JP2011046344A - 車両用運転操作補助装置、車両用運転操作補助方法および自動車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車輪と車体との間に介在された能動型のサスペンション装置と、車両周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段によって検出した障害物の種類を判別する障害物判別手段と、障害物判別手段の判別結果に基づいて、傾斜角を有する仮想路面を設定する仮想路面設定手段と、仮想路面設定手段によって設定した仮想路面の傾斜角と対応させて、能動型のサスペンション装置を制御し、車体を傾斜させる車体制御手段と、障害物検出手段によって検出した障害物への接近度合いに応じて、操舵反力を制御する操舵反力制御手段とを備える。
【選択図】図6
Description
例えば、特許文献1に記載の技術では、自車両の進行方向に水溜りが存在している場合、操舵制御を行うことにより、水溜りを回避することとしている。
このように、従来の技術においては、運転者に対し、適切に車両の運転操作の補助を行うことができない可能性がある。
本発明の課題は、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことである。
障害物判別手段が、障害物検出手段によって検出した障害物の種類を判別し、仮想路面設定手段が、障害物判別手段の判別結果に基づいて、傾斜角を有する仮想路面を設定する。また、車体制御手段が、仮想路面設定手段によって設定した仮想路面の傾斜角と対応させて、能動型のサスペンション装置を制御し、車体を傾斜させ、操舵反力制御手段が、障害物検出手段によって検出した障害物への接近度合いに応じて、操舵反力を制御する。
したがって、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用運転操作補助装置1を備えた自動車1Aの概略構成図である。
図1において、自動車1Aは、車輪2FR,2FL,2RR,2RLと、車体3と、車体3と各車輪との間に設置された能動型のサスペンション4FR,4FL,4RR,4RLと、ステアリングホイール5と、ステアリングホイール5と操向輪である車輪2FR,2FLとの間に設置されたステアリング装置6と、アクセルペダル7と、ブレーキペダル8と、車体3の前後左右それぞれに設置され、車両の周囲を撮影するカメラ9F,9R,9SR,9SLとを備えており、自動車1Aに搭載された各種機器からの信号は、後述するコントローラ50に入力されている。
図2において、自動車1Aの制御系統は、レーザレーダ10と、カメラ9F,9R,9SR,9SLと、車速センサ30と、コントローラ50と、操舵反力制御装置60と、サーボモータ61,81,91と、舵角センサ62と、転舵用アクチュエータ63と、アクセルペダル反力制御装置80と、ブレーキペダル反力制御装置90と、駆動力制御装置100と、制動力制御装置110と、能動型のサスペンション4FR,4FL,4RR,4RLそれぞれに備えられたアクチュエータ120FR,120FL,120RR,120RLおよび車体上下加速度検出器130FR,130FL,130RR,130RLと、車両状態検出器140とを備えている。
レーザレーダ10は、前方にある複数の反射物(通常、前方車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を検出し、反射波の到達時間より、複数の前方車までの車間距離とその存在方向を検出する。検出した車間距離および存在方向はコントローラ50へ出力される。
なお、本実施の形態において、前方物体の存在方向は、自車両正面に対する相対角度として表すことができる。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。
また、レーザレーダ10は、前方車両までの車間距離およびその存在方向だけでなく、自車前方に存在する歩行者や落下物等の障害物までの相対距離およびその存在方向を検出する。
車速センサ30は、車輪の回転数等から自車両の走行車速を検出し、検出した車速をコントローラ50へ出力する。
コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のCPU周辺部品とから構成され、車両用運転操作補助装置1および自動車1Aの制御系統全体の制御を行う。
なお、コントローラ50は、カメラ9F,9R,9SR,9SLから入力される画像情報を画像処理することにより自車両周囲の障害物状況を検出する。
ここで、自車両周囲の障害物状況としては、自車両前方の水溜りや落下物、車線内に存在している人、自車両前方を走行する他車両までの車間距離、隣接車線を自車両後方から接近する他車両の有無と接近度合い、およびレーンマーカ(車線識別線)に対する自車両の左右位置、つまり相対位置と角度、さらにレーンマーカの形状などを挙げることができる。
即ち、コントローラ50には、車体上下加速度検出器130FR,130FL,130RR,130RLから出力された上下加速度検出信号X”2FL〜X”2RRが入力される。
そして、コントローラ50は、車体上下加速度検出信号X"に所定のゲインKmを乗算する。
さらに、コントローラ50は、各能動型サスペンション4FR,4FL,4RR,4RLそれぞれのダンパにおける油圧制御用のアクチュエータ120FR,120FL,120RR,120RLに対し、リスクパラメータに応じて設定したサスペンション長さとするための指令値を出力する。これにより、コントローラ50が算出したリスクパラメータに応じて、自動車1Aの車体3を傾斜させることができる。
ここで、コントローラ50は、リスクパラメータに応じた操舵反力制御を行うが、リスクパラメータに応じて操舵反力を付与する場合、図3に示す減衰力算出制御マップを用いることができる。
転舵用アクチュエータ63は、コントローラ50がリスクパラメータに応じて車体3を傾斜させる際に、操向輪がその傾きに応じた転舵角となるように、操舵機構におけるラックギアを駆動する。
アクセルペダル7には、アクセルペダル7の踏み込み量(操作量)を検出するアクセルペダルストロークセンサ(不図示)が設けられている。アクセルペダルストロークセンサによって検出されたアクセルペダル操作量はコントローラ50に出力される。
ブレーキペダル8には、その踏み込み量(操作量)を検出するブレーキペダルストロークセンサ(不図示)が設けられている。ブレーキペダルストロークセンサによって検出されたブレーキペダル操作量もコントローラ50に出力される。
制動力制御装置110は、ブレーキ液圧コントローラを有し、コントローラ50からの指令に応じてブレーキ液圧を制御する。
車両状態検出器140は、横加速度センサ、ヨーレートセンサ、アクセル開度センサ、ブレーキ圧センサ等、自車両の状態を検出する各種センサを備えており、検出した横加速度(以下、適宜「横G」と称する。)、ヨーレート、アクセル開度ACCおよびブレーキ圧BRK等の検出値を、コントローラ50に出力する。
図4は、自動車1Aが有する能動型サスペンション機構の具体的な構成を示す図である。
図4において、能動型サスペンション4FR,4FL,4RR,4RLは、それぞれ車体側部材12と各車輪2FR,2FL,2RR,2RLを個別に支持する車輪側部材14との間に介装された能動型サスペンションであって、アクチュエータ120FR,120FL,120RR,120RLと、コイルスプリング16FR,16FL,16RR,16RLと、アクチュエータ120FR,120FL,120RR,120RLに対する作動油圧をコントローラ50からの指令値にのみ応動して制御する圧力制御弁17FR,17FL,17RR,17RLとを備えている。また、能動型サスペンション4FR,4FL,4RR,4RLは、圧力制御弁17FL〜17RRと油圧源24との間の油圧配管25の途中に接続した高圧側アキュムレータ28Hと、圧力制御弁17FL〜17RRと油圧シリンダ15FL〜15RRとの間の油圧配管27に絞り弁28Vを介して連通した低圧側アキュムレータ28Lとを備えている。
一方、車体3には、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの直上部に車体上下加速度検出器130FR,130FL,130RR,130RLが配設され、これら車体上下加速度検出器130FR,130FL,130RR,130RLの車体上下加速度検出信号X”2FL〜X”2RRがコントローラ50に入力される。
サスペンション制御部は、車体上下加速度検出信号X”2FL〜X”2RRそれぞれに所定のゲインKmを乗算するゲイン調整機能と、所定のゲインKnと車体上下加速度検出信号X”2FL〜X”2RRそれぞれとの積分値∫dtとを乗算する車体上下速度算出兼ゲイン調整機能と、ゲイン調整機能および車体上下速度算出兼ゲイン調整機能の出力を加算する加算機能とを有しており、加算機能による加算出力が圧力制御弁17FL〜17RRの指令値V4FL〜V4RRとして各圧力制御弁17FL〜17RRに供給される。
次に、コントローラ50が実行する処理について説明する。
本実施形態において、自動車1Aは、車両用運転操作補助装置1によって運転操作補助を行う場合に、リスクパラメータRPkに応じて、操舵反力や転舵角の制御およびサスペンション長さの制御を実行可能である。
したがって、初めに、これらの制御において用いられるリスクパラメータRPkを算出するためのリスクパラメータ算出処理について説明する。
図5は、コントローラ50が実行するリスクパラメータ算出処理を示すフローチャートである。
コントローラ50は、車両用運転操作補助装置1による運転操作補助の開始を運転者が指示入力することに対応して、リスクパラメータ算出処理を開始する。
図5において、リスクパラメータ算出処理を開始すると、コントローラ50は、まず、自車両の走行状態を読み込む(ステップS1)。
ここでは、前回の処理周期以前に検出し、不図示のメモリに記憶している自車両に対する各障害物の相対位置やその移動方向・移動速度と、ステップS1で得られた現在の走行状態データとにより、現在の各障害物の自車両に対する相対位置やその移動方向・移動速度を認識する。そして、自車両の走行に対して障害物となる他車両やレーンマーカが、自車両の周囲にどのように配置され、相対的にどのように移動しているかを認識する。
障害物kに対する余裕時間TTCkは、次式(1)で求めることができる。
TTCk=(Dk−σ(Dk))/(Vrk+σ(Vrk)) (1)
ここで、Dk:自車両から障害物kまでの相対距離、Vrk:自車両に対する障害物kの相対速度、σ(Dk):相対距離のばらつき、σ(Vrk):相対速度のばらつき、をそれぞれ示す。
レーザレーダ10は、カメラ、例えばCCD等によるカメラ9F,9R,9SR,9SLによる障害物の検出と比べて、検出距離、つまり自車両と障害物との相対距離の大きさによらず正しい距離を検出することができる。
そこで、レーザレーダ10で障害物kまでの相対距離Dkを検出した場合は、相対距離Dkによらず、そのばらつきσ(Dk)をほぼ一定値に設定する。
例えば、レーザレーダ10で相対距離Dkを検出した場合、相対速度Vrkのばらつきσ(Vrk)は、相対速度Vrkに比例して大きくなるように設定する。一方、カメラ9F,9R,9SR,9SLで相対距離Dkを検出した場合、相対速度Vrkが大きくなるほど相対速度のばらつきσ(Vrk)が指数関数的に増加するように設定する。
カメラ9F,9R,9SR,9SLによる相対距離Dkの検出は、障害物kの大きさが大きいほどその検出精度が高いため、障害物が四輪車両である場合の相対距離のばらつきσ(Dk)を二輪車両や歩行者の場合のばらつきσ(Dk)に比べて小さく設定する。
なお、レーザレーダ10とカメラ9F,9R,9SR,9SLの両方で障害物kを検出した場合は、例えば、値の大きな方のばらつきσ(Dk)、σ(Vrk)を用いてその障害物kに対する余裕時間TTCkを算出することができる。
ここで、各障害物kに対するリスクパラメータRPkは次式(2)で求められる。
RPk=(1/TTCk) (2)
(2)式に示すように、リスクパラメータRPkは余裕時間TTCkの逆数を用いて、余裕時間TTCkの関数として表されており、リスクパラメータRPkが大きいほど障害物kへの接近度合いが大きいことを示している。
ステップS5の後、コントローラ50は、運転操作補助の終了を運転者が指示入力するまで、リスクパラメータ算出処理を繰り返す。
次に、コントローラ50が実行する運転操作補助処理について説明する。
図6は、コントローラ50が実行する運転操作補助処理を示すフローチャートである。
コントローラ50は、車両用運転操作補助装置1による運転操作補助の開始を運転者が指示入力することに対応して、運転操作補助処理を開始する。
図6において、運転操作補助処理を開始すると、コントローラ50は、自車両が走行している車線の左右レーンマーカに関する仮想路面傾斜角θ1を算出する(ステップS101)。
ここでは、コントローラ50は、カメラ9F,9R,9SR,9SLによって撮影した画像を基に、自車両と左右レーンマーカとの距離Yを検出し、検出した距離Yに応じて、操舵反力TRを設定する。
図7に示すように、操舵反力TRは、自車両とレーンマーカとの距離(左右の各レーンマーカとの距離のうち、より小さい方を選択するものとする。)が小さくなるほど増大する。そして、操舵反力について設定した上限値で飽和する特性となっている。
コントローラ50は、レーンマーカとの距離から設定した操舵反力TRを基に、次のように仮想路面傾斜角θ1を算出する。
図8に示すように、傾斜角θの路面に置かれた車両には、水平方向に1/2・g・sin2θの加速度が作用する(図8(a)参照)。なお、図8において、mは車両の重量、gは重力加速度である。
そのため、図8(b)に示す関係から、操舵反力TR(=F)を発生させる路面の傾斜角θ1について、次式の関係を定義できる。
F=1/2・m・g・sin2θ1 (3)
ステップS101においては、(3)式の関係から路面傾斜角(車体3の傾斜角)θ1を算出する。
ここでは、コントローラ50は、カメラ9Fによって車線の曲率1/R(Rは曲線半径)を検出する。
曲率1/Rの道路を車速Vで走行するとき、必要な向心加速度は次式によって表せる。
V2/R (4)
1/2・g・sinθ2 (5)
(4)、(5)式より、次式の関係が定義できる。
V2/R=1/2・g・sin2θ2 (6)
(6)式から曲率1/Rを車速Vで走行するのに必要な仮想路面傾斜角θ2が求められる。
次いで、コントローラ50は、障害物の種類を判別する(ステップS104)。
具体的には、コントローラ50は、カメラ9F,9R,9SR,9SLによって撮影した障害物の画像を基に、その障害物の種類を判別する。なお、ここでは、前方にある直近の1つの障害物の種類を判別するものとする。
図9に示すように、障害物の種類は、第1群:障害物の位置を通過できないものであり、接近が禁止されるもの(例えば、人や自転車)、第2群:障害物の位置を通過できないものであり、接近は許容されるもの(例えば、資材等の落下物)、第3群:障害物の位置を通過できるもの(例えば、水溜り)に分類されている。
コントローラ50は、カメラによって撮影した画像を、各種障害物の形状とマッチングすることにより、検出した障害物がいずれの種類であるかを判別する。
なお、インフラストラクチャによって、障害物の種類が通知される場合には、通知された情報を利用して、障害物の種類を判別することができる。
このとき、コントローラ50は、自車両前方にある障害物について、リスクパラメータ算出処理によってリスクパラメータを算出する。
そして、図9に示す障害物の種類に応じて、障害物の種類が第1群の場合、リスクパラメータRPkの値が閾値α以上であれば、次式に従って、仮想路面傾斜角の補正値θαを算出する。
θα=B×(RPk−α) (7)
また、障害物の種類が第2群の場合、リスクパラメータRPkの値が閾値β(ただし、α<β)以上であれば、次式に従って、仮想路面傾斜角の補正値θβを算出する。
θβ=B×(RPk−β) (8)
なお、障害物の種類が第3群の場合、障害物に関する仮想路面傾斜角の補正値は0度とする。
このとき、コントローラ50は、車両状態検出器140の横加速度センサおよびヨーレートセンサ等の検出値から、自車両のロール方向の傾斜角θaを検出する。
そして、実際の路面の傾斜角θaを基に、仮想路面の傾斜角θを次式に従って算出する。
θ=θ3-θa+θα+θβ (9)
なお、障害物の種類が第1群あるいは第2群であると判別され、障害物の種類に応じてθαおよびθβの一方が算出された場合、θαおよびθβの他方はゼロに設定される。
具体的には、コントローラ50は、仮想路面傾斜角θに応じて、能動型サスペンション4FR,4FL,4RR,4RLにおけるサスペンションの長さを変化させることで車体3を傾斜させる。
このように、車体3の姿勢変化によって生じる加速度と、視界の変化とを運転者に与えることによって、仮想的な路面の傾斜を伝達することができる。
仮想路面の傾斜によって車両重心点に働く力Fは、仮想路面の傾斜角θを用いて、次式に従って算出する。
F=m・g・sinθ (10)
この力Fが四輪に等しく働くとすると、車輪1つ当たりに働く外力fは、f=F/4となる。
具体的には、ステップS108で算出した車輪に働く外力Fを、前輪タイヤを転舵することで発生させる。転舵により発生するヨーレートγは、前後輪それぞれ2つの車輪に働く外力F1=2×fとすると、等価二輪モデルに基づく次式の関係から算出できる。
さらに、コントローラ50は、算出したヨーレートγから、操向輪の転舵角δを算出する(ステップS110)。
具体的には、Asをスタビリティファクタ、Vを車速、lをホイールベースとすると、転舵角δは、次式の関係を基に算出できる。
具体的には、リスクパラメータRPkの大きさから、次式に従って操舵反力TRを算出し、サーボモータ61を駆動して運転者に操舵反力を与える。ここで、係数Aは、運転者に操舵反力を与える実験によって決定した値である。
Fa=A×RPk (15)
そして、コントローラ50は、ステップS110で算出した転舵角δとなるように転舵用アクチュエータ63を制御し(ステップS112)、ステップS111で算出した操舵反力TRとなるように、サーボモータ61を制御する(ステップS113)。
この後、コントローラ50は、運転操作補助処理を繰り返す。
図10は、運転操作補助処理を示す制御ブロック図である。
図6に示す運転操作補助処理を制御ブロック図で示すと、図10のようになる。
図10においては、左右レーンマーカとの距離から操舵反力TRを算出し、さらに、仮想路面傾斜角θ1を算出している。
また、道路曲率1/Rから仮想路面傾斜角θ2を算出している。
さらに、実際の路面形状として、ロール方向(車両左右方向)の傾斜θaを検出している。
そして、仮想路面傾斜角θ1およびθ2の加算結果から、実際の路面の傾斜角θaを減算すると共に、障害物の種類に応じた仮想路面傾斜角の補正値θα,θβを加算し、仮想路面傾斜角θを算出している。
この仮想路面傾斜角θによって、車体3の傾斜を制御するとともに、仮想路面傾斜角θに対応する外力を算出し、等価二輪モデルを用いて、その外力に相等する転舵角を算出して、転舵用アクチュエータ63を駆動している。
また、障害物について算出したリスクパラメータから、操舵反力TRを算出し、その操舵反力TRを実現するように、サーボモータ61を駆動している。
これにより、運転操作補助処理の機能を実現することができる。
次に、動作を説明する。
自動車1Aにおいては、基本的な制御として、図4に示すように、能動型サスペンション4FR,4FL,4RR,4RLによって、車体3に入力する振動を抑制する制御を行っている。
即ち、能動型サスペンション4FR,4FL,4RR,4RLによって、路面から車体3に入力される振動をほぼ打ち消すように制御したり、路面から車体3に入力される振動をそのまま伝えたりする制御を行っている。
このとき、自動車1Aは、仮想路面傾斜角θ3に応じた外力Fに対応するヨーレートγを発生させるように、転舵用アクチュエータ63を駆動して、操向輪の転舵制御を行う(ステップS110,S112)。
ここで、自車両前方に障害物を検出した場合、自動車1Aは、障害物の種類を判別する(ステップS104)。そして、自動車1Aは、能動型サスペンションを駆動して、障害物の種類に対応したタイミングおよび傾斜角で、仮想路面傾斜角θに対応する車体3の傾斜角を付与する(ステップS105,S106)。
一方、自動車1Aは、操舵反力TRについては、障害物までの余裕時間(到達時間)に応じて強さが増加するように制御する。
これにより、運転者は、操舵反力から、障害物までの余裕時間を把握することができる。
これにより、障害物を回避する方向に操向輪を転舵することができる。また、車体3の傾斜角を付与することと連動して、操向輪の転舵を行うため、運転者にとっては、自動車1Aが障害物を回避しようとしていることを容易に認識できるものとなる。
このような制御が行われた場合、自動車1Aの動作は、図11に示すように概説できる。
なお、図11中の操舵反力および車体3の傾斜角について記載した値は、動作の特徴を示すために正規化した値となっている。
図11において、自動車1Aの動作は、障害物の種類に応じて、車体3の傾斜角の付与の仕方が異なるものとなっている。
具体的には、自車両が障害物の位置を通過可能なものについては、車体3の傾斜角を付与していない。
一方、自車両が障害物の位置を通過できないものについては、車体3の傾斜角を付与している。
これにより、運転者は、車体3の傾斜角から、障害物がどのようなものであるかを把握できる。
これに対し、操舵反力については、障害物の種類に関わらず、余裕時間が短くなるほど、大きい操舵反力を付与している。
これにより、運転者は、操舵反力の大きさから、障害物までの余裕時間を把握することができる。
図12は、障害物として水溜りを検出した場合の操舵反力および車体3の傾斜の状態を示す図である。
図12において、水溜りは、図9における第3群(障害物の位置を通過できるもの)に分類される障害物であり、この種の障害物については、余裕時間tが長い状態から短い状態に渡って、障害物に基づく車体3の傾斜は行わないものとなっている。
したがって、運転者は、操舵反力のみが付与される状況では、前方の障害物が第3群に属するものであることを把握でき、また、障害物との距離を、操舵反力の強さから把握することができる。
図13において、落下物は、図9における第2群(障害物の位置を通過できないものであり、接近は許容されるもの)に分類される障害物である。
この種の障害物については、余裕時間tが長い状態では、障害物に基づく車体3の傾斜を行わず、余裕時間tが中程度で車体3の傾斜を中程度とし、余裕時間tが短くなると、車体3の傾斜をより大きくしている。
したがって、運転者は、操舵反力の付与に遅れて車体3が傾斜する状況では、前方の障害物が第2群に属するものであることを把握でき、また、障害物との距離を、操舵反力の強さから把握することができる。
図14において、人は、図9における第1群(障害物の位置を通過できないものであり、接近が禁止されるもの)に分類される障害物である。
この種の障害物については、余裕時間tが長い状態で車体3の傾斜を中程度とし、余裕時間tが中程度から短い状態に渡って、車体3の傾斜を大きくしている(ここでは上限値に収束させている)。
したがって、運転者は、操舵反力の付与と同時に車体3が傾斜を開始する状況では、前方の障害物が第1群に属するものであることを把握でき、また、障害物との距離を、操舵反力の強さから把握することができる。
そのため、運転者に対し、車体の傾斜角を制御することによって、障害物の種類を知らせることができると共に、操舵反力の強さによって、障害物までの余裕時間を知らせることができる。
さらに、自動車1Aは、車体3の傾斜角に応じて転舵制御を行うため、車体3の傾斜に対して違和感のない回避動作を実現することができる。
即ち、本発明によれば、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
(1)障害物判別手段が、障害物検出手段によって検出した障害物の種類を判別し、仮想路面設定手段が、障害物判別手段の判別結果に基づいて、傾斜角を有する仮想路面を設定する。また、車体制御手段が、仮想路面設定手段によって設定した仮想路面の傾斜角と対応させて、能動型のサスペンション装置を制御し、車体を傾斜させ、操舵反力制御手段が、障害物検出手段によって検出した障害物への接近度合いに応じて、操舵反力を制御する。
そのため、操舵反力による障害物回避の補助を行う場合に、障害物の種類に応じて車体を傾斜させるため、装置の制御による回避動作を運転者が理解しやすいものとなる。これにより、運転者が装置の制御による回避動作に違和感を覚えることを抑制できる。
したがって、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
したがって、運転者は、仮想路面の傾斜角が付与されるタイミングと、傾斜角の大きさとから、障害物の種類を把握することができる。
(3)障害物判別手段が、障害物を第1〜第3の種類に分類し、仮想路面設定手段が、障害物の種類毎に、仮想路面の傾斜角を与えるタイミングを変化させる。
したがって、運転者は、仮想路面が与えられるタイミングを基に、障害物の種類が第1〜第3の種類のいずれであるかを把握することができる。
したがって、運転者が認識する車体の傾斜と、車両の挙動とが整合するものとなり、運転者に違和感を与えることを抑制できる。
したがって、障害物が検出されないときには、レーンマーカへの接近を抑制したり、道路の曲率に応じて車体を傾斜させたりして運転を補助しながら、障害物が検出されたときに、障害物を回避するための仮想路面の傾斜を創出することができる。
そのため、操舵反力による障害物回避の補助を行う場合に、障害物の種類に応じて車体を傾斜させるため、装置の制御による回避動作を運転者が理解しやすいものとなる。これにより、運転者が装置の制御による回避動作に違和感を覚えることを抑制できる。
したがって、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
そのため、操舵反力による障害物回避の補助を行う場合に、障害物の種類に応じて車体を傾斜させるため、装置の制御による回避動作を運転者が理解しやすいものとなる。これにより、運転者が装置の制御による回避動作に違和感を覚えることを抑制できる。
したがって、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る自動車1Aは、第1実施形態に係る自動車1Aと同様の構成を有するものである一方、図6に示す運転操作補助処理において、自車両と左右のレーンマーカとの距離に応じて仮想路面傾斜角θ1を算出する処理(ステップS101)、および、走行車線の曲率に応じて仮想路面傾斜角θ2を算出する処理(ステップS102)を行わない点が主に異なっている。
したがって、本実施形態に係る自動車1Aの構成については、第1実施形態における図1,2,4を参照することとし、以下、運転操作補助処理について説明する。
コントローラ50は、車両用運転操作補助装置1による運転操作補助の開始を運転者が指示入力することに対応して、運転操作補助処理を開始する。
図15において、運転操作補助処理を開始すると、コントローラ50は、リスクの種類を判別する(ステップS201)。
具体的には、コントローラ50は、カメラ9F,9R,9SR,9SLによって撮影した障害物の画像を基に、その障害物の種類(図9参照)を判別する。
次に、コントローラ50は、障害物に関する仮想路面傾斜角θα,θβを算出する(ステップS202)。
そして、図9に示す障害物の種類に応じて、障害物の種類が第1群の場合、リスクパラメータRPkの値が閾値α以上であれば、(7)式に従って、仮想路面傾斜角の補正値θαを算出する。
θα=B×(RPk−α) (7)
また、障害物の種類が第2群の場合、リスクパラメータRPkの値が閾値β(ただし、α<β)以上であれば、(8)式に従って、仮想路面傾斜角の補正値θβを算出する。
θβ=B×(RPk−β) (8)
このように、仮想路面傾斜角を設定することで、運転者に対し、通過してはいけない障害物の存在を伝えることができる。また、障害物に関する路面傾斜角を付与する場合に、上述のように第2群よりも第1群に付与するタイミングを早くすることで、通過してはいけない障害物の中で、接近してはいけないものの存在を運転者に伝えることができる。
このとき、コントローラ50は、車両状態検出器140の横加速度センサおよびヨーレートセンサ等の検出値から、自車両のロール方向の傾斜角θaを検出する。
そして、実際の路面の傾斜角θaを基に、仮想路面の傾斜角θを次式に従って算出する。
θ=θα+θβ-θa (16)
具体的には、コントローラ50は、仮想路面傾斜角θに応じて、能動型サスペンション4FR,4FL,4RR,4RLにおけるサスペンションの長さを変化させることで車体3を傾斜させる。
このように、車体3の姿勢変化によって生じる加速度と、視界の変化とを運転者に与えることによって、仮想的な路面の傾斜を伝達することができる。
仮想路面の傾斜によって車両重心点に働く力Fは、仮想路面の傾斜角θを用いて、(10)式に従って算出する。
F=m・g・sinθ (10)
この力Fが四輪に等しく働くとすると、車輪1つ当たりに働く外力fは、f=F/4となる。
具体的には、ステップS205で算出した車輪に働く外力Fを、前輪タイヤを転舵することで発生させる。転舵により発生するヨーレートγは、前後輪それぞれ2つの車輪に働く外力F1=2×fとすると、等価二輪モデルに基づく(11)〜(13)式の関係から算出できる。
具体的には、Asをスタビリティファクタ、Vを車速、lをホイールベースとすると、転舵角δは、(14)式の関係を基に算出できる。
具体的には、リスクパラメータRPkの大きさから、(15)式に従って操舵反力TRを算出し、サーボモータ61を駆動して運転者に操舵反力を与える。ここで、係数Aは、運転者に操舵反力を与える実験によって決定した値である。
Fa=A×RPk (15)
そして、コントローラ50は、ステップS207で算出した転舵角δとなるように転舵用アクチュエータ63を制御し(ステップS209)、ステップS208で算出した操舵反力TRとなるように、サーボモータ61を制御する(ステップS210)。
この後、コントローラ50は、運転操作補助処理を繰り返す。
そのため、運転者に対し、車体の傾斜角を制御することによって、障害物の種類を知らせることができると共に、操舵反力の強さによって、障害物までの余裕時間を知らせることができる。
また、図15に示す運転操作補助処理では、車体3の傾斜制御が行われる状況は、第1群および第2群に属する障害物が検出された場合に限られるため、車体3の傾斜を付与することにより、障害物の種類を明確に運転者に伝えることができる。
さらに、自動車1Aは、車体3の傾斜角に応じて転舵制御を行うため、車体3の傾斜に対して違和感のない回避動作を実現することができる。
即ち、本発明によれば、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
(1)障害物判別手段が、障害物検出手段によって検出した障害物の種類を判別し、仮想路面設定手段が、障害物判別手段の判別結果に基づいて、傾斜角を有する仮想路面を設定する。また、車体制御手段が、仮想路面設定手段によって設定した仮想路面の傾斜角と対応させて、能動型のサスペンション装置を制御し、車体を傾斜させ、操舵反力制御手段が、障害物検出手段によって検出した障害物への接近度合いに応じて、操舵反力を制御する。
また、検出した障害物に対してのみ、仮想路面の傾斜を付与するため、車体の傾斜によって、運転者に障害物の種類を明確に伝えることができる。
したがって、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
第1実施形態においては、自車両と左右のレーンマーカとの距離に応じて仮想路面傾斜角θ1を算出する処理、および、走行車線の曲率に応じて仮想路面傾斜角θ2を算出する処理を行う制御パターンについて説明した。また、第2実施形態においては、これらの処理を行わない制御パターンについて説明した。
これに対し、障害物が検出された状況および障害物が検出されない状況に応じて、これらの制御パターンを切り替えることができる。
即ち、障害物が検出されない場合には、コントローラ50は、自車両と左右のレーンマーカとの距離に応じて仮想路面傾斜角θ1を算出する処理、および、走行車線の曲率に応じて仮想路面傾斜角θ2を算出する処理を実行する。
このような制御パターンとすることにより、障害物が検出されないときには、車線内の走行を支援するために車体3を傾斜させたり、曲線路を走行する場合の運転感覚を向上させるために車体3を傾斜させたりすることができる。そして、障害物が検出されたときには、障害物に対応して、車体3を傾斜させることができる。
これにより、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことができる。
第1実施形態および第2実施形態においては、自車両前方の直近の1つの障害物を対象として、車体3の傾斜角を算出する(仮想路面傾斜角を算出する)こととして説明した。
これに対し、複数の障害物が検出された場合、自車両前方において、設定した余裕時間内に属する複数の障害物を対象として、車体3の傾斜制御を行うことができる。
このとき、操舵反力については、複数の障害物それぞれについて算出した操舵反力のうち、各時点において、最大のものを選択して付与するものとする。
これにより、自車両前方に複数の障害物が存在する場合にも、運転者に対し、より適切に車両の運転操作の補助を行うことが可能となる。
Claims (7)
- 車輪と車体との間に介在された能動型のサスペンション装置と、
車両周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段によって検出した障害物の種類を判別する障害物判別手段と、
前記障害物判別手段の判別結果に基づいて、傾斜角を有する仮想路面を設定する仮想路面設定手段と、
前記仮想路面設定手段によって設定した仮想路面の傾斜角と対応させて、前記能動型のサスペンション装置を制御し、車体を傾斜させる車体制御手段と、
前記障害物検出手段によって検出した障害物への接近度合いに応じて、操舵反力を制御する操舵反力制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。 - 前記仮想路面設定手段は、前記障害物判別手段によって判別された障害物の種類に応じて、前記仮想路面の傾斜角を付与するタイミングと、該仮想路面の傾斜角の大きさとを異ならせることを特徴とする請求項1記載の車両用運転操作補助装置。
- 前記障害物判別手段は、障害物の位置の通過を許容せず、障害物に対する接近も許容しない第1の種類と、障害物の位置の通過を許容せず、障害物に対する接近を許容する第2の種類と、障害物の位置の通過を許容する第3の種類とに障害物を分類し、
前記仮想路面設定手段は、前記障害物判別手段によって第1の種類に分類された障害物に対しては、他の種類に分類された障害物と比べて最も早いタイミングで前記仮想路面の傾斜角を付与し、前記障害物判別手段によって第2の種類に分類された障害物に対しては、第1の種類に分類された障害物より遅いタイミングで前記仮想路面の傾斜角を付与し、前記障害物判別手段によって第3の種類に分類された障害物に対しては、前記仮想路面の傾斜角を付与しないことを特徴とする請求項1または2記載の車両用運転操作補助装置。 - 前記仮想路面の傾斜角を有する路面を実際に車両が走行している場合に働く力に対応させて、操向輪の転舵角を制御する転舵角制御手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置。
- 車両の走行環境を検出する走行環境検出手段を備え、
前記仮想路面設定手段は、前記走行環境検出手段が検出したレーンマーカとの距離および走行車線の曲率に応じて前記仮想路面の傾斜角を設定し、前記障害物の種類と、該障害物への接近度合いに応じて、前記仮想路面の傾斜角を補正することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置。 - 車両周囲の障害物を検出する障害物検出ステップと、
前記障害物検出ステップにおいて検出した障害物の種類を判別する障害物判別ステップと、
前記障害物判別ステップにおける判別結果に基づいて、傾斜角を有する仮想路面を設定する仮想路面設定ステップと、
前記仮想路面設定ステップにおいて設定した仮想路面の傾斜角と対応させて、車輪と車体との間に介在された能動型のサスペンション装置を制御し、車体を傾斜させる車体制御ステップと、
前記障害物検出ステップにおいて検出した障害物への接近度合いに応じて、操舵反力を制御する操舵反力制御ステップと、
を含むことを特徴とする車両用運転操作補助方法。 - 車体と、
車輪と前記車体との間に介在された能動型のサスペンション装置と、
車両周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段によって検出した障害物の種類を判別する障害物判別手段と、
前記障害物判別手段の判別結果に基づいて、傾斜角を有する仮想路面を設定する仮想路面設定手段と、
前記仮想路面設定手段によって設定した仮想路面の傾斜角と対応させて、前記能動型のサスペンション装置を制御し、車体を傾斜させる車体制御手段と、
前記障害物検出手段によって検出した障害物への接近度合いに応じて、操舵反力を制御する操舵反力制御手段と、
を備えることを特徴とする自動車。
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