JP2011043636A - 能動型消音システム - Google Patents

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Abstract

【課題】騒音制御フィルタの制御パラメータの更新を所定の時期にのみ行う構成に好適な能動型消音システムを提供する
【解決手段】消音制御部3は、適応制御部5により決定された制御パラメータを記憶する記憶手段を備え、騒音検出手段6、消音制御部3、及び騒音低減音発生手段2を備えた第1消音システム部61と、合成音検出手段7及び適応制御部5を備えた第2消音システム部62とに分離して構成され、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続されていない独立状態で、記憶手段に記憶された制御パラメータに基づいて能動消音動作可能に構成されているとともに、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続された連結状態で、記憶手段に記憶される制御パラメータを更新可能に構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段と、騒音制御フィルタを備えるとともに当該騒音制御フィルタの制御パラメータに基づいて前記騒音検出手段の検出信号から前記騒音を低減するための騒音低減信号を生成する消音制御部と、前記騒音低減信号に対応する騒音低減音を発生する騒音低減音発生手段と、前記騒音と前記騒音低減音との合成音を検出する合成音検出手段と、前記騒音検出手段の検出信号及び前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する適応制御部と、を備えた能動型消音システムに関する。
上記能動型消音システムの従来例として、例えば、下記の特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に記載の構成では、適応制御部としての補正手段10は、騒音制御フィルタとしてのデジタルフィルター9のフィルタ係数(制御パラメータ)を逐次更新する(段落〔0029〕)。これにより、騒音源から発生する騒音の状態(周波数特性等)が変化した場合であっても、デジタルフィルター9のフィルタ係数を騒音の状態の変化に追従して更新することができ、常時、騒音の状態に応じた騒音低減音を騒音低減音発生手段としてのスピーカ5から発生させることが可能となっている。なお、フィルタ係数の更新は逐次行われるため、補正手段10とデジタルフィルター9とは常に接続される構成となり、補正手段10とデジタルフィルター9とは同一の装置内に一体的に備えられる。また、特許文献1に記載の構成ではフィルタ係数はFiltered-x LMS法に基づき決定されるが、例えば、下記の非特許文献1,2には、周波数領域連立方程式法によりフィルタ係数を決定する構成が開示されている。
特開2000−89768号公報
「周波数領域連立方程式法による能動騒音制御システム」、電子情報通信学会技術研究報告、2002年1月、第101巻、第598号、p.31-36 「周波数領域連立方程式法による能動騒音制御システム」、電子情報通信学会技術研究報告、2002年5月、第102巻、第42号、p.7-12
ところで、騒音低減の対象となる騒音源が、例えば、常時最も効率の良い定格で運転される回転機械等である場合には、騒音源から発生する騒音の状態(周波数特性等)の変化は短日月ではほぼ発生しない。しかしながら、特許文献1では、制御パラメータの更新を常時行うことを前提とするため、先に説明したように、補正手段10とデジタルフィルター9とが一体として備えられており、上記のような形態で使用される騒音源に対して好適なシステム形態とはなっていなかった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば騒音の状態の変化が経時的に緩慢に発生する騒音源に対して、無駄が無く使用勝手の良い能動型消音システムを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る、騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段と、騒音制御フィルタを備えるとともに当該騒音制御フィルタの制御パラメータに基づいて前記騒音検出手段の検出信号から前記騒音を低減するための騒音低減信号を生成する消音制御部と、前記騒音低減信号に対応する騒音低減音を発生する騒音低減音発生手段と、前記騒音と前記騒音低減音との合成音を検出する合成音検出手段と、前記騒音検出手段の検出信号及び前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する適応制御部と、を備えた能動型消音システムの特徴構成は、前記消音制御部は、前記適応制御部により決定された制御パラメータを記憶する記憶手段を備え、前記騒音検出手段、前記消音制御部、及び前記騒音低減音発生手段を備えた第1消音システム部と、前記合成音検出手段及び前記適応制御部を備えた第2消音システム部とに分離して構成され、前記第1消音システム部に前記第2消音システム部が接続されていない独立状態で、前記記憶手段に記憶された制御パラメータに基づいて能動消音動作可能に構成されているとともに、前記第1消音システム部に前記第2消音システム部が接続された連結状態で、前記記憶手段に記憶される制御パラメータを更新可能に構成されている点にある。
上記の特徴構成によれば、騒音制御フィルタの制御パラメータの更新を行う必要がある場合には、能動型消音システムを連結状態で動作させ、記憶手段に記憶される制御パラメータの最適化を行うことができる。
一方、騒音制御フィルタの制御パラメータの更新を行う必要がない場合には、能動型消音システムを独立状態で動作させ、記憶手段に記憶された制御パラメータに基づいて能動消音動作が可能、すなわち、騒音低減音発生手段に、騒音源からの騒音を低減するための騒音低減音を発生させることができる。
そして、この独立状態では、第2消音システム部が第1消音システム部に接続されないため、第1消音システム部と分離して構成される第2消音システム部を、他の騒音源に設置された能動型消音システムの第1消音システム部に接続して、当該能動型消音システムが備える記憶手段に記憶される制御パラメータを更新することができる。すなわち、一の第2消音システム部を複数の能動型消音システム間で共用することができ、複数の能動型消音システムを低コストで構築することができる。
特に、第2消音システム部が備える適応制御部は、高速且つ高度な演算を要求される機能部であり一般的に高価なものとなるが、本構成によれば、このような適応制御部を複数の能動型消音システム間で共用することができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、例えば騒音の状態の変化が経時的に緩慢に発生する騒音源に対して、無駄が無く使用勝手の良い能動型消音システムが得られる。
ここで、前記適応制御部は、周波数領域の信号に変換された前記騒音検出手段の検出信号、及び、周波数領域の信号に変換された前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定すると好適である。
この構成によれば、適応制御部が時間領域の検出信号に基づいて騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する構成に比べ、適応制御部と消音制御部との間でのデータ転送量を低く抑えることができる。これにより、サンプリング周波数を低くしたり騒音制御フィルタのフィルタ長を短くする等の消音性能の低下につながる対策を施すことなく、或いは、当該対策を施す場合であってもその程度を低く抑えつつ、消音制御部を備える第1消音システム部と、適応制御部を備える第2消音システム部と、を分離した構成とすることができる。従って、消音性能の低下を抑制しつつ、第1消音システム部と第2消音システム部とが分離した構成とすることができる。
また、周波数軸上で騒音制御フィルタの制御パラメータを決定できるため、消音性能が良好でない周波数の音をカットする等の周波数スペクトルに基づく消音制御を行うことも可能である。
また、前記独立状態と前記連結状態との両方の状態で、能動消音動作可能に構成されていると好適である。
この構成によれば、連結状態においても能動消音動作可能に構成されているため、能動消音動作を中断することなく、騒音制御フィルタの制御パラメータの更新を行うことができる。
また、低減の対象となる騒音の上限周波数が、前記消音制御部と前記適応制御部との間のデータ転送速度に基づき設定されていると好適である。具体的には、前記消音制御部と前記適応制御部との間のデータ転送速度に基づき、サンプリング周波数や前記騒音制御フィルタのフィルタ長を設定すると好適である。
この構成によれば、低減の対象となる騒音の上限周波数を適切に設定することができ、能動消音動作を安定なものとすることができる。
また、前記適応制御部は、連立方程式法に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定すると好適である。
この構成によれば、騒音低減音発生手段から合成音検出手段に至る経路(以下、単に「二次経路」という。)の音響伝達特性を模擬した二次経路フィルタなしに騒音制御フィルタの制御パラメータを決定することができる。よって、経年劣化や周囲環境の変化等により二次経路の音響伝達特性が変化した場合であっても、二次経路を同定するための特別な構成を備えることなく、騒音制御フィルタの制御パラメータの最適化を行うことができる。
また、前記連結状態で、前記第2消音システム部を構成する前記適応制御部は、通信網を介して前記第1消音システム部を構成する前記消音制御部に接続され、前記騒音制御フィルタの制御パラメータが遠隔操作により更新されると好適である。
この構成によれば、第2消音システム部を構成する適応制御部を騒音が発生している現場に備えることなく、通信網を介して接続した状態で騒音制御フィルタの制御パラメータの更新を行うことができる。よって、騒音制御フィルタの制御パラメータの更新作業を簡素なものとすることができる。本構成は、一の適応制御部を複数の能動型消音システム間で共用する場合に特に適している。
本発明の実施形態に係る能動型消音システムの全体構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る消音制御部及び適応制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る消音制御の概念を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る連立方程式法の概念を示すブロック図である。 本発明の別実施形態に係るFiltered-x LMS法の概念を示すブロック図である。
本発明に係る能動型消音システム100の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されるものではなく、同様の作用効果を奏する構成であれば種々の改変が可能である。
本実施形態に係る能動型消音システム100は、図1に示すように、第1消音システム部61と第2消音システム部62とに分離して構成されているとともに、その運転状態として、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続されない独立状態と、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続される連結状態と、を備えていることに特徴を有している。以下、本実施形態に係る能動型消音システム100について、「能動型消音システムの全体構成」、「消音制御部の構成」、「適応制御部の構成」、「適応制御アルゴリズム」、「能動型消音システムの動作状態」の順に説明する。
1.能動型消音システムの全体構成
まず、本実施形態に係る能動型消音システム100の全体構成について図1に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態に係る能動型消音システム100は、第1マイクロホン6と、第2マイクロホン7と、スピーカ2と、消音制御部3と、適応制御部5と、増幅器4と、を備えて構成されている。本実施形態では、第1マイクロホン6、第2マイクロホン7、及び、スピーカ2が、それぞれ、本発明における「騒音検出手段」、「合成音検出手段」、及び、「騒音低減音発生手段」に相当する。そして、第1消音システム部61が、第1マイクロホン6、消音制御部3、スピーカ2、及び増幅器4を備えて構成されるとともに、第2消音システム部62が、第2マイクロホン7及び適応制御部5を備えて構成されている。なお、図1に示す例では、騒音源1の一例として、空調室外機の原動部(ガスエンジン等)が示されているが、本発明は、定格出力で定常運転する場合があるあらゆる騒音源を対象とする。
第1マイクロホン6は、騒音源1からの騒音(以下、単に「騒音」ということがある。)を検出する騒音検出手段として機能する。第1マイクロホン6は、騒音源1の近傍に配設されており、騒音源1から周囲の空間に放出される騒音をそのまま検出する。そして、第1マイクロホン6にて検出された検出信号は、消音制御部3に供給されるとともに、連結状態では、当該消音制御部3を介して適応制御部5にも供給される。
消音制御部3は、図2に示すように、騒音制御フィルタH(z)を備えるとともに当該騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数に基づいて第1マイクロホン6の検出信号から騒音を低減するための騒音低減信号を生成する機能部である。なお、厳密には、H(z)は、騒音制御フィルタの伝達関数を表すが、ここでは説明の簡略化のため、騒音制御フィルタをH(z)として表す。後述する一次経路P(z)、二次経路C(z)、補助フィルタS(z)についても同様である。また、本実施形態では、消音制御部3は、適応制御部5により決定された騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を記憶するフィルタ係数記憶部11を備えているとともに、消音制御装置30の内部に備えられている。そして、騒音制御部3にて生成された騒音低減信号は、増幅器4に供給される。なお、消音制御部3の詳細な構成については後述する。本実施形態では、フィルタ係数及びフィルタ係数記憶部11が、それぞれ、本発明における「制御パラメータ」及び「記憶手段」に相当する。
増幅器4は、消音制御部3が生成した騒音低減信号を増幅してスピーカ2に供給する。なお、信号の増幅率は、第2マイクロホン7の検出信号の大きさが零に近い値となる増幅率に設定され、スピーカ2の個数、スピーカ2や第2マイクロホン7の配設位置等に基づき定められる。本実施形態では、増幅器4は、図1における左側のスピーカ2と、消音制御装置30との間に配設されている。なお、図1に示す例では、増幅器4はスピーカ2や消音制御装置30とは別の装置として構成されている場合を例として示しているが、増幅器4がスピーカ2と一体的に構成されていても良いし、増幅器4が消音制御装置30と一体的に構成されていても良い。
スピーカ2は、騒音低減信号に対応する騒音低減音を発生する騒音低減音発生手段として機能する。具体的には、スピーカ2には、増幅器4にて増幅された後の騒音低減信号が入力され、当該増幅後の騒音低減信号に対応する騒音低減音がスピーカ2から発生される。本実施形態では、図1に示すように、2つのスピーカ2が、騒音源1の近傍に騒音源1を挟む位置関係で、騒音源1から発生する騒音の伝播方向に向けて配置される。なお、スピーカ2は、できる限り騒音源1の近くに配設するのが望ましい。
第2マイクロホン7は、騒音源1からの騒音とスピーカ2からの騒音低減音との合成音(以下、単に「合成音」ということがある。)を検出する合成音検出手段として機能する。第2マイクロホン7は、能動型消音システム100の騒音低減効果を検証するためのものであり、消音制御のエラー検出デバイスとして機能する。第2マイクロホン7は、騒音源1から離間した所定の位置に配設される。所定の位置は、例えば、騒音源1からの騒音が伝播してくる騒音伝播経路における第1マイクロホン6に対して下流側の位置であって、騒音を確実に低減したい位置とすることができる。そして、第2マイクロホン7にて検出された検出信号は、適応制御部5に供給される。
適応制御部5は、第1マイクロホン6の検出信号及び第2マイクロホン7の検出信号の双方に基づき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定する機能部である。本実施形態では、適応制御部5は、適応制御装置50の内部に備えられている。適応制御装置50は、例えば、ノートパソコン等を採用することができる。この適応制御部5の詳細な構成については後述するが、第2マイクロホン7の配設位置で、騒音源1からの騒音とスピーカ2からの騒音低減音との合成音の振幅(音圧レベル)が零に近づくように、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定する。
そして、能動型消音システム100は、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続されていない独立状態で、フィルタ係数記憶部11に記憶されたフィルタ係数に基づいて能動消音動作可能に構成されているとともに、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続された連結状態で、フィルタ係数記憶部11に記憶されるフィルタ係数を更新可能に構成されている。なお、独立状態及び連結状態のそれぞれにおける能動型消音システム100の動作についての詳細は後述する。
2.消音制御部の構成
消音制御部3は、騒音制御フィルタH(z)を備えるとともに当該騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数に基づいて第1マイクロホン6の検出信号から騒音を低減するための騒音低減信号を生成する機能部である。本実施形態では、消音制御部3は、図2に示すように、騒音制御フィルタH(z)、フィルタ係数記憶部11、A/D変換部12、D/A変換部13を備えて構成されている。また、本実施形態では、1つの消音制御部3が2つのスピーカ2から発生される騒音低減音を制御するように構成されている。
A/D変換部12は、第1マイクロホン6にて検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号を騒音制御フィルタH(z)へ出力する。また、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続される連結状態では、A/D変換部12にてデジタル信号に変換された第1マイクロホン6の検出信号は、適応制御部5へも出力される。図3では、デジタル信号に変換された第1マイクロホン6の検出信号を、参照信号x[n]として表している。ここで、nは離散時間領域での時刻を表す。
騒音制御フィルタH(z)は、A/D変換部12によりデジタル信号に変換された第1マイクロホン6の検出信号(参照信号x[n])に対してフィルタ処理を行うことで、騒音を低減するための騒音低減信号(図3における騒音低減信号y[n])を生成する。そして、生成した騒音低減信号y[n]を、D/Aコンバータ13へ出力する。この際、騒音制御フィルタH(z)は、フィルタ係数記憶部11に記憶されたフィルタ係数に基づきフィルタ処理を行う。
具体的には、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長(タップ長)をMとし、そのフィルタ係数をh[k,n](k=0,1,・・・,M−1)とすると、騒音制御フィルタH(z)は、以下の式(1)で表されるフィルタ係数h[k,n]と参照信号x[n]との畳み込みにより、騒音低減信号y[n]を生成する。
y[n]=Sum{h[k,n]・x[n−k],k,0,M−1}・・・(1)
ここで、Sum{f,k,min,max}は、kの関数(変数)であるfのkがminからmaxまでの値を加算する数式表記、いわゆるΣを示す数式表記である。
フィルタ係数記憶部11は、適応制御部5により決定された騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(本例では上記のh[k,n])を記憶する機能部である。本実施形態では、フィルタ係数記憶部11は、適応制御部5が決定した最新のフィルタ係数の組を記憶するように構成されている。これにより、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続されない独立状態においても、適応制御部5が最後に決定した最新のフィルタ係数に基づいて能動消音動作を行うことが可能となっている。
D/A変換部13は、騒音制御フィルタH(z)から入力されるデジタル信号である騒音低減信号y[n]をアナログ信号に変換し、増幅器4へ出力する。
3.適応制御部の構成
適応制御部5は、第1マイクロホン6の検出信号及び第2マイクロホン7の検出信号の双方に基づき騒音制御フィルタH(z)の制御パラメータ(本例では、フィルタ係数)を決定する機能部である。本実施形態では、適応制御部5は、図2に示すように、フィルタ特性演算部16、FFT演算部14、FFT演算部17、IFFT演算部15、A/D変換部18を備えて構成されている。
本実施形態では、適応制御部5は、周波数領域の信号に変換された第1マイクロホン6の検出信号、及び、周波数領域の信号に変換された第2マイクロホン7の検出信号の双方に基づき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定するように構成されている。これにより、適応制御部5と消音制御部3との間でのデータ転送量を低く抑えることができ、サンプリング周波数を低くしたり騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長Mを短くする等の消音性能の低下につながる対策を施すことなく、或いは、当該対策を施す場合であってもその程度を低く抑えつつ、消音制御部3を備える第1消音システム部61と、適応制御部5を備える第2消音システム部62と、を分離した構成とすることが可能となっている。
FFT演算部14は、高速フーリエ変換により時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する機能部である。具体的には、FFT演算部14は、消音制御部3が備えるA/D変換器12から入力されるデジタル信号に変換後の第1マイクロホン6の検出信号(参照信号x[n])を、周波数領域の信号に変換する。そして、FFT演算部14は、周波数領域の信号に変換した第1マイクロホン6の検出信号を、フィルタ特性演算部16へ出力する。
A/D変換部18は、第2マイクロホン7にて検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号(図3における誤差信号e[n])をFFT演算部17へ出力する。
FFT演算部17は、高速フーリエ変換により時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する機能部である。具体的には、FFT演算部17は、A/D変換器18から入力されるデジタル信号に変換後の第2マイクロホン7の検出信号(誤差信号e[n])を、周波数領域の信号に変換する。そして、FFT演算部17は、周波数領域の信号に変換した第2マイクロホン7の検出信号を、フィルタ特性演算部16へ出力する。
フィルタ特性演算部16は、消音制御部3が備える騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定する機能部である。上記のように、フィルタ特性演算部16には、FFT演算部14より、周波数領域のデジタル信号に変換された後の第1マイクロホン6の検出信号が入力される。また、フィルタ特性演算部16には、FFT演算部17より、周波数領域のデジタル信号に変換された後の第2マイクロホン7の検出信号が入力される。そして、フィルタ特性演算部16は、これらの周波数領域のデジタル信号に変換された後の第1マイクロホン6及び第2マイクロホン7の検出信号に基づき、後述する連立方程式法に基づく適応制御アルゴリズムによって消音制御部3が備える騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を逐次、演算により決定する。すなわち、本実施形態では、適応制御部5は、連立方程式法に基づき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定するように構成されている。これにより、後述するように、スピーカ2から第2マイクロホン7に至る二次経路C(z)の音響伝達特性を模擬した二次経路フィルタなしに騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定することが可能となっている。
IFFT演算部15は、逆高速フーリエ変換により周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する機能部である。具体的には、IFFT演算部15は、フィルタ特性演算部16が決定したフィルタ係数を時間領域の信号に変換し、消音制御部3が備えるフィルタ係数記憶部11へ出力する。本実施形態では、フィルタ特性演算部16が騒音制御フィルタH(z)の新たなフィルタ係数を決定する度に、IFFT15が当該フィルタ係数をフィルタ係数記憶部11へ出力するように構成されている。これにより、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続された連結状態では、フィルタ係数記憶部11は、騒音源1から発生する騒音の状態(周波数特性等)が変化した場合でも、当該騒音の状態の変化に追随したフィルタ係数を取得することが可能になっている。
4.適応制御アルゴリズム
適応制御部5が騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定する際に実行する連立方程式法に基づく適応制御アルゴリズムについて説明する。なお、このような適応制御アルゴリズムは公知であるため、ここではその概念のみを簡単に説明する。また、上記のように、本実施形態では、適応制御部5は、周波数領域で騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定するが、ここでは、説明の簡素化のため、時間領域でフィルタ係数を決定する場合の手順について説明し、周波数領域で処理を行う場合の手順についての説明を省く。なお、周波数領域で処理を行う場合の手順としては、例えば、上記非特許文献1や非特許文献2に開示されている手法等の公知の手法を採用することができる。
図3は、本実施形態に係る消音制御の概念を示すブロック図である。ここで、一次経路P(z)は、第1マイクロホン6から第2マイクロホン7に至る経路であり、二次経路C(z)は、スピーカ2から第2マイクロホン7に至る経路である。なお、図1に示す例では、2つのスピーカ2が備えられており、2つのスピーカ2は、第1マイクロホン6と第2マイクロホン7とを結ぶ直線に関して略対称に配設されている。よって、本例では、二次経路C(z)は2つのスピーカ2間で略同一であり、以下の説明では、2つのスピーカ2を特に区別せずに説明する。
適応制御アルゴリズムは、参照信号x[n]及び誤差信号e[n]に基づき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定するためのアルゴリズムである。そして、騒音制御フィルタH(z)により参照信号x[n]に応じた騒音低減信号y[n]が生成され、当該騒音低減信号y[n]に対応する騒音低減音がスピーカ2から出力される。よって、第2マイクロホン7の配設位置では、一次経路P(z)を経て到達する騒音と、二次経路C(z)を経て到達する騒音低減音との合成音が誤差信号e[n]として検出される。
そして、適応制御アルゴリズムでは、誤差信号e[n]の振幅(音圧レベル)が零に近づくように、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数が逐次決定され、更新される。すなわち、第2マイクロホン7の配設位置で、二次経路C(z)を経て到達する騒音低減音が、一次経路P(z)を経て到達する騒音に対して逆位相且つ同振幅(同音圧レベル)となるように、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数が決定される。
図4は、連立方程式法に基づく適応制御を説明するためのブロック図である。ここで、補助フィルタS(z)は、第1マイクロホン6から第2マイクロホン7に至る制御系全体の音響伝達特性を模擬した全系フィルタである。このとき、外乱がなければ以下の式(2)が成立する。
S(z)=P(z)−H(z)・C(z)・・・(2)
ここで、フィルタ係数の異なる2つの騒音制御フィルタH1(z)及びH2(z)が設定できるとすると、以下の式(3)、式(4)が成立する。
S1(z)=P(z)−H1(z)・C(z)・・・(3)
S2(z)=P(z)−H2(z)・C(z)・・・(4)
ここで、S1(z)及びS2(z)は、それぞれ、H1(z)及びH2(z)に対応する補助フィルタである。
なお、騒音制御フィルタH(z)としてH1(z)が与えられた場合の補助フィルタS1(z)は、例えば、LMSアルゴリズムにより求めることができる。具体的には、補助フィルタS1(z)のフィルタ長(タップ長)をNとし、そのフィルタ係数をs1[k,n](k=0,1,・・・,N−1)とすると、フィルタ係数s1[k,n]は以下の式(5)に基づき更新する構成とすることができる。
s1[k,n+1]=s1[k,n]+μ・e[n]・x[n−k]・・・(5)
ここで、μはステップサイズパラメータを表す。
そして、式(5)に示す処理をある程度収束するまで繰り返し行うことで、騒音制御フィルタH1(z)に対応するS1(z)の特性を決定することができる。S2(z)の特性についても、同様に決定することができる。
そして、騒音制御フィルタH1(z)及びH2(z)のそれぞれに対して補助フィルタS1(z)及びS2(z)が定まると、上記の式(3)、式(4)で表される連立方程式を解くことで、以下のように、C(z)及びP(z)を求めることができる。
C(z)={S1(z)−S2(z)}/{H2(z)−H1(z)}・・・(6)
P(z)={S1(z)・H2(z)−S2(z)・H1(z)}
/{H2(z)−H1(z)}・・・(7)
ところで、求めるべき最適な騒音制御フィルタH0(z)は、式(2)のS(z)を零にするようなものであり、このようなH0(z)は、以下の式(8)で表される。
H0(z)=P(z)/C(z)・・・(8)
よって、式(6)及び式(7)を式(8)に代入することで、H0(z)は以下のように求められる。
H0(z)={S1(z)・H2(z)−S2(z)・H1(z)}
/{S1(z)−S2(z)}・・・(9)
そして、H1(z)をH2(z)とし、H0(z)をH1(z)とし、上記の処理を繰り返し行うことで、算出されるH0(z)の精度を高めていくことができる。このようにして求まるH0(z)を伝達関数とする係数が、求めるべき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数となる。
以上のように、連立方程式法によれば、二次経路C(z)の音響伝達特性を模擬した二次経路フィルタなしに騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定することができる。よって、経年劣化や周囲環境の変化等により二次経路C(z)の音響伝達特性が変化した場合であっても、二次経路C(z)を同定するための特別な構成を備えることなく、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の最適化を行うことが可能となっている。
5.能動型消音システムの動作状態
上記のように、能動型消音システムは、その動作状態として独立状態と連結状態との2つの状態を備えている。独立状態は、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新を行う必要がない場合、例えば、騒音源1が定格出力で定常運転中であり、騒音源1から発生する騒音の状態(周波数特性等)がほとんど変化しない場合等に実行される。一方、連結状態は、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新を行う必要がある場合に実行される。ここで、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新を行う必要がある場合とは、例えば、騒音源1から発生する騒音の状態が変化したり、経年劣化や周囲環境の変化などにより騒音伝播経路の音響伝達特性が変化する等して、第2マイクロホン7にて検出される合成音の振幅(音圧レベル)が所定の閾値より大きくなった場合等である。
図1は、連結状態における能動型消音システム100の一構成例を示したものであり、本例では、消音制御装置30と適応制御装置50とが接続ケーブル20により接続されている。これにより、消音制御部3を備える第1消音システム部61と、適応制御部5を備える第2消音システム部62とが、接続ケーブル20を介して接続された状態となる。この連結状態では、適応制御部5により上記の適応制御アルゴリズムによる騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の最適化が実行される。すなわち、適応制御部5が現在の騒音の状態に最適な騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定し、フィルタ係数記憶部11が記憶するフィルタ係数が更新される。そして、このような更新後の最新のフィルタ係数に基づき、消音制御部3が能動消音動作を行う。
ところで、適応制御部5は、上述した適応制御アルゴリズムに基づき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を決定するため、消音制御部3による能動消音動作を中断することなく適応制御を行うことができる。そのため、本実施形態では、適応制御部5による騒音制御フィルタH(z)の適応制御が、消音制御部3による能動消音動作中に実行されるように構成されている。すなわち、本実施形態では、独立状態と連結状態との両方の状態で、能動消音動作可能に構成されている。これにより、能動消音動作を中断することなく、騒音制御フィルタの制御パラメータの更新を行うことが可能となっている。
一方、図示は省略するが、独立状態では、消音制御装置30と適応制御装置50とが接続ケーブル20により接続されず、第2消音システム部62は能動消音動作に関与しない状態となる。この独立状態では、第1消音システム部61に第2消音システム部62が接続されずに能動消音動作が行われる。この動作状態では、第2消音システム部62が備える第2マイクロホン7による合成音の検出や、第2消音システム部62が備える適応制御部5による騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の最適化は行われない。そして、消音制御部3は、フィルタ係数記憶部11に記憶されている最新のフィルタ係数に基づいて、能動消音動作を行う。
独立状態では、第1消音システム61から独立している第2消音システム部62を、他の騒音源1に設置された能動型消音システム100の第1消音システム部61に接続して、当該能動型消音システム100が備えるフィルタ係数記憶部11に記憶される騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数を更新することができる。すなわち、一の第2消音システム部62を複数の能動型消音システム100間で共用することができ、複数の能動型消音システム100を低コストで構築することができる。特に、第2消音システム部62が備える適応制御部5は、高速且つ高度な演算を要求される機能部であり一般的に高価なものとなるが、本構成によれば、このような適応制御部5を複数の能動型消音システム100間で共用することができる。なお、第2マイクロホン7は複数の能動型消音システム100間で共用せず、独立状態においても騒音が発生している現場に備えたままにしても好適である。
ところで、上記のように、本実施形態では、適応制御部5が周波数領域で適応制御を行う構成となっている。そのため、適応制御部5による適応制御は、サンプリング毎に行われず、フーリエ変換のブロック長単位で行われる。そして、消音制御部3と適応制御部5との間でのデータ転送量は、サンプリング周波数や騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長に依存する。一般的に、これらのサンプリング周波数や騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長は、低減の対象とする騒音の上限周波数に基づいて適切な値が定まる。すなわち、低減の対象となる騒音の上限周波数が高ければ高いほど、一般的に、サンプリング周波数を高くしたり、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長を長くすることが必要になる。
よって、低減の対象となる騒音の上限周波数は、消音制御部3と適応制御部5との間のデータ転送速度に基づき設定すると好適である。例えば、低減の対象となる騒音の上限周波数を、100Hzに設定することができる。この時、サンプリング周波数としては、例えば、4kHz程度の値が設定され、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長としては、例えば、1024程度の値が設定される。このように低減の対象となる騒音の上限周波数を、消音制御部3と適応制御部5との間のデータ転送速度に基づき設定することで、低減の対象となる騒音の上限周波数を適切に設定することができ、能動消音動作を安定なものとすることができる。なお、消音制御部3と適応制御部5との間のデータ転送速度は、接続ケーブル20等の消音制御部3と適応制御部5との間に介在する接続構造の特性に依存する。
6.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、適応制御部5が、周波数領域の信号に変換された第1マイクロホン6の検出信号、及び、周波数領域の信号に変換された第2マイクロホン7の検出信号の双方に基づき騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)を決定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、例えば、適応制御部5が、第1マイクロホン6の検出信号、及び、第2マイクロホン7の検出信号の双方を周波数領域の信号に変換せず、時間領域での演算により騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)を決定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この際、適応制御が時系列でサンプリング毎に行われるため、周波数領域の信号に基づき適応制御を行う場合に比べ大量のデータが消音制御部3と適応制御部5との間でやりとりされる。具体的には、適応制御部5から消音制御部3に、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ長分の係数に関するデータをサンプリング毎に送る必要がある。しかし、低減の対象となる騒音の上限周波数を低く抑えることで、消音制御部3と適応制御部5との間でやりとりされるデータ転送量を低く抑えることができ、適応制御を時間領域で行う構成においても、消音制御部3と適応制御部5とを分離した構成とすることができる。
(2)上記の実施形態では、適応制御部5が、連立方程式法に基づく適応制御アルゴリズムにより騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)を決定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、例えば、適応制御部5が、Filtered-x LMS法に基づく適応制御アルゴリズムにより騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)を決定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合において、周波数領域での演算によりフィルタ係数を決定する構成としても良いし、時間領域での演算によりフィルタ係数を決定する構成としても良い。このようなFiltered-x LMS法に基づく適応制御アルゴリズムは公知であるため、以下その概念のみを簡単に説明する。
図5は、Filtered-x LMSアルゴリズムに基づく適応制御を説明するためのブロック図である。ここで、二次経路フィルタD(z)(厳密には、二次経路フィルタの伝達関数D(z))は、二次経路C(z)の音響伝達特性を模擬したフィルタである。二次経路フィルタD(z)が二次経路C(z)を精度良く表しているとき、以下の式(10)が成立する。
P(z)=H(z)・D(z)・・・(10)
上記の式(10)を満たす騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数h[k,n]は、式(11)に示すLMSアルゴリズムにより求めることができる。
h[k,n+1]=h[k,n]+μ・e[n]・f[n−k]・・・(11)
ここで、μはステップサイズパラメータである。また、f[n]は、参照信号x[n]を二次経路フィルタD(z)に通して得られる濾波参照信号であり。二次経路フィルタD(z)のフィルタ長(タップ長)をLとして、そのフィルタ係数をd[k](k=0,1,・・・,L−1)とすると、f[n]は、以下の式(12)で表されるd[k]とx[n]との畳み込みにより得られる。
f[n]=Sum{d[k]・x[n−k],k,0,L−1}・・・(12)
なお、ここでは、説明の簡素化のため、時間領域でフィルタ係数を決定する場合の手順について説明したが、周波数領域で処理を行う場合についても同様の概念で処理を行うことができる。
(3)上記の実施形態では、消音制御装置30と適応制御装置50とが接続ケーブル20により有線で接続されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、例えば、消音制御装置30と適応制御装置50との間の接続構造の少なくとも一部が、無線接続により構成されていても良い。また、連結状態で、第2消音システム部62が備える適応制御部5が、通信網(インターネット、電話回線、LAN等)を介して第1消音システム部61が備える消音制御部3に接続され、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)が遠隔操作により更新される構成とすることもできる。この場合、適応制御部5を騒音が発生している現場に備えることなく騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新を行うことができ、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数の更新作業を簡素なものとすることができる。このような構成は、一の適応制御部5を複数の能動型消音システム100間で共用する場合に特に適している。
(4)上記の実施形態では、独立状態と連結状態との両方の状態で、能動消音動作可能に構成されている場合を例として説明したが、連結状態では、能動消音動作が中断され、騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)の更新が行われる構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。すなわち、フィルタ係数の更新を行うメンテナンス時を、別途決定するものとしても良い。
(5)上記の実施形態では、騒音検出手段が第1マイクロホン6により構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、例えば、騒音検出手段が、騒音源1の振動を検出し電気信号に変換する振動ピックアップ(振動加速度ピックアップ等)である構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(6)上記の実施形態では、フィルタ係数記憶部11が、適応制御部5が決定した最新のフィルタ係数の組を記憶するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、例えば、騒音源1から発生する騒音の状態が、所定のいくつかの状態をとり得ることが予め分かっている場合には、フィルタ係数記憶部11が、これら複数の騒音の状態のそれぞれに対応付けて騒音制御フィルタH(z)のフィルタ係数(制御パラメータ)の最適値を記憶し、騒音の状態が切り替わった場合には、切り替わった後の騒音の状態に対応づけられたフィルタ係数に基づき独立状態のまま能動消音動作が行われる構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この構成によれば、騒音源1から発生する騒音の状態が切り替わった際に毎回連結状態による制御パラメータの更新処理を行う必要がない。そして、現在の騒音の状態に対応づけられたフィルタ係数に基づき能動消音動作を行っても第2マイクロホン7の検出信号の振幅(音圧レベル)が所定の閾値より大きくなる場合にのみ連結状態とすれば良く、独立状態での運転時間を長くすることができる。なお、騒音源1から発生する騒音の状態の分類は、騒音源1が内燃機関などの回転機械である場合には、その回転数によって騒音の状態を分類することができる。この際、消音制御部3に当該回転数に関する情報が入力される構成とすることで、消音制御部3は、現在の騒音の状態に対応付けられたフィルタ係数をフィルタ係数記憶部11から取得し、当該フィルタ係数に基づき能動消音動作を行うことが可能となる。
(7)上記の実施形態では、第1マイクロホン6及び第2マイクロホン7が、それぞれ1つずつ備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第1マイクロホン6や第2マイクロホン7が複数備えられている構成としても好適である。
(8)上記の実施形態では、騒音低減音発生手段としてのスピーカ2が2つ備えられており、1つの消音制御部3が2つのスピーカ2から発生される騒音低減音を制御するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、例えば、2つのスピーカ2の夫々に対して消音制御部3を備える構成としても好適である。また、スピーカ2の個数は2つに限定されるものではなく、スピーカ2を1つだけ備える構成したり、スピーカ2を3つ以上備える構成としても好適である。
本発明は、騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段と、騒音制御フィルタを備えるとともに当該騒音制御フィルタの制御パラメータに基づいて前記騒音検出手段の検出信号から前記騒音を低減するための騒音低減信号を生成する消音制御部と、前記騒音低減信号に対応する騒音低減音を発生する騒音低減音発生手段と、前記騒音と前記騒音低減音との合成音を検出する合成音検出手段と、前記騒音検出手段の検出信号及び前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する適応制御部と、を備えた能動型消音システムに好適に利用することができる。
1:騒音源
2:スピーカ(騒音低減音発生手段)
3:消音制御部
5:適応制御部
6:第1マイクロホン(騒音検出手段)
7:第2マイクロホン(合成音検出手段)
11:フィルタ係数記憶部(記憶手段)
61:第1消音システム部
62:第2消音システム部
100:能動型消音システム
H(z):騒音制御フィルタ

Claims (6)

  1. 騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段と、騒音制御フィルタを備えるとともに当該騒音制御フィルタの制御パラメータに基づいて前記騒音検出手段の検出信号から前記騒音を低減するための騒音低減信号を生成する消音制御部と、前記騒音低減信号に対応する騒音低減音を発生する騒音低減音発生手段と、前記騒音と前記騒音低減音との合成音を検出する合成音検出手段と、前記騒音検出手段の検出信号及び前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する適応制御部と、を備えた能動型消音システムであって、
    前記消音制御部は、前記適応制御部により決定された制御パラメータを記憶する記憶手段を備え、
    前記騒音検出手段、前記消音制御部、及び前記騒音低減音発生手段を備えた第1消音システム部と、前記合成音検出手段及び前記適応制御部を備えた第2消音システム部とに分離して構成され、
    前記第1消音システム部に前記第2消音システム部が接続されていない独立状態で、前記記憶手段に記憶された制御パラメータに基づいて能動消音動作可能に構成されているとともに、前記第1消音システム部に前記第2消音システム部が接続された連結状態で、前記記憶手段に記憶される制御パラメータを更新可能に構成されている能動型消音システム。
  2. 前記適応制御部は、周波数領域の信号に変換された前記騒音検出手段の検出信号、及び、周波数領域の信号に変換された前記合成音検出手段の検出信号の双方に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する請求項1記載の能動型消音システム。
  3. 前記独立状態と前記連結状態との両方の状態で、能動消音動作可能に構成されている請求項1又は2記載の能動型消音システム。
  4. 低減の対象となる騒音の上限周波数が、前記消音制御部と前記適応制御部との間のデータ転送速度に基づき設定されている請求項1から3の何れか一項記載の能動型消音システム。
  5. 前記適応制御部は、連立方程式法に基づき前記騒音制御フィルタの制御パラメータを決定する請求項1から4の何れか一項記載の能動型消音システム。
  6. 前記連結状態で、前記第2消音システム部を構成する前記適応制御部は、通信網を介して前記第1消音システム部を構成する前記消音制御部に接続され、前記騒音制御フィルタの制御パラメータが遠隔操作により更新される請求項1から5の何れか一項記載の能動型消音システム。
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