JP2011042046A - インクジェット受理剤、及びそれを用いたインクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、インクの吸収性に優れ、印刷画像のにじみやクラックを引き起こさず、かつ、常温または高温多湿環境下に長期間保存等された場合であっても、経時的なインク吸収性の低下や印刷画像のにじみ及びクラック発生を引き起こさないインク受理層を形成可能なインクジェット受理剤、及び、前記インク受理層を備えたインクジェット記録媒体を提供することである。
【解決手段】本発明は、分子内に特定の構造単位(a)を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)と、ジルコニウム化合物(B)と、ポリビニルアルコール(C)と、水溶性多価金属塩(D)と、水系媒体(E)とを含有してなるインクジェット受理剤に関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、屋内外に設置可能な大型看板の製造や、家庭等における写真印刷等の様々な場面で使用可能なインクジェット記録媒体及びその製造に使用可能なインクジェット受理剤に関する。
近年、成長が著しいインクジェット印刷関連業界では、インクジェットプリンターの画質向上は著しく、銀塩写真並みの画像を得ることが可能となってきている。それに伴い、インクジェット記録媒体にも、高精細な画像を得るためのインク吸収性、高発色濃度、にじみ防止、高光沢等の印刷画像を形成できる受理層を設けたものが求められている。
前記インクジェット印刷には、これまで水性インクが使用されることが多い。そのため、水性インクのにじみの防止及び水性インクの吸収性の向上を目的として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や、各種添加剤を含有する水性インク用のインク受理層の設けられたインクジェット記録媒体が広く使用されている。
しかし、現在普及している前記水性インク用のインク受理層を備えたインクジェット記録媒体は、従来より主流であった染料インク用に開発されたものであるため、近年、その使用量が増加している水性顔料インクの吸収性は十分でなく、印刷画像のにじみやクラックを引き起こす場合があった。
ところで、前記インクジェット記録媒体の市場が益々拡大するに伴い、その製造量も年々増加傾向にある。インクジェット記録媒体は、その製造後、輸送や保存等の過程で、常温または高温多湿環境下に長期間おかれることが多く、かかる期間は、概ね数日から数ヶ月に及ぶ。上記環境下に長期間おかれたインクジェット記録媒体のインク受理層は、経時的にインク吸収性の著しい低下を引き起こす場合があり、かかる記録媒体にインクジェット印刷を施しても、印刷画像のにじみやクラックを引き起こし、高鮮明な印刷画像を形成できない場合があった。
ここで、前記水性インクを用いたインクジェット印刷に好適なインク受理層を形成できるインクジェット受理剤としては、例えば、水系媒体と、前記水系媒体に分散した、分子内に下記一般式〔I〕で示される構造単位(A)を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂(B)と、2級アミン類及びエピハロヒドリン類を反応させて得られるカチオン性共重合体(C)とを含有してなり、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(B)中における前記構造単位(A)に含まれるカチオン性アミノ基の含有量が0.005当量/kg〜1.5当量/kgであるインクジェット受理剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
Figure 2011042046
〔式中、R1は、脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキレン基、2価フェノール類の残基、又はポリオキシアルキレン基を、R及びRは、互いに独立して脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキル基を、Rは、水素原子又は4級化反応により導入された4級化剤の残基を、Xはアニオン性の対イオンを表す。〕
前記特許文献1記載のインクジェット受理剤は、優れた耐水性や耐熱変色性や印刷適性を備えたインク受理層を形成できるものであった。しかし、前記インク受理層を備えたインクジェット記録媒体を、輸送や保存等の過程で常温または高温多湿環境下に長期間おいた場合には、依然としてインク吸収性の低下を引き起こす場合があり、その結果、印刷画像のにじみやクラックの発生を引き起こす場合があった。
特開2007−276392号公報
本発明が解決しようとする課題は、インクの吸収性に優れ、印刷画像のにじみやクラックを引き起こさず、かつ、常温または高温多湿環境下に長期間保存等された場合であっても、経時的なインク吸収性の低下や印刷画像のにじみ及びクラック発生を引き起こさないインク受理層を形成可能なインクジェット受理剤、及び、前記インク受理層を備えたインクジェット記録媒体を提供することである。
本発明者らは、前記課題を検討するにあたり、顔料インクの優れた吸収性や印刷適性を備え、かつ、耐水性にも優れたインク受理層を形成可能な受理剤として知られている前記一般式〔I〕で示される構造単位を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂水分散体を含むインクジェット受理剤をベースとして検討を進めた。具体的には、前記インクジェット受理剤に、様々な添加剤を組み合わせ使用することを検討した。
しかし、ポリイソシアネートやメラミン等の添加剤と前記カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体とを含むインクジェット受理剤を用いて形成されたインク受理層では、依然として経時的なインク吸収性の低下を十分に抑制できず、その結果、印刷画像のにじみやクラックが発生する場合があった。
ところが、前記した様々な添加剤のうち、ジルコニウム化合物を前記一般式〔I〕で示される構造単位(a)を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)と、ポリビニルアルコール(C)と、水溶性多価金属塩(D)と、水系媒体(E)とを組み合わせ含有するインクジェット受理剤であれば、常温または高温多湿環境下に長期間保存等された場合であっても、インク吸収性の低下を引き起こさないインク受理層を形成できることを見いだした。
更に、前記ジルコニウム化合物として酢酸ジルコニウムを使用した場合には、前記したような経時的なインク吸収性の低下を防止でき、かつ、印刷画像の鮮明性を低下させうるインク受理層の変色や濁りによる透明性の低下を防止できることを見いだした。
すなわち本発明は、分子内に下記一般式〔I〕で示される構造単位(a)を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)と、ジルコニウム化合物(B)と、ポリビニルアルコール(C)と、水溶性多価金属塩(D)と、水系媒体(E)とを含有してなることを特徴とするインクジェット受理剤を提供するものである。
Figure 2011042046
〔式中、R1は、脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキレン基、2価フェノール類の残基、又はポリオキシアルキレン基を、R及びRは、互いに独立して脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキル基を、Rは、水素原子又は4級化反応により導入された4級化剤の残基を、Xはアニオン性の対イオンを表す。〕
また、本発明は、前記インクジェット受理剤を、基材に塗工又は含浸した後、前記水系媒体を揮発させることにより、インクジェット受理層が前記基材上に形成されたインクジェット記録媒体を提供するものである。
本発明のインクジェット受理剤は、インクの吸収性に優れ、印刷画像のにじみやクラックを引き起こさず、かつ、経時的なインク吸収性の低下や印刷画像のにじみ及びクラック発生を引き起こさないインク受理層を形成できることから、例えば、屋内外に設置可能な大型または小型看板や広告板、広告旗をはじめ、家庭等での写真印刷等の様々な場面で使用することができる。
また、本発明のインクジェット受理剤は、とりわけ顔料インクに対する印刷性、吸収性に優れ、顔料インク、染料インクのいずれにおいても印刷画像の良好な耐水性を備え、かつ受理層自体の光沢の低下や変色やにごりを生じにくいインク受理層を形成することができる。
本発明のインクジェット受理剤は、分子内に前記一般式〔I〕で示される構造単位(a)を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)と、ジルコニウム化合物(B)と、ポリビニルアルコール(C)と、水溶性多価金属塩(D)と、水系媒体(E)とを必須成分とし、必要に応じてその他の成分を含有してなり、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)自身がインク中の溶媒を吸収しインクを固着させる、一般に膨潤タイプといわれるインク受理層を形成可能なものである。
本発明で使用するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)は、分子内に、下記一般式〔I〕で示される構造単位(a)を含有するものである。
Figure 2011042046
〔式中、R1は、脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキレン基、2価フェノール類の残基、又はポリオキシアルキレン基を、R及びRは、互いに独立して脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキル基を、Rは、水素原子又は4級化反応により導入された4級化剤の残基を、Xはアニオン性の対イオンを表す。〕
上記一般式〔I〕で示される構造単位(a)は、本発明を構成するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)に水系媒体(E)への分散性を付与し、かつインクジェットインクの固着性、印刷画像の耐水性に優れたインクジェット受理層を形成するうえで必須の構造単位である。前記構造単位(a)に含まれるカチオン性アミノ基は、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)中に0.005当量/kg〜1.5当量/kg含有することが好ましい。
本発明で使用するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)は、公知の化合物を使用して製造することができるが、工業的に入手容易でかつ安価な原料を用いる製造方法としては、下記一般式[II]で示される1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)と2級アミン(f−2)とを反応させて得られる3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)と、後述するポリイソシアネート(G)とを反応せしめる方法が最も有用である。
Figure 2011042046
〔式中、Rは、脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキレン基、2価フェノール類の残基、又はポリオキシアルキレン基を表す。〕
前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)は、ポリウレタン樹脂に水分散性を付与するための3級アミノ基の中和塩や4級アミノ基なるカチオン性基を、ポリウレタン樹脂骨格の側鎖に導入するために用いる化合物である。
また、前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)は、その分子内に含有する3級アミノ基を、酸による中和、あるいは4級化剤による4級化によってカチオン性基を発生させるための前駆体である。
前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)は、例えば、1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)と2級アミン(f−2)とを、エポキシ基1当量に対してNH基1当量となるように配合し、無触媒で、常温下又は加熱下で開環付加反応させることにより容易に得られる。
前記一般式[II]で示される1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)としては、下記の化合物を、単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
前記Rが、脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキレン基であるものとしては、例えばエタンジオール−1,2−ジグリシジルエーテル、プロパンジオール−1,2−ジグリシジルエーテル、プロパンジオール−1,3−ジグリシジルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、ペンタンジオール−1,5−ジグリシジルエーテル、3−メチル−ペンタンジオール−1,5−ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール−ジグリシジルエーテル、ヘキサンジオール−1,6−ジグリシジルエーテル、ポリブタジエン−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン(水素添加ビスフェノールA)のジグリシジルエーテル、水素添加ジヒドロキシジフェニルメタンの異性体混合物の(水素添加ビスフェノールF)のジグリシジルエーテル等を使用することができる。
また、Rが2価フェノール類の残基であるものとしては、例えばレゾルシノール−ジグリシジルエーテル、ハイドロキノン−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)のジグリシジルエーテル、ジヒドロキシジフェニルメタンの異性体混合物(ビスフェノールF)のジグリシジルエーテル、4,4−ジヒドロキシ−3−3’−ジメチルジフェニルプロパンのジグリシジルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンのジグリシジルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルのジグリシジルエーテル、4,4−ジヒドロキシジベンゾフェノンのジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタンのジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタンのジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)−2,2−プロパンのジグリシジルエーテル、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンのジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)のジグリシジルエーテル等を使用することができる。
また、Rがポリオキシアルキレン基であるものとしては、例えばジエチレングリコール−ジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコール−ジグリシジルエーテル、更にオキシアルキレンの繰り返し単位数が3〜60のポリオキシアルキレングリコール−ジグリシジルエーテル、例えば、ポリオキシエチレングリコール−ジグリシジルエーテル及びポリオキシプロピレングリコール−ジグリシジルエーテル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体のジグリシジルエーテル、ポリオキシテトラエチレングリコール−ジグリシジルエーテル等を使用することができる。
これらの中でも、カチオン性ポリウレタン樹脂(A)の水分散性をより向上させることができることから、上記一般式[II]のRが、ポリオキシアルキレン基であるポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、特に、ポリオキシエチレングリコール−ジグリシジルエーテル、及び/又はポリオキシプロピレングリコール−ジグリシジルエーテル、及び/又はエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体のジグリシジルエーテルが好適である。
前記一般式[II]のRがポリオキシアルキレン基であるポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテルのエポキシ当量は、本発明のインクジェット受理剤の種々の機械的特性や熱特性等の物性への影響を最小限に抑制し、カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体中のカチオン濃度の設計を広範囲に行える点で、好ましくは1000g/当量以下、より好ましくは500g/当量以下、特に好ましくは300g/当量以下である。
本発明において、1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)との開環付加反応により、3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を製造するには、2級アミン(f−2)が必要である。
かかる2級アミン(f−2)としては、公知の化合物を使用できるが、反応制御の容易さの点で、分岐状又は直鎖状の脂肪族2級アミンが好ましい。
かかる2級アミンとして使用することができるものとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ペプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジイソオクチルアミン、ジノニルアミン、ジイソノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、ジ−n−ウンデシルアミン、ジ−n−ドデシルアミン、ジ−n−ペンタデシルアミン、ジ−n−オクタデシルアミン、ジ−n−ノナデシルアミン、ジ−n−エイコシルアミンなどが挙げられる。
これらの中で、3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を製造する際に揮発し難いこと、あるいは、含有する3級アミノ基の一部又は全てを酸で中和、又は4級化剤で4級化する際に立体障害を軽減できること、などの理由から、炭素数2〜18の範囲の脂肪族2級アミンが好ましく、炭素数3〜8の範囲の脂肪族2級アミンがより好ましい。
3級アミノ基含有ポリオール(f−3)が有する3級アミノ基の一部又は全てを、酸で中和、又は4級化剤で4級化することにより、3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)と反応せしめて得られるカチオン性ポリウレタン樹脂(A)に水分散性を付与することができる。
上記の3級アミノ基の一部又は全てを中和する際に使用することができる酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、アジピン酸などの有機酸類や、スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、及び、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、硼酸、亜リン酸、フッ酸等の無機酸等を使用することができる。これらの酸は単独使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記3級アミノ基の一部又は全てを4級化する際に使用することができる4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸類や、メチルクロライド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、ベンジルブロマイド、メチルヨーダイド、エチルヨーダイド、ベンジルヨーダイドなどのハロゲン化アルキル類、メタンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸メチル等のアルキル又はアリールスルホン酸メチル類、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ類などを使用することができる。
これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
本発明において、3級アミノ基の中和又は4級化に使用する酸や4級化剤の量は、特に制限はないが、本発明のインクジェット受理剤の優れた印刷画像の耐水性を発現させるために、3級アミノ基1当量に対して、好ましくは0.1当量〜3当量の範囲であり、より好ましくは0.3当量〜2.0当量の範囲である。
本発明のインクジェット受理剤においては、インクジェットインクの固着性により優れ、その結果、印刷画像の耐水性がより向上する点から、カチオン性ポリウレタン樹脂(A)は、3級アミノ基が4級化されているとより好ましい。
3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を得るための、1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)と2級アミン(f−2)との反応方法について以下に説明する。
前記1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)が有するエポキシ基と2級アミン(f−2)が有するNH基との反応比率[NH基/エポキシ基]は、好ましくは当量比で0.5/1〜1.1/1の範囲であり、より好ましくは当量比で0.9/1〜1/1の範囲である。
これらの反応は無溶剤条件下にて行うこともできるが、反応制御を容易にする目的で、あるいは粘度低下による撹拌負荷の低減や均一に反応させる目的で、有機溶剤を使用し行うこともできる。
かかる有機溶剤としては、反応を阻害しない有機溶剤であればよく、例えばケトン類、エーテル類、酢酸エステル類、炭化水素類、塩素化炭化水素類、アミド類及びニトリル類などを使用することができる。
前記ケトン類としては、例えばアセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を使用することができる。
エーテル類としては、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を使用することができる。
前記酢酸エステル類としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等が例示できる。
炭化水素類としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を使用することができる。
塩素化炭化水素類としては、例えば四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン等を使用することができる。
アミド類としては、例えばジメチルホルムアミド、ニトリル類としては、例えばN−メチルピロリドン、アセトニトリル等を使用することができる。
前記した有機溶剤のうち、低沸点を有する有機溶剤を使用する場合は、揮発による飛散を防止するために、密閉系により加圧反応をすることが好ましい。
1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)と2級アミン(f−2)とは、反応容器中に一括供給し反応させてもよく、また、1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)と2級アミン(f−2)の何れか一方を反応容器に仕込み、他方を滴下することにより反応させてもよい。
1分子中にエポキシ基を2個有する化合物(f−1)と2級アミン(f−2)との反応は、反応性が高いため通常は触媒を必要としない。しかし、2級アミン(f−2)の窒素原子が有する脂肪族などの置換基が大きく、前記化合物(f−1)との反応が、立体障害により遅くなる場合には、フェノール、酢酸、水、アルコール類などに代表されるプロトン供与性物質を触媒として使用してもよい。
また、反応温度は、好ましくは室温〜160℃の範囲であり、より好ましくは60℃〜120℃の範囲である。
また、反応時間は、特に限定しないが、通常30分〜14時間の範囲である。
また、反応終点は、赤外分光法(IR法)にて、エポキシ基に起因する842cm−1付近の吸収ピークの消失によって確認できる。
また、常法によりアミン当量(g/当量)と水酸基当量(g/当量)を求めることができる。
前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造する際に使用するポリオール(F)としては、前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)の他に、目的、用途に応じてその他のポリオール(f−4)を用いることができる。
前記ポリオール(f−4)としては、好ましくは数平均分子量200〜10,000の範囲、より好ましくは数平均分子量300〜5,000の範囲のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、炭酸と脂肪族系多価アルコールとをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリチオエーテルポリオール、及びポリブタジエングリコールポリオール等の各種ポリオールが挙げられ、これらを単独使用してもよく2種以上を併用してもよい。
上記ポリオール(f−4)の中でも、工業的に入手が容易なポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールについて下記に代表的化合物を例示する。
前記ポリエステルポリオールとしては、低分子量ポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるものを使用することができる。
前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール(数平均分子量300〜6000の範囲)、ポリプロピレングリコール(数平均分子量300〜6000の範囲)、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(数平均分子量300〜6000の範囲);ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキサイド付加体;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリストール、ソルビトール等を使用することができる。
前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用できるポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらのポリカルボン酸の無水物あるいはエステル形成誘導体等を使用することができる。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル、及びこれらの共重合ポリエステル等を使用することもできる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、後述する活性水素原子を少なくとも2個有する化合物を開始剤として使用し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等の化合物の1種以上を付加重合することによって得られるものを使用することができる。
前記活性水素原子を少なくとも2個有する化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール;アクニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロ安息香酸、ヒドロキシフタール酸、1,2,3−プロパントリチオール等を使用することができる。
また、炭酸と脂肪族系多価アルコールとをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のようなジオール類と、ジメチルカーボネート等によって代表されるようなジアルキルカーボネート或いはエチレンカーボネート等によって代表されるような環式カーボネートとの反応生成物などが挙げられる。
本発明のインクジェット受理剤には、前記したポリウレタン樹脂皮膜の耐水性、インクジェットインクの固着性及び耐水性に加えて、宣伝広告用バナー等では屋外で使用されるため耐光性、耐候性が要求され、一方、写真、絵画等の印刷物では長期間の保存耐久性が要求される。
この場合、前記その他のポリオール(f−4)のなかでも、高耐久性のポリオールを使用することが好ましいことから、炭酸と脂肪族系多価アルコールとをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオールを使用することにより、カチオン性ポリウレタン樹脂(A)に、ポリカーボネートポリオールに由来する構造単位を導入することが好ましい。
本発明のカチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造する際に使用することができるポリイソシアネート(G)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等の、水性ポリウレタン樹脂の製造において用いられる公知慣用の有機ポリイソシアネート等があげられる。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート(2,4−TDI)、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート(2,6−TDI)、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアネート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1−イソプ・ロピル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、
ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、1−メチル−ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−2,7−ジイソシアネート、1,1−ジナフチル−2,2’−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3−3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4−MDI)、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート(2,2−MDI)、ジフェニルメタン−2,4−ジイソシアネート(2,4−MDI)等を使用することができる。
また、脂環式ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4H−MDI)、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,4−H−MDI)、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,2−H−MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等及びこれらの3量体等を使用することができる。
比較的安価なこと、原料を入手しやすいことから、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート(2,4−TDI)、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート(2,6−TDI)、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアネート等のXDI、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4−MDI)、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート(2,2−MDI)、ジフェニルメタン−2,4−ジイソシアネート(2,4−MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4−H−MDI)、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,4−H−MDI)、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,2−HDI)が好適である。
本発明のインクジェット受理剤には、ポリウレタン樹脂皮膜の耐水性、インクジェットインクの固着性及び耐水性に加えて、宣伝広告用バナー等では屋外で使用されるため耐光性、耐候性が要求され、一方、写真、絵画等の印刷物では長期間の保存耐久性が要求される。
その場合、耐熱変色、耐光変色による表面外観の劣化を防止するために、ポリイソシアネートとして、一般に無黄変型といわれる脂環式ポリイソシアネート及び/又は脂肪族ポリイソシアネートを使用することにより、カチオン性ポリウレタン樹脂(A)にかかる脂環式ポリイソシアネート及び/又は脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造単位を導入することが好ましい。
また、前記ポリイソシアネート(G)としては、原料を入手しやすさを考慮すると、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4−H−MDI)、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,4−H−MDI)、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,2−HDI)を使用することが特に好ましい。
カチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造する際には、種々の機械的特性や熱特性等の物性を有するポリウレタン樹脂の設計を行う目的で、ポリアミンを鎖伸長剤として使用してもよい。
かかる鎖伸長剤として使用可能なポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有するジアミン類;
ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド類を使用することができる。
カチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造する際には、前記ポリアミンの他に、ポリウレタン樹脂の種々の機械的特性や熱特性等の物性を調整する目的で、その他の活性水素原子含有の鎖伸長剤を使用することもできる。
前記その他の活性水素含有の鎖伸長剤として使用することができるものは、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、及び水が挙げられ、本発明のカチオン性ポリウレタン樹脂水分散体の保存安定性を低下させない範囲内においてこれらを単独もしくは併用しても構わない。
前記鎖伸長剤としては、特に、ヒドラジンを使用することが、インクジェット受理剤のブロッキングを防止し、良好な保存安定性を付与するうえで非常に好ましい。
ここで、前記ブロッキングとは、複数枚のインクジェット記録媒体を重ねた状態で、常温または高温環境下に長期間保存等された場合に、一方のインクジェット記録媒体のインク受理層と、他方のインクジェット記録媒体の基材層とが密着し剥離できなくなることを指す。前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)としてヒドラジンを用いて鎖伸長したものを含むインクジェット受理剤であれば、優れたインク吸収性等を低下することなく、ブロッキングをも引き起こしにくいインク受理層を形成することが可能となる。
前記鎖伸長剤は、前記ポリオール(F)と前記ポリイソシアネート(G)とを反応させることによって得られたウレタンプレポリマーと反応させることが好ましい。
本発明で使用するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造し、該カチオン性ポリウレタン樹脂(A)を水系媒体(E)中に分散する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
〔方法1〕前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)とを、一括又は分割して仕込み、溶剤中又は無溶剤下で反応させることによりポリウレタン樹脂を製造し、得られたポリウレタン樹脂中の3級アミノ基の一部又は全てを酸で中和、及び/又は4級化剤で4級化した後、水を投入して水分散せしめる方法。
〔方法2〕前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)とを、一括又は分割して仕込み、溶剤中又は無溶剤下で反応させることにより末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造した後、ヒドラジン等の前記鎖伸長剤を用いて鎖伸長することによりポリウレタン樹脂を製造し、得られたポリウレタン樹脂中の3級アミノ基の一部又は全てを酸で中和、及び/又は4級化剤で4級化した後、水を投入して水分散せしめる方法。
〔方法3〕前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)とを、一括又は分割して仕込み、溶剤中又は無溶剤下で反応させることにより末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、得られたウレタンプレポリマー中の3級アミノ基の一部又は全てを酸で中和、及び/又は4級化剤で4級化した後、水を投入して水分散せしめ、その後に、ヒドラジン等の前記鎖伸長剤と反応する方法。
〔方法4〕前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)とを、一括又は分割してこれらを仕込み、溶剤中又は無溶剤下で反応させることにより末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、3級アミノ基の一部又は全てを酸で中和、及び/又は4級化剤で4級化した後、水系媒体中にホモジナイザー等の機械を用いて強制的に乳化させて水分散せしめ、その後に、ヒドラジン等の前記鎖伸長剤と反応する方法。
〔方法5〕前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)と、ヒドラジン等の鎖伸長剤とを、一括して仕込み、溶剤中又は無溶剤下で反応させることによりポリウレタン樹脂を製造し、得られたポリウレタン樹脂中の3級アミノ基の一部又は全てを酸で中和、及び/又は4級化剤で4級化した後、水を投入して水分散せしめる方法。
尚、上記〔方法1〕〜〔方法5〕の製造方法において、乳化剤を必要に応じて用いてもよい。
前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)水分散体を製造する際に使用可能な乳化剤としては、特に限定しないが、前記カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体の優れた保存安定性を維持する観点から、基本的にノニオン性又はカチオン性であることが好ましい。例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等を使用することが好ましい。なお、前記カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体への乳化剤の混和安定性が保たれる範囲内であれば、アニオン性又は両性の乳化剤を併用しても構わない。
前記方法によりカチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造する際には、該樹脂の水分散性を助ける助剤として、親水基となりうる基を有する化合物(以下、親水基含有化合物という。)を使用してもよい。
かかる親水基含有化合物としては、アニオン性基含有化合物、カチオン性基含有化合物、両性基含有化合物、又はノニオン性基含有化合物を用いることができるが、カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体の優れた保存安定性を維持する観点から、ノニオン性基含有化合物が好ましい。
前記ノニオン性基含有化合物としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつエチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、及びエチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有する化合物を使用することができる。
例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30質量%以上含有し、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素原子を含有する数平均分子量300〜20,000のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどの化合物を使用することが可能である。
次に、カチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造する際の、原料仕込み比率(当量比)について説明する。
前記3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)とを反応させる場合、イソシアネート基と活性水素原子含有基の当量比〔(G)が有するイソシアネート基の当量〕/〔(F)が有する水酸基の当量〕を、0.9/1〜1.1/1の範囲に調整することが好ましい。
前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)を製造する際に、前記鎖伸長剤として例えばヒドラジンを使用する場合、イソシアネート基と活性水素原子含有基の当量比〔(G)のイソシアネートの当量〕/〔(F)が有する水酸基の当量+ヒドラジンが有するアミノ基の当量〕を、0.9/1〜1.1/1の範囲に調整することが好ましい。
また、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)は、ウレタンプレポリマーを製造した後に、前記鎖伸長剤と反応させることにより製造してもよい。かかる場合、イソシアネート基と活性水素原子含有基との当量比〔(G)が有するイソシアネート基の当量〕/〔(F)が有する水酸基の当量〕を、1.1/1〜3/1の範囲に調整することが好ましく、1.2/1〜2/1の範囲に調整することがより好ましい。この場合、鎖伸長剤の有する反応性基と過剰のイソシアネート基との当量比は、好ましくは1.1/1〜0.9/1の範囲である。
かかる反応において、反応温度は、好ましくは20℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは30℃〜100℃の範囲である。
また、3級アミノ基含有ポリオール(f−3)は、優れた印刷画像の耐水性を発揮させるために、3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)、又は、3級アミノ基含有ポリオール(f−3)を含むポリオール(F)とポリイソシアネート(G)と前記鎖伸長剤との合計量に対して、好ましくは0.005当量/kg〜1.5当量/kgの範囲であり、より好ましくは0.03当量/kg〜1.0当量/kgであり、さらにより好ましくは0.15当量/kg〜0.5当量/kgの範囲である。
前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)は、無溶剤条件下で製造することもできるが、反応制御を容易にする目的で、又は粘度低下による撹拌負荷の低減や均一に反応させる目的で、有機溶剤下で製造することも可能である。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン等の塩素化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等を使用することができる。
前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)は、無触媒下で製造することも可能であるが、公知の触媒、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジフタレート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジアセチルアセテート、ジブチル錫ジバーサテート等の錫化合物、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネート等のチタネート化合物、その他、3級アミン類、4級アンモニウム塩等を使用してもよい。
上記のようにして得られるカチオン性ポリウレタン樹脂水分散体中に含まれる有機溶剤は、必要により、反応の途中又は反応終了後に、例えば減圧加熱などの方法により除去することが好ましい。
次に、本発明で使用するジルコニウム化合物(B)について説明する。
前記ジルコニウム化合物(B)は、本発明のインクジェット受理剤の経時的なインク吸収性の低下を防止するうえで必須の成分である。ここで、前記ジルコニウム化合物(B)の代わりにカルボジイミド系架橋剤やエポキシ系架橋剤等を用いても、良好なインク吸収性を長期に渡り維持することは困難である。
一方、前記ジルコニウム化合物(B)を使用しても、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)を使用しない、または前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)以外のその他のポリウレタン樹脂を組み合わせ使用した場合には、インク受理層の濁りに起因した透明性や耐水性の低下等を引き起こし、高光沢で鮮明な印刷画像を形成できない場合がある。
前記ジルコニウム化合物(B)としては、例えば酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、ジルコニウム酸、ジルコニウム酸塩、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート等を使用することができる。
なかでも、酢酸ジルコニウムを使用することが、経時のインク吸収性の低下を防止でき、かつ、インク受理層の変色や濁りに起因した透明性の低下による印刷画像の鮮明性低下等を防止する観点から特に好ましい。
前記ジルコニウム化合物(B)は、前記カチオン性ウレタン樹脂(A)と前記ジルコニウム化合物(B)と前記ポリビニルアルコール(C)と前記水溶性多価金属塩(D)との合計量に対して0.1質量%〜6.0質量%の範囲で使用することが、インク受理層の透明性の低下や、ジルコニウム化合物(B)のインク受理層表面への析出に起因した印刷画像の鮮明性低下を防止する観点から好ましく、0.5〜4.0質量%の範囲であることがより好ましい。
次に、本発明で使用するポリビニルアルコール(C)について説明する。
ポリビニルアルコールは水溶性樹脂の一種であり、インクジェット受理剤の業界では幅広く使用されている。その理由としては、該樹脂が透明性、皮膜強度、顔料に対するバインダー力などの、インクジェット受理剤に必要な物性を有しており、かつ入手が容易で、変性物等の種類が豊富であることが挙げられる。
ポリビニルアルコールは一般に、酢酸ビニルポリマーのアセチル基部位を、水酸化ナトリウム等の強塩基で加水分解し水酸基にすること(鹸化)によって得られる。ポリビニルアルコールとしては、種々の鹸化の割合(鹸化度)のものや種々の重合度を有するものが市販されている。本発明では、目的とする顔料インクに対する印刷性、吸収性に優れ、顔料インク、染料インクのいずれにおいても印刷画像の耐水性が良好であるインクジェット受理層を与える、インクジェット受理剤を提供する観点から、70モル%〜90モル%の範囲の鹸化度を有するポリビニルアルコールを使用することが好ましく、86モル%〜89モル%の範囲の鹸化度を有するポリビニルアルコールを使用することがより好ましい。なお、上記鹸化度とは、ポリビニルアルコールが有する酢酸基と水酸基との合計数に対する、前記水酸基の数の割合を百分率で表したものである。
前記ポリビニルアルコール(C)としては、いかなる重合度のものも用いることができるが、インクの吸収性、印刷画像の発色濃度、及び耐水性を向上させる観点から、500〜4000の範囲の重合度を有するものを使用することが好ましい。
前記鹸化度が70モル%〜90モル%のポリビニルアルコールとしては、具体的にクラレポバールPVA224、PVA235(以上、(株)クラレ製)、ゴーセノール GL−05、GH−17、GH−20、GH−23(以上、日本合成化学工業(株)製)などが使用可能である。
また、前記ポリビニルアルコール(C)としては、各種の変性基を有する変性ポリビニルアルコールを使用してもよい。変性基の例としては、例えばアセトアセチル基、シリル基、第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、ケトン基、メルカプト基、アミノ基、エチレン基等が挙げられる。これらは、酢酸ビニルと、前記変性基を有するモノマーとを共重合することによって、ポリビニルアルコール中に導入することができる。
また、前記ポリビニルアルコール(C)以外の水溶性樹脂としては、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリアルキレンオキサイド、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンイミン、ポリアミド、各種の第4級アンモニウム塩基含有水溶性樹脂、及びこれらの変性物や、エピクロルヒドリンポリアミド樹脂、アミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン塩含有樹脂、ポリビニルアミン塩含有樹脂、ポリビニルアミジン樹脂、ポリアリルアミン塩含有樹脂、ポリアミンスルホン塩含有樹脂、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物、カチオン変性ポリビニルアルコール、カチオン基含有水溶性アクリル樹脂、カチオン変性デンプン、キトサンの中和塩等を使用することができる。なかでもエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を使用することが、印刷画像の発色濃度の向上とインク固着力が強固になることによる耐水性向上に効果があることからより好ましく、質量割合としては前記カチオン性水性ウレタン樹脂(A)100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
次に、水溶性多価金属塩(D)について説明する。
前記水溶性多価金属塩(D)は、水に対する溶解性を有する多価金属塩であり、例えば20℃の水を用いて多価金属塩の飽和水溶液を調製した場合、飽和水溶液100g中に含まれる多価金属塩が1g以上になるものをいう。水溶性多価金属塩(D)としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、銅(II)塩、亜鉛塩等の2価の金属塩や、アルミニウム塩、クロム塩等の3価の金属塩を用いることができる。
本発明のインクジェット受理剤に、水溶性多価金属塩(D)を使用することにより、以下のような効果が得られる。まず第一に、顔料インクの吸収性を向上させる効果がある。特に、インク量の多い画像部分での吸収性向上に効果がある。
第二に、印刷画像の耐水性を向上させる効果がある。水溶性多価金属塩は、多価の陽イオンである金属イオンを含有しており、インク中の色材である染料や顔料分子中のアニオン基と結合して、色材の水への溶解性や分散性を低下させることができるため、印刷画像の耐水性が向上するものと考えられる。
第三に、印刷時のにじみを防止する効果がある。前述の通り、水溶性多価金属塩中の金属イオンがインク中の色材と結合し、インクジェット記録媒体上に吹き付けられたインク滴の水平方向への移動を抑制するため、にじみ防止効果があるものと考えられる。
第四に、前述のポストキュアを緩和する効果がある。一般に、各種の塩類には水素結合を抑制する効果があるとされており、このため、水素結合に由来する現象であるポストキュアを緩和できるものと考えられる。
水溶性多価金属塩(D)のうち、顔料インクの吸収性向上効果、ポストキュアの緩和効果が高い点から、水溶性マグネシウム塩を使用することが好ましく、例えば塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム等を単独または2種以上組み合わせ使用できる。なかでも、前記水溶性多価金属塩(D)としては、水溶性多価金属塩(D)のインク受理層表面への析出による印刷画像の鮮明性低下を防止する観点から、酢酸マグネシウムを使用することが特に好ましい。
また、本発明のインクジェット受理剤を構成する水系媒体(E)とは、水、及び水と混和する有機溶剤のことである。水と混和する有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等を使用することができる。本発明においては、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
本発明のインクジェット受理剤は、例えば、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)及び水系媒体(E)からなる水分散体、ジルコニウム化合物(B)、ポリビニルアルコール(C)、水溶性多価金属塩(D)、及び必要によりその他の成分を混合することにより製造することができる。かかる製造方法としては、例えば前記ポリビニルアルコール(C)と水溶性多価金属塩(D)とを、あらかじめ適当な水系媒体に分散あるいは溶解させたものと、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)の水分散体とを各種の攪拌機や分散機を用いて混合し、次いで前記混合物と前記ジルコニウム化合物(B)とを混合する方法が簡便である。また、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)の水分散体、ポリビニルアルコール(C)、水溶性多価金属塩(D)、及びその他の成分を、水系媒体中へ任意の順序で添加し混合したものと、ジルコニウム化合物(B)とを混合する方法で製造することも可能である。前記ジルコニウム化合物(B)は、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)やポリビニルアルコール(C)と架橋反応する場合があるため、ジルコニウム化合物(B)は、その他の成分を混合したものをインクジェット受理剤として使用する直前に、別途混合し使用することが好ましい。
前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)及び水系媒体(E)からなる水分散体、ポリビニルアルコール(C)、水溶性多価金属塩(D)、及びその他の成分を混合する際に使用できる攪拌機としては、例えばタービン翼、プロペラ翼、ファウドラー翼、パドル翼、アンカー翼、マックスブレンド翼、リボン翼、ディスパー翼等を有する攪拌機を使用することができる。また、分散機としては、例えば各種ホモジナイザー、ビーズミル、サンドミル、ラインミル、ソノレーター、コロイドミル等を使用することができる。
本発明のインクジェット受理剤は、前記ポリビニルアルコール(C)が、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して25質量部〜67質量部含まれ、かつ前記水溶性多価金属塩(D)が、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して7質量部〜10質量部含むものが好ましく、前記ポリビニルアルコール(C)が、40〜50質量部含まれ、かつ前記水溶性多価金属塩(D)が8〜9質量部含まれるものがより好ましい。かかる配合割合のインクジェット受理剤は、顔料インクに対する印刷性、吸収性に優れ、顔料インク、染料インクのいずれにおいても印刷画像の良好な耐水性を有するインクジェット受理層を形成可能である。
本発明のインクジェット受理剤における、水系媒体(E)と、固形分[すなわちカチオン性ポリウレタン樹脂(A)、ジルコニウム化合物(B)、ポリビニルアルコール(C)及び水溶性多価金属塩(D)]との比率は特に限定されないが、インクジェット受理剤の粘度、保存安定性を考慮して決定する必要がある。一般に水溶性樹脂を水系媒体に溶解すると、その粘度は水溶性樹脂の濃度に対して指数関数的に上昇する。また、高濃度であるほど保存安定性は悪化する傾向にある。よって、インクジェット受理剤の粘度が10万mPa・s以下となるよう、水系媒体と固形分の比率を調整することが好ましい。また、本発明のインクジェット受理剤を各種基材に塗工、又は含浸する際に用いる塗工装置や含浸加工装置に適した粘度になるよう、調整することも必要である。具体的には、前記比率は、5〜30質量%の範囲であることが好ましい。
本発明のインクジェット受理剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、例えば、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系の各種界面活性剤や、顔料の分散剤、シリコーン系、フッ素系、アセチレンジオール系等の各種レベリング剤、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、無機顔料、樹脂ビーズ等のブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる。
これら添加剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定しないが、インクジェット受理剤中の固形分の全量に対して0.01〜5質量%の範囲であることが好ましい。
また、本発明のインクジェット受理剤は、その受理層表面に光沢や透明性を保持したい用途と、その逆に隠蔽性を発現したい用途ではその使用方法は異なるが、その目的と用途に応じてシリカ、クレー、アルミナ、炭酸カルシウム等の各種多孔質顔料を含んでいてもよい。前記多孔質顔料としては、インク吸収性が良好で、工業的に入手が容易で、且つ本発明を構成するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)との相溶性が良好なシリカ、アルミナを使用することが特に好ましい。
前記多孔質顔料を使用する場合には、インクジェット受理剤中の全固形分に対して3質量%〜70質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、本発明のインクジェット受理剤は、本発明の効果を損なわない範囲内で、水系媒体に分散可能な、公知の樹脂、例えば酢酸ビニル系、エチレン酢ビ系、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系、スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、アクリル・ブタジエン系等の合成ゴム等を含んでいても良い。
次に、本発明のインクジェット記録媒体について説明する。
本発明のインクジェット記録媒体は、前記インクジェット受理剤を、各種基材に塗工又は含浸した後に、インクジェット受理剤中に含まれる水系媒体を揮発させ、基材上にインクジェット受理層を形成することにより、インクの吸収性、印刷画像の耐水性に優れるインクジェット記録媒体を製造することができる。
前記基材としては、例えば、紙、板紙、レジンコート紙、各種フィルム、合成紙、繊維、不織布、スパンボンド、人工皮革や天然皮革のように織物や不織布に樹脂が含浸及び/または塗工されたもの等を使用することができる。
前記インクジェット受理剤を前記各種基材上に塗工又は含浸する方法としては、公知慣用の方法を用いることができ、特に限定しないが、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター等の塗工機を用いる方法が簡便である。
本発明のインクジェット受理剤は、基材上に塗工又は含浸する際にクラックを生じさせにくい。したがって、前記基材上にインクジェット受理剤を塗工又は含浸する際には、皮膜のクラックを防止する為の工程、例えば低温条件下での乾燥工程や塗工を複数回繰り返すなどの工程が不要である。
本発明のインクジェット受理剤を基材上に塗工した後、水系媒体を揮発させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、乾燥機を用いて乾燥させる方法が一般的である。乾燥温度としては、水系媒体を揮発させることが可能で、かつ基材に対して悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよい。
前記製造方法によって得られた本発明のインクジェット記録媒体は、実用レベルのインク吸収性等の特性を維持し、かつ良好な生産効率を維持するうえで、3μm〜30μmの範囲の厚さのインクジェット受理層を有するものが好ましく、インク吸収性と製造コストを勘案すると5μm〜20μmの範囲であることが特に好ましい。
本発明により得られたインクジェット記録媒体は、顔料インクのインク吸収性、印刷画像の耐水性に優れることから、水性顔料インク用のインクジェット記録媒体に好適に使用することができる。また、ワイドフォーマットプリンター用のインクジェット記録媒体として特に有用である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
〔合成例1〕3級アミノ基含有ポリオール(f−3)−Iの合成
温度計、撹拌装置、還流冷却管及び滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリプロピレングリコール−ジグリシジルエーテル(エポキシ当量201g/当量。)590質量部を仕込んだ後、フラスコ内を窒素置換した。次いで、前記フラスコ内の温度が70℃になるまでオイルバスを用いて加熱した後、滴下装置を使用してジ−n−ブチルアミン380質量部を30分間で滴下し、滴下終了後、90℃で10時間反応させた。反応終了後、赤外分光光度計(FT/IR−460Plus、日本分光株式会社製)を用いて、反応生成物のエポキシ基に起因する842cm−1付近の吸収ピークが消失していることを確認し、3級アミノ基含有ポリオール(f−3)−I(アミン当量339g/当量、水酸基当量339g/当量。)を調製した。
〔合成例2〕 カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体(1)の調製
温度計、撹拌装置、還流冷却管及び滴下装置を備えた4ツ口フラスコ内で、「ニッポラン981」〔日本ポリウレタン工業株式会社製、1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール、水酸基当量500g/当量。〕376質量部、合成例1で得られた3級アミノ基含有ポリオール(f−3)−I57質量部を、酢酸エチル389質量部に溶解した。
次いで、イソホロンジイソシアネート150質量部とオクチル酸第一錫0.2質量部を加え、75℃で5時間反応させ、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を調製した。
次いで、50℃に調整した前記ウレタンプレポリマー溶液に80%ヒドラジン水和物12質量部を加え、鎖伸長反応を1時間行った後、ジメチル硫酸20質量部を添加し、55℃で1時間保持した後、イソプロパノールを519質量部添加し、40℃に冷却した。
次いで、イオン交換水を2538質量部添加し、十分に攪拌することにより水分散体を調製した。得られた水分散体を減圧蒸留することにより、不揮発分が20質量%で、pHが7.0であるカチオン性ポリウレタン樹脂水分散体(1)を調製した。
〔合成例3〕 カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体(2)の調製
温度計、撹拌装置、還流冷却管及び滴下装置を備えた4ツ口フラスコ内で、「ニッポラン980R」〔日本ポリウレタン工業株式会社製、1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール、水酸基当量986g/当量。〕863質量部を、メチルエチルケトン260質量部に溶解した。
次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート176質量部とオクチル酸第一錫0.2質量部を加え、75℃で2時間反応させた後、合成例1で得られた3級アミノ基含有ポリオール(f−3)−Iを161質量部と、メチルエチルケトンを540質量部添加し、15時間反応させた後、60℃に冷却し、さらにメタノールを1.3質量部添加し、1時間反応させた。
次いで、ジメチル硫酸58質量部を添加し、60℃で3時間保持した後、メチルエチルケトンを400質量部と、イソプロパノールを600質量部、イオン交換水を2942質量部添加し、十分に攪拌することにより水分散体を調製した。得られた水分散体を減圧蒸留することにより、不揮発分が40質量%で、pHが6.6であるカチオン性ポリウレタン樹脂水分散体(2)を調製した。
〔実施例1〕
前記したカチオン性ポリウレタン樹脂水分散体(1)と、PVA235〔株式会社クラレ製、ケン化度87モル%〜89モル%、重合度3500のポリビニルアルコール〕の10質量%水溶液と、酢酸マグネシウムの4水和物の50質量%水溶液、及びDK−6830〔星光PMC株式会社製、エピクロルヒドリンポリアミド樹脂〕の25質量%水溶液を、[水分散体(I):PVA235の10質量%水溶液:酢酸マグネシウムの4水和物の50質量%水溶液:DK−6830の25質量%水溶液]の質量割合が、33.7:59.0:1.7:5.6となるように、プロペラ翼を取り付けた攪拌機にて十分に混合し、最後に水で希釈することにより、不揮発分が16.5質量%のインクジェット受理剤用組成物(x)を調製した。
その後、前記のインクジェット受理剤用組成物(x)とジルコゾールZA−20[第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウムの20質量%水溶液]とを、[インクジェット受理剤用組成物(x)の固形分/ZA−20の固形分]の質量割合が100:1となるようにプロペラ翼を取り付けた撹拌機にて十分に混合することによりインクジェット受理剤(x−1)を調製した。
〔実施例2〜8〕インクジェット受理剤(x−2〜x−8)の調製)
添加剤の種類と添加量を下記表1及び2に記載の配合に変更すること以外は実施例1に記載の方法と同様の方法でインクジェット受理剤(x−2〜x−8)を調製した。
〔実施例9〕
前記酢酸マグネシウムの4水和物の50質量%水溶液の代わりに塩化マグネシウムの6水和物の53.5質量%水溶液を使用し、[水分散体(1):PVA235の10質量%水溶液:塩化マグネシウムの6水和物の53.5質量%水溶液:DK−6830の25質量%水溶液]の質量割合を、33.7:59.1:1.6:5.6に変更したこと以外は実施例1に記載の方法と同様の方法でインクジェット受理剤用組成物(y)を調製した。
その後、前記のインクジェット受理剤用組成物(y)とジルコゾールZA−20[第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウムの20質量%水溶液]を、[インクジェット受理剤(y)の固形分/ZA−20の固形分]の質量割合が100:3(固形分比)となるようにプロペラ翼を取り付けた撹拌機にて十分に混合することによりインクジェット受理剤(y−1)を調製した。
〔実施例10〕
前記カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体(1)の代わりに、前記カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体(2)を使用し、[水分散体(2):PVA235の10質量%水溶液:酢酸マグネシウムの4水和物の50質量%水溶液:DK−6830の25質量%水溶液]の質量割合を、24.1:67.5:1.9:6.4としたこと以外は実施例1に記載の方法と同様の方法でインクジェット受理剤用組成物(z)を調製した。
その後、前記のインクジェット受理剤(z)とジルコゾールZA−20[第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウムの20質量%水溶液]を、[インクジェット受理剤(z)の固形分/ZA−20の固形分]の質量割合が100:3(固形分比)となるようにプロペラ翼を取り付けた撹拌機にて十分に混合することによりインクジェット受理剤(z−1)を調製した。
〔比較例1〜4〕
添加剤の種類と添加量を下記表3に記載の配合に変更すること以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法でインクジェット受理剤(x’−1〜x’−4)を調製した。
〔比較例5〕
架橋剤を使用しないこと以外は実施例1と同様の方法でインクジェット受理剤(x’−5)を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製方法]
実施例1〜10、及び比較例1〜5で得られたインクジェット受理剤を、易接着処理された透明なポリエチレンテレフタレートのフィルム(東洋紡績株式会社製、A−4100)に、ワイヤーバーの40番で塗工し、120℃で3分間乾燥させることにより、厚さ12μmのインク受理層を有するインクジェット記録媒体を作製した。
[初期のインク吸収性の評価方法]
ワイドフォーマットインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、PX−7000)を使用し、前記インクジェット記録媒体に下記9色のインクを、下記に例示した順に重ねて印刷した。各インクを用いて印刷する毎に、形成された印刷画像のインク吸収の度合いを目視で観察し評価した。
[9色のインクの説明]
・C100%インク
・Y100%インク
・M100%インク
・Bk100%インク
・C100%とM100%とからなる合計200%のインク
・M100%とY100%とからなる合計200%のインク
・Y100%とC100%とからなる合計200%のインク
・C100%とM100%とY100%とからなる合計300%のインク
・C100%とM100%とY100%とK100%とからなる合計400%のインク
◎ :前記「合計400%のインク」を用いて形成された印刷画像に色むらやにじみ、クラック等が一切発生しておらず、均一な印刷画像を形成した。
○ :前記「合計300%のインク」を用いて形成された印刷画像には色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったものの、続けて、前記印刷画像上に重ねて、前記「合計400%のインク」を用いて印刷し得られた印刷画像には、若干のにじみや色むらが発生した。
○△ :前記「C100%とM100%とからなる合計200%のインク」、「M100%とY100%とからなる合計200%のインク」、及び、「Y100%とC100%とからなる合計200%のインク」を用い印刷して形成された印刷画像には、色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったが、続けて前記印刷画像上に重ねて、前記「合計300%のインク」を用いて印刷して得られた印刷画像には、にじみや色むらが発生した。
△ :前記「C100%インク」、「Y100%インク」、「M100%インク」及び「Bk100%インク」を用いて形成された印刷画像には色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったものの、続けて前記印刷画像上に重ねて、前記「合計200%のインク」を用いて印刷して得られた印刷画像には、にじみや色むらが発生した。
× :前記「C100%インク」「Y100%インク」「M100%インク」及び「Bk100%インク」のいずれのインクを用いて印刷した場合も、得られた印刷画像ににじみや色むら、クラックの発生が見られた。
[耐熱試験後のインク吸収性の評価方法]
インクジェット記録媒体を同一の向きに10枚重ねたものを、55℃の熱風乾燥機内に5日間保管した。その後、前記10枚のうち1枚のインクジェット記録媒体を選択し、27℃、65%RHの条件下で、ワイドフォーマットインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、PX−7000)を用いて、前記インクジェット記録媒体に下記9色のインクを、下記に例示した順に、重ねて印刷した。各インクを用いて印刷する毎に、形成された印刷画像のインク吸収の度合いを目視で観察し評価した。
[9色のインクの説明]
・C100%インク
・Y100%インク
・M100%インク
・Bk100%インク
・C100%とM100%とからなる合計200%のインク
・M100%とY100%とからなる合計200%のインク
・Y100%とC100%とからなる合計200%のインク
・C100%とM100%とY100%とからなる合計300%のインク
・C100%とM100%とY100%とK100%とからなる合計400%のインク
◎ :前記「合計400%のインク」を用いて形成された印刷画像に色むらやにじみ、クラック等が一切発生しておらず、均一な印刷画像を形成した。
○ :前記「合計300%のインク」を用いて形成された印刷画像には色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったものの、続けて、前記印刷画像上に重ねて、前記「合計400%のインク」を用いて印刷し得られた印刷画像には、若干のにじみや色むらが発生した。
○△ :前記「C100%とM100%とからなる合計200%のインク」、「M100%とY100%とからなる合計200%のインク」、及び、「Y100%とC100%とからなる合計200%のインク」を用い印刷して形成された印刷画像には、色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったが、続けて前記印刷画像上に重ねて、前記「合計300%のインク」を用いて印刷して得られた印刷画像には、にじみや色むらが発生した。
△ :前記「C100%インク」、「Y100%インク」、「M100%インク」及び「Bk100%インク」を用いて形成された印刷画像には色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったものの、続けて前記印刷画像上に重ねて、前記「合計200%のインク」を用いて印刷して得られた印刷画像には、にじみや色むらが発生した。
× :前記「C100%インク」「Y100%インク」「M100%インク」及び「Bk100%インク」のいずれのインクを用いて印刷した場合も、得られた印刷画像ににじみや色むら、クラックの発生が見られた。
[インク受理層の透明性の評価方法]
前記インクジェット記録媒体のインク受理層の透明性を、インク受理層の濁りの程度によって評価した。濁りの測定にはヘーズメーターNDH−300A(日本電色工業(株)製)を使用した。前記測定値が、概ね10以下であれば印刷画像の鮮明性を損なわない範囲であるといえる。
Figure 2011042046
Figure 2011042046
表1及び2中の略称等について以下に説明する。
・ジルコゾールZA−20:第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウム、20質量%水溶液
・ジルコゾールZC−20:第一稀元素化学工業(株)製、オキシ塩化ジルコニウム、20質量%水溶液
・ジルコゾールZN:第一稀元素化学工業(株)製、硝酸ジルコニウム、25質量%水溶液
・硫酸ジルコニウム:第一稀元素化学工業(株)製、硫酸ジルコニウム、18質量%水溶液
・「ジルコニウム化合物の含有割合(質量%)」は、前記カチオン性ウレタン樹脂(A)と前記ジルコニウム化合物(B)と前記ポリビニルアルコール(C)と前記水溶性多価金属塩(D)との合計量に対するジルコニウム化合物(B)の質量割合を示す。
Figure 2011042046
表3中の略称等について以下に説明する。
・CR−5L:DIC株式会社製、エポキシ系架橋剤(ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル99質量%以上)
・ハイドラン アシスター CS−7:DIC株式会社製、カルボジイミド系架橋剤(多価カルボジイミド40質量%の水分散体)
・バーノック DNW−6500:DIC株式会社製、ポリイソシアネート系架橋剤(変性ポリイソシアネート99質量%以上)
・アクアネート 210:DIC株式会社製、ポリイソシアネート系架橋剤(変性ポリイソシアネート99質量%以上)
・「架橋剤の含有割合(質量%)」は、前記カチオン性ウレタン樹脂(A)と前記ジルコニウム化合物(B)と前記ポリビニルアルコール(C)と前記水溶性多価金属塩(D)との合計量に対する架橋剤の質量割合を示す。

Claims (8)

  1. 分子内に下記一般式〔I〕で示される構造単位(a)を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂(A)と、ジルコニウム化合物(B)と、ポリビニルアルコール(C)と、水溶性多価金属塩(D)と、水系媒体(E)とを含有してなることを特徴とするインクジェット受理剤。
    Figure 2011042046
    〔式中、R1は、脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキレン基、2価フェノール類の残基、又はポリオキシアルキレン基を、R及びRは、互いに独立して脂肪族環式構造を含んでいてもよいアルキル基を、Rは、水素原子又は4級化反応により導入された4級化剤の残基を、Xはアニオン性の対イオンを表す。〕
  2. 前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)が、エポキシ基を2個有する化合物(f−1)と2級アミン(f−2)とを反応させて得られる3級アミノ基含有ポリオール(f−3)及び炭酸と脂肪族系多価アルコールとをエステル化反応させて得られるポリオール、ならびに、脂環式ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートを反応させることによってカチオン性ウレタンプレポリマー(a1)を得、次いで、前記カチオン性ウレタンプレポリマー(a1)及び鎖伸長剤を反応させることによって得られるものである、請求項1に記載のインクジェット受理剤。
  3. 前記ジルコニウム化合物(B)が、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(A)と前記ジルコニウム化合物(B)と前記ポリビニルアルコール(C)と前記水溶性多価金属塩(D)との合計量に対して0.1質量%〜6質量%の範囲で含まれる、請求項1に記載のインクジェット受理剤。
  4. 前記ジルコニウム化合物(B)が酢酸ジルコニウムである、請求項1に記載のインクジェット受理剤。
  5. 前記ポリビニルアルコール(C)が、70モル%〜90モル%の範囲の鹸化度を有するものである、請求項1に記載のインクジェット受理剤。
  6. 前記水溶性多価金属塩(D)が酢酸マグネシウムである、請求項1に記載のインクジェット受理剤。
  7. 更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を含んでなる、請求項1に記載のインクジェット受理剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット受理剤を、基材に塗工又は含浸した後、前記水系媒体を揮発させることにより、インクジェット受理層が前記基材上に形成されたインクジェット記録媒体。
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