体に着弾することによってドットを形成することになる。一方、先端部分(メイン滴)が分断された後の残りのインク柱は、微小のインク滴(サテライト)を形成したり、圧力室に戻ったりする。以下の説明のため、図7Bに示すように、駆動波形Wの収縮要素P3によってノズルから突出したインク柱の先端部分(メイン滴)が分断される地点とノズル面との距離を「尾引き量」と呼ぶ。
図7Bは、インク温度を複数変化させて(15℃・25℃・40℃)、同じ駆動波形Wによってノズルからインクを吐出した時の尾引き量の測定結果である。インク温度が15℃である時の尾引き量が296μmであり、インク温度が25℃である時の尾引き量が227μmであり、インク温度が40℃である時の尾引き量が218μmである。この測定結果から、同じ駆動波形Wにてノズルからインクを吐出させた場合、インク温度が低いほど尾引き量が長くなり、インク温度が高いほど尾引き量が短くなることが分かる。これは、インク温度が高くなるほどインクの粘性が低くなり、インク柱の先端部分が分断され易く、尾引き量が短くなり、逆に、インク温度が低くなるほどインクの粘性が高くなり、インク柱の先端部分が分断され難く、尾引き量が長くなると考えられる。
ところで、本実施形態の吐出検査では(図5A)、グランド電位のノズルプレート33bと高電位の検出用電極613とを所定間隔dを空けて配置し、ノズルから突出したグランド電位のインクの伸長により検出用電極613の電位を変化させて、ノズルからのインクの吐出の有無を判断する。この吐出検査では、ノズルからインクが吐出されない時は、ノズルプレートと検出用電極613がコンデンサーの様に振る舞い、ノズルからインクが吐出された時は、グランド電位のインクと検出用電極613がコンデンサーの様に振舞う。即ち、ノズルからインクが吐出されることによって、コンデンサーの電極間距離が変化し、コンデンサーの静電容量が変化し、検出用電極613に電位変化が発生する。そのため、ノズルからインクを吐出していない時のコンデンサーの電極間距離dとノズルからインクを吐出した時のコンデンサーの電極間距離との差が大きいほど、検出用電極613の電位変化が大きくなる。その結果、検出制御部57が取得する電圧信号SG(図6B)の最大振幅Vmaxも大きくなる。
前述のように、ノズルから突出したインク柱は、メイン滴の分断後に、サテライトに変化したり、圧力室に戻ったりする。そのため、インク柱からメイン滴が分断される地点とノズル面との距離、即ち、尾引き量(ノズルから突出したインク柱の先端部から第2電極までの距離に相当)が、検出用電極613の電位変化に影響する。つまり、尾引き量が長いほどコンデンサーの電極間距離dの変化が大きく、検出用電極613の電位変化が大きくなり、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが大きくなる。逆に、尾引き量が短いほどコンデンサーの電極間距離dの変化が小さく、検出用電極613の電位変化が小さくなり、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが小さくなる。
図8Aは、インク温度に関係なく同じ駆動波形Wにて吐出検査を行った場合に、インク温度が高いとき(40℃)の吐出検査結果(電圧信号SG)を示す図である。同じ駆動波形Wにてインクを吐出する場合、図7Bに示すように、インク温度が高いほど尾引き量が短くなる。そうすると、インクと検出用電極613によるコンデンサーの電極間距離があまり狭まらないため、検出用電極613の電位変化が小さく、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが小さくなる。
例えば、プリンター1の設計時に、インク温度が常温(ここでは25℃とする)である場合に、検査用の駆動信号COM(図6A)に応じてノズルから24回インク滴が噴射された事により得られる電圧信号SGの最大振幅Vmaxに基づき閾値THが決定されたとする。そうすると、インク温度が常温よりも(大幅に)高い場合、吐出検査時の尾引き量が短くなるため、図8Aに示すように、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが閾値THよりも小さくなってしまう。その結果、検出制御部57は、ノズルから高温のインク滴が正常に吐出されたにも関わらず、ノズルからインク滴が吐出されていないと判断してしまう。
つまり、インク温度が常温(25℃)よりも大幅に高いにも関わらず、同じ駆動波形Wにて吐出検査を実施すると、尾引き量が短く、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが小さくなるため、正常にインク滴を吐出しているノズルをドット抜けノズルとして検出してしまう虞がある。その結果、無駄に回復動作が行われて、印刷時間が長引いたり、インク消費量が増大したりしてしまう。そこで、本実施形態では、インク温度に関係なく、吐出検査を正確に行うことを目的とする。
図8Bは、インク温度に関係なく同じ駆動波形Wにて吐出検査を行った場合に、インク温度が低いとき(15℃)の吐出検査結果(電圧信号SG)を示す図である。なお、図中では、インク温度が15℃であるときの電圧信号SGを実線で示し、インク温度が25℃であるときの電圧信号SGを点線で示す。同じ駆動波形Wにてインクを吐出する場合、図7Bに示すように、インク温度が低いほど尾引き量が長くなる。そうすると、インクと検出用電極613によるコンデンサーの電極間距離が大きく狭まり、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが大きくなる。そのため、常温のインクに合わせて閾値THが設定されたとしても、常温よりもインク温度が低い場合には、図8Bに示すように電圧信号SGの最大振幅Vmaxが閾値THよりも大きくなり、正常なノズルであると判断される。即ち、インク温度が常温よりも低い場合には、インク温度が常温よりも大幅に高い場合(図8A)のように正常なノズルをドット抜けノズルとして検出される虞はない。
しかし、検出用電極613の電位変化が大きく、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが大きいということは、電圧信号SGの電位変化による残留振動も大きく、残留振動が制振するまでに時間がかかるということである。ゆえに、図8Bに示すように、インク温度が常温(25℃)である場合には(点線)、繰り返し期間T内の時刻Tbにて残留振動が収束しているのに対して、インク温度が15℃である場合には、繰り返し期間Tを過ぎた時刻Taにて残留振動が収束する。
そのため、インク温度が常温(25℃)であるときの電圧信号SGの残留振動に合わせて、1ノズルの検査時間T(繰り返し期間T)を設定すると、インク温度が低くなった場合に、前のノズルの検査結果による電圧信号SGの残留振動が制振していない状態で、次のノズルの検査が始まってしまう。即ち、前のノズルの検査結果が次のノズルの検査結果に影響してしまうため、吐出検査を正確に行うことが出来なくなってしまう。
逆に、インク温度が常温よりも大幅に低いとき(15℃)の電圧信号SGの残留振動に合わせて、1ノズルの検査時間を例えば図8Bの期間T2に設定したとする。そうすると、インク温度が低温である場合にも、前のノズル検査時に発生した残留振動が制振した後に、次のノズルの検査を開始することができる。しかし、1ノズルの検査時間を長く設定してしまうと(T2に設定してしまうと)、インク温度が常温である場合、残留振動が収束してから次のノズルの検査が開始するまでの時間が長くなってしまう。即ち、インク温度が常温である場合には1ノズルの検査時間を短く出来るにも関わらず(期間Tに設定できるにも関わらず)、インク温度が低温である場合に合わせて1ノズルの検査時間を長くしてしまうと、インク温度が常温である場合に無駄な検査時間が増えてしまう。その結果、全体の吐出検査時間が長くなってしまう。
なお、ここまで、インク温度が低く、尾引き量が長くなる場合に、電圧信号SGに発生した電位変化の残留振動が大き過ぎることを問題としているが、これに限らない。尾引き量が長いということは、メイン滴の分断後に圧力室側に戻ったインク、即ち、インク滴吐出後のメニスカス(ノズルから露出しているインクの自由表面)の残留振動も大きいということである。そのため、1ノズルの検査時間(T)が常温のインクに合わせて設定されている場合、インク温度が低いと、前の検査ノズルのメニスカスの残留振動が残っている状態で、次のノズルの吐出検査が開始してしまう。そうすると、吐出検査を正確に行うことが出来なくなってしまう。例えば、あるノズルがドット抜けノズルであっても、その前に検査したノズル(メニスカス)の残留振動が影響し、正常なノズルと判断されてしまう虞がある。また、インク温度が低い時のメニスカスの残留振動に合わせて、1ノズルの検査時間を設定してしまうと、インク温度が常温である場合に無駄な時間が発生してしまう。
つまり、インク温度が常温(25℃)よりも大幅に低いにも関わらず、同じ駆動波形Wにて吐出検査を実施すると、尾引き量が長く、電圧信号SGの最大振幅Vmaxが大きくなるため、前のノズルの検査時に電圧信号SGに発生した電位変化の残留振動(前のノズルのメニスカスの残留振動)が、次のノズルの検査に影響し、吐出検査を正確に行えない虞がある。また、インク温度が常温よりも低い場合に合わせて、残留振動が収まるように1ノズルの検査時間を長く設定すると、インク温度が常温である場合に無駄な検査時間が発生してしまう。
また、仮に、インク温度ごとに、閾値THを設定したり(例:高温の場合には閾値THを小さくしたり)、1ノズルの検査時間を変更したりすると(例:低温の場合には検査時間を長くしたりすると)、吐出検査の制御が複雑になってしまう。そこで、本実施形態では、吐出検査を容易にしつつ、吐出検査を正確に容易に行うことを目的とする。
<本実施形態の吐出検査について>
図9は、ノズルから吐出するインク重量を調整し、尾引き量を調整する様子を示す図である。インク温度が異なる場合に同じ駆動波形Wにてノズルからインクを吐出すると図7Bに示すように尾引き量が異なり、その結果、図8A及び図8Bに示すように吐出検査を正確に行うことが出来ない虞がある。そこで、本実施形態では、吐出検査を正確に実施するために、インク温度に関係なく尾引き量を一定にする。
そのために、本実施形態では、インク温度が第1温度である時にノズルから吐出されるインク重量(インク体積)を、インク温度が第1温度よりも低い第2温度である時にノズルから吐出されるインク重量(インク体積)よりも多くする。なお、「ノズルから吐出されるインク重量」とは、駆動波形Wによってノズルから吐出したインク柱から分断されたメイン滴のインク重量とする。また、メイン滴のインク重量を多くするためには、ノズルから突出させるインク柱のインク重量も多くする。
例えば、図9の両ヘッド31から吐出されるインク温度が常温(25℃)よりも大幅に高いとする(例えば40℃)。そして、常温のインクに対して使用する駆動波形Wと同じ駆動波形Wを使用して吐出検査を実施すると、図9の左図のように尾引き量D1の短いインク柱が吐出されたとする。そこで、本実施形態では、図9の右図に示すように、ノズルから吐出するインク重量(インク体積)を増やす。そうすることで、図9の右図では左図よりも、ノズルから長く太いインク柱が押し出される。その結果、尾引き量D2を長くすることができ、また、インク柱が太ければ、インク温度が高くインク粘性が低くとも、インク柱の先端部が分断され難くなり、尾引き量D2を長くすることができる。
逆に、図9の両ヘッド31から吐出されるインク温度が常温よりも大幅に低いとする(例えば15℃)。そして、常温のインクに対して使用する駆動波形Wと同じ駆動波形Wを使用して吐出検査を実施すると、図9の右図のように尾引き量D2の長いインク柱が吐出されたとする。そこで、本実施形態では、図9の左図に示すように、ノズルから吐出するインク重量(インク体積)を減らす。そうすることで、図9の左図では右図よりも、ノズルから短く細いインク柱が押し出される。その結果、尾引き量D1を短くすることができ、また、インク柱が細ければ、インク温度が低くインク粘性が高くとも、インク柱の先端部が分断され易くなり、尾引き量D1を短くすることができる。
なお、説明の簡略のため、同じ図9を用いてインク温度が高い場合と低い場合のインク重量の補正方法について説明したが、同じ駆動波形Wにてインクを吐出させた場合、図7Bに示すように、インク温度が高いほどインク粘性が低く、インクが吐出され易いため、メイン滴のインク重量(インク体積)が多くなり、インク温度が低いほどメイン滴のインク重量(インク体積)が少なくなる。即ち、吐出検査時では、インク温度が高い場合にはノズルから吐出されるインク重量(メイン滴量)が更に多くなるように補正し、インク温度が低い場合にはノズルから吐出されるインク重量(メイン滴量)が更に少なくなるように補正する。
以上をまとめると、本実施形態では、インク温度に関係なく、吐出検査時の尾引き量を一定にするために、ノズルから吐出するインク重量を調整する。そのために、吐出検査時に使用する駆動波形Wをインク温度に応じて補正する。その結果、吐出検査を出来る限り正確に実施することができ、残留振動が長くなってしまうことが防止されるため、吐出検査時間を出来る限り短くすることができる。また、言い換えれば、インク温度に関係なく尾引き量を一定にするため、吐出検査結果である電圧信号SGの最大振幅Vmaxも同程度にでき、残留振動の制振時間も同程度となる。その結果、1ノズルの検査時間をインク温度に関係なく一定にすることができ、吐出検査の制御を容易にすることができる。ゆえに、本実施形態の吐出検査用の駆動信号COM(図6A)では、1ノズルあたりの駆動波形(24個の駆動波形W)が、繰り返し期間Tごとに繰り返し発生する。
<吐出検査用駆動波形Wの補正について>
図10Aは、インク温度に応じて駆動波形Wを補正する様子を示す図であり、図10Bは、駆動波形Wを補正した場合の尾引き量を示す図であり、図11は、インク温度と最高電位Vhの補正量を対応付けた補正値テーブルである。本実施形態の吐出検査時には、インク温度に関係なく尾引き量を一定にするために、駆動波形Wを構成するパラメーターのうちの最高電位Vhを補正する。なお、コントローラー80がインク温度を取得し、インク温度に応じた最高電位Vhである駆動波形W(駆動信号COM)を駆動信号生成回路40に生成させる。
また、ヘッド31内のインクは、ヘッド31の周辺温度の影響を受ける為、本実施形態では、図2Aに示すようにヘッド31の中継基板35に設けられた温度センサー71(センサーに相当)によって検出される温度(ヘッドの環境温度)を「インク温度Ti」とする。即ち、温度センサー71がインク(液体)の温度変化に応じた信号を出力するセンサーに相当する。そのため、設計工程などにおいてインク温度に応じた最高電位Vhの補正量(ΔVh)を決定する際にも、ヘッド31の中継基板上の温度センサー71が出力する結果に基づいて補正量を決定するとよい。但しこれに限らず、ヘッド31内の実際のインク温度を測定した結果をインク温度として駆動波形Wを補正してもよいし、インクカートリッジ内のインクの温度を測定した結果をインク温度として駆動波形Wを補正してもよい。即ち、実際のインクの温度に限らず、インクの温度に相当する温度にて駆動波形Wを補正してもよい。
また、インク温度Tiが常温(25℃)又はその近傍温度である時に使用する駆動波形Wを基準の駆動波形Wsとする。図10Aでは、基準の駆動波形Wsを実線で示し、インク温度Tiが常温よりも高い温度である時に使用する駆動波形Wを一点鎖線で示し、インク温度Tiが常温よりも低い温度である時に使用する駆動波形Wを点線で示す。また、図10Bにおいて、基準の駆動波形Wsにてノズルから吐出されるインクを点線で示し、インク温度Tiに応じて最高電位Vhを補正した駆動波形Wにてノズルから吐出されるインクを太線で示す。
コントローラー80は、インク温度Tiが常温よりも高く、尾引き量が短くなる場合に、ノズルから吐出するインク重量を増やすために、図10Aに示すように、基準の駆動波形Wsの最高電位Vhよりも高い最高電位Vha(Vh+ΔVh)に補正する。なお、最高電位Vh以外の駆動波形Wのパラメーターは補正せず、第1膨張要素P1の膨張時間Pwc1、第1ホールド要素P2のホールド時間Pwh1、収縮要素P3の収縮時間Pwdも変更しないとする。このように駆動波形Wの最高電位を高い電位Vhaに補正することで、圧力室(図2の331)を基準の駆動波形Wsよりも大きく膨張させることができる。その結果、圧力室の収縮率(膨張時と収縮時の圧力室の容積差)を大きくできるため、ノズル(圧力室)から吐出するインク重量を多くすることができる。なお、収縮時間Pwdが変わらないため、圧力室の収縮速度が速く、ノズルから吐出するインク速度も速くできる。
逆に、インク温度Tiが常温よりも低く、尾引き量が長くなる場合には、ノズルから吐出するインク重量を減らすために、基準の駆動波形Wsの最高電位Vhよりも低い最高電位Vhb(Vh−ΔVh)に補正する。そうすることで、圧力室を基準の駆動波形Wsよりも小さく膨張させることになり、圧力室の収縮率が小さくなる。その結果、ノズル(圧力室)から吐出するインク重量を少なくすることができる。なお、収縮時間Pwdは変わらないため、圧力室の収縮速度が遅く、ノズルから吐出するインク速度を遅くできる。
このようにインク温度Tiが常温よりも高い場合には最高電位Vhを高い電位に補正し、インク温度Tiが常温よりも低い場合には最高電位Vhを低い電位に補正する。その結果、図10Bに示すように、インク温度Tiが高い場合(40℃)には、基準の駆動波形Wsを使用する場合に比べて、ノズルから吐出するインク重量を増やし、尾引き量を長くすることができる。一方、インク温度が低い場合(15℃)には、基準の駆動波形Wsを使用する場合に比べて、ノズルから吐出するインク重量を減らし、尾引き量を短くすることができる。そうして、インク温度に関係なく尾引き量Dを一定にする。
尾引き量Dを一定にすることで(インクが常温である時の尾引き量に合わせることで)、ノズルからインクが吐出されたにも関わらず電圧信号SGの最大振幅Vmaxが閾値THよりも小さくなったり(図8A)、電圧信号SGに発生する残留振動が1ノズルの検査時間内で制振しきれなかったり(図8B)することを防止できる。その結果、吐出検査を正確に実施することができ、また、1ノズルの検査時間が無駄に長くなってしまうことを防止できる。
また、本実施形態のプリンター1では、メモリー80cに図11の補正値テーブルを記憶させる。補正値テーブルでは、インク温度Ti(が取り得る温度)を複数の温度範囲に分け、温度範囲ごとに最高電位Vhの補正量ΔVhが対応付けられている。ここでは10℃刻みで補正量ΔVhを設定している。具体的には、インク温度Tiが40℃以上である場合には基準の駆動波形Wsの最高電位Vhよりも「ΔVh1」だけ高い最高電位に補正し、インク温度Tiが30℃以上40℃未満である場合には基準の最高電位Vhよりも「ΔVh2」だけ高い最高電位に補正し、インク温度が10℃以上20℃未満である場合には基準の最高電位Vhよりも「ΔVh3」だけ低い最高電位に補正し、インク温度が10℃未満である場合には基準の最高電位Vhよりも「ΔVh4」だけ低い最高電位に補正する(+ΔVh1>+ΔVh2、−ΔVh3>−ΔVh4)。
そして、常温(25℃)を含む温度範囲、図11ではインク温度Tiが20℃以上30℃未満である場合には基準の最高電位Vhを補正しない、即ち、補正量ΔVhはゼロである。インク温度が常温を含む温度範囲に含まれる時の尾引き量Dは、電圧信号SG(吐出検査結果)における電位変化(最大振幅Vmax)が大き過ぎず、また、小さ過ぎない。即ち、電圧信号SGの電位変化が大き過ぎて、残留振動が大きく、1ノズルの検査時間が長くなることを防止でき、また、電圧信号SGの電位変化が小さ過ぎて、正常なノズルを誤ってドット抜けノズルとして検出してしまうことを防止できる。また、ヘッド31のセンサー71が検出するインク温度Tiは、常温を含む温度範囲に属する確率が高くなると考えられる。ゆえに、インク温度Tiが常温を含む温度範囲に属する場合に駆動波形Wを補正しないように設定することで、補正の回数を減らし、吐出検査の制御を容易にできる。そのため、本実施形態では、インク温度Tiが常温(25℃)又はその近傍温度である時の尾引き量Dに合わせる。
以上をまとめると、プリンター1のコントローラー80は、吐出検査を開始する際に、まず、ヘッド31に設けられた温度センサー71からインク温度Tiを取得する。次に、コントローラー80は、図11の補正値テーブルを参照し、取得したインク温度Tiに対応する最高電位Vhの補正量ΔVhを取得する。そして、コントローラー80は、インク温度Tiに応じた最高電位である駆動波形Wを駆動信号生成回路40に生成させる。そうして、駆動信号生成回路40にて生成された駆動信号COM(駆動波形W)が、ホームポジションに位置するヘッド31(図3B)の検査対象ノズルに対応するピエゾ素子に、1ノズルごとに順に印加され、ノズルからの吐出の有無が検査される。コントローラー80は、検出制御部57(ドット抜け検出部50)から吐出検査結果(ドット抜けノズルの有無)を取得する。ドット抜けノズルが検出された場合には、コントローラー80は回復動作を実施し、ドット抜けノズルが検出されなかった場合には印刷を開始または続行する。なお、回復動作後に、再度、吐出検査を実施し、ドット抜けノズルが正常ノズルに回復したかを確認してもよい。
<駆動波形補正の変形例>
図12は、インク温度Tiが低温の場合に尾引き量を短くするために、駆動波形Wの別のパラメーター(PWh2)を補正する様子を示す図である。ここまで、ノズルから吐出するインク重量を補正して尾引き量を一定にするために、駆動波形Wの最高電位Vhを補正しているが、これに限らない。駆動波形Wを構成するパラメーターのうち、ノズルから吐出するインク重量(メイン滴量)を調整でき、その結果尾引き量を調整できるパラメーターを、インク温度Tiに応じて補正してもよい。
例えば、図12に示すように、尾引き量を短くするために、第2ホールド要素P4の「第2ホールド時間PWh2」を補正してもよい。インク温度Tiが常温よりも低い場合(例えば15℃)、図7Bに示すように、尾引き量が長くなり過ぎてしまう。そこで、インク温度Tiが低い場合に、第2ホールド時間PWh2を短く補正してもよい。図12の駆動波形Wをピエゾ素子に印加すると、収縮要素P3にてノズルからインク柱が飛び出す。そして、第2ホールド時間PWh2においてインク柱が伸びきりメイン滴が分断されるか、又は、第2膨張要素P5にて圧力室(図2の311)が膨張する際にメイン滴とインク柱が分断される。そのため、第2ホールド時間PWh2を短く補正することで(PWh2−α)、図12の右図に示すように、収縮要素P3にて飛び出したインク柱が伸びきらないうちに、第2膨張要素P5によって圧力室方向の力がインク柱に働く。その結果、ノズルから吐出したインク重量が少ない状態でメイン滴が分断され(メイン滴量も少なく)、尾引き量を短くすることができる。このように、インク温度Tiに応じて第2ホールド時間PWh2を補正することで、インク温度Tiが低い場合にも、インク温度が常温である場合と同様の尾引き量に補正することができる。なお、駆動波形Wのパラメーターのうちの1種類だけを補正するに限らず、例えば、インク温度Tiが低い場合には、最高電位Vhと第2ホールド時間PWh2の2つのパラメーターを補正してもよい。
===印刷時と吐出検査時の駆動波形Wの補正について===
図13Aは、インク温度によるインク重量及び尾引き量の違いを示す図であり、図13Bは、印刷時の駆動波形の補正を説明する図であり、図13Cは、吐出検査時の駆動波形Wの補正を説明する図である。図13Aに示すように、インク温度が高いほど、インク粘度が低くなるため、ノズルからインクが吐出され易く、インク重量が増え、尾引き量は短くなる。逆に、インク温度が低いほど、インク粘度が高くなるため、ノズルからインクが吐出され難く、インク重量が減り、尾引き量が長くなる。
図13Bに示すように、印刷時にはインク温度に影響されずに高画質な画像を印刷するためにドット径(ノズルから吐出するインク重量・メイン滴量)を出来る限り一定にしたい。そこで、印刷時には、インク温度が高い場合には駆動波形の最高電位Vhを低く補正し、ノズルから吐出するインク重量を減らし、逆に、インク温度が低い場合には駆動波形の最高電位Vhを高く補正し、ノズルから吐出するインク重量を増やす。なお、印刷時の駆動信号COMと吐出検査時の駆動信号COM(図6A)を異ならせるとよい。
逆に、図13Cに示すように、吐出検査時にはインク温度に影響されずに尾引き量を一定にしたい。そこで、吐出検査時では、インク温度が高い場合にノズルから吐出されるインク重量が多くなり易いが、更に多くなるように、駆動波形Wの最高電位Vhを高く補正する。その結果、尾引き量を長くすることができる。逆に、インク温度が低い場合にはノズルから吐出されるインク重量が少なくなり易いが、更に少なくなるように、駆動波形Wの最高電位Vhを低く補正する。その結果、尾引き量を短くすることができる。
つまり、本実施形態のプリンター1では、印刷時と吐出検査時において、駆動波形Wの補正方法を逆にする。そうすることで、印刷時にはインク温度に影響されずにノズルから吐出されるインク重量を一定にすることができ、逆に、吐出検査時にはインク温度に影響されずに尾引き量を一定にすることができ、吐出検査時間を短縮しつつ、吐出検査を正確に行うことができる。
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、吐出検査方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<ドット抜け検出部50について>
前述の実施形態では、ドット抜け検出部50に分圧回路を設けずに、吐出検査用電流Ifに起因する電気的状態の変化に基づいて、検出用電極613の異常を検出しているが、これに限らず、分圧回路によって電源電圧を分圧し、検出した電圧に基づいて、検出用電極613の異常を検出してもよい。
また、前述の実施形態では、検出用電極613をノズル面よりも高電位にし、検出用コンデンサー54によってインク滴の吐出に起因する検出用電極613の電位変化を抽出したが、これに限らない。例えば、ノズルプレート33bに高圧電源ユニットを接続して高電位にし、検出用電極613をグランドに接続してグランド電位にし、インク吐出によるノズルプレート33bの電位変化によりドット抜けノズルを検出するか、又は、検出用電極613の電位変化によりドット抜けノズルを検出してもよい。また、高電位の検出用電極613とグランド電位のノズルプレート33bにおいて、インク吐出によるノズルプレート33bの電位変化によりドット抜けノズルを検出してもよい。
前述の実施形態では、ノズルプレートを第1電位(グランド電位)にすることによって、ノズルから吐出されるインクをグランド電位としているが、これに限らない。ノズルから吐出されるインクが第1電位(グランド電位)になる構成であれば、ノズルプレートを電極としなくても良い。例えば、インク流路や圧力室331などの壁面に設けられて、ノズル内のインクと導通する導電性部材を設け、この導電性部材をグランド電位にしてもよい。また、インクはグランド電位に限らず、検出用電極613との間で検出に必要な電位差があればよい。
<プリンターについて>
前述の実施形態では、ヘッド31が移動方向に移動しながらインク滴を吐出する画像形成動作と、移動方向と交差する搬送方向にヘッド31と媒体を相対移動させる搬送動作とを交互に行うプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、媒体の搬送方向と交差する紙幅方向にヘッド(ノズル)が並び、そのヘッドの下を搬送される媒体に向けてインク滴を吐出することによって画像を形成するラインヘッドプリンターでもよい。
<液体吐出装置について>
前述の実施形態では、液体吐出装置としてインクジェットプリンターを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンター(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
1 プリンター、10 用紙搬送機構、20 キャリッジ移動機構、21 キャリッジ、30 ヘッドユニット、31 ヘッド、HC ヘッド制御部、32 ケース、33 流路ユニット、33a 流路形成基板、33b ノズルプレート、33c 振動板、331 圧力室、332 インク供給路、333 共通インク室、334 ダイヤフラム部、335 島部、34 ピエゾ素子ユニット、341 ピエゾ素子群、342 固定板、40 駆動信号生成回路、
50 ドット抜け検出部、51 高圧電源ユニット、52 第1制限抵抗、
53 第2制限抵抗、54 検出用コンデンサー、55 増幅器、
56 平滑コンデンサー、57 検出制御部、57a レジスタ群、
57b AD変換部、57c 電圧比較部、57d 制御信号出力部、
60 キャップ機構、61 キャップ、611 側壁部、612 保湿部材、
613 検出用電極、62 スライダ部材、63 当接部、64 長孔、
65 廃液チューブ、66 ワイパー、70 検出器群、71 温度センサー、80 コントローラー、80a インターフェース部、80b CPU、80c メモリー、CP コンピューター

Claims (6)

  1. (A)液体を吐出するノズルと、
    (B)前記液体の温度変化に応じた信号を出力するセンサーと、
    (C)前記ノズルから液体を吐出させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
    (D)前記ノズルから吐出される液体を第1電極によって第1電位にし、前記駆動信号によって前記第1電位の液体を前記第1電位とは異なる第2電位の第2電極に向けて吐出する検査部であって、
    前記第1電極及び前記第2電極間の静電容量の変化に基づいて、前記ノズルからの液体吐出の有無を検査する検査部と、
    (E)吐出検査時に、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度に応じて、前記駆動信号生成部に生成させる前記駆動信号を補正することによって、
    前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が第1温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量を、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が前記第1温度よりも低い第2温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量よりも多くする制御部と、
    (F)を有することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
    前記検査部は、前記駆動信号によって前記ノズルから突出した液体柱の先端部から前記第2電極までの距離に応じて変動する前記静電容量の変化に基づいて、前記ノズルからの液体吐出の有無を検査する、
    液体吐出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置であって、
    前記センサーにより検出される前記液体の温度を複数の温度範囲に分類し、
    前記温度範囲ごとに前記駆動信号に対する補正量が設定され、
    前記制御部は、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が常温を含む前記温度範囲に属するとき、前記駆動信号生成部に生成させる前記駆動信号を補正しない、
    液体吐出装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出装置であって、
    前記駆動信号では、前記ノズルから前記液体を吐出させるための駆動波形が繰り返し発生し、
    ある前記ノズルからの液体吐出の有無を検査するための前記駆動波形と、次の前記ノズルからの液体吐出の有無を検査するための前記駆動波形と、の間隔が一定である、
    液体吐出装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出装置であって、
    前記駆動信号に発生する駆動波形が印加されることによって駆動素子が駆動し、その前記駆動素子に対応する前記ノズルに連通する圧力室が膨張、収縮し、その前記ノズルから液体が吐出され、
    前記駆動波形は、所定の電位から第1の電位まで電位が変化して前記圧力室を膨張させる膨張要素と、前記第1の電位から第2の電位まで電位が変化して膨張した前記圧力室を収縮させる収縮要素と、を有し、
    前記制御部は、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度に応じて、前記駆動信号生成部に生成させる前記駆動波形の前記第1の電位を補正する、
    液体吐出装置。
  6. ノズルから吐出される液体を第1電極によって第1電位にし、駆動信号によって前記第1電位の液体を前記第1電位とは異なる第2電位の第2電極に向けて吐出し、前記第1電極及び前記第2電極間の静電容量の変化に基づいて、前記ノズルからの液体吐出の有無を検査する吐出検査方法であって、
    前記液体の温度変化に応じた信号を出力するセンサーの出力結果に基づく前記液体の温度に応じて、前記駆動信号を補正することによって、
    前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が第1温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量を、前記センサーの出力結果に基づく前記液体の温度が前記第1温度よりも低い第2温度である時に前記ノズルから吐出される液体重量よりも多くすること、
    を特徴とする吐出検査方法。
JP2009200298A 2009-08-31 2009-08-31 液体吐出装置、及び、吐出検査方法、 Pending JP2011051152A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009200298A JP2011051152A (ja) 2009-08-31 2009-08-31 液体吐出装置、及び、吐出検査方法、
US12/856,721 US8360543B2 (en) 2009-08-31 2010-08-16 Liquid ejecting apparatus and ejection inspecting method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009200298A JP2011051152A (ja) 2009-08-31 2009-08-31 液体吐出装置、及び、吐出検査方法、

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011051152A true JP2011051152A (ja) 2011-03-17

Family

ID=43624236

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009200298A Pending JP2011051152A (ja) 2009-08-31 2009-08-31 液体吐出装置、及び、吐出検査方法、

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8360543B2 (ja)
JP (1) JP2011051152A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016198959A (ja) * 2015-04-10 2016-12-01 株式会社リコー 液体を吐出する装置
JP7069713B2 (ja) 2017-12-27 2022-05-18 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置
KR20240000091A (ko) * 2022-06-23 2024-01-02 동의대학교 산학협력단 액적 토출 모니터링이 가능한 공압 디스펜서
JP7434929B2 (ja) 2020-01-23 2024-02-21 セイコーエプソン株式会社 液体吐出方法、駆動パルス決定プログラム、および、液体吐出装置
JP7434928B2 (ja) 2020-01-23 2024-02-21 セイコーエプソン株式会社 液体吐出方法、駆動パルス決定プログラム、および、液体吐出装置

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011079252A (ja) * 2009-10-08 2011-04-21 Seiko Epson Corp 吐出検査装置、及び、吐出検査方法
JP5938890B2 (ja) * 2011-02-24 2016-06-22 株式会社リコー 画像形成装置、パターン位置検出方法、画像形成システム
US8926041B2 (en) * 2013-01-28 2015-01-06 Fujifilm Dimatix, Inc. Ink jetting

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4736768B2 (ja) 2005-12-08 2011-07-27 セイコーエプソン株式会社 印刷ヘッド検査装置、印刷装置、印刷ヘッド検査方法及びそのプログラム
US7543904B2 (en) * 2005-12-08 2009-06-09 Seiko Epson Corporation Print head inspection method, print head inspection device and a printing device
JP2010064309A (ja) * 2008-09-09 2010-03-25 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、及び、吐出検査方法
JP2012111215A (ja) * 2010-11-29 2012-06-14 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、液体吐出装置の検査方法、及びプログラム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016198959A (ja) * 2015-04-10 2016-12-01 株式会社リコー 液体を吐出する装置
JP7069713B2 (ja) 2017-12-27 2022-05-18 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置
JP7434929B2 (ja) 2020-01-23 2024-02-21 セイコーエプソン株式会社 液体吐出方法、駆動パルス決定プログラム、および、液体吐出装置
JP7434928B2 (ja) 2020-01-23 2024-02-21 セイコーエプソン株式会社 液体吐出方法、駆動パルス決定プログラム、および、液体吐出装置
KR20240000091A (ko) * 2022-06-23 2024-01-02 동의대학교 산학협력단 액적 토출 모니터링이 가능한 공압 디스펜서
KR102646741B1 (ko) 2022-06-23 2024-03-11 동의대학교 산학협력단 액적 토출 모니터링이 가능한 공압 디스펜서

Also Published As

Publication number Publication date
US20110050775A1 (en) 2011-03-03
US8360543B2 (en) 2013-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011051152A (ja) 液体吐出装置、及び、吐出検査方法、
JP5879434B2 (ja) インクレベルセンサー及び関連する方法
US8029088B2 (en) Liquid ejecting apparatus and ejection inspecting method
JP6106948B2 (ja) 液体吐出装置
US8991970B2 (en) Printing device, discharge test device and discharge test method
US20150054876A1 (en) Liquid discharging apparatus
JP2010058355A (ja) 液体吐出装置、及び、吐出検査方法
JP2013233704A (ja) 液体吐出装置、検査方法、及び、プログラム
JP2011084043A (ja) 吐出検査装置及び印刷装置
JP2010058454A (ja) 吐出検査の設定方法
JP2011201030A (ja) 液体吐出検査装置
JP2010058406A (ja) 吐出検査方法、及び、液体吐出装置
US8777366B2 (en) Liquid-discharging device, and method for substituting liquid
US8408670B2 (en) Discharge inspection apparatus and discharge inspection method
JP5182000B2 (ja) 液体吐出装置、及び、その制御方法
JP5834827B2 (ja) 液体吐出検査装置、液体吐出検査方法、印刷装置、及びプログラム
JP2011083937A (ja) 吐出検査装置及び印刷装置
JP2010058449A (ja) 吐出検査装置、及び、吐出検査方法
JP2012061760A (ja) 画像形成装置、画像形成装置の制御方法および制御プログラム
JP2013184362A (ja) 液体吐出装置、及び、液体の切替方法
JP2010058354A (ja) 液体吐出装置、及び、吐出検査方法
JP2011083938A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP5282494B2 (ja) 液体吐出装置の異常判定方法
JP2011079267A (ja) 吐出検査装置及び吐出検査方法
JP2011235550A (ja) 液体吐出検査装置