JP2010058449A - 吐出検査装置、及び、吐出検査方法 - Google Patents

吐出検査装置、及び、吐出検査方法 Download PDF

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Yasuhiro Hosokawa
泰弘 細川
Seiji Izumio
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Abstract

【課題】検出用電極の異常を容易に検出する。
【解決手段】吐出検査装置は、ヘッドと、検出用電極と、電源と、検出部と、判定部とを有する。ヘッドはノズルから液体を吐出する。検出用電極は、ノズルと所定間隔を空けて対向する。電源は、検出用電極を所定電位にする。検出部は、ノズルからの液体の吐出によって生じた検出用電極の電位変化を検出する。判定部は、検出部が検出した検出用電極の電位変化に基づき、検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、吐出検査装置、及び、吐出検査方法に関する。
インクジェットプリンタ等の液体吐出装置には、帯電させたインクを検出用の電極に向けて吐出させ、この電極に生じる電気的な変化に基づいて液体の吐出検査を行うものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007−152888号公報
前述の装置では、ヘッドが有するノズルプレートに高圧電源を電気的に接続し、液体を帯電させていた。ここで、検出用の電極を帯電させることによって液体の吐出を検出できれば、配線の取り回し等が容易になり都合がよい。しかし、この場合、検出用の電極に短絡等の異常が生じる可能性があり、この異常を検出する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出用電極の異常を容易に検出することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記ノズルと所定間隔を空けて対向する検出用電極と、
前記検出用電極を所定電位にする電源と、
前記ノズルからの液体の吐出によって生じた前記検出用電極の電位変化を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記検出用電極の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定する判定部と、
を有する吐出検査装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
すなわち、ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記ノズルと所定間隔を空けて対向する検出用電極と、前記検出用電極を所定電位にする電源と、前記ノズルからの液体の吐出によって生じた前記検出用電極の電位変化を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記検出用電極の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定する判定部とを有する吐出検査装置を実現できることが明らかにされる。
このような吐出検査装置によれば、検出部が検出した検出用電極の電位変化に基づき、判定部が電流の漏れの有無を判定するので、検出用電極の異常を容易に検出できる。
かかる吐出検査装置であって、前記液体は、前記所定電位よりも低い他の所定電位であることが好ましい。
このような吐出検査装置によれば、液体の吐出に起因する検出用電極の電位変化を、確実に生じさせることができる。
かかる吐出検査装置であって、前記検出部は、一方の導体が前記検出用電極と電気的に接続された検出用コンデンサを有し、前記判定部は、前記検出用コンデンサの他方の導体の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定することが好ましい。
このような吐出検査装置によれば、電位の変化成分を容易に抽出できる。
かかる吐出検査装置であって、前記検出部は、前記検出用コンデンサの他方の導体の電位変化を増幅する増幅器を有し、前記判定部は、前記増幅器によって増幅された電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定することが好ましい。
このような吐出検査装置によれば、検出用電極の異常を精度良く検出できる。
かかる吐出検査装置であって、前記判定部は、前記ノズルについて取得された前記電位変化の大きさが、第1閾値と前記第1閾値よりも所定レベル低い第2閾値とで規定される範囲内の場合に、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れが有ると判定することが好ましい。
このような吐出検査装置によれば、検出用電極の異常を精度良く検出できる。
かかる吐出検査装置であって、前記検出用電極は、前記液体を吸収する吸収材に配置されていることが好ましい。
このような吐出検査装置によれば、吐出された液体の飛散を抑制できる。
かかる吐出検査装置であって、前記判定部は、液体の連続的な吐出によって前記検出部が検出した前記検出用電極の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定することが好ましい。
このような吐出検査装置によれば、判定を精度良く行える。
また、次の吐出検査方法を実現できることも明らかにされる。
すなわち、ヘッドが有するノズルを、所定電位の検出用電極に対向させること、前記ノズルから液体を吐出させて、前記検出用電極の電位を変化させること、前記検出用電極の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定することを有する吐出検査方法を実現できることも明らかにされる。
===第1実施形態===
<吐出検査装置について>
吐出検査装置は、液体吐出装置に組み込んだ状態で用いられる。また、工程内で用いる場合には専用装置として構成することもできる。以下に説明する実施形態では、液体吐出装置に組み込まれた吐出検査装置について説明する。具体的には、図1に示すインクジェットプリンタ1(以下、単にプリンタ1ともいう。)を例に挙げて説明する。この場合、プリンタ1は、液体吐出装置の一種に相当し、吐出検査装置の一種にも相当する。
===プリンタ1の概要===
図1は、プリンタ1とコンピュータCPとを有する印刷システムを説明するブロック図である。プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。媒体は、液体が吐出される対象となる対象物である。コンピュータCPは、プリンタ1と通信可能に接続されている。プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータCPは、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に送信する。
プリンタ1は、用紙搬送機構11、キャリッジ移動機構12、駆動信号生成回路13、ヘッドユニット14、ドット抜け検出部15、キャップ機構16、検出器群17、及び、プリンタ側コントローラ18を有する。
用紙搬送機構11は用紙を搬送方向に搬送させる。キャリッジ移動機構12はヘッドユニット14が取り付けられたキャリッジCR(図3を参照)を所定の移動方向(例えば紙幅方向)に移動させる。
駆動信号生成回路13は駆動信号COM(図7を参照)を生成する。この駆動信号COMは用紙への印刷時にヘッドHD(ピエゾ素子PZT,図2Aを参照)へ印加される。また、駆動信号COMはドット抜けを検査するドット抜け検査時やノズルの吐出能力を回復させるフラッシング動作時にもヘッドHDに印加される。駆動信号COMの波形は、印刷時、ドット抜け検査時、及び、フラッシング動作時のそれぞれにおいて適宜定められる。すなわち、各動作に適した波形の駆動信号COMが生成される。ここで、駆動信号COMには吐出パルスPSが含まれる。吐出パルスPSとは、ノズルから滴状のインクを吐出させるために、ピエゾ素子PZTに所定の動作を行わせる波形(電位の変化パターン)である。駆動信号COMが吐出パルスPSを含むことから、駆動信号生成回路13はパルス生成部に相当する。
ヘッドユニット14はヘッドHDとヘッド制御部HCとを有する。ヘッドHDはインクを用紙に向けて吐出させる。ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ18からのヘッド制御信号に基づき、ヘッドHDを制御する。例えば駆動信号COMのヘッドHDへの印加を制御する。ドット抜け検出部15は各ノズルNzからインクが吐出されているか否かを検出する。キャップ機構16は、ノズルNzからのインク溶媒の蒸発を抑制したり、ノズルNzの吐出能力を回復させるため、各ノズルNzからインクを吸引する吸引動作を行ったりする。検出器群17はプリンタ1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、プリンタ側コントローラ18に出力される。プリンタ側コントローラ18はプリンタ1における全体的な制御を行う。
===プリンタ1の要部===
次に、前述した各部のうち、主要な部分について説明をする。
<ヘッドHDについて>
図2Aに示すように、ヘッドHDは、ケース21と、流路ユニット22と、ピエゾ素子ユニット23とを有する。ケース21は、ピエゾ素子ユニット23を収容して固定するための部材である。このケース21は、例えばエポキシ樹脂等の非導電性の樹脂材によって作製される。そして、ケース21の先端面には流路ユニット22が接合されている。
流路ユニット22は、流路形成基板221と、ノズルプレート222と、振動板223とを有する。流路形成基板221における一方の表面にはノズルプレート222が接合され、他方の表面には振動板223が接合されている。流路形成基板221には、圧力室224、インク供給路225、及び、共通インク室226となる空部や溝が形成されている。この流路形成基板221は、例えばシリコン基板によって作製されている。ノズルプレート222には、複数のノズルNzからなるノズル群が設けられている。このノズルプレート222は、導電性を有する板状の部材、例えば薄手の金属板によって作製されている。このノズルプレート222は、グランド線に接続されてグランド電位になっている。このグランド電位は、第1電位或いは所定電位よりも低い他の所定電位に相当する。そして、各ノズルNzから吐出されたインクは、グランド電位になる。
ノズル群について説明する。図2Bに例示したノズル群は、ノズルNzが1/180インチピッチで設けられたノズル列を複数有する。各ノズル列は、それぞれ吐出するインクの種類を定めることができる。このヘッドHDには6つのノズル列が設けられている。具体的には、図2Bの左側から順に、ブラックインクノズル列Nk、イエローインクノズル列Ny、シアンインクノズル列Nc、マゼンタインクノズル列Nm、ライトシアンインクノズル列Nlc、及び、ライトマゼンタインクノズル列Nlmである。各ノズル列は、そのノズル列に付した名前と同じ色のインクを吐出する。各ノズル列は同じ数のノズルNzで構成される。このヘッドHDでは、1つのノズル列が180個のノズルNzで構成されている。
振動板223は、例えばステンレス鋼板製の支持板227に樹脂製の弾性体膜228を積層した二重構造を採っている。振動板223における各圧力室224に対応する部分にはダイヤフラム部223aが設けられている。このダイヤフラム部223aは、ピエゾ素子ユニット23が有するピエゾ素子PZTによって変形し、圧力室224の容積を変化させる。なお、弾性体膜228や接着層等が介在していることで、ピエゾ素子PZTとノズルプレート222とは電気的に絶縁された状態になっている。
ピエゾ素子ユニット23は、ピエゾ素子群231と、固定板232とを有する。ピエゾ素子群231は櫛歯状をしている。そして、櫛歯の1つ1つがピエゾ素子PZTである。各ピエゾ素子PZTの先端面は、対応するダイヤフラム部223aが有する島部227aに接着される。固定板232は、ピエゾ素子群231を支持するとともに、ケース21に対する取り付け部となる。
ピエゾ素子PZTは、電気機械変換素子の一種であり、圧力室224内の液体に圧力変化を与えるための動作をする素子に相当する。例示したピエゾ素子PZTは、印加された駆動信号COMの電位の変化パターンに応じ、素子の長手方向に伸縮する。そして、ピエゾ素子PZTが収縮すると、ダイヤフラム部223aが引っ張られて圧力室224が膨張される。反対に、ピエゾ素子PZTが伸長すると、ダイヤフラム部223aが押されて圧力室224が収縮する。圧力室224内のインクには、圧力室224の容積の変化に起因して圧力変化が生じる。この圧力変化を利用して、ノズルNzから滴状のインク(以下、インク滴ともいう。)を吐出させることができる。例えば、圧力室224を一旦膨張させた後に急激に収縮させると、圧力室224内のインクが加圧されてノズルNzからインク滴を吐出させることができる。
<キャップ機構16について>
図3及び図4に示すように、キャップ機構16は、ノズル群が臨む空間を形成するキャップ31と、キャップ31を支持するとともに斜め上下方向に移動可能なスライダ部材32とを有する。
キャップ31は、長方形状の底部(図示せず)と底部の周縁から起立する側壁部311とを有し、ノズルプレート222と対向する上面が開放された薄手の箱状をしている。そして、底部と側壁部311で囲まれた空間にはキャッピング時にノズル群が臨む。
この空間には、フェルトやスポンジ等の多孔質材で作製されたシート状の保湿部材312が配置される。この保湿部材312にはインクが着弾するため飛散を抑制でき、キャッピング時において保湿部材312から蒸発したインク溶媒が空間に留まる。これにより、ノズルNzからのインク溶媒の蒸発を抑制できる。また、保湿部材312の表面には、検出用電極313が配設されている。この検出用電極313は、後述するドット抜け検出動作で用いられ、この動作時に600V〜1kV程度の高電位になる。この高電位は、第2電位或いは所定電位に相当する。例示した検出用電極313は、二重の矩形状に設けられた枠部313aと、枠部313aの対角同士を結ぶ対角線部313bと、枠部313aの各辺における中点同士を結ぶ十字部313cとを有している。この構造によって、広い範囲に亘って一様に帯電されるようにしている。なお、この実施形態において、インク溶媒は水であり、導電性を有する液体の一種である。このため、保湿部材312が湿った状態で検出用電極313を高電位にすると、保湿部材312の表面も同じ電位になる。この点でも、広い範囲に亘って一様に帯電されるようになる。
キャップ31の空間には、廃液チューブ314が接続されている。また、廃液チューブ314の途中には、図示しない吸引ポンプが接続されている。この吸引ポンプは、例えばローラーでチューブを挟んでチューブ内の流体(空気や液体等)を下流側に押し流すチューブポンプが用いられる。この吸引ポンプは、プリンタ側コントローラ18によって動作が制御される。吸引ポンプを動作させると、キャップ31の空間が負圧化される。これにより、キャップ31側からインクや空気を吸引することができる。なお、吸引されたインクは、廃液貯留部(図示せず)に貯められる。
スライダ部材32は、キャリッジCRがホームポジションから外れた状態において、図示しないスプリングに引っ張られてプラテンPL側に位置している(図3や図5Aに示す退避状態)。この退避状態では、キャップ31は、ノズルプレート222の表面(以下、ノズル面ともいう)よりも十分に低い位置に位置付けられる。キャリッジCRがホームポジション側へ移動すると、スライダ部材32はスプリングの引っ張り力に抗して移動する。これは、スライダ部材32に設けた当接部321にキャリッジCRが当接し、この当接部321をホームポジション側へ移動させるからである。スライダ部材32の移動に伴い、支持軸322側の部分は案内用の長孔323に沿って上昇する。また、キャップ31側の部分は、アーム部324の回動によって持ち上げられた状態となる。
キャリッジCRのホームポジション側への移動に伴い、キャップ31は、ノズル面と対向した状態を維持しつつ、ノズル面側に移動する。すなわち、斜め上方へ移動する。図5Bに示すように、ホームポジションよりも少し手前の位置までキャリッジCRが到達すると、キャップ31の開口縁(側壁部311の上端)は、ノズル面には触れないがノズル面のすぐ近くまで移動する。また、図5Cに示すように、キャリッジCRがホームポジションに到達すると、キャップ31の開口縁はノズル面に当接する。このとき、キャップ31の空間には、ノズル群を構成する各ノズルNzが臨む。
このキャップ機構16は、プリンタ1の動作や状態に応じて位置を変える。例えば、通常の印刷動作時では、図5Aのように、キャップ31は退避した状態になっている。電源オフ時や長期休止時には、図5Cのように、キャップ31の上端をノズル面に密着させてノズルNzからのインク溶媒の蒸発を抑制する。そして、ノズルNzの吐出能力を回復させるため、各ノズルNzからインクを吸引する吸引動作(吸引回復動作に相当する)を行う場合にも、キャップ31の上端をノズル面に密着させて空間の気密性を高める。すなわち、この密着状態で吸引ポンプを動作させると、キャップ31の空間を負圧化できる。この負圧はノズルNzに作用する。このため、ノズルNzを通じてヘッドHD内のインクをキャップ31の空間内に吸い出すことができる。また、ノズルNzの吐出能力を回復させるため、各ノズルNzから連続的にインク滴を吐出させるフラッシング動作(吐出回復動作に相当する)を行う場合には、図5Bのように、ノズル面とキャップ31との間に僅かな隙間を空ける。
ノズルNzの吐出能力を回復させるための回復動作に関し、前述した吸引動作及びフラッシング動作の他に、微振動動作がある。微振動動作は、インク滴が吐出されない程度の圧力変化を圧力室224内のインクに与えることで、メニスカス(ノズルNzで露出しているインクの自由表面)を吐出側と引き込み側とに移動させ、攪拌によってノズル付近の増粘インクを分散させる動作である。これらの吸引動作、フラッシング動作及び微振動動作に関し、ノズルNzの吐出能力を回復させる度合いは、吸引動作が最も高く、微振動動作が最も低い。また、各動作におけるインクの消費量は、吸引動作が最も多く、微振動動作が最も少ない。各回復動作にはこのような特性の違いがあるため、プリンタ1では、状態の違いに応じて各回復動作を使い分けている。
<ドット抜け検出部15について>
ドット抜け検出部15は、ノズル群を構成する各ノズルNzからのインクの吐出の有無を検査することにより、ドット抜けを生じさせるノズルNzを特定する。図6Aに示すように、ドット抜け検出部15は、高圧電源ユニット41、制限抵抗42、検出抵抗43、検出用コンデンサ44、増幅器45、平滑コンデンサ46、及び、検出制御部47を有する。これらの中で、高圧電源ユニット41を除く各部は、液体の吐出を検査する検査部の一種に相当する。
高圧電源ユニット41は、検出用電極313を所定電位にする電源の一種である。本実施形態の高圧電源ユニット41は、600V〜1kV程度の直流電源によって構成され、検出制御部47からの制御信号によって動作が制御される。制限抵抗42及び検出抵抗43は、高圧電源ユニット41の出力端子と検出用電極313との間に配置される。本実施形態において、制限抵抗42と検出抵抗43は、同じ抵抗値とされ、直列に接続されている。具体的には、制限抵抗42の抵抗値は1.6MΩであり、その一端は、高圧電源ユニット41の出力端子と接続され、その他端は検出抵抗43の一端と接続されている。また、検出抵抗43の抵抗値も1.6MΩであり、その他端は、検出用電極313に接続されている。
検出用コンデンサ44は、検出用電極313の電位変化成分を抽出するための素子であり、一方の導体が検出用電極313に接続され、他方の導体が増幅器45に接続されている。この検出用コンデンサ44を介在させることで、検出用電極313のバイアス成分(直流成分)を除くことができ、信号の扱いを容易にすることができる。本実施形態における検出用コンデンサ44は、容量が4700pFである。増幅器45は、検出用コンデンサ44の他端に現れる信号(電位変化)を増幅して出力する。本実施形態の増幅器45は、増幅率が4000倍のものによって構成されている。これにより、電位の変化成分を2〜3V程度の変化幅を持った電圧信号として取得できる。これらの検出用コンデンサ44及び増幅器45の組は検出部の一種に相当し、インク滴の吐出によって生じた検出用電極313の電位変化を検出する。平滑コンデンサ46は、電位の急激な変化を抑制する。本実施形態の平滑コンデンサ46は、一端が制限抵抗42と検出抵抗43とを接続する信号線に接続され、他端がグランドに接続されている。そして、その容量は0.1μFである。
検出制御部47は、ドット抜け検出部15の制御を行う部分である。図6Bに示すように、この検出制御部47は、レジスタ群47a、AD変換部47b、電圧比較部47c、及び、制御信号出力部47dを有する。レジスタ群47aは、複数のレジスタによって構成されている。各レジスタには、ノズルNz毎の判定結果や判定用の電圧閾値などが記憶される。AD変換部47bは、増幅器45から出力された増幅後の電圧信号(アナログ値)をデジタル値に変換する。電圧比較部47cは、増幅後の電圧信号に基づく振幅値の大きさを電圧閾値と比較する。制御信号出力部47dは、高圧電源ユニット41の動作を制御するための制御信号を出力する。なお、ドット抜け検出部15の動作については、後で説明する。
<プリンタ側コントローラ18について>
プリンタ側コントローラ18は、プリンタ1における全体的な制御を行う。すなわち、コンピュータCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。また、プリンタ側コントローラ18は、電源オンに伴う初期動作に伴って、或いは、印刷動作の実行に関連して、ドット抜け検出動作を行わせる。
図1に示すように、プリンタ側コントローラ18は、インタフェース部18aと、CPU18bと、メモリ18cとを有する。インタフェース部18aは、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU18bは、プリンタ1の全体的な制御を行う。メモリ18cは、コンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU18bは、メモリ18cに記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU18bは、用紙搬送機構11やキャリッジ移動機構12、キャップ機構16が有する吸引ポンプを制御する。また、ヘッドHDの動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路13に送信したりする。さらに、ドット抜け検出部15の検出制御部47と通信をし、必要な情報の送受信をする。
===ドット抜け検出動作===
次に、ドット抜け検出部15等によるドット抜け検出動作について説明する。
<ドット抜け検出について>
前述したように、このプリンタ1では、ノズルプレート222をグランドに接続してグランド電位(第1電位,他の所定電位)にし、キャップ31に配置された検出用電極313を600V〜1kV程度の高い電位(第2電位,所定電位)にしている。これらのノズルプレート222と検出用電極313とを、所定間隔d(図6Aを参照)を空けた状態で配置し、検出対象のノズルNzからインク滴を吐出させる。そして、インク滴の吐出に起因して検出用電極313側に生じた電気的な変化を検出している。すなわち、検出用電極313に生じた電位の周期的な変化を検出用コンデンサ44及び増幅器45を介して取得する。そして、図7Bに示す最高電圧VHと最低電圧VLの差である最大振幅Vmaxが、所定の閾値(後述する第1閾値TH1,図8等を参照)よりも大きければ、インクが吐出されていると判断する。
検出の原理について説明する。ノズルプレート222と検出用電極313とを所定間隔dを空けて配置したことにより、コンデンサが形成される。図6Aに示すように、グランドに接続されたノズルプレート222に接することで、ノズルNzから柱状に延びたインクもグランド電位になる。このようなインクの存在は、コンデンサの電極間隔を局部的に縮めることと同意であり、静電容量を増加させる。静電容量が大きくなると、ノズルプレート222と検出用電極313との間で蓄えることのできる電荷の量が増加する。このように静電容量が増えたり、或いは、減少した静電容量が戻ったりすると、電荷が高圧電源ユニット41から制限抵抗42等を通って検出用電極313側へ移動する。すなわち、検出用電極313へ向けて電流が流れる。このような電流(便宜上、吐出検査用電流Ifともいう)が流れると、検出抵抗43によって検出用電極313の電位が変化する。検出用電極313の電位の変化は、検出用コンデンサ44における他方の導体(増幅器45側の導体)の電位変化としても現れる。従って、他方の導体の電位変化を監視することで、インク滴が吐出されたか否かを判定できる。
図7Aは、ノズルNzの検査時に用いる駆動信号COMの一例を示す図である。図7Bは、図7Aの駆動信号COMでインクを吐出させた場合に、増幅器45から出力される電圧信号SGを説明する図である。この検査では、複数の吐出パルスPSを有する駆動信号COMを用いる。すなわち、駆動信号生成回路13は、図7Aに示す駆動信号COMを繰り返し期間T毎に繰り返し生成する。この繰り返し期間Tは、1つのノズルNzの検査に要する時間に定められる。この実施形態の繰り返し期間Tは、1kHz相当の期間に定められている。例示した駆動信号COMは、前半期間TAに生成される前半部分と後半期間TBに生成される後半部分とを有する。そして、前半部分では、複数の吐出パルスPSが所定間隔で生成される。この例では、20〜30個の吐出パルスPSが50kHz相当の間隔で生成される。後半部分では、中間電位で一定の定電位部分が生成される。
このような駆動信号COMをピエゾ素子PZTに印加すると、そのピエゾ素子PZTに対応するノズルNzからは、50kHzの周期で20〜30回、インク滴が連続的に吐出される。これにより、増幅器45からは、電圧レベルが周期的に変化する電圧信号SGが出力される。検出制御部47はこの電圧信号SGに基づく判断を行い、最大振幅Vmax(最高電圧VHと最低電圧VLの差)が第1閾値TH1よりも大きければ、検出対象のノズルNzからインクが吐出されていると判定する。ここで、検出に際しインク滴を50kHzの高い周期で連続的に吐出させているので、得られる電位変化を大きくすることができ、検出や判定の精度を高めることができる。このプリンタ1では、第1閾値TH1として3Vが定められている。このため、電圧信号SGの振幅が3Vよりも大きい場合、判定部として機能する検出制御部47は、そのノズルNzによるドット抜けはないと判定し、結果を所定のレジスタに記憶する。
図2Bで説明したように、このプリンタ1で使用されるヘッドHDには、6つのノズル列Nk〜Nlmが設けられている。そして、各ノズル列Nk〜Nlmは、180個のノズルNzで構成されている。このため、1回のドット抜け検出動作では1080個(180個×6列)のノズルNzが検査対象になる。図8に示すように、このプリンタ1では、15個のノズルNz(所定数のノズルに相当する)が1つのブロックを構成し、ブロック単位で検査を行っている。すなわち、1つのノズル列が12個のブロックに分割される。そして、或るブロックの検査期間と次のブロックの検査期間の間には、インク滴を吐出させないダミーの検査期間を設けている(便宜上、非吐出ダミー期間ともいう)。この非吐出ダミー期間は、検出用電極313にノイズが作用しているか否かを確認するための期間として設けられている。ここで、検出用電極313にノイズが作用していると判定された場合には、そのブロックについては再度検査が行われる。これにより、機械的な衝撃などによって生じた周期の短いノイズについて、その影響を抑制することができる。
全てのノズルについて検査が終了したならば、検出制御部47は、検査結果に基づいて動作を選択する。すなわち、全てのノズルNzから正常にインクが吐出されていた場合、ドット抜けを生じさせるノズルNzはないと判定して検査を終了する。この場合、検出制御部47は、ドット抜けを生じさせるノズルNzはない旨の情報をプリンタ側コントローラ18へ送信する。この情報に基づき、印刷動作が行われる。また、検出制御部47は、一部のノズルNzについてインク滴の非吐出が検出された場合、ドット抜けを生じさせるノズルNzがあると判定する。この場合、検出制御部47は、ドット抜けを生じさせるノズルNzがある旨の情報をプリンタ側コントローラ18へ送信する。この情報に基づき、ドット抜け検出動作の終了後において、ノズルNzの吐出能力を回復させるための回復動作が行われる。なお、ドット抜け検出動作については、後で詳しく説明する。
<検出用電極313における異常の検出について>
前述のドット抜け検出部15では、検出用電極313を帯電させて600V〜1kVという高い電位にしている。この検出用電極313は、上面が開放された箱状のキャップ31内に配置されており、導電性の異物が接触した場合には短絡等の異常が生じる可能性がある。また、キャップ31の傍にはノズル面を払拭するためのワイパー33が設けられているが(図3,図5Bを参照)、このワイパー33に付着したインクを通じても異常が生じる可能性がある。検出用電極313に異常が生じてしまうと、インクの吐出が正常に検出できない虞がある。
検出用電極313の異常を検出するため、一般的には、検出用電極313を帯電させるための電源ラインに分圧回路を設ける。すなわち、分圧回路によって電源電圧を分圧し、検出に適した電圧レベルの検出用電圧を取得する。そして、検出用電圧の電圧値をデジタル変換することで、検出用電極313の異常を検出する。
しかし、分圧回路を用いて検出をする場合、ドット抜け検出に用いられるべき信号源となる電荷が分圧回路を通じてリークし、検出の感度が低下してしまうという問題が生じる。また、抵抗素子そのものにノイズ(雑音)の要因があり、抵抗素子を多く設けることで電流ノイズや熱ノイズが増えてしまうという問題も生じる。このようなノイズは、高い電圧の信号を扱う回路において完全に除去することは困難である。
このような事情に鑑み、このドット抜け検出部15では、分圧回路を用いた電圧レベルの監視は行わず、吐出検査用電流Ifに起因する電気的状態の変化に基づいて、検出用電極313の異常を検出している。すなわち、検出用コンデンサ44の他方の導体の電位変化を増幅器45で増幅し、得られた電圧信号SGにおける振幅の大きさに基づいて、検出用電極313が正常であるか、そうでないかを判定する。詳しくは、検出用電極313が、第2電位の一種である所定の高電位(600V〜1kV)になっているか否かを判定する。以下、この点について説明する。
図7Bや図8に示すように、このプリンタ1では、得られた電圧信号SGにおける最大振幅Vmaxが全てのノズルNzについて3V以上である場合に、そのブロックはドット抜けなしと判定する。ここで、検出用電極313に短絡等の異常が生じた場合、短絡の態様によっては、検出用電極313とグランドとの間が抵抗で接続された状態と等しくなる。この異常時では、全てのノズルNzについて最大振幅Vmaxが小さくなる。
ドット抜け検出部15では、異常時において、最大振幅Vmaxが全てのノズルNzについて小さくなることに着目し、第1閾値TH1よりも所定の電圧レベルだけ低い第2閾値TH2を定めている。すなわち、図9に示すように、このプリンタ1では、全てのノズルNzについての最大振幅Vmaxが第1閾値TH1以下であった場合に、閾値を第2閾値TH2に変更して再度検査を行う。そして、検出制御部47は、非吐出ダミー期間を除いた検査期間において、全てのノズルNzについての最大振幅Vmaxが第1閾値TH1以下であって第2閾値TH2よりも大きい場合、言い換えれば、増幅器45によって増幅された電位変化の大きさが、第1閾値TH1と第2閾値TH2とで規定される範囲内の場合に、短絡等によって電流のリークが生じていると判断する。この判断結果は、プリンタ側コントローラ18へ出力される。プリンタ側コントローラ18は、この判断結果を受けてプリンタ1の動作を停止させる等の処理をする。
このプリンタ1における第2閾値TH2は、第1閾値TH1よりも所定レベル低く定められている。具体的には、第1閾値TH1よりも0.5V低い2.5Vに定められている。ここで、第2閾値TH2は、非吐出ダミー期間に通常生じるノイズ(増幅器45によって増幅された電位変化であって、インクの非吐出期間に通常生じる電位変化に相当する)よりも高い値に定められる。前述したように、抵抗素子にはノイズの要因がある。このノイズは、増幅器45によって増幅されるため、ある程度の大きさになってしまう。この実施形態のように、第2閾値TH2を、非吐出ダミー期間に通常生じるノイズよりも高くすることで、ノイズの影響を受け難くできる。これにより、インクの吐出に起因して生じる電気的変化の検出精度を高めることができる。
<非吐出ダミー期間について>
次に、非吐出ダミー期間について説明する。この非吐出ダミー期間は、検出用電極313に対してノイズが作用しているか否かを確認するための期間である。図8に示すように、このプリンタ1では、或るブロックの検査期間と他のブロックの検査期間との間に非吐出ダミー期間を設けている。この非吐出ダミー期間は、1つのノズルNzの検査に要する期間と同程度の長さに定められている。このように定めると、各ノズルNzについての吐出検査とノイズの有無の確認とを一定の間隔で処理でき、期間管理のための処理を軽減できる。このプリンタ1において、1つのブロックには15個のノズルNzが属する。このため、非吐出ダミー期間は、15期間おき(16番目の期間、32番目の期間・・・)に現れる。このように、1つのブロックに属するノズルNzの数を一定にし、非吐出ダミー期間が周期的に現れるようにしているので、制御上、非吐出ダミー期間であるか否かを容易に認識できる。
検出制御部47は、非吐出ダミー期間における最大振幅が規定レベルを越えた場合に、検出用電極313にノイズが作用していると判断する。例えば、この最大振幅が第1閾値TH1を越えた場合に、検出用電極313にノイズが作用していると判断する。そして、ノイズが作用していると判断した場合、検出制御部47は、ノイズが作用していると考えられるブロックについて、再度ドット抜け検出を行う。例えば、ノイズが作用していなければ図10Aの信号が得られた期間において、ノイズが作用したために図10Bに示す信号が得られたとする。この場合、ノイズが検出された非吐出ダミー期間に対応するブロックについて、再度ドット抜け検出を行う。例えば、非吐出ダミー期間において第1閾値TH1を越えるノイズが検出された場合、そのブロックについて再度ドット抜け検出が行われる。
ところで、非吐出ダミー期間に関し、その数を多くすることでノイズの検出精度を高めることができる。反面、その数を多くし過ぎると、ドット抜け検出動作に時間がかかってしまう。このプリンタ1では、検出精度と検出動作に要する時間とを考慮して1つのブロックに属するノズルNzの数を定め、ブロック同士の間に非吐出ダミー期間を設けている。すなわち、1つのブロックに属するノズルNzの数を15個に定め、ブロック同士の間に非吐出ダミー期間を設けている。これにより、必要な検出精度を得つつ、検査期間が過度に長くなる不具合を抑制している。
<ハードウェアの異常検出について>
このプリンタ1では、検出用電極313を600V〜1kV程度の高い電位(第2電位,所定電位)にしているが、断線等に代表されるハードウェアの異常が生じる場合もある。このような異常をドット抜け検出動作に伴って検出できれば、誤検出の抑制の観点、ハードウェアの保護の観点、及び、処理の効率化の観点から都合がよい。
この様な事情に鑑み、このプリンタ1では、ドット抜け検出動作において、全てのノズルNzについて増幅器45からの電圧信号SGの最大振幅Vmaxが規定レベル未満(例えば第2閾値未満)であった場合に、ノズルNzの回復動作を行う。そして、この回復動作後にドット抜け検出動作を再度行い、それでもなお全てのノズルNzについて増幅器45からの信号の振幅が規定レベル未満であった場合に、ハードウェアに異常が生じていると判断する。言い換えれば、回復動作を行う前において、全てのノズルNzがインクを吐出できないと判定され、かつ、回復動作を行った後にも全てのノズルNzがインクを吐出できないと判定された場合に、ハードウェアに異常が生じていると判定する。この判定は、回復動作を行うことにより、ノズル群を構成する各ノズルNzのうち、少なくとも1つは吐出能力が回復する事象に基づいている。
このような構成を採ると、ドット抜け検出に用いる構成を使用してハードウェアの異常を検出できるので、装置構成の簡素化が図れる。また、ドット抜け検出の動作に関連してハードウェアの異常を検出できるので、処理の効率化が図れる。なお、この異常検出の具体的な手順については後述する。
===プリンタ1の動作===
<全体的な動作について>
次に、前述の構成を有するプリンタ1について、その動作を説明する。図11は、プリンタ1の全体的な動作を示すフローチャートである。この動作は、プリンタ側コントローラ18による制御のもとで行われる。このため、メモリ18cに記憶されたコンピュータプログラムは、この動作を実現するためのコードを有する。
印刷命令の受信を契機に(S11)、ドット抜け検出動作が行われる(S12)。このドット抜け検出動作の具体的手順については後で説明するが、動作の内容は前述した通りである。簡単に説明すると、インク滴を吐出させるための動作を各ノズルNzについて行うとともに、吐出されたインク滴を検出するための動作を行う。ドット抜け検出動作が行われると、その結果に基づく判断が行われる(S13)。すなわち、プリンタ側コントローラ18は、ノズル群を構成する全てのノズルNzからインク滴が正常に吐出されていた場合に、ドット抜け無しと判断する。一方、インク滴を吐出していないノズルNzがあれば、ドット抜け有りと判断する。ドット抜けが無いと判断された場合、印刷動作が行われる(S14)。一方、ドット抜けがあると判断された場合、ドット抜け検出動作の繰り返し回数が所定回数未満であることを条件に(S15でN)、ドット抜け回復動作が行われる(S16)。このドット抜け回復動作は、例えば吸引動作やフラッシング動作である。このように、ドット抜けが検出された場合に、連動してその回復動作を行っている。これにより、ドット抜けを効果的に抑制できる。そして、ドット抜け回復動作が終了すると、ドット抜け検出動作が再度行われる(S12)。
一方、ドット抜け検出動作の繰り返し回数が所定回数に達した場合(S15でY)、電流のリークがあるか否かを判定する(S17)。ここで、繰り返し回数が所定回数に達した場合とは、ドット抜け回復動作(S16)を所定回数行ってもドット抜けが解消しなかった場合(S13でY)を意味する。このため、検出用電極313を通じた電流のリークが解消していないと判定された場合には(S17でY)、回復動作等では解消困難な電流のリークがあると考えられる。従って、電流のリークによる異常終了として一連の処理を終了する。一方、電流のリークがなかった場合には(S17でN)、事後の動作をユーザに選択させる(S18)。すなわち、ドット抜けが解消していない状態ではあるが構わずに印刷をするのか、それとも印刷をせずに強制終了させるのかを、ユーザに選択させている。この場合において、プリンタ側コントローラ18は、ディスプレイ(図示せず)にメッセージを表示させる。そして、ユーザは、操作部(図示せず)を操作して事後の処理を選択する。この選択結果は、プリンタ側コントローラ18に出力される。プリンタ側コントローラ18は、ユーザが強制終了を選択した場合には、ユーザの選択による異常終了として一連の処理を終了する。また、ユーザが印刷を選択した場合には、印刷動作を実行する(S14)。
1単位の印刷動作、例えば、1枚の用紙に対する印刷動作や1ジョブに対応する一連の印刷動作が終了すると、プリンタ側コントローラ18は、続けて印刷するデータの有無を確認する(S19)。そして、続けて印刷するデータがあれば、機能異常フラグの有無を確認する(S20)。この機能異常フラグは、以前に行われたドット抜け検出動作において、ノイズ等の影響によって検査が正常に行えなかった場合にセットされるフラグである。機能異常フラグのセットについては、後述する吐出検査の中で説明する。そして、機能異常フラグがセットされていた場合には(S20でY)、印刷動作(S14)を行う前にドット抜け検出動作が行われる(S12)。これにより、前回は途中で終了してしまったドット抜け検出動作を適当なタイミングで再度行うことができ、検出の確実性を高めることができる。機能異常フラグがセットされていなかった場合(S20でN)、プリンタ側コントローラ18は、前回のドット抜け検査動作が行われてから、所定時間が経過したか否かを判断する(S21)。そして、所定時間が経過していた場合には(S21でY)、ドット抜け検出動作を再度行う(S12)。一方、所定時間がまだ経過していない場合には(S21でN)、印刷動作が行われる(S14)。このように構成することで、長期間に亘ってドット抜け検出動作が行われないという不具合を抑制できる。例えば、1単位の印刷動作が100枚以上の繰り返し印刷する動作であったり、大判の用紙に高精細な画像を印刷する動作であったりした場合に、適当なタイミングでドット抜け検出動作が行われる(S12)。このため、ドット抜け画像が印刷されてしまう不具合を抑制できる。
<ドット抜け検出動作について>
次に、ドット抜け検出動作(S12)の具体的手順について説明する。図12は、ドット抜け検出動作の具体的手順を示すフローチャートである。このドット抜け検出動作は、キャリッジCRを検査用の位置(図5Bに示す位置)まで移動させた状態で行われる。
このドット抜け検出動作では、まず検出制御部47が第1閾値TH1を設定する(S31)。前述したように、第1閾値TH1は、インク滴の吐出が正常に行われているか否かを判定するための閾値であり、例えば3Vが定められている。第1閾値TH1を設定したならば、吐出検査が行われる(S32)。この吐出検査の具体的手順については後で説明するが、動作の内容は前述した通りである。簡単に説明すると、検査対象となるノズルNzを切り替えながらインク滴を吐出させ、増幅器45からの電圧信号SGの最大振幅Vmaxに基づいて、インク滴が吐出されたか否かをノズルNz毎に判定する。この判定結果は、検出制御部47のレジスタに記憶される。吐出検査を行ったならば、検出電圧に基づく判定が行われる(S33)。なお、吐出検査(S32)において、検出電圧(増幅器45からの信号の振幅)と第1閾値TH1の比較が行われている。このため、この判定では、個々のノズルNzについての比較結果を参照することで、少なくとも1つのノズルNzについての検出電圧が第1閾値TH1よりも高いか否かが判断される。ここで、1以上のノズルNzについての検出電圧が第1閾値TH1よりも高い場合には(S33でY)、検出用電極313を通じた電流のリークは生じていないと判定する。さらに、全てのノズルNzについての検出電圧が第1閾値TH1よりも高い場合にはドット抜け無し、すなわち非吐出ノズルはないと判定する。この場合、ドット抜け無しの情報がレジスタにセットされ、このドット抜け検出動作から復帰する。また、一部のノズルNzについての検出電圧が第1閾値TH1よりも低い場合にはドット抜け有り、すなわち非吐出ノズルが有ると判定する。この場合、ドット抜け有りの情報がレジスタにセットされ、このドット抜け検出動作から復帰する。なお、以前の処理で全ドット抜けフラグ(後述する)がセットされていた場合には、この段階で当該フラグをクリアする。これは、ドット抜け回復動作(S16)によってインクの吐出不良が回復したと考えられるからである。
一方、ステップS33の条件を満たさなかった場合、検出用電極313を通じた電流のリークや断線等のハードウェアの異常などが生じていると考えられる。この場合、検出制御部47は第2閾値TH2を設定する(S34)。前述したように、第2閾値TH2は、短絡等による検出用電極313の異常(電流リークによる異常)が生じているか否かを判定するための閾値であり、例えば2.5Vが定められている。第2閾値TH2を設定したならば、吐出検査が再度行われ(S35)、検出電圧に基づく1回目の判定が行われる(S36)。この判定では、全てのノズルNzについての検出電圧が第2閾値TH2よりも高いか否かが判定される。この条件を満たす場合には(S36でY)、前述したように、検出用電極313を通じた電流リーク等の異常が発生していると考えられる。このため、電流リークによる異常終了の処理を行う。例えば、検出用電極313への通電を停止し、異常が生じている旨のメッセージをディスプレイに表示させる。
この条件を満たさなかった場合(S36でN)、検出電圧に基づく2回目の判定が行われる(S37)。この判定では、全てのノズルNzについての検出電圧が第2閾値TH2よりも低いかが判定される。この条件を満たす場合(S37でY)、制御上、全てのノズルNzからインク滴が吐出されていないと認識されたことになる。そこで、過去の吐出検査で同じ認識がされたか否かを判断する(S38)。この判断は、全ドット抜けフラグに基づいて行われる。この全ドット抜けフラグは、全てのノズルNzについての検出電圧が第2閾値TH2よりも低く(S37でY)、かつ、以前に全ドット抜けフラグが設定されていない(S38でN)ことを条件に、レジスタに設定される(S39)。一方、ステップS38にて、同じ認識が繰り返されたと判定された場合には(S38でY)、ハードウェアの異常が生じているとして、全ドット抜けによる異常(全てのノズルNzからインク滴が吐出されていないことに起因する異常)として、一連の処理を終了する。なお、上記の条件を満たさない場合(S37でN)については、後で説明する。
全てのノズルNzからインク滴が吐出されていないとの判定が初回の場合(S38でN)、前述したように全ドット抜けフラグをレジスタにセットする(S39)。全ドット抜けフラグをセットしたならば、ドット抜け回復動作を行う(S40)。ここで行われるドット抜け回復動作は、ハードウェアの異常を検出する目的で行われる。
このプリンタ1では、ドット抜け回復動作(回復処理)の前後で全てのノズルNzからインク滴が吐出されていないことを条件に、ハードウェアの異常があると検出する。異常を確実に検出するという観点からすれば、ドット抜け回復動作では、回復の度合いが異なる複数種類の回復動作のうち、最も回復の度合いが高い種類の回復動作を行うことが望ましいといえる。このプリンタ1では吸引動作を行うことが望ましいといえる。その一方で、インクの消費量を抑制するという観点からすれば、インクの消費量の異なる複数種類の回復動作のうち、最もインクの消費量が多い種類の回復動作以外の回復動作を行うことが望ましいといえる。このプリンタ1では吸引動作によるインク消費量が最も多いので、フラッシング動作や微振動動作を行うことが望ましいといえる。
ここで、フラッシング動作と微振動動作を比較すると、フラッシング動作は、ヘッドHDから強制的にインク滴を吐出させるための動作であり、吐出能力の回復度合いは微振動動作よりも強い。ここでの回復動作は、全てのノズルNzからインク滴が吐出されていないとことに基づいて行われるので、検出の確実性を高めることとインクの消費量を抑制することとの兼ね合いからすれば、微振動動作よりもフラッシング動作の方が好ましいといえる。
また、フラッシング動作や微振動動作を行う場合には、インク滴を吐出していない不使用期間を考慮することが好ましい。すなわち、不使用期間が、インクの増粘による影響(例えば吐出不良)が顕著に現れる判定期間以上であった場合には、最も回復の度合いが強い回復動作を行うことが好ましい。このプリンタ1では吸引動作を行うことが好ましい。このようにすることで、インクの増粘に起因する吐出不良を、ハードウェアの異常と誤認する不具合を抑制することができる。
ドット抜け回復動作(S40)が行われたならば、前述の処理が再度実行される。すなわち、第1閾値TH1が設定され(S31)、吐出検査(S32)以降の一連の処理が行われる。この処理にて、全てのノズルNzについての検出電圧が第2閾値TH2よりも低い場合には(S37でY)、前述したように、同じ認識が繰り返された、すなわちドット抜け回復動作の前後で全てのノズルNzからインク滴が吐出されていないとして(S38でY)、全ドット抜けによる異常終了になる。
次に、検出電圧に基づく2回目の判定で条件を満たさなかった場合(S37でN)の処理について説明する。この場合、検出電圧は、全てのノズルNzについて第1閾値TH1よりも低く(S33でN)、かつ、一部のノズルNzについて第2閾値TH2よりも低い。このため、電流のリークが生じており、かつ、一部のノズルNzについてドット抜け(インク滴の非吐出)が生じていると考えられる。この場合には、全ドット抜けフラグがクリアされる(S41)。そして、ドット抜け有りの情報、及び、電流リーク有りの情報がレジスタにセットされて、このドット抜け検出動作から復帰する。復帰先では、ドット抜け有りの情報に基づき(S13でY)、再度ドット抜け回復動作(S16)が行われる。
ここで、電流のリークがあってドット抜けもある場合(S37でN)に、直ちにリークによる異常終了とはせずに、ドット抜け回復動作(S16)を行うようにした理由を説明する。これは、電流のリークが一時的なものであり、ドット抜け回復動作によって解消する可能性があることを考慮したものである。例えば、キャップ31とノズルプレート222との間にインクが介在して生じた電流のリークの場合、ノズルプレート222(ヘッドHD)を移動させることにより、インクが除かれることが多い。そして、ドット抜け回復動作(S16)はヘッドHDの移動を伴うので、インクが介在して生じた電流のリークであれば解消する可能性が高いからである。
また、各ノズルNzにおける吐出量が低下した場合にも、各ノズルNzの検出電圧が、第1閾値TH1以下第2閾値以上になる可能性がある。この場合、制御上は、電流のリークがあってドット抜けもある場合(S37でN)と区別することは困難である。このような場合、ドット抜け回復動作(S16)を行うことで区別をすることができる。すなわち、原因が吐出量の低下であれば、ドット抜け回復動作(S16)を行うことで吐出量が回復すると考えられる。この観点からも、本実施形態では、直ちにリークによる異常終了とはせずに、ドット抜け回復動作(S16)を行って再度ドット抜け検出動作(S12)を行うようにしている。
<吐出検査について>
次に、吐出検査(S32)の具体的手順について説明する。図13は、吐出検査の具体的手順を示すフローチャートである。この吐出検査では、まず検査対象となるノズル列が決定される(S51)。図2Bで説明したように、ヘッドHDにはノズル列が6つ設けられている。これら6つのノズル列のうち、1つのノズル列が検査対象となるノズル列として決定される。検査対象のノズル列が決定されたならば、検査対象となるブロックが決定される(S52)。図8で説明したように、1つのブロックは15個のノズルNzで構成されている。このため、1つのノズル列には12個のブロックが含まれる。ここでは、12個のブロックのうち、検査対象となる1つのブロックが決定される。例えば、1番目から15番目のノズルNzで構成される1番目のブロックが選択される。
検査対象のブロックが決定されると、そのブロックについてのインク滴の吐出及び電圧信号SGの検出が行われる(S53)。図7A、図7B及び図8で説明したように、ここでは、そのブロックに属する1つのノズルNzからインク滴を20〜30回連続的に吐出させる。そして、これらのインク滴の吐出に起因して生じる電気的な変化、すなわち吐出検査用電流Ifに起因する電気的状態の変化を、検出用コンデンサ44や増幅器45を用いて取得する。この実施形態では、個々のノズルNzに対応付けて最大振幅Vmaxを取得する。最大振幅Vmaxを取得したならば、閾値との比較が行われる。例えば、ドット抜け検出動作におけるステップS32の検出動作において、検出電圧は第1閾値TH1と比較される。また、ステップS35及びS41の検出動作において、検出電圧は第2閾値TH2と比較される。比較結果は、検出制御部47のレジスタに記憶される。例えば、比較結果用のレジスタが1ビットの場合、比較結果は、「閾値よりも高い」、「閾値以下」のように、2種類の内容で記憶される。このレジスタが2ビットの場合、比較結果は、「閾値よりも高い」、「閾値と同じ」、「閾値よりも低い」のように、3種類の内容で記憶される。
また、ステップS53の吐出処理等では、非吐出ダミー期間における最大振幅Vmaxの判定も行われる。すなわち、非吐出ダミー期間における最大振幅Vmaxが閾値よりも高いか否かが判定される。ここで、最大振幅Vmaxが閾値よりも高い場合、最大振幅Vmaxはノイズによって与えられていると考えられる。このため、対応するレジスタには検出異常を示す異常情報をセットする。この情報は、異常検出の有無判定で参照される(S54)。すなわち、この処理では、異常情報がレジスタにセットされているか否かを判定する。異常情報がセットされていなかった場合(S54でN)、検出は正常に行われたとして検査対象のブロックについての検査結果を保持する(S55)。すなわち、検査対象のブロックに属する各ノズルNzについて、比較結果を保持する。検査結果を保持したならば、検査対象のブロックが最終ブロックであるか確認し(S56)、最終ブロックでなければ次のブロックについて前述の処理を行う(S52)。最終ブロックであれば、最終ノズル列であるか確認し(S57)、最終ノズル列でなければ次のノズル列について前述の処理を行う(S51)。最終ノズル列であれば、そのノズル列の検査結果を保持し(S58)、この吐出検査から復帰する。
一方、ステップS54にて、検出異常有りと判定された場合、言い換えれば異常情報がセットされていた場合(S54でY)、そのブロックに対する吐出処理等(S53)の繰り返し数が所定回数に達していないことを条件に(S59でN)、そのブロックに対する吐出処理等(S53)が再度行われる。これにより、機械的な振動に起因する短いノイズが生じた場合において、このノイズに起因する誤検出を抑制できる。なお、所定回数は任意に定めることができる。所定回数を定めるにあたっては、1つのブロックに属するノズルNzの数や検出対象とするノイズの種類等が考慮される。このプリンタ1では、これらを考慮して所定回数を130回に定めている。
検出異常の繰り返し数が所定回数に達した場合(S59でY)、キャリッジCRの移動が行われる(S60)。このキャリッジCRの移動は、キャリッジCRを検査用の位置(例えば図5Bの位置)から印刷領域側の位置(例えば図5Aの位置)に一時的に移動させ、その後、検査用の位置に戻す処理である。この処理を行うことで、機械的な要因に伴う異常を解消できる場合がある。例えば、ワイパー33や異物による検出用電極313とノズルプレート222との短絡状態を解消できる場合がある。キャリッジCRの移動(S60)の後、この移動が所定回数に達していないことを条件に(S61でN)、そのブロックに対する吐出処理等(S53)が再度行われる。これにより、ワイパー33や異物による短絡が生じた場合において、この短絡を適時に解消できる。
キャリッジCRの移動を所定回数行っても検出異常が解消されなかった場合(S61でY)、機能異常フラグがレジスタにセットされているか否かを確認する(S62)。そして、セットされていなかった場合(S62でN)、機能異常フラグをレジスタにセットして(S63)、吐出検査から復帰する。この場合、他のブロックのドット抜け検出動作は行わずに印刷動作(S14)に移行する。これは、印刷動作を行うことで、検出異常が解消される可能性があるとの考えに基づいている。すなわち、印刷動作では、キャリッジCRの移動、用紙の搬送、各ノズルNzからのインク滴の吐出といったように、各種の動作が行われるからである。一方、機能異常フラグが既にセットされていた場合(S62でY)、異常が発生しているとして、一連の処理を終了する。これは、印刷動作を間に挟んでも検出異常が解消されないことから、何らかの異常が生じている可能性が高いという考えに基づいている。
<まとめ>
以上説明したように、このプリンタ1では、ドット抜け検出部15にて、吐出検査用電流Ifに起因する電気的状態の変化を分圧回路を介さずに取得し、取得した電気的状態の変化に基づいて検出用電極313の異常を検出している。このため、ドット抜け検出部15における構成を簡素化できる。そして、検出用電極313における電流の漏れを、検出用電極313における電位の変化に基づいて取得している。このため、検出用電極313の異常を容易に検出することができる。また、断線等に代表されるハードウェアの異常を検出するに際し、回復動作の前後にドット抜け検出動作を行い、何れの検出動作においても全てのノズルNzからインクが吐出されない場合に、異常と判定するようにしている。このため、異常を容易に判定できる。
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<異常の検出について>
前述の実施形態では、検出用電極313からの電流の漏れを、第1閾値TH1(3V)に基づく吐出検査と第2閾値TH2(2.5V)に基づく吐出検査の結果に基づいて行っていた。この電流の漏れは、インクによる1MΩ程度のリーク抵抗を介して生じる場合を想定していた。ここで、ノイズにはいろいろな種類があり、金属等の良導体が介在して電流の漏れが生じる場合もある。この場合、図14Aの上段に示す検出信号に対して、下段に示すように、検出信号よりも高い周波数のノイズが重畳されることがある。
そして、良導体による電流の漏れは、早期に検出することが好ましい。また、非吐出ダミー期間が到来する前にノイズが消滅してしまった場合、そのブロックについては正確な検出が行えない。このような場合においては、検出信号の周波数に基づいて電流の漏れを検出することが有効である。例えば、1ノズル分の検出期間において、本来得られるべき検出信号の周波数(基準の周波数に相当する)よりも高い周波数の信号が得られた場合に、看過できないノイズが発生しているとして、異常が生じていると判定する。ここで、検出信号は、増幅器45によって増幅された信号であり、検出用コンデンサ44の他方の導体における電位変化に相当する。
例えば、図14Bの例では、太線で示すように、1ノズル分の検出期間TNzで得られるべき第1閾値TH1以上の振幅を有する部分は1周期分である。このため、1ノズル分の検出期間にて、第1閾値TH1以上の振幅を有する部分が2周期分以上検出された場合、すなわち周波数が2倍以上になった場合に異常が生じていると判定する。
このように構成することで、ノイズを早期に発見できるし、非吐出ダミー期間が到来する前に消滅するノイズであっても対応できる。なお、非吐出ダミー期間におけるノイズの検出と1ノズル分の検出期間におけるノイズの検出を組み合わせて、両方の期間でノイズが検出された場合に異常と判断してもよい。この場合、検出の確実性を高めることができる。
<第2閾値TH2について>
前述した実施形態では、1種類の第2閾値TH2を定めていた。ここで、第2閾値TH2に関し、電圧値を異ならせて複数種類定めてもよい。例えば、第1閾値TH1よりも低い上側第2閾値と、この上側第2閾値よりも低い下側第2閾値とを定める。このような構成にすると、短絡等による検出用電極313の異常検出、及び、ハードウェアの異常検出の精度を高めることができる。
<ドット抜け検出動作について>
前述の実施形態では、印刷命令の受信を契機にドット抜け検出動作(S12)を行う例について説明した。ここで、ドット抜け検出動作に関し、電源オンのタイミングで行ってもよい。このように構成すると、電源オンに対応するドット抜け検出動作での検出異常が解消しなくても(S62でN)、印刷動作は行われない。そして、最初の印刷命令の受信に対応するドット抜け検出動作でも検出異常が解消しなかった場合には、機能異常フラグに基づく異常停止が行われる(S62でY)。このため、無駄な印刷が行われてしまう不具合を抑制できる。
<ハードウェアの異常検出について>
ハードウェアの異常検出に関し、インク(液体)の消費量が少ない種類の回復動作から段階的に行ってもよい。例えば、全ドット抜けフラグのセット(S38)の後、微振動動作、吐出検査、フラッシング動作、吐出検査、吸引動作、吐出検査の順に行ってもよい。この場合、微振動動作の後になされる吐出検査でインク滴の吐出が検出できれば、その後の回復処理を行わなくても済むので、インクの消費量を抑制できる。そして、最終的には吸引動作が行われるので、検出の確実性を高めることもできる。
また、インクの消費量を抑制する観点からすれば、フラッシング動作を一部のノズルNzについて行うようにしてもよい。これは、インクを吐出可能なノズルNzが1つでもあれば、断線等のハードウェアの異常を検出できるからである。
また、電流のリークはあるがドット抜けはない場合(S36でY)において、前述の実施形態では、直ちに電流のリークによる異常終了としていたが、この構成に限定されない。例えば、ステップS40と同様のドット抜け回復動作を行った後、ステップS31からの一連の処理を所定の回数繰り返して行い、それでも電流のリークが解消しない場合に異常終了させてもよい。
<ドット抜け検出部15について>
前述の実施形態では、検出用コンデンサ44によってインク滴の吐出に起因する検出用電極313の電位変化を抽出したが、この構成に限定されない。検出用電極313の電位変化分を抽出できれば、他の構成であってもよい。
また、ドット抜け検出部15を、図15A,図15Bに示すように構成してもよい。簡単に説明すると、図15Aは、ノズルプレート222に高圧電源ユニット41を接続し、検出用電極313をグランドに接続している。図15Bは、インク滴の吐出に起因するノズルプレート222側での電荷の移動(吐出検査用電流Ifの一種)に起因する、電気的な状態の変化を検出している。これらの構成であっても、インク滴の吐出を検出できる。
<液体をグランド電位にする構成について>
前述の実施形態では、導電性のノズルプレート222をグランド電位(第1電位,他の所定電位)にすることで、導電性の液体をグランド電位にするように構成したが、この構成に限定されない。すなわち、導電性の液体をグランド電位にできればよい。例えば、インク流路や圧力室224などの壁面に設けられて、ノズルNz内のインクと導通する導電性部材を設け、この導電性部材をグランド電位にしてもよい。なお、インクはグランド電位に限らず、検出用電極313との間で検出に必要な電位差があればよい。すなわち、多少のバイアスを与えてもよい。
<ノズル面について>
前述した実施形態では、ノズルプレート222の表面がノズル面であるヘッドHDを例に挙げて説明した。ここで、ノズルが流路形成基板と一体に設けられているヘッドの場合には、ノズルが設けられている部材の表面がノズル面となる。
<吐出検査装置について>
前述の実施形態では、プリンタ1に搭載された形態の吐出検査装置について説明したが、この構成に限定されない。例えば、ヘッドユニット14を検査するための専用の検査装置として構成することもできる。
<液体吐出装置について>
前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタ1を例に挙げて説明した。ここで、液体吐出装置は、プリンタ1に限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
印刷システムを説明するブロック図である。 図2Aは、ヘッドの断面図である。図2Bは、ノズルプレートをノズル面側からみた図である。 キャップ機構を説明する図である。 キャップを上方から見た図である。 図5Aは、キャップ機構の退避状態を説明する図である。図5Bは、フラッシング動作やドット抜け検出動作を行う場合におけるキャップ機構の状態を説明する図である。図5Cは、キャップがノズル面に密着した状態を説明する図である。 図6Aは、ドット抜け検出部を説明する図である。図6Bは、検出制御部を説明するブロック図である。 図7Aは、ノズルの検査時に用いる駆動信号の一例を示す図である。図7Bは、図7Aの駆動信号でインクを吐出させた場合に、増幅器から出力される電圧信号を説明する図である。 ノズル列、検査単位となるブロック、及び、ブロック毎の電圧信号の関係を説明する図である。 異なる閾値による吐出検査を説明する図である。 図10Aは、ノイズが重畳していない電圧信号を説明する図である。図10Bは、ノイズが重畳している電圧信号を説明する図である。 プリンタの全体的な動作を示すフローチャートである。 ドット抜け検出動作の具体的手順を示すフローチャートである。 吐出検査の具体的手順を示すフローチャートである。 図14Aは、電圧信号へのノイズの重畳を説明する図である。図14Bは、電圧信号の周波数に基づく異常の検出を説明する図である。 図15Aは、ドット抜け検出部の変形例を説明する図である。図15Bは、ドット抜け検出部の他の変形例を説明する図である。
符号の説明
1 プリンタ,11 用紙搬送機構,12 キャリッジ移動機構,
13 駆動信号生成回路,14 ヘッドユニット,
15 ドット抜け検出部,16 キャップ機構,
17 検出器群,18 プリンタ側コントローラ,
21 ケース,22 流路ユニット,221 流路形成基板,
222 ノズルプレート,223 振動板,
223a ダイヤフラム部,224 圧力室,
225 インク供給路,226 共通インク室,227 支持板,
227a 島部,228 弾性体膜,23 ピエゾ素子ユニット,
231 ピエゾ素子群,232 固定板,31 キャップ,
311 側壁部,312 保湿部材,313 検出用電極,
313a 枠部,313b 対角線部,313c 十字部,
32 スライダ部材,321 当接部,322 支持軸,
324 アーム部,33 ワイパー,41 高圧電源ユニット,
42 制限抵抗,43 検出抵抗,
44 検出用コンデンサ,45 増幅器,46 平滑コンデンサ,
47 検出制御部,47a レジスタ群,47b AD変換部,
47c 電圧比較部,47d 制御信号出力部,
CP コンピュータ,CR キャリッジ,PL プラテン,
HD ヘッド,HC ヘッド制御部,PZT ピエゾ素子,
T 繰り返し期間,COM 駆動信号,PS 吐出パルス,
SG 電圧信号,TH1 第1閾値,TH2 第2閾値

Claims (8)

  1. ノズルから液体を吐出するヘッドと、
    前記ノズルと所定間隔を空けて対向する検出用電極と、
    前記検出用電極を所定電位にする電源と、
    前記ノズルからの液体の吐出によって生じた前記検出用電極の電位変化を検出する検出部と、
    前記検出部が検出した前記検出用電極の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定する判定部と、
    を有する吐出検査装置。
  2. 請求項1に記載の吐出検査装置であって、
    前記液体は、
    前記所定電位よりも低い他の所定電位である、吐出検査装置。
  3. 請求項1又は2に記載の吐出検査装置であって、
    前記検出部は、
    一方の導体が前記検出用電極と電気的に接続された検出用コンデンサを有し、
    前記判定部は、
    前記検出用コンデンサの他方の導体の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定する、吐出検査装置。
  4. 請求項3に記載の吐出検査装置であって、
    前記検出部は、
    前記検出用コンデンサの他方の導体の電位変化を増幅する増幅器を有し、
    前記判定部は、
    前記増幅器によって増幅された電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定する、吐出検査装置。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の吐出検査装置であって、
    前記判定部は、
    前記ノズルについて取得された前記電位変化の大きさが、第1閾値と前記第1閾値よりも所定レベル低い第2閾値とで規定される範囲内の場合に、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れが有ると判定する、吐出検査装置。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載の吐出検査装置であって、
    前記検出用電極は、
    前記液体を吸収する吸収材に配置されている、吐出検査装置。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の吐出検査装置であって、
    前記判定部は、
    液体の連続的な吐出によって前記検出部が検出した前記検出用電極の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定する、吐出検査装置。
  8. ヘッドが有するノズルを、所定電位の検出用電極に対向させること、
    前記ノズルから液体を吐出させて、前記検出用電極の電位を変化させること、
    前記検出用電極の電位変化に基づき、前記検出用電極を通じて生じた電流の漏れの有無を判定すること、
    を有する吐出検査方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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