JP2011048030A - トナー及び現像剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂(b)を含有し、メタノール溶媒により抽出されるメタノール可溶成分の含有量が、トナー重量に対して6重量%以下であるトナー。
(2)前記ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)の表面に、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)が付着した構造の樹脂粒子(C)を含有する(1)に記載のトナー。
【選択図】なし
Description
静電荷像の現像に使用されるトナーは、一般に、結着樹脂中に着色剤、帯電制御剤などを含有する着色粒子であり、その製造方法には、大別して粉砕法と懸濁重合法とがある。
前記粉砕法では、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを溶融混合し均一に分散させて得られるトナー組成物を粉砕し、分級することにより、トナーを製造する。この粉砕法によれば、ある程度優れた特性を有するトナーを製造することができるが、材料の選択に制限がある。例えば、溶融混合により得られるトナー組成物は、経済的に使用可能な装置により粉砕し分級できるものでなければならない。この要請から、溶融混合により得られるトナー組成物は、充分に脆くせざるを得ない。しかし、このようなトナー組成物を粉砕する際には粒径分布が広い粒子が形成されやすい。このとき、良好な解像度と階調性のある複写画像を得ようとすると、例えば、粒径5μm以下の微粉と、粒径20μm以上の粗粉とを分級により除去しなければならず、収率が非常に低くなるという問題がある。また、前記粉砕法では、着色剤、帯電制御剤などを熱可塑性樹脂中に均一に分散させることが困難であり、得られるトナーは、流動性、現像性、耐久性、画像品質などに悪影響が生じるという問題がある。
また、電子写真方式の画像形成装置では、熱ローラなどの加熱部材を使用して行われる接触加熱方式による定着工程において、加熱部材に対する離型性(以下、耐オフセット性と称することもある)が要求される。この耐オフセット性は、溶解樹脂懸濁法において、変性ポリエステル樹脂を用いることで解決が図られている(特許文献3参照)。
また、特許文献6では、熱特性を改良するために、ポリ乳酸系生分解性樹脂とテルペンフェノール共重合体とを含有する電子写真用トナーが開示されているが、低温定着性とホットオフセット性を同時に満足できるものではない。
これらの先行技術文献に係るトナーは、粉砕法により得られるものが多く、分級によって生じるトナーのロスと、それに伴う廃棄の問題がある。また、粉砕法に必要なエネルギー量が比較的大きいことから、更なる環境負荷の低減が必要とされている。
その一方で、ポリ乳酸は、分子量の制御が難しいこと、炭素原子のみを介してエステル結合が存在することから、トナーに必要な物性をポリ乳酸のみで達成することは困難である。これに対して、従来から用いられている方法のように、ポリ乳酸と、それ以外の樹脂を混合することで、トナーに必要な物性、及び熱特性を確保することが考えられるが、ポリ乳酸は、トナーに汎用に用いられるポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル共重合体に対する相溶性及び分散性が極めて悪いため、このようにしてトナーを製造することが非常に困難である。
更に、ポリ乳酸は単位構造あたりの極性基の数が多いため、結晶性を低下させたポリ乳酸を用いてトナーを製造した場合、結晶性が高いポリ乳酸を用いた場合に比べて湿度の影響を大きく受ける。その結果、トナーの帯電量の制御が困難になる。特に、低温低湿度の条件や高温高湿度の条件になったときに、帯電量の変化を低減させることが困難であり、そのため、帯電量、画像濃度が安定しないという問題がある。
したがって、画像濃度が良好で、定着性、環境安定性にも優れた、ポリ乳酸を含有するトナー及び現像剤については、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
1) ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂(b)を含有し、メタノール溶媒により抽出されるメタノール可溶成分の含有量が、トナー重量に対して6重量%以下であることを特徴とするトナー。
2) 前記ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)の表面に、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)が付着した構造の樹脂粒子(C)を含有することを特徴とする1)に記載のトナー。
3) 前記樹脂(b)が光学活性モノマーからなるポリヒドロキシカルボン酸骨格を有し、該ポリヒドロキシカルボン酸骨格は、モノマー成分換算で、光学純度X(%)=|X(L体)−X(D体)|が80%以下である〔ただし、X(L体)は光学活性モノマー換算でのL体比率(モル%)、X(D体)は光学活性モノマー換算でのD体比率(モル%)を表す。〕ことを特徴とする1)又は2)に記載のトナー。
4) 前記樹脂(b)のポリヒドロキシカルボン酸骨格が炭素数3〜6のヒドロキシカルボン酸が共重合した骨格であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載のトナー。
5) 前記樹脂(b)が、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有するポリエステルジオール(b11)と、(b11)以外のポリエステルジオール(b12)とを、伸長剤とともに反応させて得られる直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)を含有することを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載のトナー。
6) 前記(b11)と(b12)の重量比が、31:69〜90:10であることを特徴とする5)に記載のトナー。
7) 前記樹脂(b)が、直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)、及び樹脂粒子(C)の形成工程で、前駆体(b0)が反応して得られる樹脂(b2)を含有することを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載のトナー。
8) 前記樹脂(a)が、多塩基酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂であることを特徴とする1)〜7)のいずれかに記載のトナー。
9) 前記ポリエステル樹脂の酸価が10〜40mgKOH/gであることを特徴とする8)に記載のトナー。
10) 1)〜9)のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
11) 更にキャリアを含むことを特徴とする10)に記載の現像剤。
本発明のトナーでは、メタノール溶剤により抽出される可溶成分(低分子量成分)の含有量をトナー重量に対して6重量%以下とする。好ましくは3重量%以下である。該可溶成分が6重量%よりも多い場合には、安定した乳化を行うことがむずかしく、トナーの長期にわたる環境安定性を得ることが困難となる。
トナーの含有成分としては樹脂が最も多く、前記可溶成分は樹脂成分が支配的である。ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂については、ポリヒドロキシカルボン酸の合成条件の調整、樹脂合成後の再沈殿、又は何らかの方法による余剰な溶剤可溶成分の除去により、目的とする物性のトナーを作成することができる。
本発明で言う可溶かどうかの判断は、水系造粒を行う際に使用する主溶剤に対してではなく、本来樹脂が溶解しない貧溶媒に対してのものである。例えば充分な高分子量のポリ乳酸はメタノール溶媒に溶解しないが、乳酸モノマーはヒドロキシル基、カルボキシル基を有し、いずれも親水性であるため、一部の低分子量体はメタノール溶剤に可溶である。これら低分子量体の可溶成分は親水性を持つと同時に、油相成分中の高分子量体ポリ乳酸に対しても親和性があるため、過剰に存在すると油水のバランスを崩し、水系造粒が困難となる。
樹脂粒子(B)に含有される樹脂(b)は、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する。
ヒドロキシカルボン酸としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸など)、芳香族ヒドロキシカルボン酸(サリチル酸、クレオソート酸、マンデル酸、バーリン酸、シリング酸など)あるいはこれらの混合物が挙げられ、対応する環状エステルとしては、グリコリドなどのラクチド、γ−ブチロラクトン、6−バレロラクトンなどが挙げられる。
これらの中で、樹脂粒子(C)の透明性と熱特性の観点からは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、更に好ましいのは炭素数3〜6の脂肪族ヒドロキシカルボン酸であり、特に好ましくは、乳酸、βーヒドロキシブタン酸、及びそれらのラクチドである。
前記ポリヒドロキシカルボン酸骨格は、ヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法、又は、対応する環状エステルを開環重合する方法で形成できる。ポリヒドロキシカルボン酸の分子量を大きくするには環状エステルの開環重合が好ましい。
ヒドロキシカルボン酸の環状エステルを用いる場合には、重合で得られる樹脂のヒドロキシカルボン酸骨格は、環状エステルを構成するヒドロキシカルボン酸が重合した骨格となる。例えば乳酸のラクチドを用いて得られる樹脂のポリヒドロキシカルボン酸骨格は、乳酸が重合した骨格になる。
また、樹脂(b)としては、乳酸のような光学活性モノマーからなるポリヒドロキシカルボン酸骨格を有し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格のモノマー成分換算での光学純度X(%)=|X(L体)−X(D体)|が80%以下のものが好ましく、30〜60%のものが更に好ましい。ここで、X(L体)は光学活性モノマー換算でのL体比率(モル%)、X(D体)は光学活性モノマー換算でのD体比率(モル%)を表す。
前記光学純度Xが80%以下であると、溶剤溶解性、樹脂の透明性が向上する。
直鎖状ポリエステルは構造が単純であり、分子量や物性(熱特性、他樹脂との相溶性など)の制御が容易である。また、前記直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)は(b11)と(b12)のユニットから構成されるので、(b12)のユニットに用いるポリエステル種、分子量、構造によっても物性制御が可能になるメリットがあり、従来の乳酸を含有する組成物に比べて、明確な物性制御手段を具備させることができる。
直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)を得るためには、(b11)、(b12)及び伸長剤が、それぞれ2官能である必要がある。いずれかが3官能以上であると、架橋反応が進行し直鎖状ポリエステルを得ることができない。
上記ジオールは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、好ましいのは、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールAのAO付加物であり、特に好ましいのは、1,3−プロピレングリコールである。
中でも(b12)として好ましいものは、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO付加物(付加モル数2〜30)から選ばれる1種以上と、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、コハク酸から選ばれる1種以上との反応物である。
また、(b11)と(b12)の重量比は、31:69〜90:10が好ましく、結着樹脂の透明性と熱特性の観点から、更に好ましくは、40:60〜80:20である。
具体的には、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸(及び無水物)、フマル酸(及び無水物)、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4′−及び/又は4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられるが、中でも好ましいのは、コハク酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸(及び無水物)、フマル酸(及び無水物)、及びHDI、IPDIであり、最も好ましいのは、マレイン酸(及び無水物)、フマル酸(及び無水物)、及びIPDIである。
直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)中の伸長剤の含有量は、透明性と熱特性の観点から0.1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは1〜20重量%である。
直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)に含まれるヒドロキシカルボン酸が、乳酸のような光学活性モノマーの場合でも、直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)のポリヒドロキシカルボン酸骨格の、モノマー成分換算での光学純度X(%)=|X(L体)−X(D体)|が80%以下である場合には〔ただし、X(L体)は光学活性モノマー換算でのL体比率(モル%)、X(D体)は光学活性モノマー換算でのD体比率(モル%)を表す。〕、溶剤溶解性の観点から上記と同様の含有量が好ましい。しかし、上記光学純度Xが80%を越える場合には、溶剤溶解性の観点から、樹脂(b)中の直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)の含有率Yモル%とXの関係は、Y≦−1.5X+220を満たすことが好ましい。
好ましい併用樹脂としては、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、中でもポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂が好ましく、特に、1,2−プロピレングリコールからなる構成部分を有するポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましい。
上記直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)以外の併用樹脂の含有量は、用途に応じて適宜好ましい範囲に調整すればよいが、樹脂粒子(C)の透明性と熱特性の観点から、樹脂(b)全体の60重量%以下が好ましく、更に好ましくは10〜40重量%である。
<1>反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)、更に必要により有機溶剤(u)を含む油相を、樹脂粒子(A)の水系分散液中に分散させ、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させて樹脂(b2)を含有する樹脂粒子(B)を形成させる方法
<2>反応性基含有プレポリマー(α)又はその有機溶剤溶液乃至分散液を樹脂粒子(A)の水系分散液中に分散させ、ここに水溶性の硬化剤(β)を加え反応させて、樹脂(b2)を含有する樹脂粒子(B)を形成させる方法
<3>反応性基含有プレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合において、反応性基含有プレポリマー(α)又はその有機溶剤溶液乃至分散液を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)に分散させることにより水と反応させ、(b2)を含有する樹脂粒子(B)を形成させる方法
〔1〕(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、(β)が活性水素基含有化合物(β1)である組み合わせ。
〔2〕(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)である組み合わせ。
ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドなどが挙げられる。
ポリエステル(αx)としては、ジオール(11)とジカルボン酸(13)の重縮合物、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)などが挙げらる。
ジカルボン酸(13)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸など)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(5)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ジカルボン酸(13)又は3価以上のポリカルボン酸(5)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物などが挙げられる。
ポリウレタン(αz)としては、ジオール(11)とポリイソシアネート(15)の重付加物、ポリエステル(αx)とポリイソシアネート(15)の重付加物などが挙げられる。
〔i〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法
〔ii〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、更に残存した該官能基と反応可能な官能基及び反応性基を含有する化合物を反応させる方法
上記方法〔i〕では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーなどが得られる。
構成成分の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、更に好ましくは、1.5/1〜1/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
官能基及び反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH〕の当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは5/1〜1/1、更に好ましくは4/1〜1.2/1、特に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
反応性基含有プレポリマー(α)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500〜30,000、更に好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。また、重量平均分子量(Mw)は、1,000〜50,000、好ましくは2,000〜40,000、更に好ましくは4,000〜20,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、好ましくは2,000ポイズ以下、更に好ましくは1,000ポイズ以下である。2,000ポイズ以下にすると、少量の有機溶剤で粒度分布のシヤープな樹脂粒子(C)が得られるので好ましい。
(β1a)としては、ポリアミン(16)と同様のものが例示される。
(β1a)として好ましいものは、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びそれらの混合物である。
(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物、及びオキサゾリジン化合物などが挙げられる。
ポリオール(β1b)としては、前記のジオール(11)及びポリオール(12)と同様のものが例示される。ジオール(11)単独、又はジオール(11)と少量のポリオール(12)の混合物が好ましい。
ポリメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなど);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物など):モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノールなど);モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカブタンなど);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネートフェニルイソシアネートなど):モノエポキサイド(ブチルグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
ポリイソシアネート(β2a)としては、ポリイソシアネート(15)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。ポリエポキシド(β2b)としては、ポリエポキシド(19)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
ポリカルボン酸(β2c)としては、ジカルボン酸(β2c−1)及び3価以上のポリカルボン酸(β2c−2)が挙げられ、(β2c−1)単独、及び(β2c−1)と少量の(β2c−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(β2c−1)としては、前記ジカルボン酸(13)と同様のものが、ポリカルボン酸としては、前記ポリカルボン酸(5)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
ポリカルボン酸無水物(β2d)としては、ピロメリット酸無水物などが挙げられる。
ポリ酸ハライド類(β2e)としては、前記(β2c)の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド、酸アイオダイド)などが挙げられる。
更に、必要により(β2)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。
反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を含有する前駆体(b0)を水系媒体中で反応させた樹脂(b2)が樹脂粒子(B)及び樹脂粒子(C)の構成成分となる。
反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させた樹脂(b2)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000以上、更に好ましくは3,000〜1000万、特に好ましくは,5,000〜100万である。
また、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)との水系媒体中での反応時に、直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)などの反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)と反応しないポリマー[いわゆるデッドポリマー]を系内に含有させることにより、樹脂(b)は、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を水系媒体中で反応させて得られた樹脂(b2)と、直鎖状のポリエステル系樹脂(b1)などの反応させていない樹脂の混合物となる。
樹脂(b)100重量部に対する水性分散液(W)の使用量は、好ましくは50〜2,000重量部、更に好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部以上であると(b)の分散状態が良好であり、2,000重量部以下であると経済的である。
例えば、樹脂(b)のMnは、好ましくは1,000〜500万、更に好ましくは2,000〜50万である。樹脂(b)の融点は、好ましくは20℃〜300℃、更に好ましくは80℃〜250℃である。樹脂(b)のTgは、好ましくは20℃〜200℃、更に好ましくは40℃〜200℃である。樹脂(b)のsp値は、好ましくは8〜16、更に好ましくは9〜14である。
DSC測定は、セイコー電子工業社製DSC20、SSC/580を用い、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で行うことができる。
フローテスター測定には、島津製作所製の高架式フローテスターCFT500型を用いる。その測定条件は下記のとおりであり、後述する実施例についても同様である。
(フローテスター測定条件)
・荷重:30kg/cm2
・昇温速度:3.0℃/min
・ダイ口径:0.50mm
・ダイ長さ:10.0mm
・装置(一例) :東ソー製HLC−8120
・カラム(一例) :TSKgelGMHXL(2本)
:TSKgelMultiporeHXL−M(1本)
・試料溶液 :0.25%のTHF溶液
・溶液注入量 :100μl
・流量 :1ml/分
・測定温度 :40℃
・検出装置 :屈折率検出器
・基準物質 :東ソー製標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYS
TYRENE)12点
(分子量500 1050 2800 5970 9100
18100 37900 96400 190000
355000 1090000 2890000)
・装置(一例) :東ソー製HLC−8220GPC
・カラム(一例) :GuardcolumnαTSKgelα−M
・試料溶液 :0.125%のジメチルホルムアミド溶液
・溶液注入量 :100μl
・流量 :1ml/分
・温度 :40℃
・検出装置 :屈折率検出器
・基準物質 :東ソー製標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYS
TYRENE)12点
(分子量500 1050 2800 5970 9100
18100 37900 96400 190000
355000 1090000 2890000)
樹脂(a)の材料としては、水性溶媒中で分散することが可能な樹脂であれば特に限定されず、公知の樹脂から適宜選択して用いればよいが、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂粒子の水性分散液を得やすいことから、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂が好ましい。なお、ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合することにより得られる樹脂であり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)は、樹脂粒子(C)の粒径均一性、粉体流動性、保存時の耐熱性、耐ストレス性の観点から、好ましくは50℃〜100℃、更に好ましくは51℃〜90℃、特に好ましくは52℃〜75℃である。水性樹脂分散体を作成する温度よりTgが低いと、合一を防止したり、分裂を防止したりする効果が小さくなり、粒径の均一性を高める効果が小さくなる。また、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)のTgは、同様の理由で、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜85℃である。
樹脂(a)は前述のように公知の樹脂から選択されるが、そのガラス転移温度(Tg)は、樹脂(a)の分子量及び/又は樹脂(a)を構成するモノマー組成を変更することにより容易に調整できる。分子量が大きくなるほどTgは高くなるが、樹脂(a)の分子量を調整する方法としては、公知の方法でよく、例えば、ポリエステル樹脂のような逐次反応で重合する場合には、モノマーの仕込み比の調整が挙げられる。
樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に、水以外に後述する有機溶剤(u)のうち水と混和性の有機溶剤(アセトン、メチルエチルケトンなど)が含有されていてもよい。その際、含有される有機溶剤は、樹脂粒子(A)の凝集を引き起こさないもの、樹脂粒子(A)を溶解しないもの、及び樹脂粒子(C)の造粒を妨げないものであれば、種類も含有量も特に限定されないが、水との合計量を40重量%以下とし、乾燥後の樹脂粒子(C)中に残らないようにすることが好ましい。
その具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−へプタン、ミネラルスピリットシクロヘキサンなどの脂肪族又は脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチルヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテートエチルセロソルブアセテートなどのエステル系又はエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランジオキサン、エチルセロソルブ、プチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤:メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤:ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤が挙げられ、これらは2種以上混合して用いてもよい。
(vl)フタル酸エステル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジルフタル酸ジイソデシル等];
(v2)脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];
(v3)トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル等];
(v4)燐酸エステル[リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール等];
(v5)脂肪酸エステル[オレイン酸ブチル等];
(V6)これらの2種以上の混合物
樹脂粒子(A)の体積平均粒径(Dv)は、所望の粒径の樹脂粒子(C)を得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。樹脂粒子(A)の体積平均粒径(Dv)は、一般的には、0.0005〜1μmが好ましい。上限は、更に好ましくは0.75μm、特に好ましくは0.5μmであり、下限は、更に好ましくは0.01μm、特に好ましくは0.02μm、最も好ましくは0.04μmである。ただし、例えば、体積平均粒径(Dv)1μmの樹脂粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.0005〜0.30μm、特に好ましくは0.001〜0.2μmの範囲、10μmの樹脂粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.005〜0.8μm、特に好ましくは0.05〜1μm、である。なお、体積平均粒径(Dv)は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)やマルチサイザーIII(コールター社製)、光学系としてレーザードップラー法を用いるELS−800(大塚電子社製)などで測定できる。もし、各測定装置間で粒径の測定値に差を生じた場合は、ELS−800での測定値を採用する。なお、上記粒径比が得やすいことから、後述する樹脂粒子(B)の体積平均粒径(Dv)は、0.1〜15μmが好ましい。更に好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜8μmである。
多塩基酸のうちの芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、必要に応じて耐水性を損なわない範囲で少量の5−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−ヒドロキシイソフタル酸を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸などの飽和ジカルボン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和ジカルボン酸などを挙げることができる。脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸(無水物)、テトラヒドロフタル酸(無水物)などを挙げることができる。
水分散体の貯蔵安定性を確保するためには、全酸成分に占める芳香族多塩基酸の含有率は70モル%以上が好ましく、形成される被膜の他の性能とバランスをとりながらその加工性、耐水性、耐薬品性、耐候性を向上させることができる点において、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分の65モル%以上がテレフタル酸であることは、本発明の課題を達成するうえで特に好ましい。
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、更にビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要により使用しうる。ただし、エーテル構造はポリエステル樹脂被膜の耐水性、耐候性を低下させることから、その使用量は全多価アルコール成分の10重量%以下、更には5重量%以下にとどめることが好ましい。
3官能以上の多塩基酸及び/又は多価アルコールは、全酸成分又は全アルコール成分に対し10モル%以下、好ましくは5モル%以下の範囲で共重合されるが、10モル%を越えるとポリエステル樹脂の長所である被膜の高加工性が発現されなくなる。
また、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸などの高沸点のモノカルボン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどの高沸点のモノアルコール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸やそのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
(1)全モノマー成分及び/又はその低重合体を、不活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程度反応させてエステル化反応を行い、続いて触媒の存在下、1Torr以下の減圧下、220〜280℃の温度で所望の溶融粘度に達するまで重縮合反応を進めてポリエステル樹脂を得る方法
(2)前記重縮合反応を、目標とする溶融粘度に達する以前の段階で終了し、反応生成物を次工程で多官能のエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、オキサゾリン系化合物などから選ばれる鎖長延長剤と混合し、短時間反応させることにより高分子量化を図る方法、
(3)前記重縮合反応を目標とする溶融粘度以上の段階まで進めておき、モノマー成分を更に添加し、不活性雰囲気、常圧〜加圧系で解重合を行うことで目標とする溶融粘度のポリエステル樹脂を得る方法
望ましい有機アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。
塩基性化合物は、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシル基に応じて、少なくとも部分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.2〜1.5倍当量を添加することが好ましく、0.4〜1.3倍当量を添加することがより好ましい。0.2倍当量未満では塩基性化合物添加の効果が認められず、1.5倍当量を越えると、ポリエステル樹脂水分散体が著しく増粘する場合がある。
前記有機溶剤に要求される特性は、両親媒性であること、ポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有することである。ここで両親媒性の有機溶剤とは、20℃における水に対する溶解性が5g/L以上、望ましくは10g/L以上であるものをいう。溶解性が5g/L未満のものは、水性化処理速度を加速させる効果に乏しい。また、有機溶剤の可塑化能力は、次のような簡便な試験によって判断することができる。すなわち、対象とするポリエステル樹脂から3cm×3cm×0.5cm(厚さ)の角板を試作し、これを50mlの有機溶剤に浸して25〜30℃の雰囲気で静置する。3時間後に角板の形状が明らかに変形しているか、或いは、厚さ方向に対して1kg/cm2の力を静的に加えながら0.2cm径のステンレス製の丸棒を接触させた際に、丸棒の0.3cm以上が角板に侵入する場合、その有機溶剤の可塑化能力はあると判断される。可塑化能力が無いと判断される有機溶剤は、水性化処理速度を加速させる効果に乏しい。
(条件1)分子中に、炭素原子が直接4個以上結合した疎水性構造を有すること
(条件2)分子末端に、ポーリング(Pauling)の電気陰性度が3.0以上の原子を1個以上含有する置換基を有し、該置換基中の電気陰性度が3.0以上の原子と直接結合している炭素原子の13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルのケミカルシフトが、室温、CDCl3中で測定した場合に50ppm以上であるような極性の置換基を有すること
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を一成分とするビニルモノマーの重合物、ポリイタコン酸、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、膨潤性雲母などが挙げられる。このような化合物は、塩基性化合物で部分的に中和することによって水溶化するが、形成される被膜の耐水性を損なわないためには、該塩基性化合物はアンモニア及び/又は前記の有機アミン化合物でなければならない。また、少量添加で保護コロイドとしての作用を発現し、形成される被膜の耐水性、耐薬品性などを損なわないためには、保護コロイド作用を有する化合物の数平均分子量(Mn)は1,500以上のものが好ましく、2,000以上、更には2,500以上のものがより好ましい。
上記保護コロイド作用を有する化合物の使用量は、ポリエステル樹脂に対し、0.01〜3重量%、好ましくは0.03〜2重量%である。この範囲であれば、形成される被膜の諸性能を低下させることなく、水性化工程及び貯蔵時のポリエステル樹脂水分散体の安定性を著しく向上させることができる。また、このような保護コロイド作用を有する化合物を使用することにより、ポリエステル樹脂の酸価及び前記有機溶剤の含有量を低減できる。
本発明で用いる樹脂粒子(C)は、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)が、樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)の表面に付着したものであれば、どのような製造方法で得られたものであってもよい。
例えば、次のような製造方法(I)、(II)が挙げられるが、(I)の製法が好ましい。
(I)樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)もしくはそれらの有機溶剤溶液乃至分散液(O1)、又は、樹脂(b)の前駆体(b0)もしくはそれらの有機溶剤溶液乃至分散液(O2)とを混合し、(W)中に(O1)又は(O2)を分散し、(W)中で(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成する方法。この場合、樹脂粒子(B)の造粒と同時に(B)表面に樹脂粒子(A)が付着して樹脂粒子(C)の水性分散体(Q)ができ、これから水性媒体を除去することによって樹脂粒子(C)が造られる。
(II)あらかじめ作製した樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)を、樹脂(a)を含有するコーティング剤(W′)でコーティングして樹脂粒子(C)を造る方法。この場合、コーティング剤(W′)は液体、固体など、どのような形態であってもかまわず、更に(a)の前駆体(a′)でコーティングした後に(a′)を反応させて(a)にしてもよい。また、用いる樹脂粒子(B)は、乳化重合凝集法、粉砕法など、どのような製造法で作製されたものでもかまわない。またコーティング方法にも特に限定はなく、例えば、(a)を含有する樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中にあらかじめ作製した樹脂粒子(B)又はその分散体を分散させる方法や、樹脂粒子(B)に(a)の溶解液をコーティング剤として振りかける方法などが挙げられる。
樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)もしくはその有機溶剤溶液乃至分散液(O1)、又は樹脂(b)の前駆体(b0)と、その有機溶剤溶液乃至分散液(O2)とを混合し、(W)中に(O1)又は(O2)を分散させて、(b)を含有する樹脂粒子(B)が形成される際に、樹脂粒子(B)の表面に樹脂粒子(A)を吸着させることで樹脂粒子(C)同士が合体するのを防ぎ、また、高剪断条件下で樹脂粒子(C)が分裂され難くする。これにより、樹脂粒子(C)の粒径を一定の値に収斂させ、粒径の均一性を高める効果を発揮する。そのため、樹脂粒子(A)は、分散する際の温度において、剪断により破壊されない程度の強度を有すること、水に溶解したり、膨潤したりしにくいこと、(b)又はその有機溶剤溶液乃至分散液、(b)と(b0)、又はその有機溶剤溶液乃至分散液に溶解しにくいことが好ましい特性として挙げられる。
また、トナー成分である、着色剤、離型剤及び変性層状無機鉱物は、樹脂粒子(B)中に包含される。このため、(W)と(O)〔(O1)又は(O2)〕との混合前に、(O)の溶液中に分散させておく。また、帯電制御剤は樹脂粒子(B)に内包させてもよく、外添してもよい。内包させる場合には前記着色剤などと同様に(O)の溶液中に分散させておけばよく、また、外添する場合には樹脂粒子(C)の形成後に外添する。
前記製造方法(II)で得られる樹脂粒子(C)の形状は、あらかじめ作製する樹脂粒子(B)の形状に大きく影響し、樹脂粒子(C)は樹脂粒子(B)とほぼ同じ形状になる。ただし、樹脂粒子(B)がいびつな場合、コーティング剤(W′)をより多く使用すると球形になる。
また、樹脂粒子(C)の粒径均一性、粉体流動性、保存安定性などの観点からは、樹脂粒子(C)において、樹脂粒子(B)の表面の5%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上が、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)で覆われているのがよい。樹脂粒子(C)の表面被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から、下記の式に基づいて求めることができる。
表面被覆率(%)=[(A)に覆われている部分の面積/(A)に覆われている部分の面積+樹脂粒子(B)が露出している部分の面積]×100
樹脂粒子(C)の体積平均粒径(Dv)は、用途により異なるが、一般的には0.1〜16μmが好ましい。上限は、更に好ましくは11μm、特に好ましくは9μmであり、下限は、更に好ましくは0.5μm、特に好ましくは1μmである。なお、体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、マルチサイザーIII(コールター社製)で同時に測定することができる。
同様に粉体流動性の観点から、樹脂粒子(C)の表面平均中心線粗さRaが0.01〜0.8μmであるのが好ましい。Raは、粗さ曲線とその中心線との偏差の絶対値を算術平均した値のことであり、例えば、走査型プローブ顕微鏡システム(東陽テクニカ社製)で測定することができる。
したがって、本発明における樹脂粒子(A)の付着の態様には、いわゆる「粒子状」のもの、被膜状のもの、及びそれらが混在するものが含まれる。
本発明のトナーの着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な公知の顔料や染料が使用できる。
例えば、黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキが挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラックなどのアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーの離型剤としては公知のものが使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。その理由は、これらのワックスは本発明のトナー結着樹脂に対して適度に微分散するため、後述するようにオフセット防止性と転写性・耐久性ともに優れたトナーとすることが容易なためである。これらワックス類は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーに使用する離型剤の融点は70〜90℃が好ましい。70℃以上であればトナーの耐熱保存性が悪化することはなく、90℃以下であれば低温での離型性が発現せず、耐コールドオフセット性の悪化、定着機への紙の巻付きなどが発生するようなこともない。
これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、1〜20重量%程度が好ましく、更に好ましくは3〜10重量%である。1重量%以上であれば、十分なオフセット防止効果が得られ、20重量%以下であれば、転写性、耐久性が低下するようなこともない。
(帯電制御剤:CCA)
本発明のトナーには必要に応じて帯電制御剤を含有させることができる。
その例としては、ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料(特公昭42−1627号公報)、塩基性染料、例えばC.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue 25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)など及びこれらの塩基性染料のレーキ顔料、C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライドなどの4級アンモニウム塩、或いはジブチル又はジオクチルなどのジアルキルスズ化合物、ジアルキルスズボレート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマーなどのポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Feなどの金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩、カリックスアレン系化合物などが挙げられる。
ブラック以外のカラートナーは、当然目的の色を損なう帯電制御剤の使用は避けるべきであり、白色のサリチル酸誘導体の金属塩などが好適に使用される。
本発明のトナーには、層状無機鉱物が有する層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物(以下、変性層状無機鉱物と略称する)を含有することが好ましい。このような変性層状無機鉱物としては、スメクタイト系の基本結晶構造を持つものを有機物カチオンで変性したものが望ましい。また、層状無機鉱物の2価金属の一部を3価の金属に置換することにより、金属アニオンを導入することが出来る。しかし、金属アニオンを導入すると親水性が高くなるため、金属アニオンの少なくとも一部を有機アニオンで変性した層状無機化合物が望ましい。
前記変性層状無機鉱物の有機物アニオン変性剤としては、更に分岐、非分岐又は環状アルキル(C1〜C44)、アルケニル(C1〜C22)、アルコキシ(C8〜C32)、ヒドロキシアルキル(C2〜C22)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを有する硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、又はリン酸塩が挙げられる。エチレンオキサイド骨格を持ったカルボン酸が望ましい。
前記変性層状無機鉱物の含有量は、0.05〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%であることがより好ましい。
前記層状無機鉱物は、適宜選択することができるが、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト及びこれらの混合物などが挙げられる。中でも、トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができ、添加量を少量とすることができることから有機変性モンモリロナイト又はベントナイトが好ましい。
また、一部を有機アニオンで変性した層状無機鉱物の市販品としては、DHT−4A(協和化学工業社製)を下記一般式で表される有機アニオンで変性させたものが特に好ましい。その具体例としては、ハイテノール330T(第一工業製薬社製)が挙げられる。
R1(OR2)nOSO3M
[式中、R1は炭素数13のアルキル基を表し、R2は炭素数2〜6のアルキレン基を表す。nは2〜10の整数を表し、Mは1価の金属元素を表す。]
現像剤は、本発明のトナーを少なくとも含有し、キャリアなどの適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であっても、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンターなどに使用する場合には、寿命向上などの点で二成分現像剤が好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)などの高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)などの弱磁化材料が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径は、重量平均粒径(D50)で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。重量平均粒径(D50)が10μm未満では、キャリア粒子の分布において微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記シリコーン樹脂の市販品としては、ストレートシリコーン樹脂として、信越化学工業社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。また、変性シリコーン樹脂として、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分などを同時に用いることも可能である。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂などを有機溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セロソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記キャリアにおける前記樹脂層の量は、0.01〜5.0重量%が好ましい。樹脂層の量が、0.01重量%未満であると、前記芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0重量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
温度計、撹拌機及び窒素挿入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、表1のポリエステルジオール(b11)の欄の樹脂b−1〜3、9〜11の行に示す原材料、及び、2−エチルヘキシル酸スズ2部を入れ、常圧、160℃で3時間開環重合し、更に常圧、130℃で1時間反応させた。なお、表中のラクチドは乳酸のラクチドである。
その後、130℃で1時間、8torrの減圧条件で未反応成分の除去を行った。
次いで、取り出した樹脂を室温まで冷却した後、粉砕粒子化し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオール(b11)−1〜3、9〜11を得た。
次いで、ポリエステルジオール(b11)−1〜3、9〜11と、表1のポリエステルジオール(b12)の欄の樹脂b−1〜3、9〜11の行に示す原材料を用いて脱水縮合して得たポリエステルジオール(b12)−1〜3、9〜11のそれぞれをメチルエチルケトン中に溶解し、更に伸長剤としてIPDIを加えて50℃で6時間伸長反応を行った後、溶媒を留去した。
次いで、得られた各樹脂100gに対し、400gの酢酸エチルを加えて充分攪拌し、樹脂溶液1〜3を得た。
次いで、該樹脂溶液1〜3のそれぞれを4Lのメタノール中にゆっくり滴下して再沈殿を行い、メタノール可溶成分を除去した樹脂を沈殿物として得る作業を5回繰り返して、[樹脂b−1〜3]を得た。
温度計、撹拌機及び窒素挿入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、表1のポリエステルジオール(b11)の欄の樹脂b−4、12の行に示す原材料、及び、2−エチルヘキシル酸スズ2部を入れ、常圧、170℃で4時間開環重合し、更に常圧、130℃で1時間反応させた。なお、表中のラクチドは乳酸のラクチドである。
次いで、取り出した樹脂を室温まで冷却した後、粉砕粒子化し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオール(b11)−4、12を得た。
次いで、ポリエステルジオール(b11)−4、12と、表1のポリエステルジオール(b12)の欄の樹脂b−4、12の行に示す原材料を用いて脱水縮合して得たポリエステルジオール(b12)−4、12をメチルエチルケトン中に溶解し、更に伸長剤としてIPDIを加えて50℃で6時間伸長反応を行った後、溶媒を留去して[樹脂b−4、12]を得た。
L−ラクチド、D−ラクチド、ε−カプロラクトンを、表2の樹脂b−5〜7の行に示す部数で4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、120℃で20分間加熱溶融させた後、オクチル酸スズを表2の樹脂b−5〜7の行に示す部数で加えて190℃で3時間反応させた。その後、残留ラクチドとカプロラクトンを減圧下留去した。なお、前記ラクチドはいずれも乳酸のラクチドである。
次いで、得られた樹脂100gに対して400gの酢酸エチルを加え、充分攪拌して樹脂溶液5〜7を得た。
次いで、該樹脂溶液5〜7のそれぞれを4Lのメタノール中にゆっくり滴下して再沈殿を行い、メタノール可溶成分を除去した樹脂を沈殿物として得る作業を5回繰り返して、[樹脂b−5〜7]を得た。
L−ラクチド、D−ラクチド、ε−カプロラクトンを表2の樹脂b−8の行に示す部数で4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、120℃で20分間加熱溶融させた後、オクチル酸スズを表2の樹脂b−8の行に示す部数で加えて190℃で3時間反応させた。その後、170℃で1時間、8torrの減圧条件で未反応成分の残留ラクチドとカプロラクトンを留去し、[樹脂b−8]を得た。なお、前記ラクチドはいずれも乳酸のラクチドである。
温度計、撹拌機及び窒素挿入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、表3のポリエステルジオール(b11)の欄に示される原材料、及び2−エチルヘキシル酸スズ2部を入れ、常圧、170℃で1時間開環重合し、更に常圧、130℃で1時間反応させた。なお、表中のラクチドは乳酸のラクチドである。
次いで、取り出した樹脂を室温まで冷却した後、粉砕粒子化し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオール(b11)−13、14、17、18を得た。
次いで、ポリエステルジオール(b11)−13、14、17、18と、表3のポリエステルジオール(b12)の欄に示される原材料を脱水縮合して得たポリエステルジオール(b12)−13、14、17、18のそれぞれをメチルエチルケトン中に溶解し、続いて伸長剤としてIPDIを加えて、50℃で8時間伸長反応を行い、溶媒を留去して、[樹脂b−13、14、17、18]を得た。
L−ラクチド、D−ラクチド、ε−カプロラクトンを表4に示す部数で4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、120℃で20分間加熱溶融させた後、オクチル酸スズを表4に示す部数で加えて190℃で1時間加熱溶融させた。その後、冷却して[樹脂b−15、16]を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物700部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物85部、テレフタル酸270部、無水トリメリット酸25部、及びジブチルスズオキシド2部を入れ、常圧下、220℃で10時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で8時間反応させた。
得られた中間体ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が2,600、重量平均分子量(Mw)が11,500、ピーク分子量が3,600、ガラス転移温度(Tg)が58℃、酸価が0.4mgKOH/g、水酸基価51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器内に、中間体ポリエステル樹脂400部、イソホロンジイソシアネート92部、及び酢酸エチル550部を入れ、100℃で8時間反応させて[ポリエステルプレポリマー]を合成した。
得られたポリエステルプレポリマーは、遊離イソシアネートの含有量が1.31重量%であった。
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン30部、及びメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応させて、ケチミン化合物を合成した。得られたケチミン化合物は、アミン価が411mgKOH/gであった。
水1,000部、DBP吸油量が42ml/100g、pHが9.5のカーボンブラック(Printex35、デグサ社製)530部、及び製造例1〜18で作成した樹脂b−1〜18のそれぞれ1100部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。
得られた混合物を、二本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを作製した。
テレフタル酸1325g、イソフタル酸85g、エチレングリコール360g、ネオペンチルグリコール710gからなる混合物を、オートクレープ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。
次いで二酸化ゲルマニウムを触媒として0.244g添加し、系の温度を30分かけて280℃に昇温し、その後、系の圧力を徐々に下げ、1時間後に0.1Torrとした。この条件下で更に重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げて260℃になったところで、イソフタル酸50g、無水トリメリット酸32gを添加し、250℃で30分撹拌し、シート状に払い出した。
次いで、これを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画をポリエステル樹脂a−1として得た。その分析結果を表5に示す。
ジャケット付きの2Lガラス容器に、ポリエステル樹脂a−1を200g、エチレングリコール−n−ブチルエーテル35g、ポリビニルアルコール(ユニチカ社製「ユニチカポバール」050G)0.5重量%水溶液(以下、PVA−1という)459g、及び、前記ポリエステル樹脂中に含まれる全カルボキシル基量の1.2倍当量に相当するN,N−ジメチルエタノールアミンを投入し、開放系で卓上型ホモディスパー(特殊機化工業社製,TKロボミックス)を用いて6,000rpmで撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、完全浮遊状態となっていることが確認された。そこで、この状態を保ち、10分後にジャケットに熱水を通し、加熱した。そして容器内温度が68℃に達したところで撹拌を7,000rpmとし、容器内温度を68〜70℃に保って更に20分間撹拌し、乳白色の均一な水分散体を得た。
ここで、ジャケット内に冷水を流して3500rpmで撹拌しながら室温まで冷却し、ステンレス製のフィルター(635メッシュ,平織)を用いて濾過し、[樹脂粒子分散液w]を得た。
イオン交換水300部、[樹脂粒子分散液w]300部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を混合撹拌して均一に溶解させ、[水系媒体相1]を調製した。
樹脂溶液1〜18に、カルナウバワックス〔分子量1,800、酸価2.7mgKOH/g、針入度1.7mm(40℃)〕5部、及びマスターバッチ5部を加え、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスしてトナー材料液を得た。但し、樹脂溶液2、4、5、7、8、10、12、14、16、18については、3パス後に、更に、ケチミン化合物2.5部を加えて溶解させ、トナー材料液を得た。
次に、容器内に[水系媒体相1]150部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、12,000rpmで攪拌しながら、上記トナー材料液100部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを得た。
更に、攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに上記乳化スラリー100部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら、30℃で10時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
得られた濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
得られた濾過ケーキに10重量%塩酸20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、フッ素系第四級アンモニウム塩化合物フタージェントF−310(ネオス社製)を、トナーの固形分100部に対して0.1部相当になるように5重量%エタノール溶液として添加し、10分間攪拌した後、濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
得られた濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて、40℃で36時間乾燥し、目開きが75μmのメッシュで篩い、トナー母体粒子1〜18を作製した。
トナー母体粒子1〜18を100部と、外添剤の疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0部とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、実施例及び比較例のトナー1〜18を作製した。
トルエン100部に、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部、及びカーボンブラック10部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。
次いで、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径(Dv)が50μmの球状マグネタイト1,000部の表面に樹脂層塗布液を塗布し、キャリアを作製した。
トナー1〜18それぞれ5部と、前記キャリア95部とを混合して、実施例1〜12及び比較例1〜6の各現像剤を作製した。
各トナー10gに40gの酢酸エチルを加えて十分に攪拌しトナー溶解液を作成した。
次いで、このトナー溶解液50gを、400gのメタノール中に10分かけて攪拌しながらゆっくり滴下した。
次いで、遠心分離機で固形分を沈殿させ、上澄み液を全て回収し、24時間掛けて常温で減圧乾燥させ、メタノール中の溶解成分を乾燥固形分として得た。
溶解したトナー全量に対する乾燥固形成分の重量割合(wt%)を算出し、メタノール可溶成分とした。結果を表7に示す。
定着ローラとしてテフロン(登録商標)ローラを用いた電子写真方式の複写機(MF−200、リコー社製)の定着部を改造した装置を用い、定着ベルトの温度を変化させて、普通紙と厚紙の転写紙タイプ6200(リコー社製)及び複写印刷用紙<135>(NBSリコー社製)に、トナーの付着量が0.85±0.1mg/cm2のベタ画像を形成した。このとき、普通紙でホットオフセットの発生しない上限温度を定着上限温度とした。
〔定着上限温度の評価基準〕
A:190℃以上
B:170℃以上190℃未満
C:170℃未満
タンデム型カラー画像形成装置(imRgio Neo 450、リコー社製)を用い、定着ローラの表面温度を160±2℃にし、複写紙TYPE 6000<70W>(リコー社製)に、トナーの付着量が1.00±0.05mg/cm2のベタ画像を形成した。得られたベタ画像の任意の6箇所の画像濃度を、分光計(938 スペクトロデンシトメータ、X−Rite社製)を用いて測定し、画像濃度(平均値)を求め、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
A:2.0以上
B:1.60以上2.0未満
C:1.60未満
現像剤を、気温23℃、湿度50%RHの環境下(M/M環境)、ボールミルで5分間攪拌した後に、現像剤1.0gを採取し、ブローオフ帯電量測定装置(京セラケミカル社製TB−200)を用い、1分間窒素ブローした後の帯電量を測定した。
この測定を、気温40℃、湿度90%RHの環境下(H/H環境)、及び気温10℃、湿度30%RHの環境下(L/L環境)、の2つの条件で行い、下記式により環境変動率を算出し評価した。
評価基準は下記のとおりである。環境変動率が低いほど帯電性の安定な現像剤であると言うことができる。
〔評価基準〕
A:20%未満
B:20%以上50%未満
C:50%以上
また、再沈殿は行わず、樹脂の重合条件を調整し、重合時にメタノール可溶成分が増えないようにした場合(実施例4、8、12)には、実施例1〜3などに比べて環境安定性などはやや劣るが、一応問題のないトナーが得られた。
しかし、重合時にメタノール可溶成分の除去を行わず、メタノール可溶成分を多く含んだままの樹脂(ポリ乳酸)を使用した場合には、充分な定着上限温度、画像濃度、及び環境安定性を有するトナーは得られなかった。
Claims (11)
- ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂(b)を含有し、メタノール溶媒により抽出されるメタノール可溶成分の含有量が、トナー重量に対して6重量%以下であることを特徴とするトナー。
- 前記ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)の表面に、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)が付着した構造の樹脂粒子(C)を含有することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記樹脂(b)が光学活性モノマーからなるポリヒドロキシカルボン酸骨格を有し、該ポリヒドロキシカルボン酸骨格は、モノマー成分換算で、光学純度X(%)=|X(L体)−X(D体)|が80%以下である〔ただし、X(L体)は光学活性モノマー換算でのL体比率(モル%)、X(D体)は光学活性モノマー換算でのD体比率(モル%)を表す。〕ことを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記樹脂(b)のポリヒドロキシカルボン酸骨格が炭素数3〜6のヒドロキシカルボン酸が共重合した骨格であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
- 前記樹脂(b)が、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有するポリエステルジオール(b11)と、(b11)以外のポリエステルジオール(b12)とを、伸長剤とともに反応させて得られる直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
- 前記(b11)と(b12)の重量比が、31:69〜90:10であることを特徴とする請求項5に記載のトナー。
- 前記樹脂(b)が、直鎖状ポリエステル系樹脂(b1)、及び樹脂粒子(C)の形成工程で、前駆体(b0)が反応して得られる樹脂(b2)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトナー。
- 前記樹脂(a)が、多塩基酸と多価アルコールからなるポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステル樹脂の酸価が10〜40mgKOH/gであることを特徴とする請求項8に記載のトナー。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
- 更にキャリアを含むことを特徴とする請求項10に記載の現像剤。
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