JP2011043636A - 能動型消音システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】消音制御部3は、適応制御部5により決定された制御パラメータを記憶する記憶手段を備え、騒音検出手段6、消音制御部3、及び騒音低減音発生手段2を備えた第1消音システム部61と、合成音検出手段7及び適応制御部5を備えた第2消音システム部62とに分離して構成され、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続されていない独立状態で、記憶手段に記憶された制御パラメータに基づいて能動消音動作可能に構成されているとともに、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続された連結状態で、記憶手段に記憶される制御パラメータを更新可能に構成されている。
【選択図】図1
Description
一方、騒音制御フィルタの制御パラメータの更新を行う必要がない場合には、能動型消音システムを独立状態で動作させ、記憶手段に記憶された制御パラメータに基づいて能動消音動作が可能、すなわち、騒音低減音発生手段に、騒音源からの騒音を低減するための騒音低減音を発生させることができる。
そして、この独立状態では、第2消音システム部が第1消音システム部に接続されないため、第1消音システム部と分離して構成される第2消音システム部を、他の騒音源に設置された能動型消音システムの第1消音システム部に接続して、当該能動型消音システムが備える記憶手段に記憶される制御パラメータを更新することができる。すなわち、一の第2消音システム部を複数の能動型消音システム間で共用することができ、複数の能動型消音システムを低コストで構築することができる。
特に、第2消音システム部が備える適応制御部は、高速且つ高度な演算を要求される機能部であり一般的に高価なものとなるが、本構成によれば、このような適応制御部を複数の能動型消音システム間で共用することができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、例えば騒音の状態の変化が経時的に緩慢に発生する騒音源に対して、無駄が無く使用勝手の良い能動型消音システムが得られる。
また、周波数軸上で騒音制御フィルタの制御パラメータを決定できるため、消音性能が良好でない周波数の音をカットする等の周波数スペクトルに基づく消音制御を行うことも可能である。
本実施形態に係る能動型消音システム100は、図1に示すように、第1消音システム部61と第2消音システム部62とに分離して構成されているとともに、その運転状態として、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続されない独立状態と、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続される連結状態と、を備えていることに特徴を有している。以下、本実施形態に係る能動型消音システム100について、「能動型消音システムの全体構成」、「消音制御部の構成」、「適応制御部の構成」、「適応制御アルゴリズム」、「能動型消音システムの動作状態」の順に説明する。
まず、本実施形態に係る能動型消音システム100の全体構成について図1に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態に係る能動型消音システム100は、第1マイクロホン6と、第2マイクロホン7と、スピーカ2と、消音制御部3と、適応制御部5と、増幅器4と、を備えて構成されている。本実施形態では、第1マイクロホン6、第2マイクロホン7、及び、スピーカ2が、それぞれ、本発明における「騒音検出手段」、「合成音検出手段」、及び、「騒音低減音発生手段」に相当する。そして、第1消音システム部61が、第1マイクロホン6、消音制御部3、スピーカ2、及び増幅器4を備えて構成されるとともに、第2消音システム部62が、第2マイクロホン7及び適応制御部5を備えて構成されている。なお、図1に示す例では、騒音源1の一例として、空調室外機の原動部(ガスエンジン等)が示されているが、本発明は、定格出力で定常運転する場合があるあらゆる騒音源を対象とする。
消音制御部3は、騒音制御フィルタH(z)を備えるとともに当該騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数に基づいて第1マイクロホン6の検出信号から騒音を低減するための騒音低減信号を生成する機能部である。本実施形態では、消音制御部3は、図2に示すように、騒音制御フィルタH(z)、フィルタ係数記憶部11、A/D変換部12、D/A変換部13を備えて構成されている。また、本実施形態では、1つの消音制御部3が2つのスピーカ2から発生される騒音低減音を制御するように構成されている。
y[n]=Sum{h[k,n]・x[n−k],k,0,M−1}・・・(1)
ここで、Sum{f,k,min,max}は、kの関数(変数)であるfのkがminからmaxまでの値を加算する数式表記、いわゆるΣを示す数式表記である。
適応制御部5は、第1マイクロホン6の検出信号及び第2マイクロホン7の検出信号の双方に基づき騒音制御フィルタH(z)の制御パラメータ(本例では、フィルタ係数)を決定する機能部である。本実施形態では、適応制御部5は、図2に示すように、フィルタ特性演算部16、FFT演算部14、FFT演算部17、IFFT演算部15、A/D変換部18を備えて構成されている。
適応制御部5が騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定する際に実行する連立方程式法に基づく適応制御アルゴリズムについて説明する。なお、このような適応制御アルゴリズムは公知であるため、ここではその概念のみを簡単に説明する。また、上記のように、本実施形態では、適応制御部5は、周波数領域で騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定するが、ここでは、説明の簡素化のため、時間領域でフィルタ係数を決定する場合の手順について説明し、周波数領域で処理を行う場合の手順についての説明を省く。なお、周波数領域で処理を行う場合の手順としては、例えば、上記非特許文献1や非特許文献2に開示されている手法等の公知の手法を採用することができる。
S(z)=P(z)−H(z)・C(z)・・・(2)
S1(z)=P(z)−H1(z)・C(z)・・・(3)
S2(z)=P(z)−H2(z)・C(z)・・・(4)
ここで、S1(z)及びS2(z)は、それぞれ、H1(z)及びH2(z)に対応する補助フィルタである。
s1[k,n+1]=s1[k,n]+μ・e[n]・x[n−k]・・・(5)
ここで、μはステップサイズパラメータを表す。
C(z)={S1(z)−S2(z)}/{H2(z)−H1(z)}・・・(6)
P(z)={S1(z)・H2(z)−S2(z)・H1(z)}
/{H2(z)−H1(z)}・・・(7)
H0(z)=P(z)/C(z)・・・(8)
H0(z)={S1(z)・H2(z)−S2(z)・H1(z)}
/{S1(z)−S2(z)}・・・(9)
上記のように、能動型消音システムは、その動作状態として独立状態と連結状態との2つの状態を備えている。独立状態は、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新を行う必要がない場合、例えば、騒音源1が定格出力で定常運転中であり、騒音源1から発生する騒音の状態(周波数特性等)がほとんど変化しない場合等に実行される。一方、連結状態は、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新を行う必要がある場合に実行される。ここで、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新を行う必要がある場合とは、例えば、騒音源1から発生する騒音の状態が変化したり、経年劣化や周囲環境の変化などにより騒音伝播経路の音響伝達特性が変化する等して、第2マイクロホン7にて検出される合成音の振幅(音圧レベル)が所定の閾値より大きくなった場合等である。
(1)上記の実施形態では、適応制御部5が、周波数領域の信号に変換された第1マイクロホン6の検出信号、及び、周波数領域の信号に変換された第2マイクロホン7の検出信号の双方に基づき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)を決定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、例えば、適応制御部5が、第1マイクロホン6の検出信号、及び、第2マイクロホン7の検出信号の双方を周波数領域の信号に変換せず、時間領域での演算により騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)を決定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この際、適応制御が時系列でサンプリング毎に行われるため、周波数領域の信号に基づき適応制御を行う場合に比べ大量のデータが消音制御部3と適応制御部5との間でやりとりされる。具体的には、適応制御部5から消音制御部3に、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長分の係数に関するデータをサンプリング毎に送る必要がある。しかし、低減の対象となる騒音の上限周波数を低く抑えることで、消音制御部3と適応制御部5との間でやりとりされるデータ転送量を低く抑えることができ、適応制御を時間領域で行う構成においても、消音制御部3と適応制御部5とを分離した構成とすることができる。
P(z)=H(z)・D(z)・・・(10)
h[k,n+1]=h[k,n]+μ・e[n]・f[n−k]・・・(11)
ここで、μはステップサイズパラメータである。また、f[n]は、参照信号x[n]を二次経路フィルタD(z)に通して得られる濾波参照信号であり。二次経路フィルタD(z)のフィルタ長(タップ長)をLとして、そのフィルタ係数をd[k](k=0,1,・・・,L−1)とすると、f[n]は、以下の式(12)で表されるd[k]とx[n]との畳み込みにより得られる。
f[n]=Sum{d[k]・x[n−k],k,0,L−1}・・・(12)
2:スピーカ(騒音低減音発生手段)
3:消音制御部
5:適応制御部
6:第1マイクロホン(騒音検出手段)
7:第2マイクロホン(合成音検出手段)
11:フィルタ係数記憶部(記憶手段)
61:第1消音システム部
62:第2消音システム部
100:能動型消音システム
H(z):騒音制御フィルタ
Claims (6)
- 騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段と、騒音制御フィルタを備えるとともに当該騒音制御フィルタの制御パラメータに基づいて前記騒音検出手段の検出信号から前記騒音を低減するための騒音低減信号を生成する消音制御部と、前記騒音低減信号に対応する騒音低減音を発生する騒音低減音発生手段と、前記騒音と前記騒音低減音との合成音を検出する合成音検出手段と、前記騒音検出手段の検出信号及び前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する適応制御部と、を備えた能動型消音システムであって、
前記消音制御部は、前記適応制御部により決定された制御パラメータを記憶する記憶手段を備え、
前記騒音検出手段、前記消音制御部、及び前記騒音低減音発生手段を備えた第1消音システム部と、前記合成音検出手段及び前記適応制御部を備えた第2消音システム部とに分離して構成され、
前記第1消音システム部に前記第2消音システム部が接続されていない独立状態で、前記記憶手段に記憶された制御パラメータに基づいて能動消音動作可能に構成されているとともに、前記第1消音システム部に前記第2消音システム部が接続された連結状態で、前記記憶手段に記憶される制御パラメータを更新可能に構成されている能動型消音システム。 - 前記適応制御部は、周波数領域の信号に変換された前記騒音検出手段の検出信号、及び、周波数領域の信号に変換された前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する請求項1記載の能動型消音システム。
- 前記独立状態と前記連結状態との両方の状態で、能動消音動作可能に構成されている請求項1又は2記載の能動型消音システム。
- 低減の対象となる騒音の上限周波数が、前記消音制御部と前記適応制御部との間のデータ転送速度に基づき設定されている請求項1から3の何れか一項記載の能動型消音システム。
- 前記適応制御部は、連立方程式法に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する請求項1から4の何れか一項記載の能動型消音システム。
- 前記連結状態で、前記第2消音システム部を構成する前記適応制御部は、通信網を介して前記第1消音システム部を構成する前記消音制御部に接続され、前記騒音制御フィルタの制御パラメータが遠隔操作により更新される請求項1から5の何れか一項記載の能動型消音システム。
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