JP2011040256A - 走査荷電粒子線装置 - Google Patents

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猛 川▲崎▼
Tomonori Nakano
朝則 中野
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琴子 廣瀬
Hiroyuki Ito
博之 伊藤
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Abstract

【課題】補正器付荷電粒子装置において、補正器の電源ノイズがある場合でも、常に高分解能の条件で使用できる荷電粒子装置を提供する。
【解決手段】あらかじめ補正器電源1つあたりの単位変動に対する像移動量を測定し、電源リップル安定度からノイズ量を推定し、比較候補の補正条件でのビーム径の計算にその値を取り入れる。より高分解能の見込める収差補正器の使用条件をシミュレーションし、収差はあるが補正器電源ノイズのない場合のビーム径の計算値と比較し、最良の分解能の条件を決めて装置を自動調整する。
【選択図】図2

Description

本発明は、走査荷電粒子線装置に係り、特に収差補正器付走査荷電粒子線装置であって、試料面上で集束荷電粒子ビームを走査する顕微鏡、検査装置、測長装置、加工装置などに関わる。
走査電子顕微鏡(SEM)は試料上に集束した電子ビームをスキャンして、その際に放出される2次電子や反射電子を検出器により検出した電気信号を、画像として表示する装置で、光学顕微鏡よりも高い分解能と深い焦点深度を特徴としている。試料表面のミクロンからナノメーターオーダーまでの表面形状を観察できる。また物質の種類により反射電子の発生量が異なるので像のコントラスト変化で異物が検出でき、発生するX線を分析すれば異物が何であるか特定できるなど表面分析も可能である。広く研究用や検査解析用に普及している。SEMの分解能を決める要因として、試料上のビーム径を主に考えてよい。(実際には試料の帯電や2次電子放出効率、プローブ電流など観察条件毎に異なる要因まで含めて像分解能が決まる。)通常のSEMでビームを試料上に小さく絞る場合に問題になるのは回折収差、球面収差、色収差、光源径、輝度限界といった要因である。このうち光源径、輝度限界は、FE電子源のような高輝度電子源を用いれば高分解能観察用途には対応可能である。回折収差は波長と開角に関係した物理限界であり、球面収差、色収差は軸回転対称なレンズを使う限り軸上でも存在する収差で、避けられない。この3種の収差をバランスよくして最小ビーム径を得るよう磁界レンズ、静電レンズの形状、組合せを研究してSEMの高分解能化が進んできた。
近年、4極子、8極子、6極子など多極子をもちいて電子顕微鏡の軸上収差(球面収差、色収差)を補正する技術が実用化され、従来の軸回転対称電子レンズだけをもちいた電子顕微鏡では到達できなかった分解能が実現できるようになってきた。特に透過型電子顕微鏡(TEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)の分野では0.1nm以下の分解能が収差補正技術をもちいて達成されている。
この技術には大きく分けて2つ方式があり、ひとつは4極子と8極子の組合せで球面収差、色収差両方あるいはどちらか一方を補正する方式、もうひとつは6極子2個の間に回転対称なトランスファーレンズ2枚を配置し、球面収差のみを補正する方式がある。前者はSEM、FIB、TEM、STEMに応用され、後者は主にTEM、STEMなどに応用されている。両者の方式の違いは、前者の4極子、8極子を使う方式は電磁重畳型4極子を使うことにより色収差補正が可能だが、後者の6極子を使う方式では色収差補正ができないということと、要求される補正器電源の安定度が後者の方が前者より1桁劣っていてもよく、10−6程度で実現可能ということがあげられる。
ここではSEMで使われることの多い4極子4段の補正器の動作の概略を記述する。非特許文献1にはこのタイプの収差補整器の詳細な記述がある。図1に収差補正器付SEMの構成の一例を示す。第一コンデンサーレンズ2を出た略平行のビームが収差補正器6に入ると、初段の4極子は光軸と垂直な一方向には発散、それと直交方向には集束作用をもつので、近軸軌道は二つ存在する。光軸をZ軸と呼び、光軸に垂直で初段4極子により集束する軌道をx軌道、発散する軌道をy軌道と仮に呼ぶことにする。2段目の4極子の中央付近ではx軌道は光軸と交わり、y軌道は光軸と最も離れる。つまり2段目の4極子の中央付近で近軸軌道はラインフォーカスしている。3段目の4極子の中央付近では逆にy軌道が光軸と交わり、x軌道が光軸と最も離れる。ここでも2段目の4極子の中央付近でのラインフォーカスと直交する方向にラインフォーカスが形成される。4段目の4極子を通過後はx軌道、y軌道は合流し再び略平行なビームとなって調整レンズ7に入射する。
色収差を補正するために補正器6の中央2段に4極子電場と同型の4極子磁場を45度回転させて重畳する。そのとき4極子場中の電子の軌道方程式は以下の式1のように記述される。ここに、4極子の形状は双極線型を仮定し、対向極間距離2a、極子電位±V1、加速電圧Φ、磁極磁位±NI、真空の透磁率μ0である。色収差補正ができる理由をこの式をもちいて説明する。色収差は、電子源からの放出エネルギーのばらつきや加速電源電圧のばらつきにより生じた、異なるエネルギー(例えばエネルギーeΦ、e(Φ+ΔΦ)、e(Φ−ΔΦ))をもつ電子が、レンズ電磁場を通過する際に、高エネルギー電子の軌道は曲がりにくく、低エネルギー電子の軌道はより多く曲がってしまうために、試料面に到達したときに位置ずれが生じることによる。
Figure 2011040256
そこで式1であらわされる収差補整器の中央2段の4極子場を通過する際に、高いエネルギーe(Φ+ΔΦ)の電子がより多く曲げられ、低いエネルギーe(Φ−ΔΦ)の電子がより曲がらなければ、結果的にeΦのエネルギーの電子の軌道に一致させることができ色収差は生じない。
式1のx(z), y(z)にかかる係数の式2を見ると、
Figure 2011040256
電場4極子の効きの強さは加速電圧Φに反比例するのに対し、磁場4極子の効きの強さは加速電圧Φの平方根に反比例している。そこでこの係数の値を一定にする条件で磁場と電場の強さの比を変えると、エネルギーeΦの電子に対しては軌道が変わらないが、e(Φ+ΔΦ)と、e(Φ+ΔΦ)の電子に対しては互いに逆方向に軌道が曲がる。これを利用して高いエネルギーe(Φ+ΔΦ)の電子がより多く曲げられ、低いエネルギーe(Φ−ΔΦ)の電子がより曲がらないようにして色収差補正ができる。
しかし4極子場ではx方向について色収差補正する条件のときに、y方向では係数の符号が逆なために、色収差を増加させるように働く。そこでRoseたちは収差補整器6の中央2段の4極子場中でラインフォーカスを形成するようにして、色収差を増大させる方向には4極子場の効果が効かないように図1にある補正器の構成を考えて実現した。中央2段の4極子場中ではx方向、y方向の色収差を独立にコントロールしている。そして最終的に試料面上で色収差が補正されるように、主に対物レンズ10の色収差を相殺する条件で収差補正器6を動作させる。
次に球面収差補正では8極子場を中央2段と前後の2段のうちどちらか一方計3段分に重畳して補正する。レンズにおいては軸からの距離の3乗に比例する力でレンズ外側を通る電子が強く曲げられることから、レンズを通るとビームが1点に集束しない。これを球面収差と呼んでいる。8極子は軸からの距離の3乗に比例する力を正負どちらにも作れるが、方位によりその作用は逆転し、全ての方位で球面収差を補正することはできない。そこで先のラインフォーカスを利用して中央2段の8極子で球面収差のx、y方向成分を補正し、残りのもう一つの8極子で45度方向の球面収差を補正する。4極子場と8極子場の重畳は別々の4極子、8極子を作らなくても、12極子を利用することで可能である。またアライナーやコマ収差補正用6極子なども12極子を使い重畳することができる。
特許第3950769号公報
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 363 (1995)、 p.316-325 H.Rose 、Optik 33 (1970)、p.1-24
SEMでは低加速ビームにより、試料へ低ダメージで高分解能観察ができることが期待され、その場合、色収差の影響が大きい。そこでこれを補正できる前述の4極子−8極子タイプの収差補正器が主に研究されてきた。このタイプの収差補正器では高分解能を実現するために収差補正器電源の安定度は0.1ppm程度が要求される。しかしこのスペックを完全に実現するのは技術的、コスト的に難しいので、現実的には補正器電源ノイズの分解能への影響を無視することができない。せっかく収差補正器をつけても、電源ノイズのために期待される分解能を出せずに、収差補正器のない高分解能SEMより結果的に性能が劣る場合も起こりえる。収差補正器をつけたときのSEMの分解能を決める要因として、前述の回折収差、球面収差(補正残りがある場合)、色収差(補正残りがある場合)、光源径、輝度限界の他に、補正にともなう寄生収差、高次収差と補正器電源ノイズの影響を考慮しておく必要がある。このうち通常のSEMでは無視できるが補正SEMで無視できない要因として、補正にともなう寄生収差は、極子のずれや磁場不均一などが原因となり、軸上コマ、3回対称非点、4回対称非点、3次スター収差など軸非対称な収差が発生する。
これは3次までなら8極子場のほか6極子場などを重畳して補正する手法が確立している。高次収差、特に問題となる5次球面収差については、非特許文献2にその原因と対物レンズコマなし面−収差補正器節点面間距離を可能な限り小さくするなどの対策が示唆されている。最終的には5次スター収差で分解能が制限されるので、その対策として補正前の対物レンズの球面収差係数をできるだけ小さくすることと、補正器−対物レンズ間にレンズを入れて実効的な焦点距離を長くすることが記述されている。(非特許文献2、p17式31とp18図6)。また特許文献1には補正器の電源ノイズを軽減する手法として、低加速電圧時の補正のとき、加速電圧に比例した補正電位を用いず、スポット倍率を小さくして、補正にかかる電流、電圧を高く保ち、収差補正装置の電位ゆらぎ、励磁電流ゆらぎの影響を軽減することを開示している。
しかしノイズ軽減のための収差補正器の動作制御について、補正器電源ノイズを実測し、それをもとに、場合によっては無補正も含めた、補正の程度の制御まで考慮に入れた高分解能化についてはあまり考慮されてこなかった。
そこで本発明では補正器の電源ノイズがある場合でも、無補正で補正器電源ノイズのない場合よりも高分解能像が得られるような補正器の調整条件を推定し、その条件によって収差補正器を調整あるいはOFFすることにより常に高分解能の条件で使用できる装置を提供する。
あらかじめ補正器電源1つあたりの単位変動(例えば+1mA)に対する像移動量を測定しておき、電源リップル安定度からノイズ量(スポットぼけ量)を推定し、比較候補の補正条件でのビーム径の計算にその値を取り入れる。より高分解能の見込める収差補正器の使用条件(不完全補正、補正器OFFも含む)をシミュレーションし、収差はあるが補正器電源ノイズのない場合のビーム径の計算値と比較し、最良の分解能の条件を決めて装置を自動調整する。
従来の収差補正SEMの構成例を示す図。 本発明の収差補正SEMの構成例を示す図。 本発明によるビーム径計算のフローチャート。 本発明の装置の設定画面を示す図。 本発明のノイズ計測設定画面を示す図。 本発明のFE-SEMへの応用例を示す図。
以下に図面を用いて実施例を詳細に述べる。
以下本発明の一具体例について図2を使って説明する。
収差補正器は、ここでは磁界4極場4段に電界4極場2段と磁界8極場4段を重畳する色・球面収差補正器(C補正器:ここで、Cは球面収差係数、Cは色収差係数を表す。)を説明するが、これに限定する必要はなく、4極場5段、重畳8極場3段以上のC補正器、6極子系Cs補正器等でも考え方は同様である。磁界を主体にしたC補正器とした理由は、数100MHzという高周波の電気ノイズが減衰しないで電極電位を振らせるのに対し、磁極はコイルを使って励磁するので、あまり高い周波数のノイズは電源からは入りにくいためである。また1極にコイルを複数巻いて、他の極のコイルと直列につなぐことにより、4極場や8極場の電源を分離し、極子の対称性を利用してこれらの電源ノイズに対する影響を減ずることができるためである。1つの磁極コイルにつながっている電流源を1mAだけ電流を増やしたときに、像の移動量を、電流増前後2つの画像の相互相関などをつかって測定しておく。
ここでは仮に100nm像移動が生じるとする。またあらかじめ電流源のノイズ量は電流源単体で測定しておく。たとえば±0.01mA電流ノイズがあったとして、この電流源ノイズの像への影響は100nm×(0.01/1)=1nm分の画像ノイズに相当すると考えられる。補正器中に複数段ある極子のうち一番像移動量の大きいもののデータをビーム径の計算に使う。ビームの直径dsの計算はフロー図にしたがい基本的には以下のようにする。補正有りの場合のデフォルトの設定の光学系を計算する。
Figure 2011040256
ここにddiff :回折収差 1.2λ/α
M:スポット倍率
do:光源径(ショットキー電子源で50nm程度)
dgeo: (幾何収差3次、5次)
Figure 2011040256
dchro:色収差、Cc(ΔE/E) α
dsc:色球面収差、Cscα3ΔV/V
dB:輝度限界 (4I/π2α2B)1/2
dnoise:ノイズ
ここでαは試料上のビーム開角(方位角も含め複素数表示とした)であり、第一コンデンサーのクロス位置を変えて調整することができる。図の光学系ではコンデンサーレンズ2が略平行ビームを作成、アジャスタレンズが高次収差を減少させるために作動範囲が限られるので、プローブ電流と開き角を完全に独立に変えることができないが、収差補正器は30mrad程度の広い範囲で幾何収差を補正できるので、小さい開角で回折収差増大を招かないように注意すれば細かい調整は重要でないと考えられる。プローブ電流を優先して第一コンデンサーの動作や絞り孔径を選べばよい。プローブ電流と開き角の完全な独立制御がどうしても必要な場合には第三コンデンサーレンズを第二コンデンサーレンズ3の下に追加すれば可能になる。この実施例のビーム径の計算では装置のレンズ、収差補正器、偏向器、絞り位置は固定されており、収差補正器には平行入射、平行出射を仮定する。絞り穴径ap、対物レンズ物点位置Lが変数として指定できる。Ap; Lから試料上開き角α、スポット倍率M、はこれらの関数としてα(ap, L)、M(ap, L)と決まる。各収差係数は軌道計算からCs(軸上球面収差係数) は4段の8極子電流値の関数として、 Cc(軸上色収差係数)は2、3段目の4極子の電場、磁場、C5は4段の8極子電流とLとC3の関数として計算できる。電源の制約から各段8極子電流、4極子電流がImax以下、2,3段4極子電圧がVmaxなどの制限がつき、Mの変化で、補正の効果が変わるのでCs、Ccも完全にゼロにできない場合もある。ノイズに関してひとつの極子のコイルに単位電流を流して像移動量を測り、その値に電源のリップル値をかけて電源ノイズによる像移動量を見積もり、全段の極子の内一番大きい移動量に√(電源数)を乗じたものをdnとする。これによりランダムな独立電源のノイズによる影響の最大値を見積もる。Lを変えた場合、dnはスポット倍率Mに比例して変化するので、Lを変化させた計算から補正時の最小分解能を見積もれる。次に補正器を用いない場合のビーム径計算をおこなう。この場合はdn=0とし、dgeoでは無補正のCs、Ccを考慮し、高次収差係数は無視する。補正時、無補正時で計算ビーム径が小さい場合をえらび、装置を選択された光学条件で動作させる。
図3に本発明の最小ビーム径計算のフローチャートの一例を示す。ビーム径計算のための入力数値は加速電圧、ランディング電圧、絞り番号、作動距離(WD)、無補正のCs,Ccの値などである。他にあらかじめ計算機に情報としてインプットしておく数値として、絞り番号に応じた実際の絞り穴径、光学要素間の距離、各レンズの収差係数、仮想光源位置、補正器電源の最大電流値、最大電圧値、対物物点位置の範囲などがあり、これらをあわせて電子光学シミュレーションによりビーム径を算出する。実際に最小値を最適化することは難しいのでたとえば対物物点位置を5箇所程度変えた場合で、ビーム径を計算、最小の条件を推定して出力するようにする。
図4にはこれを実行するための装置の操作画面のGUIの例を示す。最小ビーム径の計算結果が計算終了の表示とともに画面上に出力される。確認後、光学系設定ボタンを押して、実際の収差補正SEMでその補正条件を実行し観察、計測を行う。
図5にノイズ感度測定のGUIの例を示す。補正器の電源1つを単位量(たとえば1mAや1mV)変化させたときの像移動量を測定し、その電子光学系の電源ノイズ感度とここでは呼ぶことにする。電源ノイズ感度が小さければ、電源に大きなノイズが入っていても画像への影響は少ない。電源ノイズ感度が大きければ少しの電源ノイズで画像に大きな影響が出ることになる。この電源ノイズ感度は電子光学系の縮小率や加速電圧などで変化する。感度測定用光学系はたとえば図に示した平行光学系とする。その理由は実験の結果では補正器OFFで平行光学系のときの電源ノイズ感度はすべての電源について影響は同程度であり、補正器ONで基準軌道を形成したときの電源ノイズ感度は1段目、4段目では平行光学系と等しく、2、3段目の極子ではラインフォーカスを形成しているので、感度に2回対称方向依存性が生じるが平均化すると1段目、4段目での値とあまり変わらない結果であった。画面上で指定した収差補正器電源343のうちの1個に単位電流または電圧(たとえば1mA、1mV)の出力前後で、2次電子検出器9の出力からSEM像を取得して、データストレージ376に格納する。
次に制御コンピュータ30によりこれらの画像の相互相関をとり、像移動量と方向を計算し出力する。この電源ノイズ感度は光学系により異なるので、実施例2で説明したビーム径計算にもちいようとするいくつかの光学系について予め測定し、それらの値はデータストレージ376に格納して計算に使えるようにしておく。あるいは調整レンズ324の励磁だけを変化させる場合には、一つの条件でノイズ量を測定しておけば、他の条件でのノイズは倍率変化から推定できる。
図5に本発明の一例として、多段多極子を用いた収差補正器を備えたField Emission−SEM(FE−SEM)の一例を示す。このSEMはフォーカスした電子線を試料上に走査させるSEMカラム301、試料ステージが格納される試料室302、SEMカラム301や試料室302の各構成部品を制御するための制御ユニット303等により構成されている。ここではイオンポンプやターボ分子ポンプと真空配管,真空系制御機構についての図示、説明は省略している。制御ユニット303には、更に、所定の情報を格納するためのデータストレージ376や取得画像を表示するモニタ377、装置と装置ユーザとのマン・マシンインタフェースとなる操作卓378が接続されている。操作卓378は、例えば、キーボードやマウスなどの情報入力手段により構成される。初めに、SEMカラム301内部の構成要素について説明する。電界放出電子源31はタングステンの単結晶先端を電界研磨して尖らせた電子源で、フラッシング電源32により通電加熱して表面を清浄にした後,10−8Pa台の超高真空中にて引き出し電極34との間に+5kV程度の電圧を引き出し電源33で印加することにより、電界放出電子を放出させる。引き出し電極34と第2陽極35との間で形成される静電レンズにより加速、収束された電子は、光軸0に沿って後段の構成要素へ入射する。第1コンデンサーレンズ320で収束され、可動絞り321にてビーム量を制限され、第2コンデンサーレンズ322および2段偏向器323を通り、収差補正器20に入射する。2段偏向器323は、電界放出電子銃310および,コンデンサーレンズ320,322の軸と収差補正器20の軸が一致するように調節される。収差補正器20を出たビームは2段偏向器334により調整レンズ324、対物レンズ331の光軸に一致するよう調整される。
本実施例では4極―8極子系の色球面収差補正器20が装着されており、その働きは「背景技術」で説明したとおりである。収差補正器20の各段で4極子、8極子を形成するがこれに12極の磁極(電極を兼ねてもよい)を用いると、4極場、8極場のほか、偏向場、6極場、12極場も重畳して形成可能である。極子の組み立て誤差、磁極材料の不均一性により生じる寄生収差たとえば軸上コマ収差,3回非点収差,4回非点収差などを補正するためにこれらの多極場を使用することができる。装置を立ち上げて加速、作動距離などあらかじめ考えていた条件で補正器電源ゼロ出力の状態で画像が出るようにする。
次に装置の操作画面でノイズ測定設定(図5)を選択すると、複数の電源からなる補正器電源343のうち1台づつ単位電流あるいは単位電圧、たとえば1mAや1mVを出力してそのときに生じる像移動量と方向を相互相関などをとり測定する。像移動量のうち最大の大きさをこの電子光学系での電源ノイズ量として制御コンピュータ30に記憶しておく。補正器電源343の各電源には1つの極子しかつながっていない場合、複数の極子がつながり多極子を形成している場合と両方ある。
次に収差補正設定画面(図4)上で条件を入力し、計算をさせて、最良の分解能が出るように収差補正器20を自動制御する。収差補正器20により主に対物レンズ331の色収差、球面収差を一部または全部相殺するように、離軸距離やエネルギーに応じて角度を調整された電子ビームは、調整レンズ324によりExB偏向器の収差の影響を小さくするため一度ExB偏向器327近辺に集束された後、対物レンズ331にて、試料332上に集束し、走査偏向器329にて試料上を走査される。調整レンズ324により、高次収差の増大抑制や、電源ノイズの影響を制御、色収差、球面収差の補正効率(補正器電源出力に対するCs、Ccの変化量)の制御をすることができる。引出番号328は対物アライナーである。試料室302内部には、試料332を載置する試料載置面を備えた試料ステージ333が格納されている。電子線照射により発生する2次電子は、対物レンズ331を抜けて、反射板325に当たり電子を発生させる。発生した電子は、2次電子検出器326で検出される。ExB偏向器327は、試料から発生する2次電子の軌道を曲げて2次電子検出器326に直接みちびき、あるいは試料から発生する2次電子が反射板325に当たる位置を調整し検出効率を向上する。検出された2次電子信号は、走査と同期した輝度信号として制御コンピュータ30に取り込まれる。制御コンピュータ30は、取り込んだ輝度信号情報に対して適当な処理を行い、モニタ377上にSEM画像として表示される。検出器はここでは1つしか図示していないが、反射電子や2次電子のエネルギーや角度分布を選別して画像取得できるように、複数配置することも可能である。中心に穴のあいた同軸円板状の2次電子検出器を光軸0上に配置すれば反射板325は必ずしも必要ではない。
制御ユニット303は、フラッシング電源32,引き出し電源33、加速電源36、第1コンデンサーレンズ電源340、第2コンデンサーレンズ電源341、調整レンズ電源351、偏向器電源342、収差補正器電源343、走査コイル電源344、対物レンズ電源345、リターディング電源346、非点補正コイル電源347、対物アライナー電源348、ExB偏向器電源349,2次電子検出器電源350等により構成され、それぞれSEMカラム内の対応する構成要素と、信号伝送路や電気配線等で接続されている。
なお本発明は測長SEMのようなあらかじめ、観察条件の固定されたSEMにも適用可能である。この場合は分解能最良条件はノイズ計測含めて、装置供給者側で設定済みであるので一般のオペレータがノイズ測定モードを使う場合としては、装置の状態確認などメンテナンスのときに確認すればよい。またFE−電子銃でなくショットキー電子銃を使う分析SEMや測長SEMにも本発明は応用可能である。
本発明は走査型電子顕微鏡、走査型イオン顕微鏡、半導体検査解析装置、集束イオンビーム装置などへ利用の可能性がある。
0…光軸、1…電子源、2…第一コンデンサーレンズ、3…第二コンデンサーレンズ、4…絞り、5…2段偏向器、6…収差補正器、7…調整レンズ、30…制御コンピュータ、31…電界放出電子源、32…フラッシング電源、33…引き出し電源、34…引き出し電極、35…第2陽極、36…加速電源、301…SEMカラム、302…試料室、303…制御ユニット、310…電界放出電子銃、320…第1コンデンサーレンズ、321…可動絞り、322…第2コンデンサーレンズ、323…2段偏向器、324…調整レンズ、325…反射板、326…2次電子検出器、327…ExB偏向器、328…対物アライナー、329…走査偏向器、330…非点補正コイル、331…対物レンズ、332…試料、333…試料ステージ、334…2段偏向器、335…偏向器電源、340…第1コンデンサーレンズ電源、341…第2コンデンサーレンズ電源、342…偏向器電源、343…収差補正器電源、344…走査コイル電源、345…対物レンズ電源、346…リターディング電源、347…非点補正コイル電源、348…対物アライナー電源、349…ExB偏向器電源、350…2次電子検出器電源、351…調整レンズ電源、352…真空容器、376…データストレージ、377…モニタ、378…操作卓。

Claims (6)

  1. 荷電粒子ビームを試料に対して走査する照射光学系と、
    該試料を載置する試料ステージと、
    前記荷電粒子ビームの照射により前記試料から発生する2次荷電粒子を検出する検出光学系と、
    前記検出した2次荷電粒子の情報に基づいて画像を表示する画像処理系と、を備えた走査荷電粒子顕微鏡において、
    前記照射光学系は、荷電粒子銃と、対物レンズと、前記荷電粒子線銃と前記対物レンズとの間に配置され、多極子を用いた前記照射光学系の軸上の色収差および球面収差を補正する収差補正器と、前記収差補正器に電圧を供給する収差補正器電源とを備え、
    前記収差補正器電源のノイズを起因とする前記画像に発生する画像ノイズの大きさを計測する機構を有することを特徴とする走査荷電粒子線装置。
  2. 前記画像ノイズの大きさを計測する機構が、前記多極子を構成する各極子に独立に電圧を印加あるいは、各極子を構成するコイルに電流を通電し、そのときの印加電圧または、通電する電流に応じて変化する画像移動量を計測する手段を有することを特徴とする請求請1に記載の走査荷電粒子線装置。
  3. 計測された前記画像ノイズの大きさを基に、前記試料の面上でのビーム径を計算し、その計算結果に基づき、前記収差補正器電源の遮断状態も含めて最良の分解能が得られる前記収差補正器電源の電源条件を自動選択する手段を有することを特徴とする請求請1に記載の走査荷電粒子線装置。
  4. 前記収差補正器に4段以上の4極子場と3段以上の8極子場を使用することを特徴とする請求請1に記載の走査荷電粒子線装置。
  5. 前記収差補正器が、4段の4極子磁場と、その4段のうち中央の2段の4極子磁場に、同型の4極子電場を光軸の周りに45度回転して重畳し、前記4段の4極子磁場に8極子電場または磁場を重畳する構造を有することを特徴とする請求請1に記載の走査荷電粒子線装置。
  6. 前記ビーム径の計算は、加速電圧、絞り番号、作動距離を含む情報を用いることを特徴とする請求請3に記載の走査荷電粒子線装置。
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