JP2011043163A - ポンプを製造する方法及びポンプ - Google Patents

Abstract

【課題】水ポンプなどポンプ用のハウジングに駆動軸用軸受を取り付ける際には、軸受とハウジングの良好な嵌め合いを得ることが必要である。したがって、成形後にハウジングを機械加工して、開口部が軸受を受ける正確な寸法であることを保証する必要がある。
【解決手段】ポンプ・ハウジング１２及び軸受１６内で回転するように取り付けられた駆動軸１４を備えるポンプ１０を製造する方法であって、軸受１６外面に少なくとも１つの係合構成部４４を形成し、ポンプ・ハウジング１２を前記係合構成部４４に係合するようにポリマーの射出成型によって成形する。その結果、成形されたポンプ・ハウジング１２と軸受１６の剛体的係合が容易に得られ、製造コストが低減出来る。
【選択図】図１

Description

本発明は、ポンプを製造する方法（ｍｅｔｈｏｄ ｏｆ ｍａｋｉｎｇ ａ ｐｕｍｐ）及びその方法によって製造されるポンプに関する。

従来、自動車分野（ａｕｔｏｍｏｔｉｖｅ ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ）で使用される水ポンプなどポンプ用のハウジングは、アルミニウムから成形される。ポンプの駆動軸用軸受はハウジングの開口部内に取り付けられており、ハウジングに対する軸受の運動が実質的に阻止されることを保証するには、軸受とハウジングの良好な嵌め合いを得ることが必要である。したがって、成形後にハウジングを機械加工して、開口部が軸受を受ける正確な寸法であることを保証する必要がある。

本発明の第１の態様により、ポリマー製ポンプ・ハウジング（ｐｏｌｙｍｅｒｉｃ ｐｕｍｐ ｈｏｕｓｉｎｇ）及び軸受内で回転するように取り付けられた駆動軸を備え、軸受が外面上に少なくとも１つの係合構成部を有する、ポンプを製造する方法であって、ポンプ・ハウジングを軸受の周りに成形し、ハウジングが係合構成部（ｅｎｇａｇｅｍｅｎｔ ｆｏｒｍａｔｉｏｎ）と協働して軸受のハウジングに対する運動を制限するステップを含む方法を提供する。

したがって本発明により、ハウジングを成形後に機械加工し、又は軸受を別の段階で嵌めることが不要になるため、ポンプ製造の複雑さが低減され、それによってそのコストも低減される。さらに、機械加工された部品は幾分寸法のばらつきが生じるが、本発明の第１の態様の方法を使用すると、軸受とハウジングの剛体的係合が簡単に得られ、その結果さらに再生可能になる。

好ましくは、ハウジングは熱可塑性ポリマーから製造される。
好ましくは、ハウジングは射出成形を使用して成形される。
好ましくは、ハウジングを軸受の周りに成形する前に、潤滑油が軸受に供給される。
成形中のポリマーの温度は、アルミニウムの温度と比べて比較的低いため、軸受内での駆動軸の円滑かつ低摩擦の回転を助けるために、軸受の周りにハウジングを成形する前に従来の低温潤滑油又はグリースを軸受内に供給することができるが、成形プロセス中に潤滑油が軸受内で大幅に劣化することはない。

好ましくは、軸受の外面は全般的に円筒形であり、係合構成部は軸受の外面に少なくとも１つの周溝を含む。
好ましくは、軸は、ハウジングの成形中に軸受内の使用位置に受けられる。
軸受は玉軸受でもよい。
本発明の第２の態様により、本発明の第１の態様の方法を使用して製造されるポンプを提供する。
このポンプは、自動車エンジン用の冷却液ポンプでもよい。

本発明の第２の態様によるポンプの断面図である。 本発明の第１の態様の方法によるポンプ・ハウジングを製造するためのモールドの断面図である。

次に、本発明の一実施形態を添付の図面の単なる一例として説明する。
次に図１を参照すると、自動車エンジンの冷却システムで使用される水ポンプ１０が示されている。このポンプは、ポリマー製ポンプ・ハウジング１２、及び軸受１６内で回転するように取り付けられた全般的に円筒形の駆動軸１４を備えており、駆動軸１４の第１の端部１４ａ及び第２の端部１４ｂはハウジング１２を超えて延在する。歯状プーリ１８は、駆動軸１４の第１の端部１４ａ上に取り付けられており、使用の際は、歯状ベルトによってエンジンのクランク軸に連結されて、クランク軸の回転によって駆動軸１４を駆動軸１４の長手方向軸Ａの周りで回転させるようになされている。インペラ（ｉｍｐｅｌｌｅｒ）２０は、駆動軸１４の第２の端部１４ｂ上に係止リング２２によって取り付けられる。

軸受１６は、ハウジング１２内の全般的に円筒形の開口部２６内に取り付けられ、開口部２６は側壁２８によって取り囲まれており、側壁２８はプーリ１８に隣接する第１の端部２８ａからインペラ２０に隣接する第２の端部２８ｂまで駆動軸１４の長手方向軸Ａに対して全般的に平行に延在する。ハウジング１２はさらに、側壁２８の第２の端部２８ａから延びるフランジ部分３０を備える。フランジ部分３０は環状のシーリング・リップ（ｓｅａｌｉｎｇ ｌｉｐ）３２を備え、このシーリング・リップ３２は、軸Ａに対して全般的に垂直に側壁２８の半径方向に外側に延びており、シーリング・リップ３２全体の周りにある円形の溝３４を含む。シーリング装置は、この場合はＯリング３６であり、溝３４内に収容される。

自動車エンジンで使用の際、ポンプ・ハウジング１２は、エンジンを取り囲む冷却ジャケットの外面上に取り付けられ、駆動軸１４の第２の端部１４ｂは冷却ジャケットに設けられた開口部を通って冷却ジャケット内に延在し、駆動軸１４の第１の端部１４ａ及びプーリ１８は、冷却ジャケットの外側に残る。シーリング・リップ３２は冷却ジャケットの外面と係合するため、Ｏリング３６はハウジング１２と冷却ジャケットの間に実質的に液密シールをもたらす。したがって、インペラ２０は冷却ジャケット内に配置され、駆動軸１４の回転によって水又は他の冷却液が冷却ジャケットの回りにポンピングされることになる。

冷却ジャケット内に含まれた流体が軸受を受ける開口部２６を介して冷却ジャケットから外に漏れるのを阻止するため、従来の機械的シーリング部２４が駆動軸１４の周りに軸受１６とインペラ２０の間に取り付けられて、駆動軸１４と側壁２８の間の実質的な液密シールをもたらす。
この例では、軸受１６は金属製の玉軸受であり、全般的に円筒形のレース４０内に取り付けられた２組の軸受玉３８を備える。レース４０には、両方の自由端に半径方向に内側に延びる保持フランジ４０ａが設けられている。２つの玉を位置付ける溝４２が駆動軸１４の円周の周りに設けられ、第１組の軸受玉３８が第１の溝４２ａ内に配置され、第２組の軸受玉３８が第２の溝４２ｂ内に配置されるため、軸受玉３８と溝４２の係合によって、駆動軸１４が軸受１６内に位置付けられた場合に、駆動軸１４がその長手方向軸Ａに対して全般的に平行方向に移動するのが阻止される。

レース４０の外面には少なくとも１つの係合構成部４４が設けられる。この例では、係合構成部４４は周溝であり、３つのこうした係合溝４４がレース４０の外面の周りに設けられている。この係合溝４４の機能をさらに以下で論じる。
ポンプ１０は以下のように製造される。
ポンプ・ハウジング１２は、好ましくは、ポリフタルアミド（ｐｏｌｙｐｔｈａｌａｍｉｄｅ）、ポリフェニレンスルフィド（ｐｏｌｙｐｈｅｎｙｌｅｎｅ ｓｕｌｆｉｄｅ）、又はポリアミドなど熱可塑性ポリマーであるポリマーから成形され、この例では、図２で示すようにモールド４６を使用して射出成形によって成形される。フェノール樹脂など熱硬化性ポリマーではなく、熱可塑性ポリマーが使用されることが好ましい。なぜなら、熱可塑性ポリマーは、射出成形での使用により好ましく、より簡単に再生処理かつ再使用されるからである。

モールド４６は、第１の部分４６ａ及び第２の部分４６ｂを備え、それらは必要とされる形状のモールド・キャビティ４８を共に形成してハウジング１２を形成するように形状付けられる。
ポンプ・ハウジング１２は、駆動軸１４が軸受１６内の定位置にある状態で軸受１６の周りに成形され、ハウジング１２が係合溝４４と協働して軸受１６のハウジング１２に対する動きを実質的に阻止するようになされている。したがって、第１のインサート５０ａ及び第２のインサート５０ｂが設けられて、ハウジング１２の成形中に駆動軸１４及び軸受１６をモールド・キャビティ４８内の定位置に保持する。

第１のインサート５０ａは第１のモールド部分４６ａ内に設けられた開口部を通って、側壁２８の第１の端部２８ａを形成するモールド・キャビティ４８の縁部まで延在し、第１のモールド部分４６ａは第１のインサート５０ａの周りに十分きっちりと嵌り、溶融ポリマーが第１のインサート５０ａの周りのモールド・キャビティ４８から外に漏れるのを実質的に阻止しながら、第１のインサート５０ａの第１のモールド部分４６ａへの出入りの動きを可能にする。第１のインサート５０ａは、駆動軸１４の第１の端部１４ａを支持する凹部を含む。

第２のインサート５０ｂは、第２のモールド部分４６ｂに設けられた開口部を通ってモールド・キャビティ４８内に、側壁２８の第２の端部２８ｂを形成するモールド・キャビティの部分の全般的に中心に、かつ側壁２８の第１の端部２８ａを形成するキャビティの部分に向かって延在する。したがって、第２のインサート５０ｂは、側壁２８の第２の端部２８ａの内面を形成する助けをする。第２のモールド部分４６ｂは第２のインサート５０ｂの周りに十分きっちりと嵌り、溶融ポリマーが第２のインサート５０ｂの周りのモールド・キャビティ４８から外に漏れるのを実質的に阻止しながら、第２のインサート５０ｂの第２のモールド部分４６ｂへの出入りの動きを可能にしており、駆動軸１４の第２の端部１４ｂを支持する凹部を含む。

第１のインサート５０ａ及び第２のインサート５０ｂはどちらも軸受１６と衝合して、溶融ポリマーが軸受レース４０の外面の周りだけを流れ、駆動軸１４又は軸受１６の保持フランジ４０ａと接触することができないようになされている。
第１のインサート５０ａは、モールド４６に対して固定された支持構造に接して配置され、この例ではコイルばねである弾性偏倚手段（ｒｅｓｉｌｉｅｎｔ ｂｉａｓｉｎｇ ｍｅａｎｓ）５２が第２のインサート５０ｂをモールド・キャビティ４８内に移動させるために提供される。したがって、軸受１６は２つのインサート５０ａと５０ｂの間で圧縮され、溶融ポリマーがモールド・キャビティ４８内に注入される間、モールド・キャビティ４８内の正しい位置に保持される。

ポリマー・ハウジング１２が冷却され硬化した後、ハウジング１２、駆動軸１４、及び軸受１６のアセンブリがモールド４６から取り除かれ、プーリ１８、シーリング部２４、及びインペラ２０が駆動軸１４上に嵌められ、Ｏリング３６がハウジング１２のシーリング・リップ３２内に設けられた溝３４内に配置される。次いで、ポンプ１０がボルト（図示せず）によってエンジンの冷却ジャケットの外側に嵌められる。ボルトは、シーリング・リップ３２内に設けられたボルト受け開口部を通って冷却ジャケット内に延びる。

成形プロセス中、溶融ポリマーは軸受レース４０の外面の周りに設けられた係合溝４４内に流れるため、ポリマーが冷却され硬化した後、係合溝４４内のポリマーはハウジング１２内での軸受１６の機械的係止部を提供して、軸受１６のハウジング１２に対する軸方向の動きを実質的に阻止し、軸受１６のハウジング１２に対する回転を制限することもできる。ハウジング１２は軸受１６の周りに成形されるため、成形後にハウジング１２を機械加工する必要がなく、この２つは良好な嵌め合いで共に係止される。さらに、軸受１６及び駆動軸１４をハウジング１２に嵌める、ポンプ製造プロセスの別々のステップの必要が回避される。したがって、ポンプ製造プロセスが簡単になり、したがってポンプ１０を製造するコストが低減される。

さらに、成形されたハウジング１２は、機械加工されたハウジングと同様の寸法のばらつきが生じないため、ハウジング１２と軸受１６の良好な嵌め合いを再生可能な方法で得ることができる。ハウジング１２と軸受１６の良好な嵌め合いを得ることは、ポンプ１０の動作中に、軸受１６及び駆動軸１４のハウジング１２に対する運動を最小限に抑えるために重要である。こうした運動が増大すると、ポンプ１０によって生じる騒音が大きくなり、ポンピングされた流体がハウジング１２から漏れる可能性が高くなり、軸受１６の磨耗が進むからである。したがって、ハウジング１２を軸受１６の周りに成形することによって、軸受１６の寿命が確実に延び、比較的静かで漏れのないポンプ１０を製造することができる。

通常、溶融ポリマーは、成形プロセス中に最高温度が約１５０℃に達するが、それは従来の低温潤滑油があまり劣化せずに耐えることができる温度である。したがって、成形プロセスの前に軸受１６を低温潤滑油又はグリースを使用して潤滑することができるが、成形中に潤滑油が大幅に劣化することはない。
理解されるように、この例では、係合構成部は軸受レース４０の外面の周りの周溝４４であるが、係合構成部は、軸受１６とハウジング１２の間の機械的係止を提供する任意の他の適した構成でもよい。係合構成部は、軸受レース４０の外面から、たとえばレース４０の周りの周囲隆起部として突き出てもよい。

さらに、２つ以下又は３つよりも多い係合構成部を設けることができる。
周方向に延びる係合構成部、すなわち隆起部又は溝が使用される場合、なお軸受１６のハウジング１２に対する回転が生じる可能性がある。この問題は、軸方向に延びる係合構成部を周方向に延びる係合構成部に追加して設けることによって、又は周方向に延びる係合構成部に不連続性をもたらすことによって回避することができる。

軸受１６は必ずしも玉軸受である必要はない。軸受は、ころ軸受、玉ところを組合せた軸受、又は任意の他の適した形態の軸受でもよい。
また、理解されるように、ハウジング１２の構成は、添付の図面で示した構成に限定されるものではなく、ハウジング１２の形状は、様々なエンジン構成及びエンジン・キャビティ内の様々な周辺部品の配置構成を収容するように変更することができる。
本発明の特定の形態もしくは開示の機能を果たすための手段に関して述べた、以上の説明、又は頭記の特許請求の範囲、あるいは添付の図面で開示した特徴、又は開示の結果を得るための方法あるいはプロセスは、必要に応じて、別々に、あるいはこうした特徴を組み合わせて使用して、本発明の多様な形態で本発明を実現することができる。

Claims (9)

1. ポリマー製のポンプ・ハウジングと、少なくとも１つの係合構成部が外面に形成された軸受によって回転可能に前記ポンプ・ハウジング内に支持された駆動軸とを有するポンプを製造する方法であって、
   前記ポンプ・ハウジングを、前記係合構成部に係合するように前記軸受の前記外面の周りに成形するステップを含むことを特徴とする方法。
2. 前記ポリマーが熱可塑性であることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記ポンプ・ハウジングが射出成形によって成形されることを特徴とする請求項１又は２に記載の方法。
4. 前記ポンプ・ハウジングを前記軸受の前記外面の周りに成形する前に、潤滑油が前記軸受に供給されることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の方法。
5. 前記係合構成部が前記軸受の前記外面に形成された少なくとも１つの周溝であることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の方法。
6. 前記ポンプ・ハウジングの成形中に、前記軸受内の使用位置に前記駆動軸が設置されることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載の方法。
7. 前記軸受が玉軸受であることを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載の方法。
8. ポリマー製のポンプ・ハウジングと、外面上に少なくとも１つの係合構成部を有する軸受と、該軸受によって回転可能に前記ポンプ・ハウジング内に支持された駆動軸とを有するポンプであって、
   前記ポンプ・ハウジングが、請求項１乃至７のいずれかに記載の方法によって作製されたことを特徴とするポンプ。
9. 前記ポンプが自動車エンジン用の冷却液ポンプであることを特徴とする請求項８に記載のポンプ。

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