JP2011050976A - 球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】均質で黒鉛の球状化が良好な球状黒鉛鋳鉄を効率よく多数量産することができ、かつ、超薄型のフライパンのような湯回りが悪化しやすい製品でも、製品全体が高品質かつ均質な球状黒鉛鋳鉄製品を製造する方法を提供すること
【解決手段】本発明の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法では、予め鋳造された固形の球状黒鉛鋳鉄からなる原料を溶融炉2で再溶解する再溶解工程と、再溶解工程において、溶融炉2内をアルゴンガス雰囲気とするアルゴンガス供給工程と、溶融した溶湯Mを重力鋳造若しくは低圧鋳造用の大気に開放された鋳型に注湯する注湯工程とを備え、再溶解時に溶融炉2内をアルゴンガス雰囲気とすることで、高温で再溶解して溶湯Mの流動性を高くしても、溶湯Mのフェーディングを効果的に抑制できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、球状黒鉛鋳鉄の球状黒鉛組織を良好に保つ球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法に関する。
フライパンに代表される加熱調理容器は、鉄板をプレス成形したものや、チタンを鋳造したものや、アルミニウムにフッ素樹脂コーティングしたのもある。しかしながら、やはり鋳鉄製の加熱調理容器は、素材の熱容量が大きいことから保温性・拡散性がよく、加えて遠赤外線の発生も多く、ムラのない均一な加熱が可能となることが知られている。また、油脂との馴染みがよく焦げ付きにくいという特徴もあることからプロ含む調理人に使われている。
ところで、従来の鋳鉄製の加熱調理容器は、スキレットやダッチオーブン、或いは厚みが10mm以上あるステーキパンのような厚くて重いものが中心であった。
厚みがあるため、あまり強度は問題とはされていなかったが、材質的には脆く落下などで割れるということもあった。さらに、熱容量は極めて大きいが肉厚で暖まりにくく加熱に時間がかかるという問題もあった。また、スキレットやダッチオーブンは調理中に動かすこともなく、重量自体はあまり問題とならなかったが、フライパンや北京鍋などは、片手で揺り動かして調理することが多く、鋳鉄製のフライパンはあるにはあったが、特に女性などでは厚くて重い鋳鉄製のフライパンは実質的に使うのが困難であった。
そこで、本発明者は、この鋳鉄製の加熱調理器具を球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)製の材質とし、これまでの常識を破る底部の厚さ1.0mm以下から、1.5mm程度までの超薄型のフライパンや北京鍋のような加熱調理容器を開発し、提案した。このような超薄型の加熱調理容器は、1kgを切るこの種の物としては超軽量で女性であっても使いやすくなっただけでなく、薄くても割れにくく変形し難いものとなった。さらに、暖まりにくい従来のプレスによる鉄製品に比べ温度上昇が早いにもかかわらず、その熱容量の高さから熱の拡散性・均一性などに優れ、かつ黒鉛の含有量が多く遠赤外線の発生も大きいため、料理の全体を均一に加熱することができる。そして、鋳鉄ならではの油馴染みもよい。さらに鉄分の補給さえできる。そのため、これまでにない調理に適したフライパン等を提供することができた。
この球状黒鉛鋳鉄は、組織中に析出する黒鉛の形状が球状に近いほど強度が大きいため、以下のような黒鉛を球状化する工程が必要であった。
例えば特許文献1に示すように、高周波若しくは低周波の誘導炉を用い原料としてダクタイル銑鉄、鉄スクラップ、フェロシリコンを装入、溶解後、不活性ガスを吹き込むとともに、チル試験により溶湯が十分に精錬されたことを確認し、1500℃以上の温度で、一旦取鍋に出湯する。その後、取鍋の中でマグネシウム化合物を添加することにより溶湯中の酸素を除去した後、鋳造直前に球状黒鉛の核となるフェロシリコンなどを添加する。接種をしたら直ちに鋳型に鋳込むといった複雑な工程を踏まなくてはならない。この方法によると、溶解手段のみならず攪拌手段を設けなくてはならないため装置も複雑で大型となり、1回の溶解は通常質量100〜200kg以上の鋳鉄を処理していた。このように、原料投入から黒鉛の球状化までには長時間かかり、その都度球状黒鉛鋳鉄を生産するのは極めて煩雑な作業となっていた。
なお、この球状黒鉛鋳鉄の特性として、接種後は、直ちに砂型に鋳込まないと球状黒鉛は析出せず、わずか数分で芋虫状、芋状、三日月状黒鉛から、片状黒鉛、やがて消失し、ネズミ鋳鉄に戻ってしまうフェーディングが知られていた。もちろん球状黒鉛鋳鉄を再溶解するとフェーディングのため再び凝固しても球状黒鉛鋳鉄とはならないというのが当業者の技術常識であった。このため、球状黒鉛鋳鉄製の製品は、フェロシリコンなどの接種後、直ちに鋳込んで使い切るというのが当業者の常識であった。
そのため、100〜200kgもの鋳鉄溶湯の接種をしても、薄型のフライパンのような小物を多数砂型で鋳込む場合では、鋳造開始から完了までに時間がかかり、多数の製品を全部を鋳込むまでに球状黒鉛が消失し始めてしまう。そのため、せっかくの球状黒鉛を析出できる鋳鉄溶湯が無駄になってしまうという問題があった。また、注湯し始めと注湯完了までの時間差から最初と最後では均一な品質の球状黒鉛鋳鉄製品が鋳造できないという問題もあった。
この問題について、引用文献2では、以下のような方法で、解決している。まず予め生産した球状黒鉛鋳鉄を1150〜1300°Cの半溶融状態で黒鉛の球状化の状態を維持しつつ、鋳造をおこなうというものである。このような方法であれば、確かに球状黒鉛の消失は一定時間を抑制できるので球状黒鉛鋳鉄の再溶解は可能となる。
しかしながら、半溶融の状態では流動性が悪く、プランジャで鋳型に押し込んだりしなければ注湯できず、特に本発明者のような厚さ1.0mm以下から、1.5mm程度までの超薄型のフライパンを鋳込んだ場合、流動性がわるいため鋳型内での湯流れを損ない、型の内部の隅々まで溶湯が到達するのに時間差などが生じたり、或いは詰まってしまい、到底全体が高品質な超薄型の鋳造品ができないという問題があった。
特開2006−63396号公報 特開平9−174227号公報
以上のように特許文献1に記載された発明では、フライパンのような小さな球状黒鉛鋳鉄製の製品を一品ごと材料から生産するのは極めて時間がかかる煩雑な作業となり、生産性が著しく悪く、均質な球状黒煙鋳鉄の製品を大量に生産するができないという問題があった。
また、特許文献2に記載の発明では、たとえ、固体の球状黒鉛鋳鉄を再溶解して黒鉛の球状化を維持できても、流動性が悪いため、製品の各部分が均質な超薄型の球状黒鉛鋳鉄製の加熱調理容器を生産することができなかった。
もちろんこれらの発明を組み合わせることは本質的にできない。
そこで本発明の目的は、上記問題を解決するため、均質で黒鉛の球状化が良好な球状黒鉛鋳鉄を効率よく多数量産することができ、かつ、超薄型のフライパンのような湯回りが悪化しやすい製品でも、製品全体が高品質かつ均質な球状黒鉛鋳鉄とすることができる、球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法では、予め鋳造された固形の球状黒鉛鋳鉄からなる原料を誘導溶融炉で再溶解する再溶解工程と、当該再溶解工程において、前記誘導溶融炉内をアルゴンガス雰囲気とするアルゴンガス供給工程と、溶融した溶湯を重力鋳造若しくは低圧鋳造用の大気に開放された鋳型に注湯する注湯工程と、注湯した溶湯を冷却して凝固させる凝固工程と、凝固した球状黒煙鋳鉄からなる薄板状の鋳物を取り出す取出し工程とを備えることを要旨とする。
この発明によれば、予めマグネシウムやフェロシリコンが接種され鋳造された固形の球状黒鉛鋳鉄からなる原料を誘導溶融炉で再溶解することで、元湯生成の際に再度マグネシウムや、フェロシリコンを接種したり、成分の調整したりする必要がない。そのため、極めて少量でも必要な量だけ成分のバランスが取れた均一な元湯を生成することができる。
そのため、安定した原料で、常に均質な高品質の元湯を生成し、高品質かつ均質な球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品を多数量産することができる。
それは、これまで球状黒鉛鋳鉄の再溶解により球状黒鉛鋳鉄製の製品を製造する上で特に障害となっていた再溶解時に元湯内のC(炭素)が消失することに起因するフェーディングやチル化について、再溶解工程においてアルゴンガス雰囲気とすることで、これらを極めて効果的に抑制することができることを発明者が見出したことによる。
このため、フェーディングを心配せずに、薄板状の鋳物でも湯周りが損なわれないような流動性を維持できる温度にまで元湯を加熱することが可能となり、極めて薄い製品も重力鋳造若しくは低圧鋳造用の大気に開放された鋳型で製造可能となった。そのため、加圧や吸引・密閉などの設備が不要で、鋳っ放しでも高品質の薄板状製品が鋳造できる。
その結果、均質で良好な球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品を、極めて容易にかつ安定して大量に製造することができる。
なお、本請求項で「薄板状製品」でいう「薄板状」とは、製品の厚みが概ね5mm以内のものをいい、特に2mm以下のものをいう。例えば、0.3〜1.5mmのものでも鋳造が可能で、とりわけ、1.0〜1.2mmのものは、フライパンには理想的であり、本願発明よって初めて量産を達成できたものである。なお、このような薄肉の部分が一部にあれば、他の部分にそれよりも厚みの厚い部分を備えていてもよい。例えば、フライパンの鍋部本体の厚みが2mm以下であれば、たとえ柄の部分が10〜50mmであってもここで言う「薄肉鋳鉄製品」である。
「重力鋳造若しくは低圧鋳造用の大気に開放された鋳型」とは、加圧や吸引、或いは密閉したり、鍛造するものは除き、鋳っ放しで鋳造できる方法を広く含むものである。
請求項2に係る発明では、請求項1に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記アルゴンガス供給工程は、前記原料が前記誘導溶融炉内で溶融させる前に、予め当該誘導溶融炉内にアルゴン注入して、当該誘導溶融炉内をアルゴンガス雰囲気としておくことを要旨とする。
この発明によれば、原料を誘導溶融炉内で溶融させる前に、予め当該誘導溶融炉内にアルゴン注入することで、溶融当初から酸素が遮断された状態で、より効果的に炭素の消失を抑制できる。
請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記誘導溶融炉は、上部が開放した容器状に形成され、前記注湯工程において、当該誘導溶融炉を傾動するとともに、前記アルゴンガス供給工程によりアルゴンガス雰囲気となった誘導溶融炉内で溶融された原料を、アルゴンガス雰囲気を維持したままアルゴンガスとともに鋳型に直接注湯することを要旨とする。
この発明によれば、アルゴンガス雰囲気で再溶解させた球状黒鉛鋳鉄を、従来のように一旦取鍋に出湯することなく、誘導溶融炉を傾動させて鋳型に直接注湯するため、短時間に処理できるとともに、再溶解時のアルゴンガス雰囲気をそのまま再溶解した原料とともに移動させ、空気との接触を最小限にすることができる。このため、注湯後のフェーディングの進行を有効に抑制できる。
請求項4に係る発明では、請求項3に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記誘導溶融炉は、1回の注湯分の量の原料を溶融するとともに、前記注湯工程において、前記誘導溶融炉を傾動して、溶融した溶湯の全量を前記鋳型に直接注湯することを要旨とする。
この発明によれば、特に再溶解を1回の注湯分の量とすることで、全量を一気に注湯でき、アルゴンガスにより効果的に空気を遮断しながら短時間で注湯することができる。
請求項5に係る発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記注湯工程において、注湯前に前記鋳型内へアルゴンガスを注入しておき、予めアルゴンガス雰囲気を形成しておくことを要旨とする。
この発明によれば、さらに、鋳型内に予めアルゴンガスを注入しておくことで、注湯時・注湯後に、再溶解した原料が鋳型内で空気に暴露されることを有効に抑制する。
請求項6に係る発明では、請求項5に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記鋳型は金型であって、大気鋳造用に構成されたことを要旨とする。
この発明によれば、鋳型を金型とすることで、構造的に鋳型内を容易にアルゴンガス雰囲気としやすい。これに加え、金型は砂型等に比べて冷却効率がよくフェーディングを起こしやすい1300°Cを超す温度帯から速やかに脱することができる。もちろん、従来のシェルモールドや砂型と異なり、極めて容易に製品を量産をすることができる。
請求項7に係る発明では、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記再溶解工程の誘導溶融炉は、浮揚コイルを備えた高周波誘導炉であり、アルゴンガス雰囲気において浮揚した状態で前記原料を再溶解することを要旨とする。
この発明によれば、極めて短時間で再溶解できる。また、浮揚しながら自立的に攪拌されて均一な元湯となる。さらに、完全にアルゴンガス雰囲気中に浮揚し溶融炉壁面と接触しないため、銅合金などから形成される壁面からの不純物の溶出、コンタミネーションなどの混入も少ない。そして、浮揚した状態でそのまま注湯することもできる。
請求項8に係る発明では、請求項7に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記高周波誘導炉は、内部が円柱形の空間を備え、その底部には耐火物が配置されていることを要旨とする。
この発明によれば、この方法では、浮揚コイルを備えた高周波誘導炉において、敢えて底部に不純物の溶出などの少ない耐火物を配置することで、スラグなどを付着除去することができ、元湯の精錬に資することができる。
請求項9に係る発明では、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記溶融する溶湯の温度を1300°Cを超える温度とすることを要旨とする。
この発明によれば、アルゴンガス雰囲気下では、1300°Cを超える温度でもフェーディングが効果的に抑制されるため、従来技術のように温度を下げて半溶解で流動性が悪い状態とする必要がなくなり、1300°Cを超える温度とすることで、流動性を高め、大気鋳造においても良好な球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品を製造することができる。アルゴンガスの濃度が十分に高く、酸素の供給が効果的に断たれれば、1400°Cを超え、或いは1500°Cを超えてもフェーディングの進行はほとんどない。
請求項10に係る発明では、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記再溶解工程は、加熱開始から150秒以内で出湯を完了させることを要旨とする。
この発明によれば、再溶解の時間を短時間とすることでアルゴンガス雰囲気に空気が混入しても、フェーディングを効果的に抑制でき、かつ極めて効率的な生産ができるようになる。
請求項11に係る発明では、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記凝固工程は、注湯開始から40〜80秒で取り出し可能に凝固を完了させることを要旨とする。
この発明によれば、凝固時間を短時間とすることでアルゴンガス雰囲気に空気が混入しても、フェーディングを起こしやすい1300°Cを越す温度帯から速やかに脱することができ、かつ極めて効率的な生産ができるようになる。
請求項12に係る発明では、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記再溶解工程の加熱開始から前記凝固工程の凝固完了までの時間が、5分以内であることを要旨とする。
この発明によれば、再溶解工程においても注湯工程、凝固工程においても、短時間にすることで、効果的にフェーディングを抑制し、かつ生産効率を高めることができる。
請求項13に係る発明では、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記球状黒鉛鋳鉄は、原料を残留Mgが、0.03w%以上あるものとすることを要旨とする。
この発明によれば、球状化物質である残留Mgが十分に含まれる原料を用いることで、再溶解した原料から製造される球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の黒鉛の球状化が担保できる。
請求項14に係る発明では、請求項1乃至請求項13に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法において、前記球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品は加熱調理容器であることを要旨とする。
この発明によれば、このような高品質な薄板状製品が大気鋳造の金型で可能となったため、これを適用することでこれまでにない画期的な薄板状製品による加熱調理容器を、一定の品質で大量に生産することができる。
本発明の球状黒鉛鋳鉄製の加熱調理容器の製造方法によれば、均質で黒鉛の球状化が良好な球状黒鉛鋳鉄を効率よく多数量産することができ、かつ、超薄型のフライパンのような湯回りが悪化しやすい製品でも、製品全体が高品質かつ均質な球状黒鉛鋳鉄製品を製造することができる。
実施形態の製造装置の全体を示す平面図。 溶融炉の正面断面図。 注湯時の溶融炉の斜視図。 鋳造装置の側面図。 金型全体を示す側面図。 金型全体を示す平面図。 可動金型42をキャビティ側から見た背面図。 鋳造品CであるフライパンFを示す平面図。 鋳造品CであるフライパンFを示す底面図。 球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法の工程図。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した球状黒鉛鋳鉄製の加熱調理容器の一例であるフライパンの一実施形態を図1〜図10にしたがって説明する。
(全体構成)
図1は、球状黒鉛鋳鉄製のフライパンの製造装置1の全体を示す平面図である。固定金型41、可動金型42からなる金型を備えた鋳造装置4は、ここでは4台設けられ、一対の平行なレール3,3により、移動可能に設置されている。この略中央に、注湯点5が設定されている。図1においては、二点鎖線で示す固定金型41、可動金型42の位置により示している。この注湯点5には、各鋳造装置4の固定金型41、可動金型42が型締めされて注湯口41a、42aにより形成された注湯口を移動できるようになっている。この注湯点5に対面する位置に、溶融炉2が設置されている。この溶融炉2において、原料が再溶解され、注湯点5においてに注湯される。
(電源装置6)
電源装置6が、溶融炉2の鋳造装置4と反対側に設けられ、溶融炉2に電力を供給している。電源装置6は、400kw程度の電力を供給でき、周波数も7〜8kHzの高周波まで調整できる。
(冷却装置7)
また、冷却装置7が、溶融炉2の背面近傍に設けられ、溶融炉2を冷却するための冷却水若しくは冷媒の供給をする。
(Arガス供給装置8)
アルゴンガス供給工程に用いられるAr(アルゴン)ガス供給装置8が、溶融炉2近傍に設置され、溶融炉2内をAr雰囲気下とする。Arガス供給装置8は、図2に示す噴射ノズル29のほか、図示しないArガス貯留装置、フィルタ、レギュレータ、開閉バルブ、換気・排気装置から構成される。Arガス貯留装置は、Arを高圧ボンベで貯蔵し、フィルタにより塵、水分、油分などが除去され、レギュレータで調圧されて所定の噴射圧力とされる。そして、後述する制御装置9により、溶融炉2内の温度を監視しつつ、所定のタイミング(例えば、原料の温度が1180°Cになるときまでに)で、所定量(例えば、毎分1000cm)を、所定時間(例えば15秒)溶融炉2内に噴射ノズル29により吹き込み、溶融炉2内をAr雰囲気にすることができる。
ここでは、特に溶融炉2の開口部を覆う蓋体などをしなくても、Arガスは質量が大きいため、溶融炉2の内部に滞留する。
また、溶融炉2内で浮揚している溶湯Mの自律的攪拌や、熱による気体の流動で溶融炉2内のアルゴンガス濃度が低下するようであれば、適宜噴射ノズル29からArガスを溶融炉2内に追加して吹き込み、溶融炉2内が、一定のアルゴンガス濃度となるようにする。
(放射温度計27)
溶融炉2の上方には、放射温度計27が設けられ溶融炉2の中の金属塊S若しくは溶湯Mの表面から発する赤外線の量からその表面温度を測定し、制御装置9に送信して監視している。
Arガスにより溶融炉2が開口した状態でも空気を遮断できるため、放射温度計27による溶湯Mの温度測定が可能となっている。
なお、噴射ノズル29には、溶融により発生するガス・煙などをArガスを噴射することで除去して、放射温度計27による測定を正確にする機能も合わせて持つ。
(制御装置9)
そして、制御装置9が設けられ、溶融炉2や鋳造装置4、電源装置6、冷却装置7、Arガス供給装置8等の装置に接続されてこれらの装置の動作を制御する。この制御装置9は、詳細な図示は省くが、キーボードなどの入力装置、液晶ディスプレーなどの表示装置、鋳造工程を実施するプログラムを記憶したHDD( Hard Disk Drive)などの記憶装置を備えた周知のコンピュータとして構成されている。また、放射温度計や溶融炉2内を監視するCCDカメラ(図示せず)からの信号も入力して監視している。
(後加工装置10)
鋳造装置4の溶融炉2と反対側には、鋳込みが完了した鋳造品CであるフライパンFのバリ取り、研磨、検査などを行う後加工装置10が設置されている。
(溶融炉2)
次に、図2は、溶融炉2の正面断面図、図3は、注湯時の溶融炉2の斜視図である。図2、3を参照して溶融炉2について、詳細に説明する。
溶融炉2は、コールドクルーシブル誘導溶解法(CCIM:Cold Crucible Induction Melting )とよばれる浮揚溶解法による溶融を行う。このコールドクルーシブル誘導溶解法とは、るつぼの周囲と底面に配置されたコイルに高出力で高周波の電気を通電し、その電磁力によって溶解金属を浮揚させるとともに強力に加熱し、金属をるつぼと非接触状態で溶解させる点が特徴であり、主にTiなどの高融点、高純度金属の溶解に用いられる特殊な溶融方法で、一般には鋳鉄の溶解などには、設備コスト、ランニングコストの面から用いられることはない。
本実施形態の溶融炉2は、図2、3に示すように円柱形の溶融空間を備えた、樽状のるつぼ21と、その周囲に巻かれた高周波誘導加熱コイル22と、底面に配置された浮揚用コイル23とからなる。
底部を有する円筒形に形成されたるつぼ21は、図3に示すように、全体が正立時において縦割りの8つの銅製のセグメント21aに分割されて、形成されており、これらのセグメント21a間には磁気が通過しやすいように間隙が設けられている。この間隙には、セラミックが充填され、短時間であれば溶湯Mを保持できるようになっている。
図2に示すように、るつぼ21の内底面には、円板状の耐火物30が敷き詰められている。溶湯Mは、浮揚したときにるつぼ21の内壁に非接触の状態で浮揚するが、敢えてこの耐火物30は溶湯Mに触れるような位置に配設されている。この耐火物30は、セラミックス製で、金属などの溶出がないようになっており、溶湯Mに生じたスラグなどを付着させて溶湯Mを精錬する作用がある。
また、それぞれのセグメント21aは、冷却水が循環する冷却水通路24が設けられたウオータージャケットとして構成されている。このため、冷却装置7から供給される冷却水により冷却され、るつぼ21自身や、発熱する高周波誘導加熱コイル22や、浮揚用コイル23を冷却することができる。
高周波誘導加熱コイル22は、るつぼ21の側面につるまき状に巻回されている。そして、例えば高周波(例えば7〜8kHz)の大電力(例えば、170kw)が電源装置6から通電され、金属塊S、溶湯Mに対して渦電流を生じさせるようになっている。
また、るつぼ21の底面内部に、渦巻き状に設けられた浮揚用コイル23にも同様に電源装置6から大電力が通電され磁界を発生させる。
この溶融炉2は、るつぼ21を反転させることによりるつぼ上部から溶湯Mを鋳型に流し込む反転出湯式として構成されている。るつぼ21は、図3に示す反転軸25を備えた板状のるつぼ台26に底面が固定されており、この反転軸25は、両端が軸受け28,28に回動可能に支持されている。るつぼ台26は図示しない反転機構に駆動されて、るつぼ21の上部の開口部を注湯点5で注湯口41a,42aに向けるように反転し、溶湯Mを注湯口41a,42aに注湯する。このとき、高周波誘導加熱コイル22及び浮揚用コイル23のいずれも通電したままであるので、基本的に溶湯Mはるつぼ21には非接触のまま注湯される。
(鋳造装置4)
続いて、鋳造装置4について、図4を参照しながら説明する。図4は、図1の左方向から見た鋳造装置4の側面図である。鋳造装置4は、機台43の下部に設けられた駆動モータ45に駆動回転される2本の車軸44と、この車軸44のそれぞれに設けられた車輪45,45を備えるとともに、車輪45,45がレール3,3の上を転動する。このため、機台43は、図1に示すレール3,3上を移動することができる。
図4の機台43の左側(溶融炉2側)の上部には、固定金型41が、固定金型基台41bを介して固定されている。固定金型基台41bの固定金型41側と反対側には、鋳造品Cを固定金型41から外す為のノックピン機構41cが設けられ、図示しないノックピンで鋳造品Cを押し出すことができる。
この固定金型41と対向するように可動金型42が配置される。可動金型42は、可動金型基台42bを介して固定されている。可動金型基台42bの可動金型42側と反対側には、鋳造品Cを可動金型42から外す為のノックピン機構42cが設けられ、図示しないノックピンで鋳造品Cを押し出すことができる。可動金型基台42bは、移動機構42dにより可動金型42が固定金型41と接離可能に移動されるように構成されている。
また、可動金型基台42bは、移動機構42dと回動軸42fを介して図において反時計回りに90度回動可能に接続され、回動機構42eにより可動金型42を下方に向け、二点鎖線で示す位置に回動させることができる。
この下方に向けた可動金型42の直下方向には、搬送用のベルトコンベア46が設置され、可動金型42から離型された鋳造品Cを受け止め、後加工装置10(図1参照)方向に搬送する。
(固定金型41・可動金型42)
次に、図5、6,7を参照して、金型について説明する。
本実施形態では、鋳型として従来通常に使用される砂型に対して、金型を採用している。その理由は、砂型に対して、金型の方が、熱伝導率が高いため、冷却速度が早く、チル化しやすい1300°C以上の温度帯から速やかに脱出できるため、球状黒鉛の減少を少なくすることができるからである。
図5は、金型全体を示す側面図である。図5に示すように、金型は、固定金型41と可動金型42から構成される。固定金型41と可動金型42は、型締めされると、注湯口41aと注湯口42aとから、ロート形状の湯口カップが構成され、ここが注湯口となる。
図6は、金型全体を示す平面図である。図6に示すように、注湯口41a,42aは、溶融炉2の転動方向に沿って、長く延びるように湯口カップを形成し、図3に示す注湯時に溶融炉2の転動により注湯点5がずれても、素早く確実に溶湯Mの全量が湯口カップ内に注湯されるように構成されている。
図7は、可動金型42をキャビティ側から見た背面図である。なお、ここでは、図7を参照して可動金型42を説明するが、図示しない固定金型41の湯道、キャビティ、湯溜まり等も、フライパンFの上側か底面側かの形状の違いはあるが、両型の合わせ面を境に概ね対称的な構成となっているため、可動金型42の説明のみを行い、固定金型41の湯道、キャビティ、湯溜まり等の説明は省略する。
図7に示すように、可動金型42のキャビティ42gは、鋳造品CであるフライパンFの上側の形状を転写する形状が形成されている。そして、図5,6に示す注湯口41a、42aから形成された湯口カップに一気に注湯された溶湯Mが重力により勢いよく流れ込むように、鉛直方向にまっすぐ形成された湯道42hがキャビティ42gに連通している。このため、薄い間隔に形成されたキャビティ42gの隙間に溶湯Mが速やかに進入する。
また、フライパンFの柄の部分の周囲には、湯溜まり42iが設けられ、溶湯Mが隅々まで行き渡るようになっている。この湯溜まりは、フライパンFの容積と匹敵する程度、若しくはそれよりも大きな容量を備えている。また、この湯溜まり42iから外部に連通した排気孔42kが備えられ、内部の空気を外部に排出する。
最初に注湯された溶湯Mはキャビティ42g内に触れることで温度が低下する。そのまま湯溜まり42iがなければ溶湯Mの勢いは止まり、ゆっくり型内に拡がっていく。つまり、湯流れは注湯が進むに連れ悪くなる。また、型内の空気が溶湯M内に混入しやすくなる。このため、フライパンに気泡や亀裂ができたりする。さらに、空気中の酸素が溶湯内に溶け込むと、フェーディングが進行する虞が強くなってくる。
そこで、本発明では、最初に注湯された溶湯Mは、キャビティ42g内の空気を押し出す過程で、比較的多くの空気が混入するとともに、酸素が溶解する。そのため、予めArガスを金型内に注入している。また、最初に注湯された溶湯はキャビティ42g内に触れることで温度が低下するものの、その一方でキャビティ42g壁面の温度を上昇させる。この温度が下がった溶湯Mは、後から勢いよく注湯される温度の高い溶湯Mに押し出され、この湯溜まり42iに溜まり、製品とはならない。
つまり、最初に注湯された溶湯Mは、キャビティ42g内に存在する空気やArガスを押出し、かつキャビティ42gを温め、続いて流入する溶湯Mの温度を下げないようにしてキャビティ42gの隅々まで温度の低下していない溶湯Mを届ける役目を担う。
このような作用は、注湯口41a、42aから形成された大きな湯口カップ、注湯された溶湯Mを勢いよくキャビティ42gに流入させる湯道42h、この溢れた溶湯Mを収容する十分な容量の湯溜まり42iとの構成により可能となっている。
また、フライパンFの鍋の中央と、柄の基端部には、ノックピンの突出用のノックピン孔42j、42jが穿設される。そして、ノックピン機構42cにより駆動されるノックピンが離型時にこのノックピン孔42j、42jから突出する。なお、鋳込み時には、ノックピンの先端がちょうどノックピン孔42j、42jを平坦に塞ぎ、キャビティ42g内面と面一になっている。
(鋳造品C/フライパンF)
図8、図9は、鋳造品CであるフライパンFを示す平面図及び底面図である。フライパンFは、円形状の鍋本体51と、ここから延びる柄52を備え、鍋本体51と柄52は、一体に形成されている。このため、従来のフライパンで最も破損しやすい柄の取付部での破損は本実施形態のフライパンFでは極めて生じにくくなっている。
鍋本体51は、鋳物製のフライパンとしては極めて薄い、底面を含め厚さ1.2mmに形成されている。このため、質量は全体でもおよそ1kgで、片手で柄52を握って調理する場合でも、楽に調理できる。
一方、球状黒鉛鋳鉄は、従来の鋳物製品のようなねずみ鋳鉄に比べて強度が高く、割れたり、曲がったりしにくい。さらに、柄52の部分は、幅方向に弯曲させた形状で強度を高めている。
特に、図9に示すように、底面部には放射状のリブと、この周囲を囲む円形のリブが設けられて強度を上げているため、急激な加熱に対しても歪みが生じにくくなっている。
このため、直火、IHヒータなど熱源を問わず、利用できる。特に、IHヒータでは、渦電流による加熱が効率的であり、球状黒鉛鋳鉄の熱容量が高い特性を生かし、フライパンFが素早く加熱されるとともに、その温度が料理によって下がらずフライパン全体に均一に拡散するため、料理に対して均一な加熱が可能となる。もちろん、炭素成分の多い球状黒鉛鋳鉄は、遠赤外線を発生しやすく、料理を内面からも加熱する効果が高く、フライパン全体から遠赤外線が発生するため、ムラのない理想的な加熱ができる。
また、球状黒鉛鋳鉄では、結晶組織の間に隙間があり、ここに油脂を吸収できる。このため、調理に当り、加熱により内部より油脂が染みだし油膜が形成されるため油膜が切れず、高温でも極めて焦げ付きにくい。
このような加熱ができるので、表面はこんがり、内部はふっくらした調理が可能である。
固定金型41と可動金型42との境界部分が、フライパンFを平面視したときの輪郭部分に相当し、この部分は、レーザにより切断されているため、エッジがなく手触りが良好になっている。その他の部分も、金型の形状が綺麗に転写され、地肌は平坦である。さらに、良好な湯流れのため均一に冷却され湯境もなく、鍋肌はどの部分も均一の組織となっている。もちろん、鍋本体51の内面も、均質かつなめらかな球状黒鉛鋳鉄が露出している。このため、研磨作業は基本的に不要で、鋳込みが終了すればそのまま製品とすることができる。
(原料の球状黒鉛鋳鉄の金属塊S)
本実施形態のフライパンFの原料となる球状黒鉛鋳鉄は、周知の方法で生産した球状黒鉛鋳鉄を、質量およそ3kgの球状の金属塊に凝固したものである。
球状黒鉛鋳鉄は、JIS規格のJISG5502に準じるものをいう。
特に、本実施形態では、引張強さが450N/mm以上500N/mm未満であるFCD450を用いている。試験は、JISG5502に準じる。
他にも、引張強さが350N/mm以上400N/mm未満であるFCD350や、引張強さが400N/mm以上450N/mm未満であるFCD400も基地組織の主要部がフェライトで占められており、延びが大きく割れにくいので、フライパンFの材料としては好ましい。
一方、引張強さが500N/mm以上600N/mm未満であるFCD500等も、基地組織にパーライトが含まれるが、フェライトが優位であり材料に適している。
引張強さが600N/mm以上700N/mm未満であるFCD600などは、パーライトが優位で、フェライトの基地組織は少なくなるが、十分に使用できる。
引張強さが800N/mm以上であるFCD800でも、比較的堅くなる一方で脆くなるが、通常の使用では差し支えない。
また、再溶解するため、球状化物質である残留Mgは、0.03%以上あることが望ましい。なお、Mgに替えて、Ce,Caなどにより球状化されてもよい。
(製造方法)
次に、このように構成された球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造装置について、図10に示す球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法の工程図に沿ってその製造方法を説明する。
まず、図1に示す、電源装置6において電源投入(S1)し、電力を溶融炉2に投入する。
すると、図2に示す高周波誘導加熱コイル22及び浮揚用コイル23に電源装置6から高周波電流が供給される。ここで、原料となる球状黒鉛鋳鉄の金属塊S(図示せず)をるつぼ21に材料投入(S2)する。高周波誘導加熱コイル22と、るつぼ21内の溶湯Mとに誘起された渦電流は対向面において逆向きであることにより、相互に電磁反発力が発生し、るつぼ21と溶湯Mとは非接触状態を保つ。これにより、投入した原料である球状黒鉛鋳鉄の金属塊Sをるつぼ21に直接触れさせることがないようにして、るつぼ21の保護をするとともに、原料となる金属塊Sに不純物が付着しないようにするためである。
続いて、そして、球状黒鉛鋳鉄からなる原料を溶融炉2で急速に再溶解する再溶解工程を行う。
続いて、電源装置6から電力の出力が上げられ170kwの大電力が通電される。るつぼ21内の金属塊Sは、浮揚した状態で、誘起された渦電流のジュール熱により加熱(S3)される。
ここで、加熱開始から80秒以内に図2に示す噴射ノズル29から、溶融炉2内にArガスを15秒間充填する。
るつぼ21内の温度は、るつぼ21に向けられた放射温度計27で監視されている。るつぼ21内の金属塊Sは、およそ毎秒12°Cの割合で上昇し、およそ100秒で、1180°Cとなり、金属塊Sは、融点(液相点)超え溶融し始める。溶融を始めた金属塊S/溶湯Mは、溶湯した部分が激しく渦電流により攪拌され、全体の溶融を促す。さらに通電し、およそ130秒後に放射温度計27の湯温が1600°Cとなったら、所定の溶融温度に達したと判断し溶解(S4)が完了したと判断し、溶湯Mの温度が上昇しすぎないように、電源装置6の出力を調整し温度を維持する(S4)。
この設定温度は、薄板状球状黒鉛鋳鉄製の鋳物製品を製造するためには、少なくとも1300°Cを超える温度であることが必須である。1300°Cを超えなければ、薄板状の鋳型で鋳造するための流動性が得られないからである。
一方、流動性だけから見れば、1300°C以上であればよく、上限はない。
特に超薄型のフライパンなどでは、キャビティ内寸が小さいので、流動性の高さが求められ、かつ僅かな隙間を通過する湯は温度低下しやすい。この点からは流動性の高い1600°C以上が好ましい。
通常は、チル化を促進する1300°C以下が好ましいといえるが、本発明では、Arガス雰囲気が維持される限り、高温でもフェーディングはほとんど進行しない。
溶解に要する時間は、速ければ速いほど良いといえるが、溶解処理される質量と、これに費やされる電力に依存する。但し、本実施形態では、およそ130秒で溶解する。なお、1300°C以上でのフェーディングを考慮すると180秒以内が望まれ、さらに流動性の高い温度である1500から600°Cであれば150秒以内が好ましい。
いずれにせよ、ここで長時間溶湯Mの溶融状態を維持すると、フェーディングが生じるため、溶解を完了したら、直ちに鋳型に注湯(S5)する。
ここで、「フェーディング」について、説明する。
本実施形態の原料となる固体の球状黒鉛鋳鉄の金属塊Sは、その生成過程でMg、Ce、Ca等(球状化元素)若しくはこれらを含んだ合金(実施例ではMg)からなる脱酸・脱硫作用のある成分を添加する(球状化処理)。接種物質は、溶湯内の酸素や硫黄を減少させ、かつ、黒鉛核物質をたくさん生成させる。しかし、この物質は、接種剤が溶湯中に溶解する過程で生成されるが、不安定で時間の経過と共に分解・浮上分離・凝集しその数は急激に減少していく。これらは、酸素Oや硫黄Sとともに減少する。そればかりか、取り鍋、鋳型、耐火物、空気等とも反応してしまう。
鋳造された球状黒鉛鋳鉄の金属塊Sでは、すでに残存するMgがおよそ0.03%程度しか存在しない。一般に、Mgであれば、0.03%程度で球状化が不良となるフェーディングが始まる。そのため、従来は、一旦鋳造された球状黒鉛鋳鉄を再溶解すると、再度凝固させても良質な球状黒鉛鋳鉄はできないとされていた。
また、多量の球状黒鉛を生成させるには炭素が必要である。そこで、CE値を大幅に変化(3.9から4.6%までの範囲)させると、黒鉛の体積率は8から12%に変化するが、炭素(C)も、高温化で酸素と結合し二酸化炭素(CO)として減少する。
従って、高温化で酸素Oが供給されると、フェーディングにより球状化が損なわれるばかりか、炭素の減少も招く。
そのため、本実施形態では、溶融開始と同時に噴射ノズル29から、Arガスを、るつぼ21内に噴射する。
Arガスは空気より重いため、るつぼ21内の空気は排除され、るつぼ21内はArガス雰囲気下となり、溶湯Mは大気から遮断される。このため、このため、溶湯M内に酸素が溶解することを抑止する。特に、溶融している溶湯Mは、渦電流のために攪拌され、雰囲気と十分に接触する。このため、溶湯Mの中のOとArが置き換わる。よって、このようなArガスの精錬作用によりOがMgと結合して、進行する球状化物質のフェーディングを有効に防止することができる。また同様に、高温になったCが酸素と結びついてCOとして炭素量を減少させることに起因して球状化を妨げるフェーディングも有効に防止できる。
Arガスの噴射タイミングは、遅くとも溶解開始まで、できれば通電と同時が好ましい。球状黒鉛鋳鉄の融点は、固相点が1150°C、液相点が1180°Cであるため、少なくとも、液相点になるまでには、十分な濃度のArガス雰囲気とする。そのためには、現在の気温を20°Cとして、温度上昇を12°C/秒とすると、通電後液相点に達すまでに(1180−20)÷12≒96.7秒かかる。Arガスの注入に15秒かかるとすると、通電後およそ80秒後にArガスの注入を始めることで、原料が液相点1180°Cになったときには、原料はArガス雰囲気となって、酸素から遮断されている。
なお、溶湯M中のOを少なくすると、溶湯の流動性が高くなり、いわゆる湯回りが良好となる。このためにも、Arガスの噴射は効果的である。
ところで、浮揚用コイル23により溶湯Mは完全に浮揚させることもできるが、ここでは、あえて攪拌されている溶湯Mを耐火物30に接触させる程度に浮揚させる。このことで、溶湯M中のスラグとなった不純物を耐火物30に付着させ、溶湯Mの精錬作用が生じるようにしている。
注湯工程(S5)では、溶融した原料を鋳型に注湯する。
注湯に先立って、図4に示す状態の可動金型42は、移動機構42dにより可動金型42を固定金型41の方に移動させて、接合面を密着させる。
ここで、図3に示すように、湯口カップの開口部に向けて、噴射ノズル47が設けられ、この噴射ノズル47からArガスが噴射される。この噴射ノズル47から注湯開始の15秒前から1000cm/秒の割合でArガスが噴射され、金型内部をArガス雰囲気にする。
そして、注湯は、図3に示すように、反転式の溶融炉2が反転して、溶融炉2から直接鋳造装置4の注湯口41a、42aから形成された湯口カップに溶融した溶湯Mが全量一気に注ぎ込まれる。この注湯の量は、フライパンF一枚分の質量1kgに対して、3kgの溶湯Mが注湯される。このとき溶湯Mは、るつぼ21に触れることなく速やかに湯口カップに注湯される。注湯されると、溶湯Mは直ちに湯道42hを通り、キャビティ42gを充填する。注湯が終了すると、るつぼ21は再び反転して成立位置に戻り、通電が停止される。
なお、注湯と同時に、溶湯Mとともに溶融炉2内に貯留していたArガスも湯口カップから金型内に注ぎ込まれる。
凝固(S6)の工程では、注湯した原料を冷却して凝固させる。キャビティ42gに充填された溶湯Mは、自然冷却でも、およそ60秒で、融点/凝固点を下回り、凝固する。本実施形態の金属製の鋳型では、熱伝導率が高いため、従来の砂型に比べて極めて早い凝固を実現できる。なお、凝固時間としては、40秒以上80秒以下が望ましい。その理由は、凝固時間が40秒を下回る時間であると、急冷によるチル化(セメンタイトの生成)により、十分に黒鉛が球状化しないためである。また、80秒以下としたのは、長時間高温の状態が続けば、フェーディングの影響が出る可能性があるからである。特に金型内がArガス雰囲気にされていない場合は、顕著である。
本実施形態では、金型内の溶湯Mは、酸素量が少ないため、湯回りが良く勢いよくキャビティに流れ込み、最初の溶湯Mが金型を温めながら型内のArガスや空気を追い出す。それに続き溶湯Mは、高温のままキャビティ42g内の隅々まで溶湯Mを充填する。このように溶湯は60秒で凝固するため、この段階のフェーディングはほとんど進まない。
本実施形態では、注湯後わずか60秒で凝固するので、この凝固した鋳造物CであるフライパンFを金型から取り出す取出し工程を行う。
まず、図5に示すように、固定金型41と可動金型42は、接合面で密着されて型締めされているため、移動機構42dのロックを解除するとともに、固定金型41側のノックピン(図示せず。図7に示す可動金型42のノックピン孔42j、42jと対称な位置にある。)をノックピン機構41cにより突出させて、固定金型41のキャビティからフライパンFを離型して、鋳型開放(S7)をする。この状態では、フライパンFは可動金型42のキャビティに付着したままである。そのまま、移動機構42dにより可動金型42を固定金型41から離間する方向に移動する。次に、回動機構42eにより回動軸42fを中心に下方に90度回動させる。この状態で、可動金型42のノックピン(図7参照)をノックピン機構42cにより突出させて、可動金型42のキャビティからフライパンFを離型することで型抜き(S8)が終了する。離型したフライパンFは、ベルトコンベア46上に落下する。ベルトコンベア46上に落下したフライパンFはベルトコンベア46により後加工装置10(図1参照)の方に搬出される。
(後加工装置による加工)
鋳込みが終了した鋳造物Cは、固定金型41と可動金型42の接合面におけるバリ、湯道42h及び湯溜まり42iとの接続部分をレーザ切断機でカットする。この場合、これらの切断部分は、平面視したときにフライパンFの輪郭になる位置となり、平面視する方向からレーザ切断機でカットすれば、この工程が完了する。
基本的には、後処理(S9)は、これで完了する。後は、必要に応じて、検査、研磨や、包装などを行う。
(時間管理)
以上の、再溶解工程の開始から凝固工程完了までの所要時間は、アルゴンガス雰囲気は、酸素の混入を完全に防ぐことができないことと、溶湯の成分自体が蒸発したり、溶湯内で変化することから、アルゴンガス雰囲気であっても短いことが望まれるが、10分以内が好ましい。望ましくは5分以内で、特におよそ3分である。
特に、再溶解工程は、3分を超えず、実施形態ではおよそ130秒である。150秒内であれば、球状黒鉛の劣化はほとんど問題とならない。また、凝固工程は、本実施形態では1分以内で完了するため、この段階でも球状黒鉛の劣化はほとんど問題とならない。
なお、適切にアルゴン雰囲気が破られなければ溶湯Mの状態での時間が、1300°C以上の時間が3分以内であっても球状黒鉛の劣化はほとんど問題とならない。
上記実施形態の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、予めマグネシウムやフェロシリコンが接種され鋳造された固形の球状黒鉛鋳鉄からなる原料を誘導溶融炉で再溶解することで、元湯生成の際に再度マグネシウムや、フェロシリコンの接種をしたり、成分の調整をする必要がない。そのため、極めて少量でも必要な量だけ成分のバランスが取れた均一な元湯を生成することができる。そのため、安定した原料で、常に均質な高品質の元湯を生成し、高品質かつ均質な球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品を多数量産することができる。
それは、これまで球状黒鉛鋳鉄の再溶解により球状黒鉛鋳鉄製の製品を製造する上で障害となっていた再溶解時に元湯内のCが消失することに起因するフェーディングやチル化について、再溶解工程においてアルゴンガス雰囲気とすることで、これらを極めて効果的に抑制することができることを発明者が見出したことによる。
このため、フェーディングを心配せずに、薄板状の鋳物でも湯周りが損なわれないような流動性を維持できる温度にまで元湯を加熱することが可能となり、極めて薄い製品も重力鋳造若しくは低圧鋳造用の大気に開放された鋳型で製造可能となった。そのため、加圧や吸引・密閉などの設備が不要で、鋳っ放しでも高品質の薄板状製品が鋳造できる。
その結果、均質で良好な球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品を、極めて容易にかつ安定して大量に製造することができる。
(2)原料を溶融炉2内で溶融させる前に、予め溶融炉2内にArガスを注入することで、溶融当初から酸素が遮断された状態で、より効果的に炭素の消失を抑制できる。
(3)アルゴンガス雰囲気で再溶解させた球状黒鉛鋳鉄を、従来のように一旦取鍋に出湯することなく、溶融炉2を傾動させて鋳型に直接注湯するため、短時間に処理できるとともに、再溶解時のアルゴンガス雰囲気をそのまま再溶解した原料とともに移動させ、空気との接触を最小限にすることができる。このため、注湯後のフェーディングの進行を有効に抑制できる。
(4)特に再溶解を1回の注湯分の量とすることで、全量を一気に注湯でき、アルゴンガスにより効果的に空気を遮断しながら短時間で注湯することができる。
(5)鋳型内に予めアルゴンガスを注入しておくことで、注湯時・注湯後に、再溶解した原料が鋳型内で空気に暴露されることを有効に抑制する。
(6)鋳型を金型とすることで、構造的に鋳型内を容易にアルゴンガス雰囲気としやすい。これに加え、金型は砂型等に比べて冷却効率がよくフェーディングを起こしやすい1300°Cを超す温度帯から速やかに脱することができる。
(7)極めて短時間で再溶解できる。また、浮揚しながら自立的に攪拌されて均一な元湯となる。さらに、完全にアルゴンガス雰囲気中に浮揚し溶融炉壁面と接触しないため、銅合金などから形成される壁面からの不純物の溶出、コンタミネーションなどの混入も少ない。そして、浮揚した状態でそのまま注湯することもできる。
(8)この方法では、浮揚コイルを備えた高周波誘導炉において、敢えて底部に不純物の溶出などの少ない耐火物を配置することで、スラグなどを付着除去することができ、元湯の精錬に資することができる。
(9)アルゴンガス雰囲気下では、1300°Cを超える温度でもフェーディングが効果的に抑制されるため、従来技術のように温度を下げて半溶解で流動性が悪い状態とする必要がなくなり、1300°Cを超える温度とすることで、流動性を高め、大気鋳造においても良好な球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品を製造することができる。アルゴンガスの濃度が十分に高く、酸素の供給が効果的に断たれれば、1400°Cを超え、或いは1500°Cを超えてもフェーディングの進行はほとんどない。
(10)再溶解の時間を130秒と短時間とすることでアルゴンガス雰囲気に空気が混入しても、フェーディングを効果的に抑制でき、かつ極めて効率的な生産ができるようになる。
(11)凝固時間を60秒と短時間とすることでアルゴンガス雰囲気に空気が混入しても、フェーディングを起こしやすい1300°Cを越す温度帯から速やかに脱することができ、かつ極めて効率的な生産ができるようになる。
(12)球状化物質である残留Mgが十分に含まれる原料を用いることで、再溶解した原料から製造される球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の黒鉛の球状化が担保できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 本実施形態では、金型を用いて鋳造しているが、シェルモールドを含む砂型により鋳造するようにしてもよい。
○ 不活性ガスはArガスに替えて、Neガス、Nガス、Heガス、Krガス、Xeガス、Rnガス、COガスなどにしてもよい。
○ また、溶解を真空雰囲気若しくは金属蒸気のみの雰囲気として酸素を遮断してもよい。
1…球状黒鉛鋳鉄製のフライパンの製造装置、2…溶融炉、3…レール、4…鋳造装置、5…注湯点、6…電源装置、7…冷却装置、8…Arガス供給装置、9…制御装置、10…後加工装置、21…るつぼ、21a…セグメント、22…高周波誘導加熱コイル、23…浮揚用コイル、24…冷却水通路、25…反転軸、26…るつぼ台、27…放射温度計、28…軸受け、29・47…噴射ノズル、30…耐火物、41…固定金型、41a…注湯口、41b…固定金型基台、41c…ノックピン機構、42…可動金型、42a…注湯口、42b…可動金型基台、42c…ノックピン機構、42d…移動機構、42e…回動機構、42f…回動軸、42g…キャビティ、42h…湯道、42i…湯溜まり、42j…ノックピン孔、42k…排気孔、43…機台、44…車軸、45…車輪、46…ベルトコンベア、51…鍋本体、52…柄、C…鋳造品、F…フライパン、M…溶湯、S…金属塊

Claims (14)

  1. 予め鋳造された固形の球状黒鉛鋳鉄からなる原料を誘導溶融炉で再溶解する再溶解工程と、
    当該再溶解工程において、前記誘導溶融炉内をアルゴンガス雰囲気とするアルゴンガス供給工程と、
    溶融した溶湯を重力鋳造若しくは低圧鋳造用の大気に開放された鋳型に注湯する注湯工程と、
    注湯した溶湯を冷却して凝固させる凝固工程と、
    凝固した球状黒煙鋳鉄からなる薄板状の鋳物を取り出す取出し工程とを備える
    ことを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  2. 前記アルゴンガス供給工程は、
    前記原料が前記誘導溶融炉内で溶融させる前に、予め当該誘導溶融炉内にアルゴン注入して、当該誘導溶融炉内をアルゴンガス雰囲気としておくことを特徴とする請求項1に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  3. 前記誘導溶融炉は、上部が開放した容器状に形成され、
    前記注湯工程において、
    当該誘導溶融炉を傾動するとともに、
    前記アルゴンガス供給工程によりアルゴンガス雰囲気となった誘導溶融炉内で溶融された原料を、アルゴンガス雰囲気を維持したままアルゴンガスとともに鋳型に直接注湯することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  4. 前記誘導溶融炉は、1回の注湯分の量の原料を溶融するとともに、
    前記注湯工程において、
    前記誘導溶融炉を傾動して、溶融した溶湯の全量を前記鋳型に直接注湯することを特徴とする請求項3に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  5. 前記注湯工程において、
    注湯前に前記鋳型内へアルゴンガスを注入しておき、予めアルゴンガス雰囲気を形成しておくことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  6. 前記鋳型は金型であって、
    大気鋳造用に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  7. 前記再溶解工程の誘導溶融炉は、浮揚コイルを備えた高周波誘導炉であり、
    アルゴンガス雰囲気において浮揚した状態で
    で前記原料を再溶解することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  8. 前記高周波誘導炉は、内部が円柱形の空間を備え、その底部には耐火物が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  9. 前記溶融する溶湯の温度を1300°Cを超える温度とすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  10. 前記再溶解工程は、加熱開始から150秒以内で出湯を完了させることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  11. 前記凝固工程は、注湯開始から40〜80秒で取り出し可能に凝固を完了させることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  12. 前記再溶解工程の加熱開始から前記凝固工程の凝固完了までの時間が、5分以内であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  13. 球状黒鉛鋳鉄は、原料を残留Mgが、0.03w%以上あるものとすることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
  14. 前記球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品は加熱調理容器であることを特徴とする請求項13記載の球状黒鉛鋳鉄製の薄板状製品の製造方法。
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