JP2011048138A - スクリーン及びスクリーンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクリーン前面における部分的な成膜の回数を低減して比較的簡易に作製が可能であり、不要光の反射を防ぐ反射防止膜が形成され、かつ、投射光の反射面が適切に保護されるスクリーン及びスクリーンの製造方法を提供すること。
【解決手段】スクリーン10製造のための前段階膜成膜工程において、立体部2aの全面に前段階膜UMを膜厚の均一な状態に保って形成した後、反射膜成膜工程において斜方からの蒸着を利用して反射膜RMを形成する。さらにその後、被覆膜成膜工程において被覆膜IMを形成する。これにより、前段階膜UMと被覆膜IMとが外光OLの反射を防ぐ反射防止膜CMを形成し、かつ、反射膜RMは、被覆膜IMにより保護される。また、以上のスクリーン10の製造において、部分的な成膜の回数を反射膜RMの成膜の1回のみとし、他の成膜工程では、比較的簡易な全面成膜を適用できる。
【選択図】図3
【解決手段】スクリーン10製造のための前段階膜成膜工程において、立体部2aの全面に前段階膜UMを膜厚の均一な状態に保って形成した後、反射膜成膜工程において斜方からの蒸着を利用して反射膜RMを形成する。さらにその後、被覆膜成膜工程において被覆膜IMを形成する。これにより、前段階膜UMと被覆膜IMとが外光OLの反射を防ぐ反射防止膜CMを形成し、かつ、反射膜RMは、被覆膜IMにより保護される。また、以上のスクリーン10の製造において、部分的な成膜の回数を反射膜RMの成膜の1回のみとし、他の成膜工程では、比較的簡易な全面成膜を適用できる。
【選択図】図3
Description
本発明は、プロジェクター等の投影装置からの投射光を反射して投影画像を映し出すスクリーン及びその製造方法に関する。
投影画像に用いるスクリーンに、光の反射や散乱のための手段のほか、反射防止のための部材を用いるものが一般に知られている(例えば、特許文献1,2等参照)。特に、投影画像を反射させる反射スクリーンとして、フレネル凹面形状を有し、フレネル凹面形状のレンズ作用に寄与する面に微小な凸凹を形成しその上に反射層を設けることで、下方から斜め投射して正面側で観察可能にするものが知られている(特許文献3参照)。また、このような反射スクリーンでは、フレネル凹面形状のレンズ作用に寄与しない面には反射層を設けず反射防止層を形成することで、上方からの外光を遮断している(同上参照)。
ところで、スクリーンの前面全体には投射光の反射面を設けず部分的に当該反射面を形成する場合、より適切な状態で反射面等の成膜を行うべく例えばスクリーンの基材に対して斜方から成膜物質を入射させて蒸着を行う斜方蒸着といった高度で費用の掛かる方法を用いることがある。さらに、部分的に形成された反射面上に劣化や損傷を防止するための保護膜を形成する場合、斜方蒸着を複数回に亘って行うことがある。この場合、成膜を行う範囲を一致させるといった特に高い精度が要求されることになる。また、斜方蒸着は、回数を増やすほど時間や費用も掛かる。
そこで、本発明は、スクリーン前面における部分的な成膜の回数を低減して比較的簡易に作製可能であり、不要光の反射を防ぐ反射防止膜が形成され、かつ、投射光の反射面が適切に保護されるスクリーン及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るスクリーンは、(a)スクリーン基板の前面側に2次元的に配置される複数の立体部を備えるスクリーンであって、(b)スクリーン基板のうち、少なくとも複数の立体部の一部の領域に形成され、屈折率の異なる複数の膜要素を含む反射防止膜のうち相対的に低屈折率の最上膜を除く前段階膜と、(c)スクリーン基板のうち、複数の立体部の少なくとも投射光の入射に対応する領域に形成される反射膜と、(d)反射防止膜の最上膜を形成し、前段階膜及び反射膜の表面に連続して成膜される被覆膜とを備える。
上記スクリーンでは、反射防止膜が形成され、また、被覆膜によって反射膜が保護される。この際、被覆膜は、比較的簡易かつ安定しておりスクリーンの前面全体を成膜する全面成膜等によって、前段階膜及び反射膜の表面上に連続して成膜される。従って、上記スクリーンは、反射膜等の部分的な成膜の回数を低減させて比較的簡易に作製可能であり、得られたスクリーンにおいて、不要光の反射を防ぐ反射防止膜が形成され、かつ、投射光の反射面が適切に保護される。
また、本発明の具体的な態様又は側面によれば、前段階膜が、複数の立体部の全表面に形成され、反射膜が、前段階膜の一部の領域上に形成される。この場合、例えば反射膜をアルミ等の金属膜で構成することで、斜方蒸着等による部分的な成膜を反射膜成膜時の1回のみとすることができる。また、前段階膜は、比較的簡易な全面成膜によって形成可能である。
また、本発明の別の態様によれば、反射膜が、複数の立体部の全表面に形成され、前段階膜が、反射膜領域のうち投射光の入射に対応する領域以外の領域の少なくとも一部の領域上に形成される。この場合、反射膜を比較的簡易な全面成膜によって形成できる。また、反射防止膜のうち最上膜は、被覆膜の全面成膜によって形成されるので、部分的な成膜を行う回数を低減することができる。
また、本発明の別の態様によれば、被覆膜が、成膜物質として二酸化ケイ素を含む。この場合、最上膜を十分な強度を有するものとし、かつ、比較的簡易に低屈折率にすることができる。
また、本発明の別の態様によれば、被覆膜の膜厚が、10nm以上100nm以下である。この場合、被覆膜が、反射防止膜の最上膜として機能し、かつ、反射膜の反射特性を保ちながらこれを保護する保護膜として機能することを確保できる。
また、本発明の別の態様によれば、被覆膜が、1層の膜で構成される。この場合、比較的簡易に被覆膜を形成できる。
また、本発明の別の態様によれば、被覆膜が、反射膜の反射率を保つ、又は、増大させる2層以上の多層膜である。この場合、被覆膜によって反射膜での反射作用を劣化させないこと、又は反射作用を補強することが可能となる。
上記課題を解決するため、本発明に係るスクリーンの製造方法は、(a)スクリーン基板の前面側に2次元的に配置される複数の立体部を有するスクリーンの製造方法であって、(b)スクリーン基板のうち、少なくとも複数の立体部の一部の領域に形成され、屈折率の異なる複数の膜要素を含む反射防止膜のうち相対的に低屈折率の最上膜を除く前段階膜の成膜を行う前段階膜成膜工程と、(c)スクリーン基板のうち、複数の立体部の少なくとも投射光の入射に対応する領域に形成される反射膜の成膜を行う反射膜成膜工程と、(d)前段階膜成膜工程及び反射膜成膜工程の後、反射防止膜の最上膜を形成する被覆膜を、前段階膜及び反射膜の表面に連続して成膜する被覆膜成膜工程とを有する。
上記スクリーンの製造方法では、被覆膜と前段階膜とで構成される反射防止膜を有し、かつ、被覆膜によって保護された状態の反射膜を有するスクリーンが製造される。この際、被覆膜成膜工程において、被覆膜は、比較的簡易かつ安定しておりスクリーンの前面全体を成膜する全面成膜等によって、前段階膜及び反射膜の表面に連続して成膜される。従って、上記スクリーンの製造方法では、部分的な成膜の回数を低減させて比較的簡易にスクリーンの作製が可能であり、作製されたスクリーンは、反射防止膜によって不要光の反射を防ぐことができ、かつ、被覆膜によって投射光の反射面が適切に保護されるものとなる。
また、本発明の具体的な態様又は側面によれば、(a)前段階膜成膜工程において、前段階膜を、複数の立体部の全表面に形成し、(b)前段階膜成膜工程の後、反射膜成膜工程において、スクリーン基板に対して所定の入射角度で成膜物質を入射することにより、反射膜を、前段階膜の一部の領域上に形成する。
また、本発明の別の態様によれば、(a)反射膜成膜工程において、反射膜を、複数の立体部の全表面に形成し、(b)反射膜成膜工程の後、前段階膜成膜工程において、スクリーン基板に対して所定の入射角度で成膜物質を入射することにより、反射膜領域のうち投射光の入射に対応する領域以外の領域の少なくとも一部の領域上に形成する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係るスクリーンについて図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、投射システム1000は、反射型のスクリーン10と、画像投射装置であるプロジェクター100とを備える。スクリーン10は、樹脂により形成されるスクリーン基板1を備え、図2のように水平方向即ちx方向を長手方向とし、垂直方向即ちy方向を短手方向として設置される横長の長方形状を有する。なお、スクリーン10の前面10a即ちスクリーン基板1の前面側を加工して形成される表面には、詳しくは後述する不図示の微細構造が形成されている。また、図1に示すようにスクリーン10の正面下方に配置されるプロジェクター100は、プロジェクター本体50と、投射レンズ本体20と、反射ミラーRRとを備える。プロジェクター100を構成する各機構は、筐体SC内に収容されている。
以下、本発明の第1実施形態に係るスクリーンについて図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、投射システム1000は、反射型のスクリーン10と、画像投射装置であるプロジェクター100とを備える。スクリーン10は、樹脂により形成されるスクリーン基板1を備え、図2のように水平方向即ちx方向を長手方向とし、垂直方向即ちy方向を短手方向として設置される横長の長方形状を有する。なお、スクリーン10の前面10a即ちスクリーン基板1の前面側を加工して形成される表面には、詳しくは後述する不図示の微細構造が形成されている。また、図1に示すようにスクリーン10の正面下方に配置されるプロジェクター100は、プロジェクター本体50と、投射レンズ本体20と、反射ミラーRRとを備える。プロジェクター100を構成する各機構は、筐体SC内に収容されている。
以下、プロジェクター100によるスクリーン10への画像投射について説明する。まず、プロジェクター本体50での制御により、画像光が形成され、投射レンズ本体20から射出される。さらに、当該画像光は、反射ミラーRRでの反射により、プロジェクター100からの投射光PLとしてスクリーン10側に射出される。この際、プロジェクター100は、投射光PLを下方からスクリーン10の中心位置Oに対して入射角度αで投射する。スクリーン10に投射された投射光PLは、スクリーン10の前面10aに形成される不図示の微細凹凸構造上の反射面で前方に反射されることで、中心位置Oを通る鉛直軸LXを中心に左右対称な長方形状の画像として観察可能になる。なお、ここでは、スクリーン10及びプロジェクター100の設置環境として、室内に天吊りされた照明装置200により、上方からの外光OLによる照明がなされている。
以下、図2を用いて図1のプロジェクター100から投射される投射光PLとスクリーン10との配置関係について説明する。図2に示す投射レンズPOは、図1の投射レンズ本体20及び反射ミラーRRに対応するものであり、図2に示す投射光源点Sからの投射光PLは、図1の投射光PLと同一の投射角度でスクリーン10に入射するものとなっている。より具体的に説明すると、投射光源点Sは、スクリーン10に比較的近接した下方位置に設置され、投射光PLのスクリーン10の中心位置Oに入射する光束軸AXが入射角度αとなっている。また、ここでは、投射光源点Sからスクリーン10までの距離(即ち投射光源点Sからスクリーン10の前面10aを含む平面に垂直に下ろして交差する点である交点Hまでの距離)が投射距離dとなっている。
図示のスクリーン10のような所謂フロント投射型の場合、中心位置Oを基準として、上述した入射角度αや投射距離dによって定まる各位置での投射光PLの入射角度に応じて、前面10a上の微細凹凸構造の光学的な設計がなされることが望ましい。一方、スクリーン10は、上方からの外光OLについては前面10aで観察者のいる側に反射することのないように設計されていることが望ましい。
例えば、スクリーン10において、光吸収性物質によってスクリーン基板1を形成した場合であっても、空気中と光吸収性物質中とでの屈折率の差に伴い、光吸収性物質の表面において外光OLが部分的に反射される。従って、前面10a上において、外光OLが入射する箇所にはARコートを施す等反射防止のための処理がなされていることが望ましい。本実施形態では、上記を踏まえて前面10aの表面に所定パターンで所定形状の反射面を有する微細凹凸構造を設けるだけでなく、当該微細凹凸構造のうち反射面を除いた部分に反射防止のための処理を施したものとしている。
以下、図3を用いてスクリーン10の前面10aに設けられている表面構造を中心として、スクリーン10の構造全般について説明する。下地となるスクリーン基板1は、それ自体で外光OLを吸収する光吸収性部材ABで構成されている。光吸収性部材ABは、例えばポリ塩化ビニル樹脂に吸光材のカーボン等を添加してシート化したもの、即ち黒色ポリ塩化ビニルのシートである。光吸収性部材ABの前面側には、凹凸面である多数の立体部2aが形成されている。多数の立体部2aは、それぞれ球面状の凹曲面を有しており、スクリーン基板1の前面側に2次元的に隙間なく形成されている。多数の立体部2a上の全表面には、複数の膜で構成される前段階膜UMが形成されている。また、各立体部2a上に形成された前段階膜UMが占める領域のうち、各立体部2aの上方側即ち+y方向側の領域上には、下方(−y方向側)からの投射光PLを前方(+z方向側)に反射させるための反射面として機能する反射膜RMが形成されている。さらに、以上のようにして構成される前段階膜UM及び反射膜RM上には、前段階膜UM及び反射膜RMの双方を全面に亘って被覆する被覆膜IMが形成されている。以上のように、スクリーン10の前面10aに設けられている微細凹凸構造は、スクリーン基板1により前面側に形成される多数の立体部2a上に、前段階膜UM、反射膜RM及び被覆膜IMによる三重の層、又は前段階膜UM及び被覆膜IMによる二重の層(後述する反射防止膜CM)を備える構造となっている。
前段階膜UMは、図3の一部拡大図に示すように第1層CL1と第2層CL2とによって構成される積層膜または誘電体多層膜である。下側の第1層CL1と上側の第2層CL2とは屈折率の異なる物質により構成されている。なお、各層CL1、CL2の原材料として、例えば比較的低屈折率の二酸化ケイ素(SiO2)と高屈折率の二酸化チタン(TiO2)とを用いる。これにより、所望の屈折率差を生させることができる。
反射膜RMは、例えばアルミニウムを蒸着すること等により形成される金属膜である。また、詳しくは後述するが、反射膜RMは、各立体部2a上において前段階膜UMの一部を覆うように局所的に形成されている。
被覆膜IMは、例えば比較的低屈折率のSiO2を成膜物質としており、蒸着等によりスクリーン10の全体に亘って連続して形成されている。従って、被覆膜IMは、反射膜RMと前段階膜UMとの双方を被覆してスクリーン10の最表面を形成している。より具体的には、被覆膜IMは、反射膜RMの施される領域においては(図3の一部拡大図の一方参照)、これを覆うことによって、反射膜RMの劣化を防ぐための保護膜PMとして機能している。また、被覆膜IMは、反射膜RMの存在しない領域においては(図3の一部拡大図のもう一方参照)、前段階膜UMの最上層である第2層CL2上に形成されることによって、前段階膜UMとともに反射防止膜CMを構成している。つまり、被覆膜IMのうち、前段階膜UM上にある部分は、反射防止膜CMの最表層を構成する最上膜MMとなっている。従って、反射防止膜CMは、2層構造の前段階膜UMと1層構造の最上膜MMとによって屈折率の高低が交互になるように積層された3層構造を有するものとなっている。反射防止膜CMは、当該屈折率差を利用して光を干渉させることで反射防止の作用を生じさせている。ここで、反射防止膜CMの屈折率構造について具体的に説明すると、まず、前段階膜UMにおいて、比較的低屈折率のSiO2により下側の第1層CL1が形成されており、第1層CL1上に比較的高屈折率のTiO2により第2層CL2が形成されている。さらに、比較的高屈折率の第2層CL2の上に相対的に屈折率の低いSiO2による被覆膜IMが形成されている。反射防止膜CMは、屈折率の高低が交互に積層されたこれら3層の膜厚を適宜調整して外光OLの成分を透過又は吸収する性質を有する構成となっており、スクリーン10での外光OLの反射を防止する特性を備えるものとなっている。
以下、各立体部2a上において反射膜RMが形成される位置について説明する。上述のように、プロジェクター等からの投射光PLは、スクリーン10の下方に位置する投射光源点S(図2参照)から射出されてスクリーン10に対して放射状に拡がるように入射する。これに対応して、反射膜RMは、各立体部2aによって形成され前段階膜UMによって覆われた凹面形状の上方側の部分即ち+y方向側の部分にのみ局所的に形成されている。つまり、反射膜RMは、下方からの投射光PLに対向して形成されており、投射光PLを観察者のいる正面側へ適度に拡散させた状態で反射させるものとなっている。一方、反射膜RMは、上方からの外光OLについては、観察者のいる正面側へ反射させないものとなっている。
以上のように、スクリーン10の反射膜RMは、前面10aにおいて、投射光PLを適切に正面方向へ射出させることができ、かつ、外光OLの反射を効率的に防ぐものとなっている。さらに、前面10aにおいて、反射膜RMの形成されていない領域には反射防止膜CMが形成されており、反射防止膜CMは、既述のように、屈折率差のある多層構造を利用して光を透過又は吸収することにより、外光OLが観察者のいる正面側へ反射することを抑制している。
以下、スクリーン10の製造方法について説明する。まず、スクリーン10のうち、スクリーン基板1の作製について簡単に説明する。スクリーン基板1は、光吸収性部材ABとして、例えば上述したような黒色のポリ塩化ビニル等を原材料とするシート状の部材を主たる原材料として形成される。具体的には、例えば当該シート状部材の表面を加熱して軟化させた後、多数の立体部2aに対応する凹凸形状を有する型で当該箇所をプレス加工する。これにより、スクリーン基板1が作製される。
次に、各立体部2a上にそれぞれ形成される表面部2の製造工程について説明する。図4(A)〜4(C)は、スクリーン10のうち、多数の表面部2の形成過程について説明するための側断面図である。まず、図4(A)に示すように、全体に成膜する全面成膜により、多数の立体部2aを含む全表面に略一定の膜厚で前段階膜UMが形成される(前段階膜成膜工程)。次に、図4(B)に示すように、部分的に成膜することにより、各立体部2aを被覆する前段階膜UM上の一部の領域に反射膜RMが形成される(反射膜成膜工程)。さらに、図4(C)に示すように、全体に成膜する全面成膜により、反射膜RM及び前段階膜UMの表面に連続して被覆膜IMが形成される(被覆膜成膜工程)。以上の各成膜工程を経て多数の表面部2が形成されたスクリーン10が作製される。
以下、上記各成膜工程のうち、まず、前段階膜成膜工程について説明する。図5(A)は、前段階膜成膜工程における前段階膜UMの成膜を行うための第1製造装置の一例について説明するための側断面図である。図5(A)に示す第1製造装置300は、例えば抵抗加熱により成膜材料を蒸発させて真空蒸着による成膜を行う真空蒸着装置である。第1製造装置300は、材料源を含む蒸発源装置320と、真空容器であるチャンバー330と、チャンバー330内を真空の状態にするための排気系であり、例えばロータリポンプ等で構成される真空ポンプ340と、各部を統括して装置全体の制御を行う制御装置350とを備える。さらに、第1製造装置300は、帯状のスクリーン基板101を搬送するための移動装置360を備える。移動装置360は、帯状のスクリーン基板101を送出する送出機構360aと、スクリーン基板101を巻き取る巻取機構360bとを備える。なお、各機構360a、360bに取り付けられるモータ等は図示を省略している。蒸発源装置320は、図3に示す前段階膜UMを形成するための第1成膜物質のうち、第1層CL1を形成するための第1成分E1を射出する第1射出装置320aと、第1成膜物質のうち第2層CL2を形成するための第2成分E2を射出する第2射出装置320bとを備える。第1及び第2射出装置320a、320bは、それぞれボート上に第1及び第2成分E1、E2をマウントし、制御装置150から供給される電力を用いた抵抗加熱等により各成分E1、E2を加熱し蒸発させることで成膜を行う。これにより、蒸発源装置320は、スクリーン基板101全体への全面蒸着によって前段階膜UMを形成可能にしている。なお、帯状のスクリーン基板101は、スクリーン基板1の複数枚分(例えば100枚分)に相当する。つまり、スクリーン基板101を所定の大きさでカットしたものが1枚分のスクリーン基板1に相当する。
図5(A)に示すように、移動装置360において、帯状のスクリーン基板101は、カセットテープのようにその両端部がそれぞれ各機構360a、360bに巻き付けられた状態となっている。各機構360a、360bが一方向に同期して回転動作することにより、移動装置360は、スクリーン基板101を矢印AW1の方向に一定速度で移動させるものとなっている。また、各射出装置320a、320bは、移動装置360によって搬送されるスクリーン基板101の前面側に対向して下方に配置されており、それぞれスクリーン基板101に対して第1成膜物質である各成分E1、E2を略垂直に入射させるものとなっている。また、各射出装置320a、320bは、スクリーン基板101の全面に亘って均一に成膜がなされるように、それぞれ図5(A)中の紙面手前側から奥側にかけてライン状に配置されている。
以下、第1製造装置300の動作について説明する。まず、真空ポンプ340の排気口340aから排気がなされ、チャンバー330内部を所定値以下(例えば10−3Pa以下)の真空状態にする。次に、前段階膜UMの成膜のために各機構360a、360bを駆動させて、スクリーン基板101の処理対象部分を繰り出す。チャンバー330内で、送出機構360aからスクリーン基板101の処理対象部分が繰り出されると、まず、スクリーン基板101の処理対象部分に対して、第1射出装置320aから略垂直に射出された第1成分E1が入射する。これにより、スクリーン基板101の処理対象部分に第1層CL1が形成される。次いで、スクリーン基板101の処理対象部分に対して、第2射出装置320bから略垂直に射出された第2成分E2が入射する。これにより、スクリーン基板101の処理対象部分に第2層CL2が形成される。以上により、一対の層CL1、CL2からなる前段階膜UMが形成されたスクリーン基板101の処理対象部分は、巻取機構360bにより巻き取られる。なお、スクリーン基板101を所定のサイズでカットすることにより、前段階膜UMが施された状態のスクリーン基板1が切り出される。
以上のようにして、第1製造装置300での全面成膜により、均一な膜厚の複数の層による前段階膜UMが成膜される。特に、第1製造装置300では、一旦真空状態を形成すれば、真空を破ることなくスクリーン基板101を移動させることができるので、複数枚分のスクリーン基板1上に前段階膜UMを一括して形成することができる。
また、図5(B)に示す第1製造装置400によっても上記と同様の成膜が可能である。第1製造装置400は、第1製造装置300の変形例である。この第1製造装置400では、移動装置460を構成する各機構460a、460bが同期して双方向に回転動作することにより、スクリーン基板101が矢印AW2で示す方向に一定速度で往復移動可能となっている。また、蒸発源装置420の各射出装置420a、420bは、台座420c上で矢印AW3の方向にスライド移動可能となっている。以上のような構成により、第1製造装置400は、まず、スクリーン基板101を紙面右側に移動させるときは、射出口420dに第1射出装置420aを対向配置させておくことで前段階膜UMの第1層CL1を成膜することができる。さらに、スクリーン基板101を紙面左側に移動させるときは、蒸発源装置420内の各射出装置420a、420bをスライドさせ、射出口420dに第2射出装置420bを対向配置させておくことで前段階膜UMの第2層CL2を成膜することができる。
次に、図6を用いて反射膜成膜工程について説明する。図6は、反射膜成膜工程における反射膜RMの成膜を行うための第2製造装置の一例について説明する斜視図である。図6に示す第2製造装置500は、第1製造装置300と同様に、例えば抵抗加熱により成膜材料を蒸発させて真空蒸着による成膜を行う真空蒸着装置であり、蒸発源装置120と、チャンバー130と、真空ポンプ140と、制御装置150とを備える。蒸発源装置120は、反射膜RMを形成するための第2成膜物質W2であるアルミニウムを、中心軸CX上に設置された射出部120cから射出する。
第2製造装置500は、所定半径の円筒形状を有しており、チャンバー130により形成される内部空間ISも円筒形状となっている。蒸発源装置120は、ボート上に第2成膜物質W2をマウントし、制御装置150から供給される電力を用いた抵抗加熱等により成膜物質W2を加熱し蒸発させ、射出部120cから射出させることで成膜を行う。また、チャンバー130は、内部空間IS中に、中心軸CX、半径Rの円筒形状部分の側面に相当する内壁面130aを有する。半径Rの値及び中心軸CX上の射出部120cの位置は、図1等のスクリーン10の使用態様に応じて定められている。
図6に示すように、スクリーン基板1は、この内壁面130aに沿って設置される。より具体的に説明すると、まず、スクリーン基板1は、図6に示すように、内壁面130aに沿って筒状に配置されており、スクリーン基板1の長手方向(スクリーン10の長手方向に相当)が当該円筒形状の円周方向となっている。なお、スクリーン基板1は、ホルダ等(不図示)により内壁面130aに沿ってスクリーン10の使用態様に応じた高さ位置で固定されている。
以下、第2製造装置500の動作について説明する。まず、真空ポンプ140の排気口140aから排気がなされ、チャンバー130内部を所定値以下(例えば10−3Pa以下)の真空状態にする。次に、蒸発源装置120の第2成膜物質W2が加熱されて、蒸発する。ここで、チャンバー130内は、所望の真空状態となっているため、第2成膜物質W2の射出軌道EVは、図6に矢印で示すように蒸発源装置120から放射状になる。これにより、図4(B)に示すような反射膜RMの形成に対応して、第2成膜物質W2がスクリーン基板1上の適所に堆積する(反射膜成膜工程)。
以上のように成膜される反射膜RMは、スクリーン10のどこにおいても各立体部2aの上方側に形成されている。これにより、反射膜RMは、上方から入射する外光OLを反射することを極力回避するものとなっている。また、半径Rの値は、図2に示す投射光PLの投射距離dに対応し、射出部120cの位置は、図2に示す投射光PLの投射光源点Sに対応して調整されている。これにより、反射膜RMは、スクリーン10の使用態様に対応したものとなっており、投影装置等からの投射光PLの反射効率の劣化を防ぐべく考慮された形状になっている。
最後に、被覆膜成膜工程について説明する。上述したように、被覆膜IMは、前段階膜UMと同様に、スクリーン基板1の全面に蒸着する全面成膜により形成される。従って、例えば図5(A)の第1製造装置300を用いて、前段階膜成膜工程と同様の工程により、成膜を行うことができる。具体的には、まず、図5(A)において、反射膜成膜工程を経たスクリーン基板1を多数枚用意し、これらをシート状の支持部材に固定して帯状に並べたものを、図5(A)のスクリーン基板101に代えて移動装置360に取り付ける。また、第1射出装置320aにおいて、第1成分E1に代えて、被覆膜IMを構成する第3成膜物質W3を配置する。一方、第2射出装置320bについては使用しない。上記のような状態で第1製造装置300を動作させることにより、図4(C)に示すような被覆膜IMが前面10aに形成される。以上により、スクリーン10が製造される。なお、この場合も、全面成膜により、多数枚のスクリーン基板1上の前段階膜UM及び反射膜RMを覆うように被覆膜IMを一括して形成することができる。
以上のように、本実施形態に係るスクリーン10の製造方法では、まず、前段階膜成膜工程において、前段階膜UMを膜厚の均一な状態に保って形成した後、反射膜成膜工程において斜方からの蒸着を利用して反射膜RMを形成する。さらにその後、被覆膜成膜工程において被覆膜IMを成膜する。つまり、製造されるスクリーン10は、まず、前段階膜UMが複数の立体部2aの全表面に形成され、次に、反射膜RMが前段階膜UMの一部の領域上に形成され、最後に被覆膜IMが前段階膜UM及び反射膜RMを覆う構造となっている。これにより、スクリーン10において、前段階膜UMと被覆膜IMとが不要光である外光OLの反射を防ぐ反射防止膜CMを形成し、かつ、反射膜RMは、被覆膜IMにより保護されるものとなる。また、特に、この場合、スクリーン10の製造において、高い技術を必要とする斜方蒸着法による部分的な成膜の回数は、反射膜成膜工程における反射膜RMの成膜の1回のみとし、他の成膜工程では、比較的簡易な全面成膜を適用できる。
上記のように、被覆膜IMのうち、反射膜RM上に形成されたものは、反射膜RMを保護する保護膜PMとして機能する。一方、前段階膜UM上に構成された被覆膜IMは、反射防止膜CMの最上膜MMとして機能する。前段階膜UMと被覆膜IMとは、いずれも膜厚を制御して形成されているので、前段階膜UMと被覆膜IMとによって構成される反射防止膜CMは、反射防止特性の高いものとなる。ここで、被覆膜IMの膜厚は、10nm以上100nm以下(より好ましくは20nm以上50nm以下)の範囲で定められている。これにより、被覆膜IMは、反射膜RMの反射特性を妨げることなく、反射膜RMが損傷したり剥がれたりすることや酸化等の劣化を抑制する保護膜PMとして機能することが確保される。また、定められた被覆膜IMの膜厚に応じて、前段階膜UMを構成する第1及び第2層CL1,CL2の膜厚が調整されている。これにより、前段階膜UM及び被覆膜IMは、協働して反射防止膜CMとしての機能を備えるものとなっている。
図7は、図3等に示すスクリーン10の変形例である。図7に示すスクリーン110では、スクリーン基板1について、光吸収性部材ABに代えて、透明部材TB及び光吸収面BMを用いている。つまり、例えばスクリーン基板1は、透明のポリ塩化ビニル等を透明部材TBとして用い、透明部材TBの裏面側に黒色インクを塗布することで光吸収面BMを形成する構成であってもよい。この場合、例えば、スクリーン110において、反射防止膜CMの膜厚を調整して光透過性の構成とすれば、外光OLを反射防止膜CM及び透明部材TBで透過させ、光吸収面BMで吸収させることができる。
なお、反射防止膜CMには光を透過させるタイプと吸収させるタイプがある。光を透過させるタイプの反射防止膜CMを適用する場合は、図3のようにスクリーン基板1がそれ自体で外光OLを吸収するものか、図7のようにスクリーン基板1が透明部材でその裏面側に光吸収面BMを有するものである必要がある。光を吸収させるタイプは、光を透過させるタイプよりも高価であるが、スクリーン基板1の特性は限定されない。
図8は、図3等に示すスクリーン10の他の変形例である。図8に示すスクリーン210において、各表面部102は、凸曲面形状を有するものとなっている。なお、この場合、反射膜RMは、投射光PLの入射方向に対応して、各立体部102a上において、下方側即ち−y方向側に形成される。
なお、以上において、前段階膜UMは、いずれも第1層CL1及び第2層CL2による2層構造としているが、単層構造としてもよく、2層以上の多層構造としてもよい。前段階膜UMが2層以上の多層膜である場合は、一部の層において比較的高屈折率の層と比較的低屈折率の層とが隣り合っていればすべての層において屈折率差の高低が交互である必要は無く、スクリーン基板1上に蒸着される層が比較的低屈折率の層である必要もない。
〔第2実施形態〕
図9は、第2実施形態に係るスクリーンの側断面図である。本実施形態に係るスクリーン310は、スクリーン10を変形したものであり、スクリーン基板1と、反射膜RMと、前段階膜UMと、被覆膜IMとを備える。
図9は、第2実施形態に係るスクリーンの側断面図である。本実施形態に係るスクリーン310は、スクリーン10を変形したものであり、スクリーン基板1と、反射膜RMと、前段階膜UMと、被覆膜IMとを備える。
本実施形態に係るスクリーン310は、まず、反射膜RMを複数の立体部2aの全表面に形成し、次に、前段階膜UMを反射膜RMの一部の領域上に形成し、最後に被覆膜IMを形成する構造となっている。従って、反射膜RMと前段階膜UMとの形成過程が第1実施形態に示したスクリーン10とは異なる。具体的には、このスクリーン310の製造においては、先に、反射膜成膜工程として多数の立体部2aの全面に亘って反射膜RMが形成され、その後、前段階膜成膜工程として前段階膜UMが斜方からの蒸着を利用して形成されている。つまり、先に全面成膜によってスクリーン310の前面310a全体に反射膜RMを形成した後、図1等に示す投射光PLの入射に対応する領域に反射膜RMが露出した状態で残るように、言い換えれば反射膜RMが形成された領域のうち投射光PLの入射に対応する領域以外の領域の少なくとも一部の領域上に前段階膜UMを斜方蒸着等により形成している。
なお、本実施形態においても、被覆膜IMは、スクリーン310の全体に亘って形成され、反射膜RMと前段階膜UMとの双方を被覆している。つまり、被覆膜IMは、前段階膜UMが施されていない領域においては(図9の一部拡大図の一方参照)、反射膜RMを覆う保護膜PMとして機能する。また、被覆膜IMは、前段階膜UMの形成された領域においては(図9の一部拡大図のもう一方参照)、前段階膜UM上に形成されることによって、前段階膜UMとともに反射防止膜CMを構成する最上膜MMとして機能する。なお、本実施形態における反射防止膜CMは透過型反射防止膜でなく吸収型反射防止膜であり、反射防止膜CMの下の反射膜RMで光が反射されることはない。
以上のように、スクリーン310の前面310aにおいて、多数の表面部302の各立体部2a上に反射膜RMと、前段階膜UMと、被覆膜IMとがそれぞれ形成された構成であることから、スクリーン310は、反射防止膜CMにより反射膜RM以外の領域に入射する外光OLの反射を的確に防止し、かつ、保護膜PMにより反射膜RMの劣化を抑制するものとなっている。
本実施形態の場合、反射膜RMを、比較的簡易な全面成膜によって形成できる。また、多層膜構造を有する反射防止膜CMの形成において、最上層である最上膜MMについては、被覆膜IMの全面成膜によって形成されるので、部分的な成膜を行う回数を低減することができる。
なお、前段階膜UMは、第1層CL1及び第2層CL2による2層構造も可能であるが、単層構造としてもよい。この場合、斜方蒸着等による部分的な成膜を1回のみとすることができる。また、前段階膜UMは2層以上の多層構造としてもよく、この場合は、一部の層において比較的高屈折率の層と比較的低屈折率の層とが隣り合っていればすべての層において屈折率差の高低が交互である必要は無く、反射膜RM上に蒸着される層が比較的低屈折率の層である必要もない。
〔第3実施形態〕
図10(A)及び10(B)は、第3実施形態に係るスクリーンについて説明する図である。本実施形態に係るスクリーン410は、前段階膜UM及び被覆膜IMの構造を除いて第1実施形態に示したスクリーン10と同様であるので、図10(A)及び10(B)によって被覆膜IM等の一部拡大図をのみを示し、他の構造についての詳細な説明を省略する。
図10(A)及び10(B)は、第3実施形態に係るスクリーンについて説明する図である。本実施形態に係るスクリーン410は、前段階膜UM及び被覆膜IMの構造を除いて第1実施形態に示したスクリーン10と同様であるので、図10(A)及び10(B)によって被覆膜IM等の一部拡大図をのみを示し、他の構造についての詳細な説明を省略する。
図10(A)及び10(B)に示すスクリーン410において、前段階膜UMは薄い金属膜により形成され、被覆膜IMは比較的低屈性のSiO2により形成され、それぞれ単層構造となっている。図10(A)に示すように、被覆膜IMは、反射膜RMの存在する領域において、これを保護する保護膜PMとして機能する。一方、図10(B)に示すように、被覆膜IMは、反射膜RMの存在しない領域においては、前段階膜UM上に形成されることによって、反射防止膜CMの最上層である最上膜MMとして機能する。この際、反射防止膜CMは、金属膜で構成される前段階膜UMと比較的低屈折率のSiO2によって構成される被覆膜IMとの2層構造により、特に反射防止性の高いものとなっている。
本実施形態においても、以上のような構成により、スクリーン410に形成される反射膜RMと、前段階膜UMと、被覆膜IMとにより、反射膜RM以外の領域に入射する外光OLの反射が的確に防止され、かつ、反射膜RMの劣化を抑制する保護膜PMとして機能するものとなっている。
図11(A)及び11(B)は、第4実施形態に係るスクリーンについて説明する図である。本実施形態に係るスクリーン510は、被覆膜IMの構造を除いて第1実施形態に示したスクリーン10と同様であるので、図11(A)及び11(B)によって被覆膜IM等の一部拡大図をのみを示し、他の構造についての詳細な説明を省略する。
図11(A)及び11(B)に示すスクリーン510において、被覆膜IMは、第1層IM1と第2層IM2と第3層IM3とによって構成される積層膜または誘電体多層膜である。第1層IM1及び第3層IM3と第2層IM2とは、それぞれ屈折率の異なる物質により構成されている。なお、第1及び第3層IM1、IM3の原材料としては、例えば比較的低屈折率の二酸化ケイ素(SiO2)を用い、第2層IM2の原材料としては、比較的高屈折率の二酸化チタン(TiO2)とを用いる。これにより、所望の屈折率差を生させることができる。図11(A)に示すように、被覆膜IMは、反射膜RMの存在する領域において、反射膜RMの反射率を保つ又は増大させる増反射効果を有し反射膜RMを保護する保護膜PMとして機能する。一方、図11(B)に示すように、被覆膜IMは、反射膜RMの存在しない領域においては、前段階膜UM上に形成されることによって、反射防止膜CMの表面側3層の最上膜MMとして機能する。なお、被覆膜IMは、第1層IM1〜第3層IM3による3層構造としているが、3層以上の多層構造としてもよく、その場合は、最上膜が比較的低屈折率であって一部の層において比較的高屈折率の層と比較的低屈折率の層とが隣り合っていればすべての層において屈折率差の高低が交互である必要は無く、第1層目が比較的低屈折率の層である必要もない。
本実施形態においても、以上のような構成により、スクリーン510に形成される反射膜RMと、前段階膜UMと、被覆膜IMとにより、反射膜RM以外の領域に入射する外光OLの反射が的確に防止され、かつ、反射膜RMの反射効果を維持又は増大させながら劣化を抑制する保護膜PMとして機能するものとなっている。
以上、各実施形態について説明してきたが、上記各実施形態は、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
まず、上記各実施形態では、斜方から成膜物質を入射させて行う成膜工程において、図6に示す第2製造装置500を用い、スクリーン基板1を円筒形状のチャンバー130に沿って固定させて成膜の処理を行うものとしているが、第2製造装置500での成膜工程の処理については、他の製造装置を用いて行うことも可能である。例えば、図12(A)、12(B)に示す第2製造装置700により、斜方からの成膜の処理を行ってもよい。より具体的に説明すると、第2製造装置700は、平面上に配置されたスクリーン基板1に対して所定の角度から成膜物質Wを射出させるための蒸発源装置720と、蒸発源装置720から斜めに入射する成膜物質Wを遮断する一対のマスクSTとを備える。第2製造装置700では、図中矢印AWの方向にスクリーン基板1を平行移動させながら蒸発源装置720から反射膜や被覆膜となるべき成膜物質Wを射出して成膜を行う。この場合、一対のマスクST間のスリットSLを通過する間のみ成膜物質Wがスクリーン基板1上に蒸着し、それ以外の角度のついた状態でスクリーン基板1に入射する成膜物質Wは、一対のマスクSTにより遮断されスクリーン基板1に付着しない。この結果、第2製造装置700は、図6等の第2製造装置500によって作製されるものと同様な状態の反射膜等の成膜をすることができるものとなっている。
また、反射膜RMの形成において、第2成膜物質W2としてアルミニウムを用いているが、反射膜RMを金属膜で形成する場合、アルミニウムの他にも、例えば銀等を用いることも可能である。
また、上記では、第2製造装置500において、蒸発源装置120の射出部120cを中心軸CX上に設置して成膜を行うものとしているが、射出部120cの設置位置は、中心軸CX上だけでなくその近傍にあってもよい。
また、上記では、第2製造装置500において、チャンバー130の内壁面130aをスクリーン基板1の設置ための内壁面に用いているが、スクリーン基板1の設置ための内壁面をチャンバー130内に別途設けてもよい。
また、上記では、第1製造装置300等において、全面成膜の方法として、真空蒸着法を用いているが、全面成膜を行う場合、これに限らず、例えばイオンアシスト法、スパッタ法等の物理成膜法又は物理蒸着法を用いることもできる。
また、各施形態において、被覆膜IMは、単層構造又は2層構造で形成されているとしているが、被覆膜IMが3層以上の多層膜構造により構成するものとしてもよい。
また、上記各実施形態に示す成膜方法は、いずれもスクリーン前面に凹凸形状を有し、当該凹凸形状の一部の領域に反射膜を有する種々のスクリーンについて適応可能であり、例えば、スクリーン前面にプリズム状の面を有するものやシリンドリカル形状の凹凸形状もの、フレネル状のもの等についても、上記と同様の前段階膜UMや反射膜RM等の成膜が可能である。
また、2次元的に配置される多数の立体部2aの配置パターンは、任意であり、例えば、xy方向即ちスクリーン10の縦横方向について格子状に配置することができる。また、例えば、図2の交点Hを中心とする同心円上に並べて配置することもできる。
10,110,210,310,410,510…スクリーン、 1…スクリーン基板、 2a…立体部、 2…表面部、 UM…前段階膜、 RM…反射膜、 IM…被覆膜、 MM…最上膜、 PM…保護膜、 CM…反射防止膜、 100…プロジェクター、 300,400…第1製造装置、 500…第2製造装置、 120,320…蒸発源装置、 120a,120b,320a,320b…射出装置、 130…チャンバー
Claims (10)
- スクリーン基板の前面側に2次元的に配置される複数の立体部を備えるスクリーンであって、
前記スクリーン基板のうち、少なくとも前記複数の立体部の一部の領域に形成され、屈折率の異なる複数の膜要素を含む反射防止膜のうち相対的に低屈折率の最上膜を除く前段階膜と、
前記スクリーン基板のうち、前記複数の立体部の少なくとも投射光の入射に対応する領域に形成される反射膜と、
前記反射防止膜の最上膜を形成し、前記前段階膜及び前記反射膜の表面に連続して成膜される被覆膜と
を備えるスクリーン。 - 前記前段階膜は、前記複数の立体部の全表面に形成され、前記反射膜は、前記前段階膜の一部の領域上に形成される、請求項1記載のスクリーン。
- 前記反射膜は、前記複数の立体部の全表面に形成され、前記前段階膜は、前記反射膜領域のうち投射光の入射に対応する領域以外の領域の少なくとも一部の領域上に形成される、請求項1記載のスクリーン。
- 前記被覆膜は、成膜物質として二酸化ケイ素を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のスクリーン。
- 前記被覆膜の膜厚は、10nm以上100nm以下である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のスクリーン。
- 前記被覆膜は、1層の膜で構成される、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のスクリーン。
- 前記被覆膜は、前記反射膜の反射率を保つ、又は、増大させる2層以上の多層膜である、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のスクリーン。
- スクリーン基板の前面側に2次元的に配置される複数の立体部を有するスクリーンの製造方法であって、
前記スクリーン基板のうち、少なくとも前記複数の立体部の一部の領域に形成され、屈折率の異なる複数の膜要素を含む反射防止膜のうち相対的に低屈折率の最上膜を除く前段階膜の成膜を行う前段階膜成膜工程と、
前記スクリーン基板のうち、前記複数の立体部の少なくとも投射光の入射に対応する領域に形成される反射膜の成膜を行う反射膜成膜工程と、
前記前段階膜成膜工程及び前記反射膜成膜工程の後、前記反射防止膜の最上膜を形成する被覆膜を、前記前段階膜及び前記反射膜の表面に連続して成膜する被覆膜成膜工程と
を有するスクリーンの製造方法。 - 前記前段階膜成膜工程において、前記前段階膜を、前記複数の立体部の全表面に形成し、
前記前段階膜成膜工程の後、前記反射膜成膜工程において、前記スクリーン基板に対して所定の入射角度で成膜物質を入射することにより、前記反射膜を、前記前段階膜の一部の領域上に形成する、請求項8記載のスクリーンの製造方法。 - 前記反射膜成膜工程において、前記反射膜を、前記複数の立体部の全表面に形成し、
前記反射膜成膜工程の後、前記前段階膜成膜工程において、前記スクリーン基板に対して所定の入射角度で成膜物質を入射することにより、前記反射膜領域のうち投射光の入射に対応する領域以外の領域の少なくとも一部の領域上に形成する、請求項8記載のスクリーンの製造方法。
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