JP2011045127A - 変調回路および復調回路 - Google Patents

変調回路および復調回路 Download PDF

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JP2011045127A JP2010237193A JP2010237193A JP2011045127A JP 2011045127 A JP2011045127 A JP 2011045127A JP 2010237193 A JP2010237193 A JP 2010237193A JP 2010237193 A JP2010237193 A JP 2010237193A JP 2011045127 A JP2011045127 A JP 2011045127A
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signal
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Katsuyuki Ikeda
勝幸 池田
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Abstract

【課題】集積回路化が容易でかつ高速データの送信にも効果のあるFSK変復調回路を実現する。
【解決手段】周期的な信号を発生する第1周期信号発生手段と、第1周期信号発生手段の発生する周期信号と同一周波数で位相が90度異なる周期的な信号を発生する第2周期信号発生手段と、第1、第2周期信号発生手段の発生する周期信号と異なる周波数の周期的な信号を発生する第3周期信号発生手段と、第3周期信号発生手段の発生する周期信号と同一の周波数で位相が90度異なる周期的な信号を発生する第4周期信号発生手段と、第
1周期信号発生手段の発生する信号と第3周期信号発生手段の発生する信号を乗算する第1乗算手段と、第2周期信号発生手段の発生する信号と第4周期信号発生手段の発生する信号を乗算する第2乗算手段と、変調信号の論理値によって第1乗算手段の信号と第2乗算手段の信号を加算または減算する加減算手段で構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は変調回路および復調回路に関し、より詳しくは周波数シフトキーイング(FS
K)方式の変復調回路に関する。
デジタル信号を送信する場合にその伝送路の特性に合わせて変調し、効率よく伝送する
ことは良く行われている。その際に、送信するデジタル信号の論理により搬送波周波数を
シフトする周波数シフトキーイング方式は、簡便な変調方式として多用されている。
変調回路としては、異なる周波数fm、fsを発生する2つの発振回路の信号を送信信号
の論理値(マークおよびスペース)によって切り替える、または、電圧制御発振回路の制
御電圧を送信デジタル信号の値により制御するなどの方法を取っている。また、復調回路
としては、通過帯域を周波数fm、fsに合わせた2つの帯域フィルタを使って受信信号の
周波数を判定し復調している。
しかしながら、従来のこのような方法では、電圧制御発振回路などのアナログ回路が大
部分を占め、半導体チップ上での集積化や無調整化が困難であった。また、復調回路にお
いて、帯域フィルタのレスポンスは復調精度に直接影響し、高速のデータを送信しようと
すると、周波数遷移を大きくとらなければならないという欠点があった。
そこで本発明では、半導体集積回路化が容易でかつ高速データの送信にも効果のある新
しいFSK変復調回路を実現することを目的とする。
本発明の一態様に係る変調回路は、周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と
、前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、前記第1および第2の周期信号
発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期的な信号を発生する第3の周期信
号発生手段と、前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位
相が90度異なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、前記第1の周期信
号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する信号を乗算する第1
の乗算手段と、前記第2の周期信号発生手段の発生する信号と前記第4の周期信号発生手
段の発生する信号を乗算する第2の乗算手段と、変調信号の論理値によって前記第1の乗
算手段の出力信号と前記第2の乗算手段の出力信号を加算または減算する加減算手段とを
具備することを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、各々の構成要素は半導体集積回路により容易に実現が可能
であり、システムのコストを下げるのみならず、信頼性の高い高精度の変調回路を実現す
ることが可能となる。
本発明の一態様に係る変調回路の前記第1乃至第4の周期信号発生手段の発生する周期
的な信号は正弦波または矩形波であることを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、搬送波波形と周波数偏移として正弦波を使用することによ
り、高調波歪の少ない高精度の変調回路を実現することができる。また、搬送波および周
波数偏移として矩形波を使用することにより、回路は簡単なデジタル回路にて実現するこ
とができ、半導体集積回路上に能率よくシステムを搭載することが可能となり、変調精度
や信頼性の向上やシステムのコストダウンが可能となる。
本発明の一態様に係る変調回路の前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周
期的な信号は正弦波または矩形波、前記第3および第4の周期信号発生手段の発生する周
期的な信号は矩形波または正弦波であることを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、搬送波として矩形波または正弦波、周波数偏移として正弦
波または矩形波を使用することが可能となり、回路は簡単なデジタル回路とスイッチ回路
にて実現することができる。このため、半導体集積回路上に能率よくシステムを搭載する
ことが可能となり、変調精度や信頼性の向上やシステムのコストダウンが可能となるとと
もに、高調波ひずみの少ない高精度の変調回路を実現することが可能となる。
本発明の一態様に係る変調回路は、n相の(nは3以上の整数)周期的パルスを発生す
る発振手段と、前記発振回路の出力を所定の周期で位相が2π/nづつ進むように切り替
える第1の切替手段と、前記発振回路の出力を所定の周期で位相が2π/nづつ遅れるよ
うに切り替える第2の切替手段と、送信する2値データの値によって前記第1または第2
の切替手段の一方の出力を選択する選択手段とを具備することを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、変調回路が簡単な切替回路のみで構成できるので、半導体
集積回路などへの搭載を容易とし、回路の量産性や信頼性向上およびコストダウンに効果
がある。
本発明の一態様に係る変調回路の前記発振手段は、n相の正弦波またはn相の矩形波を
発生することを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、周期的な信号として正弦波を利用することにより、高調波
ひずみの少ない変調回路を実現できる。また、周期的な信号として矩形波を利用すること
により、変調回路はデジタル回路によって実現が可能となり、またレスポンスの速い変調
回路を提供することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る変調回路は、位相が90度ずつ異なる少なくとも2相分の
周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と、前記第1の周期信号発生手段の発生
する周期的な信号と異なる周波数を有し、位相が90度ずつ異なる少なくとも3相分の周
期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、前記第1の周期信号発生手段の発生す
る1相分の信号と前記第2の周期信号発生手段の発生する1相分の信号を乗算する第1の
乗算手段と、前記第1の乗算手段に入力された信号に対して90度だけ位相が進んだ信号
、あるいは90度だけ位相の遅れた信号のどちらか一方を、変調信号の論理値に従って前
記第2の周期信号発生手段の出力から選択する選択手段と、前記第1の周期信号発生手段
から前記第1の乗算手段に入力された信号と90度だけ位相が異なる信号と前記選択手段
にて選択された信号とを乗算する第2の乗算手段と、前記第1の乗算手段の出力信号と前
記第2の乗算手段の出力信号を加算する加算手段とを具備することを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、複雑な回路要素を必要とせず、半導体集積回路上に集積可
能な簡単な回路要素によってFSK変調が可能となり、精度の高い安価なFSK変調回路
が実現できる。
また、本発明の一態様に係る変調回路は、位相が90度ずつ異なる4相分の周期的な信
号を発生する第1の周期信号発生手段と、前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的
な信号と異なる周波数を有し、位相が90度ずつ異なる少なくとも3相分の周期的な信号
を発生する第2の周期信号発生手段と、前記第1の周期信号発生手段にて発生された位相
が互いに180度だけ異なる2相分の信号のうちのどちらか一方を、前記第2の周期信号
発生手段にて発生された1相分の信号に従って選択する第1の選択手段と、前記第1の選
択手段に入力された信号に対して90度だけ位相が進んだ信号、あるいは90度だけ位相
の遅れた信号のどちらか一方を、変調信号の論理値に従って前記第2の周期信号発生手段
の出力から選択する第2の選択手段と、前記第1の周期信号発生手段にて発生された位相
が互いに180度だけ異なる残りの2相分の信号のうちのどちらか一方を、前記第2の選
択手段の出力に従って選択する第3の選択手段と、前記第1の選択手段にて選択された信
号と前記第3の選択手段にて選択された信号とを加算する加算手段とを具備することを特
徴とする。
本発明の上記構成によれば、乗算回路を簡単なスイッチにより実現することができ、電
圧制御発振回路のような複雑な回路要素を必要とせず、簡単な回路要素によってFSK変
調が可能となり、FSK変調回路を半導体集積回路上に集積することが極めて容易となる

また、本発明の一態様に係る変調回路は、周期的な信号を発生する第1の周期信号発生
手段と、前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が9
0度異なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、前記第1および第2の周
期信号発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期的な信号を発生する第3の
周期信号発生手段と、前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波
数で位相が90度異なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、前記第1の
周期信号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する信号との排他
的論理和をとる第1の排他的論理和回路と、変調信号と前記第3の周期信号発生手段の発
生する信号との排他的論理和をとる第2の排他的論理和回路と、前記第2の周期信号発生
手段の発生する信号と前記第2の排他的論理和回路の出力との排他的論理和をとる第3の
排他的論理和回路と、前記第1の排他的論理和回路の出力と前記第3の排他的論理和回路
の出力とを加算する加算手段とを具備することを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、乗算回路を簡単なロジック回路である排他的論理和回路に
より実現することができ、電圧制御発振回路のような複雑な回路要素を必要とせず、簡単
な回路要素によってFSK変調が可能となり、FSK変調回路を半導体集積回路上に集積
することが極めて容易となる。
本発明の一態様に係る復調回路は、周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と
、前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、前記第1および第2の周期信号
発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期的な信号を発生する第3の周期信
号発生手段と、前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位
相が90度異なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、前記第1の周期信
号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する信号を乗算する第1
の乗算手段と、前記第2の周期信号発生手段の発生する信号と前記第4の周期信号発生手
段の発生する信号を乗算する第2の乗算手段と、前記第1の乗算手段の出力信号と前記第
2の乗算手段の出力信号を加算または減算する加減算手段と、前記加減算手段の出力と入
力信号を乗算する第3の乗算手段とを具備することを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、各々の構成要素は半導体集積回路により容易に実現が可能
であり、システムのコストを下げるのみならず、信頼性の高い高精度の復調回路を実現す
ることが可能となる。
本発明の一態様に係る復調回路は、周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と
、前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、前記第1および第2の周期信号
発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期的な信号を発生する第3の周期信
号発生手段と、前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位
相が90度異なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、前記第1の周期信
号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する信号を乗算する第1
の乗算手段と、前記第2の周期信号発生手段の発生する信号と前記第4の周期信号発生手
段の発生する信号を乗算する第2の乗算手段と、前記第1の乗算手段の出力信号と前記第
2の乗算手段の出力信号を加算する加算手段と、前記加算手段の出力と入力信号を乗算す
る第3の乗算手段と、前記第1の乗算手段の出力信号と前記第2の乗算手段の出力信号を
減算する減算手段と、前記減算手段の出力と前記入力信号を乗算する第4の乗算手段と、
前記第3および第4の乗算手段の出力を比較判定する判定手段とを具備することを特徴と
する。
本発明の上記構成によれば、前記第3および第4の乗算手段によってそれぞれ信号のマ
ークおよびスペースを弁別しそれらの結果を比較するので、上記効果に加えてさらに、復
調の精度を高める効果がある。
本発明の一態様に係る復調回路の前記第1乃至第4の周期信号発生手段の発生する周期
的な信号は正弦波または矩形波であることを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、搬送波波形と周波数偏移として正弦波を使用することによ
り、高調波歪の少ない高精度の復調回路を実現することができる。また、搬送波および周
波数偏移として矩形波を使用することにより、復調回路は簡単なデジタル回路にて実現す
ることができる。このため、半導体集積回路上に能率よくシステムを搭載することが可能
となり、復調調精度や信頼性の向上およびシステムのコストダウンが可能となるとともに
、復調のレスポンスを速くできる効果がある。
本発明の一態様に係る復調回路の前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周
期的な信号は正弦波または矩形波、前記第3および第4の周期信号発生手段の発生する周
期的な信号は矩形波または正弦波であることを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、搬送波として正弦波また矩形波、偏移周波数を発振する発
振回路の出力信号として矩形波または正弦波を使用することが可能となり、回路は簡単な
デジタル回路とスイッチ回路にて実現することが可能となる。このため、半導体集積回路
上に能率よくシステムを搭載することが可能となり、変調精度や信頼性の向上、システム
のコストダウンが可能となるとともに、高調波ひずみの少ない高精度の復調回路を実現す
ることが可能となる。
以上述べたように本発明の上記構成によれば、FSK変復調回路を半導体集積回路上へ
搭載することが容易となり、システムの高性能化、高精度化および低価格化に効果がある
本実施形態のFSK変調回路の概念を説明する図。 本実施形態のFSK変調回路の一実施例を説明する図。 本実施形態のFSK変調回路に用いる各回路ブロックを詳細に説明する図。 本実施形態のFSK変調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK変調回路の一実施例を説明する図。 本実施形態のFSK変調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK変調回路の一実施例を説明する図。 本実施形態のFSK変調回路の一実施例を説明する図。 本実施形態のFSK変調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK変調回路の一実施例を説明する図。 本実施形態のFSK変調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK復調回路の一実施例を説明する図。 本実施形態のFSK復調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK復調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK復調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK復調回路の動作を説明するタイム図とスペクトル図。 本実施形態のFSK復調回路の一実施例を説明する図。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明によるFSK変調回路の概念を示す図である。FSK変調は、送信するデ
ジタル2値のデータの値(マーク、スペースという)に従って異なる2つの周波数、すな
わち、送信データがマークのとき周波数fmの信号、送信データがスペースのとき周波数
sの信号に変換する操作である。ここで後の説明のために、搬送波周波数fcと偏移周波
数fdを以下の(1)式および(2)式のように定義する。
c=(fm+fs)/2 ・・・(1)
d=(fm−fs)/2 ・・・(2)
ここで、fm、fsをfc、fdを用いて表すと、以下の(3)式および(4)式が得られ
る。
m=fc+fd ・・・(3)
s=fc−fd ・・・(4)
図1において、発振回路101、102は周波数fc、fdの周期的な信号を発生する。
移相回路103は発振回路101から出力される信号と90度だけ位相の異なる信号を発
生する。また、移相回路104は発振回路102から出力される信号と90度だけ位相の
異なる信号を発生する。乗算回路105は発振回路101の出力信号と移相回路104の
出力信号を乗算し出力する。また、乗算回路106は発振回路102の出力信号と移相回
路103の出力信号を乗算し出力する。そして、乗算回路105、106からそれぞれ出
力された2つの信号は加減算回路107によって加算または減算される。ここで、加減算
回路107には変調データ端子109が設けられ、変調データ端子109には、送信され
る変調データが入力される。そして、加減算回路107は、変調データ端子109より入
力される変調データがマークのときは加算、スペースのときは減算を実行する。加減算回
路107の出力は、帯域フィルタ108により不要帯域成分が取り除かれた後、変調波出
力110として出力される。
このような構成により、FSK変調が実現できることを数式を使って説明する。なお、
発振回路101、102は周期的な信号を発生する発振回路であり、必ずしも正弦波発振
回路に限定されるものではないが、正弦波以外のパルス列であってもフーリエ変換により
正弦波の級数として表すことができるので、基本波成分のみを考えることとし、以下正弦
波の場合を例に説明する。正弦波以外の場合は他の実施例でより詳しく後述する。
発振回路101にて発生される周期的な信号が正弦波の場合、発振回路101の発生す
る信号Scは、以下の(5)式で与えられる。
c=sin(2πfct) ・・・(5)
ここで、πは円周率、tは時間である。また、FSKでは振幅情報は意味を持たないの
で、振幅は1として省略した。
移相回路103は、発振回路101の発生する信号Scの移相を90度進めるよう働く
と仮定すると、移相回路103の出力信号Ccは、以下の(6)式で与えられる。
c=cos(2πfct) ・・・(6)
同様に、発振回路102および移相回路104の出力Sd、Cdは、以下の(7)式およ
び(8)式でそれぞれ与えられる。
d=sin(2πfdt) ・・・(7)
d=cos(2πfdt) ・・・(8)
ここで、ScおよびSdの位相は必ずしも同期している必要はないが、簡単のために位相
差は無視した。
加減算回路107の出力Mは、加減算回路107が加算回路として働く場合には、以下
の(9)式で示すように、マーク時の周波数fmの信号となる。
M=Scd+Ccd=sin{2π(fc+fd)t} ・・・(9)
また、加減算回路107の出力Mは、加減算回路107が減算回路として働く場合には
、以下の(10)式で示すように、スペース時の周波数fsの信号となる。
M=Scd−Ccd=sin{2π(fc−fd)t} ・・・(10)
上記では、移相回路103、104が入力信号の位相を90度進める回路として説明し
たが、両方とも位相を90度遅らせる回路であっても、また一方の移相回路が位相を90
度進め、他方の移相回路が位相を90度遅らせる回路であっても、三角関数の加法公式に
よって同様の議論が成り立つ。その場合、マークまたはスペースにより加算または減算の
どちらを加減算回路107に実行させるかは注意を要する。すなわち、一方の移相回路が
位相を90度だけ進め、他方の移相回路が位相を90度だけ遅らせる回路である場合は、
マークとスペースの論理が反対になる。
以上述べたようにこのような構成によれば、電圧制御発振回路のような複雑な回路要素
を必要とせず、トランジスタや抵抗を用いることでFSK変調回路を構成することが可能
となる。このため、簡単な回路要素によってFSK変調が可能となり、FSK変調回路を
半導体集積回路上に集積することが極めて容易となる。
図2は本発明によるFSK変調回路の一実施例の要部を示す構成図である。実施例1に
て本発明の基本的概念を説明したが、本実施例は上記概念に従ってより具体的に説明する

図2において、4相発振回路201、202は周波数fc、fdの正弦波をそれぞれ発生
する。乗算回路204は4相発振回路201の1出力と4相発振回路202の1出力の積
を出力する。また、スイッチ回路203には、送信信号が入力される変調データ端子20
8が設けられている。そして、スイッチ回路203は、変調データ端子208に入力され
る送信信号の値に従って切り替え動作を行うことで、4相発振回路202から乗算回路2
04に入力された信号に対して90度だけ位相が進んだ信号、あるいは90度だけ位相の
遅れた信号のどちらか一方を4相発振回路202の出力から選択して乗算回路205に出
力する。
乗算回路205には、4相発振回路201から乗算回路204に入力された信号と90
度だけ位相の異なる信号と、スイッチ回路203で選択された信号が入力され、これらの
2つの信号を乗算し加算回路206に出力する。加算回路206は、乗算回路204、2
05からの出力信号を加算し、その加算結果を変調波出力端子207より出力する。
具体的には、4相発振回路201は周波数fcの90度ずつ位相の異なる4種の信号Sc
、Cc、−Sc、−Ccを発生する。ここで、ScおよびCcは、以下の(11)式および(
12)式で与えられる。
c=sin(2πfct) ・・・(11)
c=cos(2πfct) ・・・(12)
そして、4相発振回路201にて発生された信号Scは乗算回路204に入力されると
ともに、4相発振回路201にて発生された信号Ccは乗算回路205に入力される。
同様に、4相発振回路202は周波数fdの90度ずつ位相の異なる4種の信号Sd、C
d、−Sd、−Cdを発生する。ここで、SdおよびCdは、以下の(13)式および(14
)式で与えられる。
d=sin(2πfdt) ・・・(13)
d=cos(2πfdt) ・・・(14)
そして、4相発振回路202にて発生された信号Cdは乗算回路204に入力されると
ともに、4相発振回路202にて発生された信号Sd、−Sdはスイッチ回路203に入力
される。
そして、スイッチ回路203は、変調データ信号がマークのときは4相発振回路202
の出力信号Sdを、スペースのときは−Sdを選ぶものとすると、加算回路205の出力信
号Mは、変調信号がマークのときは以下の(15)式、変調信号がスペースのときは以下
の(16)式となり、FSK信号が得られることが分かる。
M=Scd+Ccd=sin{2π(fc+fd)t} ・・・(15)
M=Scd−Ccd=sin{2π(fc−fd)t} ・・・(16)
なお、実施例1と同様に、乗算回路204、205に入力される2つの発振回路の信号
位相は90度の位相差があればよく、マーク、スペースによってスイッチ回路203の制
御に注意すれば、その位相は進みか遅れかは問題にならない。
図3(a)はCMOS集積回路に適した4相発振回路201、202であり、同図(b
)はその発振波形である。
図3(a)において、4相発振回路には、トランジスタT11〜T22が設けられ、ト
ランジスタT13〜T17にて差動増幅回路が構成されるとともに、トランジスタT18
〜T22にて差動増幅回路が構成されている。そして、これらの差動増幅回路を縦続接続
し、差動増幅回路の出力を反転し入力に帰還することにより、図3(b)に示すように、
トランジスタT19、T21、T14、T17のドレインから4相の発振信号Q1、Q2
、Q3、Q4をそれぞれ取り出すことができる。ここで、トランジスタT13、T16、
T18、T20、T15、T22は差動増幅器への流入電流を制限し、発振周波数を決定
する。そして、端子Vcに与えられた制御電圧はT15、T22へ伝えられ、トランジス
タT11およびT12によるカレントミラーを通じてトランジスタT13、T16、T1
8、T20に伝えられる。この電圧Vcによって発振周波数を変えることができ、位相固
定ループ(PLL)等の手段を使って、例えば水晶発振回路などのより安定な発振回路の
信号に位相固定することにより、正確な周波数の発振も可能である。
図3(c)は、乗算回路204、205として使用される二重平衡型の混合回路の例で
あり、特に、CMOS集積回路に適する。
図3(c)において、トランジスタT31、T32のソースはトランジスタT33を介
して定電流源IDに接続されるとともに、トランジスタT34、T35のソースはトラン
ジスタT36を介して定電流源IDに接続されている。また、トランジスタT31、T3
4のドレインは抵抗R1を介して電源電位Vddに接続されるとともに、トランジスタT
32、T35のドレインは抵抗R2を介して電源電位Vddに接続されている。
そして、トランジスタT31、T35のゲートおよびトランジスタT32、T34のゲ
ートに比較的大振幅の取れる発振回路の差動信号L1、L2をそれぞれ入力するとともに
、トランジスタT33、T36のゲートに微弱なアナログ信号である(差動)受信信号R
F1、RF2をそれぞれ入力することにより、両者の乗算結果が差動信号Q11、Q12
として、トランジスタT31、T34のドレインおよびトランジスタT32、T35のド
レインからそれぞれ得られる。
図4は本実施例の動作を示すタイム図および各信号の周波数スペクトルを示す。なお、
同図(a)、(b)はCcおよびScである。また、同図(c)、(d)はCdおよびSd
ある。さらに、(15)式および(16)式に従って計算した加算回路205の出力信号
Mが同図(e)および(f)である。これらの信号スペクトルを(g)〜(j)に示す。
すなわち、同図(g)はCcまたはScの信号スペクトル、同図(h)はCdまたはSdの信
号スペクトルを示す。CcとScの信号またはCdのSdの信号は位相が異なるだけなので、
スペクトル(パワースペクトル)は同じである。同図(i)はマーク時における加算回路
205の出力信号Mのスペクトル、(j)はスペース時における加算回路205の出力信
号Mのスペクトルである。
同図から、加算回路205から出力される変調波Mは高調波成分が全くなく、歪みの少
ない高精度の変調が可能なことが分かる。
このような構成によって、複雑な回路要素を必要とせず、いずれも半導体集積回路上に
集積可能な簡単な回路要素によって、FSK変調が可能となり、精度の高い安価なFSK
変調回路が実現できる。
図5は本発明によるFSK変調回路の他の一実施例を示す構成図である。実施例2では
、4相発振回路201、202の両方とも正弦波を発生する場合であったが、本実施例で
は、偏移周波数で発振する4相発振回路502の出力信号が矩形波の場合を示す。矩形波
信号はデジタル信号とも考えられるが、乗算を行うために“±1”のアナログ値を取るも
のとする。すなわち、(15)式および(16)式において、CdおよびSdは“±1”の
値を取るので、CdおよびSdが“1”の値を取る時は、ScまたはCcをそのまま出力し、
dおよびSdが“−1”の値を取る時は、ScまたはCcの信号を反転して出力することに
よって乗算を実行できる。
ここで、4相発振回路501にて発生された信号Sc、−Scはスイッチ回路504に入
力されるとともに、4相発振回路501にて発生された信号Cc、−Ccはスイッチ回路5
05に入力される。また、4相発振回路502にて発生された信号Sd、−Sdはスイッチ
回路503に入力されるとともに、4相発振回路502にて発生された信号Cdはスイッ
チ回路504の制御端子に入力される。また、スイッチ回路503には、送信信号が入力
される変調データ端子508が設けられている。そして、スイッチ回路503は、変調デ
ータ端子508に入力される送信信号がマークかスペースかによってSdまたは−Sdを選
択し、スイッチ回路505の制御端子へ出力する。そして、スイッチ回路504、505
は、Cdまたは±Sdの値によって、Scまたは−Sc、Ccまたは−Ccをそれぞれ選択する
ことで乗算を実行することができる。スイッチ回路504、505にて選択された信号は
加算回路506にて加算され、その加算により得られた信号Mを帯域フィルタ509へ送
出する。帯域フィルタ509は、信号Mから不要な高調波を取り除き、変調信号として変
調波出力端子507より出力する。
図6に本実施例のタイム図と各信号の周波数スペクトルを示す。すなわち、同図(a)
はCc、同図(b)はSc、同図(c)はCd、同図(d)はSd、同図(e)はマークのと
きの信号M、(f)はスペースのときの信号Mを示すタイム図である。また、同図(g)
はScまたはCcの周波数スペクトル、同図(h)はSdまたはCdの周波数スペクトルを示
す。当然のことながら、ScおよびCcは正弦波なので、高調波がなく単一のスペクトルと
なるが、SdおよびCdは矩形波であるので、高調波成分を多く持つ。本実施例では、図6
(c)、(d)に示すように、SdおよびCdをデューティ比50%の矩形波としたので、
奇数次の高調波成分のみである。偶数次の高調波成分を持たないと、高調波間の間隔が広
くなり、帯域フィルタ509の設計が容易になる。
同図(i)、(j)はそれぞれ変調データがマークおよびスペース時の変調波出力Mの
周波数スペクトルである。SdまたはCdのスペクトルが単一でないために、変調波Mも側
波として広い帯域のスペクトルを持つようになる。搬送波周波数fcから極端に遠いスペ
クトル帯は帯域フィルタ509により除去されるが、帯域フィルタ509の帯域内にもf
dの高調波成分が残留する。両者とも、正弦波を用いた通常のFSKと同様にマーク時に
c+fd、スペース時にfc−fdに主要周波数成分を持つことが分かる。また、上側波と
下側波が打ち消し合い、スペクトルの間隔は4fd毎に強くなっている。
このように、本実施例の変調波は、帯域内にもfdの高調波成分を持つが、これは後述
するように、帯域内で伝送されるエネルギーを増やし、特に復調のレスポンスを早めるの
に効果がある。
以上述べたようにこのような構成によれば、乗算回路も簡単なスイッチにより実現する
ことができ、電圧制御発振回路のような複雑な回路要素を必要とせず、簡単な回路要素に
よってFSK変調が可能となり、FSK変調回路を半導体集積回路上に集積することが極
めて容易となる。
図7は本発明による他のFSK変調回路の実施例の要部を示す図である。
実施例3では、(15)式および(16)式において、CdおよびSdは“±1”の値を
取るので、送信すべき変調データがマークのときは、CdまたはSdの1/4周期毎に以下
の(17)式のように変化する。
M=Scd+Ccd
=Sc+Cc=√2sin(2πfct−π/4)、
(0≦t≦Td/4のとき)
=−Sc+Cc=√2sin(2πfct+π/4)、
(Td/4≦t≦Td/2のとき)
=−Sc−Cc=√2sin(2πfct+3π/4)、
(Td/2≦t≦3Td/4のとき)
=Sc−Cc=√2sin(2πfct−3π/4)、
(3Td/4≦t≦Tdのとき)
・・・(17)
ここで、Td=1/fdである。
また、送信すべき変調データがスペースのときは、以下の(18)式のように変化する

M=Scd−Ccd
=Sc−Cc=√2sin(2πfct−3π/4)、
(0≦t≦Td/4のとき)
=−Sc−Cc=√2sin(2πfct+3π/4)、
(Td/4≦t≦Td/2のとき)
=−Sc+Cc=√2sin(2πfct+π/4)、
(Td/2≦t≦3Td/4のとき)
=Sc+Cc=√2sin(2πfct−π/4)、
(3Td/4≦t≦Tdのとき)
・・・(18)
(17)式および(18)式から分かるように、送信データがマークのときは搬送周波
数の正弦波の位相がCdまたはSdの1/4周期毎に90度づつ進んでいき、反対に送信デ
ータがスペースのときは90度づつ位相が遅れていく。
以上から、実施例3と同様の効果を実現する回路は、図7に示すように、より簡単な回
路による実現が可能となる。すなわち±Scおよび±Ccを発振する4相発振回路701の
4つの出力信号をセレクタ704によって順次選択することで実現できる。その際の信号
選択の順序は、シーケンサ703が、4相発振回路702の出力信号SdおよびCdおよび
変調データ端子708に入力された変調データがマークかスペースかによって、セレクタ
704に指令する。すなわち、シーケンサ703は、変調データがマークの時は、±Sc
または±Ccから位相が順次進んでいくように、スペースの時は±Scまたは±Ccから位
相が順次遅れていくように、4相発振回路701の4つの出力信号の選択順序を指定する
なお、(17)式および(18)式では変調出力Mは±Scまたは±Ccと常にπ/4の
位相差を有するが、本実施例ではこの位相差は現れない。セレクタ704により選択され
た信号は、帯域フィルタ709にて不要帯域が取り除から、変調波出力として変調波出力
端子707より出力される。
さらに、上記説明では4相発振回路701によって4相の搬送周波数を発生させたが、
必ずしも4相である必要は無く、n相(nは3以上の整数)ならば同様の動作が可能であ
る。nが大きいほど滑らかな変調波形が得られる。この場合、4相発振回路702は周期
1/(nfd)の周期的なパルスを発生する発振回路に置き換えられ、この周期毎にセレ
クタ704の動作を切り替る。すなわち、入力される変調データに従って、発振回路70
1の信号が順次進んでいくか、順次遅れていくように、発振回路701からの出力を切り
替える。なお、発振回路701の発生する信号は正弦波または矩形波のどちらであっても
良い。
以上述べたような構成によれば、乗算回路を簡単なスイッチにより実現することができ
、かつ加算回路も省略することができる。このため、電圧制御発振回路のような複雑な回
路要素を必要とせず、簡単な回路要素によってFSK変調が可能となり、FSK変調回路
を半導体集積回路上に集積することがさらに容易となる。
図8は本発明によるさらに他の実施例の要部を示す図である。
本実施例は、実施例3、4と逆に、偏移周波数を発振する4相発振回路802の出力信
号が正弦波、搬送波周波数を発振する4相発振回路801の出力信号が矩形波の場合を示
す。
図8において、4相発振回路802にて発生された信号Sd、−Sdはスイッチ回路80
4に入力されるとともに、4相発振回路802にて発生された信号Cd、−Cdはスイッチ
回路805に入力される。また、4相発振回路801にて発生された信号Sc、−Scはス
イッチ回路803に入力されるとともに、4相発振回路801にて発生された信号Cc
スイッチ回路804の制御端子に入力される。また、スイッチ回路803には、送信信号
が入力される変調データ端子808が設けられている。そして、スイッチ回路803は、
変調データ端子808に入力される変調データがマークかスペースかによって、Scまた
は−Scを選択し、スイッチ回路805の制御端子へ出力する。
スイッチ回路804、805は、それぞれCcまたは±Scの値によってSdまたは−Sd
、Cdまたは−Cdをそれぞれ選択することで乗算を実行する。スイッチ回路804、80
5にて選択された信号は加算回路806にて加算され、その加算により得られた信号Mを
帯域フィルタ809へ送出する。帯域フィルタ809は、信号Mから不要な高調波を取り
除き、変調信号として変調波出力端子807より出力する。
図9に本実施例のタイム図と各信号の周波数スペクトルを示す。すなわち、同図(a)
はCc、同図(b)はSc、同図(c)はCd、同図(d)はSd、同図(e)はマークの時
の信号M、同図(f)はスペースの時の信号Mを示すタイム図である。また、同図(g)
はScまたはCcの周波数スペクトル、同図(h)はSdまたはCdの周波数スペクトルを示
す。当然のことながら、SdおよびCdは正弦波なので高調波がなく、単一のスペクトルと
なるが、ScおよびCcは矩形波であるので、高調波成分を多く持つ。本実施例では、図9
(a),(b)に示すようにScおよびCcをデューティ比50%の矩形波としたので、奇
数次の高調波成分のみである。偶数次の高調波成分を持たないと、高調波間の間隔が広く
なり、帯域フィルタ809の設計が容易になる。帯域フィルタ809によって、3fc
上の高調波は容易に取り除くことができるので、変調波Mのスペクトル構造は、2つの発
振回路からの出力が正弦波である場合と同一となり、精度の高いFSKを実現することが
可能となる。
以上述べたようにこのような構成によれば、乗算回路が簡単なスイッチにより実現する
ことができ、電圧制御発振回路のような複雑な回路要素を必要とせず、簡単な回路要素に
よってFSK変調が可能となり、FSK変調回路を半導体集積回路上に集積することが極
めて容易となる。
図10は本発明によるさらに他のFSK変調回路の実施例の要部を示す図である。
本実施例は、搬送波周波数を発振する4相発振回路1001と偏移周波数を発振する4
相発振回路1002の出力信号がともに矩形波の場合を示す。
信号が矩形波であれば、その信号をデジタル信号とみなすことが可能となり、論理値“
1”の時に“−1”のアナログ値、論理値“0”の時に“+1”のアナログ値を対応させ
て考えると、1つの2値信号の乗算は排他的論理和で表すことができる。従って、図1に
示した概念図に基づく回路は、図10に示すような構成をとることができる。
すなわち、4相発振回路1001は、90度ずつ位相の異なる搬送波周波数の信号Sc
、Ccを発生し、4相発振回路1002は、90度ずつ位相の異なる偏移周波数の信号Sd
、Cdを発生する。そして、排他的論理和回路1004にてScとCdの排他的論理和を計
算し、変調データ端子1008に入力される送信データに従ってSdの符号を排他的論理
和回路1003にて選択し、排他的論理和回路1005にて排他的論理和回路1003の
出力とCcの排他的論理和を計算するによって必要な乗算処理を行うことができる。そし
て、排他的論理和回路1004の出力信号と排他的論理和回路1005の出力信号は、加
算回路1006によってアナログ加算され、帯域フィルタ1009にて不要帯域が除去さ
れた後、変調波出力として変調波出力端子1007より出力される。なお、ここでは、4
相発振回路1001、1002では、4つの出力のうち互いに90度移相の異なる2つの
出力のみ使用する。
図11に本実施例のタイム図と各信号の周波数スペクトルを示す。すなわち、同図(a
)はCc、同図(b)はSc、同図(c)はCd、同図(d)はSd、同図(e)はマークの
時の変調波M、(f)はスペースのときの変調波Mを示すタイム図である。また、同図(
g)はScまたはCcの周波数スペクトル、同図(h)はSdまたはCdの周波数スペクトル
を示す。当然のことながら、Sd、Cd、ScおよびCcは矩形波であるので、高調波成分を
多く持つ。本実施例では、Sc、CcおよびSc、Ccをデューティ比50%の矩形波とした
ので、両者とも奇数次の高調波成分のみである。偶数次の高調波成分を持たないと、高調
波間の間隔が広くなり、帯域フィルタ1009の設計が容易になる。
同図(e)、(f)に示すように、変調波Mにはスパイク1101、1102が見られ
る。このスパイク1101、1102は、同図(a)乃至(d)の細かいタイミングのず
れと、回路の動作速度のばらつきにより生じる細いパルスである。これらのスパイク11
01、1102は、各波形のタイミングと回路動作の速度を揃える技術を使って取り除く
ことができる。また、これらのスパイク1101、1102は、帯域フィルタ1009に
よって3fc以上の高調波と同時に容易に取り除くことができるので、これらのスパイク
1101、1102がFSKに与える影響を小さくすることができる。また、この帯域フ
ィルタ1009によって、変調波Mのスペクトル構造は、実施例2と同一の構造となる。
これによって、復調時のレスポンスが速く精度の高いFSKを実現することが可能となる
以上述べたようにこのような構成によれば、乗算回路が簡単なロジック回路である排他
的論理和回路1003〜1005により実現することができ、電圧制御発振回路のような
複雑な回路要素を必要とせず、簡単な回路要素によってFSK変調が可能となり、FSK
変調回路を半導体集積回路上に集積することが極めて容易となる。
図12は、本発明によるFSK復調回路の一実施例の要部を示す構成図である。本発明
のFSK復調は、以下に説明する方法で実現できる。すなわち、変調波入力端子1205
に入力された変調波は、テンプレート発生回路1201の発生する信号と乗算回路120
2にて乗算された後、ローパスフィルタ1203によって高周波成分が除去され、判別回
路1204により復調データが判別され、復調出力端子1206より出力される。
テンプレート発生回路1201は、上記実施例1乃至6に述べたいずれかの方法によっ
てマークまたはスペースのFSK信号を発生する。そして、テンプレート発生回路120
1にて発生された信号をテンプレートとして使用することで、乗算回路1202とローパ
スフィルタ1203によって入力変調波との相関を計算する。
例えば、実施例1の方法によって発生されたFSK信号を実施例3によって発生したテ
ンプレート信号を使って復調することができ、上記実施例のどの組合せを用いた場合にお
いても、復調が可能である。テンプレートとしてはマークまたはスペースのいずれか一方
、または両方を用いることができる。本実施例では、一方のみ(スペースのみ)をテンプ
レートとして用いた場合を説明し、マークおよびスペースの両方を用いる場合は他の実施
例で後述する。
図13乃至16は、本実施例の動作を示すために各信号波形のタイム図と周波数スペク
トルを示す。ここで、図13は、実施例2で発生させたFSK信号を実施例2で発生させ
たテンプレートで復調する場合を示す。図14は、実施例3または4で発生させたFSK
信号を実施例3または4で発生させたテンプレートで復調する場合を示す。図15は、実
施例5で発生させたFSK信号を実施例5で発生させたテンプレートで復調する場合を示
す。図16は実施例6で発生させたFSK信号を実施例6で発生させたテンプレートで復
調する場合を示す。
図13乃至16のいずれにおいても、同図(a)はCc、同図(b)はSc、同図(c)
はCd、同図(d)はテンプレート(スペースのFSK信号)、同図(e)は入力FSK
信号がスペースのときの乗算回路1202の出力、同図(f)は入力FSK信号がマーク
のときの乗算回路1202の出力を示すタイム図である。また、同図(g)はScまたは
cの周波数スペクトル、同図(h)はSdまたはCdの周波数スペクトルを示す。同図(
i)、(j)はそれぞれ入力されたFSK信号がスペースまたはマーク時の乗算回路12
02の出力信号の周波数スペクトルである。
図13乃至16のいずれの場合においても、乗算回路1202の出力は、入力されたF
SK信号がスペースの時は直流成分を持ち、マークの時は出力が全くないか交流成分とな
って、平均値が零となる。ローパスフィルタ1203によってこの交流成分を取り除き、
判別回路1204にて復調データのビット判別を行う。
図13乃至16を比べると、偏移周波数の発振信号Cd、Sdが正弦波の場合は、2fd
のスペクトル成分が乗算回路1202の出力に強く現れる。一方、偏移周波数の発振信号
d、Sdが矩形波の場合は、2fdのスペクトル成分は低く抑圧され、より周波数の高い
2fcの成分が乗算回路1202の出力に現れる。この結果、偏移周波数の発振信号Cd
dが矩形波の時の方が、ローパスフィルタ1203の設計がより容易になる。また、送
信のビットレートがfdに近くなっても、良好な変復調特性を維持できる。特に、搬送波
と偏移周波数の双方が矩形波の時は、図16(i)に示すように、入力がスペースの時に
は乗算回路1202の出力の直流成分は、他の場合(図13乃至15)に比べて大きく、
さらに入力がマークの時には最小(零)となり、判別回路1204やローパスフィルタ1
203の設計が最も容易になる。
なお、図13乃至16では、入力されるFSK変調信号と復調側でのテンプレート発生
回路1201の発生するテンプレート信号の周波数および位相が一致している場合を例に
して説明している。これらが一致していない場合は、復調の誤差となり得るが、それらの
差は許容範囲内であれば良好に復調が可能である。この許容範囲は、周波数および位相の
同期を厳格に求められる位相変調波における同期検波の場合に比べて格段に広く、部品精
度や回路に要求される仕様の緩和が可能であり、FSK復調回路の実現を容易にする。ま
た、周波数トラッキングなどの方法を使ってそれらを一致させることも容易である。
以上述べたように本実施例に従えば、簡単な回路要素によってFSK復調が可能となり
、FSK復調回路を半導体集積回路上に集積することが極めて容易となる。
図17は本発明によるFSK復調回路の他の一実施例の要部を示す構成図である。実施
例7はテンプレートとしてスペースのFSK信号を用いた場合であった。本実施例はテン
プレートとしてマークおよびスペースの両方を用いる場合を示す。
すなわち、変調波入力端子1705に入力された変調波は、乗算回路1702によって
テンプレート発生回路1701の発生する信号と乗算された後、ローパスフィルタ170
3によって高周波成分が除去された後、判別回路1704に送られる。なお、テンプレー
ト発生回路1701は、上記実施例1乃至6に述べたいずれかの方法によってマークのF
SK信号を発生し、この信号をテンプレートとして使用することにより、乗算回路170
2とローパスフィルタ1703によって入力変調波との相関を計算することができる。
また、変調波入力端子1705に入力された変調波は乗算回路1707によってテンプ
レート発生回路1708の発生する信号と乗算された後、ローパスフィルタ1709によ
って高周波成分が除去された後、判別回路1704に送られる。なお、テンプレート発生
回路1708は上記実施例1乃至6に述べたいずれかの方法によってスペースのFSK信
号を発生し、この信号をテンプレートとして使用することにより、乗算回路1707とロ
ーパスフィルタ1709によって入力変調波との相関を計算することができる。
ローパスフィルタ1703、1709の出力は判別回路1704に送られ、双方の出力
を比較し復調データを判別し復調出力端子1706より出力することができる。
本実施例のこのような方法をとれば、2種のテンプレートを用いて入力変調波との相関
を計算することができ、実施例7の方法に比べてより精度の高い復調を行うことができる
。この方法は、回路部品に要求される精度の緩和にも効果があり、より安価で実現性の高
いFSK復調回路を供給することができる。
以上述べたように本実施例に従えば、簡単な回路要素によってFSK復調が可能となり
、FSK復調回路を半導体チップ上に集積することが極めて容易となる。
本発明はFSK変復調回路を半導体チップ上に集積化することを容易にし、FSKを使
用するデジタル通信を応用する電子装置の実現を容易にする。
101,102 発振回路、103,104 移相回路、107 加減算回路、105
,106,204,205,1202,1702,1707 乗算回路、108,509
,709,809,1009 帯域フィルタ、201,202,501,502,701
,702,801,802,1001,1002 4相発振回路、203,503,50
4,505,803,804,805 スイッチ回路、206,506,806,100
6 加算回路、703 シーケンサ、704 セレクタ、1003,1004,1005
排他的論理和回路、1201,1701,1708 テンプレート発生回路、1204
,1704 判別回路、1203,1703,1709 ローパスフィルタ。

Claims (12)

  1. 周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、
    前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期
    的な信号を発生する第3の周期信号発生手段と、
    前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する
    信号を乗算する第1の乗算手段と、
    前記第2の周期信号発生手段の発生する信号と前記第4の周期信号発生手段の発生する
    信号を乗算する第2の乗算手段と、
    変調信号の論理値によって前記第1の乗算手段の出力信号と前記第2の乗算手段の出力
    信号を加算または減算する加減算手段とを具備することを特徴とする変調回路。
  2. 前記第1乃至第4の周期信号発生手段の発生する周期的な信号は正弦波または矩形波で
    あることを特徴とする請求項1記載の変調回路。
  3. 前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周期的な信号は正弦波または矩形波
    、前記第3および第4の周期信号発生手段の発生する周期的な信号は正弦波または矩形波
    であることを特徴とする請求項1記載の変調回路。
  4. n相の(nは3以上の整数)周期的パルスを発生する発振手段と、
    前記発振回路の出力を所定の周期で位相が2π/nずつ進むように切り替える第1の切
    替手段と、
    前記発振回路の出力を所定の周期で位相が2π/nずつ遅れるように切り替える第2の
    切替手段と、
    送信する2値データの値によって前記第1または第2の切替手段の一方の出力を選択す
    る選択手段とを具備することを特徴とする変調回路。
  5. 前記発振手段はn相の正弦波またはn相の矩形波を発生することを特徴とする請求項4
    記載の変調回路。
  6. 位相が90度ずつ異なる少なくとも2相分の周期的な信号を発生する第1の周期信号発
    生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数を有し、位相が9
    0度ずつ異なる少なくとも3相分の周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する1相分の信号と前記第2の周期信号発生手段の
    発生する1相分の信号を乗算する第1の乗算手段と、
    前記第1の乗算手段に入力された信号に対して90度だけ位相が進んだ信号、あるいは
    90度だけ位相の遅れた信号のどちらか一方を、変調信号の論理値に従って前記第2の周
    期信号発生手段の出力から選択する選択手段と、
    前記第1の周期信号発生手段から前記第1の乗算手段に入力された信号と90度だけ位
    相が異なる信号と前記選択手段にて選択された信号とを乗算する第2の乗算手段と、
    前記第1の乗算手段の出力信号と前記第2の乗算手段の出力信号を加算する加算手段と
    を具備することを特徴とする変調回路。
  7. 位相が90度ずつ異なる4相分の周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数を有し、位相が9
    0度ずつ異なる少なくとも3相分の周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段にて発生された位相が互いに180度だけ異なる2相分の
    信号のうちのどちらか一方を、前記第2の周期信号発生手段にて発生された1相分の信号
    に従って選択する第1の選択手段と、
    前記第1の選択手段に入力された信号に対して90度だけ位相が進んだ信号、あるいは
    90度だけ位相の遅れた信号のどちらか一方を、変調信号の論理値に従って前記第2の周
    期信号発生手段の出力から選択する第2の選択手段と、
    前記第1の周期信号発生手段にて発生された位相が互いに180度だけ異なる残りの2
    相分の信号のうちのどちらか一方を、前記第2の選択手段の出力に従って選択する第3の
    選択手段と、
    前記第1の選択手段にて選択された信号と前記第3の選択手段にて選択された信号とを
    加算する加算手段とを具備することを特徴とする変調回路。
  8. 周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、
    前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期
    的な信号を発生する第3の周期信号発生手段と、
    前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する
    信号との排他的論理和をとる第1の排他的論理和回路と、
    変調信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する信号との排他的論理和をとる第2の
    排他的論理和回路と、
    前記第2の周期信号発生手段の発生する信号と前記第2の排他的論理和回路の出力との
    排他的論理和をとる第3の排他的論理和回路と、
    前記第1の排他的論理和回路の出力と前記第3の排他的論理和回路の出力とを加算する
    加算手段とを具備することを特徴とする変調回路。
  9. 周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、
    前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期
    的な信号を発生する第3の周期信号発生手段と、
    前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する
    信号を乗算する第1の乗算手段と、
    前記第2の周期信号発生手段の発生する信号と前記第4の周期信号発生手段の発生する
    信号を乗算する第2の乗算手段と、
    前記第1の乗算手段の出力信号と前記第2の乗算手段の出力信号を加算または減算する
    加減算手段と、
    前記加減算手段の出力と入力信号を乗算する第3の乗算手段とを具備することを特徴と
    する復調回路。
  10. 周期的な信号を発生する第1の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第2の周期信号発生手段と、
    前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と異なる周波数の周期
    的な信号を発生する第3の周期信号発生手段と、
    前記第3の周期信号発生手段の発生する周期的な信号と同一の周波数で位相が90度異
    なる周期的な信号を発生する第4の周期信号発生手段と、
    前記第1の周期信号発生手段の発生する信号と前記第3の周期信号発生手段の発生する
    信号を乗算する第1の乗算手段と、
    前記第2の周期信号発生手段の発生する信号と前記第4の周期信号発生手段の発生する
    信号を乗算する第2の乗算手段と、
    前記第1の乗算手段の出力信号と前記第2の乗算手段の出力信号を加算する加算手段と

    前記加算手段の出力と入力信号を乗算する第3の乗算手段と、
    前記第1の乗算手段の出力信号と前記第2の乗算手段の出力信号を減算する減算手段と

    前記減算手段の出力と前記入力信号を乗算する第4の乗算手段と、
    前記第3および第4の乗算手段の出力を比較判定する判定手段とを具備することを特徴
    とする復調回路。
  11. 前記第1乃至第4の周期信号発生手段の発生する周期的な信号は正弦波または矩形波で
    あることを特徴とする請求項9または10記載の復調回路。
  12. 前記第1および第2の周期信号発生手段の発生する周期的な信号は正弦波または矩形波
    、前記第3および第4の周期信号発生手段の発生する周期的な信号は正弦波または矩形波
    であることを特徴とする請求項9または10記載の復調回路。
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